説明

半導体装置及びその制御方法

【課題】半導体装置の内部電圧生成回路に供給されるグランド電圧の変動による影響を抑制すること。
【解決手段】内部回路は、内部電圧生成回路によって生成される内部電圧に基づいて動作する。また、内部電圧生成回路及び内部回路は、グランド配線を介してグランドに接続される。内部電圧生成回路は、内部電圧が出力される出力端子と、グランド配線に接続されるグランド端子と、電圧が基準電圧に応じた値に制御される中間ノードと、出力端子と中間ノードとの間に接続された第1抵抗部と、中間ノードとグランド端子との間に接続された第2抵抗部と、第1抵抗部の抵抗値R1と第2抵抗部の抵抗値R2の比率R1/R2を切り換えるスイッチ部と、を備える。スイッチ部は、内部回路が動作する時の比率を、内部回路が動作を停止している時の比率よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置における内部電圧を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、典型的な半導体装置の構成を示すブロック図である。半導体装置中の内部回路では、半導体装置の外部から供給される電源電圧VDDよりも低い内部電圧VDLがしばしば使用される。例えば、1.8Vの電源電圧VDDが供給される半導体装置において、信頼性の観点からメモリ素子やトランジスタに印加可能な電圧が1.2Vであるとする。この場合、電源電圧VDDから1.2Vの内部電圧VDLを生成し、その内部電圧VDLをSRAM、DRAM、ロジック回路等の内部回路に供給する必要がある。
【0003】
そのために、内部電圧VDLを生成する内部電圧生成回路(降圧回路)が、半導体装置に組み込まれる(特許文献1参照)。また、バンドギャップリファレンス回路等の基準電圧発生回路が設けられる。基準電圧発生回路は、基準電圧VREFを生成し、その基準電圧VREFを内部電圧生成回路に供給する。内部電圧生成回路は、電源電圧VDD、グランド電圧GND_RG、及び基準電圧VREFに基いて、内部電圧VDLを生成する。基準電圧VREFを変化させることにより、内部電圧VDLを制御することができる。
【0004】
尚、図1に示されるように、基準電圧発生回路、内部電圧生成回路、及び内部回路は、グランド配線を介して外部グランド端子に接続されている。外部グランド端子には、グランド電圧GNDが入力される。但し、グランド配線の抵抗、グランド配線を流れる電流、グランド配線の配置パターン等の影響により、各回路に供給されるグランド電圧は、グランド電圧GNDから変動する可能性がある。図1では、基準電圧発生回路、内部電圧生成回路、及び内部回路に供給されるグランド電圧が、それぞれ、GND_REF、GND_RG、及びGND_Cで表されている。
【0005】
特許文献2には、内部回路のスリープ期間とアクティブ期間との間で内部電圧のレベルを変更することが記載されている。具体的には、スリープ期間中の内部電圧が、アクティブ期間中の内部電圧よりも高くなる。これは、内部回路がスリープ状態からアクティブ状態に復帰した際の急激な電流増加による内部電圧の急激な低下への対策である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−213664号公報
【特許文献2】特開2006−293802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1で示された通り、グランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは、グランド電圧GNDから変動する可能性がある。更に、グランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは、互いに影響を及ぼし合う。ここで、内部電圧生成回路におけるグランド電圧GND_RGの変動は、生成される内部電圧VDLの変動を招く。そして、内部電圧VDLの変動は、それに基づいて動作する内部回路の動作特性の悪化の原因となる。従って、内部電圧生成回路に供給されるグランド電圧GND_RGの変動による影響を抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点において、半導体装置が提供される。その半導体装置は、内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、その内部電圧に基づいて動作する内部回路と、を備える。内部電圧生成回路及び内部回路は、グランド配線を介してグランドに接続される。内部電圧生成回路は、内部電圧が出力される出力端子と、グランド配線に接続されるグランド端子と、電圧が基準電圧に応じた値に制御される中間ノードと、出力端子と中間ノードとの間に接続された第1抵抗部と、中間ノードとグランド端子との間に接続された第2抵抗部と、第1抵抗部の抵抗値R1と第2抵抗部の抵抗値R2の比率R1/R2を切り換えるスイッチ部と、を備える。スイッチ部は、内部回路が動作する時の比率を、内部回路が動作を停止している時の比率よりも大きくする。
