説明

吸音構造

【課題】集合住宅、オフィス、シアターおよび移動体等の周囲の騒音を吸収する。
【解決手段】本発明における吸音構造は、鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面1上に載置されるシート状の低周波吸音材2aと、低周波吸音材2aの上面に低周波吸音材2aと平行に配置される板状の補強層3と、補強層3の上面に載置され音を透過する性質を有するシート4とを備えている。
低周波吸音材2aは、低周波領域において優れた吸音特性を発揮する材料、例えば、補強層側に配置される無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21と、膜21の下面側に積層された多孔質体層22とを備えている。補強層3は開口率が40〜70%程度で厚さが4mm程度のステンレス製のパンチングメタルで構成され、シート4は例えばファブリック製のカーペット等で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音構造に係り、特に、集合住宅、オフィス、シアターおよび移動体等の周囲の騒音を吸収することができる吸音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の吸音材として、(a)グラスウールやロックウール等から成る多孔質体層を使用するもの、(b)吸音材の前面側に空気層を設けて成るもの、(c)通気度が5〜100倍異なる高密度と低密度の繊維集合体を少なくとも2層以上積層して成るものなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、(a)の吸音材においては、100Hz以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収するためには、多孔質体層の肉厚を厚くする必要があるところ、多孔質体層の肉厚を厚くすると、吸音材の重量が全体的に重くなるという難点があった。また、(b)の吸音材においては、吸音材の前面側に空気層が存在するため、吸音材の重量が重くなり、また、スペースを広くとらなければならないという難点があった。
【0004】
一方、(c)の吸音材は、空気の粘性抵抗を利用し、音波のエネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体に、さらに密度が異なる繊維集合体を積層することで、高密度部分が付加質量、低密度部分がバネの役割を担う、いわゆる動吸振機を構成させて特に低周波領域の吸音率を向上させるものであるが、このような構成の吸音材においては、特に100Hz以下の低周波領域においては、十分な吸音効果が得られないという難点があった。また、低周波領域の音や振動は空気伝搬音だけではなく、建物や窓のがたつきなども発生するため、固体伝搬音および振動防止に対する対策を同時に行う必要があり、従来の吸音材ではその対策が困難であった。
【0005】
このため、本出願人は、先に、空気の粘性抵抗を利用し、音波のエネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体に、さらに密度が異なる繊維集合体を積層した第1、第2の吸音材を開発し、出願している(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この吸音材は、前面側に配置される発泡体層と、この発泡体層の背面側に積層される多孔質体層とを備えており、発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を含有する発泡体で形成され、また、多孔質体層は、汎用のグラスウールで形成されている。
【0007】
このような構成の吸音材によれば、高密度部分が付加質量、低密度部分がバネの役割を担う、いわゆる動吸振機を構成させて、特に低周波数帯域の吸音率を向上させることができるものの、次のような難点があった。
【0008】
第1に、多孔質体層を構成するグラスウールは、100Hz以下の低周波領域では吸音効果が弱くなるという難点がある。
【0009】
第2に、発泡体層と多孔質体層とが一体成型され、この一体成型に際して発泡体層の前面側に表面皮膜が形成されるため、製品の自由度を向上させることができないという難点があった。すなわち、発泡体層と多孔質体層との一体成形の際に表面皮膜が同時に形成されるため、所要の吸音特性を発揮させるためには、発泡体層の前面側や多孔質体層の背面側を変更しなければならないという難点があった。
【0010】
第3に、吸音材自身が難燃性の材料で形成されていないため、建築基準法の不燃性試験の基準を満たすことができないという難点があった。
【0011】
第4に、鉄筋コンクリートから成る集合住宅等において、騒音源が存在する居室(以下「第1の居室」という。)から、第1の居室と同一階の居室でかつ第1の居室に隣接する居室(以下「第2の居室」という。)への騒音を防止するには、例えば第1の居室の壁体や天井にパネル状に形成した吸音材を全面に亘って設置する必要があるところ、このような吸音構造では吸音材の設置作業に長時間を要し、また、コスト的にも割高になるという難点があった。
【0012】
【特許文献1】特開平8−152890号公報
【特許文献2】特開2003−316364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、集合住宅、オフィス、シアターおよび移動体等の周囲の低周波領域の騒音を効果的に吸収し、かつ、建築基準法の不燃性試験の基準を満たすことができる吸音構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様である吸音構造は、床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の上面に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、低周波吸音材は、補強層の下面側に配置される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の下面側に積層される多孔質体層とを備えるものである。
【0015】
本発明の第2の態様である吸音構造は、床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の上面に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、低周波吸音材は、補強層の下面側に配置される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の下面側に積層され、空気層を介して床面と平行に配置される多孔質体層とを備えるものである。
【0016】
