説明

反射防止コーティング及び積層配線ライン

【解決手段】 チタニウム−アルミニウム−窒素(「Ti−Al−N」)が半導体基板上に積層されて反射防止コーティングとしての役割を果たす。配線ラインの実施の形態に対して、アルミニウム導電層(54)及びアルミニウム−チタニウム下層(52)は、反射防止キャップ層の下に形成される。
【効果】 配線ライン製造プロセスに対して、Ti−Al−N層は、製造中の不要なフォトリソグラフ光(即ち、光子)の反射を防止するキャップ層(56)としての役割を有する。電界放射ディスプレイ装置(FED)(150)に対して、Ti−Al−N層は、ディスプレイスクリーン(118)のアノードに由来する光がトランジスタ接合部を通過して装置動作を妨害するのを防止する。Ti−Al下層は熱処理中にアルミニウム導電層に起きる収縮を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造プロセスに関し、詳しくは反射防止コーティング及び配線プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に集積回路(IC)は半導体ウェハ上に作製される。ウェハはカットされ複数の半導体基板即ち「ICチップ」が形成される。半導体装置はウェハ上に形成される。ラベル半導体が使用されるが、装置は電気導体(例えば、アルミニウム、タングステン)、電気的半導体(例えば、シリコン)及び電気的非導体(例えば、酸化シリコン)を含む種々の材料から作製される。半導体シリコンウェハは堆積、エッチング、平坦化及びリソグラフプロセスが施されて多くの半導体装置が得られる。アルミニウム及びアルミニウム合金メタライゼーション手法が装置内のコンタクト及び相互接続を図るために使用される。
【0003】
装置の密度が向上するように個々の回路素子が小さいICを製造することの利点には、電気機器のかさばりが少なくなる、接続数を減らすことによって信頼性が改善される、組立及び包装コストが最小化される、回路速度が向上するというようなことがあることはよく知られている。
【0004】
相互接続技術は大規模集積(VLSI)回路装置に対する回路密度が増大するにつれて益々制限される。特に、より小さなライン幅及びより小さなライン間隔を達成することによって、半導体基板上に存在することができる装置の数が制御される。ライン幅及びライン間隔を最小化する技術はリソグラフプロセスに制限される。
【0005】
「リソグラフプロセス」という用語は、光子、電子あるいはイオンに高感度な材料の層にパターンを描くプロセスのことを表す。この原理は光感光性乳剤フィルム上に対象物をイメージするフォトカメラの原理と似ている。フォトカメラでの最終生成物はプリントされた画像であり、半導体プロセスの状況下での画像は材料が積層されるかあるいは除去される領域を形成するための中間パターンである。フォトリソグラフ・プロセス中にそのままにしておく領域(例えば、ポジティブ露光)あるいは除去すべき領域(例えば、ネガティブ露光)を形成するために反射防止材料は好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大規模集積(VLSI)回路に対して小寸法でパターニングすることにおける現在の問題点は、ライン端部の刻み目、より一般的には不均一なライン形成である。刻み目は溝又はその他のでこぼこした断面(即ち、刻み目)によって形成される。そのような刻み目はライン幅あるいは間隔に対して刻み目の寸法が相対的に小さいので、大きなライン幅及びライン間隔でパターニングする場合にはそれほど重要でない。しかしながら、寸法が小さくなると、刻み目によってライン幅が切断されたり著しく減少する。切断された配線は、例えば、オープン回路であり、従って欠陥となる。フォトリソグラフ中に金属線からの光の反射は刻み目の一つの原因である。
【0007】
図1は、半導体基板11上に形成された刻み目のある配線ライン10を示す。配線ライン10は他の部分14、16よりも実質的に薄い長手方向に沿う部分12を有する。この薄い部分12はエレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの影響を受け易い。エレクトロマイグレーションは電子と金属イオンとの間の運動量交換による金属原子の輸送である。場の影響下で電子が移動すると、電子とイオンとの間の衝突により、運動量がイオンに転送される。イオンは次に配線金属の空孔を離れて電子の流れの方向に移動する。空孔の蓄積の繰り返しにより、金属に非導電性のボイドが形成される。この影響で欠陥のあるオープン回路が発生する。
【0008】
ストレスマイグレーションは高い動作温度と低い環境温度との間の配線ラインの温度サイクルによって引き起こされる原子マイグレーションである。温度サイクルによって一般的にクリーピングと呼ばれる機械的なストレスが薄いラインに生じる。そのストレスはライン幅が減少するにつれて増大する。金属において大きな欠陥はボイドであり、その結果、配線ラインにオープン回路という欠陥をもたらす。従って、刻み目、その結果のエレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの影響を受け易いことを防止するために均一なラインが好ましい。そのような均一ラインは、より小さなライン幅及びライン間隔を増大させるために好ましい。
