説明

器具パネルリブ構造

乗り物の器具パネル支持構造が、開放スペースフレーム構造中のリブによって一緒に連結される固定面および取付け面を有して提供される。これらリブは、臨界的負荷経路を生成するようなサイズ、形状および位置決めであり、そして器具パネル支持構造の外側スキンを無くする。マグネシウム合金材料は、構造および機能のために必要な場所に配置されるのみである。この乗り物器具パネル支持構造の機能性は、伝統的な設計と比較したとき、剛直性および耐衝撃性があるように維持されるが、この器具パネル構造の重量および突出される領域は減少される。コンピューター支援エンジニアリングプラットホームを用いる器具パネル支持構造を設計する方法がまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、高圧ダイキャストマグネシウムパーツとして生産されるべき器具支持構造の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
器具パネル(IP)支持構造は、ファイアウォールの後方または計器盤の前部で、ドライバーの側から乗客側まで広がっている。それは、乗り物本体にA支柱およびスクリーンレールで固定される。それはまた、中間スタンプスチールブラケットを経由して操縦カラムトンネルに取り付けられる。IP支持構造の鍵となる機能は、乗り物本体構造に固定すること、そして操縦カラム、乗客エアバッグ、配線用ハーネス、電気的モジュール、電子製品、導管組織、ならびにダッシュボード計器盤および装備のような重要な構成要素を支持、取り付け、配置そして/または固定することである。
【0003】
従来のダイキャストマグネシウム器具パネル支持構造(図1)は、剛直性および耐衝撃性性能を達成するために開発された内部リブ構造を支持するための大きな平坦面またはスキンを用いる。これらの大きな平坦な面は、キャスティングの重量に付加し、そしてこのパーツの突出する面積に寄与する主要な面である。この突出された面積は、ダイキャスティングの間にダイ開口部軸に垂直であるキャスティングの表面積である。この表面積が大きくなるほど、溶融した金属がキャストツール中に送られる間、このダイキャスティング機械がダイ半分体を閉鎖して維持するために必要なクランプ総トン数はより高くなる。代表的なキャストマグネシウムIP支持構造は、約330,000mmの突出された面積を有して約5.2kgの重量である。
【0004】
溶接されたスチールトラスシステムとして器具パネル支持体を製造することが可能であり得るが、得られる構造は、法外に重く、そして乗り物中への設置のために正当と認められるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の支持構造の負荷支えおよび機能的性能を維持しながら、従来の構造より重量が少なく、そしてより小さい突出面積を有する器具パネル支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
器具パネル支持構造は、乗り物フレームへの固定のための固定面、およびそれに乗り物構成要素を取り付けるための取り付け面を有する。これら固定面および取り付け面は、リブによって一緒に連結され、開放空間フレーム構造を形成する。これらリブは、上記器具パネル支持構造内に臨界的負荷経路を生成するようなサイズ、形状であり、そして位置決められる。
【0007】
コンピューター支援エンジニアリングプラットホームを用いて器具パネル支持構造を設計するための方法が提供され、器具パネル支持構造のために選択された固定面および取り付け面の位置決め座標を入力する工程、およびこの器具パネル支持構造の剛直性および耐衝撃性のための性能要求を入力する工程で開始する。次の工程は、この固定面および取り付け面をリブで一緒に連結する工程であって、仮想的な開放空間スペースを形成する。理論的な力がこの開放空間フレームに付与され、そしてこの力の付与に対する開放空間フレームの応答が検出される。この応答は、上記性能要求と比較される。この開放空間フレームは改変され、そしてこれらの工程は、この開放空間フレームが上記剛直性よび耐衝撃性に対する性能要求に応じ;それによって、準拠した仮想的開放空間フレームが生成されるまで繰り返される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明は、軽量ダイキャストマグネシウムIP支持構造の機能に必要な幾何学的構造に対する新規な設計アプローチを提示する。