説明

半導体装置の製造方法

【課題】ホールパターンの寸法のばらつきを抑え、ホールパターンの未開口の発生を抑制する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、第1と第2のレジストパターン形成工程を含む。第1のレジストパターン形成工程では、コンタクトホール形成領域に、開口パターン111を有する第1のレジストパターン11を形成する。第2のレジストパターン形成工程では、コンタクトホール形成領域の第1の領域R1に開口パターン112を有し、第2の領域R2に第3の開口パターン112を有する第2のレジストパターン12を形成する。第2と第3の開口パターン112は、1本おきの活性領域3上に配列した形状を有するが、互いに異なる活性領域3上に形成される。そして、先に行う第1または第2のレジストパターン形成工程では、後のリソグラフィ処理で耐性を有するレジストの不溶化処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NAND型フラッシュメモリでは、2つの選択ゲートトランジスタ間に複数のメモリセルトランジスタが直列に接続されたNANDセルユニット上に、層間絶縁膜を介してビット線が形成される。また、NANDセルユニットは、所定の間隔をおいて、並行して配置されており、各NANDセルユニットの選択ゲートトランジスタの拡散層と各ビット線とが、ビット線コンタクトによって接続される構造を有する。
【0003】
ビット線コンタクトは、通常、リソグラフィ技術によってホール形成位置上に塗布されたレジストにホールパターンを形成し、これをマスクにして層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールに導電性材料を埋め込むことで形成される。半導体装置の微細化に伴って、隣接するNANDセルユニット間のピッチが微細化してきており、上記のような方法でのビット線コンタクトの形成が困難になってきている。そのため、従来では、隣接するビット線間で千鳥配置となるようにコンタクトホールを形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−202143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、微細化に伴って、解像限界以下の活性領域のパターン上に、精度よくホールパターンを形成するのが困難になりつつある。また、ホールパターンが微小化すると、ホールパターンの寸法のばらつきが発生し、ホールパターンの未開口が発生する虞が大きくなる。そのため、微細化した半導体装置でも、ホールパターンの寸法のばらつきを抑え、ホールパターンの未開口の発生を抑制する半導体装置の製造方法が求められていた。
【0006】
本発明の一つの実施形態は、ホールパターンの寸法のばらつきを抑え、ホールパターンの未開口の発生を抑制する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、層間絶縁膜形成工程と、第1のレジストパターン形成工程と、第2のレジストパターン形成工程と、エッチング工程と、を含む。ここで、層間絶縁膜形成工程では、第1の方向に延在する導電層が第2の方向に第1のピッチでラインアンドスペース状にパターニングされた基板上に層間絶縁膜が形成される。第1のレジストパターン形成工程では、前記層間絶縁膜上にレジストが塗布された後、コンタクトホール形成領域にリソグラフィ技術によって、前記第2の方向に延在し、前記ラインアンドスペース状の前記導電層の形成位置を横切る第1の開口パターンを有する第1のレジストパターンが形成される。また、第2のレジストパターン形成工程では、前記層間絶縁膜上にレジストが塗布された後、前記コンタクトホール形成領域にリソグラフィ技術によって、前記コンタクトホール形成領域を前記第1の方向の中心部で二分した時の一方の第1の領域には第2の開口パターンを有し、二分した前記コンタクトホール形成領域の他方の第2の領域には、第3の開口パターンを有する第2のレジストパターンが形成される。前記第2および第3の開口パターンは、1本おきの前記導電層の形成位置上に配列した前記第1の方向に延在する形状を有するが、第3の開口パターンは、前記第1の領域で前記第2の開口パターンが形成された前記導電層とは異なる前記導電層の形成位置上に形成される。エッチング工程では、前記第1のレジストパターンの前記第1の開口パターンと前記第2のレジストパターンの前記第2および第3の開口パターンとを重ね合わせたホール形成用マスクを用いて、前記層間絶縁膜がエッチングされる。そして、前記第1のレジストパターン形成工程または前記第2のレジストパターン形成工程のうち、先に行う工程では、前記レジストとして露光現像後に後の工程でのリソグラフィ処理で耐性を有するレジストを用い、前記レジストパターン形成後に前記レジストの不溶化処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、NAND型のフラッシュメモリのメモリセル領域に形成されるメモリセルアレイの一部を示す等価回路図である。
【図2】図2は、メモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す平面図である。
【図3】図3は、図2のA−A断面図である。
【図4−1】図4−1は、第1の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その1)。
【図4−2】図4−2は、第1の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その2)。
【図5】図5は、露光処理に用いられるフォトマスクの一例を示す平面図である。
【図6】図6は、4Xnm世代のNAND型フラッシュメモリにおける選択ゲート線周辺のパターンを示す平面図である。
【図7】図7は、ビット線コンタクトのホールパターン形成用の一般的なフォトマスクの一例を示す平面図である。
【図8−1】図8−1は、第2の実施形態による半導体装置の製造方法の一例を模式的に示す平面図である(その1)。
【図8−2】図8−2は、第2の実施形態による半導体装置の製造方法の一例を模式的に示す平面図である(その2)。
【図9】図9は、第2の実施形態による半導体装置の製造で使用されるフォトマスクの一例を模式的に示す平面図である。
【図10】図10は、ビット線コンタクトを形成するホールパターンの径と未開孔の発生率との間の関係を示す図である。
【図11−1】図11−1は、第3の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その1)。
【図11−2】図11−2は、第3の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その2)。
【図12−1】図12−1は、図11−1のA−A断面図である。
【図12−2】図12−2は、図11−2のA−A断面図である。