【0009】
本発明の他の観点において、半導体装置の制御方法が提供される。その半導体装置は、内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、その内部電圧に基づいて動作する内部回路と、を備える。内部電圧生成回路及び内部回路は、グランド配線を介してグランドに接続される。内部電圧生成回路は、内部電圧が出力される出力端子と、グランド配線に接続されるグランド端子と、電圧が基準電圧に応じた値に制御される中間ノードと、出力端子と中間ノードとの間に接続された第1抵抗部と、中間ノードとグランド端子との間に接続された第2抵抗部と、を備える。制御方法は、(A)内部回路の動作状態を切り換えるステップと、(B)その動作状態に応じて、第1抵抗部の抵抗値R1と第2抵抗部の抵抗値R2の比率R1/R2を切り換えるステップと、を含む。ここで、内部回路が動作している時の比率は、内部回路が動作を停止している時の比率よりも大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部電圧生成回路に供給されるグランド電圧の変動による影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、典型的な半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る内部電圧生成回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態における内部電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態における抵抗値の設定例を示す概念図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態における電圧変動を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例における電圧変動を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態における抵抗値の設定例を示す概念図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態における電圧変動を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態に係る内部電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【図12】図12は、第3の実施の形態における抵抗値の設定例を示す概念図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態における電圧変動を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の第4の実施の形態に係る内部電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【図15】図15は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、第5の実施の形態に係る半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
1.半導体装置
図2は、本発明の実施の形態に係る半導体装置1の構成を示すブロック図である。半導体装置1は、外部電源端子2、外部グランド端子3、基準電圧発生回路10、内部電圧生成回路20、内部回路30、及び制御回路40を備えている。外部電源端子2には、電源電圧VDDが供給される。外部グランド端子3には、グランド電圧GNDが供給される。
【0014】
基準電圧発生回路10は、基準電圧VREFを生成する。より詳細には、基準電圧発生回路10には、外部電源端子2から電源電圧VDDが供給される。また、基準電圧発生回路10は、グランド配線5を介して外部グランド端子3に接続されている。基準電圧発生回路10に供給されるグランド電圧は、GND_REFで表される。基準電圧発生回路10は、電源電圧VDD及びグランド電圧GND_REFに基いて、基準電圧VREFを生成する。基準電圧発生回路10は、その基準電圧VREFを内部電圧生成回路20に供給する。基準電圧発生回路10として、バンドギャップリファレンス回路が例示される。