【0009】
配線ラインにマイグレーションの欠陥を生じさせる別の要因は、熱処理プロセス中の収縮である。通常の配線ラインは導電層(例えば、アルミニウム)及び下層(例えば、チタニウム)を含む。配線ライン及び隣接する集積回路を作製する製造プロセス中において、チタニウム及びアルミニウムは熱処理プロセスを受ける。そのようなプロセス中において、アルミニウムとチタニウムの隣接する領域とが反応してチタニウム層とアルミニウム層との間でチタニウムアルミニウム合成物が形成される。ある適用例では、TiAlが安定した合成物として形成される。合成物が形成される際に、アルミニウム層は収縮して4〜8%の質量を失う。この質量損失はアルミニウム層においてストレスを増大させるという好ましくない結果をもたらす(例えば、小さなライン寸法に対してストレスが3〜4倍に増加する)。この結果、ストレスマイグレーション及びエレクトロマイグレーションに起因してボイドが幾度も形成され易くなる。小さなライン寸法では、熱処理プロセス後、金属は自己の降伏強度を越えて、望ましくないボイドを残して切断されるかもしれない。従って、導線層に過度のストレスがかからないような配線ライン形成プロセスが望まれる。
【0010】
フラットパネルディスプレイ装置の半導体基板に反射防止コーティングが施されることも望まれる。冷陰極電界放射ディスプレイ(「FED」)装置において、ディスプレイスクリーンの発光画素サイトの品質及び鮮明さは、特定の画素サイトを照射するエミッタサイトからの電子放出の正確な制御に依存する。数字あるいは文字等のビジュアル画像を形成する場合、ディスプレイスクリーンの適切な画素サイトを照射するために、異なるエミッタサイトのグループのオンオフが繰り返えされなければならない。所望の画像を形成するために、隣接する画素サイトがオフ状態に保持されている間に、ある画素サイト対するエミッタサイトにおける電子放射が開始される。鮮明な画像については、孤立させる必要のある画素サイトをオフ状態に維持することが重要である。
【0011】
エミッタサイトに電子を突然的に放射させる一つの要因としては、FED駆動回路において半導体接合部の光子への応答性にある。逆光子は発光ディスプレイスクリーン及び/又は環境(例えば、光、太陽光)に存在する光子により生成される。このことはそれらの化学的特性が変化することによって接合部に影響を与える。いくつかのケースでは、接合部を通過する所望しない電流が生じることがある。その所望しない電流は隣接する画素のエミッタサイトから電子放射を開始する。そのような放射は、結果として暗い画素を望む場合に、隣接する画素が発光する。観察者の視点では、望まない画素の発光によって品質の低下したあるいは不鮮明な画像が観察される。孤立及び活性化の問題を除き、環境及び基板上で接合部を始動するディスプレイスクリーンからの光によって、FEDセルのエミッタサイトに流れる電流を処理及び制限することにおける他の問題が生じる。従って、任意の接合部に光子により望まない露光がなされるのを防止することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、チタニウム、アルミニウム及び窒素(「Ti−Al−N」)が半導体基板領域上に積層されて反射防止コーティングとしての役割を果たす。配線ライン製造プロセスに対して、Ti−Al−N層は、製造中の不要なフォトリソグラフ光(即ち、光子)の反射を防止する。電界放射ディスプレイ装置(FED)に対して、Ti−Al−N層は、ディスプレイスクリーンのアノードに由来する光がトランジスタ接合部を通過して装置動作を妨害するのを防止する。
【0013】
本発明の一態様によれば、配線ライン(即ち、導電経路、相互接続)がチタニウム−アルミニウム−窒素(「Ti−Al−N」)キャップ層、アルミニウム導電層及びチタニウム−アルミニウム下層によって形成される。Ti−Al−Nキャップ層は反射防止層としての役割を有する。Ti−Al−N層はアルミニウム層を覆い、アルミニウム層はチタニウム−アルミニウム下層を覆う。
【0014】
本発明の別の態様によれば、チタニウム−アルミニウム下層は基板上(基板のバリア層上、あるいはコンタクト上もしくはメタライゼーション層を介して)にスパッタリング又は物理蒸着堆積(PVD)プロセスによって積層される。アルミニウム層が積層された後、Ti−Al−N層が積層される。Ti−Al下層を適用することによって、チタニウムのみの下層と比較して、アルミニウム層の収縮が少なくなる。例えば、500オングストロームのチタニウム上の約4000オングストロームのアルミニウムは熱処理工程で約120オングストロームだけ収縮し、Ti−Al下層によって収縮及びアルミニウム層の質量損失が最小化される。その結果、製造プロセス中にアルミニウム層のストレスが少なくなる。アルミニウム層はエレクトロマイグレーションの影響を受けにくくなり、かつ、ストレスマイグレーションの影響を受けにくくなる。
