説明

反射光学素子とその製造方法

作動波長域を軟X線領域又は極紫外線領域とする、特にEUVリソグラフィにおいての使用のための応力軽減型反射光学素子を製造するために、基材と作動波長域においての高反射率のために最適化された多層系との間に応力軽減型多層系を40eV以上の、好適には90eV以上の、エネルギーを有する層形成粒子によって蒸着することが提案される。得られる反射光学素子はその低い界面粗さ、応力軽減型多層系における周期数の少なさ及び応力軽減型多層系におけるΓ値の高さにより特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に応力を及ぼす多層系を前記基材上に有し、前記多層系と前記基材との間には材料の層が配置され、前記材料の層の厚みは前記多層系の応力を補償するような寸法とされる、反射光学素子の製造方法に関する。また、本発明は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置される、反射光学素子の製造方法にも関する。
【0002】
また、本発明は、上述の方法によって製造された反射光学素子にも関する。また、本発明は、当該反射光学素子を少なくとも1つ備える投影システム、照明システム及びEUVリソグラフィ装置にも関する。
【発明の概要】
【0003】
EUVリソグラフィ装置においては、極紫外線領域又は軟X線領域(例えば、およそ5nmから20nmの間の波長域)のための反射光学素子、例えばフォトマスクや多層ミラー等が、半導体素子のリソグラフィによる製造に使用される。一般に、EUVリソグラフィ装置は、複数の反射光学素子を有するため、十分に高い全体的反射率を確保するためには、多層ミラーは可能な限り高い反射率を有していることが必要である。EUVリソグラフィ装置においては、複数の反射光学素子が次々に連続して配置されるため、個々の反射光学素子の微小な反射率の低下であっても、EUVリソグラフィ装置の全体的反射率には比較的強い影響が及ぶ。
【0004】
EUV波長領域及び軟X線波長領域のための反射光学素子は、一般的に多層系を有する。当該多層系とは、作動波長域における屈折率の実部がより高い材料(スペーサとも呼ばれる)と作動波長域における屈折率の実部がより低い材料(アブゾーバとも呼ばれる)とが交互に積層されたものであり、アブゾーバとスペーサとの一組がスタック或いは周期(ピリオド)たるものを形成する。これは、ある意味で、アブゾーバ層がブラッグ反射の生じるネットワーク平面に対応する結晶を疑似的に再現するものといえる。個々の層の厚み及び反復されるスタックの厚みは多層系の全部にわたって一定であることができ、或いは、達成されるべきことが意図される反射特性によっては可変とされることもできる。
【0005】
多層系においては、早ければコーティングプロセス中から、下層の基材に作用して当該反射光学素子における光学結像性を臨界的に阻害する程までに大きく基材を変形させる応力が蓄積されることがある。応力の種類は、例えばスペーサ及びアブゾーバに用いられる材料やスタック又は周期における厚みの比率等に依存する。この厚みの比率とは、ピリオド全体の厚みに対するアブゾーバ層の厚みを表すΓとして定義される。図5において、モリブデンをアブゾーバ材料とし、珪素をスペーサ材料とした場合の、Γの関数としての応力の基本的な態様が概略的に示されている。およそ12nmから14nmの範囲での作動波長域においては、およそ0.4付近のΓ値を持つモリブデン・珪素の多層系を有する反射光学素子を使用することにより最高の反射率を達成することができる。この場合、圧縮応力が予想される。より高いΓ値においては、引張応力が予想される。多層系内の応力とΓ値との具体的な関係、すなわち勾配及びx軸切片、はこの場合コーティングプロセス及びそれぞれのコーティングパラメータの選択に依存する。
【0006】
応力とΓ値との関係は、応力軽減型の反射光学素子の製造に活用することができる。この目的のために、基材と、作動波長域において高い反射率を有するように最適化された多層系との間に、前記高反射率多層系の応力を可能な限り補償する又は前記反射光学素子内の総応力を最小化する目的において選定された適切なΓ値において最適化されたさらなる多層系が配置される。しかし、軟X線領域及び極紫外域のための反射光学素子の製造に好適なコーティングプロセス、すなわちマグネトロンスパッタリング、イオンビームアシストスパッタリング及び電子ビーム蒸着は、従来的なコーティングパラメータを用いる場合には、或る厚みになってから対象となる層に関して、特にアブゾーバ層に関して、結晶化を生じさせてしまうことに留意すべきである。例えば、モリブデンの場合、およそ2nmの厚みで既に結晶化が開始される。層の厚みの増加と共に結晶子サイズも増加し、これにより微小粗さが増加し、その結果として界面粗さも増加する。応力軽減のために必要な高いΓ値においては、全体における応力軽減型多層系の界面粗さの相当な増加を総じて招く、粗化作用を見出すことができる。この粗さは上層の高反射率多層系にも伝わるため、当該反射光学素子の反射率及び結像性が共に劣化する。この劣化は、応力軽減型多層系の粗化を回避可能な程度に小さいΓ値として、その代わりに応力軽減型多層系に十分に応力を補償するためにより多くの周期数を与えることによって、通常回避される。しかし、この手法にはコーティングプロセスの所要時間が増加するという不利益が伴うため、正しくないコーティング処理によって生じる失敗の危険性がより大きなものとなる。
【0007】
応力の軽減及び高反射率の両方が達成される、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子及びその製造方法を提供することが本発明の目的の1つである。
【0008】
