半導体製造装置及びパーティクルトラップ
【課題】半導体製造装置及びパーティクルトラップにおいて、効果的にパーティクルを低減すること。
【解決手段】半導体基板Wを収容するチャンバ2と、チャンバ2内を減圧する減圧ポンプ7と、チャンバ2と減圧ポンプ7の間に設けられ、減圧ポンプ7の吸入流路Qを画定する管23を備えたパーティクルトラップ21とを有し、管23の吸入側の開口端23bを自由端にして、該開口端23bの開放方向Dを調節自在にした半導体製造装置による。
【解決手段】半導体基板Wを収容するチャンバ2と、チャンバ2内を減圧する減圧ポンプ7と、チャンバ2と減圧ポンプ7の間に設けられ、減圧ポンプ7の吸入流路Qを画定する管23を備えたパーティクルトラップ21とを有し、管23の吸入側の開口端23bを自由端にして、該開口端23bの開放方向Dを調節自在にした半導体製造装置による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置及びパーティクルトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置は、エッチングやCVD(Chemical Vapor Deposition)等の様々なプロセスを経て製造される。これらのプロセスは半導体製造装置のチャンバ内で行われるが、そのチャンバ内でパーティクルが発生するとゲート電極等のデバイスパターンに不良が発生し、半導体装置の歩留まりが低下してしまう。
【0003】
そのようなパーティクルを低減するために、チャンバを減圧するポンプの吸入口に固定フィンを設け、その固定フィンでパーティクルを捕獲する方法が提案されている。但し、この方法では、固定フィンの向きが固定されてしまっているため、パーティクルを減少させるに最適な方向に固定フィンを向けることができず、パーティクルを低減する効果が十分に発揮できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−299036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造装置及びパーティクルトラップにおいて、効果的にパーティクルを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の開示の一観点によれば、半導体基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にした半導体製造装置が提供される。
【0007】
また、その開示の他の観点によれば、減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたパーティクルトラップが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以下の開示によれば、パーティクルトラップが備える管によってパーティクルを捕獲できると共に、その管の吸入側の開口端を自由端にしたことで、管からチャンバにパーティクルが到達し難い最適な方向にその開口端の開放方向を向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、半導体製造装置の構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係るパーティクルトラップの斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る管の側面図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る調節機構の構成図である。
【図6】図6は、第1実施形態において、調節機構で管23を湾曲させた場合の図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係るパーティクルトラップの原理について説明するための模式図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係る管とその周囲の断面図である。
【図9】図9は、第2実施形態の別の例に係る管とその周囲の断面図である。
【図10】図10(a)は、第3実施形態に係るベースと管の一部切欠き斜視図であり、図10(b)は、第3実施形態に係る管をベースに固定したときの一部切欠き斜視図である。
【図11】図11は、第4実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態の基礎となる予備的事項について説明する。
【0011】
図1は半導体製造装置の構成図である。
【0012】
この半導体製造装置1は、プラズマCVDやプラズマエッチング等のように減圧下でプロセスを行うものであって、チャンバ2、下部電極3、上部電極4、延長チャンバ5、圧力制御バルブ6、減圧ポンプ7、及び制御部29を備える。
【0013】
このうち、下部電極3の上には半導体基板Wが載置され、上部電極4には高周波電源10から高周波電力が印加される。
【0014】
チャンバ2にはガス供給口2aが設けられており、そのガス供給口2aからプロセスガスGを導入しながら下部電極3と上部電極4との間に高周波電力を印加することによりチャンバ2内がプラズマ雰囲気となる。
【0015】
プロセスガスGはプロセスに応じて選択されるが、塩素系ガスやフッ素系ガスのようなハロゲンを含むガスをプロセスガスGとして使用することが多い。
【0016】
また、減圧ポンプ7は、例えばターボ分子ポンプであって、チャンバ2においてプロセスを行っているか否かによらず常に動作しており、それによりチャンバ2内が減圧状態に保たれる。
【0017】
チャンバ2内の圧力は圧力制御バルブ6により制御される。圧力制御バルブ6は開閉板8とアクチュエータ9とを備えており、アクチュエータ9により開閉板8の開きを制御することにより、チャンバ2内の圧力がプロセスに適した所定の圧力値に制御される。
【0018】