この設計アプローチの開始点は、器具パネル支持構造が達成しなければならない機能を考慮することである。2つのこのような機能がある:乗り物フレームワークに固定すること、および選択された位置に重要な器具パネル構成要素を固定することである。これらの機能を満たすために、IP支持構造は、それを乗り物フレームワークに取り付けるための固定面および器具パネル構成要素のための取り付け面を有さなければならない。従って、その最も基礎的なレベルで、このIP支持構造は、それらがそれらの機能を満たすことを可能にするに十分な強度で一緒に連結される固定面および取り付け面を必要とする。すべての無関係な材料を考慮から除いて、本発明のIP支持構造は、開放空間フレーム構造中のリブによって一緒に連結される固定面および取り付け面から構成され、ここで、これらのリブは、臨界的負荷経路を生成するために戦略的に配置される。
【0009】
図2に示されるように、このIP支持構造は、ほぼ参照番号10によって識別される。このIP支持構造10は、乗り物フレーム(図示せず)のドライバー側から乗り物フレーム(図示せず)の乗客側およびファイアウォール(スクリーンレールにある)の後部まで広がる。このIP支持構造は、乗り物フレームのA支柱で乗り物本体(図示せず)に、ファイアウォール(カウル)の後方で乗り物フレームに、そしてまた中間スタンプスチールブラケットを経由して操縦カラムトンネルに固定される。固定面12は、このIP支持構造10のA支柱への取り付けのための手段14を有する。この取り付けは、リベット付け、ボルトまたは溶接のような当該技術分野で公知の任意の適切な様式で達成され得る。例として、図2に示される取り付けのためのこの手段14は、このIP支持構造10をA支柱に固定するためのボルトまたはリベットの貫通を容易にし得る開口部である。固定面16は、このIP支持構造10を、ファイアウォールの後部の乗り物フレームに固定するようにスクリーンレールに固定するためにIP支持構造の上に位置決めされる。このIP支持構造はまた、それを、操縦カラムを収容するトンネルに固定するために固定面18を有する。
【0010】
上記IP支持構造は、操縦カラム、乗客エアバッグ、配線用ハーネス、電気的モジュール、電子製品、導管組織、ならびにダッシュボードおよびコンソールのような乗り物構成要素が取り付けられ得る取り付け面20を有する。この取り付け面20の数および特定の位置は、所定の乗り物の設計者によって選択される設計の特徴、外観、および装備によって決定され得る。
【0011】
本発明によるIP支持構造10では、これら固定面14,16、18は、リブ22によって取り付け面20に連結され、開放空間フレーム構造を形成する。これらリブ22は、上記固定面と取り付け面との間に臨界的負荷経路を生成するようなサイズ、形状および位置決めであり、無関係な金属スキンおよび平坦面を無くしながら、このIP支持構造の要求される形状、位置決めおよび強度を維持する。これらリブは、平坦ビーム、Lビーム、Iビーム、Tビーム、およびチャネルビームを含む群から選択される断面プロフィールを有し得る。金属材料は、このIP支持構造の構造的一体性および機能を維持するために必要な場所に位置決めされるのみである。
【0012】
このIP支持構造10は、好ましくは、従来様式でダイキャストされるマグネシウム合金から構築される。その他の合金もまた用いられ得るけれども、AMシリーズのマグネシウム合金が、この器具パネル構造のキャスティングに好適である。当業者は、それから、この器具パネル支持構造をキャストする好ましいマグネシウム合金を容易に決定し得る。
【0013】
器具パネル支持構造を設計するために、この器具パネル構造のための固定面および取り付け面を選択することが必要である。これら固定面および取り付け面は、設計される特定の器具パネル支持構造に対する顧客の必要性によって決定される。乗り物のサイズおよびモデルのような考慮、取り付けられる器具の性質、およびこれら器具の所望の位置決めは、これら固定面および取り付け面の位置の選択に影響する因子であり得る。顧客は、操縦カラムのサイズおよび位置、設置されるエアバッグ、ラジオ、装置のためのダイヤルおよびキャビンパネルディスプレイなどを特定し得る。一旦、これらの構成要素およびそれらの所望の位置決めが知れると、この器具パネル支持構造がこれら構成要素を収容するために設計され得る。実際、これら固定面および取り付け面は、空間中の点または面として開始する。操縦カラムについて3つの原則的な取り付け場所があり、そして上記器具パネル支持構造は、A支柱(固定面12、12)、カウル(固定面16、16)およびトンネル(固定面18、18)で操縦カラムを支持するための強度および剛直性を有するよう設計されている。
