説明

半導体装置用構造およびその製造方法

半導体装置用のダマシン配線(1)の製造方法を示す。非導電性バリヤ層(10)が、多孔質低誘電率材料によって定義されるパッセージ(7)の壁の上と、パッセージ(7)の一端を閉じる銅領域(3)の表面の上とに形成される。非導電性バリヤ層(10)は、誘電性材料の貫通細孔からなるその下層部(10a)が非導電性を残している間に、その上層部(10b)を導電層に変換するためにプラズマ処理される。ついで、パッセージ(7)は、今度は導電性になっているバリヤ(10)の上層部(10b)を介して第1銅領域(3)と電気配線を形成する第2銅領域(13)で満たされる。当業者にとって明らかなように、本文献において開示、請求される本発明のすべての実施形態は、本発明の範囲を超えることなしに結合されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用の構造、特に、しかしながらこれに限定されるものではないが、半導体装置用の配線構造および構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能な集積回路(IC)におけるトランジスターの密度は、確実に増加している。多数の能動部品を集積することは、このようなICが複数層の高密度金属配線を特徴とすることを余儀なくされている。
【0003】
近年、半導体産業は、金属線間において二酸化珪素誘電体を伴うアルミニウム配線の使用から、銅と低比誘電率(low-k)材料の使用に切り替えている。
【0004】
低比誘電率(low-k)が、金属線間の寄生静電容量を低減するのに対して、銅は金属配線の抵抗を低減する。これらの新材料は、先進的で高性能なICで必要とされる複数レベルで高密度の金属配線を造るのに使われてきたデュアル・ダマシンと呼ばれる製造プロセスが必要とされていた。
【0005】
65nmプロセスおよびそれより先の世代の装置にとって、従来の物理的蒸着(PVD)を使用してCu配線に均一なバリヤを堆積することは、サブ100nmバイアスおよびトレンチにおいて問題があるものとなった。非等角PVDによるバリヤ堆積は、バイアスおよびトレンチの頂点で望まれないオーバーハングを形成する。バイアスの直径が減少するにつれて、オーバーハングの大きさは増加するであろう。
【0006】
バリヤが非等角に被覆することによって発生する可能性のある他の問題は、1)Cuを電気めっきする際にボイドが発生すること、2)Cuが誘電体中に迅速に拡散することを可能にする側壁のバリヤの厚さが制限されること、である。さらに進んだスケーリングは、最終的に、側壁に面した不連続なフィルムとなり、誘電体内部で容易に銅が浸透する経路と能動領域中へのCu拡散とを生み出す。
【0007】
従って、バイアスとトレンチに完全にCuを充填するため、等角で連続的な薄いバリヤフィルムが必要とされている。非常に等角であるバリヤを堆積するのに好適な技術の一つとして知られているものに、原子層堆積(ALD)がある。ALD技術は、非常に高いアスペクト比のトレンチとバイアスにおいて、優れたステップ被覆を示す。さらに、高品質の導電フィルムが、低欠陥密度、良好な厚さ均一性、正確な厚さ制御により、低温で堆積され得る。従って、ALDは、将来のIC世代のための、薄く、等角な拡散バリヤあるいは核生成層を生成するのに、理想的な方法となる可能性がある。
【0008】
しかしながら、ALD技術が、多孔質超低誘電率(low-k)(ULK)材に適用されるとき、別の問題が生じる。例えば、ALD堆積中におけるULK誘電体中への反応物質の拡散が、主な懸念事項である。ALDプロセスは、拡散が発生すれば内面のすべてを被覆することができる。拡散を防止するための二つの取り組みが文献で提案されている。第1の取り組みでは、気孔をふさぐために大変薄いPECVDライナー(SiC)が用いられることが提案されている。第2の取り組みでは、プラズマ処理(側壁を再構築すること)によって気孔がふさがれることが提案されている。
【0009】
第1の取り組みに伴って、すべての気孔(>10nm)をふさぐために比較的厚いSiC層が必要とされる。その代わり、このことは、スタック全体のk値を増加させ、線幅が減少することにより線抵抗を増加させる。
【0010】