本発明の第1の側面から上述の目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に応力を及ぼす多層系を基材上に有し、前記多層系と前記基材との間には材料の層があり、前記材料の層の厚みは前記多層系の応力を補償するような寸法とされ、応力を補償する前記材料の層の蒸着は少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子によって行われる、反射光学素子の製造方法によって実現される。
【0009】
この目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系の蒸着は少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子によって行われる、反射光学素子の製造方法によっても実現される。
【0010】
特に好適には、第2の多層系においては、作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層が、少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子の支援によって蒸着される。さらなる好適な実施形態においては、第2の多層系の全部の層が少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子の支援によって蒸着される。
【0011】
さらに、この目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第1の多層系と前記第2の多層系との間にインターレイヤが蒸着されており、前記インターレイヤの蒸着又は平滑化は少なくとも40eVのエネルギーを有する粒子によって行われる、反射光学素子の製造方法によっても実現される。
【0012】
高エネルギー粒子を手段として用いるコーティングを用いることによって、比較的に厚い層の厚みであっても、結晶化を予防できることが発見された。したがって、同じ厚みであれば、より低い界面粗さの層を形成することができる。特に、応力軽減型多層系の場合においては、この結果としてより高いΓ値を選択することができるようになり、上層の反射性多層系の応力を十分に補償するのに、反射率及び結像性の劣化を甘受することなくして、著しく低い周期の数で足りるようになる。場合によっては、高エネルギー層形成粒子によって1層の応力補償層を形成するだけで十分である場合もある。結果として、コーティングプロセスを短縮することができ、欠陥のあるコーティングに起因する失敗率を減少させることができる。
【0013】
40eVのエネルギーを有する層形成粒子の支援によって蒸着されるインターレイヤ又はイオンビームの支援により平滑化されるインターレイヤによって、低い応力と高い反射率を兼ね備える反射光学素子を提供するために、既存のコーティングプロセスを少ない支出で転用することが可能とされる。この場合においては、インターレイヤは、高エネルギー層形成粒子によって蒸着され、後にイオンビームによって研磨されることができる。平滑な又は平滑化されたインターレイヤは、下層の応力軽減型多層系の不均一性を補償する機能を有し、これによって界面粗さを減少させる。
【0014】
本発明のさらなる側面からは、この目的は、上述の方法の1つによって製造された反射光学素子によって達成することができる。特に、この目的は、応力補償層又は第2の多層系の作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層、すなわちアブゾーバ層が非晶質であることによって達成される。好適には、応力補償層、インターレイヤ又は第2の多層系の作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層の界面粗さが0.2nm未満であり、より好適には0.15nm未満である。ここにおいて、そして以降においても、界面粗さとは、所謂rms(二乗平均平方根)での粗さであって、界面の理想的な平面に対応する中心線からの各界面点の偏差の二乗の平均である。この場合において、界面粗さは、空間における水平方向の波長の範囲に関するものであり、ここにおいて、そして以降においても、0.01μm×0.01μmから1000μm×1000μmの範囲内の面積に対応する。
【0015】
さらに同目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす多層系を前記基材上に有し、前記多層系と前記基材との間には作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の非晶質層があり、前記非晶質層の厚みは前記多層系の応力を補償するような寸法とされ、前記非晶質層の界面粗さが0.20nm未満とされる、反射光学素子によっても達成される。
【0016】
この目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第1の多層系と前記第2の多層系との間にインターレイヤが蒸着されており、前記インターレイヤは0.20nm未満の界面粗さを持つ、反射光学素子によっても達成することができる。
【0017】
さらにこの目的は、特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層が非晶質であるもの、或いはこのような反射光学素子において、前記第2の多層系の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層の界面粗さが0.20nm未満であるもの、或いはこのような反射光学素子において、前記第2の多層系の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層と前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層及び前記作動波長域における屈折率の実部がより高い材料の層を備える周期との厚みの比率が0.75より大なる値であるもの、或いはこのような反射光学素子において、前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層及び前記作動波長域における屈折率の実部がより高い材料の層を備える前記第2の多層系の周期の数が多くとも前記第1の多層系の周期の数の半分である反射光学素子、のそれぞれによって達成することができる。
