説明

半導体装置

【課題】信頼性の高い半導体装置を効率良く製造できるようにする。
【解決手段】半導体基板1上に積層された複数の層間絶縁膜16、19、22と、複数の層間絶縁膜16、19、22の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッド25と、複数の層間絶縁膜16、19、22の間に形成される複数層の配線12,15、18と、パッド25のプローブ接触領域の直下の領域に形成され、前記層間絶縁膜22が充填される非直線状スリットか孔の少なくとも一方を有する導電性パターンを有する応力緩和部42とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器等の高機能化や高性能化が求められており、これに伴って電子機器等に搭載される半導体装置の高集積化や高速化、大容量化が求められている。このため、半導体装置は、外部接続端子の数が増加すると共に、その大きさも縮小する傾向にある。
また、半導体装置の小型化に伴って、外部接続端子の配置間隔が狭くなったり、半導体装置を構成する半導体膜や絶縁膜などの膜厚が薄くなったりしている。さらに、半導体装置に含まれる素子の電気的特性を向上させることを目的として層間絶縁酸化膜に低誘電率膜を採用した場合には、層間絶縁酸化膜の機械的強度が低下することが知られている。
【0003】
ここで、半導体装置の製造工程で実施される検査工程では、半導体装置の外部接続端子に試験用のプローブを所定の圧力で押し当てて、半導体装置と試験装置を電気的に導通状態にする必要がある。
しかしながら、近年の半導体装置では外部接続端子の配置間隔が狭くなっているので、それぞれの外部接続端子にプローブを適切な接触荷重で接触させることが困難になっている。この場合の適切な荷重とは、電気的な接触を得るために必要とされ、接触不良を生じない荷重以上で、且つ半導体装置が機械的に破壊しない程度の荷重である。
【0004】
接触荷重が大きくなり過ぎると、外部接続端子の下層の層間絶縁酸化膜にクラックが生じたり、リーク電流が発生したりする原因になる可能性がある。半導体装置の小型化、高集積化に伴って、適切な接触荷重の範囲が狭くなる傾向にあるため、検査工程における接触不良の発生や層間絶縁酸化膜のクラック発生を抑制する必要があった。
【0005】
そこで、従来の半導体装置では、導電性の外部接続端子の下部に1層の層間絶縁酸化膜及び導体層をダミーとして設け、さらに下層に存在する本来の層間絶縁酸化膜に生じる衝撃負荷を低減させるように構成していた。さらに、外部接続端子の下層の層間絶縁酸化膜への荷重をより低減させることを目的として、外部接続端子の下層の導体層に同じ形状の開口部を等間隔に配置することで、さらに下層の層間絶縁酸化膜への負荷を低減させるように構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−67645号公報
【特許文献2】特開平6−244235号公報
【特許文献3】特開平10−64945号公報
【特許文献4】特開2007−242644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、外部接続端子の下層の導体層に開口部を有する導電性パターンを採用した場合には、層間絶縁酸化膜と導電性パターンの境界に応力が集中し、ここからクラックが生じ易かった。特に、導電性パターンをCuやAl等で形成し、層間絶縁酸化膜をSiOで形成した場合には、両者の縦弾性係数や横弾性係数の差が大きいことから、層間絶縁酸化膜と導電性パターンの境界に歪みが生じ易く、応力が集中によるクラックが発生し易かった。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、信頼性の高い半導体装置を効率良く製造できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域に形成され、前記層間絶縁膜が充填される非直線状スリットと孔の少なくともいずれか一方を有する導電性パターンを有する応力緩和部とを有することを特徴とする半導体装置が提供される。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域の全体に形成され、前記プローブ接触領域よりも広い導電膜、絶縁膜のいずれか一方からなる応力緩和部と、を有することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッドのプローブ接触領域の直下の領域に非直線状スリットと孔の少なくとも一方を設けることにより、プローブの応力により発生しやすいクラックの箇所を応力緩和部内に特定するとともに、それ以外の領域へのクラックの広がりを防止することができる。