【図13−1】図13−1は、第4の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その1)。
【図13−2】図13−2は、第4の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である(その2)。
【図14−1】図14−1は、図13−1のB−B断面図である。
【図14−2】図14−2は、図13−2のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる半導体装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。さらに、以下で示す膜厚は一例であり、これに限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
以下では、本実施形態をNAND型フラッシュメモリに適用した場合について説明する。図1は、NAND型フラッシュメモリのメモリセル領域に形成されるメモリセルアレイの一部を示す等価回路図である。この図において、紙面内の左右方向をX方向とし、X方向に垂直な紙面内の方向をY方向としている。
【0011】
NAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイは、2個の選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2と、これらの選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2間に直列接続された複数個(たとえば、2n乗個(nは正の整数))のメモリセルトランジスタMCとからなるNANDセルユニット(メモリユニット)Suが、基板上に行列状に配置されることによって構成されている。NANDセルユニットSu内において、複数個のメモリセルトランジスタMCは隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共用して形成されている。また、X方向に配列される複数のNANDセルユニットSuによって、1つのブロックBLKが形成される。
【0012】
1つのブロックBLK中のX方向に配列されたメモリセルトランジスタMCは、ワード線(制御ゲート線)WLによって共通接続されている。また、1つのブロックBLK中のX方向に配列された選択ゲートトランジスタSGT1は選択ゲート線SGL1で共通接続され、選択ゲートトランジスタSGT2は選択ゲート線SGL2で共通接続されている。選択ゲートトランジスタSGT1のドレイン領域にはビット線コンタクトCBが接続されている。このビット線コンタクトCBの他方の端は、図1中のY方向に延びるビット線BLに接続されている。また、選択ゲートトランジスタSGT2は、ソース領域を介して図1中のX方向に延びるソース線SLに接続されている。
【0013】
なお、ここでは、Y方向に隣接する2つのブロックBLKがビット線コンタクトCBを共有する構造としている。そのため、各ブロックBLK内の構造は、ビット線コンタクトCBの形成位置を中心に鏡面対象となっている。
【0014】
図2は、メモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す平面図である。半導体基板1としてのシリコン基板に、素子分離領域としてのSTI(Shallow Trench Isolation)2が図2中のY方向に延在して、X方向に所定の間隔で複数本形成され、これによって隣接する活性領域3が図2中のX方向に分離されている。活性領域3と直交する図2中のX方向に延在して、Y方向に所定間隔でメモリセルトランジスタMCのワード線WLが形成されている。
【0015】
また、Y方向に隣接する2つのブロックBLKで、ビット線コンタクトCBが共有される構造となっているので、隣接する2つのブロックBLKの2本の選択ゲート線SGL1間の活性領域3にはビット線コンタクトCBがそれぞれ形成されている。このビット線コンタクトCBは、隣接する活性領域3にY方向の位置を交互に変えて配置されている。すなわち、2本の選択ゲート線SGL1の間の領域で、一方の選択ゲート線SGL1側に寄せて配置されるビット線コンタクトCBと、他方の選択ゲート線SGL1側に寄せて配置されたビット線コンタクトCBとが、交互に配置された、いわゆる千鳥状に配置された状態である。
【0016】
1つのブロックBLK内の選択ゲート線SGL1の配置位置に対向する側には選択ゲート線SGL2が形成されている。そして、このブロックBLKに隣接する他のブロックBLKの対向する選択ゲート線SGL2との間には、他のブロックBLKとの間で共有されるソース線SLがX方向に延在して形成され、このソース線SLと選択ゲートトランジスタSGT2のソース領域とがソース線コンタクトCSによって接続される。
【0017】
ワード線WLと交差する活性領域3上にはメモリセルトランジスタMCの積層ゲート構造MGが形成され、選択ゲート線SGL1,SGL2と交差する活性領域3上には選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2のゲート構造SG1,SG2が形成されている。
【0018】
図3は、図2のA−A断面図である。図3に示されるように、半導体基板1の素子形成領域上に、電流経路が隣接するもので直列接続された複数のメモリセルトランジスタMC、およびこれらを選択する選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2を有するNANDセルユニットSuが配置されている。
【0019】
複数のメモリセルトランジスタMCのそれぞれは、半導体基板1上に、トンネル絶縁膜TI、浮遊ゲート電極FG、ゲート間絶縁膜IPDおよび制御ゲート電極CG(WL)が順に積層された積層ゲート構造MGと、積層ゲート構造MGの線幅方向両側の半導体基板表面付近に設けられるソース/ドレイン領域S/Dと、を備える。ソース/ドレイン領域S/Dは、隣接するメモリセルトランジスタMCまたは選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2と共有される。
【0020】
選択ゲートトランジスタSGT1は、上記メモリセルトランジスタMCの電流経路が直列に接続されて構成されるNANDストリングのドレイン側に配置される。選択ゲートトランジスタSGT1は、半導体基板1上に、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEが順に積層されたゲート構造SG1と、ゲート構造SG1の線幅方向両側の半導体基板表面付近に設けられるソース/ドレイン領域S/Dと、を備える。一方のソース/ドレイン領域S/Dは、隣接するメモリセルトランジスタMCと共有される。また、ゲート電極GEの高さ方向中央部付近にはゲート間絶縁膜IPDが存在するが、この基板面に平行な方向の中心付近には貫通孔が設けられており、ゲート間絶縁膜IPDの上下の層が電気的に接続される。
【0021】