【0015】
本発明の一つの利点として、Ti−Al−Nキャップ層は典型的なフォトリソグラフ波長(例えば、365ナノメートル)に対する通常の窒化チタニウムキャップ層に関して約10の要素によって反射率を低減する。この結果、刻み目は実質的に低減され、エレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性が向上する。別の利点として、チタニウム−アルミニウムを下層として使用することにより、アルミニウム層におけるストレスが低減され、これにより、エレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性が向上する。更に、チタニウム−アルミニウム下層の使用により、Ti−Al−Nキャップ層を形成するときに、別々のスパッタチャンバの必要がなくなる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、反射防止Ti−Al−N層が電界放射ディスプレイ(FED)に適用されて、環境において又はディスプレイスクリーンアノードによって生成された光子から回路接合部が保護される。FEDベースプレートの半導体基板上に駆動回路を製造するとき、配線ラインの上及びコンタクトの周囲に絶縁層が典型的に設けられる。反射防止Ti−Al−N層がその絶縁層上に設けられる。そのようなコーティングは光子が駆動トランジスタの接合部に到達するのをブロックする。反射防止コーティングの利点としては、接合部をそれら電気的特性の逆の変化から保護する。
【0017】
本発明の他の態様及び利点は、以下の詳細な説明を図面とともに参照することにより、より理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(概要)
図2は半導体基板20上に形成された集積回路(IC)18の部分的な断面を示す。基板20は、配線ライン26によって相互接続されたn型及びp型ドープ領域22、24を含む。半導体基板領域は所望の半導体装置を形成している。配線ラインは下層29上に配置された導電層27上に配置されたキャップ層25を備えるか又は備えることなく形成されている。一般的なキャップ層25は窒化チタニウムによって形成されている。一般的な導電層27はアルミニウムによって形成されている。一般的な下層29はチタニウムによって形成されている。
【0019】
従来技術において起こっている2つの問題は本発明により対処されている。第1に、導電層の表面の反射率は写真露光中にフォトリソグラフ光を散乱させる。小さな寸法のパターニングのために、散乱することはより重要である。図3は光源30からの光線28がレンズ32を介してマスク34を通ってIC18上に向けられているフォトリソグラフプロセスが施されている一般的な集積回路を示す。光は配線ライン26及びライン間の間隔を定義する。反射を有する金属導電ライン層は光を散乱させる。散乱光36はフォトレジストの望ましくない領域への広がりを生じさせる。望ましくない結果としてラインの刻み目(図1参照)となる。刻み目を伴うことにより、エレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの欠陥が増加し易くなる。この第1の問題の解決はキャップ層の反射率を低減させることにある。このことは、Ti−Al−Nをキャップ層として適用することにより達成される。
【0020】
対処される第2の問題は、IC18の熱処理プロセス中にアルミニウム導電層27及びチタニウム下層29が反応することである。Ti−N/Al/Ti金属積層に対して1ミクロン未満の寸法でラインをパターニングする場合、熱処理中に中間のアルミニウム層が収縮することによってボイドが生じてエレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの欠陥が生じ易いことが分かっている。例えば、セ氏425度で約100分間熱処理プロセスを行っている間に、アルミニウム層は4〜8%の質量を損失する。その損失はアルミニウムがチタニウムの下層と反応して安定した合成物(TiAl)を形成することによる。425度Cの温度でのプロセスが示されているが、低い又は高い温度を用いた他の熱処理プロセスによって反応が起こる。この結果、ストレスの要素は2倍から4倍に増加する。従って、アルミニウム層のストレスマイグレーション耐性及びエレクトロマイグレーション耐性が実質的に備わることになる。より重大なこととしては、ストレスが金属降伏強度を越えた場合、処理中にアルミニウムに割れ目が生じる。第2の問題に対する解決は、Ti−Al下層を適用することであり、この効果としては、ICの熱処理プロセス中にアルミニウム層のバッファとなってアルミニウムが下層又はバリア層と反応することが減少される。
【0021】
(配線ライン構造)