また、パッドのプローブ接触領域の直下の領域の全体に設けられた応力緩和部により、プローブによる応力が配線等の導電性パターンの縁部に加わることを防止し、導電性パターンと絶縁膜、特に絶縁酸化膜の境界におけるクラックの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の図1に示す半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の図5に示す半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の図7に示す半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施の形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の図7に示す半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施の形態の変形例に係る半導体装置においてパッド部の下層の構造を説明する平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0013】
(第1実施の形態)
図1に本実施の形態に係る半導体装置の一部分の断面構造を示す。
半導体装置1は、シリコン等からなる半導体基板2の上に、トランジスタ3や図示を省略するその他の機能素子が形成され、その上に層間絶縁酸化膜と導体層を積層させることで多層配線層が形成されている。
【0014】
より詳細には、半導体基板2の上には、半導体基板2に形成されたトランジスタ3のゲート電極46と第1の導電性パターン11とそれらを覆う第1層間絶縁酸化膜12とを含んで第1層14が形成されている。なお、第1の導電性パターン11は、素子分離絶縁膜1a上にシリコン膜から形成され、配線となる。
【0015】
また、第1層14の上には、第2の導電性パターン15と第2層間絶縁酸化膜16を含んで第2層17が形成されている。以降、第2層17の上には、第3の導電性パターン18と第3層間絶縁酸化膜19を含む第3層20が、第3層20の上には、第4の導電性パターン21と第4層間絶縁酸化膜22を含む第4層23が、それぞれ形成されている。そして、最上層には、導体層からなる外部接続端子であるパッド25と、第4層間絶縁酸化膜22を保護するカバー膜26とが形成されている。第2、第3の導電性パターン15、18は配線であってもよい。また、第2〜第3の導電性パターン15、18、21と同層には図示しない配線が形成されている。
【0016】
各層間絶縁酸化膜12,16,19,22は、例えば、シリコン酸化膜で形成されている。シリコン酸化膜の代わりに、低誘電率絶縁材料や、SiOC、有機絶縁材料等で各層間絶縁酸化膜12〜22形成しても良い。各導電性パターン11,15,18,21は、例えば、CuやCuの合金、AlやAlの合金を用いて形成されている。カバー膜26は、例えば、シリコン窒化膜から形成されている。
【0017】
パッド25は、例えば一辺の長さが40μmの正方形を有し、その表面や内部に開口部やスリットは形成されていない。パッド25の底面の周縁部には、複数のプラグ31が下から電気的に接続されている。プラグ31は、第4層間絶縁酸化膜22に形成したビアホールにCu、Wなどの導電性物質を埋め込むことで形成されている。
【0018】
図2に示すように、第4の導電性パターン21は、パッド25の下方に配置される部分に、導電性パターン41,42を有し、その中央には応力緩和部であるランド部43が形成されている。導電性パターン41,42は、例えば、図示を省略する他の導電性パターンと電気的に接続されて回路を形成するために設けられている。
【0019】
ランド部43は、導電性パターン41,42との間に間隔を持たせて配置されており、電気的には接続されていない。ランド部43と導電性パターン41,42の間には、第4層間絶縁酸化膜22が埋め込まれている。ランド部43の平面形状は、例えば直径が10μm〜40μmの円形又はこれとほぼ同じ外形を有する楕円形になっている。ランド部43は、図2の領域Aで示されるような検査装置のプローブの先端がパッド25と接触する面の面積より大きくなるように形成されている。
【0020】
また、第2及び第3の導電性パターン15,18は、パッド25の下方に配置され、同じ層には図示を省略するその他の導電性パターンを有する。パッド25の下方に配置される導電性パターンは、回路の一部をなす導電性パターンであっても良いし、ダミーのパターンであっても良い。
【0021】
ここで、第3層20の第3層間絶縁酸化膜19には、第3の導電性パターン18と第4の導電性パターン21を電気的に接続するプラグ32が形成されている。同様に、第2層17の第2層間絶縁酸化膜16には、第2の導電性パターン15と第3の導電性パターン18を電気的に接続するプラグ33が形成されている。第1層14の第1層間絶縁酸化膜12には、第1の導電性パターン11と第2の導電性パターン15を電気的に接続するプラグ34が形成されている。
【0022】
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。
