説明

回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器

【課題】加熱圧接しても円盤部にクラックが生じ難く、かつ各第2回路パターンおよび各軟質側第2接続部を密集配列できる回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板の接続構造12は、軟質回路基板15と、硬質回路基板16とを備え、軟質回路基板15および硬質回路基板16を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより異方性導電性接着剤17で接続されるものである。この回路基板の接続構造12は、ビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32に対応して圧接力を緩和する緩衝部33が設けられている。緩衝部33は、硬質側第2接続部31をビア24の投影輪郭32から外側に外して配置することにより設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより異方性導電性接着剤で接続する回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板の接続構造として、軟質回路基板と、硬質回路基板とを備え、軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接治具で圧接させることにより異方性導電性接着剤で接続するものが知られている。
【0003】
この回路基板の接続構造のなかには、例えば軟質回路基板の軟質基材に両面に貫通するスルーホールを形成し、このスルーホールの内壁にビアを設け、このビアを利用して一方の面の回路パターンと他方の面の接続部とを接続し、この軟質回路基板を硬質回路基板に圧接治具で加熱圧接させることにより異方性導電性接着剤で接続するものがある。
【0004】
詳しくは、スルーホールにハンダを導くことで円筒状のビアを形成し、このビアの一端を回路パターンの円盤状端部(円盤部)に接続するとともに、ビアの他端を接続部の円盤状端部(円盤部)に接続することで、一方の面の回路パターンと他方の面の接続部とをビアで接続する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−31555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧接治具で軟質回路基板および硬質回路基板を加熱圧接すると、軸方向に潰れ難い筒状のビアを残して軟質回路基板の軟質基材のみが厚み方向に圧縮される。
従って、軟質回路基板における回路パターンの円盤部から相対的にビアの端部が突き出され、結果的に回路パターンの円盤部とビアとの間にクラックが生じる虞がある。
このような現象は、接続部の円盤部にも同様に生じる虞がある。
【0007】
また、回路パターンおよび接続部をビアで接続するためには、回路パターンや接続部に円盤部が必要である。円盤部は回路パターンや接続部の幅と比較すると直径が大きいので、複数の回路パターンや複数の接続部を配列方向に沿って密集させて配置できない。
具体的には、各回路パターンおよび各接続部のセンター間寸法は、円盤部の直径寸法を超えていなければ、隣接する円盤部が干渉する。
このため、各回路パターンおよび各接続部のセンター間寸法を小さく抑えることができない。
【0008】
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、加熱圧接しても円盤部にクラックが生じにくい回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、各第2回路パターンおよび各軟質側第2接続部を密集配列できる回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回路基板の接続構造は、軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板と、硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板とを備える回路基板の接続構造であって、前記軟質側第2接続部を複数有し、前記各軟質側第2接続部が互いに幅方向に沿って配列されているとともに、前記各軟質側第2接続部に連結される前記各ビアが前記各軟質側第2接続部の配列方向に対して交差する線に沿って配置されていることを特徴とする。
【0010】
各ビアを各軟質側第2接続部の配列方向に対して交差する線に沿って配置した。よって、各ビアを、いわゆる千鳥状に配置できる。
このように、各ビアを千鳥状に配置することで、隣接する円盤部を干渉させずに、隣接する軟質側第2接続部の中心間距離を小さく抑えることができる。
同様に、各ビアを千鳥状に配置することで、隣接する円盤部を干渉させずに、隣接する第2回路パターンの中心間距離を小さく抑えることができる。
これにより、各第2回路パターンおよび各軟質側第2接続部を密集配列できる。
【0011】
さらに、本発明の軟質回路基板は、軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部と、前記軟質基材の裏面を覆う軟質の被覆層とを有し、硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板に接続可能な軟質回路基板であって、前記被覆層における前記ビアの投影輪郭に対応した位置に孔が設けられていることを特徴とする。
【0012】
被覆層におけるビアの投影輪郭に対応した位置に孔を設けた。よって、軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させた際に、ビアを孔に収容してビアに作用する圧接力を緩和できる。
これにより、異方性導電性接着剤を均等に加圧圧接して軟質回路基板および硬質回路基板を異方性導電性接着剤で良好に接続できる。
【0013】
