説明

噴流発生装置、電子機器、駆動信号発生装置及び制御装置

【課題】さらなる低騒音化を実現することができる噴流発生装置、これを搭載した電子機器、この噴流発生装置に用いられる駆動信号発生装置及び制御装置を提供すること。
【解決手段】図4(A)に示すように、振動板33の振幅中心と原点位置とがずれている場合、振幅波形22が、図4(B)に示すようにサイン波23となるように駆動波形(基本周波数の信号(以下、基本波信号という。))20が補正される。補正された補正波信号21は、基本波信号20が下方向へ所定のレベルだけレベルシフトした信号である。これにより、振動板33の原点位置と、振幅中心位置が同じになり、振幅を原点位置に対して対称にすることができる。その結果、流路2aにおける風速と、流路2bにおける風速とがほぼ等しくなるので、両流路2a及び2bからの騒音レベルがほぼ等しくなり、騒音が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の合成噴流を発生する噴流発生装置、この噴流発生装置を搭載した電子機器、この噴流発生装置に用いられる駆動信号発生装置及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)の高性能化に伴うIC(Integrated Circuit)等の発熱体からの発熱量の増大が問題となっており、様々な放熱の技術が提案され、あるいは製品化されている。
【0003】
その放熱方法として、空気を脈流で吐出して合成噴流を生成し、この合成噴流を、放熱フィン(ヒートシンク)等に供給し、熱を持つ放熱フィンの表面に形成される温度境界層を効率良く破壊して放熱する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。このような噴流発生装置は、開口を有する筐体と、その筐体内の空気に圧力変化を起こす振動板とを有している。振動板が振動することで筐体内に圧力変化が生じ、開口を介して空気が脈流として吐出することで合成噴流が発生する。
【0004】
合成噴流は、次のような原理で発生する。筐体の開口から空気が吐出されるときに空気の流れが生じることにより、筐体外の開口の周囲の気圧が低下し、これにより、当該周囲の空気が開口から吐出される空気に巻き込まれて合成噴流が発生する。
【0005】
また、特許文献1に記載の噴流発生装置は、2つのチャンバから交互に空気が吐出され、つまり逆位相で空気が吐出されるので、各チャンバや開口(ノズル)から発生する音が弱め合う。これにより騒音が低減される。
【特許文献1】特開2005−256834号公報(段落[0079]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる噴流発生装置の各チャンバや開口から発生する音は、実際には正確なサイン波にはならない場合が多い。例えば駆動装置や振動板を支持する弾性の支持部材の形状や構造等が原因で振動板の振幅波形に歪が生じる場合があるからである。したがって、上記のように逆位相で振動板が駆動されても劇的に騒音を低減することは困難である。
【0007】
また、上記のように、製造される噴流発生装置ごとに、各部品の製造誤差や組み立て誤差等により、駆動信号と振動板変位の関係に非線形性にバラツキが生じる。そのため、送風性能、騒音スペック、または振動スペック等にばらつきが生じることが問題となっている。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、さらなる低騒音化を実現することができる噴流発生装置、これを搭載した電子機器、噴流発生装置に用いられる駆動信号発生装置及び制御装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、複数の噴流発生装置の製品で、振動体の振動状態等のばらつきを抑えることができる噴流発生装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器とを具備する。
【0011】
本発明では、補正波信号発生器により、基本波信号が補正された補正波信号を発生し、この補正波信号により振動体が駆動される。これにより、振動体の振幅波形が適切な形状になり、さらなる低騒音化を実現することができる。
【0012】
「気体」は、例えば空気が挙げられるが、これに限らず、窒素、ヘリウムガス、あるいはアルゴンガス、その他の気体であってもよい。
【0013】
振動体の駆動方式の例としては、例えば電磁作用、静電作用、または圧電作用を利用する方式が挙げられる。
【0014】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記基本波信号を発生する基本波信号発生回路と、前記基本波信号発生回路で発生した前記基本波信号を補正する補正回路とを有する。本発明の場合、駆動信号発生器を例えばアナログ処理回路により実現することができる。しかし、必ずしもアナログ処理回路に限らずデジタル処理回路でも構わない。
【0015】
本発明において、前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号を発生する補正波信号発生回路を有する。本発明の場合、例えば噴流発生装置の製造段階で、予め補正波信号を生成しておけばよい。また本発明の場合、駆動信号発生器をデジタル処理回路により実現することができる。しかし、必ずしもデジタル処理回路に限らずアナログ処理回路でも構わない。
【0016】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、前記基本波信号をレベルシフトした駆動信号を発生する。これにより、例えば、振動体の振動方向での初期中心位置(振動体の静止状態における原点位置)と、振動体の振幅中心位置が同じになるようにすることができ、振幅を上記原点位置に対して対称にすることができる。補正波信号発生器は、基本波信号の1波長分すべての信号をレベルシフトしてもよいし、1波長より小さい信号をレベルシフトしてもよい。
【0017】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、振幅波形の歪みが補正された駆動信号を発生する。これにより、振動体の振動波形の歪をなくすことができ、きれいな基本波形で振動体を振動させることができる。
【0018】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記振動体の振幅波形がサイン波、三角波、矩形波及び台形波のうち少なくとも2つが組み合わされた振幅波形となるように、前記基本波信号を補正することができる。
【0019】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する。本発明の構成によれば、例えば基本波信号としてサイン波信号で振動体が駆動される場合に比べ、振幅が同じ場合であっても、振動体の速度のピーク値を下げることができる。振動体の速度が大きいほど騒音が増加することが分かっている。つまり、本発明によれば、当該サイン波信号の駆動の場合に比べ、騒音を低減することができる。また、三角波のピークが鈍らせるように補正されることにより、急激な加速度の発生を抑制することができる。