【0015】
内部電圧生成回路20(降圧回路)は、内部電圧VDLを生成する。より詳細には、内部電圧生成回路20には、外部電源端子2から電源電圧VDDが供給され、基準電圧発生回路10から基準電圧VREFが供給される。また、内部電圧生成回路20は、グランド配線5を介して外部グランド端子3に接続されている。内部電圧生成回路20に供給されるグランド電圧は、GND_RGで表される。内部電圧生成回路20は、電源電圧VDD、グランド電圧GND_RG、及び基準電圧VREFに基いて、電源電圧VDDより低い内部電圧VDL(<VDD)を生成する。内部電圧生成回路20は、その内部電圧VDLを内部回路30に供給する。
【0016】
内部回路30としては、SRAM、DRAM、ロジック回路等が例示される。この内部回路30には、内部電圧生成回路20から内部電圧VDLが供給され、内部回路30は、その内部電圧VDLに基いて動作する。また、内部回路30は、グランド配線5を介して外部グランド端子3に接続されている。内部回路30に供給されるグランド電圧は、GND_Cで表される。
【0017】
尚、それぞれの回路に供給されるグランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは、グランド電圧GNDから変動する可能性がある。それぞれの変動量は、グランド配線5の抵抗、グランド配線5を流れる電流、グランド配線5の配置パターン等に依存する。更に、グランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは、互いに影響を及ぼし合う。例えば、内部回路30が動作する場合、内部回路30と外部グランド端子3との間のグランド配線5には電流が流れ、それにより、グランド電圧GND_Cが上昇する。このとき、グランド配線5につながる内部電圧生成回路20に供給されるグランド電圧GND_RGも同時に上昇する。このようなグランド電圧GND_RGの変動は、生成される内部電圧VDLの変動を招く。
【0018】
そのようなグランド電圧GND_RGの変動による影響を抑制するために、本実施の形態によれば、内部電圧生成回路20の特性が、内部回路の30の動作状態に応じて切り換えられる。内部回路30の動作状態は、例えば制御信号ACTによって切り換えられる。制御信号ACTが活性化された場合、内部回路30はアクティブ状態になり、回路動作を行う。一方、制御信号ACTが非活性化された場合、内部回路30はスリープ状態になり、回路動作を停止する。そのような制御信号ACTを生成するのが、制御回路40である。制御回路40は、半導体装置1の外部に設けられていてもよい。制御回路40は、制御信号ACTを、内部回路30だけでなく、内部電圧生成回路20にも供給する。後に詳しく説明されるように、内部電圧生成回路20の特性は、その制御信号ACTに応じて切り換えられる。
【0019】
2.内部電圧生成回路
図3は、本実施の形態に係る内部電圧生成回路20の構成を示している。内部電圧生成回路20は、第1抵抗部21、第2抵抗部22、差動回路部23、スイッチ部24、出力端子OUT、グランド端子TG、及び中間ノードNAを備えている。
【0020】
出力端子OUTは、P型MOSトランジスタMP13を介して電源配線に接続されている。この出力端子OUTからは、内部電圧生成回路20によって生成される内部電圧VDLが出力される。グランド端子TGは、上述のグランド配線5に接続されている。このグランド端子TGには、グランド電圧GND_RGが印加される。
【0021】
第1抵抗部21は、出力端子OUTと中間ノードNAとの間に接続されている。第1抵抗部21の抵抗値は“R1”である。第2抵抗部22は、中間ノードNAとグランド端子TGとの間に接続されている。第2抵抗部の抵抗値は“R2”である。内部電圧VDLとグランド電圧GND_RGとの間の電圧差は、第1抵抗部21と第2抵抗部22によって分圧される。
【0022】
差動回路部23は、中間ノードNAに接続されている。差動回路部23は、基準電圧発生回路10から基準電圧VREFを受け取り、中間ノードNAの電圧を基準電圧VREFに応じた値に制御する。中間ノードNAの電圧は、以下「内部基準電圧VMON」と参照される。内部基準電圧VMONは、基準電圧VREFに依存する。
【0023】