図4は本発明の一実施の形態に従って処理される集積回路18’を示す。IC18は基板20上に形成されている。コンタクト40は基板20と隣接する酸化層42内に形成されている。代表的なコンタクト構成はチタニウムの層44、窒化チタニウムの層46及びタングステンの層48を含む。配線ライン50はコンタクト40上に積層金属として形成されている。配線ライン50は導電層54、下層52及びキャップ層56を含む。キャップ層56は導電層54を覆い、その導電層54は下層52を覆っている。
【0022】
導電層54は各配線ライン50によって形成される主要な導電パスとしての役割を有し、典型的には隣接する配線ラインの層52、56よりも厚い。導電層54は典型的にはアルミニウムの層として形成されるが、金あるいは銅もまた他の実施の形態で使用される。層54の典型的な厚さは約2000〜15000オングストロームである。
【0023】
通常、下層は基板20のシリコンが導電層に拡散するのを防止し、かつ導体と反応するバリアとしての役割を有する。代替例として、分離バリア層が含まれる。分離バリア層は種々の実施の形態において(i)チタニウム、(ii)窒化チタニウム、あるいは(iv)チタニウム−アルミニウム−窒素材料から形成される。示されている実施の形態では、コンタクト40の領域によって配線ライン50が基板20から分離されている。そのような実施の形態に対して、コンタクト40はチタニウム層44によって表されるバリア層を含む。
【0024】
本発明の態様に従うと、下層52は熱処理中の導電層の収縮を最小化するためのバッファ領域としての役割を有する。好ましい実施の形態では、下層はチタニウム−アルミニウムによって形成されている。典型的な厚さは50〜1000オングストロームである。典型的なバルク抵抗は堆積されたとき100〜500マイクロオーム−cmであり、アニーリングされた後では20〜100マイクロオーム−cmである。
【0025】
本発明の態様に従うと、キャップ層56は反射防止コーティングとしての役割を有する。好ましい実施の形態では、キャップ層はチタニウム−アルミニウム−窒素から形成されている。合成物は10%〜90%のアルミニウムを含んでいることが好ましい。キャップ層56は、アルミニウムの導電層の2000〜15000オングストロームの厚さに対して50と1500オングストロームの間の厚さを有する。
【0026】
(配線ライン形成及びストレス低減)
配線ライン層52、54、56は基板上に積層されている。下層52は典型的にはスパッタリングプロセスによって積層されるが、代替的な物理蒸気堆積プロセスあるいは他の堆積プロセスが他の実施の形態で使用される。好ましい実施の形態では、チタニウム−アルミニウムフィルムは合成チタニウム/アルミニウムターゲットから基板20上にスパッタリングされる。代替例として、チタニウム及びアルミニウムが別々のターゲットからスパッタリングされる。次に、導電アルミニウム層54がスパッタリングあるいは他の堆積プロセスによって積層される。次に、Ti−Al−Nキャップ層56が積層される。好ましい実施の形態では、チタニウム及びアルミニウムは窒素雰囲気中でスパッタリングされてチタニウム−アルミニウム−窒素の層が形成される。下層52及びキャップ層56の堆積工程の両方は、スパッタリングのためにチタニウム−アルミニウムターゲットあるいは別々のチタニウム及びアルミニウムターゲットを使用するので、同じスパッタリングチャンバーを各工程で使用することができる。図5はエッチング前の配線ライン層52、54、56を示す。図4はエッチングされた配線ライン50を示す。
【0027】
半導体製造中に配線ライン50は熱処理プロセスに晒される。そのようなプロセス中にチタニウムとアルミニウムとが反応して安定した合成物が形成される。下層は既にアルミニウムを含んでいるので、導電層54からのアルミニウムが下層52においてチタニウムと反応することは少ない。導電層54からのいくらかのアルミニウムが下層52においてチタニウムと反応する可能性があるが、その量は図2で示されるような通常の積層よりも実質的に少ない。約セ氏425で約100分間の熱処理に対して、約500オングストロームの積層下層よりも大きな2000オングストロームの厚さを有するアルミニウム層54について、収縮は60オングストローム(例えば、約53オングストローム)よりも少ない。収縮はターゲット状態、スパッタリングツール、スパッタリング条件他によって変化する。このことは、同じ層の寸法を有する通常の積層に対する約120オングストロームの収縮を上回る重要な改善である。収縮はアルミニウムの降伏強度の許容範囲内であるため、割れ目が防止される。加えて、エレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性が改善される。収縮の程度はチタニウム及びアルミニウムの化学量論にも依存する。上記した実施の形態では、基板に適用された下層は、約2/3アルミニウム〜1/3チタニウムを含む。下層のアルミニウムのパーセンテージが増加することによって、導電層における収縮が低減される。導電層の収縮を低減する本発明の態様は、キャップ層を有していない、あるいは上記したキャップ層を有するか又は通常あるいは他のキャップ層を有する配線ラインに適用されることに注意されたし。例えば、Ti−Al/Al/Ti−AlあるいはTi−Al/Al/Ti−Alxの積層によって、中間導電層のAl収縮を低減させる本発明の態様が具体化される。本発明の態様のこの下層を具体化する実施の形態に含まれる他の代表的なキャップ層は、Ti−N及びTi−Alx−Nを含む。