第2の取り組みは、反応物質の拡散が阻止されるような方法で適切なプラズマ処理することによって側壁を高密度化するプロセスを基礎としている。大きいポロシティや気孔の直径が大きい材料に対して、再構築/再堆積されるのに必要な材料の量は、表面をふさぐのに十分ではない。別の問題としては、プラズマ処理によってk値が増加することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、好適な処理、例えばプラズマ処理によって後で金属バリヤに変換させ得る誘電性バリヤの堆積を基礎とする新しい取り組みがここに示されるのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、半導体装置の構造を製造する方法、すなわち、第1材料の上に非導電性バリヤ層を形成する工程と、非導電性バリヤ層を、その下層部が上層部の下に存在し非導電性のままである間に、導電性層に変換するための処理をする工程とからなる方法が提供される。
【0013】
本発明によれば、半導体装置の構造、すなわち、第1材料上に形成されたバリヤ層であって、バリヤ層が絶縁材料からなる下部領域と、下部領域を下にして存在する上部領域とからなり、絶縁材料を起源とする導電性材料からなる構造も提供される。
【0014】
好適な実施形態において、その構造は半導体装置用のダマシン配線である。非導電性拡散バリヤは、多孔質低誘電率材料によって定義されるパッセージの壁の上や、パッセージの一端を封じる銅領域の表面の上に形成される。非導電性バリヤ層は、その下層部が誘電材料の気孔に浸透し密閉する材料からなり非導電性のままである間に、その上層部を導電性層に変換するためにプラズマ処理される。ついで、パッセージは第2銅領域で充填され、すでに導電性になっているバリヤの導電性の上層部を経由して第1銅領域とともに電気配線を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態は、以下の図面を参照してさらに説明されるが、あくまでも例として示されるものである。
【0016】
以下の図面のうち図1を参照すると、形成されたダマシン構造1の一部が示されている。構造1は、例えば銅の第1金属層3に近接する超低誘電率材料で形成された第1誘電性層2からなる。例えば導電性のTaNで形成された薄いバリヤ層4は、誘電性層2と第1金属層3とを分離している。
【0017】
例えばSiCNから形成されたエッチストップ層5は、第1誘電性層2を覆い、部分的に第1金属層3を覆う。
【0018】
超低誘電率材料からなる第2誘電性層6は、エッチストップ層5の上に形成される。第2誘電性層6は、開口端7aおよび第1金属層3によって閉口される閉口端7bを有するパッセージ7を含む。パッセージの壁7cは、第1パッセージ部若しくは開口端7aを有するトレンチ7dと、第2パッセージ部若しくは閉口端を有するビア7e若しくはビア底7bを定義する。第1パッセージ部7dは、第2パッセージ部7eよりも幅が広い。
【0019】
USGハードマスク層8は、第2誘電性層6の上側表面に形成される。錫ハードマスク層9は、USGハードマスク層8の上に形成される。
【0020】
構造1は、公知の標準的な技術で製造される。簡潔にいうと、低誘電率層は中間および最上のハードマスクと共にあるいはそれらなしで堆積される。レジストが塗られリソグラフィ露光される。レジストはパターン化され、ハードマスクはエッチングされ、そしてレジストは除去される。ついで多孔質低誘電率材料と層5は、パッセージウェイ7を形成するためにエッチングされる。
【0021】
本発明のこの実施形態において、多孔質第2誘電性層6の中での金属拡散の問題は、パッセージ7の壁に面したバリヤ層を形成するときに防止することができるのは好都合である。この目的のため、今度は図面のうち図2および3を参照すると、パッセージ7の壁の上、金属層3の露出した表面の上およびその層の表面の上に、導電性境界層11(図3参照)を形成するために、まず、非導電性材料の層10(図2参照)がこれらの領域の上に堆積される。非導電性層10を構成する材料を選択することにより、その堆積に続き、第2誘電性層6の気孔に浸透した非導電性層10からの材料10(図2参照)を構成する下部10aが誘電性である間に、好適な処理プロセスによって層10の外側部10bを導電性バリヤ11に変換することができる。
【0022】
好適な実施形態において、非導電性層10は、例えばALDまたは化学的蒸着法(CVD)を使用して化学的に窒化タンタルを堆積させることによって形成した誘電性Taからなる。
【0023】
Ta非導電層9にArイオンを衝突させて誘電性Taを金属性TaNに変換して導電性バリヤ層11を形成するためにソフトアルゴンプラズマ処理(条件例:交流バイアス300W、120秒)が用いられる。この処理は、プラズマ内における反応性に富む部分の浸透深さが限られている(一般的に5nm以下)ため、第2誘電性層6の気孔に浸透したTaを変化させない。
【0024】