本発明の第3の態様である吸音構造は、床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の上面に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、低周波吸音材は、補強層の下面側に配置される多孔質体層と、多孔質体層の下面側に積層される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の下面側に積層される他の多孔質体層とを備えるものである。
【0017】
本発明の第4の態様である吸音構造は、床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の上面に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、低周波吸音材は、補強層の下面側に配置される多孔質体層と、多孔質体層の下面側に積層される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の下面側に積層され、空気層を介して床面と平行に配置される他の多孔質体層とを備えるものである。
【0018】
本発明の第5の態様である吸音構造は、床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の上面に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、低周波吸音材は、補強層の下面側に配置される機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜を備え、膜は、空気層を介して床面と平行に配置されているものである。
【0019】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様である吸音構造において、補強層は、低周波吸音材を保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体から成るものである。
【0020】
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様である吸音構造において、補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体から成るものである。
【0021】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様である吸音構造において、補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルから成るものである。
【0022】
本発明の第9の態様は、第7の態様である吸音構造において、板状体の開口率は、40〜70%とされているものである。
【0023】
本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第9の態様の何れかの態様である吸音構造において、ゴムは、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムから成るものである。
【0024】
本発明の第11の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかの態様である吸音構造において、無機化合物は、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成るものである。
【0025】
本発明の第12の態様は、第1の態様乃至第11の態様の何れかの態様である吸音構造において、炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部とされているものである。
【0026】
本発明の第13の態様は、第1の態様乃至第12の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下とされているものである。
【0027】
本発明の第14の態様は、第1の態様乃至第13の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下とされているものである。
【0028】
本発明の第15の態様は、第1の態様乃至第14の態様の何れかの態様である吸音構造において、多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方は、難燃性を有する材料で形成されているものである。
【0029】
本発明の第16の態様は、第1の態様乃至第15の態様の何れかの態様である吸音構造において、多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方は、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るものである。
【0030】
本発明の第17の態様は、第1の態様乃至第16の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜は、多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化しているものである。
【0031】
本発明の第18の態様は、第1の態様乃至第16の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜は、接着により多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化しているものである。
【0032】
本発明の第19の態様は、第1の態様乃至第16の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜は、熱融着により多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化しているものである。
【0033】
本発明の第20の態様は、第1の態様乃至第16の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜は、シリコーングラフト反応により多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化しているものである。
【0034】
本発明の第21の態様は、第1の態様乃至第16の態様の何れかの態様である吸音構造において、膜は、膜の一部が多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方の孔部に入り込むことで多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化しているものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の第1の態様乃至第21の態様の吸音構造によれば、次のような効果がある。
