説明

半導体記憶装置

【課題】高速読み出しが可能なMRAMを得る。
【解決手段】行列に並べられたメモリセルを備えるメモリセルアレイと、センスアンプ回路26とを具備し、メモリセルのそれぞれは、データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子を備え、メモリセルアレイには、n個(n≧2)のメモリセル毎に設けられ、磁気抵抗素子に電流が流されることによって生成される電位を増幅する複数の増幅回路30が配置され、複数の増幅回路のうち、入力されるアドレスに対応して選択されるメモリセルと接続される増幅回路が選択され、センスアンプ回路は、選択された増幅回路の出力に応答して、磁気抵抗素子に記憶された前記データを識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル磁気抵抗素子をメモリセルとして使う半導体記憶装置、いわゆるMRAM(magnetic
random access memory)に関する。
【背景技術】
【0002】
MRAMのメモリセルは、磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction:MTJ)の抵抗値がセルデータを表している。データを読み出す方法は、一定電圧で抵抗素子に電流を流し、電流で読み出す方法が一般的である。しかし、この方法には、電流電圧変換に時間がかかる、回路が大きい等の問題点がある。
【0003】
その対策として、電位を読み出すMRAMメモリセルが、特開2004−220759号公報に開示されている。図1は、この公報に開示されているメモリセルの等価回路を示す。メモリセルは、MTJが形成されている磁気抵抗素子J100、J101と、トランジスタMN101、MN102とから構成されている。図1では、磁気抵抗素子J100、J101は可変抵抗として表されている。
【0004】
このメモリセルでは、直列に接続された磁気抵抗素子J100、101に相補のデータを書き込む。データ書き込みは、書き込みワード線WWLと、2本の書き込みビット線WBL及び/WBLとに、それぞれ、電流Iwx、Iwy0、Iwy1を流すことによって行われる。電流Iwx、Iwy0、Iwy1が生成する磁場によって磁気抵抗素子J100、101に相補のデータが書き込まれる。例えば、高抵抗状態がデータ「1」、低抵抗状態がデータ「0」に対応付けられている場合、磁気抵抗素子J100、101には、それぞれデータ「0」、「1」、又は、データ「1」、「0」が書き込まれる。
【0005】
読み出しは、読み出しワード線RWLを活性化し、書き込みビット線WBL、/WBLをそれぞれ、電源電圧(Vdd)、接地電圧(Vss)にすることによって行われる。書き込みビット線WBL、/WBLの間に電圧Vdd−Vssが印加されることによって読出し電流Irが流れると、読み出しビット線RBLには、磁気抵抗素子J100、101に書き込まれているデータに応じた電位が生成される。
【0006】
このメモリセルの一つの利点は、メモリセルの出力信号が電圧信号であるため、信号を増幅するセンスアンプ回路に従来のDRAMと同様の構成を利用することができ、小さいセンスアンプ回路で出力信号を高速に増幅できることである。
【0007】
一方、MRAMのメモリセルには書き込み先のMTJをトランジスタやダイオードで選択するという方法があり、このようなメモリセルが特開2004−348934号公報に開示されている。図2は、この公報に開示されているメモリセルの等価回路を示している。図2のMRAMメモリセルは、磁気抵抗素子J102と、NMOSトランジスタMN102、103で構成されている。図2のメモリセルでは、書き込みのための電流が完全に分離され、そこに流れる電流で書き込みが行われる。より具体的には、ワード線WLの活性化時にビット線BLからビット線/BLへ流される電流で書き込みが行われる。この方式には書き込みにおけるメモリセルの選択性が向上するというメリッ卜がある。
【0008】
電位によってメモリセルのデータを読み出すMRAMの一つの課題は、MRAMメモリセルから得られる信号の信号レベルがそれほど大きくないことである。信号レベルが小さいことは、データの識別を困難にし、従って、読み出し速度を向上させる妨げになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−220759号公報
【特許文献2】特開2004−348934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、高速読み出しが可能なMRAMを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0012】
一の観点において、本発明の半導体記憶装置は、行列に並べられたメモリセル(10、10A〜10H)を備えるメモリセルアレイと、センスアンプ回路(26)とを具備する。メモリセル(10、10A〜10H)のそれぞれは、データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子(J0、J1)と、磁気抵抗素子(J0、J1)に電流が流されることによって生成される電位を増幅する増幅手段(MP1、MN1、MP7、MP7)とを備えている。センスアンプ回路(26)は、前記増幅手段(MP1、MN1、MP7、MP7)の出力に応答して、磁気抵抗素子(J0、J1)に記憶された前記データを識別する。
【0013】
