説明

半導体装置

【課題】良好な電気特性を有する半導体装置を提供することである。
【解決手段】チャネル領域を形成する酸化物半導体層と接するゲート絶縁層に、水素濃度が6×1020atoms/cm未満であり、且つフッ素濃度が1×1020atoms/cm以上であるゲート絶縁層を用いることで、ゲート絶縁層から放出される水素量が低減され、酸化物半導体層に水素が拡散することを防ぐことができる。さらに、フッ素により酸化物半導体層内に存在する水素を脱離させ、酸化物半導体層内の水素濃度を低減させることができるため、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、フラットパネルディスプレイに代表される液晶表示装置や発光表示装置において、その多くに用いられているトランジスタは、ガラス基板上にて、アモルファスシリコンや多結晶シリコンなどのシリコン半導体によって構成されている。
【0004】
そのシリコン半導体に代わって、酸化物半導体をトランジスタに用いる技術が注目されている。
【0005】
例えば、酸化物半導体として、一元系金属酸化物である酸化亜鉛や、ホモロガス化合物であるIn−Ga−Zn−O系金属酸化物があり、それらを用いてトランジスタを作製し、表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が開示されている(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【特許文献3】特開2007−123861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧(Vth)が、マイナス方向に変動してしまい、ゲート電極に電圧が印加されていない状態(Vgs=0V)においても、ドレイン電流が流れる(ノーマリーオン)という問題がある。
【0008】
このような状況を鑑み、本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するには、チャネル領域を形成する酸化物半導体層と接するゲート絶縁層に、水素含有量が低く、且つフッ素を含有する絶縁層を用いる。該ゲート絶縁層に、該絶縁層を用いることで、該ゲート絶縁層から放出される水素量が低減すると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0010】
具体的には、ゲート絶縁層に、水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、且つフッ素濃度が、1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上である絶縁層を用いる。
【0011】
そこで、本発明の一態様は、ゲート電極層と、チャネル領域を形成する酸化物半導体層と、酸化物半導体層と接して設けられるソース電極層及びドレイン電極層と、ゲート電極層と酸化物半導体層の間に設けられるゲート絶縁層とを有し、ゲート絶縁層の水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、ゲート絶縁層のフッ素濃度が、1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上とする半導体装置である。
【0012】
なお、上記半導体装置は、酸化物半導体層が、ゲート絶縁層を介して、ゲート電極層に重畳するボトムゲート構造を有する半導体装置である。
【0013】
また、本発明の別の一態様は、ゲート絶縁層を、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルなどの酸化物絶縁層とすることである。
【0014】
また、上記において、ゲート絶縁層は単層だけではなく積層としてもよい。例えば、ゲート電極層を覆う第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層を覆い、且つ前記酸化物半導体層と接する第2のゲート絶縁層というようにゲート絶縁層を二層にしてもよい。その際、第2のゲート絶縁層は、酸化物半導体層と接しているため、水素含有量が低く、且つフッ素を含有しているゲート絶縁層とすることで、第2のゲート絶縁層から放出される水素量が低減すると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0015】
そこで、本発明の別の一態様は、上記半導体装置におけるゲート絶縁層を、ゲート電極層を覆う第1のゲート絶縁層と、第1のゲート絶縁層を覆い、且つ前記酸化物半導体層と接する第2のゲート絶縁層とし、第2のゲート絶縁層における水素濃度は6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、第2のゲート絶縁層におけるフッ素濃度は1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上とすることである。なお、第1のゲート絶縁層におけるフッ素濃度は、1×1020atoms/cm未満とすることが好ましい。
【0016】
上記半導体装置において、酸化物半導体層を介して、ゲート絶縁層と対向し、且つ該酸化物半導体層に接して設けられる絶縁層を有してもよい。該絶縁層は、ゲート絶縁層と同様に水素含有量が低く、フッ素を含有していることで、該絶縁層から放出される水素量が低減すると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0017】
そこで、本発明の別の一態様は、上記半導体装置において、酸化物半導体層と接する絶縁層の水素濃度が、6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、フッ素濃度が、1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上とする半導体装置である。
【0018】
また、酸化物半導体層上に接して設けられる絶縁層は、ゲート絶縁層と同様に酸化物絶縁層が好ましく、該酸化物絶縁層としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】トランジスタを説明する上面図及び断面図である。
【図2】ガリウム原子中心のクラスターモデルを示す図である。
【図3】水素原子を引き抜く反応の反応式、及びエネルギーダイアグラムを示す図である。
【図4】結合エネルギーの算出に用いるモデルを示す図である。
【図5】水素原子を引き抜く反応の反応式、及びエネルギーダイアグラムを示す図である。
【図6】トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図7】電子書籍の一例を示す外観図である。
【図8】テレビジョン装置、及びデジタルフォトフレームの例を示す外観図である。
【図9】携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【図10】酸化シリコン層に含まれる水素濃度、及びフッ素濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。また、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。また、便宜上、絶縁層は上面図には表さない場合がある。なお、各図面において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。従って、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0022】