【0020】
本発明において、前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号として前記駆動信号を発生する。本発明でも、上述したように、噴流発生装置の製造段階で予め、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を生成しておけばよい。
【0021】
本発明において、前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、前記鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する。
【0022】
本発明において、前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号として前記駆動信号を発生する。本発明でも、上述したように、噴流発生装置の製造段階で予め、鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を生成しておけばよい。
【0023】
本発明において、噴流発生装置は、前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記補正波信号発生器により前記基本波信号を補正させて前記補正波信号を発生させる制御手段とをさらに具備する。本発明では、フィードバック制御によりリアルタイムで逐次補正波信号が生成されるようにすることができる。これにより、振幅波形の歪みを抑制し、騒音を低減することができる。また、複数の噴流発生装置で振動体を同じ運動状態で振動させることができるので、振動スペック等のばらつきを抑えることができる。
【0024】
制御手段は、アナログ回路でもデジタル回路でも実現可能である。応答性を高めるにはアナログ回路であることが好ましいし、ノイズを少なくするためにはデジタル回路であることが好ましい。
【0025】
「前記運動状態検出手段による検出信号に基づき」の「基づき」とは、例えば、振動体の振幅中心が原点位置からずれている、あるいは、振幅波形が歪んでいることが運動状態検出手段により検出された場合に、制御手段が、その振幅波形が理想的な波形、つまり目標波形になるように、補正波信号信号発生器に駆動信号を補正させる、という意味における「基づき」である。「理想的な波形」とは、例えばサイン波、三角波、鋸波、矩形波等が挙げられる。以下、同様である。
【0026】
本発明において、噴流発生装置は、前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき予め補正された前記補正波信号を前記補正波信号発生器により発生させる制御手段とをさらに具備する。本発明では、運動状態検出手段による検出信号に基づき、予め補正波信号発生器により基本波信号が補正され、その後は、開ループにより、その補正波信号で振動体が駆動されるフィードフォワード制御が可能となる。補正波信号発生器により基本波信号が補正されるタイミングは、種々の形態が考えられる。例えば、そのタイミングは周期的なタイミングであってもよいし、あるいは、噴流発生装置に電源が投入された直後に1回、または複数回等のタイミングであってもよい。あるいは、その他のタイミングでもよい。
【0027】
本発明において、噴流発生装置は、当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記補正波信号発生器により前記基本波信号を補正させて前記補正波信号を発生させる制御手段とを具備する。「当該噴流発生装置の周囲の温度」とは、例えば筐体の周囲の雰囲気の温度、あるいは噴流を当てる対象となる発熱体の温度、または、その他、当該噴流発生装置の周囲の雰囲気や部品等の温度等である。以下、同様である。
【0028】
本発明において、噴流発生装置は、当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき予め補正された前記補正波信号を前記補正波信号発生器により発生させる制御手段とをさらに具備する。
【0029】
本発明の他の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動するために、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0030】
本発明では、例えばサイン波信号で振動体が駆動される場合に比べ、振幅が同じ場合であっても、振動体の速度のピーク値を下げることができる。また、三角波のピークが鈍らせるように補正されることにより、急激な加速度の発生を抑制することができる。
【0031】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動するために、鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0032】
本発明では、例えばサイン波信号で振動体が駆動される場合に比べ、振幅が同じ場合であっても、振動体の速度の最大値を下げることができ、また、鋸波のピークが鈍らせるように補正されることにより、急激な加速度の発生を抑制することができる。
【0033】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0034】
本発明では、振動体の運動状態に基づき、フィードバック制御によりリアルタイムで逐次駆動信号が生成されるようにすることができる。これにより、振幅波形の歪みを抑制し、騒音を低減することができる。あるいは、リアルタイムではなくとも、例えばあるタイミングで運動状態検出手段による検出信号に基づき駆動信号が生成され、その後は、開ループにより、その駆動信号で振動体が駆動されるフィードフォワード制御がなされてもよい。
【0035】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0036】
本発明では、噴流発生装置の周囲の温度状態に基づき、リアルタイムで逐次駆動信号が生成されるようにすることができる。これにより、振幅波形の歪みを抑制し、騒音を低減することができる。あるいは、リアルタイムではなくとも、例えばあるタイミングで温度検出手段による検出信号に基づき駆動信号が生成され、その後は、開ループにより、その駆動信号で振動体が駆動されてもよい。
【0037】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、当該噴流発生装置の外部からの前記振動体の駆動信号を入力する外部入力インターフェースとを具備する。これにより、本発明に係る噴流発生装置が例えば複数ある場合に特に有効となる。例えば、上記駆動信号の発生器が1つ用意されれば、その1つの発生器の駆動信号を複数の噴流発生装置の外部入力インターフェースから入力することにより、各噴流発生装置がそれぞれ備える振動体を駆動することができる。
【0038】