好適な実施形態では、前記少なくとも一の磁気抵抗素子(J0、J1)は、複数であり、且つ直列に接続され、増幅手段(MP1、MN1、MP7、MP7)の入力は、前記複数の磁気抵抗素子の接続点であるセル節点(N1)に接続されている。
【0014】
この場合、前記メモリセルアレイは、第1書き込みビット線(/WBL)と、第2書き込みビット線(WBL)と、センスアンプ回路(26)に接続された読み出しビット線(RBL)とを更に備え、メモリセル(10、10A〜10H)のそれぞれは、前記セル節点(N1)と第1書き込みビット線(/WBL)との間に接続された第1スイッチ素子(MN3)と、前記セル節点(N1)と第2書き込みビット線(WBL)との間に接続された第2スイッチ素子(MN4)とを備えていることが好ましい。この場合、増幅手段(MP1、MN1、MP7、MP7)の出力は、前記読み出しビット線(RBL)に接続される。
【0015】
当該半導体記憶装置は、更に、書き込みアドレスによって選択された前記メモリセルの磁気抵抗素子に書き込みデータを書き込む書き込み回路(21、22)と、センスアンプ回路(26)から出力される出力データをラッチするように構成されたデータラッチ(27)と、データラッチ(27)にラッチされているデータを外部に出力する出力回路(29)と、書き込みアドレスと読み出しアドレスの一致を検出するアドレス一致検出回路(28)とを具備し、データラッチ(27)は、前記読み出しアドレスと前記書み込みアドレスの一致に応答して前記書き込み回路(21、22)から前記書き込みデータをラッチすることが好ましい。
【0016】
他の観点において、本発明の半導体記憶装置は、行列に並べられたメモリセル(20)を備えるメモリセルアレイと、センスアンプ回路(26)とを具備する。メモリセル(20)のそれぞれは、データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子(J0、J1)を備えている。前記メモリセルアレイには、n個(n≧2)の前記メモリセル毎に設けられ、前記磁気抵抗素子(J0、J1)に電流が流されることによって生成される電位を増幅する増幅回路(30)が配置されている。センスアンプ回路(26)は、増幅回路(30)の出力に応答して、前記磁気抵抗素子(J0、J1)に記憶された前記データを識別する。
【0017】
更に他の観点において、本発明による半導体記憶装置は、行列に並べられたメモリセル(20A)を備えるメモリセルアレイと、センスアンプ回路(26)とを具備する。前記メモリセル(20A)のそれぞれは、データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子(J0、J1)と、磁気抵抗素子(J0、J1)に電流が流されることによって生成される電位が供給されるトランジスタ(MN1)とを備えている。一方、前記メモリセルアレイは、n個(n≧2)の前記メモリセル毎に設けられたサブセンスアンプ回路(30A)を備えている。前記トランジスタ(MN1)と前記サブセンスアンプ回路に含まれる素子(MN21、MP22)により、増幅回路が構成され、前記センスアンプ回路(26)は、前記増幅回路の出力に応答して、前記磁気抵抗素子(J0、J1)に記憶された前記データを識別する。
【0018】
好適な実施形態では、前記トランジスタは、前記電位がゲートに供給され、ソースが接地され、ドレインが前記メモリセル(20A)と前記サブセンスアンプ回路(30A)とを接続するサブビット線(SRBLi)に接続されているNMOSトランジスタ(MN1)であり、前記素子は、前記サブビット線(SRBLi)と電源端子の間に接続された、ダイオード接続されたトランジスタ(MN21、MP21)又は抵抗素子である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、データを記憶する磁気抵抗素子によって生成された信号をセル内もしくはメモリアレイ内で増幅して読み出すので、高速な読出しが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、従来のMRAMメモリセルの構成を示す等価回路図である。
【図2】図2は、従来の他のMRAMメモリセルの構成を示す等価回路図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す等価回路図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの他の構成を示す等価回路図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図11】図11は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの更に他の構成を示す等価回路図である。
【図12】図12は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す上面図である。
【図13】図13は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す拡大断面図である。
【図15】図15は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す上面図である。
【図16A】図16Aは、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの他の構成を示す平面図である。