「ソース」や「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について図1を用いて説明する。なお、本実施の形態では該半導体装置の例をトランジスタとして説明する。
【0024】
図1(A)は、半導体装置の有するトランジスタ100の上面図である。図1(B)は、図1(A)の一点鎖線A1−B1間における断面図である。トランジスタ100は、基板102上に下地絶縁層104と、ゲート電極層106と、ゲート絶縁層108と、チャネル領域を形成する酸化物半導体層110と、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bと、チャネル領域を形成する酸化物半導体層110とソース電極層112a及びドレイン電極層112bとを覆う絶縁層114と、を含む。
【0025】
トランジスタ100は、酸化物半導体層110が、ゲート絶縁層108を介して、ゲート電極層106に重畳して設けられるボトムゲート構造のトランジスタである。さらに、トランジスタ100は、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bが、酸化物半導体層110の上面一部と接して設けられるトップコンタクト構造である。また、ボトムゲート構造のトランジスタには、トップコンタクト型の他にソース電極層及びドレイン電極層が、チャネル領域を形成する半導体層の下面一部と接して形成されるボトムコンタクト構造がある。本発明の一態様は、トップコンタクト構造及びボトムコンタクト構造を含むものであるが、本実施の形態では、トップコンタクト構造を例に説明する。
【0026】
トランジスタ100は、ゲート絶縁層108の上面一部と酸化物半導体層110の下面が接する構造となる。それゆえ、トランジスタ100の作製工程において、ゲート絶縁層108に水素が多く存在する場合、酸化物半導体層110に水素が拡散することで酸化物半導体層110内の水素含有量が増加する。そして、酸化物半導体層110内の水素含有量が増加することで、酸化物半導体層110内にキャリアが増加する。そのため、トランジスタ100のしきい値電圧(Vth)は、マイナス方向に変動してしまい、ゲート電極に電圧が印加されていない状態(Vgs=0V)においても、ドレイン電流が流れる(ノーマリーオン)ため、電気特性が不良なトランジスタとなる。
【0027】
そこで、酸化物半導体層110に拡散した水素を取り除く方法として、酸化物半導体層110を加熱処理する方法がある。しかし、トランジスタの作製工程を増やすほど、コストがかかり、歩留まりを悪くする可能性があるため好ましくない。
【0028】
そこで、酸化物半導体層110と接するゲート絶縁層108の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とすることで、ゲート絶縁層108から放出される水素量が低減するため、酸化物半導体層110へ水素の拡散が抑制される。さらに、酸化物半導体層110と接するゲート絶縁層108のフッ素濃度を1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上とすることで、酸化物半導体層110内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層110内の水素含有量を低減させることができる。
【0029】
つまり、酸化物半導体層110と接するゲート絶縁層108を、上記水素濃度及び上記フッ素濃度であるゲート絶縁層とすることで、トランジスタの作製工程を増やさずに、良好な電気特性を有するトランジスタを得ることができる。
【0030】
また、酸化物半導体層110と、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bとを覆う絶縁層114は、酸化物半導体層110の上面一部と接している。それゆえ、絶縁層114の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とし、フッ素濃度を1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上としてもよい。絶縁層114を上記水素濃度とすることで、絶縁層114から放出される水素量が低減するため、酸化物半導体層110へ水素の拡散が抑制される。さらに、絶縁層114を上記フッ素濃度とすることで、酸化物半導体層110内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層110内の水素含有量を低減させることができる。
【0031】
基板102としては、後の作製工程に耐えられるものであれば特に限定されない。例えば、基板102として、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、若しくはサファイア基板などの絶縁性基板、シリコンなどの半導体材料でなる半導体基板、金属若しくはステンレスなどの導電体でなる導電性基板などを用いることができる。また、プラスチック基板も適宜用いることができる。
【0032】
また、ガラス基板としては、トランジスタの作製工程に加熱温度の高い加熱処理を行う場合には、歪点が730℃以上のものを用いるとよい。例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。ホウ酸と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、ホウ酸より酸化バリウムを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0033】
下地絶縁層104は、基板102からの不純物元素の拡散を防止する他に、トランジスタの作製工程におけるエッチング工程によって、基板がエッチングされることを防ぐ。下地絶縁層104の厚さに限定はないが、上記理由より、下地絶縁層104の厚さは50nm以上とすることが好ましい。なお、ボトムゲート構造のトランジスタであれば、のちに形成するゲート絶縁層108は上述した下地絶縁層104としての機能を有するため、下地絶縁層104を設けない構成としてもよい。
【0034】
下地絶縁層104は、のちに形成するゲート絶縁層108に適用できる材料を用いて単層又は積層として設けられている。
【0035】
ゲート電極層106は、下地絶縁層104上に設けられている。ゲート電極層106の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料、又はこれら金属の窒化物を用いて、単層で又は積層の導電膜で形成される。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウム又は銅を用いることもできる。アルミニウム又は銅は、耐熱性及び腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いるとよい。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0036】
例えば、積層のゲート電極層106として、アルミニウム膜上にモリブデン膜が積層された二層構造、又は銅膜上にモリブデン膜が積層された二層構造、又は銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜が積層された二層構造、窒化チタン膜とモリブデン膜とが積層された二層構造が好ましい。さらに、積層のゲート電極層106として、アルミニウム膜、アルミニウムとシリコンの合金膜、アルミニウムとチタンの合金膜又はアルミニウムとネオジムの合金膜を中間層とし、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜又はチタン膜を上下層として積層された三層構造とすることが好ましい。
