説明

半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法

【課題】35mmデジタル一眼レフ・カメラ用のCMOSイメージ・センサは、チップサイズが非常に大きく、200φウエハ上に20チップ程度しか配置できない。従って、ウエハあたり、ショート欠陥が数個存在しただけで、歩留まりが大きく低下する。そこで、これらの欠陥を一般的なレーザ・トリミング技術により、除去することを検討したが、サブ・ミクロン・オーダの加工は非常に困難であることが判明した。
【解決手段】本願発明は、ピクセル・アレイ、これを横断又は縦断する複数のグローバル配線、および、各ピクセル内に設けられたローカル配線を有する半導体集積回路装置であって、第1のグローバル配線と、第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所が、そのローカル配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理された修正処理部を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)のデバイス構造および半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法における配線修正技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2002−9272号公報(特許文献1)には、X線検知用2次元センサのレーザ・リペアに関して、多数のセルを連結する共通信号線(グローバル配線)をレーザで切断したことに起因するセルにおける不具合を解消するために、当該セルにおいて、付加的な切断処理をする技術が開示されている。
【0003】
国際公開第2004/099866号パンフレット(特許文献2)には、LCD(Liquid Crystal Display)素子のレーザ・リペアに関して、メタル・パターンのショート不良箇所を修正するために、不要部分のみを除去する例が開示されている。
【0004】
日本特開2004−241498号公報(特許文献3)には、画素ピッチを縮小することのできるピクセル構造を有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが開示されている。
【0005】
日本特開2004−106048号公報(特許文献4)、米国特許公開2008−050677号公報(特許文献5)、または米国特許公開2009−039275号公報(特許文献6)には、半導体装置の製造過程において、アライメント・マーク上の不透明膜を、たとえばビームの断面形状が縦5マイクロ・メートルで横80マイクロ・メートル程度の矩形の紫外線パルス・レーザ・アブレーション(Pulse Laser Ablation)により、除去する技術が開示されている。
【0006】
日本特開平8−340049号公報(特許文献7)図3には、アルミ配線ヒューズを切断するために、アルミニウム配線層上にレジストを塗布し、アルミニウム配線上のフォト・レジストを2ミクロン程度の大きさで部分的にレーザ・アブレーション加工もしくは露光現像処理した後、エッチングによってアルミニウム配線を除去するプロセス・フローが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−9272号公報
【特許文献2】国際公開第2004/099866号パンフレット
【特許文献3】特開2004−241498号公報
【特許文献4】特開2004−106048号公報
【特許文献5】米国特許公開2008−050677号公報
【特許文献6】米国特許公開2009−039275号公報
【特許文献7】特開平8−340049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
デジタル一眼レフ・カメラ用のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ(以下では0.35マイクロ・メートル・プロセスを例にとり説明する)は、35mmフルサイズ・カメラの制約から長さ40.1mm、幅26.5mmというように非常に大きく、200φウエハ上に20チップ程度しか配置できない。従って、ウエハあたり、欠陥が数個存在しただけで、歩留まりが大きく低下する。
【0009】
これらの欠陥のモード分布を解析したところによると、アルミニウム系配線層のショート欠陥が大多数を占めていることが明らかとなった。そこで、これらのメタル・ショート欠陥を数ミクロン角以上の矩形ビームでスキャンする一般的なレーザ・トリミング技術により、除去することを検討したが、サブ・ミクロン・オーダの加工は非常に困難であることが判明した。
【0010】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0011】
本発明の目的は、高い歩留まりを達成できる半導体集積回路装置の構造、および半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0012】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0014】
すなわち、本願の一つの発明は、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ、このピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線、および、各ピクセル内に設けられたローカル配線を有する半導体集積回路装置であって、前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線と、前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所が、そのローカル配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理された修正処理部を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0016】
すなわち、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ、このピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線、および、各ピクセル内に設けられたローカル配線を有する半導体集積回路装置であって、前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線と、前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所が、そのローカル配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理された修正処理部を有するので、高歩留まりを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるパターン修正プロセスに使用するレーザ露光装置の模式構造図である。
【図2】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるデバイス(CMOSイメージ・センサ)のイメージ・センサ部のレイアウトを示す回路レイアウト図である。
【図3】図2のイメージ・センサ部のピクセル・アレイの単位ピクセル部の回路構成を示す回路図である。
【図4】図2のイメージ・センサ部のピクセル・アレイの単位ピクセル部のデバイス断面構造の一例を示すデバイス模式断面図である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(ゲート・ポリ・シリコン膜パターニング)である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第1層アルミニウム系配線パターニング)である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第2層アルミニウム系配線パターニング)である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第3層アルミニウム系配線パターニング)である。
【図9】図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥のない場合)である。
【図10】図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥のない場合)である。
【図11】図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥がある場合)である。
【図12】図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥を修正したところ)である。
【図13】図12の右上部分の拡大上面説明図である。
【図14】図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥がある場合)である。
【図15】図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥を修正したところ)である。
【図16】図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(図12と異なる方法で、欠陥を修正したところ)である。
【図17】図13と同じ箇所の拡大上面説明図である。
【図18】図5から図17および図31から図33の図中の部材表示の説明図である。
【図19】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム系通常配線パターニング)である。
【図20】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜塗布)である。
【図21】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜露光)である。
【図22】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜現像)である。
【図23】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(配線膜エッチング)である。
【図24】図14に対応して、配線溝に断線不良がある状態で、銅系配線の埋め込みを行った場合の銅系埋め込み配線の様子を示す仮想的第2層銅系埋め込み配線の上面図である。
【図25】図30のデバイスに配線溝形成後、第2層銅系埋め込み配線の埋め込み前にパターン修正を施したところを示す仮想的第2層銅系埋め込み配線の上面図である。
【図26】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(配線溝パターニング)である。
【図27】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜塗布)である。
【図28】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜露光)である。
【図29】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜現像)である。
【図30】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(層間絶縁膜の不要部分エッチング)である。
【図31】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(銅系配線の埋め込み)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0019】
1.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)集積回路基板;
(b)前記集積回路基板の第1の主面上に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線の内の一つとの間を接続するローカル配線;
(e)前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線のセル内分岐配線と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所が、そのローカル配線または前記セル内分岐配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理された修正処理部。
【0020】
2.前記1項の半導体集積回路装置において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【0021】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置において、前記グローバル配線および前記ローカル配線は、アルミニウム系配線である。
【0022】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1のピクセル内にある前記ローカル配線は、前記複数のグローバル配線の内の第2のグローバル配線のセル内分岐配線である。
【0023】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1のグローバル配線の中心線と前記修正処理部の中心の距離は、前記中心線に直行する方向の前記修正処理部の幅の半分または半径をRとし、前記第1のグローバル配線の最小線幅をWとしたとき、(R+0.25W)から(R+1.5W)の範囲である。
【0024】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1のグローバル配線の中心線に直行する方向の前記修正処理部の幅の半分または半径をRとし、前記第1のグローバル配線の最小線幅をWとしたとき、RはWから8Wの範囲である。
【0025】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記修正処理部の最大径は、前記修正処理部と前記第1のグローバル配線の最小間隔よりも大きい。
【0026】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記修正処理部は、実質的に円形もしくは円形の集合体もしくはスリット形である。
【0027】
9.半導体集積回路装置の製造方法であって、前記半導体集積回路装置は以下を含む:
(a)半導体ウエハの第1の主面上に設けられた複数のチップ領域;
(b)前記複数のチップ領域の各々に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線の内の一つとの間を接続するローカル配線;
(e)前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線のセル内分岐配線と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記ローカル配線または前記セル内分岐配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理を実施する工程。
【0028】
10.前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【0029】
11.前記9または10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記グローバル配線および前記ローカル配線は、アルミニウム系配線である。
【0030】
12.前記9から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のピクセル内にある前記ローカル配線は、前記複数のグローバル配線の内の第2のグローバル配線のセル内分岐配線である。
【0031】
13.前記9から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(x)は、以下の下位工程を含む:
(x1)前記半導体ウエハの前記第1の主面上にフォト・レジスト膜を形成する工程;
(x2)前記ショート不良箇所上の前記フォト・レジスト膜に局所的にレーザ・ビームを照射する工程;
(x3)前記工程(x2)の後、前記フォト・レジスト膜を現像する工程;
(x4)前記工程(x3)の後、現像された前記フォト・レジスト膜をマスクとして、前記ショート不良箇所をエッチングすることにより除去する工程;
(x5)前記工程(x4)の後、前記フォト・レジスト膜を除去する工程。
【0032】
14.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)集積回路基板;
(b)前記集積回路基板の第1の主面上に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線用配線溝;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線用配線溝の内の一つとの間を接続するローカル配線用配線溝;