制御部29は、上記のアクチュエータ9に対して駆動信号SDを出力する。駆動信号SDは開閉板8の移動量Δxを含んでおり、開閉板8はその移動量だけ移動することになる。
【0019】
このような半導体製造装置においては、上記のように減圧ポンプ7によってチャンバ2内が常に減圧状態となる。特に、半導体基板Wに対してプロセスを行う前においては、ガス供給口2aからチャンバ2内にプロセスガスが供給されないため、チャンバ2や延長チャンバ5内には実質的にガスの流れが存在しない状態になる。
【0020】
この状態において延長チャンバ5内にパーティクルPが発生すると、パーティクルPはガスの流れに乗ることなく半導体製造装置1内を漂って半導体基板Wに付着し、そのパーティクルPが原因で半導体基板Wに作製される半導体装置が不良になってしまう。
【0021】
特に、プラズマCVD装置やプラズマエッチング装置においては、圧力制御バルブ6や減圧ポンプ7に、チャンバ2内でプロセスを行ったことが原因で反応生成物が付着している。反応生成物の例としては、AlF3等が挙げられる。
【0022】
その反応生成物は、減圧ポンプ7として使用されるターボ分子ポンプの回転翼や開閉板8の動きによって刺激され、パーティクルPとして舞い上がってしまう。
【0023】
以下に、実施形態について説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図2は、本実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。なお、図2において、図1で説明したのと同じ要素には図1におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0025】
この半導体製造装置20は、プラズマCVD装置又はプラズマエッチング装置であって、減圧ポンプ7の前段にパーティクルトラップ21を備える。
【0026】
パーティクルトラップ21はベース22と複数の管23を有しており、管23の各々によって減圧ポンプ7への吸入流路Qが確定される。なお、管23の外周側面は、チャンバ2内の雰囲気と同一の雰囲気に曝される。
【0027】
また、ベース22は、管23の外を流れるガスが減圧ポンプ7に入るのを防止して、吸入流路Qを管23の内側のみに制限するように機能する。
【0028】
図3は、パーティクルトラップ21の斜視図である。
【0029】
図3に示すように、管23は、ベース22の上に並列して複数設けられる。
【0030】
図4は、一つの管23の側面図である。
【0031】
図4に示すように、管23はベローズ等のフレキシブル管であって、その排気側の開口端23aがベース22に接続されると共に、吸入側の開口端23bが自由端となっており、当該開口端23bの開放方向Dが調節自在となっている。
【0032】
排気側の開口端23aはベース22に形成された孔22bに連通する。チャンバ2(図2参照)内のプロセスガスは、この孔22bを通って減圧ポンプ7に導入される。
【0033】
なお、管23の大きさは特に限定されない。本実施形態では、管23の外径を約10mmとし、管23の長さLを約50mmとする。
【0034】
また、管23の材料も限定されないが、耐腐食性に優れたステンレスを管23の材料として使用するのが好ましい。
【0035】
図5は、上記の開放方向Dを調節する調節機構30の構成図である。
【0036】
この調節機構30は、直線状の第1の制御棒31、屈曲した第2の制御棒32、第1のモータ33、及び第2のモータ34を有する。
【0037】
このうち、第1の制御棒31は、管23に形成された第1の孔23cに挿入されており、その挿入量が第1のモータ33によって調節される。
【0038】
第1の制御棒31の駆動方法は特に限定されない。例えば、第1の制御棒31の表面にネジ山を形成し、そのネジ山に嵌合したスクリューナットを第1のモータ33で回転させることにより、管23への第1の制御棒31の挿入量を調節し得る。
【0039】
一方、第2の制御棒32は、管23に形成された第2の孔23dに挿入される。そして、第2のモータ34の回転軸34aにより第2の制御棒32を巻き取ることで、管23への第2の制御棒32の挿入量が調節される。
【0040】
なお、第1の制御棒31と第2の制御棒32の材料は特に限定されないが、耐腐食性に優れたステンレス棒をこれらの制御棒として使用するのが好ましい。
【0041】
また、第1のモータ33と第2のモータ34の各々の回転数は、制御部29(図2参照)から出力される第1の制御信号S1と第2の制御信号S2によって制御される。
【0042】
そして、第1のモータ33と第2のモータ34の各々を駆動させたときにこれらのモータから発生するパーティクルがチャンバ2内に導入されないように、第1のモータ33と第2のモータ34の各々はベース22に埋め込まれている。
【0043】
図5の例では、第2の制御棒32と比較して第1の制御棒31を管23に深く挿入したため、直線状の第1の制御棒31によって管23の形状が直線状に矯正される。
【0044】
一方、図6は、管23の形状を湾曲させた場合の図である。
【0045】
このように管23を湾曲させるには、第1の制御棒31と比較して第2の制御棒32を管23に深く挿入し、管23の形状を屈曲した第2の制御棒32に倣わせればよい。
【0046】
上記のように第1の制御棒31と第2の制御棒32の挿入量を制御することにより、本実施形態では開放方向Dの向きを調節自在にすることが可能となる。
【0047】
次に、このパーティクルトラップ21の原理について説明する。
【0048】
図7は、パーティクルトラップ21の原理について説明するための模式図である。なお、図7では、ガス供給口2a(図2参照)からチャンバ2内にプロセスガスGが供給されておらず、チャンバ2内に実質的にガスの流れがない状態を例示している。
【0049】
既述のように、CVD装置やエッチング装置では、減圧ポンプ7や開閉板8において反応成生物が原因のパーティクルPが発生し、上記のようにガスの流れがない状態ではそのパーティクルPがチャンバ2に至る危険がある。
【0050】