最初に、半導体基板2の表面にトランジスタ3のゲート電極46を含む第1層14を形成する。トランジスタ3を形成する工程では、半導体基板2に例えばp型不純物としてボロンを導入してpウェル13を形成する。さらに、半導体基板2の表面を熱酸化させてゲート絶縁膜45を形成する。ゲート絶縁膜45の上に非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成し、レジスト膜を用いたドライエッチングによりシリコン膜をパターニングしてゲート電極46を形成するとともに、第1の導電性パターン11を形成する。
【0023】
続いて、ゲート電極46をマスクにしてイオン注入を行い、ゲート電極46の両側の半導体基板2の表層にn型不純物、例えばリンを導入し、ソース/ドレインエクステンション47を形成する。
この後、ゲート電極46を含む半導体基板2の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極46の両側部分のみを残して絶縁性サイドウィオール48を形成する。絶縁膜には、例えばCVD法により形成された酸化シリコン膜が用いられる。
【0024】
続いて、絶縁性サイドウォール48とゲート電極46をマスクにして半導体基板2の表層に砒素等のn型不純物を再びイオン注入し、各ゲート電極46の両側方の半導体基板2に高濃度不純物拡散領域のソース/ドレイン領域49を形成する。
さらに、ゲート電極46を含む半導体基板2の上側全面に金属膜をスパッタ法により形成してから加熱することで、金属シリサイド層50を形成する。
【0025】
そして、図示を省略するその他の回路を形成すると、第1の導電性パターン11が完成する。この後、第1の導電性パターン11と、半導体基板2の露出している部分の全面に第1層間絶縁酸化膜12を形成する。第1層間絶縁酸化膜12は、例えば、プラズマ励起型化学気相成長(PECVD)法により形成される。
【0026】
さらに、第1層間絶縁酸化膜12の所定位置に、ビアホールをドライエッチング法により第1の導電性パターン11に達するまで形成する。その後、ビアホールにTa、TiNやTi等からなるバリアメタル膜をスパッタリングにより形成する。さらにその上に、導電膜としてCuやWをスパッタリングすると、プラグ34が形成される。このプラグ34は、第2層17が形成されたとき、第2の導電性パターン15と電気的に接続される。
なお、トランジスタ3は、パッド25の下方から外れた位置に形成しても良い。また、第1層14では、トランジスタ3以外の素子を形成しても良い。
【0027】
次に、第2層17から第4層23の形成方法について説明する。
第2層17から第4層23の各導電性パターン15,18,21は、シングルダマシン
法、デュアルダマシン法等により形成される。
例えば、第2層17では、層間絶縁酸化膜16Aを例えば、PECVD法により所定の厚さに形成する。その後、ドライエッチングを行って層間絶縁酸化膜16Aの所定位置に溝を形成し、この溝内に第2の導電性パターン15を形成する導電性物質、例えばTaバリア層、Cu層を順に埋め込む。この後、化学機械研磨(CMP)法による研磨で、余分な導電性物質を除去すると、第2の導電性パターン15が形成される。なお、第2の導電性パターン15には、回路を形成する配線やパッド、素子などが必要に応じて含まれるものとする。
【0028】
続いて、層間絶縁酸化膜16A及び第2の導電性パターン15の上に、さらに図示しない薄い銅拡散防止膜を下地として有する層間絶縁酸化膜16Bを例えば、PECVD法により所定の厚さに形成する。これら層間絶縁酸化膜16A,16B等によって第2層間絶縁酸化膜16が形成される。銅拡散防止膜としては、例えばシリコン窒化膜を形成する。
そして、第2層間絶縁酸化膜16の所定位置にもプラグ33を前記のプラグ34と同様にして形成する。このプラグ33は、その上に形成される第3の導電性パターン18と電気的に接続される。
【0029】
第3層20及び第4層23は、第2層17と同様な工程で形成される。なお、第3層20の第3層間絶縁酸化膜19は、層間絶縁酸化膜19Aに第3の導電性パターン18を埋め込んだ後、その上に図示しない薄い銅拡散防止膜を介して層間絶縁酸化膜19Bを形成することで得られる。第4層23の第4層間絶縁酸化膜22は、層間絶縁酸化膜22Aに第4の導電性パターン21を埋め込んだ後、その上に図示しない薄い銅拡散防止膜を介して層間絶縁酸化膜22Bを形成することで得られる。
【0030】
最上層のパッド25を形成するときは、第4層間絶縁酸化膜22上にレジストパターンを形成し、レジストパターンの開口部内に金属膜、例えばAlを例えばスパッタ法にて堆積させる。このパッド25は、その周縁部分においてプラグ31で電気的に接続される。
【0031】
パッド25の形成は、Alを含む多層構造金属膜を形成した後に、レジストパターンをマスクにして多層構造金属膜をエッチングする方法であってもよい。
その後、第4層間絶縁酸化膜22の上及びパッド25の上にカバー膜26を、例えばPECVDにより形成し、ドライエッチングでパッド25上のカバー膜26を除去し、パッド25の上面の中央部分を露出させる。
【0032】
このようにして製造した半導体装置1の検査を行うときは、検査装置のプローブをパッド25に所定の圧力で押し当てる。1つの半導体装置1に対してパッド25は複数形成されているので、複数のプローブでパッド25に電圧を印加したり、パッド25の電位を測定したりすることで、半導体装置1の動作を検査する。