本発明において、噴流発生装置は、前記振動体の第2の駆動信号を発生する信号発生器と、前記第1及び第2の駆動信号のうちいずれか一方を選択するセレクタとをさらに具備する。これにより、上述のように複数の噴流発生装置を組み合わせて、そのうちの1つのの信号発生器により駆動信号を発生させることにより、各噴流発生装置を作動させることができる。
【0039】
本発明に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器とを具備する。
【0040】
本発明の他の観点に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動するために、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0041】
本発明のさらに別の観点に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、前記振動体を駆動するために、鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0042】
本発明のさらに別の観点に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0043】
本発明のさらに別の観点に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0044】
本発明に係る駆動信号発生装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体とを備える噴流発生装置の駆動信号発生装置であって、前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器と、前記補正波信号発生器により発生した補正波信号を増幅する増幅器とを具備する。
【0045】
本発明に係る制御装置は、開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体とを備える噴流発生装置の制御装置であって、前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【0046】
本発明の他の観点に係る制御装置は、当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器とを具備する。
【発明の効果】
【0047】
以上のように、本発明によれば、合成噴流を発生する噴流発生装置において、さらなる低騒音化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0049】
図1は、本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す噴流発生装置の断面図である。
【0050】
噴流発生装置10は、筐体1と、筐体1に装着されたノズル体2と、筐体1内に配置された振動アクチュエータ15とを備えている。ノズル体2は、筐体1の前面1aに装着され、複数の空気の流路2aが上段に設けられ、複数の空気の流路2bが下段にそれぞれ設けられている。
【0051】
図2に示すように、筐体1には、振動板33、駆動装置35及び弾性支持部材36を有する振動アクチュエータ15が備えられている。弾性支持部材36は、筐体1の内壁に装着され、振動板33の周囲を弾性的に支持する。振動板33及び弾性支持部材36により筐体1内が二分され、チャンバ3及び4が形成される。上部に形成されたチャンバ3は、上記流路2aを介して筐体1の外部と連通し、下部に形成されたチャンバ4は、上記流路2bを介して筐体1の外部と連通している。
【0052】
駆動装置35は、例えば上部のチャンバ3内に配置されている。例えば円筒状のヨーク26の内側に、振動板33の振動方向Rに着磁されたマグネット27が内蔵され、マグネット27には、例えば円板状のヨーク34が取り付けられている。このマグネット27、ヨーク26及び34により磁気回路が構成される。マグネット27とヨーク26との間の空間には、コイル28が巻回されたコイルボビン29が出入りするようになっている。コイルボビン29は振動板33の表面に固定されている。このように構成された駆動装置35に駆動信号発生器5(駆動信号発生装置)から電気信号が供給されることにより、振動板33を矢印Rの方向に振動させることができる。
【0053】
振動板33は、例えば樹脂、紙、または金属でなる。特に、振動板33が紙でなることにより、非常に軽量化される。紙は、樹脂ほど任意な形状に作製しにくいが、軽量化では有利である。振動板33が樹脂の場合、成形により任意の形状に作製しやすい。一方、振動板33が金属の場合、例えば銅、アルミニウム、あるいはステンレス等でなる。あるいはマグネシウムでもよい。マグネシウムは軽量で射出成形が可能であるので有利となる。振動板33は平板状でなくてもよく、例えば立体的な振動体であってもよい。振動板33の平面形状(振動方向Rにほぼ垂直な面の形状)は、円、楕円、矩形、あるいはこれらの組み合わせ等の形状が考えられる。
【0054】
筐体1は、例えば、樹脂、ゴム、または金属でなる。樹脂やゴムは成形で作製しやすく量産向きである。また、筐体1が樹脂やゴムの場合、振動アクチュエータ15の駆動により発生する音、あるいは振動板33が振動することにより発生する空気の気流音等を抑制することができる。つまり、筐体1が樹脂やゴムの場合、それらの音の減衰率も高くなり、騒音を抑制することができる。さらに、軽量化に対応でき、低コストとなる。樹脂等の射出成形で筐体1が作製される場合は、ノズル体2と一体で成形することが可能である。しかし、図1及び図2に示すように、筐体1とノズル体2とは別体の方が、噴流発生装置10の作製が容易になる。筐体1が熱伝導性の高い材料、例えば金属でなる場合、駆動装置35から発せられる熱を筐体1に逃がして筐体1の外部に放熱することができる。金属としては、アルミニウムや銅が挙げられる。熱伝導性を考慮する場合、金属に限らず、カーボンであってもよい。金属としては、射出成形が可能なマグネシウム等も用いることができる。駆動装置35の磁気回路からの漏れ磁界が機器の他のデバイスに影響する場合は、漏れ磁界を無くす工夫が必要である。その一つが、筐体1を磁性材料、例えば鉄等にすることである。これにより、漏れ磁界はかなりのレベルで低減される。さらに、高温での使用や、特殊用途ではセラミックスの筐体であってもよい。
【0055】
弾性支持部材36は、例えばゴムや樹脂等でなる。弾性支持部材36の形状は、振動板33の形状(外形)による。図2のように弾性支持部材36の断面形状は、1つの山部及び1つの谷部を有するものが用いられる。以下、これを2ロールタイプの弾性支持部材という。1つの谷部のみ、または1つの山部のみからなる弾性支持部材の場合、図2中の上下方向の高さが高くなり、厚さが増えてしまう。山部及び谷部がそれぞれ複数ある場合、振動板33が振動するときに振動方向R以外の複雑な動きが発生するおそれがあり、効率が落ちる可能性がある。また、それによって騒音が大きくなるおそれもある。したがって、2ロールタイプの弾性支持部材が用いられることの望ましい。しかしながら、必ずしも2ロールタイプが用いられなければならないわけではない。