加えて、ビアを孔に収容してビアに作用する圧接力を緩和することで、第2回路パターンの円盤部や軟質側第2接続部の円盤部に圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部にクラックが生じることを防止できる。
【0014】
また、本発明の硬質回路基板は、軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板に接続するために、硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板であって、前記ビアの投影輪郭に対応して前記硬質側第2接続部に凹部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
ビアの投影輪郭に対応して硬質側第2接続部に凹部を設けた。よって、軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させた際に、ビアを凹部に収容してビアに作用する圧接力を緩和できる。
これにより、異方性導電性接着剤を均等に加圧圧接して軟質回路基板および硬質回路基板を異方性導電性接着剤で良好に接続できる。
【0016】
加えて、ビアを凹部に収容してビアに作用する圧接力を緩和することで、第2回路パターンの円盤部や軟質側第2接続部の円盤部に圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部にクラックが生じることを防止できる。
【0017】
さらに、本発明の回路基板の接続方法は、軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板と、硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板とを接続する回路基板の接続方法であって、あらかじめ前記ビアの貫通方向に沿った延長上に前記ビアの投影輪郭形状に対応した緩衝部を設けておき、異方性導電性接着剤を介して前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対してそれぞれ前記硬質側第1接続部および前記硬質側第2接続部を対面させた状態で、前記軟質回路基板および前記硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより接続するとともに、前記ビアの一部を前記緩衝部に収容させることを特徴とする。
【0018】
軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させた際に、ビアの一部を緩衝部に収容させるようにした。
これにより、異方性導電性接着剤を均等に加圧圧接して軟質回路基板および硬質回路基板を異方性導電性接着剤で良好に接続できる。
【0019】
加えて、ビアの一部を緩衝部に収容させることで、第2回路パターンの円盤部や軟質側第2接続部の円盤部に圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部にクラックが生じることを防止できる。
【0020】
また、本発明の電子機器は、上記の回路基板の接続構造が筐体に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器によれば、加熱圧接の際にビアに作用する圧接力を緩和することで、円盤部にクラックが生じにくいという効果を有する。
さらに、本発明の回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器によれば、各ビアを各軟質側第2接続部の配列方向に対して交差する線に沿って配置して千鳥状に配置することで、各第2回路パターンおよび各軟質側第2接続部を密集配列できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る回路基板の接続構造(第1実施形態)を示す断面図である。
【図2】第1実施形に係る回路基板の接続構造の要部を示す平面図である。
【図3】第1実施形に係る回路基板の接続構造を示す斜視図である。
【図4】第1実施形に係る回路基板の接続構造の作用を説明する図である。
【図5】本発明に係る回路基板の接続構造(第2実施形態)を示す断面図である。
【図6】第2実施形に係る回路基板の接続構造の要部を示す斜視図である。
【図7】第2実施形に係る回路基板の接続構造を示す斜視図である。
【図8】第2実施形に係る回路基板の接続構造の作用を説明する図である。
【図9】本発明に係る回路基板の接続構造(第3実施形態)を示す断面図である。
【図10】第3実施形に係る回路基板の接続構造を示す斜視図である。
【図11】第3実施形に係る回路基板の接続構造に備えた要部の作用を説明する図である。
【図12】第3実施形に係る回路基板の接続構造の作用を説明する図である。
【図13】(A)は第3実施形に係る回路基板の接続構造の変形例を示す斜視図、(B)は第3実施形に係る回路基板の接続構造の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る電子機器10は、回路基板の接続構造12が筐体11に収容されている。
電子機器10として、例えば電子機器などの携帯端末が挙げられるがこれに限定するものではない。
【0024】
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る回路基板の接続構造12は、軟質回路基板15と、硬質回路基板16とを備え、軟質回路基板15および硬質回路基板16を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより異方性導電性接着剤17で接続されるものである。
【0025】
