説明

半導体装置

【課題】 求められる特性が異なる複数のキャパシタを同一基板上に混載するには、さらなる工夫が必要とされる。
【解決手段】 下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含む下層キャパシタが、半導体基板の上に配置されている。第1の層間絶縁膜が、第1のキャパシタを覆う。複数の上層キャパシタが、第1の層間絶縁膜の上に配置されている。上層キャパシタは、下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含み、平面視において、下層キャパシタに重なる。半導体基板の上に、上層キャパシタに対応して複数のトランジスタ配置されている。トランジスタは、上層キャパシタとともにメモリセルを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用途の異なる複数のキャパシタを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMや強誘電体メモリ等の半導体メモリに、情報を電荷として蓄積するキャパシタ(セルキャパシタ)が用いられる。セルキャパシタを上下に重ねて配置することにより、蓄積電荷量の増加を図る試みや、メモリセル部の面積を小さくする試みがなされている(特許文献1、2)。
【0003】
半導体メモリが、ロジック回路混載の半導体素子や非接触ICカード等に搭載される場合、セルキャパシタとは用途の異なる平滑キャパシタ等が、同一基板上に配置される。酸化シリコン等を誘電体膜に用いたキャパシタと、強誘電体キャパシタとを上下に重ねることにより、占有面積の低減及びノイズ伝搬の低減を図った半導体素子が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−93030号公報
【特許文献2】特開平10−242410号公報
【特許文献3】特開2003−60054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強誘電体メモリのセルキャパシタには、低電圧動作を行うために、抗電界を下げて、低電圧での残留分極を大きくすることが望まれる。このために、強誘電体膜を薄膜化することが好ましい。DRAMのセルキャパシタには、占有面積を大きくすることなく、静電容量を大きくするために、誘電体膜の薄膜化が望まれる。ところが、平滑キャパシタの誘電体膜を薄くすると、耐圧が低下し、絶縁膜の経時破壊(TDDB)特性が悪くなる。平滑キャパシタには、大容量のみならず、高い耐圧特性が求められる。
【0006】
このように、求められる特性が異なる複数のキャパシタを同一基板上に混載するには、さらなる工夫が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によると、
半導体基板の上に配置され、下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含む下層キャパシタと、
前記第1のキャパシタを覆う第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜の上に配置され、下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含み、平面視において、前記下層キャパシタに重なる複数の上層キャパシタと、
前記半導体基板の上に、前記上層キャパシタに対応して配置され、前記上層キャパシタとともにメモリセルを構成する複数のトランジスタと
を有する半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
下層キャパシタと上層キャパシタとが、相互に異なる層に配置され、両者が相互に重なるため、キャパシタが占有する面積の増加を抑制することができる。2種類のキャパシタのプロセス条件を、キャパシタに求められる特性を得るために最適化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例による半導体装置の断面図である。
【図2】(2A)及び(2B)は、それぞれ実施例による半導体装置が適用される電源回路の等価回路図及びメモリ回路の等価回路図である。
【図3】実施例による半導体装置の平面図である。
【図4−1】(4A)及び(4B)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その1)である。
【図4−2】(4C)及び(4D)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その2)である。
【図4−3】(4E)及び(4F)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その3)である。