例えば、差動回路部23は、図3に示されるようなカレントミラー回路の構成を有している。具体的には、差動回路部23は、PMOSトランジスタMP11、MP12、NMOSトランジスタMN11、MN12、及びMN13を備えている。PMOSトランジスタMP11のソース及びドレインは、電源配線及びノードN1にそれぞれ接続されている。PMOSトランジスタMP12のソース及びドレインは、電源配線及びノードN2にそれぞれ接続されている。ノードN2は、PMOSトランジスタMP11、MP12のゲートに接続されている。ノードN1は、PMOSトランジスタMP13のゲートに接続されている。NMOSトランジスタMN11のソース及びドレインは、ノードN3及びノードN1にそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMN12のソース及びドレインは、ノードN3及びノードN2にそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMN13のソース及びドレインは、グランド端子TG及びノードN3にそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMN11のゲートには、基準電圧VREFが印加される。NMOSトランジスタMN12のゲートは、中間ノードNAに接続されている。NMOSトランジスタMN13のゲートには、差動回路部23の動作を制御するための電圧VNGが印加される。
【0024】
このようなカレントミラー回路構成により、中間ノードNAの内部基準電圧VMONは、基準電圧VREFに応じた値に制御される。例えば、ミラー比が1:1の場合、内部基準電圧VMONは、基準電圧VREFと等しくなるように制御される(VMON=VREF)。この内部基準電圧VMONを用いて、出力端子OUTから出力される内部電圧VDLは、次の式(1)で表される。
【0025】
式(1):
VDL=VMON+R1/R2(VMON−GND_RG)
=VMON+α(VMON−GND_RG)
【0026】
パラメータαは、第1抵抗部21の抵抗値R1と第2抵抗部22の抵抗値R2との比率R1/R2である(α=R1/R2)。本実施の形態によれば、制御信号ACTに応じてこの比率αが切り換えられる。具体的には、スイッチ部24が制御信号ACTを受け取り、その制御信号ACTに応じて比率αを切り換える。
【0027】
図4は、本実施の形態に係る半導体装置1の動作を示すタイミングチャートである。図4には、制御信号ACT、内部回路30の動作状態、及び比率α(R1/R2)が示されている。時刻T1より前の期間、制御信号ACTは非活性化されており、Lレベルである。この場合、内部回路30はスリープ状態であり、回路動作を停止している。また、スイッチ部24は、比率αを、第1の比率α1に設定する。時刻T1において、制御信号ACTは活性化され、Hレベルになる。この場合、内部回路30はアクティブ状態になり、回路動作を開始する。また、スイッチ部24は、比率αを、第1の比率α1より大きい第2の比率α2(>α1)に設定する。時刻T2において、制御信号ACTは非活性化され、比率αは、第2の比率α2から第1の比率α1に戻る。
【0028】
このように、本実施の形態によれば、スイッチ部24は、内部回路30が動作する時の比率α(=α2)を、内部回路30が動作を停止している時の比率α(=α1)よりも大きくする。これによる効果は、次の通りである。
【0029】
内部回路30が動作する場合、内部回路30と外部グランド端子3との間のグランド配線5には電流が流れ、それにより、グランド電圧GND_Cが上昇する。このとき、グランド配線5につながる内部電圧生成回路20に供給されるグランド電圧GND_RGも同時に上昇する。上記式(1)で示されるように、グランド電圧GND_RGの上昇は、内部電圧VDLを低下させる方向に働く。その一方で、内部回路30が動作する時の比率α(=α2)は、内部回路30が動作を停止している時の比率α(=α1)よりも大きくなる。これは、内部電圧VDLを増加させる方向に働く。すなわち、グランド電圧GND_RGの上昇による内部電圧VDLへの影響が、比率αの切り換えによって相殺される。このように、本実施の形態によれば、グランド電圧GND_RGの変動による影響が抑制される。
【0030】
3.様々な実施の形態
3−1.第1の実施の形態
図5は、第1の実施の形態における内部電圧生成回路20の構成を示す回路図である。上述の説明と重複する説明は適宜省略される。
【0031】
第1抵抗部21は、抵抗素子21Aを含んでいる。抵抗素子21Aは、出力端子OUTと中間ノードNAとの間に接続されている。抵抗素子21Aの抵抗値は“R1A”である。第1抵抗部21の抵抗値R1は、抵抗素子21Aの抵抗値R1Aと等しい。
【0032】
第2抵抗部22は、抵抗素子22A、22B、及びNMOSトランジスタMN22を含んでいる。抵抗素子22A、22Bの抵抗値は、それぞれ“R2A”、“R2B”である。抵抗素子22Aは、中間ノードNAとノードNBとの間に接続されている。抵抗素子22Bは、ノードNBとグランド端子TGとの間に接続されている。NMOSトランジスタMN22のソース及びドレインは、グランド端子TG及びノードNBにそれぞれ接続されている。すなわち、抵抗素子22BとNMOSトランジスタMN22とは、ノードNBとグランド端子TGとの間に並列に接続されている。