【0037】
また、ゲート電極層106には、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸化窒化亜鉛アルミニウム、又は酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜、もしくは多結晶シリコンを用いることができる。
【0038】
ゲート電極層106の厚さは、特に限定はなく、金属材料、合金材料、又はその他の化合物からなる導電膜の電気抵抗や、作製工程にかかる時間を考慮し、適宜決めることができる。例えば、10nm〜500nmで形成すればよい。
【0039】
ゲート絶縁層108は、ゲート電極層106を覆って設けられている。ゲート絶縁層108は、酸化物半導体層110と接するため、ゲート絶縁層108の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とし、且つフッ素濃度を1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上とする。
【0040】
さらにゲート絶縁層108は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルなどを材料とした酸化物絶縁層を用いて、単層又は積層で設ける。また、ゲート絶縁層108の厚さは、絶縁耐圧、及びトランジスタの作製工程を考慮して、適宜決めることができる。例えば、ゲート絶縁層108の厚さは、1nm以上300nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下とするとよい。
【0041】
特に、ゲート絶縁層108は、プラズマCVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法で設けた酸化シリコン層とすることができる。
【0042】
プラズマCVD法とは、プラズマCVD装置内の反応室に、原料となる堆積性ガスを供給し、プラズマエネルギーを援用して、膜を形成する方法である。
【0043】
プラズマCVD装置は、高周波電源を用いる容量結合型高周波プラズマCVD装置や、誘導結合型高周波プラズマCVD装置、マイクロ波発生源であるマグネトロン及び誘電体を有し、マイクロ波を用いてプラズマを発生させるマイクロ波プラズマCVD装置(電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD装置)その他、ヘリコン波プラズマCVD装置などがあり、本明細書中のプラズマCVD法においては、グロー放電プラズマを膜形成に利用するCVD装置を適宜用いることができる。また、プラズマCVD法は、基板を加熱しながら行うことができる。
【0044】
原料となる堆積性ガスは、分子構造に水素が含まれていないガスによって形成されている。
【0045】
つまり、堆積性ガスとしてSiHではなく、SiFを用いる。さらに、酸化させるためのガスについて、水素や水の含有量が低いNO又はOとし、プラズマの広がりを考慮してアルゴンなどその他に添加するガスにおいても、水素や水の含有量が低いガスを用いる。
【0046】
さらに、プラズマCVD法で酸化シリコン層を形成する際に、プラズマCVD装置の反応室内に残留している又は反応室の内壁に吸着している水素や水などの不純物を除去したのち、反応室の内壁を加熱しながら、上記ガスを用いて形成する。このようにすることで、水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、フッ素濃度が1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上である酸化シリコン層をプラズマCVD法で形成することができる。
【0047】
また、ゲート電極層106上に、フッ素を含有する酸化シリコン層を形成する際に生成するフッ素により、ゲート電極層106をエッチングする可能性があるが、ゲート絶縁層108を二層とすることで、これを防ぐことができる。その際、ゲート電極層106と接する第1のゲート絶縁層は、フッ素濃度が1×1020atoms/cm未満であるような、フッ素含有量の低い絶縁層とする。そして、酸化物半導体層110と接する第2のゲート絶縁層は、SiFガスを用いた酸化シリコン層のような、フッ素濃度が1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上である絶縁層とする。第1のゲート絶縁層の水素濃度は、特に限定はないが、第2のゲート絶縁層の水素濃度は、酸化物半導体層110と接することを考慮してできるだけ低いことが好ましい。例えば、第2のゲート絶縁層の水素濃度は6×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とすることが好ましい。該水素濃度とすることで酸化物半導体層110に水素が拡散することを抑制できる。さらに、第1のゲート絶縁層は、第2のゲート絶縁層(例えば、上記のようにSiFガスを用いた酸化シリコン層)を形成する際に、消失しない厚さで形成する。なお、第1のゲート絶縁層には、ゲート絶縁層108で例示した酸化物絶縁層を用いることができる。
【0048】
チャネル領域を形成する酸化物半導体層110は、ゲート絶縁層108上に設けられている。また、酸化物半導体層110の厚さは、10nm〜300nm、好ましくは20nm〜100nmとする。
【0049】
酸化物半導体層110は、In、Ga、及びZnを含むIn−Ga−Zn−O系金属酸化物を材料として用いた非単結晶膜より設けられ、InMO(ZnO)(m>0)で表記される構造とする。なお、Mは、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)若しくはコバルト(Co)から選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。例えばMとして、Gaの場合があることの他、GaとNi又はGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。また、該金属酸化物において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、又は該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。そして、酸化物半導体層110として設けられる該金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、金属酸化物ターゲット中の金属酸化物の相対密度は80%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99.9%以上とする相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いる。
【0050】
具体的には、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系金属酸化物、In−Sn−Zn−O系金属酸化物、In−Al−Zn−O系金属酸化物、Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、Al−Ga−Zn−O系金属酸化物、Sn−Al−Zn−O系金属酸化物や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系金属酸化物、Sn−Zn−O系金属酸化物、Al−Zn−O系金属酸化物、Zn−Mg−O系金属酸化物、Sn−Mg−O系金属酸化物、In−Mg−O系金属酸化物や、In−O系金属酸化物、Sn−O系金属酸化物、Zn−O系金属酸化物などを用いて形成することができる。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系金属酸化物とは、少なくともInとGaとZnとを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。また、酸化物半導体層110に酸化シリコンを含んでもよい。