選択ゲートトランジスタSGT2は、上記NANDストリングのソース側に配置される。選択ゲートトランジスタSGT2は、半導体基板1上に、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEが順に積層されたゲート構造SG2と、ゲート構造SG2の線幅方向両側の半導体基板表面付近に設けられるソース/ドレイン領域S/Dと、を備える。一方のソース/ドレイン領域S/Dは、隣接するメモリセルトランジスタMCと共有される。また、ゲート電極GEの高さ方向中央部付近にはゲート間絶縁膜IPDが存在するが、この基板面に平行な方向の中心付近には貫通孔が設けられており、ゲート間絶縁膜IPDの上下の層が電気的に接続される。
【0022】
このようなNANDセルユニットSuが形成された半導体基板1上には、層間絶縁膜ID1が形成される。層間絶縁膜ID1には、ソース線コンタクトCSが設けられる。ソース線コンタクトCSは、選択ゲートトランジスタSGT2のソース/ドレイン領域S/D上に設けられ、その上部は、層間絶縁膜ID1上に形成されたソース線SLと接続される。ソース線SLが形成された層間絶縁膜ID1上にはさらに層間絶縁膜ID2が形成される。層間絶縁膜ID1,ID2には、選択ゲートトランジスタSGT1のソース/ドレイン領域S/D上に設けられるようにビット線コンタクトCBが形成される。ビット線コンタクトCBの上部は、層間絶縁膜ID2上に形成されたビット線BLと接続される。
【0023】
以下に、このような構造のビット線コンタクトの製造方法について説明する。図4−1〜図4−2は、第1の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である。ここでは、ビット線コンタクトCBの形成領域付近を切り出した平面図を示している。また、図5は、露光処理に用いられるフォトマスクの一例を示す平面図である。
【0024】
まず、図3に示されるように、公知の方法で、メモリセルトランジスタMCと選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2を形成した半導体基板1上に、第1と第2の層間絶縁膜ID1,ID2を形成する。つまり、半導体基板1上にY方向に延在する素子分離絶縁膜をX方向に所定の間隔で形成し、素子分離絶縁膜で囲まれた領域に所定の導電型の不純物を拡散させた活性領域を形成する。導電層としてY方向に延在する活性領域は、所定のピッチのラインアンドスペースパターンを有する。その後、活性領域上にメモリセルトランジスタMCと選択ゲートトランジスタSGT1,SGT2とを形成した後、その上に第1の層間絶縁膜ID1を形成する。ついで、選択ゲートトランジスタSGT2のソース領域に対応する第1の層間絶縁膜ID1上の位置に、半導体基板1に連通するコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内に導電性材料を埋め込み、ソース線コンタクトCSを形成する。そして、第1の層間絶縁膜ID1上にソース線SLを形成した後、第2の層間絶縁膜ID2を形成する。
【0025】
ついで、第2の層間絶縁膜ID2に第1のレジスト11Aを塗布する(図4−1(a))。この第1のレジスト11Aは、リソグラフィ処理によってパターニングを行って第1のレジストパターンを形成した後、第1のレジストパターン上に塗布される第2のレジストの溶剤やその現像液に対して、第1のレジストパターンを不溶化させることができる材料によって構成される。なお、図4−1〜図4−2では、下層に存在する活性領域3と選択ゲート線SGL1を便宜上点線で図示している。
【0026】
ついで、図5(a)に示されるフォトマスク50を用いて、第1のレジスト11AをたとえばArFエキシマレーザを光源とする露光装置で露光する。フォトマスク50は、たとえば隣接する2本の選択ゲート線SGL1間の領域(以下、ビット線コンタクト形成領域という)が開口され、他の領域がマスクされるように、遮光部51が形成された構造を有する。ここでは、図5(a)に示されるフォトマスク50を、半導体基板のビット線コンタクト形成領域と重なるように位置合わせを行った後に、露光を行う。
【0027】
その後、露光された第1のレジスト11Aを現像して、第1のレジストパターン11Bを形成する(図4−1(b))。この第1のレジストパターン11Bによって、ビット線コンタクト形成領域には開口パターン111が形成される。ここで、フォトマスク50のY方向の開口幅dmは、隣接する2本の選択ゲート線SGL1−SGL1間のY方向の距離dwよりも小さくなるように設計されている。つまり、メモリセル領域におけるブロックを被覆する第1のレジストパターン11Bの端部が選択ゲート線SGL1上にかからないように、フォトマスク50が設計されている。
【0028】
なお、図示されていないが、たとえばNAND型フラッシュメモリの場合には、NANDセルユニットが行列状に配置されるメモリセル部の周辺には、周辺回路部が形成されており、この周辺回路部にはメモリセル部に比してデザインルールの緩いコンタクトが配置される。そのため、周辺回路部のコンタクトを形成するためのホールパターンを、第1のレジストパターン11Bの形成と同時に形成することができる。
【0029】
その後、たとえば加熱処理することによって、第1のレジストパターン11Bを硬化する(図4−1(c))。この硬化処理は、上記したように後に塗布される第2のレジストの溶剤やその現像液に対して不溶化させるための処理である。これによって、後の2回目のリソグラフィ処理に対して耐性を有する第1のレジストパターン11となる。レジスト不溶化処理として、加熱処理のほかに、UV(UltraViolet)光照射処理、DUV(Deep UV)光照射処理、電子ビーム照射によるキュア処理、イオン注入(イオンビーム照射)処理などを適用することができる。
【0030】
ついで、第1のレジストパターン11が形成された層間絶縁膜上の全面に、第2のレジスト12Aを塗布する(図4−2(a))。この第2のレジスト12Aとして、たとえばメモリセル部のラインアンドスペースパターンを形成する際に使用される高解像用レジストを用いることができる。
【0031】
その後、図5(b)に示されるフォトマスク52を用いて、第2のレジスト12Aを露光する。図5(b)に示されるフォトマスク52は、Y方向に延在する開口パターン53がX方向に所定の間隔で配置された第1と第2のパターン54A、54BとがX方向に1/2ピッチずらして配置されるとともに、Y方向に隣接する開口パターン53の端部が接触するように配置される構造を有している。開口パターン53は、活性領域3のパターンの2倍のピッチでX方向に形成されている。露光処理は、フォトマスク52の第1のパターン54Aが、ビット線コンタクト形成領域の中心部から一方の選択ゲート線SGL1側の第1の領域R1に解像されるように、第2のパターン54Bが、ビット線コンタクト形成領域の中心部から他方の選択ゲート線SGL1側の第2の領域R2に解像されるように、位置合わせされて行われる。ただし、露光時には、フォトマスク52に示される形で第2のレジスト12Aに解像するのではなく、フォトマスク52上でY方向に接触している第1のパターン54Aの開口パターン53と第2のパターン54Bの開口パターン53とが、第2のレジスト12A上で分離して解像する露光光学条件で露光を行う。
