説明

半導体集積チップ

【課題】 LSIチップ内にPMCを配置した場合でも自動配置/配線ツールを用いて自動配線を行うことができるようにすること。
【解決手段】 I/Oセル11とパッド12とを備えたLSIチップ1であって、LSI回路13と、メタル配線3の容量測定を行うためのプロセスモニタとを備え、プロセスモニタのPMC2a、2bの配置とメタル配線3とを、セルの配置とメタル配線を自動的に行う配置/配線ツールを用いて行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積チップに係わり、特にプロセスモニタを有する半導体集積チップに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおいてウェハ上にパターンを作成する際には、ウェハ面内の各ウェハ、或いは各ロットにおける素子の特性のばらつきをモニタするために、トランジスタ、容量値、或いは抵抗値を調べるためのプロセスモニタを配置することは重要である。
一般的に半導体のプロセスモニタは、多数の半導体集積回路(以下、LSI(Large Scale Integration)回路という)を1チップ化した半導体集積チップ(以下、LSIチップという)とは別領域に配置される。
例えば図5に示すようにLSIチップ100を囲むスクライブライン101内に配置したり、図6に示すようにLSIチップ100と同一のウェハ内にプロセスモニタチップ102を配置したりするようにしていた。
しかしながら、図5に示すようにスクライブライン101にプロセスモニタを配置した場合は、細長い領域に配線を行ってモニタ専用のセルを作成する必要があるため、LSIチップ100内における実際の配線とは条件がずれてしまう。またスクライブライン101は面積が狭いため、長い配線を引き回すのが難しい。さらにスクライブライン101は他の目的で使用されている場合もあり、ウェハ面内に均等にプロセスモニタを配置することが困難である等の問題点があった。
一方、図6に示すようにウェハ上にLSIチップ100とプロセスモニタチップ102を混載した場合は、専用のプロセスモニタ領域があるため、配線を実際の配線に近い状態でデザインすることができる。またウェハ内に均等に領域が作り込まれるため面内分布を測定することができる。しかしながら、この場合はウェハ上のLSIチップ100の領域が減少するため、チップコストが高くなるという欠点があった。
そこで、例えばLSIチップ内にプロセスモニタセル(PMC)を作り込むことが考えられる。LSIチップ内にPMCを作り込んだ場合はパッド数が多少増えるが、上記図6に示したようにLSIチップ100とは別にプロセスモニタチップ102を設けた場合のようにLSIチップの数が大幅に減少することはない。またウェハ面内にも均一に配置することができるようになる。
【0003】
ところで、一般的にLSIチップは自動的にセルの配置と、その配線を行うことができる自動配置/配線ツールを用いて作成するようにしているため、LSIチップ内にプロセスモニタを作り込む場合には、プロセスモニタも1つのプロセスモニタセル(以下、「PMC」という)として作成して配置させる方法がある。この場合、自動配置/配線ツールにより自動配置したセル内において使用しているメタルと、自動配線したメタルとのショートを防ぐため、セル内に配線が入り込まないようにメタルブロック用のカバーを設ける必要がある。例えば、PMC内において3層メタルまで使用していた場合には、3層メタルまでをブロックするカバーをPMC内に設けることにより、自動配線は4層メタル以上でなければPMC上部を通過できなくなる。即ち、PMC内において使用されるメタルの層数が多くなればなるほどPMC上部を通過できなくなるメタル層も増えることになる。
図7は、従来のLSIチップの全体の構成を示した図である。
この場合、LSIチップ110の外周には、多数のI/Oセル11とPAD12とが配置されている。I/Oセル11の内側には、複数のLSI回路13、13・・・と、1つのPMC2とが配置されている。これらLSI回路13及びPMC2は配線によりI/Oセル11と接続されることになるが、この場合、PMC2には上部配線をブロックするカバーがかかっているため、LSI回路13とI/Oセル11とを接続する配線の内、一点鎖線で示した配線14はPMC2を迂回するように引き回されることになる。
なお、先行文献としてはチップ上に格子状に配置した複数の測定ユニットを持ち、電気的にユニットを選択することにより、各ユニットの素子を評価する半導体特性評価装置などが挙げられる(特許文献1)。
【特許文献1】特許第3592316号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記図7に示すようにLSI回路13とI/Oセル11とを繋ぐ配線の一部を、PMC2を迂回するように引き回した場合は、配線の制約が著しく増えるため、自動配置/配線ツールによるセルの配置、及び配線自体が収束しなくなるおそれがあった。