【0051】
ソース電極層112a及びドレイン電極層112bは、ゲート絶縁層108及び酸化物半導体層110上に設けられている。なお、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bは、ゲート電極層106で例示した材料を用いて形成すればよい。ソース電極層112a及びドレイン電極層112bの厚さについても、ゲート電極層106の説明をもとに適宜選択すればよい。
【0052】
パッシベーション膜、又は層間絶縁膜として機能する絶縁層114は、ソース電極層112a、ドレイン電極層112b、及び酸化物半導体層110を覆って設けられている。
【0053】
絶縁層114は、ゲート絶縁層108と同様に、プラズマCVD法で形成することができる。酸化物半導体層110の上面一部と接するため、ゲート絶縁層108と同様の酸化シリコン層を用いることで、絶縁層114から放出される水素量が低減すると共に、酸化物半導体層110内に存在する水素を脱離させることができるため、酸化物半導体層110内の水素含有量を低減させることができる。
【0054】
絶縁層114の膜厚は、ゲート絶縁層108と同様に、フッ素を含有する酸化シリコン層を形成する際に生じるフッ素により、ソース電極層112a及びドレイン電極層112bがエッチングされる可能性を考慮して、適宜決めればよい。
【0055】
なお、絶縁層114には、水素含有量のみを低くした絶縁層を用いてもよい。例えば、酸化シリコン層を以下のようなスパッタリング法で形成すればよい。具体的には、Siターゲット又はSiOターゲットなどを用いて形成する。好ましくは、SiOターゲット、より好ましくは、SiOターゲットに含まれる水酸基濃度が1000ppm以下、又はSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定した水素濃度が3.5×1019atoms/cm以下であるSiOターゲットを用いる。さらに、形成する際に供給するガスは、アルゴン等の希ガス、及び酸素とする。そして、形成する際に供給するガスは、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0056】
ここで、酸化物半導体層110と接するゲート絶縁層108、及び絶縁層114にフッ素を含有した絶縁層を用いることで、酸化物半導体層110内に存在する水素を脱離させる効果について、量子化学計算により説明する。
【0057】
本実施の形態で示す量子化学計算には、ガウス(Gauss)基底を用いた密度汎関数法(Density Functional Theory:DFT)を用いている。密度汎関数法では、交換相関相互作用を電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数で近似しているため、計算は高速かつ高精度である。本実施の形態では、混合汎関数であるB3LYPを用いて、交換と相関エネルギーに係る各パラメータの重みを規定する。
【0058】
また、全ての原子に適用する基底関数は、それぞれの原子価軌道に三つの短縮関数を用いたtriple split valence基底系の基底関数である6−311Gとする。この基底関数により、水素原子であれば、1s〜3sの軌道が考慮され、酸素原子であれば、1s〜4s、2p〜4pの軌道が考慮される。さらに、計算精度向上のために、分極基底系として、水素原子にはp関数を、水素原子以外にはd関数を加える。そして、量子化学計算プログラムには、コンフレックス株式会社製のGaussian 09を用いる。
【0059】
本実施の形態において、酸化物半導体層110に存在する水素原子は、酸素原子や金属原子と結合して、下記構造式(α−1)、及び構造式(α−2)であると仮定している。下記構造式(α−1)、及び構造式(α−2)では、配位結合は考慮せず、イオン結合のみを考慮している。本実施の形態における酸化物半導体層110は、上記したIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む金属酸化物(酸化物半導体)としているが、下記構造式(α−1)、及び構造式(α−2)で示す金属原子は、Ga(ガリウム)としている。
【0060】
【化1】

【0061】
フッ素原子が、酸化物半導体層110内の水素を脱離させる過程としては、(式1)及び(式2)に示した水素を引き抜く反応がある。
【0062】
【化2】

【0063】
【化3】

【0064】
(式1)では、フッ素ラジカルが、水酸基の水素原子と反応して、HF(フッ化水素)分子を形成し、(式2)では、フッ素ラジカルが、ガリウム原子と結合している水素原子と反応してHF(フッ化水素)分子を形成する。なお、(式1)及び(式2)における「・」は、ラジカルを表す。
【0065】
本量子化学計算では、上記構造式(α−1)及び構造式(α−2)において、図2に示す簡易的なクラスターモデルを用いて行い、上記反応についての活性化エネルギーを算出し、反応の起こりやすさを評価している。
【0066】
(式1)の反応について量子化学計算を行い、解析した反応経路と、エネルギーダイアグラムを図3に示す。
【0067】
図3において、始状態(1)では、フッ素ラジカルは、点線で囲まれた反応物に対して無限遠に離れている状態である。また、図3に示したエネルギーダイアグラムでは、始状態(1)のエネルギーを基準とする。中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近して、Ga−O結合が切断し、水酸基ラジカルが生成し、Ga−F結合が形成される。この反応により、中間体(2)のポテンシャルエネルギーが−1.67eVとなる。中間体(3)では、水酸基ラジカルの水素原子が、フッ素原子により引き抜かれ、HF分子を生成する。中間体(2)及び中間体(3)のポテンシャルエネルギー差である活性化エネルギーは、0.61eVと算出される。中間体(4)では、酸素ラジカルとHF分子が相互作用しており、終状態(5)では、HF分子は、一点破線で囲まれた生成物に対して無限遠に離れている状態である。
【0068】
中間体(2)において、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近することで、Ga−O結合が切断し、Ga−F結合が形成されることは、Ga−O結合の結合エネルギーが4.37eVであり、Ga−F結合の結合エネルギーが5.31eVであることに起因している。ここでのGa−O結合の結合エネルギーとは、ガリウム原子に水酸基が結合している状態(図4(A)参照)のポテンシャルエネルギーと、水酸基ラジカルが、無限遠に離れている状態(図4(B)参照)のポテンシャルエネルギーの差を算出した値である。ここでのGa−F結合の結合エネルギーとは、ガリウム原子にフッ素が結合している状態(図4(C)参照)のポテンシャルエネルギーと、フッ素ラジカルが、無限遠に離れている状態(図4(D)参照)のポテンシャルエネルギー差を算出した値である。
【0069】
(式1)に示した酸化物半導体層110内の水素を引き抜く反応は、始状態(1)と終状態(5)のエネルギー差から、発熱反応であることがわかる。それゆえ、水素を引き抜く反応が容易に進行するといえる。