【0033】
この際、プローブは、パッド25の中央部に押し当てられるように制御される。このため、プローブを押し当てたときに生じる荷重は、主にパッド25の中央部に作用する。パッド25の中央部の下方には、ランド部43が形成されており、しかもランド部43の面積は、プローブがパッド25に接触する領域Aの面積より大きい。したがって、パッド25の下の第4層23において、プローブが押し当てられた部分に相当する領域には、第4の導電性パターン21と層間絶縁酸化膜22との境界が存在しない。このため、第4層23に作用する荷重は、主にランド部43の内側に作用する。その結果、第4層23において応力が集中することがなくなって、クラックが生じなくなる。
【0034】
なお、プローブをパッド25に押し付ける位置は、予め調整されているので、パッド25の中央から大きくずれることはない。ランド部43は、プローブの位置ずれも考慮した
大きさに形成されているので、第4層23における応力集中を効果的に防止できる。
【0035】
このように、この実施の形態では、パッド25の下方に応力緩和部43として導電性パターンからなるランド部43を設けてプローブとパッド25の接触部分の直下に第4の導電性パターン21と層間絶縁酸化膜22の双方が形成されないようにしたので、導電性パターンの周縁と層間絶縁膜の境界に応力が集中することがなくなってクラックの発生が防止される。
【0036】
ここで、この実施の形態の変形例について図3を参照して説明する。
この変形例では、パッド25の下方の第4層23の第4の導電性パターン21に、プローブの接触部分の直下の領域に導電性パターンを設けないことで応力緩和部51を形成している。第4の導電性パターン21のその他の領域には、導電性パターン41,42が形成されている。図3における応力緩和部51は、第4層間絶縁膜22から構成され、その周囲の少なくとも一部は導電パターン41,42に囲まれている。
【0037】
検査時には、パッド25の中央部にプローブが押し当てられる、これにより、パッド25の中央部に荷重が作用し、パッド25の下方の第4層23の第4の導電性パターン21の中央部分に荷重が作用する。第4の導電性パターン21の中央部分には、導電性物質を有しない応力緩和部51が形成されているので、この領域には導電性物質と層間絶縁酸化膜22との境界は存在しない。このため、第4層23において応力が集中することがなくなって、クラックが生じなくなる。
【0038】
なお、図2に示すランド部43及び図3に示す応力緩和部51は、第4層23だけでなく、第3層20にも設けても良い。また、第4層23が、パッド25の下方の領域に導電性物質を有しない構造である場合や、パッド25の下方の第4の導電性パターン21に導電性物質と層間絶縁酸化膜22との境界を有しない構成である場合には、第3層20のみにランド部43又は応力緩和部51を形成しても良い。
【0039】
(第2の実施の形態)
図4に、本実施の形態の半導体装置の第4層の平面図を示す。なお、この半導体装置の多層配線の構造は、図1と同様である。
第4層23の第4の導電性パターン21は、パッド25の下方に配置されており、導電性パターン41,42が形成されている。さらに、導電性パターン41,42の一部を、他の部分より細かい、又は複雑な形状の導電性パターン41A、42Aにすることで応力緩和部61が形成されている。
【0040】
応力緩和部61は、2つの導電性パターン41A,42Aの櫛歯状の縁部が層間絶縁酸化膜22を介して互いに噛み合わされた構成を有する。換言すれば、櫛歯状の縁部の間の平面形状は非直線状、例えば波形状のスリットとなり、そのスリット内に層間絶縁酸化膜22が充填されている。そのスリットは、配線間の間隔よりも狭く形成されている。
応力緩和部61を形成する導電性パターン41A、42Aは、同じ電位になるもの、又は導電性パターン41,42同士が短絡しても半導体装置1の機能に影響を与えないパターンが用いられる。
【0041】
ここで、応力緩和部61は、プローブによって生じる応力を緩和するのに十分な大きさで形成されている。例えば、応力緩和部61の長さは、外部のプローブがパッド25に接触する領域Aのうち一方向の長さに略等しい。
なお、応力緩和部61は、応力が集中し易いことから、プローブがパッド25に接触する領域Aの長さより小さくても良い。また、応力緩和部61の形成位置は、パッド25の中央部に相当する位置、つまり第4の導電性パターン21の中央部であっても良いが、応
力が集中し易いことから第4の導電性パターン21の中央部からはずれた位置に形成しても良い。なお、第4層23の下層である第3層20では、応力緩和部61の下方に相当する領域に電源配線やグラウンド配線等の導電性パターンは形成されない。
【0042】
検査時には、パッド25の中央部にプローブが押し当てられる。これにより、パッド25の下方の第4層23の第4の導電性パターン21の中央部分に荷重がかかる。第4層23には、縦弾性係数や横弾性係数の差が大きい導電性パターン41A、42Bと層間絶縁酸化膜22が形成されているので、同じ荷重がかかったときに両者の変形量が異なり、歪が生じ易くなっている。