【0018】
本発明の最後の側面においては、上述の目的は、少なくとも1つの上述した反射光学素子を備えた特にEUVリソグラフィ装置のための投影系、少なくとも1つの上述した反射光学素子を備えた特にEUVリソグラフィ装置のための照明系、少なくとも1つの上述した反射光学素子を備えた特にEUVリソグラフィ装置のためのビーム整形系又は少なくとも1つの上述した反射光学素子を備えたEUVリソグラフィ装置によって達成することができる。
【0019】
好適な構成は、従属請求項において見出される。
【0020】
本発明は好適な例示的実施形態に即して詳説されるのであり、このために以下の図面の簡単な説明がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】EUVリソグラフィ装置たる実施形態の概略図である。
【図2】a−dは、種々の反射光学素子の実施形態の構成を示す概略図である。
【図3a】反射光学素子を製造する方法の種々の実施形態に関する流れ図である。
【図3b】反射光学素子を製造する方法の種々の実施形態に関する流れ図である。
【図3c】反射光学素子を製造する方法の種々の実施形態に関する流れ図である。
【図3d】反射光学素子を製造する方法の種々の実施形態に関する流れ図である。
【図4】二つのレーザーを用いてパルスレーザーコーティングを行う際のコーティングジオメトリの概略図である。
【図5】多層系における層厚比率Γと多層系内の応力の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、EUVリソグラフィ装置100の概略を示す。必須な構成部品は、ビーム整形系110、照明系120、フォトマスク130及び投影系140である。
【0023】
例示としては、放射源111としてプラズマ源又はシンクロトンが機能することができる。5nmから12nmの波長域においては、X線レーザー(X−FEL)も適切である。発生した放射はまずコレクタミラー112によって集光される。加えて、入射角度を変化させることによってモノクロメータ113を用いて所望の波長が取り出される。上述の波長域においては、ミラー112及び113は、作動波長域の放射の反射を達成するために、通常、反射光学素子として具現化され、作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成された多層系を有する。コレクタミラーは、集光効果又はコリメーティング効果を得るために、多くの場合貝殻状の形状を与えられている。本発明においては、後述するように、コレクタミラー112及びモノクロメータ13の両方が応力軽減型反射光学素子として構成されることができる。選択した放射源の種類及びコレクタミラーの構成の如何によっては、モノクロメータも省略できる。
【0024】
そして、ビーム整形系110によって波長域及び空間分布が調整された作動光は、照明系120に導入される。図1に示された例においては、照明系120は、本願における応力軽減型反射光学素子として構成された2つのミラー121、122を有する。ミラー121、122は、ビームを、ウェーハ150に結像されるべき構造が表されているフォトマスク130へ導く。同様にフォトマスク130は、極紫外線領域及び軟X線領域のための反射光学素子であり、かかる素子は製造プロセスに応じて交換される。投影系140によって、フォトマスク130から反射されたビームがウェーハ150に投影され、これによってフォトマスクの構造がウェーハに転写される。図示された例においては、同様に投影系140は、本願における応力軽減型反射光学素子として構成された2つのミラー141、142を有する。投影系140及び照明系120は共に1つのみの又は3つ、4つ、5つ若しくはそれ以上の数のミラーを有することができることに留意されたい。
【0025】
図1に示された例においては、後述のように、すべてのミラー121、122、141、142が応力軽減型反射光学素子として構成されている。任意に、フォトマスク130は、このような応力軽減型反射光学素子とされることもできる。反射光学素子のうち1つ又は一部の反射光学素子が応力軽減型反射光学素子として具現化することもできることに留意されたい。好適には照明系120にて、より好適には投影系140にて、応力軽減型反射光学素子が配置される。なぜならば、これらの部位においては、良い光学的特性が特に重要であるからである。
【0026】
図2a−dは、例示として、かつ概略的に、例えば投影部のミラー、照明系、フォトマスク、コレクタミラー又はモノクロメータとしての、異なる構成の、極紫外線領域又は軟X線領域のための、特にEUVリソグラフィ装置において用いるための、応力軽減型反射光学素子1を示す。ここにて図示されている例のすべてに関しては、反射光学素子1は、多層系4及び基材2を有する。
【0027】
多層系4は、実質的には、幾度にも反復されるスタック又は周期40を備える。周期40の幾度もの反復によって、特定の作動周波数における十分に高い反射率をもたらす、周期にとっての本質的な層41、42は、屈折率の実部がより低い材料で構成されるいわゆるアブゾーバ層41及び屈折率の実部がより高い材料で構成されるいわゆるスペーサ層42である。この構成は、ある意味で結晶を疑似的に再現するものであり、アブゾーバ層41は、それぞれのスペーサ層42によって決定される距離においてお互いに隔てられた、入射した極紫外線領域の又は軟X線領域の放射が反射を起こす、結晶中のネットワーク平面に対応する。各々のアブゾーバ層41で反射される特定の作動波長における放射が建設的に合成されて反射光学素子において高い反射率が達成されるように、層の厚みは選択される。個別の層41、42及び反復されるスタック20の厚みは、多層系の全部にわたって一定であることも、所望の反射プロファイルに応じて変化するものとされることもできることに留意されたい。特に、特定の波長に関して多層系を最適化することもでき、この場合、最大反射率又は反射される帯域は、最適化されていない多層系におけるそれよりも大きいものとなる。放射がこの波長を有する場合は、対応する反射光学素子1が用いられるのであり、すなわちEUVリソグラフィが行われる波長のために反射光学素子1が最適化されているのであり、これが作動波長と呼ばれる。