【0056】
以上のように構成された噴流発生装置10の動作について説明する。
【0057】
駆動装置35に例えばサイン波の交流電圧が印加されると、振動板33は正弦波振動を行う。これにより、チャンバ3及び4内の容積が増減する。チャンバ3及び4の容積変化に伴い、それらチャンバ3及び4の圧力が交互に増減し、これに伴い、それぞれ流路2a及び2bを介して交互に脈流として吐出される。流路2a及び2bから空気が吐出されるときに筐体1やノズル体2の周囲の気圧が低下することにより、当該周囲の空気が流路2a及び2bから吐出される空気に巻き込まれ、合成噴流が発生する。この合成噴流が、図示しない発熱体や高熱部に吹き付けられることにより、当該発熱体を冷却することができる。なお、発熱体としては、例えばIC、コイル、抵抗等の電子部品、あるいは放熱フィン(ヒートシンク)等が挙げられるが、これらに限られず発熱するものなら何でもよい。
【0058】
一方、流路2a及び2bから空気が吐出されるときに、各流路2a及び2bから独立して、特に気流音による騒音が発生する。しかしながら、各流路2a及び2bで発生する各音波は逆位相の音波であるため互いに弱められる。これにより、ある程度騒音が抑制され、静音化を図ることができる。
【0059】
図3(A)は、駆動装置35を駆動するための駆動信号の波形と、その駆動信号によって振動する振動板33の理想的な振幅波形を示すグラフである。このグラフに示すように、駆動装置35を駆動するための駆動信号の波形(以下、単に駆動波形という場合もある。)が例えばサイン波である場合に、振動板33の振幅波形(以下、単に振幅波形という場合もある。)も正確なサイン波になることが理想である。
【0060】
しかしながら、実際には、振幅波形は、例えば図3(B)に示すように、振幅中心が、振動板33の初期位置(振動板33が静止しているときの位置であり、以下、これを「原点位置」という。)からずれて歪む場合が多い。また、図3(B)に示す例では、波形にも歪が発生している。このように歪みが発生する原因として、駆動装置35や弾性支持部材36の形状等が非対称であることが挙げられる。あるいは、例えば駆動装置35が、チャンバ3側に配置される場合と、チャンバ4側に配置される場合とで、重力の影響の違いにより、駆動装置35の動き方にも違いが生じることも原因の1つとして挙げられる。
【0061】
例えば、図4(A)に示すように、振動板33の振幅中心と原点位置とがずれている場合、振幅波形22が、図4(B)に示すようにサイン波23となるように駆動波形(基本周波数の信号(以下、基本波信号という。))20が補正される。具体的には、図4(A)の例では、振幅波形22の一方(上方向)の振幅が他方(下方向)の振幅より大きくなっているので、図4(B)の駆動波形21のように、一方(上方向)の振幅が他方(下方向)の振幅より小さくなるように補正される。つまり、補正された補正波信号21は、基本波信号20が下方向へ所定のレベルだけレベルシフトした信号である。これにより、振動板33の原点位置と、振幅中心位置が同じになり、振幅を原点位置に対して対称にすることができる。その結果、流路2aにおける風速と、流路2bにおける風速とがほぼ等しくなるので、両流路2a及び2bからの騒音レベルがほぼ等しくなり、騒音が低減する。
【0062】
あるいは、例えば図5(A)に示すように、振幅波形42に歪みが発生している場合、図5(B)に示すように、その振幅波形がサイン波23となるように、駆動波形に歪みを持たせるような補正波信号41が生成されてもよい。これにより、振幅波形42の歪みを打ち消すことができ、特に高調波による雑音を低減することができる。
【0063】
図3(B)に示すように、振幅中心及び波形の歪みが両方発生している場合、図4(B)及び図5(B)を合わせたような駆動波形が生成されればよい。
【0064】
図6及び図7は、補正された駆動信号を発生するための処理回路(補正波信号発生器)の構成を示すブロック図である。なお、これらの処理回路が上記した駆動信号発生器5に相当する。
【0065】
図6に示すアナログ処理回路16は、基本波信号を発生する基本波信号発生回路11、その基本波信号を補正する波形補正回路12及び補正された信号電流を増幅する電流増幅回路13を有する。電流増幅された駆動信号は振動アクチュエータ15に出力される。基本波としては、上記サイン波に限らず、三角波、矩形波等でもよい。なお、ここでは基本波が三角波や矩形波等にしてもよいことを述べているだけであって、図14以降で説明するように補正波信号として三角波等を発生する、という趣旨ではない。波形補正回路12は、例えばアナログフィルタ、振幅ゲイン、オフセット調整回路等で構成されるが、これらに限られるわけではない。
【0066】
図7に示すデジタル処理回路17は、予め補正された信号を発生する補正波信号発生回路14及び電流増幅回路13を有する。電流増幅された振動アクチュエータ15に出力される。補正波信号発生回路14は、例えば、予め補正された駆動波形信号のデータビット列を記憶したROM(Read Only Memory)等のメモリ、D/A(digital/analog)コンバータ等を有していればよい。デジタル処理回路17によれば、追加回路の規模と補正の多様性という点において優れる。
【0067】
なお、図6または図7において、電流増幅回路13に代えて電圧増幅回路でもよい。
【0068】
上記アナログ処理回路16またはデジタル処理回路17は、IC化されたものがより現実的である。特に、これらの処理回路16または17では、信号発生部及び電流増幅部分の2つの機能を有するが、これらを1つのICに集約することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、基本波信号が補正された補正波信号を発生し、この補正波信号により振動板33が駆動されるので、振動板33の振幅波形が適切な形状になり、さらなる低騒音化を実現することができる。
【0070】
図8は、本発明の他の実施の形態に係る、振動板33の振幅波形を示すグラフである。図示されるようにサイン波の振幅波形43に限らず、サイン波と矩形波(または台形波)とが混ざった振幅波形44になるように、駆動信号が生成(基本波信号が補正)されてもよい。この振幅波形44では、正方向及び負方向の極大がサイン波の振幅波形43より小さくされており、例えば振幅波形43の90%程度の極大値とされている。しかし、振幅波形44のその極大に至る加速度は振幅波形43より大きくなっている。例えば、振幅波形44の正負両方向の極大は、直線状にされている。
【0071】
このような振幅波形43によれば、振幅を抑えることができるので、振動板33が振動することによって噴流発生装置10全体に発生する振動を抑えることができる。また、振幅が抑えられても、上記加速度が振幅波形43より大きいので、その分、流路2a及び2bからの空気の風速は、振幅波形43と同等の風速が得られ、放熱効率を下げることはない。また、振幅を小さくできることにより、噴流発生装置10の筐体1の厚さ(振動板33の振動方向での筐体1の厚さ)を薄くすることができる。
【0072】