【0043】
特に、第4の導電性パターン21に形成された応力緩和部61は、他の領域より微細な導電性パターン41A、42Aの間にスリットが形成されているので、変形量の差に起因して生じる応力が集中し易い。このため、応力緩和部61以外の領域の導電性パターン41、42と層間絶縁酸化膜22との境界に作用する応力が低減される。
【0044】
応力が集中する応力緩和部61は、前記したように、同じ電位になるもの、又は導電性パターン41A、42A同士が短絡しても半導体装置1の機能に影響を与えないパターンなので、クラックが発生しても、スリット内でクラックが止まって外部に広がらないので、半導体装置1に故障が生じることはない。
【0045】
従って、第4層23の特定箇所で優先的にクラックが生じることで、その下の第3層20の第3の導電性パターン18の縁から第3層間絶縁膜19にクラックが生じることはない。なお、プローブによって生じる応力が小さい場合には、応力緩和部61にクラックが生じないこともある。
【0046】
このように、この実施の形態では、応力緩和部61として、応力が集中し易い領域に導電性パターン41A,42Aを形成したので、検査時に他の領域に応力が集中してクラックが生じることを防止できる。応力緩和部61は、クラックが生じた場合であっても、半導体装置1の故障を防止できる。
【0047】
なお、応力緩和部61を形成するパターンは、導電性パターン41A、42Bと第4層間絶縁酸化膜22の境界が他の領域より長く、且つ微細に入り組んでいれば良く、図4の形状に限定されない。例えば、L字形のパターンや、円弧状のパターンを近接して配置することで応力緩和部61を形成しても良い。また、回路を形成する導電性パターン41,42と電気的に接続されないパターンを用いて応力緩和部61を形成しても良い。
【0048】
(第3の実施の形態)
図5に、本実施の形態の半導体装置の多層配線の構造を示し、図6に第4層の平面図を示す。なお、図6では第3層間絶縁膜19を省略して描いている。
第4層23の第4の導電性パターン21には、少なくとも1つのピラー71が形成されている。ピラー71は、第4の導電性パターン21を貫通する貫通孔72を形成し、ここに層間絶縁酸化膜22Bを埋め込むことで形成されている。
【0049】
その下の第3層20の第3の導電性パターン18には、第3の導電性パターン18として配線パターン73,74,75が形成されている。これら配線パターン73〜75は、平面視でピラー71の直下に拡張部73A,74A,75Aが形成され、その面積はピラー71の面積より大きくなっている。これら拡張部73A〜75Aと、ピラー71によって応力緩和部77が形成されている。
【0050】
検査時には、パッド25の中央部のパッド接触領域にプローブが押し当てられる、これ
により、パッド25の中央部にかかった荷重が、パッド25の直下の第4層23内の第4の導電性パターン21に作用する。第4層23には、ピラー71が設けられており、ピラー71の外周によって導電性材料と層間絶縁酸化膜22との境界が形成されている。そして、この境界の存在によって応力が発生し易くなっている。
【0051】
ここで、ピラー71の直下に配置される第3層20内の第3の導電性パターン18では、配線パターン73〜75にピラー71の面積より大きい拡張部73A〜75Aが設けられている。つまりピラー71の直下には、導電性パターンと第3層間絶縁酸化膜19の境界が配置されていない。
このように、ピラー71の直下に、変形し難い導電性パターンからなる拡張部73A〜75Aを配置することで、第4層23における第4の導電性パターン21と第4層間絶縁酸化膜22の間の歪みの差が減少させられる。その結果、その直下の第3層20及び第4層23におけるクラックの発生が抑制される。
【0052】
この実施の形態では、第4の導電性パターン21にピラー71を設けることで、クラックが生じ易くなった構造において、ピラー71の直下に導電性パターン18と第3層間絶縁酸化膜19の境界が配置されないよう導電性パターンを形成したので、検査時のクラックの発生を防止できる。これにより、半導体装置1の故障が防止される。
【0053】
(第4の実施の形態)
図7に、本実施の形態の半導体装置の多層配線の構造を示し、図8に第4層の平面図を示す。なお、図8では、第3層間絶縁酸化膜19を省略して描いている。
第4層23の第4の導電性パターン21には貫通孔72が複数形成され、それぞれの貫通孔72には第4の層間絶縁酸化膜22を埋め込んだピラー71が形成されている。貫通孔72の上面での対角線の長さ、即ち外径は、第3の実施形態と同様に、配線間隔よりも狭く形成される。
【0054】
さらに、第4の導電性パターン21では、ピラー71が他の領域より集中して配置された所定の領域、つまり隣り合うピラー71同士の配置間隔が他の領域のピラー71の配置間隔より狭い領域があり、この領域が第1の応力緩和部81になっている。第1の応力緩和部81の直下の領域の第3層20では、電源やグラウンド等の導電性パターンは形成されず、第1の応力緩和部81の一部となっている。
【0055】
