説明

回路接続材料及び回路接続構造体

【課題】 ガラス基板のエッジ部における導電粒子の凝集によるショートの発生を防止すると共に、IZO電極を用いた場合でも良好な接続抵抗を得ることができる回路接続材料を提供すること。
【解決手段】 相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、接着剤成分51と、表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子10と、表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子20と、を含有し、第一の導電粒子10と第二の導電粒子20との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3である、回路接続材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路接続材料及び回路接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
相対向する回路を加熱、加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料、例えば、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤に導電粒子を分散させた異方導電性接着フィルムは、主に液晶ディスプレイ(LCD)を駆動させる半導体が搭載されたTCP(Tape Carrier Package)又はCOF(Chip On Flex)とLCDパネル、あるいは、TCP又はCOFとプリント配線板との電気的接続に広く使用されている。
【0003】
また、最近では、半導体をフェイスダウンで直接LCDパネルやプリント配線板に実装する場合でも、従来のワイヤーボンディング法ではなく、薄型化や狭ピッチ接続に有利なフリップチップ実装が採用されており、ここでも異方導電性接着フィルムが回路接続材料として用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
また、近年、LCDモジュールのCOF化やファインピッチ化に伴い、回路接続材料を用いた接続の際に、隣り合う電極間に短絡が発生するという問題を有している。これらの対応策として、接着剤成分中に絶縁粒子を分散させて短絡を防止する技術がある(例えば、特許文献5〜9参照)。
【0005】
また、基板が絶縁性有機物又はガラスからなる配線部材や、表面の少なくとも一部に窒化シリコン、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも一種を備える配線部材などに接着するために、接着剤成分にシリコーン粒子を含有させる技術がある(例えば、特許文献10参照)。また、接着後の熱膨張率差に基づく内部応力を低減させるために、接着剤にゴム粒子を分散させる技術がある(例えば、特許文献11参照)。
【0006】
さらに、回路間の短絡を防止する手段として、絶縁性を有する皮膜で表面を被覆した導電粒子を用いる技術がある(例えば、特許文献12及び13参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−120436号公報
【特許文献2】特開昭60−191228号公報
【特許文献3】特開平01−251787号公報
【特許文献4】特開平07−090237号公報
【特許文献5】特開昭51−020941号公報
【特許文献6】特開平03−029207号公報
【特許文献7】特開平04−174980号公報
【特許文献8】特許第3048197号公報
【特許文献9】特許第3477367号公報
【特許文献10】国際公開第01/014484号パンフレット
【特許文献11】特開2001−323249号公報
【特許文献12】特許第2794009号公報
【特許文献13】特開2001−195921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これら従来の回路接続材料では、基板となるガラスのガラスエッジ部に形成された有機膜の突起により、流動した導電粒子がせき止められて凝集したり、又は、有機膜が形成されていない基板であっても、ガラスエッジ部においてCOFのレジストが接着剤の流動をせき止めることで導電粒子が凝集することで、ショートが発生するという問題を有している。
【0009】
さらに、最近では、ガラス基板の電極として、コストダウンのために従来のITO(Tin doped Indium Oxide)電極に代えてIZO(Zinc doped Indium Oxide)電極を使用するメーカが増えてきている。IZO電極はITO電極と比較して抵抗値が高いため、従来の絶縁性を有する皮膜で表面を被覆した導電粒子を含有する回路接続材料を用いた場合、対向する回路電極間の接続抵抗が高くなるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ガラス基板のエッジ部における導電粒子の凝集によるショートの発生を防止すると共に、IZO電極を用いた場合でも良好な接続抵抗を得ることができる回路接続材料、及び、それを用いて対向配置された第一の回路電極及び第二の回路電極が電気的に接続された回路接続構造体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、接着剤成分と、表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子と、表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子と、を含有し、上記第一の導電粒子と上記第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3である、回路接続材料を提供する。
【0012】
また、本発明は、相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、接着剤成分と、表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子と、表面の少なくとも一部がビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子と、を含有し、上記第一の導電粒子と上記第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3である、回路接続材料を提供する。
【0013】
これらの回路接続材料によれば、ガラス基板のエッジ部における導電粒子の凝集によるショートの発生を防止すると共に、IZO電極を用いた場合でも良好な接続抵抗を得ることができる。かかる効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、上記第一の導電粒子のみでは基板と導電粒子との間の樹脂の排除性に乏しく十分な接触面積が得られなかったのに対し、上記第二の導電粒子の存在により、基板と導電粒子との間の樹脂を排除しやすくなるため十分な接触面積を確保でき、良好な接続抵抗を得ることができるものと考えられる。
【0014】
本発明の回路接続材料において、上記第一の導電粒子と、上記第二の導電粒子との体積比(第一の導電粒子の体積/第二の導電粒子の体積)は、0.4〜3であることが好ましく、0.45〜2.5がより好ましく、0.5〜2.0がさらに好ましい。これにより、基板と導電粒子との十分な接触面積を確保するために必要な第二の導電粒子を含有することができ、より良好な接続抵抗を得ることができる。
【0015】