【図4−4】(4G)及び(4H)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その4)である。
【図4−5】(4I)及び(4J)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−6】(4K)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−7】(4L)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−8】(4M)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−9】(4N)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−10】(4O)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−11】(4P)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【図4−12】(4Q)は、実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、実施例による半導体装置の断面図を示す。p型シリコンからなる半導体基板10の表層部に、素子分離絶縁膜11が形成されている。素子分離絶縁膜11により活性領域が画定される。活性領域内に、nチャネルMOSトランジスタ13が形成されている。図1では、1つの活性領域内に2つのMOSトランジスタ13が配置されている。MOSトランジスタ13の各々は、ゲート電極13G、ゲート絶縁膜、ソース及びドレインとなる一対の拡散領域13Dを含む。一方のMOSトランジスタ13の一方の拡散領域13Dが、他方のMOSトランジスタ13の一方の拡散領域13Dを兼ねている。
【0011】
ゲート電極13G及び拡散領域13Dの上面に、金属シリサイド膜14が形成されている。半導体基板10及びMOSトランジスタ13の上に、層間絶縁膜20が形成されている。層間絶縁膜20の上面は平坦化されている。層間絶縁膜20内に、その上面から下面まで達する導電プラグ22が埋め込まれている。導電プラグ22は、金属シリサイド膜14を介して、MOSトランジスタ13の拡散領域13Dに接続されている。
【0012】
層間絶縁膜20及び導電プラグ22の上に、酸化防止膜25が形成されている。酸化防止膜25は、SiON膜と酸化シリコン膜との2層を含む。酸化防止膜25の一部の領域上に、複数の下層キャパシタ35が配置されている。下層キャパシタ35は、下部電極31Pと上部電極33P、及び両者の間に配置された強誘電体膜32Pを含む。強誘電体膜32Pが上部電極33Pよりも外側に張り出し、下部電極31Pが強誘電体膜32Pよりも外側に張り出している。下部電極31Pと酸化防止膜25との間に、結晶性改善膜30Pが挿入されている。
【0013】
下層キャパシタ35及び酸化防止膜25の表面を、保護膜37が覆っている。保護膜37の上に、層間絶縁膜38が形成されている。層間絶縁膜38の上面は平坦化されている。導電プラグ41が、層間絶縁膜38の上面から、その下の導電プラグ22の上面まで達する。他の導電プラグ41が、層間絶縁膜38の上面から上部電極33Pまで達する。さらに他の導電プラグ41が、層間絶縁膜38の上面から、上部電極33Pの側方を通過して下部電極31Pまで達する。
【0014】
層間絶縁膜38及び導電プラグ41の上に、酸化防止膜43が形成されている。酸化防止膜43は、SiON膜と酸化シリコン膜との2層を含む。酸化防止膜43の一部の領域上に、複数の上層キャパシタ50が配置されている。上層キャパシタ50は、下部電極46Pと上部電極48P、及び両者の間に配置された強誘電体膜47Pを含む。強誘電体膜47Pが上部電極48Pよりも外側に張り出し、下部電極46Pが強誘電体膜47Pよりも外側に張り出している。下部電極46Pと酸化防止膜43との間に、結晶性改善膜45Pが挿入されている。
【0015】
上層キャパシタ50及び酸化防止膜43の表面を、保護膜52が覆う。保護膜52の上に、層間絶縁膜54が形成されている。層間絶縁膜54の上面は平坦化されている。層間絶縁膜54の上に、保護膜55が形成され、その上に層間絶縁膜56が形成されている。
【0016】
導電プラグ62が、層間絶縁膜56の上面から、その下の導電プラグ41の上面まで達する。他の導電プラグ62が、層間絶縁膜56の上面から上部電極48Pまで達する。さらに他の導電プラグ62が、層間絶縁膜56の上面から、上部電極48Pの側方を通過し、下部電極46Pまで達する。なお、下部電極46Pまで達する導電プラグ62は、図1の断面とは異なる位置に配置されるため、図1において破線で示されている。