(e)前記複数のグローバル配線用配線溝の内の第1のグローバル配線用配線溝または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線用配線溝のセル内分岐配線用配線溝と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線用配線溝との間の断線不良箇所が、そのローカル配線用配線溝または前記セル内分岐配線用配線溝の機能を実質的に回復せず、前記第1のグローバル配線用配線溝の機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理された修正処理部。
【0033】
15.前記14項の半導体集積回路装置において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【0034】
16.前記14または15項の半導体集積回路装置において、更に以下を含む:
(f)前記複数のグローバル配線用配線溝、および前記ローカル配線用配線溝内に埋め込まれた銅系メタル埋め込み配線。
【0035】
17.半導体集積回路装置の製造方法であって、前記半導体集積回路装置は以下を含む:
(a)半導体ウエハの第1の主面上に設けられた複数のチップ領域;
(b)前記複数のチップ領域の各々に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線用配線溝;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線用配線溝の内の一つとの間を接続するローカル配線用配線溝;
(e)前記複数のグローバル配線用配線溝の内の第1のグローバル配線用配線溝または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線用配線溝のセル内分岐配線用配線溝と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線用配線溝との間の断線不良箇所、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記ローカル配線用配線溝または前記セル内分岐配線用配線溝の機能を実質的に回復せず、前記第1のグローバル配線用配線溝の機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理を実施する工程。
【0036】
18.前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【0037】
19.前記17または18項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(x)は、以下の下位工程を含む:
(x1)前記半導体ウエハの前記第1の主面上にフォト・レジスト膜を形成する工程;
(x2)前記断線不良箇所上の前記フォト・レジスト膜に局所的にレーザ・ビームを照射する工程;
(x3)前記工程(x2)の後、前記フォト・レジスト膜を現像する工程;
(x4)前記工程(x3)の後、現像された前記フォト・レジスト膜をマスクとして、前記断線不良箇所をエッチングすることにより除去する工程;
(x5)前記工程(x4)の後、前記フォト・レジスト膜を除去する工程。
【0038】
20.前記17から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下を含む:
(y)前記工程(x)の後、前記複数のグローバル配線用配線溝、および前記ローカル配線用配線溝内に、銅系メタル埋め込み配線を埋め込む工程。
【0039】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0040】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0041】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0042】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0043】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0044】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0045】
6.レーザ・ビームの「スキャン」または「スキャンニング」には、「連続スキャン」と「ステップ・スキャン」があり、本願においては、制御が容易なことから、主に「ステップ・スキャン」を中心に説明する。しかし、照射量を等価にすれば、「連続スキャン」でも可能であることは言うまでもない。
【0046】
7.レーザ・ビームの「レーザ・スポット径」は、光強度が円の中心光強度(最大値)の半分になる部分を円周としたときの直径に対応する。
【0047】
8.ピクセル・アレイおよびピクセル等について、「グローバル配線」とは、ピクセル・アレイを横断又は縦断する配線であり、「ローカル配線」とは、単一の又は隣接するピクセル内の複数点間を連結する配線、あるいは、単一の又は隣接するピクセル内におけるグローバル配線の分岐配線を指す。
【0048】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0049】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0050】
1.本願の各実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法のパターン修正プロセスに使用するパターン修正装置の概要の説明(主に図1)
図1は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるパターン修正プロセスに使用するレーザ露光装置の模式構造図である。図1に基づいて、レーザ局所露光装置の概要を説明する。
【0051】
図1に示すように、被処理ウエハ1は、通常、レーザ修正装置80(レーザ・スポットまたはスキャンニング露光装置)内のウエハ・ステージ81上にデバイス面1aを上向きにした状態で真空吸着される。その状態で、ウエハ・ステージ81下のXYΘテーブル(XYテーブルと略称する)が移動することによって、2次元的なスキャン動作が実行される。
【0052】
ウエハ1の水平位置は、先行するパターン検査データに基づいて、観測光学系82が位置認識して、自動的に所定の修正位置に移動する。この観測光学系82は、観測用光源83、中間レンズ系84、ビーム・スプリッタ86、結像レンズ88、イメージ・センサ89等から構成されている。一方、レーザ加工光学系は、レーザ光源92、スポット径等を調整するビーム形状整形器93、このビーム形状整形器93を通過したレーザ・ビーム72を主光軸方向に送る中間レンズ系85、中間レンズ系85を通過したレーザ・ビーム72の主要部をウエハ1の方向に反射するビーム・スプリッタ87、ビーム・スプリッタ87から反射された加工用レーザ・ビーム72をレーザ光の波長と同程度から数倍程度の径(直径)のスポット(断面がほぼ円形の集光部をレジスト膜の層に結像させる)に集光する対物レンズ系71等から構成されている。
【0053】
ここで、レーザ光源92としては、今後の微細化を考慮すると、サブ・ミクロンのスポット状ビームを形成する必要があることから、紫外線レーザが好適である。従って、たとえば、KrFエキシマ・レーザによる波長248nm,エネルギ密度1から数十mJ/cm程度を例示することができる。また、Nd−YAGレーザの基本波1064nmの第4高調波266nm等も適用することができる。後者の方は、若干、最小スポット径は大きくなるもののプロセス・コストの低減に有効である。なお、微細化等により、更に微細な最小スポット径が要求される場合には、ArFエキシマ・レーザによる波長193nmのレーザ光を使用してもよい。これにより、100nm程度又はそれ以下のスポット径まで形成可能である。
【0054】
これらから、理論的には100nm程度のスポット径の短波長レーザを用いて、その2から3倍程度の最小線幅を持つデバイスに対して修正をするという選択肢(「微細スポット光修正」という)も存在する。しかし、波長193nmのArFエキシマ・レーザよりも短波長の有力なレーザ光源は簡単に得られない等の事情により、更なる微細化には対応できないという問題がある。また、そのような微細スポットを更に一桁高い微細精度で制御する修正装置の開発が現実的に(経済的に)可能かどうかの問題もある。
【0055】