【0028】
(キャップ層の反射防止特性)
フォトリソグラフ中にキャップ層56は光源からの光線28の光子に晒される。図5を参照すると、光線28はマスク34を通過してキャップ層56に衝突する。キャップ層56は光子を吸収して光散乱を低減あるいは防止する反射防止コーティングとしての役割を有する。図6は光線28の波長を変化させたときの本発明のキャップ層56の反射率のグラフである。反射率は、約365オングストロームの光線において、裸シリコンウェハの反射率の約0.1倍に最小化されている。そのような波長は「I−ライン」フォトリオグラフプロセスに対する代表的な波長である。こうして、キャップ層56はラインパターニングに対して有効的な役割を果たす。
【0029】
図7は、窒化チタニウムから形成される通常のキャップ層の反射率を示す。最小の反射率は、約350オングストロームの光線において、裸シリコンウェハの反射率の約0.12倍である。従って、アルミニウムの含有によってキャップ層の反射防止性能が向上される。
【0030】
図5に戻り、キャップ層の反射率が示されている。代表的な実施の形態では、キャップ層56は約175オングストロームの厚さを有し、Ti1−X−Al−N(X=0.54)の構成を有する。厚さ及び濃度は他の実施の形態において変更されてもよい。300〜400nmの光子源波長では、代表的な実施の形態のキャップ層は裸シリコンウェハの反射率の0.10倍以下の反射率を示す。放射波長が350〜380ナノメートルの光線に対して、キャップ層56は裸シリコンウェハの反射率の0.05倍以下の反射率を示す。放射波長が360〜370ナノメートルの光線に対して、キャップ層56は裸シリコンウェハの反射率の0.03倍以下の反射率を示す。放射波長が約365ナノメートルの光線に対して、キャップ層56は裸シリコンウェハの反射率の0.01倍以下の反射率を示す。そのような性能は窒素雰囲気中でアルミニウム及びチタニウムをスパッタリングすることによって形成されるキャップ層56によって達成された。アルミニウムに対するスパッタリング堆積パワーは、チタニウムのスパッタリング堆積パワーの1〜4倍である。チタニウムのスパッタリング堆積パワーは1キロワット〜20キロワットである。キャップ層56は少なくとも50オングストロームの厚さを有し、10%〜90%のアルミニウム(原子質量で)から構成されていることが好ましい。キャップ層56の厚さ及び組成を変更した場合、光線の波長は反射率が最小となるように変更される。キャップ層の厚さを変更することによって、10%〜90%のアルミニウム含有量を有するキャップ層56において、150〜400nmの波長を有する光子源に対して裸シリコンウェハの反射率の0.10倍よりも小さい反射率の値が達成される。キャップ層の厚さが増加することによって、150nmと同じぐらいの低い波長を有する光線に対して裸シリコンウェハの反射率の0.10倍よりも小さい最小の反射率が達成される。一実施の形態において、厚さを約150オングストロームに減らすことによって、400nmと同じぐらいの高い波長を有する光線に対して裸シリコンウェハの反射率の0.10倍よりも小さい最小の反射率が達成される。スパッタリングツールあるいはスパッタリング条件を異ならせることにより、最小の反射率が得られる厚さが変化する。
【0031】
(フラットパネルディスプレイの実施の形態)
フラットパネルディスプレイは通常の冷極線管ディスプレイよりも軽く、かつ消費電力が少ない。冷陰極電界放射ディスプレイ(FED)は陰極発光スクリーンを照射してビジュアル画像を生成する電子放射を利用する。個々の電界放射セルは典型的にはベースプレート上に形成された1つ以上のエミッタサイトを含む。ベースプレートはエミッタサイトからの電子放射を制御するアクティブ半導体装置を含む。シリコン等の材質から形成されるベースプレート上又は、ベースプレート上に形成された中間導電層(例えば、ポリシリコン)あるいは中間絶縁層(例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン)上にエミッタサイトが直接形成されてもよい。ゲート電極構造あるいはグリッドは典型的にエミッタサイトと関連づけられている。エミッタサイトとグリッドは電源に接続され、エミッタサイトからファウラー−ノルドハイム電子放射を引き起こす電位差を確立する。これらの電子は蛍光コーティングを有するディスプレイスクリーンに衝突する。これによりスクリーンを照射する光子が解放される。ディスプレイスクリーンの単一の画素は、1つあるいはいくつかのエミッタサイトによって典型的に照射される。
【0032】
ゲートのあるFEDにおいて、グリッドは絶縁層によってベースから離間している。この絶縁層はグリッドに対する支持を提供し、かつグリッドとベースプレートとの間の差電圧のブレイクダウンを防止する。個々の電界放射セルは真空マイクロ電子三極管とも呼ばれる。三極管素子はカソード(電界放射サイト)、アノード(陰極発光素子)及びゲート(グリッド)を含む。