【0017】
層間絶縁膜56及び導電プラグ62の上に、配線63が形成されている。配線63は、導電プラグ62に接続される。上層キャパシタ50の上部電極48Pは、1つの導電プラグ62、1つの配線63、他の導電プラグ62、その下の導電プラグ41、及びその下の導電プラグ22を介して、MOSトランジスタ13の1つの拡散領域13Dに接続されている。
【0018】
図2A及び図2Bに、それぞれ実施例による半導体装置が採用される非接触型ICカードの電源回路及びメモリ回路の等価回路図を示す。
【0019】
図2Aに示すように、アンテナ100に誘起された交流電流が、ダイオードブリッジ回路101により整流される。整流された電圧は、電源配線VDD及びグランド配線GNDに印加される。平滑キャパシタCsが電源配線VDDとグランド配線GNDとの間に挿入されている。この平滑キャパシタCsは、図1に示した下層キャパシタ35に相当する。
【0020】
図2Bに示すように、ワード線WLとビット線BLとの交差箇所に、メモリセルが配置されている。ワード線WLに平行に、プレート線PLが配置されている。メモリセルは、MOSトランジスタTrと、セルキャパシタCmとを含む。MOSトランジスタTrの一方の端子がビット線BLに接続され、他方の端子がセルキャパシタCmを介してプレート線PLに接続されている。MOSトランジスタTrのゲート電極は、ワード線WLに接続されている。
【0021】
セルキャパシタCmが、図1に示した上層キャパシタ50に相当し、MOSトランジスタTrが、図1に示したMOSトランジスタ13に相当する。ビット線BLにセンスアンプSAが接続されている。
【0022】
図3に、実施例による半導体装置の平面図を示す。一点鎖線1A−1Aにおける断面図が図1に相当する。
【0023】
下層キャパシタ35の上部電極パターン111が、図3の横方向に、相互に間隔を隔てて配列している。上部電極パターン111は、図1の下層キャパシタ35の上部電極33Pに相当する。相互に隣り合う上部電極パターン111の間に、縦方向に延在する2本のゲートパターン114が横に並んで配置されている。ゲートパターン114は、図1に示したMOSトランジスタ13のゲート電極13Gに相当する。ゲートパターン114の各々は、縦方向に配列した複数のMOSトランジスタ13で共有される。
【0024】
ゲートパターン114の各々の両側に、縦方向に配列した複数の導電プラグP1が配置されている。導電プラグP1は、MOSトランジスタ13の拡散領域13Dに接続される。
【0025】
下層キャパシタ35の下部電極パターン110が、上部電極パターン111を内包するように配置されている。下部電極パターン110は、図1に示した下層キャパシタ35の下部電極31Pに相当する。下部電極パターン110は、上部電極パターン111の各々に対応する上部電極対応部110Aと、横方向に並んだ2つの上部電極対応部110A同士を接続する接続部110Bとを含む。接続部110Bは、導電プラグP1と重ならない領域に配置されている。接続部110B内に、下部電極31Pに接続された導電プラグP2が配置されている。下部電極パターン110は、図2Bに示したプレート線PLの役割を担う。
【0026】
上部電極パターン111の内部に、各々が縦方向に延在する2つの下部電極パターン112が、横方向に間隔を隔てて配置されている。下部電極パターン112は、図1に示した上層キャパシタ50の下部電極46Pに相当する。図3では、下部電極パターン112が上部電極パターン111に完全に内包される例を示しているが、下部電極パターン112の一部が上部電極パターン111の外側に張り出していてもよい。上部電極パターン111の内部であって、かつ下部電極パターン112の外側に、上部電極33Pに接続された導電プラグP3が配置されている。
【0027】
下部電極パターン112内に、縦方向に配列した複数の上部電極パターン113が配置されている。上部電極パターン113は、図1に示した上層キャパシタ50の上部電極48Pに相当する。下部電極パターン112の内部であって、かつ上部電極パターン113と重ならない領域に、下部電極46Pに接続された導電プラグP4が配置されている。上部電極パターン113の内部に、上部電極48Pに接続された導電プラグP5が配置されている。
【0028】
下層キャパシタ35と上層キャパシタ50とが重なるように配置されているため、キャパシタが占有する領域を小さくすることができる。強誘電体メモリのセルキャパシタの上部電極に接続される導電プラグ及び下部電極に接続される導電プラグの両方を、セルキャパシタの上方に配置したいわゆるプレーナ型の強誘電体メモリにおいては、セルキャパシタの下方には、導電プラグが配置されない。このため、セルキャパシタの下方に、メモリセル以外の用途に用いられるキャパシタ、例えば平滑キャパシタ等を配置することが有効である。