【図16B】図16Bは、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの他の構成を示す平面図である。
【図17】図17は、本発明の第1の実施形態のMRAMのメモリセルの他の構成を示す拡大断面図である。
【図18】図18は、第1の実施形態におけるセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【図19】図19は、本発明の第1の実施形態のMRAMの構成を示すブロック図である。
【図20】図20は、本発明の第2の実施形態のMRAMのメモリセルの構成を示す等価回路図である。
【図21】図21は、第2の実施形態におけるサブセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【図22】図22は、第2の実施形態におけるセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【図23】図23は、本発明の第2の実施形態のMRAMの構成を示すブロック図である。
【図24】図24は、本発明の第3の実施形態のMRAMの構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、第3の実施形態におけるメモリセルの構成を示す回路図である。
【図26】図26は、第3の実施形態におけるサブセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。
【図27】図27は、第3の実施形態におけるサブセンスアンプ回路の他の構成を示す回路図である。
【図28】図28は、第3の実施形態におけるメモリセルの他の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態のMRAMの構成を示す図であり、具体的には、第1の実施形態のMRAMのメモリセル10の等価回路図である。第1の実施形態のMRAMの一つの特徴は、メモリアレイの各メモリセル10に磁気抵抗素子J0、J1から得られる信号を増幅するためのインバータが内蔵されている点にある。以下、第1の実施形態のMRAMのメモリセル10を詳細に説明する。
【0022】
メモリセル10は、MTJが形成されている磁気抵抗素子J0、J1と、NMOSトランジスタMN1〜MN4と、PMOSトランジスタMP1とを備えている。磁気抵抗素子J0は、電源端子11とセル節点N1の間に接続され、磁気抵抗素子J1は、セル節点N1と接地端子12の間に接続されている。NMOSトランジスタMN3は、セル節点N1と書き込みビット線/WBLの間に接続され、NMOSトランジスタMN4は、セル節点N1と書き込みビット線WBLの間に接続されている。NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートは、書き込みワード線WWLに接続されており、NMOSトランジスタMN3、MN4は、書き込みワード線WWLの活性化に応答してセル節点N1を書き込みビット線/WBL、WBLに接続するスイッチ素子として機能する。PMOSトランジスタMP1と、NMOSトランジスタMN1とは、インバータを構成している。当該インバータの入力はセル節点N1に接続され、出力はNMOSトランジスタMN2を介して読み出しビット線RBLに接続されている。読み出しビット線RBLは、メモリセル10のデータを識別するセンスアンプ回路に接続されている。NMOSトランジスタMN2は、そのゲートが読み出しワード線RWLに接続されており、トランスファスイッチとして機能する。
【0023】
2つの磁気抵抗素子J0、J1には、相補にデータが書き込まれる。言い換えれば、磁気抵抗素子J0、J1の一方が高抵抗状態に、他方が低抵抗状態になるように相補のデータが書き込まれる。
【0024】
加えて、第1の実施形態のメモリセル10では、読み出し電流Irが常に電源端子11から接地端子12に流れている。これにより、セル節点N1に、磁気抵抗素子J0、J1に書き込まれたデータに対応する電位が生成される。詳細には、セル節点N1は、磁気抵抗素子J0、J1に書き込まれたデータに応じて2つの電位の一方をとる。以下では、これら2つの電位のうち高いほうを高電位「1」、他方を低電位「0」と記載する。磁気抵抗素子J0が低抵抗状態、磁気抵抗素子J1が高抵抗状態になるようにデータが書き込まれると、セル節点N1には高電位「1」が生成される。逆に、磁気抵抗素子J0が高抵抗状態、磁気抵抗素子J1が低抵抗状態になるようにデータが書き込まれると、セル節点N1には低電位「0」が生成される。
【0025】
データ読み出しは、セル節点N1の電位を識別することによって行われる。詳細には、
セル節点N1の電位がNMOSトランジスタMN1とPMOSトランジスタMP1で構成されたインバータで増幅されてメモリセル10の外に出力される。読み出しが行われるメモリセルは、読み出しワード線RWLとNMOSトランジスタMN2で選択される。磁気トンネル接合の高抵抗と低抵抗の差は数10%程度であり、これがMRAMを速くできない原因であったが、メモリセル内部で信号を増幅することにより、読み出しの高速化が可能となる。
【0026】
書き込みは、書き込みワード線WWLを活性化後に書き込みビット線WBL、/WBLを相補の電位に駆動して書込み電流Iwを流すことにより行う。書き込み電流Iwの向き、即ち、書き込みビット線WBL、/WBLが駆動される電位は、書き込むべきデータの値に応じて選択される。
【0027】