そこで、本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、LSIチップ内にPMCを配置した場合でも、自動配置/配線ツールを使用して自動配線を行うことができるLSIチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、入出力セルとパッドとを備えた半導体集積チップであって、半導体集積回路と、メタル配線の容量測定を行うためのプロセスモニタとを備え、前記プロセスモニタのセル配置とメタル配線とを、セルの配置とメタル配線を自動的に行う配置/配線ツールを用いて行うようにしたことを特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体集積チップにおいて、前記メタル配線は、前記プロセスモニタのプロセスモニタ回路を有する第1セルと、前記メタル配線の終端を指定する終端部を有する第2セルとの間に配線されることを特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の半導体集積チップにおいて、前記第1セルと第2セルとの間には前記メタル配線の通過点を指定する端子を有するセルが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、プロセスモニタにおいて容量測定に使用するメタル配線を、配置/配線ツールを使用して作成することにより、プロセスモニタセルのサイズを小型化することができると共に、容量測定に使用するメタル配線を跨ぐような配線が可能になる。これにより、半導体集積チップにプロセスモニタを組み込んだ場合でも、自動配置/配線ツールによる配線が可能になる。
また請求項2に記載の発明によれば、プロセスモニタの容量測定の対象となる配線部分を、配置/配線ツールを用いて作成することが可能となる。
また請求項3に記載の発明によれば、プロセスモニタの容量測定の対象となる配線部分の長さを、配置/配線ツールを用いて調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るLSIチップの全体の構成を示した図である。
この図1に示すLSIチップ1の外周には、多数のI/Oセル(入出力セル)11とPAD12とが配置されている。I/Oセル11の内側には、複数のLSI回路13、13・・・と、プロセスモニタを構成する2つのプロセスモニタセル(PMC)2a、2bが設けられている。これら複数のLSI回路13、13・・・と、プロセスモニタを構成するPMC(第1セル)2aとPMC(第2セル)2bは、自動配置/配線ツールにより自動配置するようにしている。また、LSI回路13、13間を繋ぐ配線14、及びI/Oセル11とLSI回路13とを繋ぐ配線14に加えて、プロセスモニタにおいて容量測定に使用するメタル配線3を自動配置/配線ツールにより配線するようにしている。
このようにすると、LSI回路13同士や、LSI回路13とI/Oセル11を接続するための配線14は、PMC2aとPMC2b間のメタル配線3を跨ぐことができるようになる。つまり、図7に示した従来のLSIチップ110においては、プロセスモニタにおいて容量測定に使用するメタル配線をPMC2内に形成していくため、PMC2のサイズが大きくなると共に、LSI回路13とI/Oセル11とを繋ぐ配線の一部を、PMC2を迂回するように引き回す必要があった。これに対して、本実施形態のLSIチップにおいては、プロセスモニタにおいて容量測定に使用するメタル配線3を自動配置/配線ツールにより配線するようにしたことで、プロセスモニタを構成するPMC2a、2bを小型化することができると共に、LSI回路13とI/Oセル11とを繋ぐ配線14を、メタル配線3を跨ぐように配線することができるようになる。これにより、半導体集積チップにプロセスモニタを組み込んだ場合でも、自動配置/配線ツールによる配線が可能になる。
ここで、メタルの配線容量を測定するプロセスモニタの構成例について説明する。なお、本実施形態では素子の容量を評価する公知のCBCM(Charge-Based Capacitance Measurement)法を例に挙げて説明する。
【0008】
図2はプロセスモニタの構成例を示した図である。
この図2に示すプロセスモニタは2つのPMC(プロセスモニタセル)2a、2bとからなる。PMC2aは2個のPchトランジスタMP1、MP2と2個のNchトランジスタMN1、MN2により構成される。
PchトランジスタMP1は、基板が電源VCC、ソースが電源VDD1、ドレインがノードQ1、ゲートが入力端子GPに夫々接続される。またPchトランジスタMP2は、基板が電源VCC、ソースが電源VDD2、ドレインがノードQ2、ゲートが入力端子GPに夫々接続される。またNchトランジスタMN1は、基板がGND、ソースがGND、ドレインがノードQ1、ゲートは入力端子GNに夫々接続される。またNchトランジスタMN2は、基板がGND、ソースがGND、ドレインがノードQ2、ゲートが入力端子GNに夫々接続される。
なお、電源VCC、電源VDD1、電源VDD2は同電位の電源である。ノードQ1はメタルR1に接続される。ノードQ2はメタルR2に接続される。メタルR1とメタルR2は同じ形状構成のメタルであり、メタルR1とGND間の容量、メタルR2とGND間の容量は共にCrefとなっている。
PMC2aのメタルR2は、PMC2aの外側でメタルR3に接続される。メタルR3はツールが自動に配線する部分であり、CBCM法で容量評価の対象となる部分である。評価対象部分の容量はR3とGND間のCmetである。
PMC2bは自動配線の終端Eを決めるためのセルであり実際の素子は入っていない。これは自動配置/配線ツールにより配線させるためには、回路上の2点を指定する必要があるため、終端Eを持った空のセルであるPMC2bを回路上に配置することで、PMC2aのメタルR2とPMC2bの終端Eの間を自動配線させることができる。なお、PMC2aは1つのセルとして作っておくことが望ましい。