軟質回路基板15は、軟質基材20の表面20Aに設けられた第1回路パターン21と、軟質基材20における表面20A以外の個所(一例として、裏面)20Bに設けられた第2回路パターン22と、軟質基材20の表面20Aに設けられて第1回路パターン21に連結された軟質側第1接続部23と、第1接続部23に隣接するとともに軟質基材20を厚み方向に貫通するビア24を介して第2回路パターン22に連結される軟質側第2接続部25とを有する。
【0026】
この軟質回路基板15は、軟質基材20の裏面20Bに軟質のカバーレイ(被覆層)26が設けられている。このカバーレイ26は、裏面20Bを覆うことでビア24などを保護するための層である。
【0027】
ビア24は、スルーホール20Cの周壁に設けられて筒状に形成されたハンダである。
スルーホール20Cは軟質基材20に形成された貫通孔である。
ビア24は、上部24Aが第2回路パターン22の端部22Aに電気的に接続し、下部24Bが軟質側第2接続部25の端部25Aに電気的に接続されている。
【0028】
第2回路パターン22は、図2、図3に示すように、端部22Aが円盤状(以下、「円盤部22A」という)に形成されている。
円盤部22Aは、外形がビア24の外形より大きく形成する必要があり、図2に示す直径寸法Dが第2回路パターン22の幅寸法Wより大きく形成されている。
【0029】
軟質側第2接続部25は、図2、図3に示すように、端部に円盤部25Aが形成されている。
円盤部25Aは、外形がビア24の外形より大きく形成する必要があり、図2に示す直径寸法Dが第2回路パターン25の幅寸法Wより大きく形成されている。
【0030】
図2に示すように、軟質回路基板15は、軟質側第2接続部25を複数有し、各軟質側第2接続部25が互いに幅方向(矢印A−B方向)に沿って配列されているとともに、各軟質側第2接続部25に連結される各ビア24が各軟質側第2接続部25の配列方向(矢印W方向)に対して交差する交差線(交差する線)27に沿って配置されている。
これにより、各ビア24を、いわゆる千鳥状に配置できる。
【0031】
このように、各ビア24を千鳥状に配置することで、隣接する円盤部25Aを干渉させずに、隣接する軟質側第2接続部25の中心間距離Dを小さく抑えることができる。
同様に、各ビア24を千鳥状に配置することで、隣接する円盤部22Aを干渉させずに、隣接する第2回路パターン22の中心間距離Dを小さく抑えることができる。
これにより、各第2回路パターン22および各軟質側第2接続部25を密集配列できる。
【0032】
図1に示すように、硬質回路基板16は、軟質回路基板15に接続するために、硬質基材28の表面28Aにおいて隣接配置されるとともに、軟質側第1接続部23および軟質側第2接続部25に対して個別に面接続される硬質側第1接続部30および硬質側第2接続部31を有する。
【0033】
回路基板の接続構造12は、ビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32に対応して圧接力を緩和する緩衝部33が設けられている。
この緩衝部33は、硬質側第2接続部31をビア24の投影輪郭32から外側に外して配置することにより設けられている。
具体的には、緩衝部33は、硬質側第2接続部31の端部31Aをビア24の投影輪郭32から外側に外した状態で硬質側第2接続部31を設けることで、ビア24の投影輪郭形状32に対応部位に形成される空間である。
【0034】
この回路基板の接続構造12は、異方性導電性接着剤17を介して軟質側第1接続部23および軟質側第2接続部25に対してそれぞれ硬質側第1接続部30および硬質側第2接続部31を対面させた状態で、軟質回路基板15および硬質回路基板16を、上下に配置した一対の加圧治具35を用いて互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより接続される。
【0035】
つぎに、第1実施形態に係る回路基板の接続構造12を製造する工程を図3〜図4に基づいて説明する。
図3に示すように、あらかじめビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32(図1参照)に対応した部位に空間として緩衝部33を設ける。
この状態で、軟質回路基板20および硬質回路基板16を上下の加圧治具35にセットする。
【0036】
すなわち、図1に示す異方性導電性接着剤17を介して軟質側第1接続部23および軟質側第2接続部25に対してそれぞれ硬質側第1接続部30および硬質側第2接続部31を対面させる。
その後、軟質回路基板20を矢印のように下降させて硬質回路基板16に載せる。これにより、軟質回路基板20および硬質回路基板16間に異方性導電性接着剤17が挟み込まれる。
【0037】
図4に示すように、軟質回路基板20および硬質回路基板16を、一対の加圧治具35を用いて互いに厚み方向に加熱しながら圧接させる。
この際に、一対の加圧治具35により加熱圧接で軟質基材20の厚み寸法が小さくなることが考えられる。これに対して、筒状のビア24は潰れ難い部材である。
【0038】
ここで、ビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32に対応した部位に空間として緩衝部33が設けられている。
よって、軟質基材20の表面20Aから突出したビア24の下部24Bは緩衝部33に収容される。
これにより、軟質回路基板20および硬質回路基板16を一対の加圧治具35で加熱圧接する際に、異方性導電性接着剤17を均等に加圧圧接して軟質回路基板20および硬質回路基板16を異方性導電性接着剤17で良好に接続できる。
【0039】
加えて、ビア24の下部24Bを緩衝部33に収容することで、第2回路パターン22の円盤部22Aや軟質側第2接続部25の円盤部25Aに圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部22A,25Aにクラックが生じることを防止できる。
【0040】