次に、3つの図を使って、セル節点N1に電流を流しただけで、2つの磁気抵抗素子J0、J1に相補のデータの書き込みが行えることを示す。図12はメモリセル10の上面図である。図12では、磁性体層のみが詳しく図示されており、トランジスタは図示されていない。図13はメモリセル10の断面図である。図14は、磁気抵抗素子J0、J1の近傍の拡大断面図である。書き込み時は断面に直交方向に電流を流す。この方向によって、磁気抵抗素子J0、J1の自由層には、データ「1」「0」のうちの所望のデータが書き込まれる。書き込み配線の形状により、磁気抵抗素子J0の自由層と磁気抵抗素子J1の自由層では逆方向の誘起磁場が印加される。これによって、1対の相補のデータが書き込まれる。このとき書き込み電流は磁気抵抗素子J0、J1からはリークするが、書き込み電流が駆動すべきトランジスタは存在しない。したがって、書き込み電流は、自由層を反転させるのに十分な磁場を発生させることができる程度の大きさであることのみが要求され、書き込み電流の波形、特にパルス幅やパルス形状も気にする必要はない。このため、本実施形態のメモリセル10は、非常に高速に書き込みを行うことができる。
【0028】
図4は、他の好適な構成のメモリセル10Aの等価回路を示す図である。図3のメモリセル10では、常に読み出し電流Irが流れるため、MRAMの容量を大きくすると待機時電流が非常に大きくなってしまう。そこで、第2の実施形態では、メモリセルの磁気抵抗素子J0が、電源端子11の代わりにプルアップ線PLに接続される。一実施形態では、プルアップ線PLは、読み出し対象のワード線が活性化されたときのみ活性化される。
【0029】
しかしながら、プルアップ線PLは、リードサイクルにおいて読み出しワード線RWLよりも早く活性化される必要があり、プルアップ線PLの活性化は、より高速化されることが望まれる。したがって、より高速化が要求される場合は、プルアップ線PLは数本単位もしくは、ブロック単位で活性化し、読み出しワード線RWLよりも早く活性化できるようにすることが望ましい。
【0030】
図19は、図4のメモリセル10Aが集積化されたメモリセルアレイ、及びそれに接続された周辺回路の構成を示すブロック図である。メモリセルアレイは、行列に配置されたメモリセル10Aと、相補の書き込みビット線/WBLi、WBLiと、読み出しビット線RBLiと、読み出しワード線RWLjと、書き込みワード線WWLjと、プルアップ線PLjと、書き込みビット線セレクタ21と、ビット線ドライバ回路22と、読み出しワード線デコーダ23と、書き込みワード線デコーダ24と、プルアップ線デコーダ25と、センスアンプ回路26と、データラッチ27と、アドレス一致検出回路28と、リードデータセレクタ29とを備えている。
【0031】
書き込みデータDinは、書き込みビット線セレクタ21を介して、選択された相補のビット線/WBLi、WBLiを駆動するビット線ドライバ回路22に供給される。ビット線ドライバ回路22は、通常の書き込み時には、ビット線/WBLi、WBLiを書き込みデータDinに対応する相補の電位に駆動する。一方、読み出し時は、プルアップ線デコーダ25によって選択されたプルアップ線PLjと、読み出しワード線デコーダ23によって選択された読み出しワード線RWLjが活性化され、磁気抵抗素子J0、J1に記憶されたデータに対応する信号レベルを有する信号が読み出しビット線RBLiに出力される。出力された信号はセンスアンプ回路26で増幅されるが、センスアンプ回路26は、図18に示すような単純なものでよい。それは、メモリセル10Aに内蔵されたインバータ(即ち、PMOSトランジスタMP1、NMOSトランジスタMN1)により、読み出しビット線RBLiが、電位Vdd−Vtn又は電位Vssのいずれかの電位に駆動されるためである。ここで、電位Vddは、電源端子の電位であり、電位Vssは、接地端子の電位であり、Vtnは、NMOSトランジスタMN2の閾値である。図18のセンスアンプ回路26は、データ「1」が入力されたときに、NMOSトランジスタMN2の閾値による電圧降下を補償する駆動力の極めて小さいPMOSトランジスタMP16を備えている以外は、直列に接続されたCMOSインバータ26a、26bで構成されている。
【0032】
センスアンプ回路26からの出力されたデータは、センスアンプ回路26が次の入力に備えるためにデータラッチ27に送られ、データラッチ27から出力されたデータがリードデータセレクタで選択されて出力データDoutとして出力される。
【0033】
図19の周辺回路では、書み込みアドレスと読み出しアドレスが一致してしまった場合に読み出しが遅くなるという問題に対する対策が行われている。具体的には、アドレス一致検出回路28が読み出しアドレスと書み込みアドレスの一致を検出すると、アドレス一致検出回路28は、アドレス一致信号ADCを活性化する。アドレス一致信号ADCの活性化に応答して、データラッチ27は、センスアンプ回路26ではなくビット線ドライバ回路22から書き込みデータDinを受け取る。即ち、ビット線ドライバ回路22は、書き込みビット線WBL、/WBLへの書き込みと並行して、データラッチ27へも直接書込みを行う。
【0034】
図5A乃至図11は、メモリセルの他の好適な構成を示す等価回路図である。図5Aのメモリセル10Bでは、図4のメモリセル10AのPMOSトランジスタMP1の代わりにNチャネルデプレショントランジスタMD1が使用されている。メモリセル10Bに内蔵されるインバータは、NMOSトランジスタMN1とNチャネルディプレッショントランジスタMD1とで構成されている。この場合、PMOSトランジスタMP1を形成するためのNウエルが必要なくなるので、プロセスによってはメモリセルを小さくできる。