本実施形態では、そのようなパーティクルPが発生した場合であっても、各管23の内壁にパーティクルPが捕獲されるため、チャンバ2にパーティクルPが到達する可能性を低減できる。
【0051】
特に、管23としてベローズを用いると、管23の節23fにパーティクルPを捕獲し易くなり、パーティクルPの飛散を効果的に抑制できる。
【0052】
また、管23の内壁にパーティクルPが繰り返し衝突するうちにパーティクルPの移動方向が鉛直方向nに揃えられるため、仮に管23からパーティクルPが飛び出しても、管23の横方向にあるチャンバ2(図2参照)にまでパーティクルPが到達し難くなる。
【0053】
更に、図7において点線で示すように、調節機構30(図5、図6参照)を用いて管23を曲げ、開口端23bの開放方向Dを鉛直方向nから傾けてもよい。
【0054】
管23からのパーティクルPの飛び出し易さは様々なパラメータで支配されると考えられる。そのようなパラメータとしては、チャンバ2内の圧力や下部電極3の温度の他に、上記の開放方向Dもある。
【0055】
そこで、チャンバ2においてプロセスを行う前に、管23の内面でパーティクルPを最も捕獲し易い最適な開放方向Dを実験により求めておき、プロセス時に各管23をその最適な開放方向Dに向けるのが好ましい。
【0056】
そのように開放方向Dを調節することにより、本実施形態では、開放方向Dが固定されている場合と比較して、管23によって効率的にパーティクルPを捕獲することができる。
【0057】
また、チャンバ2内の圧力や下部電極3の温度に応じてそのような最適な開放方向Dも変わると考えられる。そのため、実験により予めその開放方向Dを圧力や温度と対応づけておき、圧力や温度に応じて開放方向Dを変えるのが好ましい。
【0058】
特に、本実施形態では制御部29の制御下でその開放方向Dを自動で変えることができるため、手動で開放方向Dを変えるためにチャンバ2を大気開放する必要がなく、半導体製造装置1のメンテナンス時間を短縮することができる。
【0059】
なお、図7ではチャンバ2内にガスが実質的に存在しない場合を示したが、ガス供給口2aからチャンバ2内にプロセスガスを供給した場合でも、上記と同じ理由によりチャンバ2にパーティクルPが到達するのを防止できる。
【0060】
この場合は、ベース22によって吸入流路Qを管23内のみに制限したことで、ベース22を設けない場合と比較して管23内におけるガスの流速が速められる。例えば、管23内を通るガスの流量をM(m3/s)とし、管23の内側の断面積をA(m2)とすると、管23を流れるガスの流速V(m/s)はV=Q/Aとなることが知られている。よって、管23の断面積Aを小さくすればするほど流速Vが速くなる。
【0061】
本実施形態では、そのような速いガスの流れにより、パーティクルPが管23の吸気側に排出されるのを抑制でき、チャンバ2にパーティクルPが到達する危険性を一層低減できる。
【0062】
(第2実施形態)
本実施形態では、以下のように管23を加熱又は冷却する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る管23とその周囲の断面図である。なお、図8において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0064】
図8に示すように、本実施形態では管23の内面に加熱機構としてヒータ41を設ける。ヒータ41は、例えば電熱線であって、制御部29から出力される電流Iによって管23を約80℃〜100℃程度の温度に加熱する。
【0065】
反応生成物は管23の温度に敏感に反応する性質があり、上記のように管23を加熱するとその表面における反応生成物の生成過程が熱により阻害され、管23の内面23gに反応生成物が付着し難くなる。
【0066】
その結果、管23内に付着した反応生成物が原因でパーティクルが発生するのを効果的に抑制でき、半導体装置の歩留まり向上に寄与することができる。
【0067】
図9は、本実施形態の別の例に係る管23とその周囲の断面図である。図9において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、本例では管23の内面に冷却機構として水冷チューブ45を設けると共に、水冷チューブ45に冷却水Cを供給するチラー47を設ける。
【0069】
チラー47の設置場所は特に限定されないが、本実施形態では半導体工場のメンテナンスエリアにチラー47を設置する。
【0070】
チラー47で生成された冷却水Cは水冷チューブ45に供給され、これにより管23が約0℃〜40℃程度に冷却される。そして、管23を通った冷却水Cはチラー47に戻って冷却された後、再び管23を冷却するのに使用される。
【0071】
上記のように反応生成物は管23の温度に敏感に反応するが、室温(20℃)よりも低い温度に管23を冷却した場合には、反応生成物の生成過程が熱により阻害されず、管23の内面23gに多くの反応生成物が付着する。
【0072】
本例では、このような性質を利用して管23内に積極的に反応生成物を集めることにより、管23の外側においてパーティクルの発生源となる反応生成物が生成されるのを防止できる。
【0073】
なお、管23内に必要以上に反応性生物が付着するのを防止するため、本例のように管23を冷却する場合は、一定のメンテナンス周期で管23を洗浄するのが好ましい。
【0074】
(第3実施形態)
本実施形態では、以下のようにベース22に管23を脱着自在にする。
【0075】
図10(a)は、本実施形態に係るベース22と管23の一部切欠き斜視図である。なお、図10(a)において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0076】
図10(a)に示すように、本実施形態では、管23の外周側面に嵌合突起23xを設ける。
【0077】
また、ベース22には、開口22aと、嵌合凹部22yと、溝22zが形成される。このうち、開口22aは、管23が挿入される大きさに形成され、その平面形状は概略円形である。