つぎに、第2〜第3実施形態に係る回路基板の接続構造を図5〜図13に基づいて説明する。なお、第2〜第3実施形態において第1実施形態の回路基板の接続構造12の構成部材と同一類似部材ついては同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図5、図6に示す第2実施形態に係る回路基板の接続構造40は、カバーレイ26に緩衝部41を備えたもので、その他の構成は第1実施形態に係る回路基板の接続構造12と同じである。
緩衝部41は、カバーレイ26におけるビア24の投影輪郭形状32に対応した位置に設けられ、直径寸法が投影輪郭形状32より大きな孔(貫通孔)である。
【0042】
つぎに、第2実施形態に係る回路基板の接続構造40を製造する工程を図5、図7〜図8に基づいて説明する。
図5に示すように、あらかじめビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32(図1参照)に対応した部位に緩衝部として貫通孔41を設ける。
この状態で、軟質回路基板20および硬質回路基板16を上下の加圧治具35にセットする。
【0043】
すなわち、図5に示す異方性導電性接着剤17を介して軟質側第1接続部23および軟質側第2接続部25に対してそれぞれ硬質側第1接続部30および硬質側第2接続部31を対面させる。
その後、図7に示すように、軟質回路基板20を矢印のように下降させて硬質回路基板16に載せる。これにより、軟質回路基板20および硬質回路基板16間に異方性導電性接着剤17が挟み込まれる。
【0044】
図8に示すように、軟質回路基板20および硬質回路基板16を、一対の加圧治具35を用いて互いに厚み方向に加熱しながら圧接させる。
この際に、一対の加圧治具35により加熱圧接で軟質基材20の厚み寸法が小さくなることが考えられる。これに対して、筒状のビア24は潰れ難い部材である。
【0045】
ここで、ビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32に対応した部位に貫通孔41が設けられている。
よって、軟質基材20の表面20Aから突出したビア24の上部24Aは貫通孔41に収容される。
これにより、軟質回路基板20および硬質回路基板16を一対の加圧治具35で加熱圧接する際に、異方性導電性接着剤17を均等に加圧圧接して軟質回路基板20および硬質回路基板16を異方性導電性接着剤17で良好に接続できる。
【0046】
加えて、ビア24の上部24Aを貫通孔41に収容することで、第2回路パターン22の円盤部22Aや軟質側第2接続部25の円盤部25Aに圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部22A,25Aにクラックが生じることを防止できる。
【0047】
すなわち、第2実施形態に係る回路基板の接続構造40によれば、第1実施形態に係る回路基板の接続構造12と同様の効果が得られる。
【0048】
(第3実施形態)
図9、図10に示す第3実施形態に係る回路基板の接続構造50は、硬質側第2接続部に緩衝部51として貫通孔を設けたもので、その他の構成は第1実施形態に係る回路基板の接続構造12と同じである。
貫通孔51は、硬質側第2接続部におけるビア24の投影輪郭形状32に対応した位置に設けられ、直径寸法が投影輪郭形状32より大きな孔である。
【0049】
つぎに、第3実施形態に係る回路基板の接続構造50を製造する工程を図10〜図12に基づいて説明する。
なお、図11(A)〜(C)は貫通孔51の役割を容易に理解するために異方性導電性接着剤17を省略した状態で示す。
図10に示すように、あらかじめビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32(図1参照)に対応した部位に緩衝部として貫通孔51を設ける。
この状態で、軟質回路基板20および硬質回路基板16を上下の加圧治具35にセットする。
【0050】
すなわち、図9に示す異方性導電性接着剤17を介して軟質側第1接続部23および軟質側第2接続部25に対してそれぞれ硬質側第1接続部30および硬質側第2接続部31を対面させる。
その後、軟質回路基板20を矢印のように下降させて硬質回路基板16に載せる。これにより、図11(A)の状態から図11(B)の状態になる。
【0051】
図12に示すように、軟質回路基板20および硬質回路基板16を、一対の加圧治具35を用いて互いに厚み方向に加熱しながら圧接させる。
この際に、一対の加圧治具35により加熱圧接で軟質基材20の厚み寸法が小さくなることが考えられる。これに対して、筒状のビア24は潰れ難い部材である。
【0052】
ここで、ビア24の貫通方向に沿った延長上にビア24の投影輪郭形状32に対応した部位に貫通孔51が設けられている。
よって、軟質基材20の表面20Aから突出したビア24の上部24Aは貫通孔51に収容される(図11(C)も参照)。
これにより、軟質回路基板20および硬質回路基板16を一対の加圧治具35で加熱圧接する際に、異方性導電性接着剤17を均等に加圧圧接して軟質回路基板20および硬質回路基板16を異方性導電性接着剤17で良好に接続できる。
【0053】
加えて、ビア24の上部24Aを貫通孔51に収容することで、第2回路パターン22の円盤部22Aや軟質側第2接続部25の円盤部25Aに圧接力を良好にかけることが可能になり、円盤部22A,25Aにクラックが生じることを防止できる。
【0054】
すなわち、第3実施形態に係る回路基板の接続構造50によれば、第1実施形態に係る回路基板の接続構造12と同様の効果が得られる。
【0055】
(変形例)
図13(A),(B)に第3実施形態の変形例を示す。この変形例は、第3実施形態に係る硬質側第2接続部31の貫通孔51に代えて凹部52を設けたもので、その他の構成は第3実施形態に係る回路基板の接続構造50と同じである。
凹部52は、硬質側第2接続部31におけるビア24の投影輪郭形状32に対応した位置に設けられ、直径寸法が投影輪郭形状32より大きな凹みである。
変形例においても、第3実施形態に係る回路基板の接続構造50と同様の効果が得られる。
【0056】