【0035】
図5Bのメモリセル10B’は、図5Aのメモリセル10Bと類似した構成を有している。具体的には、図5Bのメモリセル10B’では、図5Aのメモリセル10BのNチャネルディプレッショントランジスタMD1の代わりに、ダイオード接続されたNMOSトランジスタMN11が使用されている。このような構成でも、NMOSトランジスタMN1、MN11は、インバータとして機能する。図5Bのメモリセル10B’でも、PMOSトランジスタMP1を形成するためのNウエルが必要なくなるので、プロセスによってはメモリセルを小さくできる。インバータの出力信号の振幅は小さくなるものの、図5Bのメモリセル10B’は、それに含まれるトランジスタが通常のNMOSトランジスタのみで良いという利点がある。
【0036】
図6のメモリセル10Cでは、読み出し電流Irが定常的に流れるのを防ぐために、読み出し電流Irの電流経路に、スイッチ素子が、具体的には、PMOSトランジスタMP5、NMOSトランジスタMN5が挿入されている。スイッチ素子を挿入することにより、セルサイズは大きくなるが、レイアウトによっては電流の立ち上がりを速くすることができる。
【0037】
図7のメモリセル10Dでは、トランスファスイッチとして機能するNMOSトランジスタMN2を使用する代わりに、クロックドインバータ方式を採用することによって、読み出し時以外に出力トランジスタが読み出しビット線RBLから分離されている。より具体的には、メモリセル10Dに内蔵されるインバータに、NMOSトランジスタMN6、PMOSトランジスタMP6が追加されている。こうすることによりセルサイズは大きくなるが、メモリセル10Dから出力される出力信号がCMOSレベル(即ち、電源電位又は接地電位)となり、センスアンプ回路26の構成をより単純にできる。なお、図7には、図1のメモリセル10と同様に、磁気抵抗素子J0が電源端子11に接続されている構成が図示されているが、図2のメモリセル10と同様に、磁気抵抗素子J0がプルアップ線PLに接続される構成も採用されることが可能であることに留意されたい。
【0038】
図8のメモリセル10Eでは、NMOSトランジスタMN2に並列に接続されたPMOSトランジスタMP2が追加されている。を追加したものである。この場合もセルサイズは大きくなるが、出力がCMOSレベルとなり、センスアンプ回路26を単純にできる。なお、図8には、図1のメモリセル10と同様に、磁気抵抗素子J0が電源端子11に接続されている構成が図示されているが、図2のメモリセル10と同様に、磁気抵抗素子J0がプルアップ線PLに接続される構成も採用されることが可能であることに留意されたい。
【0039】
図9、図10に図示されているメモリセル10F、10Gは、図5のクロックドインバータ方式を改良した構成を有している。図9のメモリセル10Fでは、活性化時にプルダウンされるプルダウン線/PLが磁気抵抗素子J1に接続されている。更にメモリセル10Fでは、活性化時にはセル節点N1が、ハイレベルであることを利用して、PMOSトランジスタMP6が省略されている。この方式では、出力がCMOSレベルとなり、センスアンプ回路26を単純にできる上、セルサイズは図3のメモリセル10と比べて、大きくはならない。図10に示されているメモリセル10Gでは、活性化時にプルアップされるプルアップ線PLが使われており、NMOSトランジスタMN6が省略されている。この場合も図9のメモリセル10Fと同様に、センスアンプ回路26を単純にできる上、セルサイズは図3のメモリセル10と比べて、大きくはならない。
【0040】
図11に図示されているメモリセル10Hでは、メモリセル10Hに2段の直列に接続されたインバータが内蔵されている。即ち、PMOSトランジスタMP1、NMOSトランジスタMN1から構成されるインバータに加えて、PMOSトランジスタMP7、NMOSトランジスタMN7から構成されるインバータがメモリセル10Hに内蔵されている。このメモリセル10Hは、磁気抵抗素子J0、J1から出力される信号を2段のインバータで増幅して、読み出しビット線RBLに出力している。セルのデータが小さいときは2段のインバータで増幅した方が、セルサイズは大きくなるが読み出し動作を高速にすることができる。
【0041】
図15、図16A、図16B、図17は、メモリセルの構造の変形例を示す図である。図13は、メモリセルの上面図である。トランジスタ領域の構成は、図12、図13、図14に図示されている構成と同じである。図15、図16A、図16B、図17に図示されている構造では、磁気抵抗素子J0、J1のフリー層の構成が異なっている。フリー層内に、図16A、図16Bに示すように相補関係の磁壁を生じさせ、その磁壁がどちらにあるかで磁気抵抗素子J0、J1にデータ「1」「0」を記録する。書き込みは自由層と書込み電流配線を兼ねた配線に電流を流すことにより、磁壁を移動させることにより行う。磁壁は電流に押されて移動することが知られている。読み出しは、自由層兼書込み電流配線の上に形成された固定層により行う。図17は、磁気抵抗素子J0、J1の近傍の断面図である。図12、図13、図14の構造との違いは書き込みの方式であるが、セル節点N1に流す電流で一括して2つの自由層にデータを書き込むところは同じである。読み出しは、実質的に同じようにして行われる。
【0042】
(第2の実施形態)