【0078】
そして、嵌合凹部22yは、嵌合突起23xが嵌る大きさに形成されており、溝22zと連通する。溝22zは、開口22aの円周に沿って延在しており、後述のように嵌合突起23xと係合する。
【0079】
図10(b)は、ベース22に管23を固定したときの一部切欠き斜視図である。
【0080】
ベース22に管23を固定するには、嵌合凹部22yに嵌合突起23xを挿入した後、管23を回転させて溝22zに嵌合突起23xを係合させる。なお、ベース22から管23を外すには、これとは逆の手順を行えばよい。
【0081】
このように、本実施形態ではベース22に管23を脱着自在としたので、管23をベース22から外して操作性良く洗浄することができるようになり、洗浄後に管23の内面に反応生成物の洗い残しが発生し難くなる。
【0082】
更に、ドライバ等の工具を使用しなくても、溝22zに嵌合突起23を係合させるだけでベース22に管23を固定できるため、作業者の負担軽減にも資することができる。
【0083】
(第4実施形態)
第1実施形態では、延長チャンバ5を備えた半導体製造装置1について説明したが、本実施形態のように延長チャンバ5を省いてもよい。
【0084】
図11は、本実施形態に係る半導体製造装置50の構成図である。なお、図11において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、本実施形態ではチャンバ2の底部に複数のパーティクルトラップ21を設ける。
【0086】
各パーティクルトラップ21は排気配管51に接続される。排気配管51は減圧ポンプ7に接続されており、その減圧ポンプ7とパーティクルトラップ21との間には圧力制御バルブ6が設けられる。
【0087】
本実施形態でも、第1実施形態と同じ理由により、減圧ポンプ7や開閉板8で発生したパーティクルPを管23で捕獲することができ、パーティクルPがチャンバ2内に到達するのを防止できる。
【0088】
また、第1実施形態で説明したように、第1の制御信号S1と第2の制御信号S2で管23を湾曲させることにより、チャンバ2内にパーティクルPが到達し難くなるように管23の開放方向の向きを最適化してもよい。
【0089】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1) 半導体基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、
前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とする半導体製造装置。
【0091】
(付記2) 前記管はフレキシブル管であることを特徴とする付記1に記載の半導体製造装置。
【0092】
(付記3) 前記開口端の前記開放方向を調節する調節機構を更に有することを特徴とする付記2に記載の半導体製造装置。
【0093】
(付記4) 前記調節機構は、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を直線状に矯正する直線状の第1の制御棒と、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を湾曲させる屈曲した第2の制御棒とを有することを特徴とする付記3に記載の半導体製造装置。
【0094】
(付記5) 前記管に加熱機構が設けられたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0095】
(付記6) 前記管に冷却機構が設けられたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0096】
(付記7) 前記パーティクルトラップは、前記吸入流路を前記管の内側のみに制限するベースを更に有し、
前記管の排気側の開口端が前記ベースに接続されることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0097】
(付記8) 前記管は、前記ベースに脱着自在に設けられたことを特徴とする付記7に記載の半導体製造装置。
【0098】
(付記9) 前記管は、並列して複数設けられたことを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0099】
(付記10) 減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とするパーティクルトラップ。
【符号の説明】
【0100】
1、20、50…半導体製造装置、2…チャンバ、2a…ガス供給口、3…下部電極、4…上部電極、5…延長チャンバ、6…圧力制御バルブ、7…減圧ポンプ、8…開閉板、9…アクチュエータ、10…高周波電源、21…パーティクルトラップ、22…ベース、22a…開口、22y…嵌合凹部、22z…溝、23…管、23a、23b…開口端、23c…第1の孔、23d…第2の孔、23f…節、23g…内面、23x…嵌合突起、30…調節機構、31…第1の制御棒、32…第2の制御棒、33…第1のモータ、34…第2のモータ、34a…回転軸、41…ヒータ、45…水冷チューブ、47…チラー、51…排気配管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置及びパーティクルトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置は、エッチングやCVD(Chemical Vapor Deposition)等の様々なプロセスを経て製造される。これらのプロセスは半導体製造装置のチャンバ内で行われるが、そのチャンバ内でパーティクルが発生するとゲート電極等のデバイスパターンに不良が発生し、半導体装置の歩留まりが低下してしまう。
【0003】