【0032】
この2重露光目はラインアンドスペースパターンに適した露光光学条件を設定できるため、ビット線コンタクトのホールパターンの密方向(X方向)ピッチの像質を大きく改善することができる。また、図示しないが、1重露光目で形成した周辺回路部分のホールパターン(デザインルールの緩いホールパターン)に第2のレジストが覆われないようにパターン設計がなされる。
【0033】
その後、露光された第2のレジスト12Aを現像して、第1の領域R1では、1本おきの活性領域3上にライン状の開口パターン112を有し、第2の領域R2では、第1の領域R1で開口パターン112が形成された活性領域3とは異なる1本おきの活性領域3上にライン状の開口パターン112を有する第2のレジストパターン12を形成する(図4−2(b))。また、Y方向に隣接する第1の領域R1の開口パターン112の端部と第2の領域R2内の開口パターン112の端部とは、分離しており、その形状は半楕円形状を有している。
【0034】
この現像処理では、第1のレジストパターン11は不溶化処理が施されているので、現像されることがなく、第2のレジスト12Aの露光された位置のみ現像される。その結果、1重露光目で開口された開口パターン111と、2重露光目で開口された開口パターン112との重なり領域によって、ビット線コンタクトを形成するためのホールパターン13が形成される。この図4−2(b)では、第1と第2のレジストパターン11,12によって、半楕円形状のホールパターン(開口部)13が千鳥状に配置されたホール形成用マスクが形成される。
【0035】
なお、このように形成されたホール形成用マスクのホールパターン13の選択ゲート線SGL1側は、1重露光目の良質な像パターンで形成された第1のレジストパターン11のレジストエッジで構成され、ホールパターン13のX方向の側は、2重露光目でラインアンドスペースパターンに適した露光光学条件で露光して良質な像パターンで形成された第2のレジストパターン12のレジストエッジで構成されるので、ホールパターン13が未開孔になる虞を低減することができる。
【0036】
その後、ホール形成用マスク(第1と第2のレジストパターン11,12)をマスクとして、層間絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングによってエッチングし、コンタクトホール14を形成する(図4−2(c))。このとき、図示しないが周辺回路部のコンタクトホールも同時に形成される。その後は、ホール形成用マスクを除去した後、公知の方法で、コンタクトホール14内に導電性材料を埋め込み、ビット線コンタクトを形成した後、層間絶縁膜上にビット線を形成する。
【0037】
つぎに、比較例として一般的な方法によるビット線コンタクトのホールパターンの形成方法の一例について説明する。近年のデバイスパターンサイズの微細化によって、リソグラフィ工程で基板上に形成されるパターンの線幅を均一に精度良く制御することが必要となっている。特に、近年のメモリリソグラフィ、たとえばNAND型フラッシュメモリにおけるセルパターンサイズにおいては、露光装置の解像限界に近い光学条件で密ピッチのラインアンドスペースパターンが形成されている。
【0038】
図6は、4Xnm世代のNAND型フラッシュメモリにおける選択ゲート線周辺のパターンを示す平面図である。この図では、ビット線コンタクト形成領域付近での活性領域(AA)3、ワード線WLおよび選択ゲート線SGL1のパターンを示している。これらは、チップサイズの縮小を推し進めるために、露光装置の限界まで、具体的にリソグラフィでよく知られたK1ファクタとしては、0.26〜0.3の極限に近い状態まで、微細化が進められている。
【0039】
上記したように、NAND型フラッシュメモリにおいては、隣接する2本の選択ゲート線SGL1間の活性領域3上にビット線コンタクトCBが形成される。チップサイズの縮小を実現させるためには、2本の選択ゲート線SGL1−SGL1間の距離をできるだけ小さくすることが求められる。しかし、ホールパターンのリソグラフィ特性は、ラインアンドスペースパターンのリソグラフィ特性に比べて、微細化が難しく活性領域3のパターンと同じピッチのパターンを形成することが困難になってきている。そのため、図2に示したように、ビット線コンタクトCBのホールパターンHCBのX方向ピッチPCBを活性領域3のパターンのピッチPAAの2倍にし、隣接するホールパターンHCB間でY方向の位置を異ならせる千鳥配置などの工夫がなされている。
【0040】
図7は、ビット線コンタクトのホールパターン形成用の一般的なフォトマスクの一例を示す平面図である。この図に示されるように、ホールパターンHCBを形成する場合には、Y方向が長軸方向となる楕円形状の開口パターン71が二連千鳥状に配置されたフォトマスク70が用いられる。これは、楕円形状にしないと、露光時にレジスト上に解像しないからである。
【0041】
ところで、NAND型フラッシュメモリにおけるビット線コンタクトCBのホールパターンHCBの形成においては、ホールパターンHCBを2本の選択ゲート線SGL1間の微小領域に、解像限界以下の活性領域3のパターン上に高精度で位置合わせを行って露光することが求められている。また、千鳥パターンの形成では、チップサイズに大きく影響があるビット線コンタクトCBが収まるY方向の範囲(以下、ビット線コンタクト形成領域幅という)Lを縮小することも求められている。
【0042】
さらに、ホールパターンHCBは小さくなりすぎると、未開孔パターンが発生する。そのため、ホールパターンHCBの露光における像強度分布(像質:コントラスト、空中像強度対数勾配(NILS)など)を良くして像質を向上させ、ホールパターンHCBの寸法バラツキを抑えてホールパターンを形成することも求められている。しかし、活性領域3の配列方向(X方向)の微細化が進行するほど、ビット線コンタクトCBのホールパターンHCBの像強度分布の像質を保ちつつ、図6のビット線コンタクト形成領域幅Lを最小化することが益々困難となっている。つまり、図7に示されるフォトマスク70では、微細化に伴って上記の要件を満たすことができないという問題点があった。
【0043】
一方、第1の実施形態では、ホール形成用マスクのホールパターン13の長径方向の一方の側は、1重露光目で第1のレジスト11A内の潜像強度分布を急峻にして形成された第1のレジストパターン11のエッジとすることで、ホールパターン13の長径方向の寸法のばらつきを抑えるようにしている。また、ホールパターン13の短径方向は、2重露光目でラインアンドスペースパターンに最適となる像質の優れた照明(たとえば、ダイポール照明)を適用することができるので、ホールパターン13のローカルなばらつきを軽減することができる。その結果、楕円状の開口パターン71を有するフォトマスク70を用いてホールパターンを形成した場合に比して、ホールパターン13のエッジが急峻となり、未開孔パターンの発生を抑えることができる。