【0028】
さらに、汚染などの外因性の影響からの保護のために多層系4に保護層3が追加的に設けられており、これは、複数の異なる材質から製作することができる。さらに、(ここには図示されていないが)インターレイヤを設けることもでき、これは、アブゾーバ層とスペーサ層との間の拡散バリアとして、多層系4の熱力学的及び熱的安定性を増加させることができる。
【0029】
多層系4のアブゾーバの材料はモリブデンであり、スペーサの材料は珪素である場合には、12.5nmから14nmの作動波長域において最大の反射率を有する多層系を得るには、周期がおよそ6.7nmから7.5nmでありΓ値が3.5から4.5の場合においては、例えば、40から50の周期が好適には用いられるのである。
【0030】
図2aに示された例においては、多層系4内の応力であって基材5に作用することによって基材5を変形させる応力を補償するように、層5が配置されている。前記層5は、40eV以上のエネルギー、好適には90eV以上のエネルギー、を有する層形成粒子によって蒸着される。この方法により達成されるのは、応力補償のために比較的に厚い厚みが必要な場合であっても、この層の結晶化が抑制され、層5は実質的に非晶質なものとなる。この層に関しては、0.2nm以下、望ましくは0.15nm以下の、界面粗さを達成することが可能である。望ましくは、多層系4のアブゾーバ材料がこの層の材料として用いられる。結果として、Γ値が1となることが達成され、これにより層の単位厚さあたりの応力補償が良いものとなる。
【0031】
モリブデンと珪素を有する多層系4の場合においては、応力軽減層5は、特に好適にはモリブデンで構成される。
【0032】
特に低い応力をもって蒸着される多層系4の場合においては、応力補償は単一の応力軽減層5によって十分に達成されることができる。これは特に、モリブデン−珪素の多層系が電子ビーム蒸着法によって蒸着された場合に妥当する。インターレイヤを伴わない場合の−130MPaから−180MPaの典型的な圧縮応力及びインターレイヤを伴う場合の−220MPaから−300MPaの典型的な圧縮応力を補償するためには、層5の厚みとしては100nmから250nmの厚みで十分である。例として、およそ−180MPaの圧縮応力は、層5におよそ150nmの厚みを与えることによって補償することができる。層5は、好適には、パルスレーザーコーティング法(パルスレーザーデポジション法とも呼ばれる、以下PLD法という)によって蒸着され、当該方法によると層形成粒子の大部分がおよそ100eVのものとなり、これについては以下において詳述される。
【0033】
図2bにおいて図示された例では、反射光学素子1内において高反射性多層系4と基材2との間に応力軽減のための多層系6が配置されている。多層系6は多層系4がそうであるように、アブゾーバ材料を有する層61とスペーサ材料を有する層62とで構成される周期60の反復により形成されている。コーティングプロセスの全体を簡略化するために、好適には、高反射率多層系4と同じ材料が応力軽減型多層系6に用いられる。
【0034】
多層系6のアブゾーバ層61は、非晶質なものである。多層系6は高いΓ値を有し、好適には0.75より大きく、特に好適には0.8より大きい。結果として、多層系4の高度の応力についても、良い応力補償が可能となる。特に、アブゾーバ層は3nm以上の厚みとされることができる。界面粗さは0.20nm以下となり、好適には0.15nm以下となる。したがって、多層系4の反射率及び/又は結像の特性は、反射光学素子がEUVリソグラフィにおいて使用できない程までもの悪影響を受けることはない。多層系6内に設けられる周期60の数は、従来の応力軽減型反射光学素子のそれより大幅に少なくなる。従来においては、応力軽減型多層系が高反射率多層系の応力を補償するためには、前記高反射率多層系と同程度の数の周期が必要であったが、本明細書中において説明される応力軽減型反射光学素子は、前記高反射率多層系に比べて大幅に少ない数の周期を有する。これらの応力軽減型多層系は、多くとも前記高反射率多層系の半分の数の周期を有する。
【0035】
例として、図2bに示されたEUVリソグラフィのための応力軽減型反射光学素子1を、まず基材2にΓ値0.8の9.0nm厚の周期60を17周期PLD法で設けることによって、モリブデンと珪素とで製造することができる。この場合においては、平均運動エネルギーがおよそ100eVのイオンがプラズマ中で生成されるように、レーザーのパラメータを設定される。この結果、界面粗さが0.15nmもの低さであるモリブデンで構成される7.2nm厚の非晶質のアブゾーバ層61が得られる。任意に、各層61及び62は、層が蒸着された後に、各々追加的にイオンビームで研磨されることができる。イオンビームを用いる後処理は、各層が高密度化され、反射光学素子が使用されて軟X線又は極紫外線により相当な熱的負荷にさらされることによる、反射光学素子の光学特性に影響を与える可能性がある多層系6の圧縮が生じないというさらなる利点を有する。一旦応力軽減型多層系6の周期60が17周期蒸着されると、コーティングプロセスは、アブゾーバ層41としてのモリブデン及びスペーサ層42としてのシリコンで構成される周期40を50周期分、従来的な態様の電子ビーム蒸着によって蒸着することによって継続される。この場合においては、周期40は7.0nmの厚さとされ、Γ値は0.4とされる。別々のチェンバで行われるPLD法及び電子ビーム蒸着によりコーティングプロセスが行われるのであれば、反射光学素子1は好適にはロックを経由して他方のチェンバに運ばれる。この手段により、チェンバ変更の際の反射光学素子1への汚染又は損傷を回避することができ、チェンバ変更に費やす時間を特に短く保つことができる。この例において説明される反射光学素子1は、両方の多層系4及び6にわたって合計およそ3.6MPaの応力を有する。これは、高反射率多層系4が有する−180MPaもの応力と比較されるべきものである。ここにて説明される反射光学素子1の応力は高反射率多層系4と比較すると、無視できる程に小さい。