従って、以下の実施の形態では、主に、最小線幅よりも大きな(典型的には数倍程度)レーザ・スポット・ビームを用いた修正方法を説明する。これは、CMOSイメージ・センサ等の2次元受光素子が、対象である色の変化は数ピクセル間では微小であるため、画像処理によって補完できるという特徴に着目してなされたものである。すなわち、あるグローバル配線に対応してピクセルの多くが不良となると、当該2次元受光素子(当該チップ)は不良となるが、パターン不良に対応する分散した複数のピクセルが不良となっても、グローバル配線の機能さえ回復すれば、当該2次元受光素子(当該チップ)は不良とはならない。従って、修正処理によって、パターン不良に対応する分散した複数のピクセルの機能を破壊しても、グローバル配線の機能が回復すればよい、または、グローバル配線の機能を破壊しなければよいという修正戦略(「大スポット光修正」という)をとれば、デバイスの最小線幅やりも大きなレーザ・スポット・ビームを用いた修正方法が可能となる。この大スポット光修正では、レーザのエネルギーを比較的大きな部分に集光するので、エネルギー的には微細スポット光修正と比較して不利となるので、一旦、レジスト膜等をレーザ・ビームで局所露光することが有効である。しかし、大スポット光修正では、スポット径が大きい分、修正速度は非常に速くなる。また、レーザ波長の数倍のビーム径のレーザ・スポット・ビームを用いるので、ArFエキシマ・レーザによる波長193nmのレーザ光(理論的な最小ビーム径は100nm以下)を使用すると、理論的には、最小線幅が32nmの製品まで修正可能であることがわかる。
【0056】
2.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるデバイス(CMOSイメージ・センサ)構造の概要の説明(主に図2から図4)
ここでは、本願発明の対象デバイスの一例として、2次元受光素子、すなわち、撮像素子に分類されるCMOSイメージ・センサ(アクティブ型)または、それを搭載した半導体集積回路装置を説明する。ここでは、最小線幅が、ほぼ0.3マイクロ・メートル程度(主に修正対象となる配線層の最小線幅はプロセス層にもよるが、概ね、0.25マイクロ・メートルから0.35マイクロ・メートル程度である)の製品を例にとり、説明する。現在の最微細プロセス(45nmプロセス等)と比べると、加工寸法としては、比較的大きいが、チップサイズが非常に大きいため、ウエハあたり1から2個程度のパターン不良でも5から10%の歩留まり低下につながる点を考慮すると、最微細プロセス又はそれ以上の困難性を伴う。また、デバイス面積の点では、大型液晶表示装置は非常にデバイス面積が大きいが、その加工寸法は概ね30マイクロ・メートル程度であり、本願が主に取り扱うデバイスと比較して、100倍程度の差がある。そのため、大型液晶表示装置の修正では、高出力の赤外線レーザが使用できる有利さがある。これに対して、CMOSイメージ・センサ等の製品では、サブ・ミクロン領域での加工が必要なため、比較的出力が大きいレーザ光源が限定されている状況にある。
【0057】
図2は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるデバイス(CMOSイメージ・センサ)のイメージ・センサ部のレイアウトを示す回路レイアウト図である。図3は図2のイメージ・センサ部のピクセル・アレイの単位ピクセル部の回路構成を示す回路図である。図4は図2のイメージ・センサ部のピクセル・アレイの単位ピクセル部のデバイス断面構造の一例を示すデバイス模式断面図である。これらに基づいて、CMOSイメージ・センサの要部構造の概要を説明する。
【0058】
図2および図3に示すように、CMOSイメージ・センサ部50は、非常に多くのピクセル部51をマトリクス状に配置したピクセル・アレイ55を有している。各ピクセル部51は、フォト・ダイオードPD、転送トランジスタQT、フローティング拡散領域FD、リセット・トランジスタQR、読み出し用ソース・フォロア・トランジスタQF、読み出しセレクト・トランジスタQS等を有する。
【0059】
ピクセル・アレイ55を横断又は縦断するグローバル配線としては、転送トランジスタQTを制御する転送制御線TC、リセット・トランジスタQRを制御するリセット制御線RC、このリセットのためのリセット電源線Vdd、読み出しセレクト・トランジスタQSを制御する読み出し制御線52、読み出し用ソース・フォロア・トランジスタQFを通して信号を読み出す読み出し信号線53等がある。
【0060】
読み出し制御線52は、ロー・デコーダ59によって制御されており、一方、読み出し信号線53はカラム・デコーダ60に制御されており、読み出された信号は、読み出し回路54を介して、外部に送出される。
【0061】
このピクセル部51周辺のデバイス断面は、図4のような構造となっている。すなわち、N型シリコン単結晶基板1s(またはウエハ、たとえば200φ)の上面には、N型エピタキシャル領域1eがあり(いわゆるN型エピタキシャル基板又はウエハ1)、そこには、ピクセル部51用のディープNウエル領域7および周辺部用の通常Pウエル領域8が設けられている。このディープPウエル領域7内には、フォト・ダイオードPDのN極を構成するN型領域9およびP極を構成するN型領域10が設けられている。また、ディープPウエル領域7と通常Pウエル領域8の両方に、Nチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のソース又はドレイン領域14(フローティング拡散領域FDは、それらの一部である)が設けられている。ディープPウエル領域7と通常Pウエル領域8の表面には、フィールド絶縁膜20およびゲート絶縁膜15があり、その上には、N型ポリシリコン・ゲート電極16が設けられており、これらのゲート電極16は、ハード・マスク17を用いてパターニングされている。ゲート電極16の周りには、サイド・ウォール・スペーサ18が配置されている。フォト・ダイオード56の上方には、反射防止膜としての窒化膜19が設けられている。
【0062】
N型エピタキシャル基板1上にプリ・メタル絶縁膜21が設けられており、それを貫通してタングステン・プラグ22等のポリ・シリコン等コンタクト部材Cが配置されている。プリ・メタル絶縁膜21上には、第1層配線領域M1を構成するアルミニウム系配線パターン膜3が配置されている。
【0063】
第1層配線領域M1を構成するアルミニウム系配線パターン膜3上は、層間&層内絶縁膜23によって埋め込まれており、この層間&層内絶縁膜23上に第2層配線領域M2を構成するアルミニウム系配線パターン膜3が配置されている。この第2層配線領域M2を構成するアルミニウム系配線パターン膜3の幾つかは、先に第1層配線領域M1を構成するアルミニウム系配線パターン膜3とタングステン・プラグ22(第1ビア・コンタクトV1)によって電気的に接続されている。
【0064】
第2層配線領域M2を構成するアルミニウム系配線パターン膜3上は、再び層間&層内絶縁膜23(ファイナルパッシベーション膜等を含む上層絶縁膜)によって埋め込まれており、この層間&層内絶縁膜23上に第3層配線領域M3を構成するアルミニウム系配線パターン膜3が配置されている。この第3層配線領域M3を構成するアルミニウム系配線パターン膜3の幾つかは、先に第2層配線領域M2を構成するアルミニウム系配線パターン膜3とタングステン・プラグ22(第2ビア・コンタクトV2)によって電気的に接続されている。この上層絶縁膜23上には、インナ・レンズ層24が設けられている。
【0065】
3.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるデバイス(CMOSイメージ・センサ)構造(要部平面フローを含む)の詳細およびパターン修正の説明(主に図5から図18)
ここでは、セクション1で説明したレーザ露光装置を用いて、セクション2で説明したデバイスの製造プロセス途中でのパターン修正を実行する具体的な方法等について説明する。
【0066】
図5は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(ゲート・ポリ・シリコン膜パターニング)である。図6は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第1層アルミニウム系配線パターニング)である。図7は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第2層アルミニウム系配線パターニング)である。図8は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の一例であるCMOSイメージ・センサの製造プロセスにおける要部平面フロー図(第3層アルミニウム系配線パターニング)である。図9は図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥のない場合)である。図10は図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥のない場合)である。図11は図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥がある場合)である。図12は図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥を修正したところ)である。図13は図12の右上部分の拡大上面図であり、グローバル配線の中心線と修正処理部の中心の距離の上限近傍を説明する説明図である。図14は図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥がある場合)である。図15は図7において、第2層アルミニウム系配線のみを示した上面図(欠陥を修正したところ)である。図16は図6において、第1層アルミニウム系配線のみを示した上面図(図12と異なる方法で、欠陥を修正したところ)である。図17は図13と同じ箇所の拡大上面図であり、グローバル配線の中心線と修正処理部の中心の距離の下限近傍を説明する説明図である。図18は図5から図17および図31から図33の図中の部材表示の説明図である。