【0070】
次に、(式2)の反応について量子化学計算をし、解析した反応経路と、エネルギーダイアグラムを図5に示す。
【0071】
図5において、始状態(1)では、フッ素ラジカルは、点線で囲まれた反応物に対して無限遠に離れている状態である。また、図5に示したエネルギーダイアグラムでは、始状態(1)のエネルギーを基準としている。中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近して、Ga−H結合が切断し、水素ラジカルが生成し、Ga−F結合を形成する。この反応により、中間体(2)のポテンシャルエネルギーが−1.99eVとなる。遷移状態(3)では、水素ラジカルがフッ素原子と結合して、HF分子を形成する。中間体(2)及び中間体(3)のポテンシャルエネルギー差である活性化エネルギーは0.45eVと算出される。中間体(4)では、ガリウム原子に結合している酸素原子とHF分子が相互作用しており、終状態(5)では、HF分子は、一点破線で囲まれた生成物に対して無限遠に離れている状態である。
【0072】
(式1)と同様に、中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近すると、Ga−H結合が切れて、Ga−F結合が形成されることは、(式1)で説明した理由と同様にGa−F結合のほうが、Ga−H結合よりも結合エネルギーの観点から、安定であることに起因している。
【0073】
(式2)に示した酸化物半導体層110内の水素を引き抜く反応においても、始状態(1)と終状態(5)のエネルギー差から、発熱反応であることがわかる。それゆえ、水素を引き抜く反応が容易に進行するといえる。
【0074】
以上より、酸化物半導体層110と接するゲート絶縁層108及び、絶縁層114に、フッ素を含有した絶縁層を用いることで、酸化物半導体層110内に存在する水素を脱離させることができる。
【0075】
〈トランジスタ100の作製方法〉
ここで、トランジスタ100の具体的な作製方法について図6を用いて説明する。
【0076】
基板102上に下地絶縁層104を形成する。基板102及び下地絶縁層104は、上記に記載したものを用いることができ、本実施の形態では、基板102にガラス基板を用いる。下地絶縁層104は、プラズマCVD法でも形成することができるが、本半導体装置の作製方法では、ターゲットをSiOとし、形成する際の供給するガスをアルゴン等の希ガス及び、酸素として、RFスパッタリング法で酸化シリコン層を200nm形成する。
【0077】
次いで、ゲート電極層106として機能する導電膜を形成する。該導電膜として、本半導体装置の作製方法では、チタンターゲットを用いたDCスパッタリング法で厚さ150nmのチタン膜を形成する。その後、第1のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、厚さ150nmのゲート電極層106を形成する。
【0078】
該導電膜のエッチングには、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれを用いてもよい。なお、素子の微細化という観点からはドライエッチングを用いるのが好適である。エッチングガスやエッチング液については被エッチング材料に応じて適宜選択する。
【0079】
なお、ゲート電極層106の側面はテーパ形状とすることが好ましい。ゲート電極層106上には、後の工程で酸化物半導体膜、ソース電極層及びドレイン電極層となる導電膜を形成するので、段差の箇所における配線切れ防止のためである。ゲート電極層106の側面をテーパ形状とするためにはレジストマスクを後退させつつエッチングを行えばよい。
【0080】
次いで、ゲート絶縁層108を形成する。上記したように、プラズマCVD法で形成する。プラズマCVD装置内の反応室の内壁を加熱して、反応室の内壁から不純物を放出させる。その後、反応室内に残留している又は反応室の内壁から放出させた不純物を、三フッ化窒素(NF)などのフッ素化合物を用いたプラズマクリーニングで除去する。また、本実施の形態では、高周波電源を用いた容量結合型プラズマCVD装置を用いる。
【0081】
プラズマCVD装置内の反応室の内壁を加熱する温度は、100℃以上350℃以下として、好ましくは100℃以上125℃以下とすることがよく、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上行うことがよい。また、ここでの加熱工程は、排気しながら行うことも可能である。
【0082】
上記プラズマクリーニングの方法に特別な限定はない。本半導体装置の作製方法では、クリーニングを行う反応室にて、プラズマ生成を行い、クリーニングをする方法について例示するが、クリーニングを行う反応室の外部にて、あらかじめプラズマ生成を行い、該生成したプラズマを反応室に供給して、クリーニングをするリモートプラズマクリーニングであってもよい。
【0083】
本半導体装置の作製方法におけるプラズマクリーニングは、プラズマ処理工程と排気工程からなり、具体的なプラズマクリーニング条件としては、三フッ化窒素(NF)を400sccm〜2000sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力を10Pa〜200Paに調整し、電極間隔は、15mm〜60mmに調整し、13.56MHz〜60MHzの高周波電源にて500W〜2000Wの電力(単位電極面積あたりの電力(パワー密度)としては1W/cm〜4W/cm)を出力することでプラズマを生成し、5分〜10分の間処理することがよい。より好ましいプラズマクリーニング条件としては、三フッ化窒素(NF)を600sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力は70Pa程度とし、電極間隔は50mmに調整し、60MHzの高周波電源にて900W(パワー密度に換算すると約1.8W/cm)を7分間出力することである。
【0084】
その後、堆積性ガスとして、SiFを、さらに、酸化させるためのガスとしてNOを、添加ガスとしてアルゴンを、反応室に供給し、プラズマエネルギーを援用して、酸化シリコン膜を200nm形成する。また、ゲート絶縁層108を2層とする場合は、ゲート電極層106と接する第1のゲート絶縁層に、堆積性ガスとしてSiHを用いた酸化シリコン膜を150nm形成し、酸化物半導体層110と接する第2のゲート絶縁層に、堆積性ガスとしてSiFガスを用いた酸化シリコン膜を50nm形成すればよい。
【0085】
ここまでの工程で得られた構成を図6(A)に示す。
【0086】
次いで、厚さ50nmの酸化物半導体膜を、スパッタリング法で形成する。酸化物半導体膜は、ゲート絶縁層108と接して形成されるため、ゲート絶縁層108に含有しているフッ素が、酸化物半導体膜中に存在する水素を脱離させる。本実施の形態では、スパッタリング法を用いるが、真空蒸着法、パルスレーザ堆積法、CVD法などを用いて形成してもよい。
【0087】
酸化物半導体膜は、上記列挙した金属酸化物を用いることが出来る。本半導体装置の作製方法では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む酸化物半導体ターゲット(モル数比がIn:Ga:ZnO=1:1:1、又はIn:Ga:ZnO=1:1:2)を用いたスパッタリング法により得られる、厚さ50nmのIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を用いる。さらに、本半導体装置の作製方法では、DCスパッタリング法を用い、アルゴンの流量30sccmとし、酸素の流量15sccmとし、基板温度は室温(15℃から35℃)とする。