なお、振幅波形43も、図6または図7に示した処理回路16または17により実現することができる。補正された駆動信号による振幅波形は、様々な形状が考えられ、サイン波、三角波、矩形波及び台形波のうち少なくとも2つが組み合わされた形態が考えられる。
【0073】
図9は、本発明のさらに別の実施形態に係る図であり、図6または図7に示したような処理回路16または17に外部から制御信号を加えることが可能な形態を示す図である。信号発生回路19は、例えば上記のように基本波信号発生回路11、波形補正回路12、補正波信号発生回路14等、補正された補正波信号を発生する回路である。制御信号としては、振幅の制御信号や、周波数の制御信号がある。制御信号は、例えば、噴流発生装置10が搭載される図示しない電子機器により生成することができる。このような構成によれば、電子機器の発熱量に合わせて、最適な熱抵抗性能に制御することができる。
【0074】
図10は、本発明のさらに別の実施形態に係る図であり、噴流発生装置10が複数用いられる例を示す。このシステム50の噴流発生装置10a〜10cは、上述した基本波信号発生回路11、波形補正回路12、補正波信号発生回路14等の信号発生回路19a、19b、19c、セレクタ46a、46b、46c、電流増幅回路13a、13b、13c、振動アクチュエータ15a、15b、15cをそれぞれ備えている。噴流発生装置10b及び10cは、信号発生回路19aから出力された信号47を入力するためのインターフェースをそれぞれ備えている。「インターフェース」とは、例えば接続端子であるが、接続端子のほかソフトウェアも含むような広い概念である。
【0075】
セレクタ46bは、信号発生回路19bからの入力信号と、外部入力信号47とを切り替える。セレクタ46cも同様に、信号発生回路19cからの入力信号と、外部入力信号47とを切り替える。噴流発生装置10aも、噴流発生装置10b、10cと同様な外部入力インターフェースやセレクタ46aが備えられ、これら噴流発生装置10a〜10cは同じ機能を有する噴流発生装置である。噴流発生装置が単体で用いられるときは、セレクタは、その噴流発生装置が備える信号発生回路からの信号を選択する。n個(nは2以上)の噴流発生装置が組み合わされて用いられるときは、(n−1)個のセレクタが外部入力信号を選択する。
【0076】
図10のような構成によれば、噴流発生装置10a、10b及び10cのうちいずれか単体で用いることができるだけなく、これらを組み合わせることにより、1つの信号発生回路で、すべての振動アクチュエータ15aを駆動することが可能となる。また、複数の噴流発生装置が組み合わされることにより、1つの噴流発生装置自体に生じる振動をキャンセルすることができる。さらに、複数の振動アクチュエータ15が位相制御されることにより、騒音を低減できる。
【0077】
なお、図10に示す実施の形態では、信号発生回路19a、19b、19cが、必ずしも基本波信号を補正した補正波信号を発生する回路でなくもよく、単に基本波信号を発生する回路でもよい。図10の実施の形態に係る装置の趣旨は、駆動信号を外部から取り入れるための外部入力インターフェースが各々の噴流発生装置に備えられている点にある。
【0078】
図11は、噴流発生装置のさらに別の実施の形態を示す。噴流発生装置30は、単体の噴流発生装置に、1つの信号発生回路19、信号発生回路19から出力された信号をそれぞれ入力する複数の電流増幅回路13、各電流増幅回路13からの駆動信号により駆動させられる複数の振動アクチュエータ15を備えている。このような構成によれば、複数の振動アクチュエータ15を1つの信号発生回路19で同期して動作させることができる。
【0079】
図12は、上記各図に示した噴流発生装置10等が電子機器としてPC150に搭載された状態を示す斜視図である。噴流発生装置10から供給される合成噴流がヒートシンク146に吹き付けられ、ヒートシンク146の背後に設けられたPC筐体の排気口151から、熱を持つ空気が排出される。
【0080】
なお、図12では電子機器としてラップトップ型のPCを例に挙げたが、デスクトップ型のPCでもよい。PCに限らず、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。
【0081】
図13は、振動板33の振幅と騒音との関係についての測定結果の例を示す図である。この図から分かるように、振幅が0になる時間において騒音が大きい、つまり速度が大きい場合に騒音が大きくなる傾向にあることが分かる。
【0082】
そこで、振動板33の振動パターンをサイン波状ではなく、三角波状とした場合について考える。図14は、振動板33の複数の振幅波形の例を示すグラフである。図14中、細い破線がサイン波、太い実線が三角波、細い実線が当該三角波のピークを例えば4次関数曲線にして鈍らせた波形(振幅のスケールには無関係)、太い破線がその波形40のピーク値を三角波39のピーク値に合わせた波形(以下、この波形を「三角波+4次関数曲線波」)を示す。なお、図14において、縦軸の振幅は、サイン波37の最大及び最小ピーク値を±1に規格化している。
【0083】
図15は、図14に示した各サイン波37、三角波38、三角波+4次関数曲線波39のそれぞれの速度を示すグラフである。それぞれ、符号37a、38a、39aで示している。また、図16は、図14に示した当該各波形37〜39のそれぞれの加速度を示すグラフである。それぞれ符号37b、38b、39bで示している。
【0084】
三角波38の場合、運動の速度成分38aは図15に示す様に、同じ振幅のサイン波よりも、ピーク値が64%と小さくなる。しかし、ピーク時(位相90度や270度)において、速度の変化が大きいことから、速度の微分となる加速度38bは図16に示すように急激に増加させる必要がある。このような運動を実現する振動アクチュエータ15の設計は現実的ではない。そこで、振動板33の運動パターンについて、三角波38のピーク付近を曲線(例えば2次以上の多次関数)で部分的に置き換えることで、加速度の増加を抑制した形態を考える。これが、三角波+4次関数曲線波39である。
【0085】
具体的には、本実施の形態では、三角波38のピーク付近と、ある2次関数曲線との接点を(p1,p2)とする。「ピーク付近」とは、つまり、p1〜p2となる。p1〜p2は、例えば30〜150度であるが、この範囲に限られず、例えば、40〜140度、60〜120度等、適宜設定可能である。
【0086】
ここで、図14に示す三角波38を関数T(p)とし、このT(p)において、位相p1〜p2に相当する区間を、例えば4次関数y(p)に置き換える場合、
y'(p1)=T'(p1)・・・(1)
y'(p2)=T'(p2)・・・(2)
y''(p1)=T''(p1)=0・・・(3)
y''(p2)=T''(p2)=0・・・(4)
y'''(90度)=0・・・(5)
の5つの条件より、4次関数y(p)の表現に必要な項の計算が可能となる。式(1)及び(2)は、速度条件である。式(3)及び(4)は、加速度条件である。三角波38の場合、頂点近傍以外は加速度はゼロであるので、式(3)及び(4)が成り立つ。
【0087】