図20〜図23は、本発明の第2の実施形態のMRAMの構成を示す図である。各メモリセルに増幅手段としてインバータが集積化されている第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態では、図23に示されているように、磁気抵抗素子J0、J1から得られる信号を増幅するサブセンスアンプ回路30が複数のメモリセル20ごとに一つ設けられている。図23には、4つのメモリセル20毎に一つのサブセンスアンプ回路30が設けられている構成が図示されている。サブセンスアンプ回路30は、メモリセル20が配置されているメモリアレイ内に行列に配置されている。
【0043】
同一のサブセンスアンプ回路30に対応する複数のメモリセル20は、サブビット線SRBLiに共通に接続されている。サブセンスアンプ回路30は、サブビット線SRBLiの電位から、読み出し対象のメモリセル20のデータに対応する出力信号を出力する。
【0044】
サブセンスアンプ回路30の出力は、センスアンプ回路26に接続されている。詳細には、同一のメモリセル20の列に対応して設けられた複数のサブセンスアンプ回路30の出力が、読み出しビット線RBLiを介して同一のセンスアンプ回路26に共通に接続されている。センスアンプ回路26は、サブセンスアンプ回路30の出力に基づいて選択されたメモリセル20のデータを識別する。
【0045】
図20は、各メモリセル20の構成を示す等価回路図である。図20のメモリセル20の構成は、図4のメモリセル10Aの構成と類似している。相違点は、インバータがメモリセル20から排除されている点にある。NMOSトランジスタMN2は、サブビット線SRBLiとセル接点N1との間に接続されている。NMOSトランジスタMN2が直接にセル節点N1に接続されていることに留意されたい。
【0046】
図21は、サブセンスアンプ回路30の構成を示す回路図である。サブセンスアンプ回路30としては、通常のインバータが使用可能であり、図21のサブセンスアンプ回路30は、直列に接続された2段のインバータ30a、30bで構成されている。
【0047】
図22は、センスアンプ回路26の構成を示す回路図である。サブセンスアンプ回路30と同様に、センスアンプ回路26としては、通常のインバータが使用可能であり、図22のセンスアンプ回路26は、直列に接続された2段のインバータ26a、26bで構成されている。
【0048】
図23に示されているような階層的なメモリアレイ構成は、第1の実施形態のMRAMと比較して、セル面積の削減に有効である。加えて、サブビット線SRBLjは4つのメモリセル分の負荷しか有していない。したがって、セルの駆動能力が小さいことによるスピードのオーバーヘッドも小さくすることができる。
【0049】
(第3の実施形態)
図24は、本発明の第3の実施形態のMRAMの構成を示すブロック図である。第3の実施形態のMRAMは、第2の実施形態とほぼ同様の構成を有している。同一列の複数のメモリセル20Aが一のサブセンスアンプ回路30Aに接続され、更に、同一列の複数のサブセンスアンプ回路30Aが、一のセンスアンプ回路26に接続されている。
【0050】
相違点は、メモリセル20A及びサブセンスアンプ回路30Aの構成が、第2の実施形態のMRAMのメモリセル20及びサブセンスアンプ回路30と異なっており、且つ、読み出しワード線RWLjが、(メモリセル20Aの行毎ではなく)サブセンスアンプ回路30Aの行毎に設けられている点である。センスアンプ回路26としては、図18に示されている回路が使用される。図18に示されているセンスアンプ回路26の構成では、センスアンプ回路26の入力SSinがPMOSトランジスタMP16によって電位Vddまでプルアップ可能であることに留意されたい。
【0051】
図25は、第3の実施形態におけるメモリセル20Aの構成を示す回路図である。メモリセル20Aは、MTJが形成されている磁気抵抗素子J0、J1と、NMOSトランジスタMN1、MN3、MN4とを備えている。磁気抵抗素子J0は、プルアップ線PLjとセル節点N1の間に接続され、磁気抵抗素子J1は、セル節点N1と接地端子12の間に接続されている。NMOSトランジスタMN3は、セル節点N1と書き込みビット線/WBLiの間に接続され、NMOSトランジスタMN4は、セル節点N1と書き込みビット線WBLiの間に接続されている。NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートは、書き込みワード線WWLjに接続されており、NMOSトランジスタMN3、MN4は、書き込みワード線WWLjの活性化に応答してセル節点N1を書き込みビット線/WBLi、WBLiに接続するスイッチ素子として機能する。NMOSトランジスタMN1は、そのゲートがセル接点N1に接続され、そのソースが接地端子13に接地されている。NMOSトランジスタMN1のドレインは、サブビット線SRBLiに接続されている。図24から理解されるように、NMOSトランジスタMN1のドレインは、サブビット線SRBLiを介して、サブセンスアンプ回路30Aに接続されることになる。
【0052】
図26は、サブセンスアンプ回路30Aの一例を示す回路図である。図26のサブセンスアンプ回路30Aは、NMOSトランジスタMN21、MN22を備えている。NMOSトランジスタMN21は、ダイオード接続されており、そのドレイン及びゲートは電位Vddを有する電源端子に、ソースはサブビット線SRBLiに接続されている。NMOSトランジスタMN22は、そのゲートが読み出しワード線RWLjに接続されており、読み出しワード線RWLjの電位に応じてサブビット線SRBLiと読み出しビット線RBLiとを電気的に接続し、又は切り離す。