また、自動配線部分は特定のメタルに指定することも可能であるため、例えば、メタルR3を4層メタルだけにすることもできる。その場合は、メタルR2はメタルR3との接続位置を4層メタルにしておき、メタルR1の形状はメタルR2にあわせれば良い。
【0009】
図2に示したような構成のプロセスモニタに対して図3のような波形の信号GP、GNを入力することにより、メタルR3の容量Cmetを評価することができる。
この図3に示す期間T0において、PchトランジスタMP1、MP2はOFFし、NchトランジスタMN1、MN2がONするため、ノードQ1、Q2はディスチャージされる。これに伴いメタルR1、R2、R3もディスチャージされる。
また、期間T1において、NchトランジスタMN1、MN2がOFFするため、ディスチャージは終了する。期間T2において、PchトランジスタMP1、MP2はONし、NchトランジスタMN1、MN2はOFFを維持するため、ノードQ1、Q2はチャージされる。これに伴いメタルR1、R2、R3もチャージされる。つまり、メタルR1の容量CrefとメタルR2の容量Cref、及びメタルR3の容量Cmetがチャージされる。
期間T3において、PchトランジスタMP1、MP2がOFFするためチャージは終了する。
期間T4において、PchトランジスタMP1、MP2はOFFを維持し、NchトランジスタMN1、MN2がONするため、ノードQ1、Q2は再びディスチャージされる。この期間T0〜T4までのサイクルを連続して行ない、電源VDD1からノードQ1へ流れる電流と、電源VDD2からノードQ2へ流れる電流とを測定し、その差分を求めることにより、共通の容量Crefを差し引いた容量Cmetを評価することができる。
このように本実施形態では、PMCをツールで自動に配置/配線することにより、LSIチップの配線の迂回を回避することでLSI回路の性能を下げることなく、プロセスモニタを作り込むことができ、またウェハ内に均一にプロセスモニタを配置することも可能となる。
【0010】
図4は、本発明の第2実施形態に係るLSIチップの全体の構成を示した図である。なお、図4においては、LSI回路及びLSI回路とI/Oセルとを繋ぐ配線は省略してあり、PMCとそれに接続される配線のみを示している。
この図4に示すLSIチップにおいては、図2のR3に相当するPMC間の配線長を長く引き回す場合の方法を示したものであり、上述したPMC2aとPMC2bの他に、配線3の通過点となるPMC2c及びPMC2dが配置されている。
PMC2c、PMC2dはそれぞれ端子M1、M2を備え、上記したPMC2bと同様に内部には素子を持たない。
これらPMC2c、2dを回路上に設定し、且つ、LSIチップ内に配置することにより、PMC2aのメタルR2(図2参照)からPMC2c上の端子M1へ配線され、この端子M1からPMC2d上の端子M2へ配線され、さらに端子M2からPMC2b上の終端Eに配線される。このように自動配置/配線ツールにより作成される配線3の長さを長くすると容量Cmetを大きくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLSIチップの全体構成を示した図である。
【図2】プロセスモニタの構成例を示した図である。
【図3】プロセスモニタに入力する信号波形を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るLSIチップの全体構成を示した図である。
【図5】ウェハ上のLSIチップとスクライブラインを示した図である。
【図6】ウェハ上にLSIチップとプロセスモニタチップが混載されている場合を示した図である。
【図7】従来のLSIチップの全体構成を示した図である。
【符号の説明】
【0012】
1…LSIチップ、11…I/Oセル、110…LSIチップ、12…PAD、13…LSI回路、2…PMC、3…配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力セルとパッドとを備えた半導体集積チップであって、半導体集積回路と、メタル配線の容量測定を行うためのプロセスモニタとを備え、前記プロセスモニタのセル配置とメタル配線とを、セルの配置とメタル配線を自動的に行う配置/配線ツールを用いて行うようにしたことを特徴とする半導体集積チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積チップにおいて、前記メタル配線は、前記プロセスモニタのプロセスモニタ回路を有する第1セルと、前記メタル配線の終端を指定する終端部を有する第2セルとの間に配線されることを特徴とする半導体集積チップ。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体集積チップにおいて、前記第1セルと第2セルとの間には前記メタル配線の通過点を指定する端子を有するセルが配置されていることを特徴とする半導体集積チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−42821(P2007−42821A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224710(P2005−224710)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】