ただし、単に三角波38のピークを4次関数曲線に置き換えたままでは、図14の波形40のように、振幅ピーク値が元の三角波38よりも小さくなることから、振幅の大きさを調整する必要がある。これは、例えば波形40に適当な係数をかければよい。このようにして生成された三角波+4次関数曲線波39は、振幅成分を示す図14ではサイン波37に比較的似た波形に見えるが、速度成分を示す図15では、その三角波+4次関数曲線波39aの速度ピーク値の大きさはサイン波37aと三角波38aとの間に収まることが分かる。
【0088】
このように、三角波のピーク値を鈍らせた波形である三角波+4次関数曲線波39で振動板33が駆動されることにより、サイン波37で振動板33が駆動される場合に比べ、振幅が同じ場合であっても、振動板33の速度のピーク値を下げることができる。
【0089】
ただし、加速度成分を示す図16では、三角波+4次関数曲線波39bの加速度のピーク値はサイン波37bのピーク値よりも大きくなる。そのため、設計においては、振動アクチュエータ15の性能や振動スペックに対して許容範囲であり、かつ、騒音が小さくなるように、4次関数曲線に置き換える範囲(p1、p2)について最適なパラメータを与える必要がある。
【0090】
一方、噴流発生装置10の筐体1内の構造やチャンバ3及び4が非対称であることや、弾性支持部材36の剛性に非線形性がみられること等から、騒音が最小となる場合において、振動板の速度の最大ピーク値と最小ピーク値とが異なる場合があることが考えられる。そこで、上記三角波38ではなく、図17に示すように、鋸波58を元にした振動板33の運動パターンについて考える。
【0091】
三角波38が振幅ゼロから最大値まで立ち上がる間に位相が0度から90度まで変化するのに対して、この鋸波58における位相の変化は0度から任意のpc度までとなる。つまり、三角波38と鋸波58との違いは、三角波38では信号の立上りと立下りの勾配が同じであり、鋸波58ではそれが異なるところにある。鋸波58では、信号の立上りと立下りの勾配が異なることから、図18の速度成分の例に示すように振動板33の速度ピーク値についても最大ピーク値と最小ピーク値とで値が異なる。また、鋸波58の4次関数曲線を生成するための「ピーク付近」を定める点を、図14の場合と同様に(p1、p2)とすると、この例では、p1−pc間の位相の方が、pc−p2間の位相より長くなっている。
【0092】
また、図14〜図16に示す三角波の場合と同様に、図19に示すように、鋸波の加速度成分58bが、鋸波58のままでは急峻で大きいことから、鋸波58のピーク付近を4次関数曲線に置き換える。この場合、上記の三角波38と同様に、y'(p1)=T'(p1)、y'(p2)=T'(p2)、y''(p1)=T''(p1)=0、y'' (p2)=T''(p2)=0、y'''(pc) =0の5つの条件より、4次関数y(p)の表現に必要な項の計算が可能となる。図17に示すように、このようにして生成された鋸波+4次関数曲線波59(振幅スケール無関係の鋸波+4次関数曲線波は、符号60で示す。)により、振動板33が駆動される。これにより、噴流発生装置10の筐体1内の構造やチャンバ3及び4が非対称であることや、弾性支持部材36の剛性に非線形性がみられること等に起因するノイズ、及び、ピーク速度が増加することによる騒音を低減することができる。
【0093】
ここで、上記三角波+4次関数曲線波39、または、鋸波+4次関数曲線波59は、図6で示した波形補正回路12において、基本波信号(例えばサイン波信号)が補正されて生成されるか、あるいは、図7の補正波信号発生回路14で予め生成されたものが記憶されている等の形態が考えられる。
【0094】
図19は、サイン波37、三角波+4次関数曲線波39、鋸波+4次関数曲線波59でそれぞれ同じ振動板33が駆動された場合の噴流発生装置10の騒音の測定結果を示す表である。これより、サイン波37で駆動される場合よりも、三角波+4次関数曲線波39、さらには鋸波+4次関数曲線波59で駆動された場合の方が、騒音が抑制できることが分かる。図20は、サイン波、三角波+4次関数曲線波、鋸波+4次関数曲線波のそれぞれの騒音スペクトラムに示すグラフである。騒音レベルの、運動パターンによる変化は、図20に示す1kHz〜1.8kHz及び6kHzに位置する騒音ピーク値の変化からも分かる。
【0095】
次に、本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置の制御装置について説明する。
【0096】
図21は、その一例を示す噴流発生装置の振動の制御装置の構成を示すブロック図である。この噴流発生装置の制御装置70は、振動板33及び駆動装置35を有する振動アクチュエータ15、この振動アクチュエータ15の駆動信号を発生する信号発生部53、この信号発生部53から出力された信号の電圧、電流または電力を増幅する増幅部54、振動板33の運動状態を検出する運動状態検出部51、運動状態検出部51からの検出信号に基づき信号発生部53に所定の信号を発生させる制御部52を備える。
【0097】
運動状態検出部51としては、振動板33の変位を検出する非接触式の光センサや磁気センサが挙げられる。しかし、これらに限られず、振動板33に取り付けられて使用される速度センサや加速度センサ等が用いられてもよい。光センサの場合、例えば反射型の光センサが、図2に示す噴流発生装置10のチャンバ3の筐体1の天井面及びチャンバ4内の筐体1の床面にそれぞれ設置されていればよい。これにより、振動板33の上下方向での変位が検出可能となる。
【0098】
信号発生部53は、例えば図6に示す基本波信号発生回路11及び波形補正回路12で構成される。あるいは、信号発生部53は、図7に示す補正波信号発生回路で構成される。
【0099】
この制御装置70では、例えば振動板33の運動状態が、図4(A)の振幅波形22のような波形であることが運動状態検出部51により検出された場合、信号発生部53は、図4(B)に示した補正波形信号21を駆動信号として出力する。この場合、制御部52は、運動状態検出部51で検出されている波形22(図4(A)参照)とリアルタイムで逐次目標値の波形20と比較しながら、その偏差がゼロとなるように、信号発生部53に図4(B)の駆動信号21を生成させるように制御する。あるいは、振動板33の運動状態が、図5(A)の振幅波形42のような波形であることが運動状態検出部51により検出された場合、信号発生部53は、図5(B)に示した補正波形信号41を駆動信号として出力する。この場合、制御部52は、運動状態検出部51で検出されている波形42(図5(A)参照)とリアルタイムで逐次目標値(図5(A)の波形20)と比較しながら、その偏差がゼロとなるように、信号発生部53に図5(B)の駆動信号41を出力させるように制御する。もちろん、この制御装置70では、これら図4(B)及び図5(B)のような形態に限られることはない。
【0100】
以上のようなフィードバック制御により、振動板33の運動状態に応じて任意のパターンの駆動信号を発生して振動板33を駆動させることができる。その結果、複数の噴流発生装置10ごとの製造時における、送風性能、騒音スペック、または振動スペック等のばらつきを抑えることができる。