なお、前記実施形態で例示した緩衝部33,41,51,52、ビア24、投影輪郭形状32などの形状や構成は、これに限定するものではなく、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、軟質回路基板および硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより異方性導電性接着剤で接続する回路基板の接続構造、軟質回路基板、硬質回路基板、回路基板の接続方法および電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0058】
10 電子機器
11 筐体
12,40,50 回路基板の接続構造
15 軟質回路基板
16 硬質回路基板
17 異方性導電性接着剤
20 軟質基材
20A 軟質基材の表面
22 第2回路パターン
20B 裏面(表面以外の個所)
21 第1回路パターン
23 軟質側第1接続部
24 ビア
25 軟質側第2接続部
26 カバーレイ(被覆層)
27 交差線(交差する線)
28 硬質基材
28A 硬質基材の表面
30 硬質側第1接続部
31 硬質側第2接続部
32 投影輪郭形状
33,41,51,52 緩衝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、
前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、
前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、
前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板と、
硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板とを備える回路基板の接続構造であって、
前記軟質側第2接続部を複数有し、
前記各軟質側第2接続部が互いに幅方向に沿って配列されているとともに、前記各軟質側第2接続部に連結される前記各ビアが前記各軟質側第2接続部の配列方向に対して交差する線に沿って配置されていることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項2】
軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、
前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、
前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、
前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部と、
前記軟質基材の裏面を覆う軟質の被覆層とを有し、
硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板に接続可能な軟質回路基板であって、
前記被覆層における前記ビアの投影輪郭に対応した位置に孔が設けられていることを特徴とする軟質回路基板。
【請求項3】
軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、
前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、
前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、
前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板に接続するために、
硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板であって、
前記ビアの投影輪郭に対応して前記硬質側第2接続部に凹部が設けられていることを特徴とする硬質回路基板。
【請求項4】
軟質基材の表面に設けられた第1回路パターンと、
前記軟質基材における前記表面以外の個所に設けられた第2回路パターンと、
前記軟質基材の表面に設けられて前記第1回路パターンに連結された軟質側第1接続部と、
前記第1接続部に隣接するとともに前記軟質基材を厚み方向に貫通するビアを介して前記第2回路パターンに連結される軟質側第2接続部とを有する軟質回路基板と、
硬質基材の表面において隣接配置されるとともに、前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対して個別に面接続される硬質側第1接続部および硬質側第2接続部を有する硬質回路基板とを接続する回路基板の接続方法であって、
あらかじめ前記ビアの貫通方向に沿った延長上に前記ビアの投影輪郭形状に対応した緩衝部を設けておき、
異方性導電性接着剤を介して前記軟質側第1接続部および前記軟質側第2接続部に対してそれぞれ前記硬質側第1接続部および前記硬質側第2接続部を対面させた状態で、前記軟質回路基板および前記硬質回路基板を互いに厚み方向に加熱しながら圧接させることにより接続するとともに、前記ビアの一部を前記緩衝部に収容させることを特徴とする回路基板の接続方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一項に記載した回路基板の接続構造または軟質回路基板または硬質回路基板が筐体に収容されていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−244006(P2011−244006A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169545(P2011−169545)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【分割の表示】特願2006−112321(P2006−112321)の分割
【原出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】