【0036】
第1に、200Hz程度以下の低周波領域の騒音源が存在する居室(第1の居室)の床面に低周波吸音材を配置することで、当該第1の居室内における騒音を効果的に吸収することができる。従って、本発明の吸音構造によれば、従来のように、第1の居室の壁体や天井に低周波吸音材を配設しなくても、第1の居室からの第2の居室(第1の居室と同一階の居室でかつ第1の居室に隣接する居室)への騒音を効果的に防止することができる。
【0037】
第2に、床面上に配置する低周波吸音材の仕様を変えることで、騒音源の周波数特性に応じた吸音を行なうことができる。
【0038】
第3に、低周波吸音材を構成する多孔質体層をガラスウールで形成した場合には、当該ガラスウールが断熱材としての機能を有することから、高断熱・高遮音住宅という付加価値の高い住宅を提供することができる。
【0039】
第4に、エレベータや自動車等の移動体の床面上に低周波吸音材を配置することで移動体の周囲の騒音を吸収することができ、特に、軽量化を目指す自動車等の移動体においては、空気層を有する膜状吸音構造とすることで、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音(エレベータ内部の反響音や自動車内部の騒音等)を効果的に吸収することができる。
【0040】
第5に、吸音材自身に建築基準法における難燃の規格に適合する難燃性が付与されているので、難燃性が必要とされる場所に適用することができる。
【0041】
第6に、難燃剤として、ハロゲン系難燃剤や鉛系化合物が使用されていないので、燃焼時に有毒ガスが発生する虞がなく、環境保全対策を施した吸音構造を提供することができる。
【0042】
第7に、低周波吸音材の上面側に補強材または剛壁層が設けられているので、集合住宅、オフィス、若しくはシアター等の床面に適用しても、低周波吸音材の損傷を防止することができる。
【0043】
第8に、低周波吸音材として、膜が多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化されたものを使用することで、製品形態の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の吸音構造を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の吸音構造を鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面に適用した一実施例を示す断面図である。
【0045】
同図において、本発明における吸音構造は、鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面1上に載置されるシート状の低周波吸音材2aと、低周波吸音材2aの上面に低周波吸音材2aと平行に配置される板状の補強層3と、補強層3の上面に載置され音を透過する性質を有するシート4とを備えている。
【0046】
補強層3は、後述する低周波吸音材2aを機械的に保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体で構成されている。具体的には多数の開口を有する金属製の板状体、例えば開口率が40〜70%程度で厚さが4mm程度のステンレス製のパンチングメタル若しくはエキスパンドメタル等で構成されている。ここで、板状体の開口率を40〜70%としたのは、開口率が40%未満では音が十分に透過せず、また、開口率が70%を超えると板状体の全体的な機械的強度が弱くなり、低周波吸音材2aの保護が不十分となるからである。
【0047】
シート4は、例えば保温性がよく、弾力性に富み、かつ難燃性のもの、具体的にはファブリック製のカーペット等で構成されている。
【0048】
低周波吸音材2aとしては、100Hz乃至200Hzの低周波領域において優れた吸音特性を発揮する材料、具体的には、本発明者等が先に開発し出願している吸音材が好適する。
【0049】
この低周波吸音材は、具体的には、特願2005−77593号に開示されるように、補強層3の下面側に配置される無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21と、膜21の下面側に積層された多孔質体層22とを備えている。
【0050】
膜21は、難燃性を有し、かつ燃焼時に有害ガスを発生しない材料で形成されている。具体的には、膜21は、シリコーンゴムに2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物を混入したもので形成されている。
【0051】
このような構成の膜21においては、ネットワーク構造のシリコーンゴムの多孔室部分に嵩さ密度が高くかつ粒径の小さい硫酸バリウム等を混入することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する膜を形成することができる。
【0052】
図2は、本発明の実施例における膜21の吸音率、面密度、膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0053】
ここで、本実施例における膜21は、シリコーンゴムに2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウムを混入したもので形成されており、比較例としてウレタンから成る膜が使用されている。
【0054】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0055】
同図より、本実施例における膜21は、その膜厚を比較例の膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m・10sec未満にすることができる。
【0056】
次に、このような構成の膜21に要求される諸性能について説明する。
【0057】
第1に、膜21としては単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/m以下のものを使用することが好ましい。膜21の単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/mを越えると、本実施例による製品の適用法規である建築基準法第2条第9号に規定される不燃グレードに適合できないからである。なお、膜21の燃焼発熱量は膜21の原料用樹脂に配合させる無機フィラーの種類や配合量などにより調節することができる。