【0101】
以上のようなフィードバック制御は、特に、図6に示したアナログ処理回路16が用いられることが好ましい。しかし、図7に示したデジタル処理回路17が用いられる場合は、制御部は、何種類かの補正波信号が予め用意され、運動状態検出部51の検出信号に応じて、最も目標波形20に近くなるような補正波信号が選択されるようにデジタル処理回路17を制御する。
【0102】
本実施の形態では、フィードバック制御に限らず、フィードフォワード制御も可能である。例えば、制御部52は、運動状態検出部51の検出信号として図4(A)の波形22や図5(A)の波形42を所定の期間分、一時的に図示しないメモリに記憶し、その記憶した波形を基に信号発生部53で補正波信号を生成させる。このメモリは、制御部52内のメモリでもよいし、制御部52がアクセス可能な外部メモリであってもよい。そして、補正波信号が生成された後は、制御部52は、開ループで補正波信号を駆動信号として出力させればよい。信号発生部53により補正されるタイミングは、種々の形態が考えられる。例えば、そのタイミングは周期的なタイミングであってもよいし、あるいは、噴流発生装置10に電源が投入された直後に1回、または複数回等のタイミングであってもよい。あるいは、その他のタイミングでもよい。
【0103】
図22は、図21に示した形態の変形例である。この制御装置80は、検出部として、温度センサ61及び/または外部信号を検出する検出器62で構成される検出部55等を備える。温度センサ61が用いられる場合、制御部52には、噴流発生装置の周囲の温度、例えば筐体1の周囲の雰囲気の温度や、噴流を当てる対象となる発熱体の温度、または、その他、当該噴流発生装置の周囲の雰囲気や部品等の温度等が、検出信号として入力される。制御部52は、この検出信号に基づき、増幅部54による増幅度を制御して振動板33の振幅を変えたり、信号発生部53により駆動周波数を変えたりする。これにより、噴流発生装置の風量が可変され、最適な温度制御が可能となる。
【0104】
また、外部信号を検出する検出器62としては、例えば制御部52以外に、図示しないホスト制御部がある場合、そのホスト制御部からの信号を受ける受信部等が考えられる。この場合、噴流発生装置がPC等の電子機器に搭載される形態が想定される。また、噴流発生装置が電子機器に搭載される場合、噴流発生装置に、上記運動状態検出部51(図21参照)や温度センサ61が搭載されていなくても、電子機器にこれら運動状態検出部51や温度センサ61が搭載されていれている形態も考えられる。
【0105】
図23は、図21に示した形態と図22に示した形態とを組み合わせた例を示す。つまり、この制御装置90は、上記した振動板33の運動状態を検出する運動状態検出部51と、上記温度及び/または外部信号を検出する検出部55とを備える。このような構成によれば、噴流発生装置の各部品の構成及び噴流発生装置の周囲の環境に応じた最適な振動板の駆動が可能となる。
【0106】
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0107】
例えば、図21等に示した形態では、振動板33の振幅の目標となる波形が図4(A)及び図5(A)のサイン波23として説明した。しかし、この場合の振動板33の振幅の目標となる波形は、図14または図17で示した三角波+4次関数曲線波39、または、鋸波+4次関数曲線波59であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す噴流発生装置の断面図である。
【図3】図3(A)は、駆動装置を駆動するための駆動信号の波形と、その駆動信号によって振動する振動板の理想的な振幅波形を示すグラフである。図3(B)は、振動板の振幅波形に歪みが生じた例を示すグラフである。
【図4】図4(A)は、振動板の振幅波形に歪みが生じた例を示すグラフであり、振幅中心と原点位置とがずれている形態を示す。図4(B)は、図4(A)の駆動波形が補正された場合のグラフである。
【図5】図5(A)は、振動板の振幅波形に歪みが生じた例を示すグラフでる。図5(B)は、図5(A)の駆動波形が補正された場合のグラフである。
【図6】補正された駆動信号を発生するための処理回路を示すブロック図である。
【図7】補正された駆動信号を発生するための他の実施形態に係る処理回路を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る、振動板の振幅波形を示すグラフである。
【図9】図6または図7に示したような処理回路に外部から制御信号を加えることが可能な形態を示すブロック図である。
【図10】噴流発生装置が複数用いられる例を示すブロック図である。
【図11】噴流発生装置のさらに別の実施の形態を示すブロック図である。
【図12】上記各図に示した噴流発生装置が電子機器としてPCに搭載された状態を示す斜視図である。
【図13】振動板の振幅と騒音との関係についての測定結果の例を示す図である。
【図14】振動板の複数の振幅波形の例を示し、特に、三角波の例を示すグラフである。
【図15】図14に示したサイン波、三角波、三角波+4次関数曲線波のそれぞれの速度を示すグラフである。
【図16】図14に示したサイン波、三角波、三角波+4次関数曲線波のそれぞれの加速度を示すグラフである。
【図17】振動板の複数の振幅波形の例を示し、特に、鋸波の例を示すグラフである。
【図18】図17に示したサイン波、鋸波、鋸波+4次関数曲線波のそれぞれの速度を示すグラフである。
【図19】図17に示したサイン波、鋸波、鋸波+4次関数曲線波のそれぞれの加速度を示すグラフである。
【図20】サイン波、三角波+4次関数曲線波、鋸波+4次関数曲線波のそれぞれの騒音スペクトラムに示すグラフである。
【図21】噴流発生装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図22】図21に示した形態の変形例を示すブロック図である。
【図23】図21に示した形態と図22に示した形態とを組み合わせた例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0109】
3、4…チャンバ
10、10a〜10c、30…噴流発生装置、
11…基本波信号発生回路
12…波形補正回路
14…補正波信号発生回路
15…振動アクチュエータ
16…アナログ処理回路
17…デジタル処理回路
19、19a〜19c…信号発生回路
33…振動板
35…駆動装置
38…三角波
39…三角波+4次関数曲線波
46a〜46c…セレクタ
58…鋸波
59…鋸波+4次次関数曲線波
70、80、90…制御装置
146…ヒートシンク
150…PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、
前記基本波信号を発生する基本波信号発生回路と、