【0053】
図27に示されているように、ダイオード接続されたNMOSトランジスタMN21の代わりに、ダイオード接続されたPMOSトランジスタMP21が使用されることも可能である。この場合、PMOSトランジスタMP21のドレイン及びゲートがサブビット線SRBLiに接続され、PMOSトランジスタMP21のソースが電位Vddを有する電源端子に接続される。
【0054】
本実施形態のMRAMの書き込み動作は、次のようにして行われる。書き込みアドレスに応じて書き込みワード線WWLjが選択され、選択された書き込みワード線WWLjが活性化される、即ち、Highレベル(電源電位Vdd)にプルアップされる。書き込みワード線WWLjの活性化に応答して、選択されたメモリセル20AのNMOSトランジスタMN3、MN4がオンされる。全てのプレート線PLjは、接地電位Vssに維持される。更に、ビット線ドライバ回路22により、選択されたメモリセル20Aに対応する書き込みビット線WBLj、/WBLjのうちの一方がHighレベルに、他方がLowレベルに駆動される。書き込みビット線WBLj、/WBLjのいずれがHighレベル又はLowレベルに駆動されるかは、書き込みデータに応じて決定される。書き込みビット線WBLj、/WBLjが駆動されると、選択されたメモリセル20Aの磁気抵抗素子J0、J1に書き込み電流が流れ、磁気抵抗素子J0、J1に相補のデータが書き込まれる。
【0055】
一方、本実施形態のMRAMの読み出し動作は、次のようにして行われる。まず、全ての書き込みワード線WWLjが接地電位Vssにプルダウンされ、メモリセル20AのNMOSトランジスタMN3、MN4がターンオフされる。この結果、磁気抵抗素子J0、J1が書き込みビット線WBLj、/WBLjから切り離される。更に、読み出しアドレスに応じてプレート線PLjが選択され、選択されたプレート線PLjが電源電位Vddにプルアップされる。これにより、選択されたメモリセル20Aの磁気抵抗素子J0、J1に読み出し電流が流れる。読み出し電流が磁気抵抗素子J0、J1に流れることにより、セル節点N1の電位Vs(即ち、NMOSトランジスタMN1のゲートの電位)は、磁気抵抗素子J0、J1に記憶されている相補のデータに応じて、電位Vdd/2より高い電位V、又は、電位Vdd/2より低い電位Vになる。一方、選択されていないメモリセル20Aについては、プレート線PLjが接地電位Vssにプルダウンされ、NMOSトランジスタMN1のゲートは接地電位Vssになる。従って、NMOSトランジスタMN1はオフされる。
【0056】
選択されたメモリセル20AのNMOSトランジスタMN1と、サブセンスアンプ回路30AのNMOSトランジスタMN21(又はPMOSトランジスタMP21)とは、ソース接地増幅回路として機能する。このソース接地増幅回路は、電位Vdd/2の近傍におけるNMOSトランジスタMN1のゲートの電位Vsの変化を増幅して、電位Vssから電位Vdd−Vthの範囲で変動する読み出し信号を生成し、読み出し信号を選択されたサブビット線SRBLjに生成する。
【0057】
更に、選択されたメモリセル20Aに対応するサブセンスアンプ回路30Aに接続されている読み出しワード線RWLjが活性化され、当該サブセンスアンプ回路30AのNMOSトランジスタMN22がターンオンされる。この結果、読み出し信号がサブビット線SRBLjから読み出しビット線RBLiに伝達される。読み出しビット線RBLiに出力された読み出し信号は、センスアンプ回路26によってロジック振幅まで増幅される。上述されているように、図18に示されているように、センスアンプ回路26は、その入力SSinがPMOSトランジスタMP16によって電位Vddまでプルアップ可能であることに留意されたい。
【0058】
例えば、選択されたメモリセル20Aからデータ「0」が読み出される場合(即ち、磁気抵抗素子J1が相対的に低い抵抗値を有し、磁気抵抗素子J0が相対的に高い抵抗値を有している場合)、NMOSトランジスタMN1のゲートの電位Vsは、電位Vdd/2よりも低くなり、選択されたメモリセル20AのNMOSトランジスタMN1は、ほぼオフの状態になる。このとき、サブセンスアンプ回路30AのNMOSトランジスタMN21(又はPMOSトランジスタMP21)と、センスアンプ回路26のPMOSトランジスタMP16により、速やかに読み出しビット線RBLiが電源電位Vddまでプルアップされる。センスアンプ回路26は、読み出しビット線RBLiの電位に応じて読み出しデータを出力する。
【0059】
一方、選択されたメモリセル20Aからデータ「1」が読み出される場合(即ち、磁気抵抗素子J1が相対的に低い抵抗値を有し、磁気抵抗素子J0が相対的に高い抵抗値を有している場合)、NMOSトランジスタMN1のゲートの電位Vsは、電位Vdd/2よりも高くなり、選択されたメモリセル20AのNMOSトランジスタMN1は、オンされる。この場合、サブビット線SRBLiと読み出しビット線RBLiに蓄えられていた電荷が、NMOSトランジスタMN1によって高速に放電され、サブビット線SRBLiと読み出しビット線RBLiが接地電位Vssにプルダウンされる。センスアンプ回路26は、読み出しビット線RBLiの電位に応じて読み出しデータを出力する。
【0060】