【0067】
先ず、図5から図8および図18に基づいて、ゲート電極パターニング完から第3層配線パターニング完までのピクセル・アレイ55の平面構造を欠陥がない理想的な場合について説明する。なお、ピクセル・アレイ55はピクセル部51の繰り返し構造であるため、主に一つのピクセル部51について説明する。
【0068】
図5に示すように、各トランジスタQF,QR,QS,QTのゲート電極16(N型ポリシリコン膜)がパターニングされる。次に、図6に示すように、ゲート電極層の上層に、層間絶縁膜を介して、第1層アルミニウム系配線M1がパターニングされる。このプロセス層に含まれる重要なグローバル配線には、読み出し信号線53がある。次に、図7に示すように、第1層アルミニウム系配線層上に、層間絶縁膜を介して、第2層アルミニウム系配線M2がパターニングされる。このプロセス層に含まれる重要なグローバル配線には、読み出し制御線52、転送制御線TC、リセット制御線RC等がある。次に、図8に示すように、第2層アルミニウム系配線層上に、層間絶縁膜を介して、第3層アルミニウム系配線M3がパターニングされる。このプロセス層に含まれる重要なグローバル配線には、リセット電源線Vddがある。
【0069】
ここで、主に修正対象となるプロセス層である第1層アルミニウム系配線層および第2層アルミニウム系配線層の平面構造の特徴について説明する。図9は図6において第1層アルミニウム系配線M1以外を非表示にしたものである。図9に示すように、ピクセル・アレイ55を縦断して、読み出し信号線53等のグローバル配線64があり、ピクセル部51には、複数のローカル配線62がある。ローカル配線62の中には、読み出し信号線53のセル内分岐配線61等も含まれる。
【0070】
図10は図7において第2層アルミニウム系配線M2以外を非表示にしたものである。図10に示すように、ピクセル・アレイ55を横断して、読み出し制御線52、転送制御線TC、リセット制御線RC等のグローバル配線64があり、ピクセル部51には、複数のローカル配線62がある。ローカル配線62の中には、転送制御線TCのセル内分岐配線63等も含まれる。
【0071】
次に、図11から図13に基づいて、第1層アルミニウム系配線層における実際のショート欠陥および、そのパターン修正の具体例を説明する。図11に示すように、この場合にはアルミニウム系配線パターン膜の不要部分、すなわち、ショート不良箇所4(4a,4b,4c,4d,4e)が存在する。これらのショート不良箇所4(4a,4b,4c,4d,4e)の特徴は、第1のグローバル配線64または、そのセル内の分岐配線61、および、そのセル内のローカル配線62との間で発生していることである。このローカル配線62は、第2のグローバル配線64のそのセル内の分岐配線61である場合を含む。
【0072】
具体的には、ショート不良箇所4a,4cは、第1のグローバル配線64のセル内分岐配線61と、その他のローカル配線62との間で発生している。一方、ショート不良箇所4b,4d,4eは、第1のグローバル配線64と、ローカル配線62との間で発生している。
【0073】
次に、この修正方法を図12に例示する。図12に示すように、破線の円は単一のレーザ・スポット照射による修正処理部65(65a,65b,65c,65d,65e)である。修正処理部65b,65d,65eにおいては、そのローカル配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理されている。一方、修正処理部65a,65cにおいては、セル内分岐配線の機能を実質的に破壊し(すなわち、ショート欠陥によって、そのセル内分岐配線を介して第1のグローバル配線の機能が実質的に損なわれないように)、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理されている。
【0074】
次に、図14および図15に基づいて、第2層アルミニウム系配線層における実際のショート欠陥および、そのパターン修正の具体例を説明する。図14に示すように、この場合にはアルミニウム系配線パターン膜の不要部分、すなわち、ショート不良箇所4(4f,4g)が存在する。これらのショート不良箇所4(4f,4g)の特徴は、第1のグローバル配線64または、そのセル内の分岐配線63、および、そのセル内のローカル配線62との間で発生していることである。このローカル配線62は、第2のグローバル配線64のそのセル内の分岐配線63である場合を含む。
【0075】
具体的には、ショート不良箇所4fは、第1のグローバル配線64(TC)のセル内分岐配線63と、その他のローカル配線62との間で発生している。ショート不良箇所4gは、第1のグローバル配線64(RC)と、第2のグローバル配線64(TC)のセル内分岐配線63との間で発生している。
【0076】
次に、この修正方法を図15に例示する。図15に示すように、破線の円は単一のレーザ・スポット照射による修正処理部65(65f,65g)である。修正処理部65fにおいては、そのローカル配線(グローバル配線のセル内分岐配線を含む)の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理されている。修正処理部65gにおいては、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊することなく、第2のグローバル配線TC(64)のセル内分岐配線の機能を実質的に破壊するように、レーザ・リペア処理されている。なお、図15における一点破線41,42は、それぞれ転送制御線TCおよびリセット制御線RCの中心線である。
【0077】
ここで、図12又は図15に示したレーザ・ビームによるスポット露光部の形状または露光方式は、略円形に限らず、図16に示すように、円形の集合体65d’,65e’(数個の相互に重なるスポット露光に対応)やスリット形状65a’,65b’(スキャン露光または近接した多数の相互に重なるスポット露光に対応)であってもよい。ここで、図16における一点破線66は、読み出し信号線53の中心線である。
【0078】
次に、以上説明した修正方法(ここでは、図12の修正処理部65dを例にとり説明する)に関して、図13及び図17(図16も参照)を用いて、修正処理部65の中心68と修正処理部65に関係するグローバル配線(ここでは読み出し信号線53)の中心との距離D(グローバル配線中心及び修正処理部中心間距離)、最小線幅W,修正処理部65の関係するグローバル配線の中心線66に直行する方向の前記修正処理部の幅の半分または半径R(修正処理部の広義の半径であるが、ここでは、単に「修正処理部半径」と呼ぶ)等の間の関係を説明する。
【0079】
先ず、図17によって、好適なグローバル配線中心及び修正処理部中心間距離D(略して「中心間距離」と呼ぶ)の下限値について考察する。図17に示すように、理想的には中心間距離Dは修正処理部半径RよりもW/2(すなわち0.5W)以上大きいことが望ましいが、グローバル配線の機能を破壊しない範囲の最低ラインとしては、修正処理部半径RよりもW/4(すなわち0.25W)以上大きければよい。
【0080】
一方、上限値は一義的には決まらないが、修正方法が最も効果を発揮する範囲での上限という観点から、図13によって考察する。すなわち、中心間距離Dを修正処理部半径Rよりも十分に大きくとってよいのなら、通常の方法でも修正可能な場合がある。従って、ここに示した方法は、修正処理部65と関係するグローバル配線間の距離が1W以内に近接するときに特に有効と考えられる。従って、中心間距離Dの上限はR+1.5W程度ということになる。
【0081】