【0058】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱量試験において、単位体積当たりの燃焼発熱量を8MJ/m以下にすることができる。
【0059】
第2に、膜21としては燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10sec以下のもの使用することが好ましい。膜21の燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10secを越えると、建築基準法第2条第9号に規定の不燃グレードに適合しないからである。
【0060】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱速度試験において、燃焼発熱速度を[200kW/m] ・10sec以下にすることができる。
【0061】
次に、多孔質体層22は、難燃性を有する材料で形成されている。具体的には、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るもので形成されている。ここで、多孔質体層22は、厚さが1〜50mm、望ましくは10〜25mmのもので形成されている。
【0062】
このような構成の多孔質体層22においては、低周波数領域から高周波数領域までの広範囲に亘って吸音特性が優れており、また固体伝搬音や振動の低減にも効果的な制振性を発揮する。
【0063】
この実施例において、膜21の下面側に多孔質体層22を積層するのは、膜21の部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、多孔質体層22の部分がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
【0064】
なお、膜21は、製品形態の自由度を向上させ、現場における施工を簡単にするため、接着やシリコーングラフト反応等により、多孔質体層22と一体化することが好ましい。
【0065】
図3は、第1の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示している。ここで、図中、破線L1は、多孔質体層(グラスウール)の厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性、実線L2は、膜(シリコーンゴム膜)21の厚さを0.5mm、多孔質体層(グラスウール)22の厚さを75mmとした第1の実施の形態における低周波吸音材2aの吸音特性を示している。
【0066】
同図より、従来の吸音材は、200Hz程度を超える高周波領域では吸音率が高いものの、200Hz程度以下の低周波領域では吸音率が低く、これに対して、第1の実施の形態における吸音材は、200Hz以上の高周波領域では吸音率が低いものの、200Hz以下の低周波領域では吸音率が高いことが分かる。従って、第1の実施の形態における低周波吸音材2aを使用すれば、低周波領域に対応可能な吸音材を提供することができる。
【0067】
次に、このように構成された低周波吸音材2aを鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面1に設置する方法について説明する。
【0068】
図1および図4において、先ず、鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面1上に、複数本の金属製のライナー5a、5b、5c、・・・、例えば幅が40mm、高さが80mmの角柱のステンレス製のライナーを例えば910mmの間隔をおいて平行に布設する。これにより、床面1上に低周波吸音材2aを布設するための収納溝が形成される。ここで、各ライナー5a、5b、5c、・・・の高さ(収納溝の深さ)は、低周波吸音材2aの厚さと略同程度、若しくはそれより若干高くなるような寸法に設計されている。
【0069】
次いで、このようにして形成された各収納溝に、多数個(例えば30個)の、矩形状に形成されたパネル状の低周波吸音材2a(例えば縦幅:607mm、横幅:910mm、厚さ75mm)を、多孔質体層22を床面1側に向けてそれぞれ収納する。
【0070】
次に、各ライナー5a、5b、5c、・・・の頂部(図1中上部)間に厚さが2mm程度で開口率が40%程度のステンレス製のパンチングメタルから成る補強板3を各低周波吸音材2aの上面を覆うように載置し、さらに、補強板3の上面にカーペットから成るシート4を載置する。これにより、各低周波吸音材2aは、ライナー5a、5b、5c、・・・によって区画された収納溝および補強板3により機械的に保護されることになる。
【0071】
図5は、床面に対する吸音構造の施工の有無によるパワーレベルの比較を示している。ここで、比較例は、床面1に吸音構造を適用しない、いわゆる通常の集合住宅の居室のパワーレベルを示しており、実施例は、床面1に、厚さ0.5mmのシリコーンゴムから成る膜21に厚さ75mmの32Kフェルトのガラスウール(32kg/mの硬いガラスウール)から成る多孔質体層22を積層した低周波吸音材2aを配置した、第1の実施の形態に係る吸音構造のパワーレベルを示している。なお、騒音レベルはJISA1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」により測定した。
【0072】
同図より、本実施例における吸音構造は、比較例に対して、居室内の卓越騒音である200Hzの吸音特性でおよそ30dBの優位差が認められ、本発明における吸音構造が第1の居室からの第2の居室への騒音防止対策として非常に有効であることが判る。
【0073】
以上のように、本発明の吸音構造によれば、従来のように、第1の居室の壁体や天井に低周波吸音材を配設しなくても、第1の居室における200Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができ、ひいては第1の居室からの第2の居室への騒音を効果的に防止することができる。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明における吸音構造の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
この実施例においては、図6に示すように、図1に示す低周波吸音材2aに代えて膜21の上面側に多孔質体層(以下「第1の多孔質体層」という。)22を、下面側に他の多孔質体層(以下「第2の多孔質体層」という。)23を積層した低周波吸音材2bが用いられている。
【0075】
ここで、樹脂膜21に第1、第2の多孔質体層22、23を積層するのは、膜21部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、第1、第2の多孔質体層22、23がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