【0036】
周期60の数が小さいことにより、例示的な反射光学素子1は、従来の反射光学素子に比べてより短いコーティング時間で製造することができる。したがって、コーティングむらによる製造失敗率も減少する。層形成粒子の高いエネルギーによって応力補償多層系の層が非晶質となることに起因して、高反射率多層系の反射率が悪影響を受けない程に界面粗さが低いものとなる。
【0037】
図2cに示される例は図2bに示される例とは、応力軽減型多層系6において、少なくとも1つのアブゾーバ層61と少なくとも1つのスペーサ層62との間に、追加的なインターレイヤ63が配置されているという点において異なる。ここにおいて示される例においては、多層系6のすべてのアブゾーバ層61及びスペーサ層62の間にインターレイヤ62が配置されている。さらなる実施形態においては、これのインターレイヤは、アブゾーバ層からスペーサ層への界面だけに又はスペーサ層からアブゾーバ層への界面だけに配置されることができる。インターレイヤは、反射光学素子1が作動状態に置かれて軟X線又は極紫外線の照射を受けた際に生じる圧縮を制限する。これらインターレイヤは、拡散バリアとして、層61及び62が過剰に相互混合されるのを防止することもできる。総じて、インターレイヤ63は、多層系6においての各層の実効厚みをより良く制御することを可能にする。インターレイヤ63は、専用のコーティング工程において設けられることができる。適切なイオン種を用いたイオンビームを用いることによって、アブゾーバ層又はスペーサ層の後処理、例えば研磨プロセス、において同時にインターレイヤを導入することもできる。
【0038】
図2dに示される例は図2bに示される例と異なり、図2b又は図2cを参照して説明されたように、インターレイヤ7は、高反射率多層系4と応力補償多層系6との間に配置されている。前記インターレイヤ7は、下層にある応力軽減型多層系6の界面粗さを補償する機能を担い、好適には、0.20nmより小さい界面粗さを有し、特に好適には0.15nmより小さい界面粗さを有する。この目的のために、このインターレイヤは、好適には、非晶質のかつ平滑な層として、40eV以上のエネルギーを有する層形成粒子を用いて設けられる。特に、この層はイオンビームを用いて、例えばさらに平滑化するために、後処理することができる。結果として、40eV以下のエネルギーを有する層形成粒子を用いて設けられたインターレイヤであっても平滑なインターレイヤを得ることができる。インターレイヤ7の特に有利な点としては、イオンビームにより、例えば応力軽減型多層系6によって形状が損なわれた基材に予め成形されていた形状を修復することができるように、反射光学素子1の光学的特性のために必要とされる形状をインターレイヤ7に組み込むことができるという利点がある。好適には、コーティングプロセスを簡略化するために、もう片方の層の材料がインターレイヤ7の材料として用いられる。特に、スペーサとして珪素を用い、アブゾーバとしてモリブデンを用いる高反射率多層系4の場合においては、好適にはインターレイヤ7には珪素が用いられる。好適には、インターレイヤ7は3nmから20nmの間の厚みを有する。これにより、反射光学素子1には、インターレイヤ7によって過度に高い応力が導入されないことを確実にする。
【0039】
従来的な応力軽減型反射光学素子においても、インターレイヤ7は、応力補償多層系の界面粗さを補償するために特に有利であることがここで指摘されなければならない。したがって、既存のコーティングプロセスに対しての僅かな修正によって、反射率及び光学的結像特性において改善を得ることができる。
【0040】
図3aから図3dと共に応力軽減型反射光学素子の製造に関する例が説明される。図3aから図3dにおいては、製造方法に関する異なる幾つかの例示的実施形態に関する概略的流れ図が示されている。
【0041】
図3aに示された例においては、まず基材が提供され(ステップ301)、この上にPLD法によって非晶質な層が蒸着される。PLD法を実行中においては、材料ターゲットがパルス状のレーザーによって照射を受ける。この場合においては、レーザーのパルス中にターゲットの表面の材料がプラズマとなる程加熱されてそれが真空中に膨張する程の強度及び波長を有することが要請される。これにより生じた粒子の流れは、ターゲット材料の遅い破片或いは液滴並びに高速なイオン及び原子を含む。イオンの平均運動エネルギーがおよそ90eVから120eVの範囲となるようなエネルギー分布をイオンが持つように、レーザーを各ターゲット材料に合わすことができる。これらのイオンは、基材に衝突し、そこに非晶質層を蒸着させる(ステップ303)。例えばマグネトロンスパッタリング、イオンアシストスパッタリング、電子ビームスパッタリング等のEUVリソグラフィ用の反射光学素子の準備のための従来的な手段によって前ステップの層の上に多層系が設けられるのであり、該多層系は軟X線領域又は極紫外線領域における所望の作動波長に関しての高反射率に関して最適化されている。PLD法はコーティングの場面では知られた技術ではあるものの、軟X線領域又は極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子の多層系の製造においては、稀にしか用いられない。なぜならば、得られる多層系が上述のコーティング方法と比較して低反射率となるからである。
【0042】