そのようなパーティクルを低減するために、チャンバを減圧するポンプの吸入口に固定フィンを設け、その固定フィンでパーティクルを捕獲する方法が提案されている。但し、この方法では、固定フィンの向きが固定されてしまっているため、パーティクルを減少させるに最適な方向に固定フィンを向けることができず、パーティクルを低減する効果が十分に発揮できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−299036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造装置及びパーティクルトラップにおいて、効果的にパーティクルを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の開示の一観点によれば、半導体基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にした半導体製造装置が提供される。
【0007】
また、その開示の他の観点によれば、減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたパーティクルトラップが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以下の開示によれば、パーティクルトラップが備える管によってパーティクルを捕獲できると共に、その管の吸入側の開口端を自由端にしたことで、管からチャンバにパーティクルが到達し難い最適な方向にその開口端の開放方向を向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、半導体製造装置の構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係るパーティクルトラップの斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る管の側面図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る調節機構の構成図である。
【図6】図6は、第1実施形態において、調節機構で管23を湾曲させた場合の図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係るパーティクルトラップの原理について説明するための模式図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係る管とその周囲の断面図である。
【図9】図9は、第2実施形態の別の例に係る管とその周囲の断面図である。
【図10】図10(a)は、第3実施形態に係るベースと管の一部切欠き斜視図であり、図10(b)は、第3実施形態に係る管をベースに固定したときの一部切欠き斜視図である。
【図11】図11は、第4実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態の基礎となる予備的事項について説明する。
【0011】
図1は半導体製造装置の構成図である。
【0012】
この半導体製造装置1は、プラズマCVDやプラズマエッチング等のように減圧下でプロセスを行うものであって、チャンバ2、下部電極3、上部電極4、延長チャンバ5、圧力制御バルブ6、減圧ポンプ7、及び制御部29を備える。
【0013】
このうち、下部電極3の上には半導体基板Wが載置され、上部電極4には高周波電源10から高周波電力が印加される。
【0014】
チャンバ2にはガス供給口2aが設けられており、そのガス供給口2aからプロセスガスGを導入しながら下部電極3と上部電極4との間に高周波電力を印加することによりチャンバ2内がプラズマ雰囲気となる。
【0015】
プロセスガスGはプロセスに応じて選択されるが、塩素系ガスやフッ素系ガスのようなハロゲンを含むガスをプロセスガスGとして使用することが多い。
【0016】
また、減圧ポンプ7は、例えばターボ分子ポンプであって、チャンバ2においてプロセスを行っているか否かによらず常に動作しており、それによりチャンバ2内が減圧状態に保たれる。
【0017】
チャンバ2内の圧力は圧力制御バルブ6により制御される。圧力制御バルブ6は開閉板8とアクチュエータ9とを備えており、アクチュエータ9により開閉板8の開きを制御することにより、チャンバ2内の圧力がプロセスに適した所定の圧力値に制御される。
【0018】
制御部29は、上記のアクチュエータ9に対して駆動信号SDを出力する。駆動信号SDは開閉板8の移動量Δxを含んでおり、開閉板8はその移動量だけ移動することになる。
【0019】
このような半導体製造装置においては、上記のように減圧ポンプ7によってチャンバ2内が常に減圧状態となる。特に、半導体基板Wに対してプロセスを行う前においては、ガス供給口2aからチャンバ2内にプロセスガスが供給されないため、チャンバ2や延長チャンバ5内には実質的にガスの流れが存在しない状態になる。
【0020】
この状態において延長チャンバ5内にパーティクルPが発生すると、パーティクルPはガスの流れに乗ることなく半導体製造装置1内を漂って半導体基板Wに付着し、そのパーティクルPが原因で半導体基板Wに作製される半導体装置が不良になってしまう。
【0021】
特に、プラズマCVD装置やプラズマエッチング装置においては、圧力制御バルブ6や減圧ポンプ7に、チャンバ2内でプロセスを行ったことが原因で反応生成物が付着している。反応生成物の例としては、AlF3等が挙げられる。
【0022】
その反応生成物は、減圧ポンプ7として使用されるターボ分子ポンプの回転翼や開閉板8の動きによって刺激され、パーティクルPとして舞い上がってしまう。
【0023】
以下に、実施形態について説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図2は、本実施形態に係る半導体製造装置の構成図である。なお、図2において、図1で説明したのと同じ要素には図1におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0025】
この半導体製造装置20は、プラズマCVD装置又はプラズマエッチング装置であって、減圧ポンプ7の前段にパーティクルトラップ21を備える。