【0029】
次に、図4A〜図4Qを参照して、実施例による半導体装置の製造方法について説明する。
【0030】
図4Aに示すように、p型シリコンからなる半導体基板10の表層部に、素子分離絶縁膜11を形成する。素子分離絶縁膜11の形成には、シャロートレンチアイソレーション(STI)法またはシリコン局所酸化(LOCOS)法を適用することができる。素子分離絶縁膜11により、活性領域が画定される。
【0031】
この活性領域内に、nチャネルMOSトランジスタ13を形成する。MOSトランジスタ13は、ゲート絶縁膜、ゲート電極13G、ソース及びドレインとなる拡散領域13Dを含む。なお、活性領域の表層部にp型ウェルを形成してもよい。p型ウェルは、例えばボロン(B)を、加速エネルギ300keV、ドーズ量3.0×1013cm−2の条件でイオン注入することにより形成される。
【0032】
MOSトランジスタ13のゲート絶縁膜は、例えば熱酸化により形成され、その厚さは例えば3.0nmである。ゲート電極13Gには、例えば多結晶シリコンが用いられ、その厚さは約180nmである。
【0033】
ソース及びドレインとなる拡散領域13Dのエクステンション部は、例えば砒素(As)を、加速エネルギ10keV、ドーズ量5.0×1014cm−2の条件でイオン注入することに形成される。拡散領域13Dの高濃度部は、例えばリン(P)を、加速エネルギ13keV、ドーズ量5.0×1014cm−2の条件でイオン注入することに形成される。
【0034】
ゲート電極13G、ソース及びドレインとなる拡散領域13Dの上面に、金属シリサイド膜14を形成する。金属シリサイド膜14には、例えばCoSi、NiSi等が用いられる。
【0035】
図4Bに示すように、半導体基板10の上に、MOSトランジスタ13を覆うように層間絶縁膜20を形成する。以下、層間絶縁膜20の形成方法について説明する。
【0036】
まず、厚さ20nmの酸化シリコン膜を、プラズマCVDにより形成する。その上に、厚さ80nmの窒化シリコン膜を、プラズマCVDにより形成する。さらにその上に、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いたプラズマCVDにより、厚さ1000nmの酸化シリコン膜を形成する。最後に、化学機械研磨(CMP)を施し、酸化シリコン膜の表面を平坦化する。このように、層間絶縁膜20は、基板側から順番に配置された酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、及び酸化シリコン膜の3層を含む。平坦化後の層間絶縁膜20の厚さは、半導体基板10の表面を基準として約700nmとする。
【0037】
図4Cに示すように、層間絶縁膜20に複数のビアホール21を形成する。ビアホール21は、MOSトランジスタ13の拡散領域13Dに対応する位置に配置される。ビアホール21の直径は、例えば0.25μmとする。ビアホール21内に、導電プラグ22を充填する。以下、導電プラグ22の形成方法について説明する。
【0038】
ビアホール22の内面を覆うように、厚さ30nmのTi膜及び厚さ20nmのTiN膜を、この順番に堆積させる。Ti膜及びTiN膜の堆積には、例えばスパッタリングが適用される。ビアホール22内が完全に充填されるように、タングステン(W)膜を堆積させる。W膜の堆積には、例えばCVDが適用される。層間絶縁膜20の上に堆積しているTi膜、TiN膜、及びW膜をCMPにより除去する。ビアホール21内には、Ti膜、TiN膜、及びW膜からなる導電プラグ22が残る。Ti膜とTiN膜とは、密着層及び拡散防止層として機能する。
【0039】
図4Dに示すように、層間絶縁膜20及び導電プラグ22の上に、2層構造の酸化防止膜25を形成する。酸化防止膜25は、厚さ100nmのSiON膜と、厚さ130nmの酸化シリコン膜との2層を含む。SiON膜の形成には、プラズマCVDが適用され、酸化シリコン膜の形成には、TEOSを用いたプラズマCVDが適用される。
【0040】
酸化防止膜25の上に、結晶性改善膜30、下部電極膜31、及び強誘電体膜32を、順番に形成する。結晶性改善膜30には、例えば厚さ20nmのアルミナ膜が用いられる。下部電極膜21には、たとえば厚さ150nmのPt膜を用いる。強誘電体膜32には、例えば厚さ200nmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜が用いられる。
【0041】