導電性バリヤ層11の形成に続き、ダマシン構造1が形成された部分は次のように仕上げられる。まず、図4に示すように、好ましくは銅である金属シード層12が、導電性層11の上に堆積される。シード層12は、公知の方法、例えばPVD、CVDまたはALDを用いて堆積されると良い。
【0025】
ついで、図5で示されるように、パッセージ7は、電気化学めっきを用いて、好適には銅からなる第2金属層13で完全に充填される。
【0026】
次に、図6で示されるように、完全な構造を形成するため、上部層は化学機械研磨(CMP)を用いて取り除かれる。
【0027】
好適な実施形態において、非導電性層10は、誘電性Taからなり、ALDを用いて窒化タンタルを堆積することによって形成される。このプロセスは、今回、より詳細に議論される。
【0028】
ALDは、不活性ガスで成り立っているパージパルスにより相互に分離された2以上の前駆体の交流パルスを基本とするものである。表面への反応性吸着によって、モノレイヤー/モノレイヤー様式で成長が起こる。各パルスの間、成長は活性領域の完全な占有によって自己制限される。結果としては次の2つがある。1)大変均一で等角な成長挙動が達成される。2)モノレイヤー/モノレイヤー成長挙動は、サイクル量の設定だけで総堆積厚さの全制御を可能にする。
【0029】
第3の前駆体線を導入することにより、3層または多重層が容易に堆積され得る。反応室に反応性の高くない物質が同時に導入されるCVD方法とは反対に、大変反応性の高い前駆体の使用により低温での堆積が既に行われている。従って、さらなる利点は、1)低い応力をもたらす低い熱的負荷、2)個々のパルスシーケンスに反応生成物が表面から完全に除去されることにより得られる低い不純物汚染レベル、である。
【0030】
好適な実施形態において、Taの堆積は、前駆体としてペンタジメチルアミノタンタル(PDMAT)とアンモニア(NH)を用い、堆積温度:250〜275℃で行われる。ALD技術は、CVDプロセスで用いられる反応ガスがウエハー表面と反応すると同時に生成されるという原理を基本としている。堆積の手順は次のとおりである。堆積を行う好適な装置は、特許文献:WO02/063677号明細書に開示されている。
【0031】
第1段階として、反応物質のうちの1つが反応室に導入される。この前駆体は、基板原子と化学的結合が発生するように表面と反応する。新材料の唯一のモノレイヤーが表面上で成長するように、すなわち、追加の前駆体材料の凝縮や分解が選択した条件で発生しないように、温度や圧力などに関する条件が選択される。前駆体の流れは、化学吸着されたモノレイヤーが表面、そしてビア深部、隅部周辺の至るところに存在するように、十分に長い時間維持される。化学吸着されたモノレイヤーは、使用された特定の前駆体の特徴として、新たな表面終端をもたらす。例えば、二酸化珪素の表面終端はSi−OH族からなる。この表面がPDMAT蒸気にさらされたとき、Si−O−Ta(N−(CH))ボンドが形成されジメチルアミン族を放出するであろう。
【0032】
第2段階として、第1段階で使用されたすべての気体前駆体分子(すなわちPDMAT)を除去する不活性パージガスが導入される。例えばNまたはArのパージガスは、1種類目の前駆体の完全除去が確実に行われるまで十分に長く流し続けられる。第1段階で成長したモノレイヤーは化学的に吸着されるため、パージガスはこの層を取り除かないであろう。
【0033】
第3段階として、第2前駆体が導入される。前駆体の種類(この例ではNH)は、選択された種類の前駆体が第1段階で成長させたモノレイヤーと反応し追加の層を形成するように、選択される。ALD TaNの例では、現在の表面が−O−Ta−NH終端を有する間に、TaNが気体アミン(CH)−NHの生成をもたらす。Si−O−Ta(N−(CH))表面領域上のすべての有効な−(N−(CH))配位子が−Ta−NH族に置き換えられるまで、再び反応が進む。また、この段階において、すべての表面領域が確実に反応を終了するように反応性ガスが流され続ける。そして同時に、条件は凝縮が発生しないようなものである。
【0034】
第4段階は、不活性ガスを用いてもう1回パージし、第3段階から残留しているすべての過剰なガスを取り除くものである。
【0035】
第5段階として、第1前駆体が再び導入される(すなわちPDMAT)。この前駆体は、第3段階で化学吸着された分子、すなわち−Ta−NH族と反応する。これは、気体アミンの形成とN−Ta(N−(CH))で終端化された表面をもたらす。
【0036】
堆積プロセスの繰り返しにおいて、所望の厚さを有するTaフィルムが実現されるまで、4つの段階それぞれが繰返される。要約すると、基本原理は(主に)二つである。第1に、反応室内に存在するすべての基板の至るところでモノレイヤーが均一に成長することを保証するために十分な時間、それぞれの前駆体は接触状態におかれる。第2に、化学反応に関与する気体反応物は、決して同時に反応室内に存在することはない。