【0033】
NMOSトランジスタMN22のゲートには、上述の制御信号ACTが供給される。制御信号ACTがLレベルの場合、NMOSトランジスタMN22はOFFする。この場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、第1の抵抗値=“R2A+R2B”に設定される。その結果、第1の比率α1は“R1A/(R2A+R2B)”となる。一方、制御信号ACTがHレベルの場合、NMOSトランジスタMN22はONする。この場合、NMOSトランジスタMN22のON抵抗が並列に加わるため、第2抵抗部22の抵抗値R2は、上記第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値に設定される。その結果、第2の比率α2は、第1の比率α1よりも大きくなる。このように、制御信号ACTに応じてNMOSトランジスタMN22がON/OFFすることにより、第2抵抗部22の抵抗値R2、すなわち、比率α(=R1/R2)が切り換わる。つまり、NMOSトランジスタMN22が、上述のスイッチ部24に相当する。
【0034】
図6は、各抵抗値の設定例を示している。抵抗素子21Aの抵抗値R1A、つまり、第1抵抗部21の抵抗値R1は、2K−Ohmである。抵抗素子22Aの抵抗値R2Aは、9K−Ohmである。抵抗素子22Bの抵抗値R2Bは、1K−Ohmである。NMOSトランジスタMN22のON抵抗Rは、1K−Ohmである。制御信号ACTがLレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、10K−Ohm(第1の抵抗値)である。制御信号ACTがHレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、9.5K−Ohm(第2の抵抗値)である。
【0035】
図7は、図6の設定例の場合の電圧変動を示している。本例において、基準電圧VREFと内部基準電圧VMONは等しく、共に1.0Vであるとする。また、制御信号ACTがLレベルであり、内部回路30がスリープ状態にある時、グランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは全て0Vであるとする。この時、上記式(1)より、内部電圧VDLは1.2Vとなる。
【0036】
時刻T1からT2までの期間、制御信号ACTはHレベルであり、内部回路30はアクティブ状態になる。この期間、グランド電圧GND_RG及びGND_Cが0.05Vに上昇するとする。但し、グランド電圧GND_REFは0Vのままであり、基準電圧VREF及び内部基準電圧VMONは1.0Vのままであるとする。これは、外部グランド端子3と基準電圧発生回路10との間のグランド配線5の抵抗値が低く、外部グランド端子3と内部電圧生成回路20及び内部回路30との間のグランド配線5の抵抗値が高い場合に相当する。時刻T1からT2までの期間、グランド電圧GND_RGが0.05Vに上昇するが、第2抵抗部22の抵抗値R2は9.5K−Ohmに切り換えられる。上記式(1)によれば、この場合でも、1.2Vの内部電圧VDLが得られることが分かる。すなわち、内部電圧VDLの低下が防止されている。グランド電圧GND_RGが変動しても、内部電圧生成回路20は、安定した内部電圧VDLを供給することができる。
【0037】
図8は、比較例を示している。比較例において、第2抵抗部22の抵抗値R2は、切り換えられることなく、10K−Ohmに固定されているとする。この場合、時刻T1からT2までの期間、内部電圧VDLは1.19Vに低下してしまう。本実施の形態によれば、このような内部電圧VDLの低下が防止される。
【0038】
3−2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、各抵抗値の設定値が異なる。回路構成は第1の実施の形態と同じであり、重複する説明は適宜省略される。
【0039】
図9は、第2の実施の形態における各抵抗値の設定例を示している。抵抗素子21Aの抵抗値R1A、つまり、第1抵抗部21の抵抗値R1は、2K−Ohmである。抵抗素子22Aの抵抗値R2Aは、6K−Ohmである。抵抗素子22Bの抵抗値R2Bは、4K−Ohmである。NMOSトランジスタMN22のON抵抗Rは、2.5K−Ohmである。制御信号ACTがLレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、10K−Ohm(第1の抵抗値)である。制御信号ACTがHレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、約7.5K−Ohm(第2の抵抗値)である。