結晶性改善膜30、下部電極膜31、及び強誘電体膜32の形成には、例えばスパッタリングが適用される。成膜時の基板温度は、例えば20℃〜100℃とする。この条件で成膜すると、アモルファスのPZT膜が形成される。強誘電体膜32に、PZTに代えて、他の強誘電体材料、例えばタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)、チタン酸ビスマス(BIT)、BiFeO(BFO)等を用いてもよい。
【0042】
強誘電体膜32を形成した後、例えば温度500℃の条件で、PZTの結晶化アニールを行う。このアニールには、例えばラピッドサーマルアニール(RTA)が適用される。
【0043】
結晶化アニール後、強誘電体膜32の上に、上部電極膜33を形成する。上部電極膜33には、例えば厚さ200nmのIrO膜が用いられる。上部電極膜33の形成には、例えばスパッタリングが適用される。
【0044】
図4Eに示すように、レジストパターンをエッチングマスクとして、上部電極膜33をパターニングすることにより、上部電極33Pを残す。次に、異なるレジストパターンをエッチングマスクとして、強誘電体膜32をパターニングすることにより、パターニングされた強誘電体膜32Pを残す。さらに、異なるレジストパターンをエッチングマスクとして、下部電極膜31及び結晶性改善膜30をパターニングすることにより、下部電極31P、及びパターニングされた結晶性改善膜30Pを残す。
【0045】
平面視において、強誘電体膜32Pは上部電極33Pよりも大きく、下部電極31Pは強誘電体膜32Pよりも大きい。特に、下部電極31Pは、ビアホールを配置するのに十分な広さの上面が露出するようにパターニングされる。下部電極31P、強誘電体膜32P、及び上部電極33Pを含む下層キャパシタ35が得られる。下層キャパシタ35が配置されない領域には、酸化防止膜25が露出する。
【0046】
図4Fに示すように、酸化防止膜25及び下層キャパシタ35の上に保護膜37を形成する。保護膜37には、例えば厚さ20nmのアルミナ膜が用いられる。保護膜37の形成には、例えばスパッタリングが適用される。保護膜37を形成した後、酸素雰囲気中において、温度650℃の条件で60分間の熱処理を行うことにより、プロセス中に生じた下層キャパシタ35の特性の劣化を回復させる。下層キャパシタ35等の強誘電体キャパシタの特性を回復させるための熱処理を、「回復アニール」という。
【0047】
図4Gに示すように、保護膜37の上に層間絶縁膜38を形成する。層間絶縁膜38は、例えばTEOSを用いたプラズマCVDにより形成される。層間絶縁膜38の成膜後、CMPを行って表面を平坦化する。平坦化後の厚さを、酸化防止膜25の上面を基準として約1000nmとする。平坦化後、NOプラズマ雰囲気中で熱処理を行うことにより、層間絶縁膜38中の水分を脱離させる。
【0048】
図4Hに示すように、層間絶縁膜38及び保護膜37を貫通する複数のビアホール39を形成する。1つのビアホール39は、下層キャパシタ35の上部電極33Pまで達する。もう1つのビアホール39は、上部電極33Pの側方を通過して、下部電極31Pまで達する。ビアホール39を形成した後、酸素雰囲気中において、温度500℃の条件で60分間の回復アニールを行う。
【0049】
図4Iに示すように、層間絶縁膜38、保護膜37、及び酸化防止膜25を貫通する複数のビアホール40を形成する。ビアホール40は、下層に配置された導電プラグ22の位置に配置され、導電プラグ22の上面を露出させる。
【0050】
図4Jに示すように、ビアホール39及びビアホール40内に、導電プラグ41を充填する。導電プラグ41は、密着膜として機能する厚さ125nmのTiN膜と、TiN膜上に配置され、ビアホール内を埋め尽くすWプラグを含む。なお、ビアホール内を埋め尽くすプラグに、Wの代わりに、TiAlN、TiN、Ti、Al、Cu、Ru、SrRuO(SRO)、Ir等を用いてもよい。また、プラグを、これらの膜の積層構造としてもよい。
【0051】
図4Kに示すように、層間絶縁膜38及び導電プラグ41の上に、酸化防止膜43を形成する。酸化防止膜43は、例えば厚さ100nmのSiON膜と、厚さ130nmの酸化シリコン膜とを含む。SiON膜は、プラズマCVDにより形成され、酸化シリコン膜は、TEOSを用いたプラズマCVDにより形成される。
【0052】
酸化防止膜43の上に、結晶性改善膜45を形成する。結晶性改善膜45には、例えば厚さ20nmのアルミナ膜が用いられる。結晶性改善膜45の上に、下部電極膜46及び強誘電体膜47を順番に形成する。下部電極膜46には、例えば厚さ130nm〜180nmのPt膜が用いられる。強誘電体膜47には、例えば厚さ130nm〜180nmのPZT膜が用いられる。なお、PZTに代えて、他の強誘電体材料を用いてもよい。結晶性改善膜45は、その上のPt膜及びPZT膜の結晶性を改善する機能を持つ。結晶性改善膜45、下部電極膜46、及び強誘電体膜47の形成には、例えばスパッタリングが適用される。強誘電体膜47を形成した後、強誘電体膜47の結晶化アニールを行う。