【0037】
窒化チタンは、銅金属間化合物の生成を示さない耐熱材料として知られており、拡散バリヤの観点から好ましい材料選択とされる。気相から窒化チタンを堆積することで、非導電性Ta相が常に得られる。誘電性相の形成は、Ta前駆体の選択(有機金属またはハロゲン化合物)とは独立している。化学的手法で、前駆体分子中のTa5+酸化状態をTa3+酸化状態に減少させることは大変難しい。アンモニア(NH)がもつ還元力は非常に小さい。しかしながら、単独のTa相は、ソフトアルゴンプラズマによって導電性TaN相に変換され得る。低抵抗接続を上述した金属レベルにしなければならないとき、このことは重要である。
【0038】
Taフィルム状合成物上でのアルゴンプラズマの効果は、蛍光X線を用いて調査されている。Ta/N比は、ACバイアス300Wのアルゴンプラズマを120秒施すことによって、1.6から1.1に減少されている。バリヤフィルムの電気抵抗は、ビアチェーンにおけるパラメトリカルテストの結果によって証明されたように著しく低下した。
【0039】
Taバリヤの使用には、他の利点もある。第1に、ALD Taフィルムは、他の材料(例えば、PVD Ta/TaNまたはALD TiN)がPVDまたはALDによって成長している間に通常観察される柱状晶の上にあることが好ましいナノ結晶体/アモルファスである。第2に、フィルムは、銅に対して著しく拡散バリヤの特性を改善する窒素を多く含むものである。
【0040】
PDMATのような金属有機前駆体からのALD Ta堆積は、ALD TiNまたはALD WNCプロセスで一般的に使用されているハロゲン化物よりもずっと魅力的である。ULK誘電体の気孔の寸法が大き過ぎなければ、バルク状の金属有機配位子は、低誘電率材料への大規模な拡散を防止するのを助ける。さらに、ハロゲン化物の使用は、集積化において深刻な問題を招くことが知られている。WFの単独使用は、SiO(例えば、ハードマスク)をエッチングする可能性があるため、SiO表面種類との組み合わさることにより、問題があることが知られている。また、Cu表面上でTiNを成長させるときには、揮発性のCu反応生成物が生成することは起こらない。一例として、塩素の使用は、ALD TiNプロセスの生成物としてCu混入の深刻な問題の原因となる。
【0041】
気孔をふさぐために用いられるライナーの厚さは、少なくとも気孔の開口径の半分であることが好ましい。開口部の首の部分が分子の大きさのように小さくなったとき、ULKへの前駆体の浸透は停止する。現在のULK材料に関して、4nmよりも小さい最大気孔寸法で、気孔寸法の分布の最大値が約2nmである。従って、2nmのALDバリヤフィルムの堆積は気孔をふさぐのに十分であろう。
【0042】
この取り組みの欠点の一つは、前駆体の拡散が多孔質誘電体の中へ起こる可能性があることである。ULK内部での材料の大規模な堆積は、もしそうでなければULKの誘電率が損なわれるので、回避されるべきである。ALDおよびCVDによるライナー堆積の場合、気孔径よりも大きい寸法を有する分厚い金属有機前駆体が用いられるならば、拡散は最小限にされ得る。同様に、化学吸着が内部で発生しないような方法で、ULKの内側と外側の表面の反応性が機能し、調整されるべきである。Si−HまたはSi−CHボンド上では化学吸着は起こらないであろうことから、低誘電率材料は、できるだけ多くのSi−HまたはSi−CHボンドを含み、不可避的なSi−OHボンドをほとんど含まないようにすべきである。
【0043】
これによって、ULK中への拡散を防止できないが、ULK内部における大規模な拡散は防止できるであろう。
【0044】
図7は、高密度のCVD SiOCフィルムの上に施したサイクル数の作用としてタンタルの総堆積量を示したものである。ボンディング表面状態の実際の数によって、成長の初期段階期間中、単位サイクルあたりの成長に大きな相違がみられる。多孔質低誘電率材料(例えば、JSR 5109(大きな気孔寸法を有するスピンオンSiOC材))上のTa堆積の場合、表面積の増加により高密度CVD SiOC材上の堆積の場合よりも4倍多い材料が堆積されている。しかしながら、表面のプラズマ前処理が施されていないと、高密度SiOCの表面に堆積させたTa量は10〜20倍少ない。
【0045】