また、図13に示すように、修正処理部65dの最大径L、すなわち、円形の場合は2Rおよび、修正処理部65dの端部と近接するグローバル配線64の間の間隔G(最小間隔)に着目すると、最大径Lが間隔Gよりも大きくなるように(グローバル配線の機能を破壊しない範囲で間隔Gが負となる場合を含む)、スポット露光等の位置を決定すればよいことがわかる。最大径Lは、修正処理部65が円形でない場合には、図13の1点破線で示すように、グローバル配線に垂直な方向の最大差し渡しとなる。
【0082】
また、図13及び図17において、対象プロセス層の最小線幅Wと修正処理部半径Rの関係に着目すると、Rは1Wから8W程度の範囲が特に好適である。
【0083】
4.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法に関する要部プロセス・フロー(パターン修正プロセス)の説明(主に図19から図23)
図19は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム系通常配線パターニング)である。図20は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜塗布)である。図21は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜露光)である。図22は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜現像)である。図23は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセスのデバイス断面プロセス・フロー図(配線膜エッチング)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法に関する要部プロセス・フロー(パターン修正プロセス)を説明する。
【0084】
このセクションのパターン修正は、たとえばセクション2の第1層配線領域M1から第3層配線領域M3のいずれか一層のアルミニウム系配線パターン膜3について行われるが、ここでは、第1層配線領域M1に関して、図11及び図12のX−X’断面を例にとり説明する。
【0085】
図19は、パターン検査完了時のX−X’断面である。まず、図20に示すように、半導体ウエハのデバイス面1aのほぼ全面に、たとえば、有機系フォト・レジスト(KrFエキシマ・レーザ露光用の化学増幅型レジスト等を例示することができる)を塗布し、通常の露光の際と同様に、プリ・ベーク処理を施す。ベーク条件は、たとえば摂氏140度、60秒程度である。フォト・レジストの一例としては、たとえばポジ型の化学増幅型レジストを例示することができる。レジストの厚さは、たとえば、0.2マイクロ・メートルから数マイクロ・メートル程度を例示することができる。
【0086】
プリ・ベーク処理の次に、図21に示すように、セクション1で説明したレーザ修正装置(レーザ照射装置)内において、パターン修正のための露光を実行する。すなわち、図21に示すように、セクション1で説明した対物レンズ系71により集光されたレーザ・ビーム72(たとえば波長200nmのKrFエキシマ・レーザ)で、たとえばスポット露光を実行することにより、アルミニウム系配線パターン膜の不要部分4dの上方周辺のレジスト膜5を局所的に露光する。ここで、グローバル配線の最小寸法を0.3マイクロ・メートル程度(図13の最小線幅Wに対応)とすると、レーザ・ビーム72のスポット径(直径、図13等における2R)は、たとえば、1.5マイクロ・メートル程度を例示することができる。2Rの好適な範囲としては、2Wから16W程度(量産上、更に好適な範囲としては2Wから10W程度)を例示することができる。
【0087】
次に、図22に示すように、レジスト膜5を現像して、レジスト膜開口6を形成する。
【0088】
次に、図23に示すように、ウエハ1は、レジスト膜開口6が形成されたレジスト膜5がある状態で、ドライ・エッチング装置に導入され、アルミニウム系配線パターン膜の不要部分4dの除去処理が実行される。ここで、エッチング条件としては、エッチング雰囲気は、たとえばCベース雰囲気(一例としてC:70sccm,N:3sccm,Cl:60sccm,BCl:40sccmの混合ガス雰囲気)、処理圧力は、たとえば1.3パスカル程度、ステージ温度摂氏は、たとえば80度程度、プラズマ・ソース・パワーは、たとえば800ワット、バイアス・パワーは、たとえば100ワット、エッチング時間は、たとえば60秒程度を例示することができる。これで修正処理が完了し、不要と成ったレジスト膜5が除去される。
【0089】
この後、ウエハ1は、通常のウエハ工程における次の工程に移送される。前記の修正工程は、第1層配線領域M1の形成工程に関するものであり、その場合は、第2層配線領域M2の形成工程に移送されることとなる。
【0090】
5.本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法に関する要部プロセス・フロー(パターン修正プロセス)の説明(主に図24から図31)
セクション4では、アルミニウム系通常配線の修正を具体的に説明したが、このセクションでは同様のデバイス・レイアウトを前提に、銅系埋め込み配線の修正の具体例を説明する。具体的には、図10と同一の平面レイアウトの第2層銅系埋め込み配線M2を例にとり説明する。埋め込み配線では、配線埋め込み溝を形成した段階でパターン修正を行うので、銅系埋め込み配線の埋め込み前においては、「配線」を「配線溝」とする必要がある。また、アルミニウム系通常配線における「ショート不良箇所」は、銅系埋め込み配線においては、「断線不良箇所(あるべきところに配線溝が形成されていない不良箇所)」に対応する点に留意する必要がある。
【0091】
図24は図14に対応して、配線溝に断線不良がある状態で、銅系配線の埋め込みを行った場合の銅系埋め込み配線の様子を示す仮想的第2層銅系埋め込み配線の上面図である。図25は図30のデバイスに配線溝形成後、第2層銅系埋め込み配線の埋め込み前にパターン修正を施したところを示す仮想的第2層銅系埋め込み配線の上面図である。図26は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(配線溝パターニング)である。図27は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜塗布)である。図28は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜露光)である。図29は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(レジスト膜現像)である。図30は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(層間絶縁膜の不要部分エッチング)である。図31は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置(銅系埋め込み配線の製品)の製造方法におけるパターン修正プロセス(図24及び図25のY−Y’断面に対応)のデバイス断面プロセス・フロー図(銅系配線の埋め込み)である。これらに基づいて、銅系埋め込み配線における断線不良とその修正の具体例を説明する。
【0092】
図24に示すように、ここには断線不良箇所31(31x,31y,31z)が存在する。断線不良箇所31xにおいては、第1のグローバル配線RC(64)とローカル配線62の間で、断線不良が発生している。ここには断線不良箇所31(31x,31y,31z)が存在する。断線不良箇所31yにおいては、第1のグローバル配線TC(64)のセル内分岐配線63とローカル配線62の間で、断線不良が発生している。断線不良箇所31zにおいては、第1のグローバル配線RC(64)とローカル配線62(第2のグローバル配線TCのセル内分岐配線63)の間で、断線不良が発生している。
【0093】
次に、図25にレーザ・スポット・ビーム65(65x,65z)によるパターン修正を説明する。断線不良箇所31x,31zについては、直接、グローバル配線溝に関係しているので、修正する必要があるが、断線不良箇所31yは当該ピクセルに固有の不良であり、画像処理でカバーできるので、修正する必要がない。図25に示すように、修正処理部65xにおいては、ローカル配線用配線溝62の機能を実質的に回復せず、第1のグローバル配線用配線溝RCの機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理されている。一方、修正処理部65zにおいては、ローカル配線用配線溝62(すなわち、第2のグローバル配線溝TCのセル内分岐配線用配線溝63)の機能を実質的に回復せず、第1のグローバル配線用配線溝RCの機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理されている。