【0053】
結晶化アニール後、強誘電体膜47の上に、部分上部電極膜48Aを形成する。部分上部電極膜48Aには、例えば、厚さ50nmの酸化イリジウム(IrO)膜が用いられる。部分上部電極膜48Aを形成した後、再度、強誘電体膜47の結晶化アニールを行う。
【0054】
図4Lに示すように、部分上部電極膜48Aの上にIrO膜を堆積させることにより、部分上部電極膜48Aと、新たに堆積したIrO膜とからなる上部電極膜48を形成する。上部電極膜48の厚さは、例えば200nm〜300nmとする。
【0055】
図4Mに示すように、レジストパターンをエッチングマスクとして上部電極膜48をパターニングすることにより、上部電極48Pを残す。異なるレジストパターンをエッチングマスクとして強誘電体膜47をパターニングすることにより、パターニングされた強誘電体膜47Pを残す。さらに、異なるレジストパターンをエッチングマスクとして下部電極膜46及び結晶性改善膜45をパターニングすることにより、下部電極46P、及びパターニングされた結晶性改善膜45Pを残す。上部電極48P、強誘電体膜47P、及び下部電極46Pを含む上層キャパシタ50が得られる。上層キャパシタ50が残らない領域には、酸化防止膜43が露出する。
【0056】
図4Nに示すように、酸化防止膜43及び上層キャパシタ50の上に、保護膜52を形成する。保護膜52には、例えば厚さ20nmのアルミナ膜が用いられる。保護膜52の形成には、例えばスパッタリングが適用される。保護膜52を形成した後、酸素雰囲気中において、温度650℃の条件で60分間の回復アニールを行う。
【0057】
図4Oに示すように、保護膜52の上に、層間絶縁膜54を形成し、その後、CMPを行って表面を平坦化する。層間絶縁膜54の形成には、例えばTEOSを用いたプラズマCVDが適用される。平坦化後の層間絶縁膜54の厚さは、酸化防止膜43の上面を基準として約1000nmとする。平坦化後、NOプラズマ中において熱処理を行うことにより、層間絶縁膜54内の水分を脱離させる。
【0058】
水分を脱離させた後、層間絶縁膜54の上に、保護膜55を形成し、その上に層間絶縁膜56を形成する。保護膜55には、例えば厚さ30nmのアルミナ膜が用いられる。保護膜55の形成には、例えばスパッタリングが適用される。層間絶縁膜56には、例えば厚さ300nmの酸化シリコン膜が用いられる。層間絶縁膜56の形成には、例えばプラズマCVDが適用される。
【0059】
図4Pに示すように、層間絶縁膜56、保護膜55、層間絶縁膜54、及び保護膜52を貫通し、上部電極48Pまで到達するビアホール59を形成する。ビアホール59を形成した後、酸素雰囲気中において、温度500℃の条件で60分間の回復アニールを行う。下層キャパシタ35を覆う層間絶縁膜38と、上層キャパシタ50を覆う層間絶縁膜54との間に酸化防止膜43が配置されているため、回復アニール時における導電プラグ41の異常酸化が防止される。
【0060】
図4Qに示すように、層間絶縁膜56から、層間絶縁膜38に埋め込まれた導電プラグ41の上面まで達するビアホール60を形成する。
【0061】
その後、図1に示すように、ビアホール60内に導電プラグ62を充填する。導電プラグ62は、例えばビアホール60の内面を覆う厚さ125nmのTiN膜と、ビアホール60内を充填するW膜とを含む。層間絶縁膜56及び導電プラグ62の上に、配線63を形成する。配線63は、例えば下から順番に積層された厚さ60nmTi膜、厚さ30nmのTiN膜、厚さ360nmのAlCu合金膜、厚さ5nmのTi膜、及び厚さ70nmのTiN膜を含む。配線63の上に、多層配線層及びパッドを形成する。
【0062】
上記実施例では、相互に用途の異なる上層キャパシタ50と下層キャパシタ35とが、異なる工程で形成され、異なる層内に配置される。このため、各キャパシタの形成にあたり、キャパシタに求められる特性に最適化したプロセス条件を選択することができる。例えば、強誘電体メモリの動作電圧を低くし、平滑キャパシタのTDDB特性を向上させるために、上層キャパシタ50の強誘電体膜47Pを、下層キャパシタ35の強誘電体膜32Pよりも薄くすることが好ましい。
【0063】
上層キャパシタ50の強誘電体膜47Pには、強誘電体メモリとして機能させるために、残留分極を伴う強誘電特性が求められる。これに対し、下層キャパシタ35の強誘電体膜32Pには、強誘電特性は求められず、高い誘電率が求められる。従って、上層キャパシタ50の形成時には、結晶化アニール、回復アニール等の工程を行い、良好な強誘電特性を確保することが好ましい。これに対し、下層キャパシタ35の形成時には、上層キャパシタ50の形成時に比べて、工程を簡略化することが可能である。
【0064】