【0014】
本発明の器具パネル支持構造は、コンピューター支援エンジニアリングプラットホームを用いて設計される。Dassault SystemsからのCATIATMプログラムが、本発明の器具パネル支持構造とともに機能する適切なエンジニアリングプラットホームであるが、EDSからのUNI−GRAPHICSTMまたはSDRCからのI−DEASTMのようなその他の匹敵するプログラムも使用され得る。最初の工程は、顧客の仕様に従って上記器具パネル支持構造のための選択された固定面および取り付け面の位置決め座標を入力することである。
【0015】
次の工程は、この器具パネル支持構造の剛直性および耐衝撃性のための性能要求を入力することである。特定の騒音、振動および厳しさ(NVH)標準が、器具パネル構造を開発するとき、満たされなければならない。同様に、動的側面衝撃(DSI)、オフセット変形可能なバリア(ODB)および固定された前面バリア(FFB)は、合衆国合法化試験のためのクラッシュ負荷事例の中で、上記構造的要求が合致されるように所定の位置でどれくらいの材料が存在しなければならないかを決定するためにシミュレーションされる。上記性能要求(また負荷事例とも称される)は、顧客(代表的には、乗り物設計者または製造業者)が指示および提供する性能仕様に基づく。代表的には、この負荷事例は、産業的に決定され、そして政府に指示された標準に従わなければならない。
【0016】
本発明における実際の設計差異は、平坦な面またはスキンが設計プロセスの開始点である代表的なダイキャストの考え方から遠ざかることである。本発明は、開放スペースフレームまたはトラスシステムとして器具パネルの特徴を採用し、このトラス構造に必ずしも必要ではないすべての材料は排除されている。固定点および取り付け点はリブで一緒に連結され、仮想的開放空間フレームを形成する。連結は、コンピューター支援エンジニアリングツールを用いてこれらの固定点と取り付け点との間に作られ、特定された性能要求に合致する。
【0017】
一旦、これら固定点および取り付け点がリブで一緒に連結され、開放空間フレームが形成されると、理論的な力がこの開放空間フレームに付与され、そしてこの開放空間フレームのこの力の付与に対する応答が検出される。この応答は、上記性能要求と比較される。この応答は、特定の負荷が付与されるとき、ビーム中の歪エネルギーおよびその他の指標をモニターすることにより検出される。力の負荷は、この構造のリブ内に輸送される。このモニタリングは、この構造のどの部分が負荷を最も激しく担って働くことを問われているかの指標を提供する。この応答が、上記性能要求に合致しないとき、この開放空間スペースは改変される。
【0018】
実際には、理論的な力を付与する工程、そしてこの力に対する応答を検出する工程、およびこの応答を上記性能要求と比較する工程は、有限要素分析(FEA)を用いて実施される。この技法は、上記構造的要求が満たされるように、所定の位置にどれだけの材料が存在しなければならないかを決定するために上記で識別された種々の合衆国合法化試験で付与される力をシミュレーションするためのシミュレーションソフトウェアを用いる。FEAは、この構造(この場合、上記器具パネル支持構造のための開放空間フレーム)を、小要素に分割することを包含し、この技法は一般にメッシュ化(meshing)と称される。次いで、適切な材料モデルが選択される。本発明によれば、マグネシウムまたはマグネシウム合金いずれかから選択されるモデルを特定し得る。次に、境界条件が設定される。これは、上記部分が試験のために保持または固定される様式に言及する。次の工程は、試験で付与される力または負荷を入力することである。コンピューターは、次いで、要素毎にこの材料の開放空間フレームの反応を算出する。次に、この試験の出力が測定される。この測定可能な出力は、ストレス、歪、歪エネルギー、曲げ、結果として生じる剛直性、力、結果として生じる力、疲労データ、および振動数応答からなる群から選択され得る。
【0019】