図3bにおいて示された例では、PLD法によって基材上に応力軽減型多層系が設けられる(ステップ305)。図3aの例とは異なり、2つのレーザーが用いられる。この実施形態のためのコーティングジオメトリは、概略的に図4において示されている。2つの材料ターゲット202、204がパルスされたレーザー206、208の照射を受ける。ターゲット材料の特定点における局所的な加熱により、プラズマが生じ、ターゲット材料は真空中に膨張する。材料の液滴の分布は破線210、212によってそれぞれ示されている。レーザー208、210は、それぞれのプラズマ火炎が、ターゲットの近くでは液滴の分布に似たものであり、互いに交差し、1つのプラズマ火炎を形成するように配置される。この効果は、絞り214により増強される。液滴は、絞り214を通過後直線状に進行し続ける。コートされるべき基材200は、プラズマ火炎のイオンのみによる被爆を受け、結晶化領域や他の不均等性をもたらすことがある液滴の被爆は受けないように配置される。応力軽減型多層系の非晶質な層の蒸着後は、従来的な態様で高反射率多層系の層が蒸着されていく(313)。
【0043】
図3cに示されている例によれば、与えられた基材上に応力軽減型多層系の非晶質な層がマグネトロンスパッタリング又はイオンビームアシストスパッタリングによって蒸着される(ステップ301)のであり、低い界面粗さを有する非晶質の層が形成されるように層形成粒子が少なくとも40eVの平均運動エネルギーを有するようにコーティングパラメータは設定される(ステップ307)。層形成粒子のエネルギーは、90eV以上であってもよい。ここにおいて示されている例においては、層の蒸着後に、少なくとも一つの層に関してさらなる研磨がイオンビームを用いて行われる(ステップ309)。好適には、少なくとも最上部の層は後に研磨され、この上に続いて高反射率多層系が蒸着される(ステップ311)。図3aの例におけるすべての層又は、非晶質の層がイオンビームにより後処理されることもできる。
【0044】
図3dの例と図3bの例とは、応力軽減型多層系と高反射率多層系との間に非晶質の層が、PLD法、マグネトロンスパッタリング、イオンビームアシストスパッタリングにおいて、40eVより高い平均運動エネルギーを有する層形成粒子を用いて、蒸着されるという点で異なる(ステップ309)。さらなる変形例としては、インターレイヤをイオンビームを用いたさらなる平滑化又は整形によって後処理することができる。後にインターレイヤが平滑化されるのであれば、40eVより低い層形成粒子を用いて物質を蒸着させることもできる。1つの好適な変形例においては、インターレイヤの下の応力軽減型多層系の層は従来的な態様で蒸着され、これらは結晶質であることができる。
【0045】
また、個々の要求に最適に適応させられた応力軽減型反射光学素子を製造するために、個別のそれぞれの方法は、当業者によって多様な態様で変更され、また他の方法と組み合わされることができることも指摘されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 反射光学素子
2 基材
3 保護層
4 多層系
40 周期
41 アブゾーバ
42 スペーサ
5 非晶質層
6 多層系
7 インターレイヤ
60 周期
61 アブゾーバ
62 スペーサ
63 バリア層
100 極紫外リソグラフィ装置
110 ビーム整形系
111 放射源
112 コレクタミラー
113 モノクロメータ
120 照明系
121 ミラー
122 ミラー
130 フォトマスク
140 投影系
141 ミラー
142 ミラー
150 ウェーハ
200 基材
202 ターゲット
204 ターゲット
206 レーザービーム
208 レーザービーム
210 液滴分布
212 液滴分布
214 絞り
216 プラズマ火炎
301−311 方法のステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子の製造方法であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に応力を及ぼす多層系を前記基材上に有し、前記多層系と前記基材との間には材料の層が配置され、前記材料の層の厚みは前記多層系の応力を補償するような寸法とされ、前記応力補償のための層の蒸着は少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子によって行われることにより特徴付けられる、反射光学素子の製造方法。
【請求項2】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子の製造方法であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系の蒸着は少なくとも40eVのエネルギーを有する層形成粒子によって行われることにより特徴付けられる、反射光学素子の製造方法。
【請求項3】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子の製造方法であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第1の多層系と前記第2の多層系との間にインターレイヤが蒸着されており、前記インターレイヤの蒸着又は平滑化は少なくとも40eVのエネルギーを有する粒子によって行われる、反射光学素子の製造方法。
【請求項4】
少なくとも90eVのエネルギーを有する層形成粒子を用いることにより特徴付けられる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の多層系又は前記応力補償のための層又は前記インターレイヤは、マグネトロンスパッタリング又はイオンビームアシストスパッタリングにより蒸着されることにより特徴付けられる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2の多層系又は前記応力補償のための層又は前記インターレイヤは、パルスレーザーコーティングにより蒸着されることにより特徴付けられる、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