【0094】
次に、図24及び図25のY−Y’断面について、図26から図31に基づいて、断線不良修正プロセスの詳細フローを説明する。図24に対応する配線溝形成時点のY−Y’断面は、図26に示すようになっている。すなわち、半導体ウエハ1のデバイス面側には、ゲート電極等をカバーして、配線層にいたるプリ・メタル絶縁膜21があり、その上の第1層配線層間絶縁膜26内に銅系埋め込み配線パターン膜26(M1)が埋め込まれている。その上には、第2層配線M2に属する第2層層間絶縁膜34があり、更にその上に、第2層層内絶縁膜35がある。この第2層層内絶縁膜35は、配線溝パターニング工程でパターニングされており、転送制御線溝TCのセル内分岐配線溝63は相当長さに渡り絶縁膜(断線不良箇所31)に埋め込まれており、リセット制御線溝RC(64)の幅もかなり狭くなっている。同図に、本来のセル内分岐配線溝の存在領域63’および本来のグローバル配線溝の幅64’を示す。
【0095】
先ず、図27に示すように、ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)側のほぼ全面にフォト・レジスト膜5(レジスト膜)を塗布する。次に、図28に示すように、セクション4(図21)と同様に、レーザ・ビーム72による局所露光を実行する(通常、ウエハ上には複数の修正箇所があるので、それらを逐次露光する)。続いて、図29に示すように、レジスト膜5を現像することによって、レジスト膜開口6を形成する。次に、図30に示すように、パターニングされたレジスト膜5をエッチング・マスクとして、下層の膜(層内絶縁膜35の一部)をエッチングすることで、欠陥を修正する(修正処理部65z)。その後、不要になったレジスト膜5をアッシング等により除去する。続いて、図31に示すように、配線溝63,64等に銅系メタル配線構造(通常タンタル系バリアメタル及び銅系配線部材を主要な構成要素とする)を埋め込み、転送制御線TCのセル内分岐配線63、グローバル配線64等を形成する。グローバル配線64には余剰埋め込みメタル部69が連結しているが、グローバル配線64の機能を損なうことはない。
【0096】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0097】
例えば、前記各実施の形態では、一つ又は複数の欠陥のあるプロセス層の上のレジスト膜をレーザで局所露光して、そのレジスト膜を現像して、パターニングされたレジスト膜をエッチング・マスクとして、下層の膜をエッチングすることで、欠陥を修正するプロセス(「局所露光方式」という)を説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、レジスト膜を直接レーザ・アブレーション(Laser Ablation)により除去し、それによってパターニングされたレジスト膜をエッチング・マスクとして、下層の膜をエッチングすることで、欠陥を修正するプロセス(「レジスト膜レーザ・アブレーション方式」という)等にも適用できることは言うまでもない。ただし、局所露光方式は、より微弱なレーザ出力で加工できるほか、微細加工特性が良好である。一方、レジスト膜レーザ・アブレーション方式は、工程数を削減できるメリットがある。更に、配線の欠陥等を直接、レーザ・アブレーション等により除去するプロセス(「直接レーザ・アブレーション方式」という)等にも適用できることは言うまでもない。直接レーザ・アブレーション方式は、工程数を大幅に削減できるメリットがある。また、直接レーザ・アブレーション方式に比べて、局所露光方式およびレジスト膜レーザ・アブレーション方式は、微細加工形状の良好さ及びデバイスの信頼性において優れている。
【0098】
なお、前記各実施の形態では、「局所露光方式」を実現するために、セクション1で説明したレーザ照射装置を例にとり説明したが、たとえば通常の半導体ウエハプロセスのパターニング工程(露光工程)で用いられる紫外線を露光光に用いた縮小投影露光装置等(ステッパやスキャナ等)を用いたマスク露光(修正露光に対応した開口パターン等を有する光学マスクを使用する)を用いてもよい。
【0099】
なお、前記各実施の形態では、対象デバイスとして、アクティブ型CMOS2次元イメージ・センサを搭載したデバイスを例にとり説明したが、アクティブ型に限らず、パッシブ型、デジタル型等にも適用できることは言うまでもない。また、対象デバイスとしては、CMOS2次元イメージ・センサに限らず、その他の撮像素子、受光素子、光検出装置、その他のセル・アレイを有するデバイスに広く適用できる。
【符号の説明】
【0100】
1 半導体ウエハまたは半導体基板
1a 半導体ウエハのデバイス面(上面又は第1の主面)
1b 半導体ウエハの裏面(下面又は第2の主面)
1e 半導体ウエハのN型エピタキシャル領域
1s 半導体ウエハの半導体基板領域(N型シリコン単結晶基板)
2 ウエハ上の絶縁膜(プリ・メタル絶縁層または多層配線領域)
3 アルミニウム系配線パターン膜
4、4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g アルミニウム系配線パターン膜の不要部分(ショート不良箇所)
5 レジスト膜
6 レジスト膜開口
7 ディープPウエル領域
8 通常Pウエル領域
9 フォト・ダイオードのN極を構成するN型領域
10 フォト・ダイオードのP極を構成するN型領域
14 Nチャネル型MISFETのソース又はドレイン領域
15 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極(N型ポリシリコン膜)
17 ゲート電極加工用ハード・マスク(CVDシリコン酸化膜)
18 サイド・ウォール・スペーサ
19 反射防止膜(窒化シリコン膜)
20 フィールド絶縁膜
21 プリ・メタル絶縁膜
22 タングステン・プラグ
23 層間&層内絶縁膜(または上層絶縁膜)
24 インナ・レンズ
25 銅系埋め込み配線パターン膜
26 第1層配線層間絶縁膜
31,31x,31y,31z 断線不良箇所(配線溝とすべきであった部分)
34 層間絶縁膜
35 層内絶縁膜
41 (転送制御線の)中心線
42 (リセット制御線の)中心線
50 イメージ・センサ部
51 ピクセル部(受光セル部)
52 読み出し制御線(または同配線溝)
53 読み出し信号線
54 読み出し回路
55 ピクセル・アレイ
59 ロー・デコーダ
60 カラム・デコーダ
61 (読み出し信号線の)セル内分岐配線
62 ローカル配線(または同配線溝)
63 (転送制御線の)セル内分岐配線(または同配線溝)
63’ 本来のセル内分岐配線溝の存在領域
64 グローバル配線
64’ 本来のグローバル配線溝の幅
65,65a,65a’,65b,65b’,65c,65d,65d’,65e,65e’,65f,65g,65x,65z 修正処理部
66 (読み出し信号線の)中心線
67 (修正処理部の)中心のオフセット限界線
68 (修正処理部の)中心(重心)
69 余剰埋め込みメタル部
71 対物レンズ系
72 レーザ・ビーム
80 レーザ修正装置
81 ウエハ・ステージ
82 観測光学系
83 観測用光源
84、85 中間レンズ系
86、87 ビーム・スプリッタ
88 結像レンズ
89 イメージ・センサ
91 レーザ加工光学系
92 レーザ光源
93 ビーム形状整形器
C ポリ・シリコン等コンタクト
D グローバル配線中心及び修正処理部中心間距離
FD フローティング拡散領域
G 修正処理部と関係グローバル配線の最小間隔
L 関係グローバル配線に垂直方向の修正処理部の最大径
M1 第1層配線
M2 第2層配線
M3 第3層配線
PD フォト・ダイオード
QF ソース・フォロア・トランジスタ
QR リセット・トランジスタ
QS セレクト・トランジスタ
QT 転送トランジスタ
R 修正処理部の幅の半分または半径
RC リセット制御線(または同配線溝)
TC 転送制御線(または同配線溝)
V1 第1ビア・コンタクト(または同ビア・ホール)
V2 第2ビア・コンタクト(または同ビア・ホール)
Vdd リセット電源線
W 最小線幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)集積回路基板;
(b)前記集積回路基板の第1の主面上に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線の内の一つとの間を接続するローカル配線;