図25に示されているメモリセル20Aの構成では、磁気抵抗素子J0、J1のMR比が小さい場合にNMOSトランジスタMN1を充分にオフすることができないかもしれない。このような問題を回避するためには、図27に示されているように、複数の磁気抵抗素子がプレート線PLjとセル接点N1の間に複数の磁気抵抗素子が直列に接続され、セル接点N1と接地端子12の間に複数の磁気抵抗素子が直列に接続されてもよい。図27には、2つの磁気抵抗素子J0、J0’がプレート線PLjとセル接点N1の間に接続され、2つの磁気抵抗素子J1、J1’がプレート線PLjとセル接点N1の間に接続された構成が図示されている。複数の磁気抵抗素子を直列に接続することにより、サブビット線SRBLiに生成される読み出し信号の振幅を大きくすることができる。
【0061】
以上に説明されているように、本実施形態のMRAMでは、メモリアレイに設けられたサブセンスアンプ回路30Aと、メモリセル20Aに設けられたNMOSトランジスタMN1により、セル接点N1の電位の微小な変化が増幅され、これにより、ほぼロジック振幅を有する読み出し信号が読み出しビット線RBLiに生成される。したがって、本実施形態のMRAMは、高速な読み出し動作を行うことができる。
【0062】
加えて本実施形態のMRAMでは、ビット線が階層化されているためにメモリセル20Aの負荷が小さい。このため、メモリアレイが大規模化されてもビット線の負荷の増加を抑制することができる。これは、高速な読み出し動作を維持するために好ましい。
【0063】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈されてはならない。例えば、第3の実施形態のサブセンスアンプ回路30Aの構成は様々に変更可能である。具体的には、ダイオード接続されたNMOSトランジスタMN21(又はPMOSトランジスタMP21)の代わりに、ウエル抵抗やポリシリコン抵抗のような抵抗素子が使用されることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
10、10A〜10H、20、20A:メモリセル
11:電源端子
12、13:接地端子
21:書き込みビット線セレクタ
22:ビット線ドライバ回路
23:読み出しワード線デコーダ
24:書き込みワード線デコーダ
25:プルアップ線デコーダ
26:センスアンプ回路
27:データラッチ
28:アドレス一致検出回路
29:リードデータセレクタ
30、30A:サブセンスアンプ回路
MN1〜MN7、MN11、MN21、MN22:NMOSトランジスタ
MP1〜MP7、MP16、MP21:PMOSトランジスタ
MD1:Nチャネルディプレッショントランジスタ
J0、J1:磁気抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列に並べられたメモリセルを備えるメモリセルアレイと、
センスアンプ回路
とを具備し、
前記メモリセルのそれぞれは、データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子を備え、
前記メモリセルアレイには、n個(n≧2)の前記メモリセル毎に設けられ、前記磁気抵抗素子に電流が流されることによって生成される電位を増幅する複数の増幅回路が配置され、
前記複数の複数の増幅回路のうち、入力されるアドレスに対応して選択されるメモリセルと接続される増幅回路が選択され、
前記センスアンプ回路は、選択された前記増幅回路の出力に応答して、前記磁気抵抗素子に記憶された前記データを識別する
半導体記憶装置。
【請求項2】
行列に並べられたメモリセルを備えるメモリセルアレイと、
センスアンプ回路
とを具備し、
前記メモリセルのそれぞれは、
データを記憶する少なくとも一の磁気抵抗素子と、
前記磁気抵抗素子に電流が流されることによって生成される電位が供給されるトランジスタ
とを備え、
前記メモリセルアレイは、n個(n≧2)の前記メモリセル毎に設けられた複数のサブセンスアンプ回路を備え、
前記複数のサブセンスアンプ回路のうち、入力されるアドレスに対応して選択されるメモリセルと接続されるサブセンス回路が選択され、
前記トランジスタと選択された前記サブセンスアンプ回路に含まれる素子により、増幅回路が構成され、
前記センスアンプ回路は、前記増幅回路の出力に応答して、前記磁気抵抗素子に記憶された前記データを識別する
半導体記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体記憶装置であって、
前記トランジスタは、前記電位がゲートに供給され、ソースが接地され、ドレインが前記メモリセルと前記サブセンスアンプ回路とを接続するサブビット線に接続されているNMOSトランジスタであり、
前記素子は、前記サブビット線と電源端子の間に接続された、ダイオード接続されたトランジスタ又は抵抗素子である
半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−238377(P2012−238377A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150643(P2012−150643)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【分割の表示】特願2006−157574(P2006−157574)の分割
【原出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】