【0076】
なお、第2の多孔質体層23は、図1に示す多孔質体層22と同様のもので形成されている。また、樹脂膜21は、第1、第2の多孔質体層22、23のうち少なくとも何れか一方と、前述と同様の手段により、一体化させることが好ましい。
【0077】
図7は、第2の実施の形態における低周波吸音材2bの吸音特性を示している。ここで、図中、破線L1は、図3に示すものと同様に、多孔質体層(グラスウール)の厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性、実線L3は、膜(シリコンゴム膜)21の厚さを0.5mm、第1、第2の多孔質体層(グラスウール)22、23の厚さを75mmとした第2の実施の形態における吸音材の吸音特性を示している。
【0078】
同図より、従来の吸音材は、前述と同様に、200Hz程度を超える高周波領域では吸音率が高いものの、200Hz程度以下の低周波領域では吸音率が低く、これに対して、第2の実施の形態における低周波吸音材は、200Hz程度以下の低周波領域のみならず、200Hz程度以上の高周波領域にわたって、優れた吸音特性を示していることが分かる。
【0079】
図8は、床面に対する吸音構造の施工の有無によるパワーレベルの比較を示している。ここで、比較例は、床面1に吸音構造を適用しない、いわゆる通常の集合住宅の居室のパワーレベルを示しており、実施例は、床面1に、厚さ0.5mmのシリコーンゴムから成る膜21の上面側に厚さ25mmの32Kフェルトのガラスウールから成る第1の多孔質体層22を、下面側に厚さ50mmの32Kフェルトのガラスウールから成る第2の多孔質体層23を積層した低周波吸音材2bを配置した、第2の実施の形態に係る吸音構造のパワーレベルを示している。なお、騒音レベルは前述の実施例と同様にJISA1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」により測定した。
【0080】
同図より、本実施例における吸音構造においても、前述の実施例と同様に、居室内の卓越騒音である200Hzの吸音特性でおよそ30dBの優位差が認められ、本発明における吸音構造が第1の居室からの第2の居室への騒音防止対策として非常に有効であることが判る。
【0081】
以上のように、本発明の吸音構造においても、従来のように、第1の居室の壁体や天井に低周波吸音材を配設しなくても、第1の居室における200Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができ、ひいては第1の居室からの第2の居室への騒音を効果的に防止することができる。
[第3の実施の形態]
図9は、本発明における吸音構造の第3の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0082】
図9において、この実施例においては、図1に示す低周波吸音材2aに代えて膜状吸音構造の低周波吸音材2cが用いられている。
【0083】
すなわち、この実施例における低周波吸音材2cは、補強層3の下面側に配置される無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21を備えており、当該膜21は、空気層6を介して床面1と平行に配置されている。
【0084】
このような構成の膜状の吸音構造においては、前述と同様に、低周波吸音材としての膜21の質量に対して空気層6がバネとして作用し、単一共振系を形成し、音波の周波数がこの単一共振系の共振周波数と一致したとき膜21が振動し内部摩擦により吸音されることになる。
【0085】
この実施例においても、鉄筋コンクリートの集合住宅の居室の床面に低周波吸音材2cとしての膜21を配置することで、当該居室内の200Hz程度以下の低周波領域の騒音を効果的に吸収することができ、ひいては、従来のように、第1の居室の壁体や天井に低周波吸音材を配設しなくても、第1の居室からの第2の居室への騒音を効果的に防止することができる。また、この実施例においては、空気層を有する膜状吸音構造とされていることから、軽量化を目指す自動車等の移動体に適用した場合には、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
[第4の実施の形態]
図10は、本発明における吸音構造の第4の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1および図9と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
図10において、この実施例においては、図1に示す低周波吸音材2aに代えて薄厚の低周波吸音材2a´が用いられている。
【0087】
すなわち、この実施例における低周波吸音材2a´は、膜21の下面側に図1に示す多孔質体層22よりも厚さを薄く形成した薄厚の多孔質体層22´が積層されており、当該薄厚の多孔質体層22´が空気層6を介して床面1と平行に配置されている。
【0088】
この実施例においては、第1の実施例と比較すれば多孔質体層の厚さを薄く形成した分だけ若干吸音特性が低下するものの、床面1と多孔質体層22´間にいわゆる背後空気層を存在させることで、全体として吸音構造の軽量化および低コスト化を図ることができる。従って、この実施例を軽量化を目指す自動車等の移動体に適用した場合には、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
[第5の実施の形態]
図11は、本発明における吸音構造の第5の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図6および図9と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0089】
図11において、この実施例においては、図6に示す低周波吸音材2bに代えて薄厚の低周波吸音材2b´が用いられている。
【0090】
すなわち、この実施例における低周波吸音材2b´は、膜21の下面側に図6に示す第2の多孔質体層23よりも厚さを薄く形成した第2の薄厚の多孔質体層23´が積層されており、当該薄厚の第2の多孔質体層23´が空気層6を介して床面1と平行に配置されている。
【0091】
この実施例においても、第2の実施例と比較すれば第2の多孔質体層の厚さを薄く形成した分だけ若干吸音特性が低下するものの、床面1と第2の多孔質体層23´間にいわゆる背後空気層を存在させることで、全体として吸音構造の軽量化および低コスト化を図ることができる。従って、この実施例においても、軽量化を目指す自動車等の移動体に適用した場合には、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
[第6の実施の形態]