プラズマ火炎が互いに交差するように配置される二つのレーザーが用いられることにより特徴付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記応力補償のための層又は前記インターレイヤ又は多層系の或る層は、それらの蒸着後にイオンビームによって後処理されることにより特徴付けられる、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1、4から8のいずれかに記載の方法によって製造された反射光学素子。
【請求項10】
前記多層系(4)と前記基材(2)との間の前記層(5)は、非晶質であることにより特徴付けられる、請求項9に記載の反射光学素子。
【請求項11】
前記多層系(4)と前記基材(2)との間の前記層(5)は、0.20nm未満の界面粗さを有することにより特徴付けられる、請求項9又は10に記載の反射光学素子。
【請求項12】
前記層(5)は、非晶質モリブデンで構成されることにより特徴付けられる、請求項9から11のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項13】
請求項3から8のいずれかに記載の方法によって製造された反射光学素子。
【請求項14】
前記インターレイヤ(5)は、珪素で構成されることにより特徴付けられる、請求項13に記載の反射光学素子。
【請求項15】
前記インターレイヤ(5)は、3nmから20nmの間の厚みを有することにより特徴付けられる、請求項13又は14に記載の反射光学素子。
【請求項16】
前記インターレイヤ(5)は、0.20nm未満の界面粗さを有することにより特徴付けられる、請求項13から15のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項17】
請求項2、4から8のいずれかに記載の方法によって製造された反射光学素子。
【請求項18】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)は、非晶質であることにより特徴付けられる、請求項17に記載の反射光学素子。
【請求項19】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)は、非晶質モリブデンで構成されることにより特徴付けられる、請求項17又は18に記載の反射光学素子。
【請求項20】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)は、0.20nm未満の界面粗さを有することにより特徴付けられる、請求項17から19のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項21】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)の、前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)及び屈折率の実部がより高い材料の層(62)を備える周期(60)に対する厚みの比率(Γ)は、0.75より大なる値であることにより特徴付けられる、請求項17から20のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項22】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)の厚みは、3nmより大なることにより特徴付けられる、請求項17から21のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項23】
前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)及び前記作動波長域における屈折率の実部がより高い材料の層(62)を備える前記第2の多層系(6)の周期(60)の数が多くとも前記第1の多層系(4)の周期(40)の数の半分であることにより特徴付けられる、請求項17から22のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項24】
前記第2の多層系(6)内には、前記作動波長域における屈折率がより高い材料の層(62)と前記作動波長域における屈折率がより低い材料の層(61)との間の少なくとも1つの界面にて、インターレイヤ(63)が配置されていることにより特徴付けられる、請求項17から23のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項25】
前記作動波長域における屈折率がより低い材料は、モリブデンで構成されること、及び、前記作動波長域における屈折率がより高い材料は、珪素で構成されることにより特徴付けられる、請求項9から24のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項26】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす多層系を前記基材上に有し、前記多層系と前記基材との間には前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の非晶質の層があり、前記層の厚みは前記多層系の応力を補償するような寸法とされ、前記層(5)の界面粗さが0.20nm未満とされることにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項27】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第1の多層系(4)と前記第2の多層系(6)との間にインターレイヤ(7)が配置されており、前記インターレイヤは0.20nm未満の界面粗さを持つことにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項28】