また、本発明の回路接続材料の上記第二の導電粒子において、上記突起の高さが50〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離が1000nm以下であることが好ましい。これにより、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減することができ、且つ、この接続抵抗の経時的な上昇をより十分に抑制することができる。
【0016】
また、本発明の回路接続材料の上記第一の導電粒子において、被覆率が20〜70%となるように上記絶縁被覆体が設けられていることが好ましい。これにより、隣接する回路電極間の絶縁性を十分に確保しつつ、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減することができる。また、接続抵抗の経時的な上昇をより十分に抑制することができる。
【0017】
また、本発明の回路接続材料において、上記第一の導電粒子は、導電性を有する核粒子と、該核粒子の表面上に設けられた複数の絶縁性粒子を含む上記絶縁被覆体と、を備え、上記絶縁性粒子の平均粒径(D)と上記核粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が1/10以下であることが好ましい。これにより、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減することができ、且つ、この接続抵抗の経時的な上昇をより十分に抑制することができる。
【0018】
また、本発明の回路接続材料において、上記第一の導電粒子は、導電性を有する核粒子と、該核粒子の表面上に設けられた有機高分子化合物を含有する絶縁性層を含む上記絶縁被覆体と、を備え、上記絶縁性層の厚さ(T)と上記核粒子の平均粒径(D)との比(T/D)が1/10以下であることが好ましい。これにより、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減することができ、且つ、この接続抵抗の経時的な上昇をより十分に抑制することができる。
【0019】
さらに、本発明の回路接続材料において、上記第一の導電粒子及び上記第二の導電粒子の平均粒径が、いずれも2〜6μmの範囲内であることが好ましい。これにより、隣接する回路電極間の絶縁性を十分に確保しつつ、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減することができる。
【0020】
本発明はまた、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とを、上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とが対向するように配置し、対向配置した上記第一の回路電極と上記第二の回路電極との間に、上記本発明の回路接続材料を介在させ、加熱加圧することにより、対向配置した上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とを電気的に接続させてなる、回路接続構造体を提供する。
【0021】
かかる回路接続構造体は、上記本発明の回路接続材料を用いて第一の回路部材と第二の回路部材とが接続されているため、隣接する回路電極間のショートの発生が十分に抑制され、且つ、対向する回路電極間の接続抵抗が十分に低減されたものとなる。
【0022】
また、本発明は、上記第一の回路電極及び上記第二の回路電極の少なくとも一方がITO電極である、上記回路接続構造体を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、上記第一の回路電極及び上記第二の回路電極の少なくとも一方がIZO電極である、上記回路接続構造体を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来の回路接続材料に比べ、回路間におけるショートが発生し難く、IZO電極などの高抵抗電極を用いた場合でも良好な接続抵抗が得られ、かつ接続信頼性にも優れる回路接続材料及び回路接続構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一の導電粒子の好適な一形態を示す模式断面図である。
【図2】第一の導電粒子の他の好適な一形態を示す模式断面図である。
【図3】第二の導電粒子の好適な一形態を示す模式断面図である。
【図4】本発明の回路接続材料の一実施形態を示す模式断面図である。
【図5】本発明の回路接続構造体の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図6】ITO電極が形成されたガラス基板のエッジ部に導電粒子の凝集が発生した場合の外観を示す接続体写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明の回路接続材料は、接着剤成分と、第一の導電粒子と、第二の導電粒子と、を含有するものである。なお、本発明において、接着剤成分は、回路接続材料の構成材料のうち、導電粒子以外の全ての材料を含むものである。
【0028】
本発明の回路接続材料は、(a)エポキシ樹脂と、(b)潜在性硬化剤とからなる接着剤を接着剤成分として含有することができる。
【0029】
(a)エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF及び/又はビスフェノールAD等とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックとから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが可能である。
【0030】
これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0031】
(b)潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらの潜在性硬化剤は、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの潜在性硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0032】
また、本発明に用いる回路接続材料は、(c)加熱又は光によって遊離ラジカルを発生する硬化剤と、(d)ラジカル重合性物質とからなる接着剤を接着剤成分として含有することができる。
【0033】
(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤(以下、場合により「遊離ラジカル発生剤」という)としては、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱又は光により分解して遊離ラジカルを発生するものが挙げられる。遊離ラジカル発生剤は、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等に応じて適宜選定されるが、高反応性とポットライフの観点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましい。
【0034】
(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤の配合量は、接着剤成分の固形分全量を基準として0.05〜10質量%程度であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
【0035】