【0088】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法で形成する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことが好ましい。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0089】
酸化物半導体膜を形成する際には、例えば、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板の温度が100℃以上550℃未満、好ましくは200℃以上400℃以下となるように基板を熱する。又は、酸化物半導体膜を形成する際の基板の温度は、室温(15℃から35℃)としてもよい。そして、処理室内の水分を除去しつつ、水素や水などが除去されたスパッタリングガスを導入し、酸化物半導体ターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成する。基板を熱しながら酸化物半導体膜を形成することにより、酸化物半導体膜に含まれる不純物を低減することができる。また、スパッタによる損傷を軽減することができる。処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどを用いることができる。また、ターボポンプにコールドトラップを加えたものを用いてもよい。クライオポンプなどを用いて排気することで、処理室から水素や水などを除去することができるため、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減できる。その後、第2のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、島状に加工された酸化物半導体層109を形成する。
【0090】
ここまでの工程で得られた構成を図6(B)に示す。
【0091】
次いで、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気(窒素、もしくはヘリウム、ネオン、又はアルゴン等)下、或いは大気圧下の露点がマイナス60℃以下の、水分含有量が少ない空気下において、酸化物半導体層109に加熱処理を施しても良い。具体的には、大気雰囲気下において、100℃以上400℃以下で、10分間以上、好ましくは350℃、60分間の加熱処理で行うことである。酸化物半導体層109に加熱処理を施すことで、水分、水素が脱離した酸化物半導体層110が形成される。この際においても、ゲート絶縁層108に含有しているフッ素が、酸化物半導体膜内に存在する水素を脱離させる。さらに、ゲート絶縁層108から、酸化物半導体層110の欠陥に酸素が供給される。
【0092】
また、不活性ガス雰囲気(窒素、もしくはヘリウム、ネオン、又はアルゴン等)下において、500℃以上750℃以下(又はガラス基板の歪点以下の温度)で1分間以上10分間以下程度、好ましくは600℃、3分間以上6分間以下程度のRTA(Rapid Thermal Anneal)処理で行うことができる。なお、RTA法を用いれば、短時間に脱水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。加熱処理においては、不活性ガスは、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分、水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、もしくはヘリウム、ネオン、又はアルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0093】
なお、上記加熱処理を行うタイミングは、島状の酸化物半導体層109形成後に限らず、島状の酸化物半導体層109を形成する前の酸化物半導体膜に対して行ってもよい。また、上記加熱処理は、複数回行ってもよい。
【0094】
上記加熱処理の別の方法として、大気雰囲気下において、基板温度が設定温度の350℃に達した状態で60分間、加熱処理を行う。加熱処理は、電気炉を用いた加熱方法、加熱した気体を用いるGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法又はランプ光を用いるLRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法などの瞬間加熱方法などを用いることができる。例えば、電気炉を用いて加熱処理を行う場合、昇温特性を0.1℃/min以上20℃/min以下、降温特性を0.1℃/min以上15℃/min以下とすることが好ましい。
【0095】
不活性ガス雰囲気下における加熱処理後の、酸化物半導体層110は、非晶質であることが好ましいが、一部結晶化していてもよい。
【0096】
ここで、酸化物半導体層110の露出した表面に、酸素、オゾン、一酸化二窒素を用いて、プラズマ処理を施しても良い。プラズマ処理をすることで、酸化物半導体層110の欠陥に酸素を供給することができる。
【0097】
ここまでの工程で得られた構成を図6(C)に示す。
【0098】
次いで、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電膜を形成し、第3のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い、ソース電極層112a、ドレイン電極層112bを形成する。該導電膜は、ゲート電極層106と同様のものとすることができる。本半導体装置の作製方法では、チタンターゲットを用いたスパッタリング法で厚さ150nmのチタン膜を形成し、第3のフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程により、ソース電極層112a、ドレイン電極層112bを形成した。
【0099】
この後、ソース電極層112a及びドレイン電極層112b上に、ゲート絶縁層108と同様にして、絶縁層114を形成する。なお、本実施の形態では、絶縁層114として厚さ50nmの酸化シリコン層を形成した。
【0100】
なお、絶縁層114を形成した後に、加熱処理を施してもよい。該加熱処理は大気雰囲気下、又は不活性ガス雰囲気(窒素、もしくはヘリウム、ネオン、又はアルゴン等)下において行う。好ましくは200℃以上400℃以下で行うこととし、本実施の形態では、大気雰囲気下で350℃、1時間の加熱処理を行う。ここまでの工程を経て得られた構成を図6(D)に示す。
【0101】
以上より、本実施の形態に示す半導体装置において、水素濃度が低減され、フッ素を含有したゲート絶縁層を用いることで、該ゲート絶縁層から酸化物半導体層に水素が拡散することを抑制でき、該酸化物半導体層内に存在する水素を脱離させ、該酸化物半導体層の水素含有量を低減させることができる。したがって、本実施の形態に示す半導体装置は良好な電気特性を有する半導体装置である。
【0102】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0103】
(実施の形態2)
上記実施の形態で説明したトランジスタを作製し、該トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、トランジスタを用いた駆動回路の一部又は全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。また、上記実施の形態で記載した酸化物半導体材料を用いたトランジスタで、メモリセルを含んだ半導体装置を作製することもできる。