【0044】
また、ホールパターン13のY方向の寸法を、露光条件によって図7のフォトマスク70を用いた場合に比して小さくすることができるので、ビット線コンタクト形成領域幅Lを縮めることに繋がり、結果としてチップサイズを縮小化することができるという効果も有する。
【0045】
なお、上述した説明では、Y方向のホールパターン13の位置を決める第1のレジストパターン11を形成し、不溶化処理を行った後、X方向のホールパターン13の位置を決める第2のレジストパターン12を形成する場合を示したが、順番は逆でもよい。つまり、X方向のホールパターン13の位置を決める第2のレジストパターン12を先に形成し、不溶化処理を行った後、Y方向のホールパターン13の位置を決める第1のレジストパターン11を形成してもよい。
【0046】
(第2の実施形態)
図8−1〜図8−2は、第2の実施形態による半導体装置の製造方法の一例を模式的に示す平面図であり、図9は、第2の実施形態による半導体装置の製造で使用されるフォトマスクの一例を模式的に示す平面図である。ここでも第1の実施形態と同様に、ビット線コンタクトの形成領域付近を切り出した平面図を示している。なお、以下では、第1の実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0047】
第1の実施形態と同様に、メモリセルトランジスタなどの素子を形成した層間絶縁膜上に第1のレジストを塗布した後、図9(a)に示されるフォトマスク50Aを用いて露光する。フォトマスク50Aは、ビット線コンタクト形成領域が開口され、他の領域がマスクされるように、遮光部51が形成されるとともに、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中央部付近にX方向に延在する遮光部51Aが設けられる。ここでは、図9(a)に示されるフォトマスク50Aを、半導体基板のビット線コンタクトの形成領域と重なるように位置合わせを行った後、露光を行う。
【0048】
その後、露光された第1のレジストを現像して、第1のレジストパターン11Bを形成する(図8−1(a))。この第1のレジストパターン11Bによって、ビット線コンタクト形成領域には、Y方向の中央付近で二分された開口パターン111Aが形成される。
【0049】
さらに、第1のレジストパターン11Bに不溶化処理を施して第1のレジストパターン11とした後(図8−1(b))、ラインアンドスペースパターンを形成する際に使用される高解像用の第2のレジストを塗布する。
【0050】
その後、図9(b)に示されるフォトマスク52Aを用いて露光する。このフォトマスク52Aは、図5(b)のフォトマスク52と同様に、第1と第2のパターン54A,54BとがX方向に1/2ピッチずらして配置されるとともに、互いの開口パターン53の端部間が開口パターン53Aで接続される構造を有している。開口パターン53は、活性領域3のパターンの2倍のピッチでX方向に配列されている。
【0051】
露光処理は、フォトマスク52Aの第1のパターン54Aがコンタクト形成領域の第1の領域R1に解像され、第2のパターン54Bがコンタクト形成領域の第2の領域R2に解像されるように、位置合わせされて行われる。ただし、このフォトマスク52Aを用いて露光する場合には、第1の実施形態のように、フォトマスク52Aの第1のパターン54Aの開口パターン53の端部と第2のパターン54Bの開口パターン53の端部とが、分離して解像する露光光学条件で露光を行う必要はなく、フォトマスク52Aのパターンが第2のレジストにそのまま解像されるような条件で露光すればよい。
【0052】
ついで、露光された第2のレジストを現像し、第1の領域R1では、1本おきの活性領域3上にライン状の開口パターン112Aを有し、第2の領域R2では、第1の領域R1で開口パターン112Aが形成された活性領域3とは異なる1本おきの活性領域3上にライン状の開口パターン112Aを有する第2のレジストパターン12が形成される(図8−1(c))。
【0053】
この現像処理では、第1のレジストパターン11は不溶化処理が施されているので、現像されることがなく、第2のレジストの露光された位置のみ現像される。その結果、1重露光目で開口された開口パターン111Aと、2重露光目で開口された開口パターン112Aとの重なり領域によって、ビット線コンタクトを形成するためのホールパターン13が形成される。つまり、図8−1(c)に示されるように、第1と第2のレジストパターン11,12によって、矩形状のホールパターン13が千鳥状に配置されたホール形成用マスクが形成される。なお、第2のレジストパターン12では、第1の領域R1から第2の領域R2にかけて開口パターン112Aが形成されているが、ビット線コンタクト形成領域のY方向中央部付近に、X方向に延在する帯状の第1のレジストパターン11が存在するので、第1と第2の領域R1,R2でホールパターン13が分離されることになる。
【0054】
その後、ホール形成用マスクをマスクとして、層間絶縁膜をRIE法などの異方性エッチングによってエッチングし、コンタクトホール14を形成する(図8−2)。そして、コンタクトホール14内に導電性材料を埋め込むことによって、ビット線コンタクトが形成される。
【0055】
図8−1(c)に示されるように、第2の実施形態によるホールパターンの形成方法では、ホールパターン13のY方向の寸法L2は、第1のレジストパターン11形成時におけるY方向のパターン間の間隔によって決定される。これに対して、図7に示されるフォトマスク70を用いて形成されるホールパターンの場合には、レジスト上に解像させるためには、Y方向に伸長した楕円状パターンとしなければならないので、図6のホールパターンHCBのY方向の寸法L1は、第2の実施形態の場合に比して長くなる。つまり、第2の実施形態の方法でホールパターン13を形成することで、ビット線コンタクト形成領域幅(隣接する2本の選択ゲート線SGL1間の距離)を従来に比して縮小することができる。
【0056】
また、従来に比してY方向のホールパターン13の寸法が縮小されているが、1重露光目のスリットパターンのエッジ部分を急峻とし、2重露光目のラインアンドスペースパターンの露光条件で像質を改善することができるので、これらのパターンによって構成されるホールパターン13の未開孔の発生を抑えることができる。
【0057】
図10は、ビット線コンタクトを形成するホールパターンの径と未開孔の発生率との間の関係を示す図である。この図で、横軸はビット線コンタクトの長径(Y方向)の寸法を示しており、縦軸はビット線コンタクトの未開孔の発生率を示している。この図に示されるように、図7のフォトマスク70を用いてホールパターンを形成する場合には、Y方向のホールパターンの寸法が小さくなるにしたがって、ホールパターンの未開孔の割合が急激に増大していく。しかし、第2の実施形態による方法では、Y方向のホールパターン13の寸法が小さくなっても、ホールパターン13の未開孔の割合は、上記の理由によってほとんど増加しない。