高密度表面と比較して有効表面積は1000倍よりも遥かに大きいが、ULK内部に堆積された材料の量は限られたままである。これは、構造体内における比較的少数のSi−OH族のためである。この例において、JSRスピンオンULKは、気孔の平均寸法が3.4nmで相互に結合された気孔構造を有している。表面が密閉されると、ULKフィルム上の単位サイクルあたりの成長は、高密度フィルム上の単位サイクルあたりの成長と等しくなる。図7は、50サイクル後では、成長曲線の傾きがまだ等しくなっていないことから(すなわち、材料の一部が内部にまだ堆積されている)、表面がまだ密閉されていないことを示している。
【0046】
多孔質誘電体の外側表面近傍の好ましいライナー堆積に関して、外側表面は、内側表面よりも反応性を高くすべきである。このことは、例えば、ALD堆積の前に適切なプラズマ処理を行うことによって達成され得るものである。(Si−OHボンドの形成による)表面の反応性の増加は、分子を貼り付け、そして迅速に結合させるであろう。その結果、このことは、表面近傍の優先的な堆積につながるのである。また、反応性の高い族がより高密度になり、成長中のフィルムの早期密閉につながることにより、核生成挙動が改善するであろう。反応性の高い表面族の初期密度が小さいと、島のような様式の成長挙動が起こるであろう。島が相互に接触する前に多くのサイクル数を費やすであろう。アルゴンまたは水素プラズマの適用は、初期吸着領域の数を拡大し得る。
【0047】
非導電性拡散バリヤの使用の利点は三つである。第1に、材料の堆積が低誘電率材料の内部で発生し、それにより漏れ電流に関する問題が避けられるならば、金属間誘電体の絶縁特性は影響を受けない。第2に、低銅抵抗につながる最小限の空間消費により、トレンチにおける銅の量が最大化される。例えば、誘電体ライナーとPVDによる銅拡散バリヤは、45nm格子に対して、有効銅線幅を10〜20%低減するであろう。変換可能なライナーの要件は、気孔の密閉に必要な厚さだけであり、一般的に2〜5nmである。10〜20%の線幅増加はCu抵抗を約50%低減するため、100nm以下の線幅では、バリヤ厚の低減は重要なパラメータとなる。第3に、導電性材料に変換され得るバリヤは、低抵抗ビアおよびビアチェーンの製造のために後で除去することが可能な誘電性バリヤの上にあることが好ましい。従来の誘電性ライナー堆積(例えば、SiC)では、ビア底を開口し誘電性ライナーを取り除くために、エッチング工程が施されなければならない。このエッチング工程は、集積化におけるこの段階で必然的にマスクレスとなる。従って、ビア底が完全に開口されていなければならない(可能であればごく小さいプロセスウィンドウだけある)と、その領域上でのライナーの完全なエッチングを避けることは困難である。エッチングが良く制御されていない場合、ライナーとビアの大きさは劇的に悪化し、低歩留、低電気的特性を招く。
【0048】
このように、好適な実施形態への言及によって本発明は説明されているが、議論されている実施形態は具体例に過ぎず、従属請求項やそれによる均等で示される発明の精神および範囲を逸脱することなく、適正な知識と技量を有する者が行う修正や変更を施すことは可能であると解されるべきである。請求項において、かっこ内に示されるいかなる引用符号も請求項を限定するものと解されるべきではない。「からなる」および「からなり」などの語句は、すべての請求項あるいは明細書全体で挙げられているもの以外の構成やステップの存在を排除するものではない。構成の単数形での言及は、このような構成の複数形での言及を排除するものではない。
【0049】
請求および開示された実施形態は、本発明の範囲を外れることなしに結合されても良いことは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、半導体装置用構造の模式図である。
【図2】図2は、半導体装置用構造の模式図である。
【図3】図3は、半導体装置用構造の模式図である。
【図4】図4は、半導体装置用構造の模式図である。
【図5】図5は、半導体装置用構造の模式図である。
【図6】図6は、半導体装置用構造の模式図である。
【図7】図7は、堆積プロセスにおける堆積サイクルの機能として堆積されたTaの量を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置用の構造を製造する方法であって、
第1材料の上に非導電性バリヤ層を形成する工程と、
非導電性バリヤ層を、その下層部が上層部の下に存在し非導電性を残存している間に、その上層部を導電性に変換するために処理する工程と
からなる方法。
【請求項2】