一方、第4の導電性パターン21において、第1の応力緩和部81以外の領域のピラー71と、このピラー71の直下の導電性パターン82,83,84の拡張部82A,83A,84Aとによって、第2の応力緩和部85が形成されている。第2の応力緩和部85を構成する導電性パターン82〜84の拡張部82A〜84Aは、ピラー71の直下に形成され、平面視における面積がピラー71の面積より大きくなっている。
なお、第4層23の第4の導電性パターン21に形成されたピラー71は、第1の応力緩和部81又は第2の応力緩和部85のいずれかを形成しているが、第4の導電性パターン21はこれら応力緩和部81,85を形成しないピラー71を有しても良い。
【0056】
検査時には、パッド25の中央部の領域にプローブが押し当てられる、これにより、パッド25の中央部にかけられた荷重が、パッド25の下方の第4層23の第4の導電性パターン21に作用する。第4層23では、第4の導電性パターン21とピラー71の境界に応力が生じる。第1の応力緩和部81では、ピラー71が密集して配置されており、導電性物質と層間絶縁酸化膜22Bの境界が密集している。このため、第1の応力緩和部81においてクラックの発生が優先的に誘発される。これにより、他の領域に生じる応力を低減させられる。
また、第2の応力緩和部85では、応力がその下層の第3層20の第3の導電性パター
ン18にも作用する。第3層20のピラー71の直下の領域及びその周辺には、導電性物質と層間絶縁酸化膜19の境界が配置されていないので、クラックが生じることはない。
【0057】
この実施の形態では、第4の導電性パターン21にピラー71を形成した構成において、第1の応力緩和部81によってクラックの発生を誘発することで他の領域にクラックを生じ難くしたので、検査時の大きなクラックの発生を防止できる。さらに、第2の応力緩和部85を設けて、ピラー71の直ぐ下の層に導電性物質と層間絶縁酸化膜19の境界が配置されないようしたので、検査時のクラックの発生を防止できる。これらにより、半導体装置1のクラックによる故障が防止される。なお、半導体装置1は、第1の応力緩和部81のみを設けても良い。
【0058】
ここで、図9及び図10を参照して本実施の形態の変形例について説明する。
この半導体装置1において、第4層23の第4の導電性パターン21には複数のピラー71,91が形成されている。第1の応力緩和部92を形成するピラー91は、第4の導電性パターン21における他の領域のピラー71よりも平面視における面積が小さくなっている。
【0059】
また、第1の応力緩和部92におけるピラー91の配置間隔は、第4の導電性パターン21における他の領域のピラー71同士の配置間隔より狭い。さらに、ピラー91の配置間隔は、図8に示す第1の応力緩和部81におけるピラー71の配置間隔より狭い。さらに、他の領域のピラー71と、その下層の配線パターン82〜84の拡張部82A〜84Aとの間には、第2の応力緩和部85が形成されている。
【0060】
第1の応力緩和部92では、導電膜と層間絶縁酸化膜22との境界が、より細かく配置されているので、クラックの発生を図8に示す構成よりさらに誘発し易い。このため、検査時の大きなクラックの発生をさらに防止できる。
【0061】
なお、第1の応力緩和部92の形成位置は、プローブが押し当てられるパッド25の中央部の直下に形成しても良いし、中央部から外れた位置でも良い。これは、第1の応力緩和部92は応力を集中させ易いので、必ずしも第4の導電性パターン21の導電性パターン21Aの中央部に配置しなくても良いためである。また、第1の応力緩和部92がプローブにより生じる応力を十分に緩和できる大きさの場合には、第2の応力緩和部85を形成しなくても良い。
【0062】
また、図11に示すように、第4の導電性パターン21のうち大きさが異なる2種類のピラー71,95を2つの領域に分けて形成し、それぞれの領域においてピラー71,95を略等間隔に配置しても良い。この場合には、平面視における面積が小さいピラー95が配置された領域が第1の応力緩和部96になる。
【0063】
図11の例では、第1の応力緩和部96を形成するピラー95の配置間隔は、第2の応力緩和部の領域のピラー71より小さい。しかしながら、ピラー95の配置間隔とピラー71の配置間隔を略同じにしても良い。さらに、第1の応力緩和部96は、ピラー71を狭い間隔で配置することで形成しても良い。
【0064】
なお、上記した各実施形態において、第4の導電パターン21の上に他の導電パターンが形成されてもよい。また、プローブ接触による亀裂の発生を防止するためには、第4の導電性パターン21は、パッド25を含めて上から二層目又は三層目の導電パターンであることが好ましい。
【0065】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概
念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【0066】