前記基本波信号発生回路で発生した前記基本波信号を補正する補正回路と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号を発生する補正波信号発生回路を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、前記基本波信号をレベルシフトした駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、振幅波形歪みが補正された駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、前記振動体の振幅波形がサイン波、三角波、矩形波及び台形波のうち少なくとも2つが組み合わされた振幅波形となるように、前記基本波信号を補正することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号として前記駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項9】
請求項7に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、前記補正波信号として、前記鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載の噴流発生装置であって、
前記補正波信号発生器は、予め補正された補正波信号として前記駆動信号を発生することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項11】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、
前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記補正波信号発生器により前記基本波信号を補正させて前記補正波信号を発生させる制御手段と
をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項12】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、
前記運動状態検出手段による検出信号に基づき予め補正された前記補正波信号を前記補正波信号発生器により発生させる制御手段と
をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項13】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記補正波信号発生器により前記基本波信号を補正させて前記補正波信号を発生させる制御手段と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項14】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、
前記運動状態検出手段による検出信号に基づき予め補正された前記補正波信号を前記補正波信号発生器により発生させる制御手段と
をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項15】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
前記振動体を駆動するために、三角波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項16】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
前記振動体を駆動するために、鋸波のピークを鈍らせるように補正した駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項17】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、
前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項18】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項19】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体と、
当該噴流発生装置の外部からの前記振動体の第1の駆動信号を入力する外部入力インターフェースと
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項20】
請求項19に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の第2の駆動信号を発生する信号発生器と、
前記第1及び第2の駆動信号のうちいずれか一方を選択するセレクタと
をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項21】
発熱体と、
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、
前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して前記発熱体に向けて交互に吐出させる振動体と、
前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項22】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体とを備える噴流発生装置の駆動信号発生装置であって、
前記振動体を駆動する基本波の信号が補正された補正波信号を発生する補正波信号発生器と、
前記補正波信号発生器により発生した補正波信号を増幅する増幅器と
を具備することを特徴とする駆動信号発生装置。
【請求項23】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体とを備える噴流発生装置の制御装置であって、
前記振動体の運動状態を検出する運動状態検出手段と、
前記運動状態検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする制御装置。
【請求項24】
開口をそれぞれ有し、気体が含まれた複数のチャンバと、前記各チャンバに含まれた前記気体に圧力変化を与えることで、前記気体を脈流として前記各開口を介して交互に吐出させる振動体とを備える噴流発生装置の制御装置であって、
当該噴流発生装置の周囲の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による検出信号に基づき、前記振動体を駆動する駆動信号を発生する駆動信号発生器と
を具備することを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図13】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−263102(P2007−263102A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134903(P2006−134903)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】