【0058】
第2の実施形態では、図8−1(c)に示されるように、Y方向に延在し、X方向に複数並行して配置される開口パターン112Aが、第1と第2の領域R1,R2で略1/2ピッチずらして形成され、第1と第2の領域R1,R2の開口パターン112Aの端部間が第2のレジストパターン12上で分離していなくても、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中心部にX方向に延在するパターンを有する第1のレジストパターン11によって、開口パターン112Aの第1と第2の領域R1,R2の境界部付近がマスクされるようにした。その結果、ホールパターン13のY方向の寸法を縮小することができるという効果を、第1の実施形態の効果に加えて得ることができる。
【0059】
なお、第2の実施形態でも、第1のレジストパターン11と第2のレジストパターン12の形成順序を入れ替えてもよい。ただし、この場合にも、先に形成する第2のレジストパターン12を形成し、第1のレジストパターン11を形成する前に第2のレジストパターン12が不溶化される。
【0060】
(第3の実施形態)
第1と第2の実施形態では、ビット線コンタクト間のピッチが露光装置の解像限界を超えない範囲に限られる場合について説明した。以下の第3と第4の実施形態では、側壁加工プロセスを用いてビット線コンタクトのホールパターンを形成する場合について説明する。
【0061】
図11−1〜図11−2は、第3の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図であり、図12−1〜図12−2は、図11−1〜図11−2のA−A断面図である。まず、メモリセルトランジスタなどが形成された基板1上に被加工膜である層間絶縁膜IDとマスク層100とを順に形成する。層間絶縁膜IDは、たとえば厚さ50nmのSiN膜で構成することができる。また、ここではマスク層100として、層間絶縁膜ID上に第1のマスク膜101と第2のマスク膜102とを順に積層した構造のものを用いるものとする。第1のマスク膜101として、たとえば、膜厚が100nmのCVD(Chemical Vapor Deposition)カーボン膜などのカーボン膜を用いることができる。また、第2のマスク膜102として、たとえば膜厚が50nmのシリコン含有中間膜を用いることができる。シリコン含有中間膜として、SiO2膜、アモルファスシリコン膜、シリコン窒化膜などCVD法で形成されるものや、シラン化合物、シラザン化合物、シロキサン化合物など、より具体的にはSOG(Spin on Glass )材料、ポリシラン化合物、ポリシラザン化合物、シリコン含有ネガレジストなどのシリコン含有塗布材料を塗布して形成されるものなどを用いることができる。さらに、マスク層100上にレジストを塗布する。レジストとして、たとえば膜厚100nmの化学増幅型ArFレジストを用いることができる。
【0062】
ついで、ArF露光装置を用いて、レチクルを介してレジストを露光後、130℃に設定したホットプレート上でポストエクスポジャーベークおよび現像を行い、図示しない隣接する2本の選択ゲート線間の領域にレジストパターン103を形成する(図11−1(a)、図12−1(a))。ここでは、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中央付近から一方の選択ゲート線側の第1の領域R1に、ラインとスペースの比率が略1:3となるラインアンドスペースパターンを形成する。一方、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中央付近から他方の選択ゲート線側の第2の領域R2に、ラインとスペースの比率が略1:3となるラインアンドスペースパターンを、第1の領域R1のラインアンドスペースパターンに比して略1/4ピッチだけX方向にずらして形成する。また、これら第1、第2の領域R1,R2におけるラインアンドスペースパターンのラインは、いずれも基板1上に形成された活性領域パターンのピッチと略同じ幅を有している。なお、選択ゲート線からワード線側の領域は、レジストで被覆された状態となっている。
【0063】
その後、レジストパターン103をマスクとして、RIE法などの異方性エッチングを用いてまず第2のマスク膜102をエッチングし、さらに第2のマスク膜102をマスクとして第1のマスク膜101をエッチングして、レジストパターン103の形状を第1のマスク膜101に転写する(図11−1(b)、図12−1(b))。そして、第2のマスク膜102を除去することによって、第1のマスクパターン101Mが形成される。
【0064】
ついで、第1のマスクパターン101Mが形成された層間絶縁膜ID上にスペーサ膜104をコンフォーマルに形成する(図11−1(c)、図12−1(c))。スペーサ膜104として、シリコン含有材料膜を用いることができる。シリコン含有材料膜として、SiO2膜、アモルファスシリコン膜、シリコン窒化膜などCVD法で形成されるものや、シラン化合物、シラザン化合物、シロキサン化合物など、より具体的にはSOG材料、ポリシラン化合物、ポリシラザン化合物、シリコン含有ネガレジストなどのシリコン含有塗布材料を塗布して形成されるものなどを用いることができる。なお、スペーサ膜104の材料として、層間絶縁膜IDと第1のマスクパターン101M(第1のマスク膜101)との間でエッチング選択比がとれる材料を選択することが望ましい。ここでは、CVD法を用いて室温で膜厚30nmのSiO2膜を第1のマスクパターン101M上にコンフォーマルに成膜する。
【0065】
その後、スペーサ膜104をRIE法などの異方性エッチングでエッチバックし、第1のマスクパターン101Mの上面と、第1のマスクパターン101M間の層間絶縁膜IDを露出させる(図11−1(d)、図12−1(d))。ついで、第1のマスクパターン101Mに対して、酸素を含むプラズマを用いて選択的にエッチングを行い、第1のマスクパターン101Mを除去する(図11−2(a)、図12−2(a))。これによって、層間絶縁膜ID上にスペーサ膜104による第2のマスクパターン104Mが形成される。ここで、第2のマスクパターン104Mが第1のマスクパターン101Mの側壁に形成される際に、第1のマスクパターン101Mによって囲まれる1つの閉ループ構造(ホール)のY方向の中心付近の壁間距離(X方向のパターン間の距離)は、他の部分の壁間距離に比して短いために、スペーサ膜104が接触する。その結果、第1のマスクパターン101Mで1つのホールだったパターンは、ビット線コンタクト形成領域のY方向中心付近に形成されたスペーサ膜104によって分離された2つの閉ループ構造(ホールパターン)からなる略8の字状パターンとなる。この8の字状パターンは、120nmのピッチでX方向に並び、1つのホールの短径は30nm、長径は60nmのパターンとなっている。