【0026】
パーティクルトラップ21はベース22と複数の管23を有しており、管23の各々によって減圧ポンプ7への吸入流路Qが確定される。なお、管23の外周側面は、チャンバ2内の雰囲気と同一の雰囲気に曝される。
【0027】
また、ベース22は、管23の外を流れるガスが減圧ポンプ7に入るのを防止して、吸入流路Qを管23の内側のみに制限するように機能する。
【0028】
図3は、パーティクルトラップ21の斜視図である。
【0029】
図3に示すように、管23は、ベース22の上に並列して複数設けられる。
【0030】
図4は、一つの管23の側面図である。
【0031】
図4に示すように、管23はベローズ等のフレキシブル管であって、その排気側の開口端23aがベース22に接続されると共に、吸入側の開口端23bが自由端となっており、当該開口端23bの開放方向Dが調節自在となっている。
【0032】
排気側の開口端23aはベース22に形成された孔22bに連通する。チャンバ2(図2参照)内のプロセスガスは、この孔22bを通って減圧ポンプ7に導入される。
【0033】
なお、管23の大きさは特に限定されない。本実施形態では、管23の外径を約10mmとし、管23の長さLを約50mmとする。
【0034】
また、管23の材料も限定されないが、耐腐食性に優れたステンレスを管23の材料として使用するのが好ましい。
【0035】
図5は、上記の開放方向Dを調節する調節機構30の構成図である。
【0036】
この調節機構30は、直線状の第1の制御棒31、屈曲した第2の制御棒32、第1のモータ33、及び第2のモータ34を有する。
【0037】
このうち、第1の制御棒31は、管23に形成された第1の孔23cに挿入されており、その挿入量が第1のモータ33によって調節される。
【0038】
第1の制御棒31の駆動方法は特に限定されない。例えば、第1の制御棒31の表面にネジ山を形成し、そのネジ山に嵌合したスクリューナットを第1のモータ33で回転させることにより、管23への第1の制御棒31の挿入量を調節し得る。
【0039】
一方、第2の制御棒32は、管23に形成された第2の孔23dに挿入される。そして、第2のモータ34の回転軸34aにより第2の制御棒32を巻き取ることで、管23への第2の制御棒32の挿入量が調節される。
【0040】
なお、第1の制御棒31と第2の制御棒32の材料は特に限定されないが、耐腐食性に優れたステンレス棒をこれらの制御棒として使用するのが好ましい。
【0041】
また、第1のモータ33と第2のモータ34の各々の回転数は、制御部29(図2参照)から出力される第1の制御信号S1と第2の制御信号S2によって制御される。
【0042】
そして、第1のモータ33と第2のモータ34の各々を駆動させたときにこれらのモータから発生するパーティクルがチャンバ2内に導入されないように、第1のモータ33と第2のモータ34の各々はベース22に埋め込まれている。
【0043】
図5の例では、第2の制御棒32と比較して第1の制御棒31を管23に深く挿入したため、直線状の第1の制御棒31によって管23の形状が直線状に矯正される。
【0044】
一方、図6は、管23の形状を湾曲させた場合の図である。
【0045】
このように管23を湾曲させるには、第1の制御棒31と比較して第2の制御棒32を管23に深く挿入し、管23の形状を屈曲した第2の制御棒32に倣わせればよい。
【0046】
上記のように第1の制御棒31と第2の制御棒32の挿入量を制御することにより、本実施形態では開放方向Dの向きを調節自在にすることが可能となる。
【0047】
次に、このパーティクルトラップ21の原理について説明する。
【0048】
図7は、パーティクルトラップ21の原理について説明するための模式図である。なお、図7では、ガス供給口2a(図2参照)からチャンバ2内にプロセスガスGが供給されておらず、チャンバ2内に実質的にガスの流れがない状態を例示している。
【0049】
既述のように、CVD装置やエッチング装置では、減圧ポンプ7や開閉板8において反応成生物が原因のパーティクルPが発生し、上記のようにガスの流れがない状態ではそのパーティクルPがチャンバ2に至る危険がある。
【0050】
本実施形態では、そのようなパーティクルPが発生した場合であっても、各管23の内壁にパーティクルPが捕獲されるため、チャンバ2にパーティクルPが到達する可能性を低減できる。
【0051】
特に、管23としてベローズを用いると、管23の節23fにパーティクルPを捕獲し易くなり、パーティクルPの飛散を効果的に抑制できる。
【0052】
また、管23の内壁にパーティクルPが繰り返し衝突するうちにパーティクルPの移動方向が鉛直方向nに揃えられるため、仮に管23からパーティクルPが飛び出しても、管23の横方向にあるチャンバ2(図2参照)にまでパーティクルPが到達し難くなる。
【0053】
更に、図7において点線で示すように、調節機構30(図5、図6参照)を用いて管23を曲げ、開口端23bの開放方向Dを鉛直方向nから傾けてもよい。
【0054】
管23からのパーティクルPの飛び出し易さは様々なパラメータで支配されると考えられる。そのようなパラメータとしては、チャンバ2内の圧力や下部電極3の温度の他に、上記の開放方向Dもある。
【0055】
そこで、チャンバ2においてプロセスを行う前に、管23の内面でパーティクルPを最も捕獲し易い最適な開放方向Dを実験により求めておき、プロセス時に各管23をその最適な開放方向Dに向けるのが好ましい。
【0056】
そのように開放方向Dを調節することにより、本実施形態では、開放方向Dが固定されている場合と比較して、管23によって効率的にパーティクルPを捕獲することができる。
【0057】
また、チャンバ2内の圧力や下部電極3の温度に応じてそのような最適な開放方向Dも変わると考えられる。そのため、実験により予めその開放方向Dを圧力や温度と対応づけておき、圧力や温度に応じて開放方向Dを変えるのが好ましい。
【0058】