前記インターレイヤ(7)は、珪素で構成されることにより特徴付けられる、請求項27に記載の反射光学素子。
【請求項29】
前記インターレイヤ(7)は、3nmから20nmの間の厚みを有することにより特徴付けられる、請求項27又は28に記載の反射光学素子。
【請求項30】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)が非晶質であることにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項31】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)は、非晶質モリブデンで構成されることにより特徴付けられる、請求項30に記載の反射光学素子。
【請求項32】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系(6)の作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)の界面粗さが0.20nm未満であることにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項33】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)の、前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)及び屈折率の実部がより高い材料の層(62)を備える周期(60)に対する厚みの比率(Γ)が0.75より大なる値であることにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項34】
前記第2の多層系(6)の前記作動波長域における屈折率の実部がより低い材料の層(61)の厚みは、3nmより大なることにより特徴付けられる、請求項33に記載の反射光学素子。
【請求項35】
特にEUVリソグラフィ装置において使用するための、軟X線領域及び極紫外線領域を作動波長域とする反射光学素子であって、前記反射光学素子は前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて基材に層間応力を及ぼす第1の多層系を前記基材上に有し、前記作動波長域における屈折率の実部が異なる少なくとも二種類の交互に繰り返される材料で構成されて前記基材に前記第1の多層系が及ぼす応力と逆方向の層間応力を及ぼす第2の多層系が前記第1の多層系と前記基材との間に配置され、前記作動波長域における前記第2の多層系の屈折率の実部がより低い材料の層(61)及び屈折率の実部がより高い材料の層(62)を備える周期(60)の数が多くとも前記第1の多層系(4)の周期(40)の数の半分であることにより特徴付けられる、反射光学素子。
【請求項36】
前記第1の多層系(4)と前記第2の多層系(6)との間にインターレイヤ(7)が配置されていることにより特徴付けられる、請求項30から35のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項37】
前記インターレイヤ(7)は、非晶質であることにより特徴付けられる、請求項36に記載の反射光学素子。
【請求項38】
前記インターレイヤ(7)は、0.20nm未満の界面粗さを有することにより特徴付けられる、請求項36又は37に記載の反射光学素子。
【請求項39】
前記インターレイヤ(7)は、珪素で構成されることにより特徴付けられる、請求項36から38のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項40】
前記インターレイヤ(7)は、3nmから20nmの間の厚みを有することにより特徴付けられる、請求項36から39のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項41】
前記第2の多層系(6)内には、前記作動波長域における屈折率がより高い材料の層(62)と前記作動波長域における屈折率がより低い材料の層(61)との間の少なくとも1つの界面にて、インターレイヤ(63)が配置されていることにより特徴付けられる、請求項27から37のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項42】
前記作動波長域における屈折率がより低い材料は、モリブデンで構成されること、及び、前記作動波長域における屈折率がより高い材料は、珪素で構成されることにより特徴付けられる、請求項27から41のいずれかに記載の反射光学素子。
【請求項43】
請求項9から42のいずれかに記載の反射光学素子(121,122)を少なくとも1つ備える、EUVリソグラフィ装置のための、投影系(120)。
【請求項44】
請求項9から42のいずれかに記載の反射光学素子(141,142)を少なくとも1つ備える、EUVリソグラフィ装置のための、照明系(140)。
【請求項45】
請求項9から42のいずれかに記載の反射光学素子(112,113,121,122,141,142)を少なくとも1つ備える、EUVリソグラフィ装置(100)。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−503318(P2012−503318A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527227(P2011−527227)
【出願日】平成21年8月22日(2009.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006112
【国際公開番号】WO2010/031483
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】