操縦カラムの支持は、器具パネル構造の主要な機能であり、そしてこの機能は、この器具パネル構造の主要な設計特徴に影響する。本質的に、三角形支持フレームが、操縦カラムを支持する機能を満たすために必要とされる。一旦、全体のトラス構造が、操縦カラムを支持するために設計されて十分剛直性であると、残りの改変は、本質的に、構成要素の取り付けを容易にするための局所的変更である。
【0020】
この開放空間フレームに対する可能な改変は、少なくとも1つのリブの付加または除去、および/または、少なくとも1つのリブの位置、形状または厚みの変更を含む。狙いは、歪エネルギーが最も高い点でそれを減少することである。IP支持構造の設計は、設計の繰り返しによって、リブの形状、位置、厚みおよび構造を調節することにより開発される。例えば、リブの形態をより強いプロフィールに、例えば、平坦なビームを「L」ビームまたは「I」ビームに変更し得る。1つ以上のリブは、平坦ビーム、Lビーム、Iビーム、Tビーム、およびチャネルビームを含む群から選択される断面プロフィールを有し得る。(リブの数および位置とは反対に)存在するリブセグメントの改変は、本質的に、この器具パネル支持構造設計に対する二次的調節である。このIP支持構造の基礎的な幾何学的形状が正確に決定されなければ、単にリブセグメントをより厚くすることにより負荷を担う能力のないことを矯正することは可能ではない。
【0021】
その他の負荷事例、例えば、エアバッグの支持および設置が、この設計計算に付加される。代表的には、改変する工程、理論的力を付与する工程、この応答を検出する工程およびこの応答を性能要求と比較する工程を多くの回数繰り返すことが必要である。この繰り返しは、この開放空間フレームが、剛直性および耐衝撃性に対する性能要求のすべてと適合し、それによって、準拠する仮想的開放空間フレームが生成されるまで継続する。準拠する仮想的開放空間フレームの固定面、取り付け面、およびリブの形状、位置、および寸法は、器具パネル支持構造の製造仕様のようである。
【0022】
この原理による設計は、従来の器具パネル支持構造と比較したとき、なお良好またはより良好な負荷支持および耐衝撃性の特徴を維持しながら、可能な限り多く、器具パネルの面を無くすることを試みる。器具およびその他の構成要素のためのすべてのパッケージ手段および取り付け手段が、従来の器具パネル構造と一致するよう予め決定されているとき、エンジニアに器具パネル支持構造を覆すことは困難である。一般的に言って、これらの事例における取り付けは、平坦な垂直方向の取り付け面を必要とする。この器具支持パネルが第1の原理から開始して設計されるとき、そのときは、得られるパネルは、ビームのトラス構造である。構成要素パーツの取り付けを容易にするための固定点の配向は、二次的事項として設計され得る。例えば、取り付け機構は、構成要素を係合するために90%回転され得るか、またはファスナーが、この器具パネル支持構造のリブの上でクリップ留めするために開発され得る。
【0023】
上記IP支持構造の設計が生成され、そして製造仕様が生成されたの後、ダイキャスティング鋳型が、設計プロセスの間に決定された仕様に対する従来手段によって製造される。軽量ダイキャストマグネシウムの器具パネル支持構造は、次いで、このダイキャスト鋳型中でキャストされ得る。キャスティングの後、この器具パネルは、従来のトリミングおよびデバリング工程に供される。
【0024】
本発明によるIP支持構造(図2)の機能性、剛直性および耐衝撃性は、図1に示されるような伝統的な設計と比較されるとき、維持される。本発明の方法は、この構造のパーツとしてのキャスト金属スキン面を無くす。この無くすことは、キャストマグネシウムIP支持構造の重量を減少し、そしてまたIP支持構造の突出した面積を減少する。目的物のこの突出した面積は、この目的物をキャストするために必要なダイキャスティング機械のタイプおよび強度を決定することにおける重要な因子である。この目的物の突出した面積が増加するとき、より大きい、かつより頑強なキャスティング機械装置の必要性が劇的に増加する。製造コストにおける対応する増加がある。IP構造のこのキャスト金属スキン面の多くを無くすことにより、本発明の方法は、このIP構造の機能性に必要な強度および剛直性をもつ固定面および取り付け面を維持しながら、有意により小さい突出面積をもつ構造を生じる。伝統的な設計との比較により、この突出した面積は45%を超えて減少し、そして重量は25%まで減少され得る。この減少した突出面積は、このIP支持構造がこのパーツを生産するためのより小さなダイキャスティング機械を用いて製造されることを可能にする。あるいは、現存するダイキャスティング機械中のダイ腔の数を増加し、それによって、複数のIP支持構造を同時に生産することにより製造アウトプットの速度を増加することを可能にし得る。