【0066】
その後、第2のマスクパターン104Mが形成された層間絶縁膜ID上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によって、各閉ループ構造のY方向の端部が被覆されるようにレジストパターン105を形成する(図11−2(b)、図12−2(b))。具体的には、8の字状の第2のマスクパターン104MのY方向に延在するライン部分が露出し、第2のマスクパターン104MのY方向の上端部、下端部および中心部をそれぞれ覆うライン状のレジストパターン105を形成する。
【0067】
そして、レジストパターン105と第2のマスクパターン104Mとをマスクとして、層間絶縁膜IDをRIE法などの異方性エッチングによってエッチングする(図11−2(c)、図12−2(c))。これによって、二連千鳥状に配列された、短径が30nmで長径が60nmの微細なコンタクトホール110が形成される。この例で示した30nmの千鳥状のコンタクトホール110のパターンは、30nmピッチのラインアンドスペースパターン状の活性領域パターンに対応できる。すなわち、120nmピッチのラフなパターンのリソグラフィを用いても、結果的にはX方向のピッチが30nmのビット線コンタクトCBのパターンを形成することができる。
【0068】
このように、第3の実施形態では、マスクのホール形成用パターンの短径方向は、1重露光目のラフなパターンの露光には波長の大きい露光装置を使用することができるため、運用コストの低減が期待できる。また、ホールパターンの長径方向については、同じく2重露光目のラフなデザインでの露光によって、急峻なパターンエッジを形成することができる。その結果、このようなホールパターンを有するマスク用いて形成されたコンタクトホール110が未開孔となる虞が軽減され、高歩留りのパターン形成が可能になるという効果を有する。
【0069】
また、第1と第2の実施形態と同様に、ビット線コンタクト形成領域幅Lを大幅に縮小できるほかに、2重露光目で周辺のラフなホールパターンを比較的自由度の高いデザインルールで形成可能なことから、全体としては、大幅に工程を削減することができるという効果も期待できる。
【0070】
(第4の実施形態)
図13−1〜図13−2は、第4の実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図であり、図14−1〜図14−2は、図13−1〜図13−2のB−B断面図である。まず、メモリセルトランジスタなどが形成された半導体基板1上に、被加工膜である層間絶縁膜IDと、第1と第2のマスク膜101,102が積層されたマスク層100とを順に形成する。また、マスク層100上にレジストを塗布する。層間絶縁膜ID、第1と第2のマスク膜101,102およびレジストは、第3の実施形態と同様の材料を用いることができる。
【0071】
ついで、リソグラフィ技術によって、隣接する選択ゲート線SGL1間の領域にレジストパターン106を形成する(図13−1(a)、図14−1(a))。ここでは、図示しないビット線コンタクト形成領域の第1の領域R1に、ラインとスペースの比率が略1:1となるラインアンドスペースパターンを形成し、また、第2の領域R2に、ラインとスペースの比率が略1:1となるラインアンドスペースパターンを、第1の領域R1のラインアンドスペースパターンに比して略1/4ピッチだけX方向にずらして形成する。ここで形成されるラインの幅は、半導体基板上に形成された活性領域のピッチの略2倍である。なお、選択ゲート線からワード線側の領域は、レジストで被覆された状態となっている。
【0072】
その後、レジストパターン106の幅が、元の幅の略半分となるように、スリミングを行う(図13−1(b)、図14−1(b))。このスリミングによって、X方向の幅が細まるとともに、Y方向の長さも縮小する。その結果、隣接する2本の選択ゲート線間の第1と第2の領域R1,R2には、半導体基板1上に形成された活性領域のピッチと略同じライン幅を有し、ラインとスペースの比率が略1:3となるラインアンドスペースパターンを有するレジストパターン106Aが形成される。また、第1と第2の領域R1,R2の境界部で、接していたラインのパターンは、このスリミングによって、Y方向に所定の距離だけ後退し、分離された状態となる。
【0073】
ついで、このレジストパターン106Aをマスクとして、RIE法などの異方性エッチングを用いてまず第2のマスク膜102をエッチングし、さらに第2のマスク膜102をマスクとして第1のマスク膜101をエッチングして、レジストパターンを第1のマスク膜101に転写する(図13−1(c)、図14−1(c))。そして、第2のマスク膜102を除去し、第1のマスクパターン101Mを形成する。
【0074】
その後、第1のマスクパターン101Mが形成された層間絶縁膜ID上にスペーサ膜104をコンフォーマルに形成する(図13−1(d)、図14−1(d))。このとき、ラインパターンの長手方向の端部(隣接する2本の選択ゲート線間の中心側端部)にもスペーサ膜104が形成される。その結果、第3の実施形態とは異なり、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中心部付近では、X方向に隣接するスペーサ膜104間が接触し、帯状のパターン107が形成されることになる。なお、スペーサ膜104として、第3の実施形態と同様の材料を用いることができる。
【0075】
ついで、スペーサ膜104をエッチバックし、第1のマスクパターン101Mの上面と、第1のマスクパターン101M間の層間絶縁膜IDを露出させる(図13−2(a)、図14−2(a))。さらに、第1のマスクパターン101Mに対して、酸素を含むプラズマを用いて選択的にエッチングを行い、第1のマスクパターン101Mを除去する(図13−2(b)、図14−2(b))。これによって、層間絶縁膜ID上にスペーサ膜104による第2のマスクパターン104Mが形成される。具体的には、層間絶縁膜IDが露出した領域を囲む閉ループ構造のスペーサ膜104のパターンが、ビット線コンタクト形成領域のY方向の中心部付近に形成された帯状のパターン107に接しながら二連千鳥状に配置された第2のマスクパターン104Mが形成される。
【0076】
その後、第2のマスクパターン104Mが形成された層間絶縁膜ID上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によって、第2のマスクパターン104MのY方向に延在するライン部分が露出するように、第2のマスクパターン104MのY方向の上下両端部が被覆されるようにレジストパターン105を形成する(図13−2(c)、図14−2(c))。なお、第4の実施形態では、第2のマスクパターン104MのY方向の中心部には、X方向にスペーサ膜104による帯状のパターン107が形成されているので、レジストパターン105においてビット線コンタクト形成領域のY方向の中心部でX方向に延在するパターンは設けられなくてもよい。
【0077】