【0033】
図8は電界放射ディスプレイ(FED)113の画素サイト110及び両側の隣接する画素サイトの一部を示す。FED113は、単結晶P型シリコンのような材料から形成された基板112を有するベースプレート111を含む。複数のエミッタサイト114が基板112のN型導電性領域130上に形成されている。P型基板112及びN型導電性領域130はP/N接合を形成する。この種の接合は他の回路素子と組み合わせて、画素サイト110及び110’に流れる電流を活性化及び制限するためのFETのような電子デバイスを形成することができる。
【0034】
エミッタサイト114は、蛍光材料119がコーティングされた陰極発光ディスプレイスクリーン118に向けられる電子を放射するために使用される。絶縁層122によって基板112から離間されたゲート電極又はグリッド120は各エミッタサイト114を囲っている。スペーサとも呼ばれる支持構造124はベースプレート111及びディスプレイスクリーン118との間に配置されている。
【0035】
電源126はエミッタサイト114とグリッド120及びディスプレイスクリーン118との間の差電圧を確立する。活性化されたエミッタサイト114からの電子128は、ディスプレイスクリーン118の対応する画素サイト110に含まれる蛍光物質から光子の放射を生成する。特定の画像を形成するために、両側の隣接する画素サイト110’を暗くしたまま画素サイト110を照射する必要がある。ディスプレイスクリーン118のコーティング119から反射した光子132、及び太陽光又は他の環境光源133によって生成された光子に起因する問題が発生する。上記したように、光子132は反対に回路接合部に衝撃を与える。
【0036】
図9は、FED150の一部を示す。図8におけるFEDと同じ構成については図9において同じ番号が付されている。一対のエミッタサイト114は、1つ以上の図示された鋭利な先端部又は1つ以上の鋭利な円錐、頂点又はナイフ端部を有するように形成されている。エミッタサイト114は基板112上に形成されている。図示した実施の形態では、基板112は単結晶P型シリコンである。代替例として、エミッタサイト114は別の基板材料上、又はガラス層あるいは絶縁ガラス合成物からなる中間層上に形成されてもよい。図示した実施の形態では、エミッタサイト114はN型導電性領域158上に形成されている。N型導電性領域158はエミッタサイト114を制御するFETトランジスタ126のソース又はドレインの一部である。N型導電性領域158及びP型基板122は搬送体P/V接合を形成する。
【0037】
ゲート構造又はグリッド120がエミッタサイト114を囲っている。グリッド120は絶縁層122によって基板から離間されている。絶縁層122はエミッタサイト114のためにエッチングされた開口部124を含む。グリッド120は中間絶縁層126上に形成された導電ライン116に接続されている。導電ライン116は絶縁及び/又はパッシベーション層126に埋め込まれているとともに、グリッド120又は他の回路要素の動作を制御するために使用される。
【0038】
ディスプレイスクリーン118はエミッタサイト114とともに整列され、かつエミッタサイト114によって放射される電子133の経路における蛍光コーティング119を含む。エミッタサイト114はディスプレイトランジスタ126によって駆動される。トランジスタ126のソースは1つ以上のエミッタサイト114と直接又は非直接的に接続されている。ディスプレイトランジスタは制御ソース電圧Vと接続されFED装置の陰極として機能する構造を形成する。電源はグリッド120にも接続され、電圧Vが形成される。別の電圧信号Vがディスプレイスクリーン118に接続され、装置のアノードを形成する。
【0039】
差電圧がエミッタサイト114、グリッド120及びディスプレイスクリーン118の間に生成されると、エミッタサイト114で電子133が放射される。これら電子133はディスプレイスクリーン118上の蛍光コーティング199に衝突する。これにより、ディスプレイスクリーン118を照射する光子が生成される。
【0040】
駆動トランジスタ126及び140は図9及び図10に示されている。図10は図9に示される半導体構造の電気回路図である。トランジスタ140は駆動トランジスタ126によって生成される電流を制限する役割を有する。これまでに説明した回路素子の全てに対して、公知の製造プロセスを使用することができる。例えば、ドーン(Doan)他への米国特許5,186,670号には、基板112、エミッタサイト114及びグリッド120を形成するための適切なプロセスが記述されている。基板112及びグリッド120及びそれらの関連する回路はFEDのベースプレートを形成する。シリコン基板112はエミッタサイト140の動作を制御する半導体装置を含む。これらの装置は組み合わされて、行−列駆動回路、電流制限回路及びエミッタサイト140を電気的に活性化又は絶縁する回路を形成する。例えば、以前に引用されたキャスパー(Casper)他への米国特許5,210,472には、シリコン基板上に形成され、エミッタサイトに直列に接続された一対のMOSFETが記述されている。直列に接続されたMOSFETの一つは行ライン上の信号によりゲートが開かれる。他のMOSFETは列ライン上の信号によりゲートが開かれる。