【0025】
本発明による開放空間フレームIP支持構造中の開放セクションは、このIP構造の周りにパッケージされるか、またはそれに固定される構成要素に対するさらなるパッケージング柔軟性を可能にする。本発明の設計方法は、乗り物および非乗り物適用のための両方のその他の構造の製造における使用のために適合され得る。例えば、乗り物シートフレーム構造または乗り物前方端部構造は、ダイキャストマグネシウム製造のためのビームトラス概念を用いて設計され得る。一般的な予測として、それらの主要な機能として平坦な壁面またはスキンに依存しないか、または包囲を必要としない任意の構造的要素が、このトラス概念に適合され得る。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
IP支持構造の第1の例は、図面の図1〜図4に示される。図1は、キャストマグネシウムから構築された従来の先行技術器具パネル支持構造40を示す。この従来のIP支持構造は、IP支持構造10のA支柱への取り付けのために固定面12を有する。固定面16は、このIP支持構造10をファイアウォールの後方の乗り物フレームに固定するようにスクリーンレールへ固定するために、このIP支持構造の上に位置決めされる。このIP支持構造はまた、固定面18を有し、それを、操縦カラムを収容するトンネル中に連結する。この従来のIP支持構造は、取り付け面20を有し、これに、乗り物構成要素が取り付けられ得る。この従来のIP支持構造40は、330,000mmの突出面積、および重量5.1kgを有する。重量および突出面積の多くは、パネル面42の大きな面積の結果である。
【0027】
図2に示される器具パネル支持構造10は、本発明に従って構築されている。この得られる構造は、乗り物フレームへの取り付けのため、および構成要素の取り付けのために同じ対応する面で固定面および取り付け面を有しているが、余分なマグネシウムパネル面は存在していない。すべての余分な材料は無くされており、リブ22のみを種々の固定面および取り付け面を適切な位置に連結する開放空間フレーム構造中に残し、構造的性能のために必要な臨界的負荷経路を支持する。この例では、本発明による器具パネル支持構造は、176,000mmの突出面積および重量3.8kgを有している。これは、上記従来のIP構造に対して1.3kgの重力節約を表す。
【0028】
これら2つの構造の機能性を比較するために、公知のコンピューター支援エンジニアリングプログラムを用いて性能試験を実施した。試験は、騒音、振動および厳しさ(NVH)標準との準拠について行われた。最初の垂直モードにおける試験は、本発明によるIP支持構造10について41.16Hzの存在、そして従来のIP支持構造42について最初の垂直モードで41.2Hzの存在を示した。従って、開放空間フレームを有するこのIP支持構造のNVH性能は、同じ試験条件下で従来のIP支持構造の性能に匹敵した。
【0029】
シミュレーションされたクラッシュ試験もまた、コンピューター支援エンジニアリングプログラムを用いて実施した。40mphおよび40%オフセットでのクラッシュのシミュレーションでは、従来の、および本発明のIP構造の両方に対する試験で局所的座屈はあったが、予測された失敗はなかった。
【0030】
カラム剛直性試験もまた実施した。最初の試験は、固定された台板中の剛直性カラムビームを調べた。11565Nの力を、X軸に対して30゜の位置で付与し、そして生じる曲げを測定した。図4は、衝撃試験におけるIP構造の相対的性能を示す。従来のIP支持構造の剛直性は、22513N/mmであると測定された。本発明によるIP支持構造の剛直性は、24810N/mmであると測定された。従って、本発明のIPリブは、この試験で従来の構造より性能が優れていた。垂直カラム剛直性試験はまた、従来の構造と比較されたとき、優れた性能を示した。225Nの力の付与を有する試験では、得られる剛直性は、従来構造について2467N/mmと比較して、本発明について3250N/mmであった。側面衝撃試験では、本発明による器具パネル支持構造は、従来構造と同じピーク負荷に耐えた。比較試験の結果を以下の表に要約する。
【0031】
【表1】

(実施例2)