前述の実施例では、膜21を無機化合物を含むシリコーンゴムで形成した場合について述べているが、当該膜21は、アクリル樹脂に2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物、並びに次に示す炭素繊維を混入したもので形成してもよい。
【0092】
このような構成の膜21においては、アクリル樹脂に炭素繊維を添加することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する樹脂膜を形成することができる。
【0093】
ここで炭素繊維としては、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部のものを使用することが好ましい。ここで、繊維径を10〜30μmとしたのは、繊維径を10μm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、繊維径が30μmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。また、長さの平均値が0.3〜2mmとしたのは、長さの平均値を0.3mm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、長さの平均値が2mmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。さらに、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部としたのは、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5部未満では樹脂間の結合が低下するからであり、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し10部を超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。
【0094】
図12は、第6の実施の形態における樹脂膜の吸音率、面密度、膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0095】
ここで、第6の実施の形態における膜21は、アクリル樹脂に2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを混入したもの形成されており、比較例としてウレタンから成る樹脂膜が使用されている。
【0096】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0097】
同図より、第6の実施の形態における膜21は、その膜厚を比較例の膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m2]・10sec未満にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0099】
第1に、前述の実施例においては、剛壁としての性能を有する鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面1に適用した場合について述べているが、床面1が剛壁としての性能を有しない場合には、低周波吸音材の背面側にすなわち床面1上に背後剛壁層(例えば厚さ2mm程度の鋼板、若しくは厚さが5mm程度のアルミニウム板)を布設する必要がある。
【0100】
第2に、前述の実施例においては、膜としてシリコーンゴムを使用した場合について説明しているが、シリコーンゴムに代えて、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムを使用してもよい。
【0101】
第3に、前述の実施例においては、膜を接着やシリコーングラフト反応等の手段により多孔質体層(または他の多孔質体層)と一体化させる場合について述べているが、膜および/または多孔質体層(または他の多孔質体層)を加熱し、膜および/または多孔質体層(または他の多孔質体層)が軟化する温度(例えば、80℃)になったときに、多少の圧力を付与することで両者を一体化させてもよい。
【0102】
第4に、前述の実施例においては、膜の燃焼発熱量および燃焼発熱速度について述べているが、低周波吸音材自身の燃焼発熱量を8MJ/m以下、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec以下としてもよい。
【0103】
第5に、前述の実施例においては、鉄筋コンクリートから成る集合住宅の床面に適用した場合について述べているが、オフィスのフリーアクセスフロア、シアターの床面、エレベータの床面、自動車の床面(フロアパン)等に適用しても、周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施の形態における吸音構造の断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるシリコーンゴムとフィラーの混合比を示す説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における低周波吸音材の設置状況を示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における吸音構造のパワーレベルと周波数との関係を示す説明図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における吸音構造の断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態における吸音構造のパワーレベルの測定状況を示す説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態における吸音構造の断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態における吸音構造の断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態における吸音構造の断面図。
【図12】本発明の他の実施の形態におけるアクリル樹脂とフィラーの混合比を示す説明図。
【符号の説明】
【0105】
1・・・床面
2a、2b、2c、2d、2e、2f・・・低周波吸音材
21・・・膜
22・・・第1の多孔質体層(多孔質体層)
23・・・第2の多孔質体層(他の多孔質体層)
3・・・補強層
4・・・シート
5a、5b、5c・・・ライナー
6・・・空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の上面に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、