(e)前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線のセル内分岐配線と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所が、そのローカル配線または前記セル内分岐配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理された修正処理部。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【請求項3】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記グローバル配線および前記ローカル配線は、アルミニウム系配線である。
【請求項4】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第1のピクセル内にある前記ローカル配線は、前記複数のグローバル配線の内の第2のグローバル配線のセル内分岐配線である。
【請求項5】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第1のグローバル配線の中心線と前記修正処理部の中心の距離は、前記中心線に直行する方向の前記修正処理部の幅の半分または半径をRとし、前記第1のグローバル配線の最小線幅をWとしたとき、(R+0.25W)から(R+1.5W)の範囲である。
【請求項6】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第1のグローバル配線の中心線に直行する方向の前記修正処理部の幅の半分または半径をRとし、前記第1のグローバル配線の最小線幅をWとしたとき、RはWから8Wの範囲である。
【請求項7】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記修正処理部の最大径は、前記修正処理部と前記第1のグローバル配線の最小間隔よりも大きい。
【請求項8】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記修正処理部は、実質的に円形もしくは円形の集合体もしくはスリット形である。
【請求項9】
半導体集積回路装置の製造方法であって、前記半導体集積回路装置は以下を含む:
(a)半導体ウエハの第1の主面上に設けられた複数のチップ領域;
(b)前記複数のチップ領域の各々に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線の内の一つとの間を接続するローカル配線;
(e)前記複数のグローバル配線の内の第1のグローバル配線または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線のセル内分岐配線と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線との間のショート不良箇所、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記ローカル配線または前記セル内分岐配線の機能を実質的に破壊し、前記第1のグローバル配線の機能を実質的に破壊しないように、レーザ・リペア処理を実施する工程。
【請求項10】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【請求項11】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記グローバル配線および前記ローカル配線は、アルミニウム系配線である。
【請求項12】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のピクセル内にある前記ローカル配線は、前記複数のグローバル配線の内の第2のグローバル配線のセル内分岐配線である。
【請求項13】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(x)は、以下の下位工程を含む:
(x1)前記半導体ウエハの前記第1の主面上にフォト・レジスト膜を形成する工程;
(x2)前記ショート不良箇所上の前記フォト・レジスト膜に局所的にレーザ・ビームを照射する工程;
(x3)前記工程(x2)の後、前記フォト・レジスト膜を現像する工程;
(x4)前記工程(x3)の後、現像された前記フォト・レジスト膜をマスクとして、前記ショート不良箇所をエッチングすることにより除去する工程;
(x5)前記工程(x4)の後、前記フォト・レジスト膜を除去する工程。
【請求項14】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)集積回路基板;
(b)前記集積回路基板の第1の主面上に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線用配線溝;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線用配線溝の内の一つとの間を接続するローカル配線用配線溝;
(e)前記複数のグローバル配線用配線溝の内の第1のグローバル配線用配線溝または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線用配線溝のセル内分岐配線用配線溝と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線用配線溝との間の断線不良箇所が、そのローカル配線用配線溝または前記セル内分岐配線用配線溝の機能を実質的に回復せず、前記第1のグローバル配線用配線溝の機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理された修正処理部。
【請求項15】
前記14項の半導体集積回路装置において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【請求項16】
前記14項の半導体集積回路装置において、更に以下を含む:
(f)前記複数のグローバル配線用配線溝、および前記ローカル配線用配線溝内に埋め込まれた銅系メタル埋め込み配線。
【請求項17】
半導体集積回路装置の製造方法であって、前記半導体集積回路装置は以下を含む:
(a)半導体ウエハの第1の主面上に設けられた複数のチップ領域;
(b)前記複数のチップ領域の各々に設けられ、多数のピクセルがマトリクス状に配列されたピクセル・アレイ;
(c)前記ピクセル・アレイを横断又は縦断する複数のグローバル配線用配線溝;
(d)前記多数のピクセルの各ピクセル内相互間、またはピクセル内と前記複数のグローバル配線用配線溝の内の一つとの間を接続するローカル配線用配線溝;
(e)前記複数のグローバル配線用配線溝の内の第1のグローバル配線用配線溝または前記多数のピクセルの内の第1のピクセル内にある前記第1のグローバル配線用配線溝のセル内分岐配線用配線溝と、前記第1のピクセル内にあるローカル配線用配線溝との間の断線不良箇所、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記ローカル配線用配線溝または前記セル内分岐配線用配線溝の機能を実質的に回復せず、前記第1のグローバル配線用配線溝の機能を実質的に回復するように、レーザ・リペア処理を実施する工程。
【請求項18】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ピクセル・アレイは、CMOSセンサの主要部を構成する。
【請求項19】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(x)は、以下の下位工程を含む:
(x1)前記半導体ウエハの前記第1の主面上にフォト・レジスト膜を形成する工程;
(x2)前記断線不良箇所上の前記フォト・レジスト膜に局所的にレーザ・ビームを照射する工程;
(x3)前記工程(x2)の後、前記フォト・レジスト膜を現像する工程;
(x4)前記工程(x3)の後、現像された前記フォト・レジスト膜をマスクとして、前記断線不良箇所をエッチングすることにより除去する工程;
(x5)前記工程(x4)の後、前記フォト・レジスト膜を除去する工程。
【請求項20】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下を含む:
(y)前記工程(x)の後、前記複数のグローバル配線用配線溝、および前記ローカル配線用配線溝内に、銅系メタル埋め込み配線を埋め込む工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−35016(P2011−35016A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177218(P2009−177218)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】