特に、本実施形態では制御部29の制御下でその開放方向Dを自動で変えることができるため、手動で開放方向Dを変えるためにチャンバ2を大気開放する必要がなく、半導体製造装置1のメンテナンス時間を短縮することができる。
【0059】
なお、図7ではチャンバ2内にガスが実質的に存在しない場合を示したが、ガス供給口2aからチャンバ2内にプロセスガスを供給した場合でも、上記と同じ理由によりチャンバ2にパーティクルPが到達するのを防止できる。
【0060】
この場合は、ベース22によって吸入流路Qを管23内のみに制限したことで、ベース22を設けない場合と比較して管23内におけるガスの流速が速められる。例えば、管23内を通るガスの流量をM(m3/s)とし、管23の内側の断面積をA(m2)とすると、管23を流れるガスの流速V(m/s)はV=Q/Aとなることが知られている。よって、管23の断面積Aを小さくすればするほど流速Vが速くなる。
【0061】
本実施形態では、そのような速いガスの流れにより、パーティクルPが管23の吸気側に排出されるのを抑制でき、チャンバ2にパーティクルPが到達する危険性を一層低減できる。
【0062】
(第2実施形態)
本実施形態では、以下のように管23を加熱又は冷却する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る管23とその周囲の断面図である。なお、図8において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0064】
図8に示すように、本実施形態では管23の内面に加熱機構としてヒータ41を設ける。ヒータ41は、例えば電熱線であって、制御部29から出力される電流Iによって管23を約80℃〜100℃程度の温度に加熱する。
【0065】
反応生成物は管23の温度に敏感に反応する性質があり、上記のように管23を加熱するとその表面における反応生成物の生成過程が熱により阻害され、管23の内面23gに反応生成物が付着し難くなる。
【0066】
その結果、管23内に付着した反応生成物が原因でパーティクルが発生するのを効果的に抑制でき、半導体装置の歩留まり向上に寄与することができる。
【0067】
図9は、本実施形態の別の例に係る管23とその周囲の断面図である。図9において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、本例では管23の内面に冷却機構として水冷チューブ45を設けると共に、水冷チューブ45に冷却水Cを供給するチラー47を設ける。
【0069】
チラー47の設置場所は特に限定されないが、本実施形態では半導体工場のメンテナンスエリアにチラー47を設置する。
【0070】
チラー47で生成された冷却水Cは水冷チューブ45に供給され、これにより管23が約0℃〜40℃程度に冷却される。そして、管23を通った冷却水Cはチラー47に戻って冷却された後、再び管23を冷却するのに使用される。
【0071】
上記のように反応生成物は管23の温度に敏感に反応するが、室温(20℃)よりも低い温度に管23を冷却した場合には、反応生成物の生成過程が熱により阻害されず、管23の内面23gに多くの反応生成物が付着する。
【0072】
本例では、このような性質を利用して管23内に積極的に反応生成物を集めることにより、管23の外側においてパーティクルの発生源となる反応生成物が生成されるのを防止できる。
【0073】
なお、管23内に必要以上に反応性生物が付着するのを防止するため、本例のように管23を冷却する場合は、一定のメンテナンス周期で管23を洗浄するのが好ましい。
【0074】
(第3実施形態)
本実施形態では、以下のようにベース22に管23を脱着自在にする。
【0075】
図10(a)は、本実施形態に係るベース22と管23の一部切欠き斜視図である。なお、図10(a)において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0076】
図10(a)に示すように、本実施形態では、管23の外周側面に嵌合突起23xを設ける。
【0077】
また、ベース22には、開口22aと、嵌合凹部22yと、溝22zが形成される。このうち、開口22aは、管23が挿入される大きさに形成され、その平面形状は概略円形である。
【0078】
そして、嵌合凹部22yは、嵌合突起23xが嵌る大きさに形成されており、溝22zと連通する。溝22zは、開口22aの円周に沿って延在しており、後述のように嵌合突起23xと係合する。
【0079】
図10(b)は、ベース22に管23を固定したときの一部切欠き斜視図である。
【0080】
ベース22に管23を固定するには、嵌合凹部22yに嵌合突起23xを挿入した後、管23を回転させて溝22zに嵌合突起23xを係合させる。なお、ベース22から管23を外すには、これとは逆の手順を行えばよい。
【0081】
このように、本実施形態ではベース22に管23を脱着自在としたので、管23をベース22から外して操作性良く洗浄することができるようになり、洗浄後に管23の内面に反応生成物の洗い残しが発生し難くなる。
【0082】
更に、ドライバ等の工具を使用しなくても、溝22zに嵌合突起23を係合させるだけでベース22に管23を固定できるため、作業者の負担軽減にも資することができる。
【0083】
(第4実施形態)
第1実施形態では、延長チャンバ5を備えた半導体製造装置1について説明したが、本実施形態のように延長チャンバ5を省いてもよい。
【0084】
図11は、本実施形態に係る半導体製造装置50の構成図である。なお、図11において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、本実施形態ではチャンバ2の底部に複数のパーティクルトラップ21を設ける。
【0086】
各パーティクルトラップ21は排気配管51に接続される。排気配管51は減圧ポンプ7に接続されており、その減圧ポンプ7とパーティクルトラップ21との間には圧力制御バルブ6が設けられる。
【0087】