【0040】
図10は、図9の設定例の場合の電圧変動を示している。制御信号ACTがLレベルの場合は、第1の実施の形態と同じであり、内部電圧VDLは1.2Vとなる。この時、内部回路30における実効的な動作電圧(=VDL−GND_C)も1.2Vである。一方、時刻T1からT2までの期間、上記式(1)によれば、内部電圧VDLは約1.25Vとなる。この時、内部回路30における実効的な動作電圧(=VDL−GND_C)は、1.2V(=1.25−0.05)となる。すなわち、本実施の形態では、内部電圧VDLの低下が防止されると共に、内部回路30における実効的な動作電圧の変動が抑制される。
【0041】
3−3.第3の実施の形態
図11は、第3の実施の形態における内部電圧生成回路20の構成を示す回路図である。第1の実施の形態と重複する説明は適宜省略される。
【0042】
本実施の形態において、第2抵抗部22は、抵抗素子22A及びNMOSトランジスタMN22を含んでいる。抵抗素子22Aは、中間ノードNAとノードNBとの間に接続されている。NMOSトランジスタMN22のソース及びドレインは、グランド端子TG及びノードNBにそれぞれ接続されている。すなわち、抵抗素子22AとNMOSトランジスタMN22は、中間ノードNAとグランド端子TGとの間に直列に接続されている。
【0043】
NMOSトランジスタMN22のゲートには、上述の制御信号ACTが供給される。制御信号ACTがLレベルの場合、NMOSトランジスタMN22はOFFする。この場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は非常に大きい値(第1の抵抗値)に設定される。その結果、第1の比率α1はほぼ0となり、内部電圧VDLは内部基準電圧VMONとほぼ等しくなる。一方、制御信号ACTがHレベルの場合、NMOSトランジスタMN22はONする。この場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、上記第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値に設定される。その結果、第2の比率α2は、第1の比率α1よりも大きくなる。このように、制御信号ACTに応じてNMOSトランジスタMN22がON/OFFすることにより、第2抵抗部22の抵抗値R2、すなわち、比率α(=R1/R2)が切り換わる。つまり、NMOSトランジスタMN22が、上述のスイッチ部24に相当する。
【0044】
図12は、各抵抗値の設定例を示している。抵抗素子21Aの抵抗値R1A、つまり、第1抵抗部21の抵抗値R1は、0.5K−Ohmである。制御信号ACTがLレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、非常に大きい値(第1の抵抗値)である。制御信号ACTがHレベルの場合、第2抵抗部22の抵抗値R2は、11.5K−Ohm(第2の抵抗値)である。
【0045】
図13は、図12の設定例の場合の電圧変動を示している。本例において、基準電圧VREFと内部基準電圧VMONは等しく、共に1.2Vであるとする。また、制御信号ACTがLレベルであり、内部回路30がスリープ状態にある時、グランド電圧GND_REF、GND_RG、及びGND_Cは全て0Vであるとする。この時、内部電圧VDLは1.2Vであり、内部回路30における実効的な動作電圧(=VDL−GND_C)も1.2Vである。
【0046】
時刻T1からT2までの期間、制御信号ACTはHレベルであり、内部回路30はアクティブ状態になる。この期間、グランド電圧GND_RG及びGND_Cが0.05Vに上昇するとする。但し、グランド電圧GND_REFは0Vのままであり、基準電圧VREF及び内部基準電圧VMONは1.2Vのままであるとする。この場合、上記式(1)によれば、内部電圧VDLは1.25Vとなる。また、内部回路30における実効的な動作電圧(=VDL−GND_C)は、1.2V(=1.25−0.05)となる。すなわち、本実施の形態では、内部電圧VDLの低下が防止されると共に、内部回路30における実効的な動作電圧の変動が抑制される。
【0047】
3−4.第4の実施の形態
図14は、第4の実施の形態を示している。第1の実施の形態と重複する説明は適宜省略される。
【0048】
