説明

半導体装置の製造方法

【課題】スループット良く、銅を異方的にエッチングすることを可能とするとともに、銅を用いたバンプ電極を短時間で形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】内部配線153上に絶縁膜156を形成する工程と、絶縁膜156に内部配線153に通じる開口157を形成する工程と、開口157が形成された絶縁膜156上に、銅膜101を形成する工程と、銅膜101上に、バンプ電極形成パターンに対応したマスク材102を形成する工程と、マスク材102をマスクに用いて、銅膜101を異方的にエッチングし、バンプ電極を形成する工程と、とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体装置、中でも半導体集積回路装置の動作の高速化が進展している。動作の高速化は、配線材料や電極材料の低抵抗化などにより実現される。このため、配線材料や電極材料は、従来のアルミニウムに代わり、より低抵抗な銅が用いられるようになってきている。
【0003】
しかし、銅の加工には、既存のドライエッチング技術の転用が難しい。これは、エッチングの際に形成される銅の化合物は総じて蒸気圧が低く、蒸発し難いことに由来する。Arスパッタ法、ClガスRIE法などが試されたが、チャンバ内壁への銅の付着などの問題により実用化に至っていない。
【0004】
このため、特許文献1に記載されるように、銅を用いたバンプ電極は、めっきシード層上に開口を有するマスク材を形成し、開口内のみに銅を選択的にめっき成長させることで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−359350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、選択的なめっき成長では、成長速度が遅く、銅を用いたバンプ電極を備えた半導体集積回路装置の製造に時間がかかってしまう。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、銅を用いたバンプ電極を短時間で形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、内部配線上に、絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に、前記内部配線に通じる開口を形成する工程と、前記開口が形成された絶縁膜上に、銅膜を形成する工程と、前記銅膜上に、バンプ電極形成パターンに対応したマスク材を形成する工程と、前記マスク材をマスクに用いて、前記銅膜を異方的にエッチングし、バンプ電極を形成する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、銅を用いたバンプ電極を短時間で形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1B】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1C】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1D】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1E】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1F】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1G】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1H】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【図1I】この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0012】
図1A〜図1Iは、この発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【0013】
図1Aに示す断面は、図示せぬ半導体ウエハ上に形成された第1の層間絶縁膜150上に第2の層間絶縁膜151が形成され、第2の層間絶縁膜151内に溝152が形成され、溝152内に銅配線153が形成された状態を示している。銅配線153は、半導体集積回路装置の内部配線である。銅配線153の周囲には、第1、第2の層間絶縁膜150、151への銅の拡散を抑制するバリア膜154と、銅配線153を構成する銅膜のめっきに使用されたシード層155とが形成され、銅配線153の表面は第2の層間絶縁膜151の表面から露出されている。
【0014】
次に、図1Bに示すように、銅配線153及び第2の層間絶縁膜151上に第3の層間絶縁膜156を形成する。次いで、第3の層間絶縁膜156上に図示せぬマスク材を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて、このマスク材に銅配線153に通じる開口ペターンを形成する。次いで、図示せぬマスク材をマスクに用いて、第3の層間絶縁膜156をエッチングし、第3の層間絶縁膜156に、銅配線153に通じる開口157を形成する。次いで、開口157が形成された第3の層間絶縁膜156上に、第2、第3の層間絶縁膜151、156への銅の拡散を抑制するバリア膜158を形成する。バリア膜158の一例はタンタルである。次いで、バリア膜158上にシード層159を形成する。
【0015】
次に、図1Cに示すように、シード層159上に、銅膜101を形成する。銅膜101は、半導体集積回路装置のバンプ電極となる導電膜である。このため、最終的な膜厚は、数μm程度必要である。このような膜厚の銅膜101を得るために、実用的な成膜方法は電気めっき法を用いることが望ましい。シード層159は、電気めっきのための電極として機能する。また、電気めっき法以外の成膜方法としては、スパッタ法、CVD法などを挙げることができる。この場合には、シード層159を形成する必要はない。
【0016】
次に、図1Dに示すように、銅膜101の上面に、柔らかく抵抗の低い金属膜160を形成する。金属膜160が、最終的にバンプ電極の頂上となる。金属膜160の例は、スズ(Sn)である。なお、金属膜160は、必要に応じて設けられれば良い。
【0017】
次に、図1Eに示すように、金属膜160上に、バンプ電極形成パターンに対応したマスク材102を形成する。マスク材102を形成する方法は、フォトリソグラフィ法が望ましい。
【0018】
次に、図1Fに示すように、金属膜160、銅膜101、シード層159を、マスク材102をエッチングのマスクに用いて異方性エッチングする。銅膜101を異方性エッチングする方法については後述するが、有機化合物ガス雰囲気中、例えば、有機酸ガス雰囲気中で酸素イオンを銅膜101に照射し、第1層銅膜101を異方性エッチングしていく方法、及び第1層銅膜101に酸素イオンを照射して第1層銅膜101を酸化し、酸化された部分を除去する方法などがある。
【0019】
次に、図1Gに示すように、バリア膜158を、マスク材102をエッチングのマスクに用いて異方性エッチングする。バリア膜158のエッチングには、スパッタエッチングやCFエッチングを用いることができる。
【0020】
次に、図1Hに示すように、マスク材102を除去する。
【0021】