そして、レジストパターン105と第2のマスクパターン104Mとを用いて、層間絶縁膜IDをRIE法などの異方性エッチングによってエッチングする(図13−2(d)、図14−2(d))。これによって、二連千鳥状に配列された微細なコンタクトホール110のパターンが形成される。
【0078】
この第4の実施形態によっても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、上述した説明では、レジストをスリミングする場合を例に挙げたが、図13−1(a)と図14−1(a)のパターンを第1のマスク膜101まで転写した後、第1のマスク膜101を図13−1(b)と図14−1(b)に示されるようにスリミングしてもよい。また、図13−1(a)と図14−1(a)のパターンを第2のマスク膜102に転写し、得られた第2のマスク膜102のパターンを図13−1(b)と図14−1(b)に示されるようにスリミングした後、スリミングされたパターンをマスクとして第1のマスクパターン101Mを形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…半導体基板、3…活性領域、11,11B…第1のレジストパターン、11A…第1のレジスト、12…第2のレジストパターン、12A…第2のレジスト、13…ホールパターン、14,110…コンタクトホール、50,50A,52,52A,70…フォトマスク、51,51A…遮光部、53,53A,71…開口パターン、54A…第1のパターン、54B…第2のパターン、100…マスク層、101…第1のマスク膜、101M…第1のマスクパターン、102…第2のマスク膜、103,105,106,106A…レジストパターン、104…スペーサ膜、104M…第2のマスクパターン、107…帯状のパターン、111,111A,112,112A…開口パターン、BL…ビット線、CB…ビット線コンタクト、HCB…ホールパターン、ID,ID1,ID2…層間絶縁膜、SGL1,SGL2…選択ゲート線、WL…ワード線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在する導電層が第2の方向に第1のピッチでラインアンドスペース状にパターニングされた基板上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜上にレジストを塗布し、コンタクトホール形成領域にリソグラフィ技術によって、前記第2の方向に延在し、前記ラインアンドスペース状の前記導電層の形成位置を横切る第1の開口パターンを有する第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、
前記層間絶縁膜上にレジストを塗布し、前記コンタクトホール形成領域にリソグラフィ技術によって、前記コンタクトホール形成領域を前記第1の方向の中心部で二分した時の一方の第1の領域には、1本おきの前記導電層の形成位置上に配列した前記第1の方向に延在する第2の開口パターンを有し、二分した前記コンタクトホール形成領域の他方の第2の領域には、前記第1の領域で前記第2の開口パターンが形成された前記導電層とは異なる1本おきの前記導電層の形成位置上に、前記第1の方向に延在する第3の開口パターンを有する第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程と、
前記第1のレジストパターンの前記第1の開口パターンと前記第2のレジストパターンの前記第2および第3の開口パターンとを重ね合わせたホール形成用マスクを用いて、前記層間絶縁膜をエッチングするエッチング工程と、
を含み、
前記第1のレジストパターン形成工程または前記第2のレジストパターン形成工程のうち、先に行う工程では、前記レジストとして露光現像後に後の工程でのリソグラフィ処理で耐性を有するレジストを用い、前記レジストパターン形成後に前記レジストの不溶化処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2のレジストパターン形成工程では、前記第2の開口パターンの前記第2の領域側端部と、前記第3の開口パターンの前記第1の領域側端部とが、接触しないように形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1のレジストパターン形成工程では、前記第1および第2の領域の境界部で、前記第2の方向に延在する帯状のパターンを前記第1の開口パターン内に形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第1の方向に延在する導電層が第2の方向に所定のピッチで配列されたラインアンドスペース状のパターンを有する基板上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜上に第1のマスク膜を形成し、前記第1のマスク膜内のコンタクトホール形成領域を前記第1の方向の中心部で二分した時の一方の第1の領域には、ラインの幅が前記導電層の前記ピッチと略同じでラインとスペースとの比率が略1:3のラインアンドスペース状の第1のパターンを有し、二分した前記コンタクトホール形成領域の他方の第2の領域には、前記第1のパターンに対して前記第2の方向に略1/4ピッチずらしたラインアンドスペース状の第2のパターンを有する第1のマスクパターンを形成する第1のマスクパターン形成工程と、
厚さが前記ラインの幅と略同じスペーサ膜を、前記第1のマスクパターンの側面の周囲に形成するスペーサ膜形成工程と、
前記第1のマスクパターンを除去して、前記スペーサ膜による閉ループ構造が千鳥状に配置された第2のマスクパターンを形成する第2のマスクパターン形成工程と、
前記第2の方向に配列した前記閉ループ構造の前記第1の方向の端部を連続的に被覆するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記第2のマスクパターンと前記レジストパターンとをマスクとして、前記層間絶縁膜をエッチングするエッチング工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のマスクパターン形成工程は、前記コンタクトホール形成領域に、ラインとスペースとの比率が略1:1のラインアンドスペース状の一対のパターンを前記第1の領域と前記第2の領域とで略1/4ピッチずらして形成した後、前記ラインの幅が略半分となるように前記パターンをスリミングして、前記第1、第2のパターンを有する前記第1のマスクパターンを形成することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【公開番号】特開2011−258822(P2011−258822A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133236(P2010−133236)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】