【0104】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流又は電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0105】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を形成した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0106】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0107】
(実施の形態3)
上記実施の形態に記載したトランジスタの作製方法で作製したトランジスタからなる表示装置を、電子インクを駆動させて表示する電子ペーパーに適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、デジタルサイネージ、PID(Public Information Display)、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図7に示す。
【0108】
図7は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701及び筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701及び筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0109】
筐体2701には表示部2705及び光電変換装置2706が組み込まれ、筐体2703には表示部2707及び光電変換装置2708が組み込まれている。表示部2705及び表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図7では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図7では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0110】
また、図7では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、又はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0111】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0112】
(実施の形態4)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などがある。
【0113】
図8(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0114】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0115】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0116】
図8(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0117】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0118】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0119】
図9は携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【0120】
図9の携帯型のコンピュータは、上部筐体9301と下部筐体9302とを接続するヒンジユニットを閉状態として表示部9303を有する上部筐体9301と、キーボード9304を有する下部筐体9302とを重ねた状態とすることができ、持ち運ぶことが便利であるとともに、使用者がキーボード入力する場合には、ヒンジユニットを開状態として、表示部9303を見て入力操作を行うことができる。
【0121】
また、下部筐体9302はキーボード9304の他に入力操作を行うポインティングデバイス9306を有する。また、表示部9303をタッチ入力パネルとすれば、表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。また、下部筐体9302はCPUやハードディスク等の演算機能部を有している。また、下部筐体9302は他の機器、例えばUSBの通信規格に準拠した通信ケーブルが差し込まれる外部接続ポート9305を有している。
【0122】
上部筐体9301には更に上部筐体9301内部にスライドさせて収納可能な表示部9307を有しており、広い表示画面を実現することができる。また、収納可能な表示部9307の画面の向きを使用者は調節できる。また、収納可能な表示部9307をタッチ入力パネルとすれば、収納可能な表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。
【0123】
表示部9303又は収納可能な表示部9307は、液晶表示パネル、有機発光素子又は無機発光素子などの発光表示パネルなどの映像表示装置を用いる。
【0124】
また、図9の携帯型のコンピュータは、受信機などを備えた構成として、テレビ放送を受信して映像を表示部9303又は表示部9307に表示することができる。また、上部筐体9301と下部筐体9302とを接続するヒンジユニットを閉状態としたまま、表示部9307をスライドさせて画面全面を露出させ、画面角度を調節して使用者がテレビ放送を見ることもできる。この場合には、ヒンジユニットを開状態として表示部9303を表示させることなく、さらにテレビ放送を表示するだけの回路の起動のみを行うため、最小限の消費電力とすることができ、バッテリー容量の限られている携帯型のコンピュータにおいて有用である。
【実施例1】
【0125】
本実施例では、実施の形態1で説明した半導体装置(具体的にはトランジスタのゲート絶縁層など)に適用できる酸化シリコン膜(試料A)を作製し、試料Aに含まれる水素濃度、及びフッ素濃度について評価した。
【0126】
はじめに、試料Aの作製方法について説明する。試料AはプラズマCVD法を用いて作製した。
【0127】
プラズマCVD装置の反応室の内壁温度が、115℃となるように60分間加熱し、反応室内に残留又は吸着している、不純物を含むガスを放出させた。
【0128】
次に、三フッ化窒素(NF)を600sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力は70Pa程度とし、ギャップ間隔は50mmに調整し、60MHzの高周波電源にて900Wの電力を7分間出力し、反応室内の内壁を115℃に加熱したまま、プラズマクリーニングを行い、不純物を含むガスを除去した。なお、本実施例で用いたプラズマCVD装置における電極面積は490cmである。
【0129】
プラズマクリーニング後、反応室の内壁温度を115℃に加熱しながら、酸化シリコン膜をシリコンウエハ上に、膜厚200nm狙いで形成した。この際、シリコンを含む堆積性ガスとしてフッ化シラン(SiF)を6sccmの流量で、添加ガスとして二窒化酸素(NO)を1000sccmの流量で、不活性ガスとしてArを1000sccmの流量で、反応室内に供給し、反応室内の圧力を133Paに調整し、ギャップ間隔は10mmに調整し、酸化シリコン膜が形成されるシリコンウエハの温度を400℃に調整し、60MHzの高周波電源にて800Wの出力により、酸化シリコン膜を形成した。