図14に示されるように、第2抵抗部22は、抵抗素子22A、22B、22C、NMOSトランジスタMN22A、及びMN22Bを含んでいる。抵抗素子22Aは、中間ノードNAとノードNBとの間に接続されている。抵抗素子22Bは、ノードNBとノードNCとの間に接続されている。抵抗素子22Cは、ノードNCとグランド端子TGとの間に接続されている。NMOSトランジスタMN22Aのソース及びドレインは、グランド端子TG及びノードNBにそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMN22Bのソース及びドレインは、グランド端子TG及びノードNCにそれぞれ接続されている。
【0049】
本実施の形態では、NMOSトランジスタMN22A及びMN22Bが、上述のスイッチ部24に相当する。NMOSトランジスタMN22Aのゲートには、第1制御信号ACT_Aが供給される。NMOSトランジスタMN22Bのゲートには、第2制御信号ACT_Bが供給される。第1制御信号ACT_A及び第2制御信号ACT_Bは、制御信号ACTに依存しており、制御回路40によって生成される。
【0050】
制御信号ACTがLレベルの場合、第1制御信号ACT_A及び第2制御信号ACT_Bは共にLレベルである。この場合、NMOSトランジスタMN22A及びMN22BはOFFし、第2抵抗部22の抵抗値R2は、第1の抵抗値に設定される。比率αは、第1の比率α1である。
【0051】
制御信号ACTがHレベルの場合、第1制御信号ACT_A及び第2制御信号ACT_Bのうち少なくとも一方がHレベルになる。この場合、NMOSトランジスタMN22A及びMN22Bのうち少なくとも一方がONする。その結果、第2抵抗部22の抵抗値R2は、上記第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値に設定される。また、比率αは、第1の比率α1より大きい第2の比率α2となる。
【0052】
ここで、第1制御信号ACT_Aと第2制御信号ACT_Bの組み合わせによって、第2の比率α2として複数のパターンが可能であることに留意されたい。第1制御信号ACT_A及び第2制御信号ACT_Bに応じて、第2の比率α2は、複数のパターンのうちいずれか1つに設定される。すなわち、第2の比率α2は多段階に調整可能である。これにより、内部電圧VDLをより柔軟に制御することが可能となる。例えば、制御回路40は、内部回路30の動作時の消費電流を検出し、その消費電流が大きくなるにつれて第2の比率α2がより大きくなるように、第1制御信号ACT_A及び第2制御信号ACT_Bのレベルを設定する。
【0053】
3−5.第5の実施の形態
図15に示されるように、複数の内部回路30_1、30_2のそれぞれに対して複数の内部電圧生成回路20_1、20_2が設けられてもよい。内部電圧生成回路20_1、20_2、内部回路30_1、30_2に供給されるグランド電圧は、それぞれ、GND_RG1、GND_RG2、GND_C1、GND_C2で表されている。内部電圧生成回路20_1は、内部電圧VDL1を生成し、その内部電圧VDL1を内部回路30_1に供給する。内部電圧生成回路20_2は、内部電圧VDL2を生成し、その内部電圧VDL2を内部回路30_2に供給する。
【0054】
図16は、本実施の形態に係る半導体装置1の動作を示すタイミングチャートである。内部回路30_1が動作する時、制御信号ACT1が活性化される。内部電圧生成回路20_1は、その制御信号ACT1に応じて、既出の実施の形態と同様に動作する。その結果、グランド電圧GND_RG1の変動による影響が抑制される。内部回路30_2が動作する時、制御信号ACT2が活性化される。内部電圧生成回路20_2は、その制御信号ACT2に応じて、既出の実施の形態と同様に動作する。その結果、グランド電圧GND_RG2の変動による影響が抑制される。
【0055】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0056】
1 半導体装置
2 外部電源端子
3 外部グランド端子
5 グランド配線
10 基準電圧発生回路
20 内部電圧生成回路
21 第1抵抗部
22 第2抵抗部
23 差動回路部
24 スイッチ部
30 内部回路
40 制御回路
ACT 制御信号
VDD 電源電圧
VDL 内部電圧
VREF 基準電圧
VMON 内部基準電圧
GND グランド電圧
OUT 出力端子
TG グランド端子
NA 中間ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、
前記内部電圧に基づいて動作する内部回路と
を備え、
前記内部電圧生成回路及び前記内部回路は、グランド配線を介してグランドに接続され、
前記内部電圧生成回路は、
前記内部電圧が出力される出力端子と、
前記グランド配線に接続されるグランド端子と、