以下に、実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 半導体基板と、前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域に形成され、前記層間絶縁膜が充填される非直線状スリットと孔の少なくともいずれか一方を有する導電性パターンを有する応力緩和部とを有することを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記孔の直下には、前記孔よりも大きな導電パターンが形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記導電パターンは、前記配線の一部であることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記孔は、前記導電パターンから1層下の前記配線と、該1層下の前記配線と同じ層の他の導電パターンに重ならない領域に集合して複数形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記5) 前記孔は密度分布が異なる状態に複数形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記6) 前記スリットの平面形状は、波形状であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記7) 半導体基板と、前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域の全体に形成され、前記プローブ接触領域よりも広い導電膜、絶縁膜のいずれか一方からなる応力緩和部と、を有することを特徴とする半導体装置。
(付記8) 前記応力緩和部は、外周が絶縁膜に囲まれた導電膜であることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記9) 前記応力緩和部は、外周の少なくとも一部が導電膜に囲まれた絶縁膜であることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記10) 前記応力緩和部は、上から二層目又は三層目の導電パターンと同層であることを特徴とする付記1乃至付記9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0067】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 トランジスタ
11,15,18,21 導電性パターン
12 第1層間絶縁酸化膜
14 第1層
16 第2層間絶縁酸化膜
17 第2層
19 第3層間絶縁酸化膜
20 第3層
22 第4層間絶縁酸化膜
23 第4層
25 パッド
41,41A,42,42A,73,74,75,82,83,84 導電性パターン
43 ランド部(応力緩和部)
51,61,77,95 応力緩和部
71,91 ピラー
72 貫通孔
73A,74A,75A,82A,84A 部分
81,92,95 第1の応力緩和部
85 第2の応力緩和部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、
前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、
前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、
前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域に形成され、前記層間絶縁膜が充填される非直線状スリットか孔の少なくとも一方を有する導電性パターンを有する応力緩和部と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記孔の直下には、前記孔よりも大きな導電パターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記孔は、前記導電パターンから1層下の前記配線と、該1層下の前記配線と同じ層の他の導電パターンに重ならない領域に集合して複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記スリットの平面形状は、波形状であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板上に積層された複数の層間絶縁膜と、
前記複数の層間絶縁膜の最上面の上に形成され、外部からプローブが当てられるプローブ接触領域を有するパッドと、
前記複数の層間絶縁膜の間に形成される複数層の配線と、
前記パッドの前記プローブ接触領域の直下の領域の全面に形成され、前記プローブ接触領域よりも広い導電膜、絶縁膜のいずれか一方からなる応力緩和部と、
を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−9515(P2011−9515A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152261(P2009−152261)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】