【0130】
次に、試料AにおけるSIMS測定を行い、その結果を図10に示した。図10において、縦軸は試料Aに含まれる水素濃度、又はフッ素濃度を表し、横軸は、試料Aの酸化シリコン膜表面から基板方向への深さを表している。また、試料Aの水素濃度プロファイルを実線で示し、試料Aのフッ素濃度プロファイルを破線で示す。試料Aにおいて、横軸10nmから120nmを定量範囲とし、横軸200nm以上はシリコンウエハを表している。
【0131】
図10より、試料Aの水素濃度は、定量範囲において、3.4×1019atoms/cm以下であり、試料Aのフッ素濃度は、定量範囲において、9.2×1020atoms/cm以上であることが確認された。
【0132】
以上より、フッ化シラン(SiF)を用いて形成することによって、水素濃度が低減され、かつ酸化物半導体層から水素を脱離させることができるフッ素濃度を有する酸化シリコン層を形成することができる。本実施例に示した酸化シリコン膜を半導体装置(具体的にはトランジスタのゲート絶縁層など)に適用することで、良好な電気特性を有する半導体装置(トランジスタ)を作製することができる。
【符号の説明】
【0133】
100 トランジスタ
102 基板
104 下地絶縁層
106 ゲート電極層
108 ゲート絶縁層
109 酸化物半導体層
110 酸化物半導体層
112a ソース電極層
112b ドレイン電極層
114 絶縁層
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2706 光電変換装置
2707 表示部
2708 光電変換装置
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
9301 上部筐体
9302 下部筐体
9303 表示部
9304 キーボード
9305 外部接続ポート
9306 ポインティングデバイス
9307 表示部
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、
前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層の間に形成されるゲート絶縁層と、を有し、
前記ゲート絶縁層の水素濃度は6×1020atoms/cm未満であり、
前記ゲート絶縁層のフッ素濃度は1×1020atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ゲート絶縁層は、酸化物絶縁層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記酸化物絶縁層は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
ゲート電極層と、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、
前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層の間に形成されるゲート絶縁層と、
前記酸化物半導体層を介して前記ゲート絶縁層と対向し、且つ前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、を有し、
前記ゲート絶縁層の水素濃度及び前記絶縁層の水素濃度は、6×1020atoms/cm未満であり、
前記ゲート絶縁層のフッ素濃度及び前記絶縁層のフッ素濃度は、1×1020atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ゲート絶縁層及び前記絶縁層は、酸化物絶縁層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記酸化物絶縁層は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、前記ゲート電極層に重畳して、且つ前記ゲート絶縁層上に設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
ゲート電極層と、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、
前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層の間に形成される第1のゲート絶縁層及び第2のゲート絶縁層と、を有し、
前記第1のゲート絶縁層は、前記ゲート電極層を覆って設けられ、
前記第2のゲート絶縁層は、前記第1のゲート絶縁層を覆って、且つ前記酸化物半導体層と接して設けられ、
前記第2のゲート絶縁層の水素濃度は6×1020atoms/cm未満であり、
前記第2のゲート絶縁層のフッ素濃度は1×1020atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第2のゲート絶縁層は、酸化物絶縁層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記酸化物絶縁層は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
ゲート電極層と、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、
前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層の間に形成される第1のゲート絶縁層および第2のゲート絶縁層と、
前記酸化物半導体層を介して前記第1のゲート絶縁層及び前記第2のゲート絶縁層と対向し、且つ前記酸化物半導体層に接する絶縁層と、を有し、
前記第1のゲート絶縁層は、前記ゲート電極層を覆って設けられ、
前記第2のゲート絶縁層は、前記第1のゲート絶縁層を覆って、且つ前記酸化物半導体層と接して設けられ、
前記第2のゲート絶縁層の水素濃度及び前記絶縁層の水素濃度は、6×1020atoms/cm未満であり、
前記第2のゲート絶縁層のフッ素濃度及び前記絶縁層のフッ素濃度は、1×1020atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記第2のゲート絶縁層及び前記絶縁層は、酸化物絶縁層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記酸化物絶縁層は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、又は酸化タンタルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項8乃至請求項13のいずれか一において、
第1のゲート絶縁層におけるフッ素濃度は、1×1020atoms/cm未満であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項8乃至請求項14のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、前記ゲート電極層と重畳し、且つ前記第2のゲート絶縁層上に設けられることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23360(P2012−23360A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134475(P2011−134475)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】