図5〜図7に、第2の実施例が示される。図5は、キャストマグネシウムから構築される従来の先行技術器具パネル支持構造50を示す。この従来のIP支持構造は、乗り物フレームへの取り付けのための固定面および乗り物構成要素が付着され得る取り付け面を有する。この従来のIP支持構造50は、330,000mmの突出面積および重量13.0lbを有する。この重量および突出面積の多くは、パネル面の大きな面積の結果である。
【0032】
図6に示される器具パネル支持構造60は、本発明に従って構築されている。得られる構造は、構成要素の取り付けのために乗り物フレームへの取り付けのために同じ対応する位置に固定面および取り付け面を有しているが、余分のマグネシウムパネル面は存在していない。すべての余分の材料は無くされており、種々の固定面および取り付け面を適切な位置に連結する開放空間フレーム構造にリブのみを残し、構造的性能のために必要な臨界的負荷経路を支持する。この例では、本発明による器具パネル支持構造は、160,000mmの突出領域および重量10.1lbを有している。これは、従来のIP構造に対し2.9lbの重量節約を表す。コンピューター支援エンジニアリングプログラムを用いて以下の性能試験を実施した:NVH、カラム剛直性、PAB(乗客エアバッグ負荷)、35mphオフセットにおける40%クラッシュ試験、側面衝撃、および2g落下。本発明に従って構築されたIP支持構造は、従来構造に匹敵する性能試験結果を達成した。詳細な結果は、以下の表2に要約される。図7は、衝撃試験における2つの構造の比較可能な性能を示すグラフである。
【0033】
【表2】

本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、勿論、本発明はそれに制限されないことが理解される。なぜなら、改変が、特に先行する教示を考慮して当業者によってなされ得るからである。従って、本発明の範囲は、添付の請求項への参照のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、先行技術器具パネル支持構造の斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従う器具パネル支持構造の斜視図である。
【図3】図3は、さらに操縦カラムを示す、図2の器具パネル支持構造の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の器具パネル支持構造の性能を、先行技術構造と比較する、力 対 時間のグラフである。
【図5】図5は、代替の先行技術器具パネル支持構造の斜視図である。
【図6】図6は、本発明の代替の実施形態に従う器具パネル支持構造の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の代替の実施形態の器具パネル支持構造の性能を先行技術構造と比較する、力 対 時間のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物フレームへの固定のための固定面、および乗り物構成要素をそれに取り付けるための取り付け面を有する器具パネル支持構造であって、該固定面および取り付け面がリブによって一緒に連結され、開放空間フレーム構造を形成する、器具パネル支持構造。
【請求項2】
前記リブが、臨界的負荷経路を生成するようなサイズ、形状および位置決めである、請求項1に記載の器具パネル支持構造。
【請求項3】
マグネシウム合金のキャストである、請求項2に記載の器具パネル支持構造。
【請求項4】
前記固定面の少なくとも2つが、乗り物フレームの2つのA支柱に前記器具パネル支持構造の固定のために位置決めされ、かつ形状である、請求項3に記載の器具パネル支持構造。
【請求項5】
前記固定面の少なくとも1つが、乗り物フレームへのそのファイアウォールの後方の位置での固定のために位置決めされ、かつ形状である、請求項4に記載の器具パネル支持構造。
【請求項6】
前記固定面の少なくとも1つが、乗り物フレームへの操縦カラムトンネルでの固定のために位置決めされ、かつ形状である、請求項5に記載の器具パネル支持構造。
【請求項7】
前記リブが、平坦ビーム、Lビーム、Iビーム、Tビーム、およびチャネルビームからなる群から選択される断面プロフィールを有する、請求項2に記載の器具パネル支持構造。
【請求項8】
コンピューター支援エンジニアリングプラットホームを用いて器具パネル支持構造を設計する方法であって:
(a)該器具パネル支持構造のために選択された固定面および取り付け面の位置決め座標を入力する工程;
(b)該器具パネル支持構造の剛直性および耐衝撃性に対する性能要求を入力する工程;
(c)該固定の点および取り付けの点をリブで一緒に連結し、仮想的開放空間フレームを形成する工程;
(d)該開放空間フレームに理論的な力を付与する工程;
(e)該開放空間フレームの該力の付与に対する応答を検出する工程;および
(f)該性能要求に対する応答を比較する工程、を包含する、方法。
【請求項9】
(g)前記開放空間フレームを改変する工程;および
(h)該開放空間フレームが、剛直性および耐衝撃性の前記性能要求と合致するまで工程(d)から(g)を繰り返し;それによって、準拠する仮想的開放空間フレームが生成される工程、をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記(g)前記開放空間フレームを改変する工程が、少なくとも1つののリブを再位置決めすることを包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記(g)前記開放空間フレームを改変する工程が、少なくとも1つのリブを付加することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(g)前記開放空間フレームを改変する工程が、少なくとも1つのリブを除去することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記(g)前記開放空間フレームを改変する工程が、少なくとも1つのリブの断面プロフィールを変更することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記準拠仮想的開放空間フレームの前記固定面、取り付け面、およびリブの形状、位置および寸法を、前記器具パネル支持構造の製造仕様として記録する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記仕様に従って、ダイキャスティング鋳型を構築する工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ダイキャスト鋳型に器具パネル支持構造の軽量ダイキャストマグネシウムをキャスティングする工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記(d)開放空間フレームに理論的な力を付与する工程;前記(e)開放空間フレームの該力の付与に対する応答を検出する工程;および前記(f)性能要求に対する応答を比較する工程が、有限要素分析によって実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記有限要素分析が:
(i)前記開放空間フレームをメッシュ化する工程;
(ii)材料モデルを選択する工程;
(iii)境界条件を設定する工程;
(iv)付与される力を入力する工程;
(v)該開放空間フレームの反応を要素毎に算出する工程;および
(vi)アウトプットを測定する工程、を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記工程(ii)の材料モデルが、マグネシウム、マグネシウム合金からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アウトプットが、ストレス、歪、歪エネルギー、曲げ、結果として得られる剛直性、力、結果としてえられる力、疲労データ、および周波数応答からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−506610(P2007−506610A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527237(P2006−527237)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001672
【国際公開番号】WO2005/028239
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506098295)メリディアン テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】