電圧が基準電圧に応じた値に制御される中間ノードと、
前記出力端子と前記中間ノードとの間に接続された第1抵抗部と、
前記中間ノードと前記グランド端子との間に接続された第2抵抗部と、
前記第1抵抗部の抵抗値R1と前記第2抵抗部の抵抗値R2の比率R1/R2を切り換えるスイッチ部と
を備え、
前記スイッチ部は、前記内部回路が動作する時の前記比率を、前記内部回路が動作を停止している時の前記比率よりも大きくする
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記スイッチ部は、前記内部回路が動作する時に活性化される制御信号を受け取り、
前記制御信号が非活性化されている場合、前記スイッチ部は、前記比率を第1の比率に設定し、
前記制御信号が活性化された場合、前記スイッチ部は、前記比率を前記第1の比率よりも大きい第2の比率に設定する
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置であって、
前記制御信号を生成し、前記制御信号を前記内部回路及び前記内部電圧生成回路に供給する制御回路
を更に備え、
前記制御信号が活性化された場合、前記内部回路はアクティブ状態になり、
前記制御信号が非活性化された場合、前記内部回路はスリープ状態になる
半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置であって、
前記制御信号が非活性化された場合、前記スイッチ部は、前記第2抵抗部の抵抗値R2を第1の抵抗値に設定し、
前記制御信号が活性化された場合、前記スイッチ部は、前記第2抵抗部の抵抗値R2を前記第1の抵抗値より低い第2の抵抗値に設定する
半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記第2抵抗部は、前記中間ノードと前記グランド端子との間に並列に接続されたトランジスタ及び抵抗素子を含み、
前記トランジスタは、前記スイッチ部であり、
前記トランジスタのゲートには前記制御信号が供給され、
前記制御信号が非活性化された場合、前記トランジスタはOFFし、
前記制御信号が活性化された場合、前記トランジスタはONする
半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置であって、
前記第2抵抗部は、前記中間ノードと前記グランド端子との間に直列に接続されたトランジスタ及び抵抗素子を含み、
前記トランジスタは、前記スイッチ部であり、
前記トランジスタのゲートには前記制御信号が供給され、
前記制御信号が非活性化された場合、前記トランジスタはOFFし、
前記制御信号が活性化された場合、前記トランジスタはONする
半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記スイッチ部は、前記内部回路が動作する時の前記比率を、前記内部回路が動作を停止している時の前記比率よりも大きい複数のパターンのうち1つに設定する
半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置であって、
前記内部電圧生成回路は、前記中間ノードに接続された差動回路部を更に備え、
前記差動回路部は、前記基準電圧を受け取り、前記中間ノードの電圧を前記基準電圧に応じた値に制御する
半導体装置。
【請求項9】
半導体装置の制御方法であって、
前記半導体装置は、
内部電圧を生成する内部電圧生成回路と、
前記内部電圧に基づいて動作する内部回路と
を備え、
前記内部電圧生成回路及び前記内部回路は、グランド配線を介してグランドに接続され、
前記内部電圧生成回路は、
前記内部電圧が出力される出力端子と、
前記グランド配線に接続されるグランド端子と、
電圧が基準電圧に応じた値に制御される中間ノードと、
前記出力端子と前記中間ノードとの間に接続された第1抵抗部と、
前記中間ノードと前記グランド端子との間に接続された第2抵抗部と
を備え、
前記制御方法は、
前記内部回路の動作状態を切り換えるステップと、
前記動作状態に応じて、前記第1抵抗部の抵抗値R1と前記第2抵抗部の抵抗値R2の比率R1/R2を切り換えるステップと
を含み、
前記内部回路が動作している時の前記比率は、前記内部回路が動作を停止している時の前記比率よりも大きい
半導体装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−141759(P2011−141759A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2201(P2010−2201)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】