前記低周波吸音材は、前記補強層の下面側に配置される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の下面側に積層される多孔質体層とを備えることを特徴とする吸音構造。
【請求項2】
床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の上面に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、
前記低周波吸音材は、前記補強層の下面側に配置される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の下面側に積層され、空気層を介して前記床面と平行に配置される多孔質体層とを備えることを特徴とする吸音構造。
【請求項3】
床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の上面に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、
前記低周波吸音材は、前記補強層の下面側に配置される多孔質体層と、前記多孔質体層の下面側に積層される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の下面側に積層される他の多孔質体層とを備えることを特徴とする吸音構造。
【請求項4】
床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の上面に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、
前記低周波吸音材は、前記補強層の下面側に配置される多孔質体層と、前記多孔質体層の下面側に積層される無機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の下面側に積層され、空気層を介して前記床面と平行に配置される他の多孔質体層とを備えることを特徴とする吸音構造。
【請求項5】
床面上に載置されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の上面に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記補強層の上面に載置される音を透過する性質を有するシートとを備え、
前記低周波吸音材は、前記補強層の下面側に配置される機化合物および/または炭素繊維を含むゴムまたはアクリル樹脂から成る膜を備え、
前記膜は、空気層を介して前記床面と平行に配置されていることを特徴とする吸音構造。
【請求項6】
前記補強層は、前記低周波吸音材を保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の吸音構造。
【請求項7】
前記補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の吸音構造。
【請求項8】
前記補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の吸音構造。
【請求項9】
前記板状体の開口率は、40〜70%であることを特徴とする請求項7記載の吸音構造。
【請求項10】
前記ゴムは、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムであることを特徴とする請求項1乃至請求項9何れか1項記載の吸音構造。
【請求項11】
前記無機化合物は、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物または前記Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載の吸音構造。
【請求項12】
前記炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部であることを特徴とする請求項1乃至請求項11何れか1項記載の吸音構造。
【請求項13】
前記膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項12何れか1項記載の吸音構造。
【請求項14】
前記膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項13何れか1項記載の吸音構造。
【請求項15】
前記多孔質体層および他の多孔質体層の少なくとも何れか一方は、難燃性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項14何れか1項記載の吸音構造。
【請求項16】
前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方は、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項15何れか1項記載の吸音構造。
【請求項17】
前記膜は、前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項16何れか1項記載の吸音構造。
【請求項18】
前記膜は、接着により前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項16何れか1項記載の吸音構造。
【請求項19】
前記膜は、熱融着により前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項16何れか1項記載の吸音構造。
【請求項20】
前記膜は、シリコーングラフト反応により前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項16何れか1項記載の吸音構造。
【請求項21】
前記膜は、前記膜の一部が前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方の孔部に入り込むことで前記多孔質体層および前記他の多孔質体層の少なくとも何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項16何れか1項記載の吸音構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−133246(P2007−133246A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327787(P2005−327787)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(306013119)昭和電線デバイステクノロジー株式会社 (118)
【Fターム(参考)】