第1材料が多孔質材料である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非導電性バリヤ層からの材料が、多孔質材料の気孔に浸透し、バリヤ層の上層部が導電性層に変換されるときに非導電性を残存している下層部を定義する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1材料が誘電体である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1材料が超低誘電率材料である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
非導電性バリヤ層がTaからなる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
導電性層に変換された上層部がTaNからなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
非導電性バリヤ層がALDおよび/またはCVDを用いて堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上層部がプラズマ処理によって導電性層に変換される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上層部がArイオンの衝突によって導電性層に変換される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第2材料が導電性上層部の上に堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第2材料が金属性である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2材料が銅である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1材料がパッセージを定義する誘電体であり、非導電性層がパッセージの壁に面して形成されている方法であって、
上記方法が、さらに、
パッセージの一端を閉口する第1金属領域上に非導電性層を形成する工程と、
上層部を導電性層に変換した後、第1および第2金属領域が導電性層を介して電気的接触を有するように第2金属領域をパッセージ中に形成する工程と
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
誘電性第1材料が多孔質であり、非導電性バリヤ層からの材料が、多孔質材料の気孔に浸透し、バリヤ層の上層部が導電層に変換されるとき非導電性を残存している請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1材料の上に形成されたバリヤ層であって、バリヤ層が絶縁材料からなる下部領域と下部領域を下にして存在する上部領域とからなり、絶縁材料を起源とする導電性材料からなる半導体装置用の構造。
【請求項17】
第1材料が多孔質材料であり、下部領域が多孔質材料の気孔に浸透するバリヤ層からの物質からなる請求項16に記載の構造。
【請求項18】
第1材料が誘電体である請求項17に記載の構造。
【請求項19】
非導電性領域がTaからなる請求項16に記載の構造。
【請求項20】
導電領性域がTaNからなる請求項16に記載の構造。
【請求項21】
第1材料が超低誘電率材料である請求項16に記載の構造。
【請求項22】
第2材料が上部領域の上に堆積される請求項16に記載の構造。
【請求項23】
第2材料が金属性である請求項22に記載の構造。
【請求項24】
第2材料が銅である請求項23に記載の構造。
【請求項25】
第1材料がパッセージを定義する誘電体であり、バリヤがパッセージの壁に面して形成される構造であって、
上記構造が、さらに、
パッセージの一端を閉口する第1金属領域の上に形成される絶縁材料を起源とする導電性材料層と、
パッセージ中に形成された第2金属領域と
からなり、第1および第2金属領域が導電性材料の層を介して電気的接触を有する請求項16に記載の構造。
【請求項26】
誘電性第1材料が多孔質であり、下部領域が多孔質材料の気孔に浸透した絶縁材料からなる請求項25に記載の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−509322(P2009−509322A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530688(P2008−530688)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053184
【国際公開番号】WO2007/031922
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】