本実施形態でも、第1実施形態と同じ理由により、減圧ポンプ7や開閉板8で発生したパーティクルPを管23で捕獲することができ、パーティクルPがチャンバ2内に到達するのを防止できる。
【0088】
また、第1実施形態で説明したように、第1の制御信号S1と第2の制御信号S2で管23を湾曲させることにより、チャンバ2内にパーティクルPが到達し難くなるように管23の開放方向の向きを最適化してもよい。
【0089】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1) 半導体基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、
前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とする半導体製造装置。
【0091】
(付記2) 前記管はフレキシブル管であることを特徴とする付記1に記載の半導体製造装置。
【0092】
(付記3) 前記開口端の前記開放方向を調節する調節機構を更に有することを特徴とする付記2に記載の半導体製造装置。
【0093】
(付記4) 前記調節機構は、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を直線状に矯正する直線状の第1の制御棒と、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を湾曲させる屈曲した第2の制御棒とを有することを特徴とする付記3に記載の半導体製造装置。
【0094】
(付記5) 前記管に加熱機構が設けられたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0095】
(付記6) 前記管に冷却機構が設けられたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0096】
(付記7) 前記パーティクルトラップは、前記吸入流路を前記管の内側のみに制限するベースを更に有し、
前記管の排気側の開口端が前記ベースに接続されることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0097】
(付記8) 前記管は、前記ベースに脱着自在に設けられたことを特徴とする付記7に記載の半導体製造装置。
【0098】
(付記9) 前記管は、並列して複数設けられたことを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の半導体製造装置。
【0099】
(付記10) 減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とするパーティクルトラップ。
【符号の説明】
【0100】
1、20、50…半導体製造装置、2…チャンバ、2a…ガス供給口、3…下部電極、4…上部電極、5…延長チャンバ、6…圧力制御バルブ、7…減圧ポンプ、8…開閉板、9…アクチュエータ、10…高周波電源、21…パーティクルトラップ、22…ベース、22a…開口、22y…嵌合凹部、22z…溝、23…管、23a、23b…開口端、23c…第1の孔、23d…第2の孔、23f…節、23g…内面、23x…嵌合突起、30…調節機構、31…第1の制御棒、32…第2の制御棒、33…第1のモータ、34…第2のモータ、34a…回転軸、41…ヒータ、45…水冷チューブ、47…チラー、51…排気配管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、
前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記管はフレキシブル管であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を直線状に矯正する直線状の第1の制御棒と、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を湾曲させる屈曲した第2の制御棒とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記管に加熱機構が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とするパーティクルトラップ。
【請求項1】
半導体基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内を減圧する減圧ポンプと、
前記チャンバと前記減圧ポンプの間に設けられ、前記減圧ポンプの吸入流路を画定する管を備えたパーティクルトラップとを有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記管はフレキシブル管であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を直線状に矯正する直線状の第1の制御棒と、
前記フレキシブル管に挿入されて該フレキシブル管を湾曲させる屈曲した第2の制御棒とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記管に加熱機構が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
減圧ポンプへの吸入流路を確定する管を有し、
前記管の吸入側の開口端を自由端にして、該開口端の開放方向を調節自在にしたことを特徴とするパーティクルトラップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−21150(P2013−21150A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153686(P2011−153686)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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