次に、図1Iに示すように、選択析出現象を利用する無電解めっき法を用いて、銅膜101の側面上にコバルトタングステン(CoW)膜161を形成する。銅膜101上には、触媒反応により析出が始まりめっき膜(CoW膜161)が成膜されるが、第3の層間絶縁膜156上では触媒作用がないために成膜されない。CoW膜161はリン酸系の還元剤を用いればCoWP膜に、ジメチルアミンボラン(DMAB)を用いればCoWB膜となる。これらの膜は、エレクトロマイグレーション抑制のために、銅膜上に選択析出させる目的で開発されたものである。コバルト自体は、銅拡散のバリア性は低いが、タングステンを高濃度に合金化することで、銅拡散のバリア膜として使うことができる。また、CoW膜161は、銅膜101の酸化を抑制する膜としても機能する。
【0022】
このような一実施形態によれば、下記の利点を得ることができる。
【0023】
銅膜101を異方性エッチングしてバンプ電極を形成する。このため、銅膜101を選択的にめっき成長させる必要はなく、シード層159上の全面に形成することができる。このため、銅膜101の成長速度を、選択的なめっき成長法に比較して速くすることができる。
【0024】
また、選択的なめっき成長には、側壁の形状を垂直にするため、厚膜レジスト層を形成する方法があるが、本例のマスク材102は厚膜レジスト層ほど厚くする必要はなく、レジストの使用量を削減できる利点がある。
【0025】
また、銅膜101の異方性エッチングはドライエッチングで行うので、銅膜101の側面にアンダーカットが入らない。このため、銅膜101を含んで構成されるバンプ電極に良い形状を保つことができる。
【0026】
以上、この発明を実施形態に従って説明したが、この発明は上記実施形態に限られるものではなく様々な変形が可能である。
【0027】
例えば、銅膜101を異方的にエッチングする方法としては、以下の3つを挙げることができる。
【0028】
(I) マスク材102をマスクに用いて、有機酸ガス雰囲気中で酸素イオンを銅膜101に照射し、銅膜101をバリア膜158が露出するまで異方性ドライエッチングする方法
(II) マスク材102をマスクに用いて、銅膜101をバリア膜158に達するまで異方性酸化して酸化銅を形成し、バリア膜158に達するまで形成された酸化銅をドライ又はウェットエッチングする方法
(III) マスク材102をマスクに用いて、銅膜101の表面を異方性酸化する工程と、この表面に形成された酸化銅を、有機酸ガスを用いてドライエッチングする工程とを、バリア膜158が露出するまで繰り返す方法
上記有機酸ガスによるドライエッチングに使用される有機酸ガスの例としては、カルボキシル基(−COOH)を有するカルボン酸を含むガスを挙げることができる。
【0029】
カルボン酸としては、式1で記述されるカルボン酸
−COOH …式1
(Rは水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)を選ぶことができる。
【0030】
また、(2)の方法では、酸化銅のエッチングに、有機酸ガスによるドライエッチングの他、有機酸を含む水溶液、又は弗化水素酸を含む水溶液によるウェットエッチングを用いることもできる。
【0031】
有機酸を含む水溶液によるウェットエッチングに使用される水溶液の例としては、
カルボキシル基を含むクエン酸
カルボキシル基を含むアスコルビン酸
カルボキシル基を含むマロン酸
カルボキシル基を含むリンゴ酸
の少なくともいずれか1つを含む水溶液から選ぶことができる。
【0032】
なお、(I)、(II)の方法は(III)の方法に比較して、スループット良く銅膜101を異方性エッチングできる、という利点がある。なぜなら、(III)の方法は、Cuバリア膜100が露出するまで、半導体ウエハを酸化装置とドライエッチング装置との間で移動させ続けなければならない。
【0033】
これに対して、(I)の方法は、1つのチャンバ内で銅膜を異方性エッチングすることが可能である。
【0034】
また、(II)の方法は、1つのチャンバで銅膜を異方性酸化した後、半導体ウエハを、別のチャンバに移動させて酸化銅をエッチングするだけでよい。
【0035】
従って、(I)、(II)の方法は、(III)の方法に比較して、スループット良く銅膜101をCuバリア膜100が露出するまで異方性エッチングすることができる。
【符号の説明】
【0036】
101…銅膜、102…マスク材、153…銅配線、156…第3の層間絶縁膜、157…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部配線上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に、前記内部配線に通じる開口を形成する工程と、
前記開口が形成された絶縁膜上に、銅膜を形成する工程と、
前記銅膜上に、バンプ電極形成パターンに対応したマスク材を形成する工程と、
前記マスク材をマスクに用いて、前記銅膜を異方的にエッチングし、バンプ電極を形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記銅膜を異方的にエッチングし、バンプ電極を形成する工程が、
前記マスク材をマスクに用いて、有機酸ガス雰囲気中で酸素イオンを前記銅膜に照射し、前記銅膜を異方性エッチングする工程であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記銅膜を異方的にエッチングし、バンプ電極を形成する工程が、
前記マスク材をマスクに用いて、前記銅膜を異方性酸化して酸化銅を形成し、前記酸化銅をエッチングする工程であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記酸化銅をエッチングする工程に、有機酸を含む水溶液、又は弗化水素酸を含む水溶液によるウェットエッチングを用いることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記有機酸を含む水溶液が、
カルボキシル基を含むクエン酸
カルボキシル基を含むアスコルビン酸
カルボキシル基を含むマロン酸
カルボキシル基を含むリンゴ酸
の少なくともいずれか1つを含む水溶液から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記酸化銅をエッチングする工程に、有機酸ガスによるドライエッチングが用いられることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記有機酸ガスが、カルボキシル基を有するカルボン酸を含むガスであることを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記カルボン酸が、
−COOH …式1
(Rは水素、又は直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C20のアルキル基もしくはアルケニル基)
上記式1で記述されるカルボン酸から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1G】
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【図1F】
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【図1H】
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【図1I】
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【公開番号】特開2012−54308(P2012−54308A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193987(P2010−193987)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】