下層キャパシタ35は、上層キャパシタ50よりも広い面積を占めている。このため、下層キャパシタ35には、上層キャパシタ50のような高い加工精度が要求されない。従って、図4Eに示した下層キャパシタ35の加工工程において、上部電極33Pと強誘電体膜32Pとを同一のエッチングマスクを用いて加工してもよい。これにより、工程数の増加を抑制することができる。
【0065】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0066】
10 半導体基板
11 素子分離絶縁膜
13 MOSトランジスタ
14 金属シリサイド膜
20 層間絶縁膜
21 ビアホール
22 導電プラグ
25 酸化防止膜
30 結晶性改善膜
30P パターニングされた結晶性改善膜
31 下部電極膜
31P 下部電極
32 強誘電体膜
32P パターニングされた強誘電体膜
33 上部電極膜
33P 上部電極
35 下層キャパシタ
37 保護膜
38 層間絶縁膜
39、40 ビアホール
41 導電プラグ
43 酸化防止膜
45 結晶性改善膜
46 下部電極膜
46P 下部電極
47 強誘電体膜
47P パターニングされた強誘電体膜
48 上部電極膜
48A 部分上部電極膜
48P 上部電極
50 上層キャパシタ
52 保護膜
54 層間絶縁膜
55 保護膜
56 層間絶縁膜
59、60 ビアホール
62 導電プラグ
63 配線
100 アンテナ
101 ダイオードブリッジ回路
110 下部電極パターン
111 上部電極パターン
112 下部電極パターン
113 上部電極パターン
114 ゲートパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に配置され、下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含む下層キャパシタと、
前記第1のキャパシタを覆う第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜の上に配置され、下部電極、上部電極、及び両者の間に配置された誘電体膜を含み、平面視において、前記下層キャパシタに重なる複数の上層キャパシタと、
前記半導体基板の上に、前記上層キャパシタに対応して配置され、前記上層キャパシタとともにメモリセルを構成する複数のトランジスタと
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記複数の上層キャパシタは、下部電極として、1つの下部電極パターンを共用しており、
前記複数の上層キャパシタの上部電極は、前記下部電極パターン内に、前記半導体基板の面内方向に関して相互に間隔を隔てて配置されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
さらに、
前記上層キャパシタを覆う第2の層間絶縁膜と、
前記上層キャパシタの上部電極と、該上層キャパシタに対応する前記トランジスタとを接続し、前記第2の層間絶縁膜の上に配置された配線と、
前記第2の層間絶縁膜を貫通し、前記下部電極膜に接続される導電部材と、
を有し、
前記上層キャパシタの誘電体膜が、強誘電体材料を含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記上層キャパシタの誘電体膜が、前記下層キャパシタの誘電体膜よりも薄い請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
さらに、前記半導体基板の上に配置され、電源電圧が印加される電源配線と、接地電位が印加されるグランド配線とを含み、
前記下層キャパシタの下部電極と上部電極との一方が前記電源配線に接続され、他方が前記グランド配線に接続されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図4−9】
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【図4−10】
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【図4−11】
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【図4−12】
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【公開番号】特開2011−35121(P2011−35121A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179078(P2009−179078)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】