【0041】
本発明によれば、反射防止Ti−Al−N層200が駆動トランジスタ126、140構造の少なくとも一部を覆うようにして形成されている。詳しくは、反射防止Ti−Al−N層200はディスプレイトランジスタ126のドレイン及び制御ゲートの接合部を覆い、かつ電流制限トランジスタ140の全ての接合部を覆うようにして形成されている。Ti−Al−N層200は環境及びディスプレイスクリーン118にて生成された光線がN型導電性領域170、172、174と基板112との間の接合部のような半導体接合部に衝突するのを防止する。パッシベーション層202はTi−Al−N層200を覆うようにして形成されている。CVD、スパッタリングあるいはエレクトロンビーム堆積(EBD)等の堆積手法がTi−Al−N層200を形成するために使用されてもよい。
【0042】
(価値及び利点のある効果)
配線ラインの実施の形態に関して、Ti−Al−N反射防止キャップ層の一つの利点としては、(典型的な365nmのフォトリソグラフ波長で窒化チタニウムによって形成された従来の積層金属キャップ層に対して)約10の要素により反射が低減されることである。この結果、刻み目が実質的に低減される。エレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性が向上する。別の利点によれば、チタニウム−アルミニウムを下層として使用することによって、アルミニウム層におけるストレスが低減され、この結果、エレクトロマイグレーション耐性及びストレスマイグレーション耐性が向上する。更に、チタニウム−アルミニウム下層の使用により、Ti−Al−Nキャップ層を形成する場合に別々のスパッタチャンバの必要性がなくなる。
【0043】
FED装置の実施の形態に関して、Ti−Al−N層の利点としては、接合部の電気的特性に逆の影響を与える光子の露出から半導体接合部を保護することである。この結果、そのような光子の露光に関連して望まない画素の偶然の駆動が避けられる。そのような偶然の駆動に伴う不鮮明さ及び画像の低下も避けられる。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態が図示され、かつ説明されたが、種々の代替物、変更及び均等物が使用されてもよい。従って、前述の実施の形態は添付された請求の範囲によって定義される発明の範囲を制限するものとして理解されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】刻み目を呈する半導体基板上の配線ラインの簡単な平面図である。
【図2】部分的に形成された集積回路の部分的な断面図である。
【図3】フォトリソグラフプロセス中の図2のICを示す簡単なブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に従って形成された配線ラインを有する図3の集積回路の簡単な平面図である。
【図5】フォトリソグラフプロセス中の本発明の一実施の形態に従う部分的に形成された集積回路の図である。
【図6】図4の配線ラインに対する反射率対光の波長のグラフである。
【図7】従来の配線ラインに対する反射率対光の波長のグラフである。
【図8】従来の電界放射ディスプレイ装置の一部の図である。
【図9】本発明の一実施の形態に従う反射防止Ti−Al−N層を有する電界放射ディスプレイ装置の一部の図である。
【図10】図9のFED部の電気回路図である。
【符号の説明】
【0046】
20…半導体基板、30…光子源、50…配線ライン、52…下層(第1の層)、54…導電層(第2の導電層)、56…キャップ層(第3の層)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(20)上に設けられた配線ライン(50)であって、前記配線ラインはキャップ層(56)と導電層(54)と下層(52)とを備え、前記キャップ層の少なくとも一部は前記導電層によって前記半導体基板から離間され、前記キャップ層はチタニウム、窒素、及びアルミニウムの反射防止コーティングを備え、前記導電層は前記下層を覆い、前記導電層はアルミニウムからなり、前記下層はチタニウム及び原子質量で20%から80%のアルミニウムからなる、配線ライン。
【請求項2】
請求項1に記載の配線ラインにおいて、前記キャップ層は、150ナノメートルと400ナノメートルとの間の波長を有する光子源(30)に露出されるとき、裸シリコン基板の反射率の0.10倍以下の反射率を示す、配線ライン。
【請求項3】
請求項2に記載の配線ラインにおいて、前記キャップ層は、325ナノメートルと400ナノメートルとの間の波長を有する光子源(30)に露出されるとき、裸シリコンウェハの反射率の0.05倍以下の反射率を示す、配線ライン。
【請求項4】
請求項1に記載の配線ラインにおいて、前記キャップ層は、50オングストロームと500オングストロームとの間の厚さを有し、350ナノメートルと380ナノメートルとの間の波長を有する光子源(30)に露出されるとき、裸シリコンウェハの反射率の0.05倍以下の反射率を示す、配線ライン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線ラインにおいて、前記キャップ層の厚さは光子源波長の半分の倍数である、配線ライン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線ラインにおいて、前記下層は熱処理プロセス中に前記導電層の収縮を防止するための役割を有する、配線ライン。
【請求項7】
半導体基板(20)上に形成された配線ライン(50)であって、
チタニウム及びアルミニウムからなる第1の層(52)と、
アルミニウムからなり、かつ、第1の層に隣接して配置された導電層(54)と、
チタニウム、窒素、及びアルミニウムからなり、かつ前記導電層に隣接して配置された第3の層(56)とを備え、
前記第1の層の少なくとも一部と前記第3の層の少なくとも一部とは前記導電層によって離間されており、
前記第1の層、前記導電層及び前記第3の層のうち、前記第1の層は前記半導体基板に最も近接して配置され、前記第3の層は前記半導体基板から最も遠くに配置されている、配線ライン。
【請求項8】
請求項7に記載の配線ラインにおいて、前記第3の層は半導体製造中に光子が散乱するのを最小化する反射防止層としての役割を有する、配線ライン。
【請求項9】
半導体基板(20)上に配線ライン(50)を形成する方法であって、
配線ラインの第1の層(52)を半導体基板の表面上に適用する工程と、
アルミニウムからなる配線ラインの第2の導電層(54)を前記第1の層の外面上に適用する工程と、
チタニウム、窒素、及びアルミニウムからなる配線ラインの第3の層(56)を前記第2の層の外面上に適用する工程とを備える。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記第3の層を光子源(30)に露出する工程を更に備え、前記第3の層は光子を吸収する反射防止層としての役割を有する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、更に150及び400ナノメートルの範囲内に含まれる放射波長で光子源から光子を放射する工程と、前記放射波長の光子に露出されるとき、裸シリコンウェハの反射率の0.10倍以下の反射率を示すように前記第3の層を構成する工程とを更に備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記放射波長は360及び370ナノメートルの範囲内にあり、前記放射波長に露出されるとき、裸シリコンウェハの反射率の0.05倍以下の反射率を示すような厚さ及び組成に前記第3の層を形成する工程を更に備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記放射波長は約365ナノメートルであり、前記放射波長に露出されるとき、裸シリコンウェハの反射率の0.01倍以下の反射率を示すように前記第3の層を構成する工程を更に備える、方法。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法であって、更にチタニウム及びアルミニウムからなる第1の層を適用する工程と、配線ラインの加熱中に前記第1の層のチタニウムと反応する前記第2の導電層のアルミニウムの量を低減するように前記第1の層のアルミニウムを使用する工程とを備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、更に前記第2の導電層を少なくとも2000オングストロームの厚さに形成する工程と、前記第1の層を20%から80%のアルミニウムを備えるように形成する工程と、前記半導体基板を少なくともセ氏350度の温度に加熱する工程と、加熱による配線ラインの厚さの減少を100オングストロームよりも小さく制限する工程とを更に備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−54477(P2006−54477A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261785(P2005−261785)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【分割の表示】特願平9−526205の分割
【原出願日】平成9年1月17日(1997.1.17)
【出願人】(500014068)マイクロン テクノロジー インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MICRON TECHNOLOGY, INC.
【Fターム(参考)】