(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤として、具体的には、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。これらの中でも、回路部材の回路電極の腐食を抑える観点から、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類が好ましく、さらに高反応性が得られる観点から、パーオキシエステル類がより好ましい。
【0036】
ジアシルパーオキサイド類としては、例えば、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0037】
パーオキシジカーボネート類としては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0038】
パーオキシエステル類としては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0039】
パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0040】
ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0041】
ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0042】
これらの(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、(c)加熱又は光により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
【0043】
(d)ラジカル重合性物質は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。
【0044】
アクリレート又はメタクリレートとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0045】
本発明では、このようなラジカル重合性物質の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するものが好ましく、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシル]ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いたり、アリルフェノール、アリルフェニルエーテル、安息香酸アリル等のアリル化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0047】
また、本発明では、回路接続材料を硬化する前の回路部材の仮固定を容易にする観点から、25℃での粘度が100000〜1000000mPa・sであるラジカル重合性物質を少なくとも含有することが好ましく、100000〜500000mPa・sの粘度(25℃)を有するラジカル重合性物質を含有することがより好ましい。ラジカル重合性物質の粘度は、市販のE型粘度計を用いて測定できる。
【0048】
(c)ラジカル重合性物質の中でも、ウレタンアクリレート又はウレタンメタアクリレートが接着性の観点から好ましい。また、耐熱性を向上させるために、上述した有機過酸化物との橋かけ後の重合物のTgが、単独で100℃以上となるようなラジカル重合性物質を併用することが好ましい。このようなラジカル重合性物質としては、ジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基及び/又はトリアジン環を有するものを用いることができる。特に、トリシクロデカニル基やトリアジン環を有するラジカル重合性物質が好適に用いられる。
【0049】
また、接着剤成分には、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。
【0050】
さらに、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を、接着剤成分の固形分全量を基準(100質量%)として0.1〜10質量%用いた場合、金属などの無機物表面での接着強度が向上するので好ましく、0.5〜5質量%用いるとより好ましい。
【0051】
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、無水リン酸と2−ヒドロキシル(メタ)アクリレートとの反応物として得られる。具体的には、2−メタクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート、2−アクリロイロキシエチルアッシドフォスフェート等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
本発明の回路接続材料は、表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子と、表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子の少なくとも2種類の導電粒子を含有する。また、回路接続材料が含有する第一の導電粒子と第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)は、0.4〜3である。以下、第一の導電粒子及び第二の導電粒子のそれぞれについて、図面を参照しながら説明する。
【0053】
まず、表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子について説明する。第一の導電粒子は、導電性を有する核粒子と、該核粒子の表面上に設けられた絶縁被覆体とを備えるものであることが好ましい。第一の導電粒子は、被覆率が20〜70%の範囲となるように絶縁被覆体が設けられたものであることが好ましい。ここで、上記被覆率は、下記式(1)で定義される。
【0054】
【数1】



【0055】
第一の導電粒子の上記被覆率は20〜70%であることが好ましいが、20〜60%であることがより好ましい。第一の導電粒子の被覆率が20〜70%であると、十分に低い初期抵抗値を得るのに十分な量の導電粒子を回路接続材料中に含有させることが可能である。これは、導電粒子の含有量の増大に伴い導電粒子の凝集が生じたとしても、それぞれの導電粒子に設けられた絶縁被覆体により、隣接する回路電極同士の電気的接続が十分に防止できるためである。
【0056】
また、全表面が絶縁被覆体で覆われた導電粒子を用いた場合、核粒子と回路電極表面との間に絶縁被覆体が存在し、電気的な経路に絶縁被覆体が介在することになる。これに対し、上記被覆率が20〜70%である第一の導電粒子は、絶縁被覆が部分的であるため、電気的な経路に介在する絶縁被覆体を十分に低減することができる。このため、経路に存在する絶縁被覆体の影響を十分に抑制することができる。したがって、全表面が絶縁被覆体で覆われている導電粒子と比較し、接続部分の初期抵抗値を低くすることができ、且つ、この抵抗値の経時的な上昇をより確実に抑制することができる。
【0057】
第一の導電粒子が備える絶縁被覆体は、核粒子の表面上に設けられた、複数の絶縁性粒子で構成することができる。この場合、絶縁性粒子の平均粒径(D)と、核粒子の平均粒径(D)との比率(D/D)は、1/10以下であることが好ましい。この比率が1/10以下であると、接続部分の低い抵抗値及びこの抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方をより確実に達成することができる。
【0058】
また、第一の導電粒子が備える絶縁被覆体は、核電粒子の表面上に設けられた、有機高分子化合物を含有する絶縁性層で構成することができる。この場合、絶縁性層の厚さ(T)と核粒子の平均粒径(D)との比率(T/D)は、1/10以下であることが好ましい。この比率が1/10以下であると、接続部分の低い抵抗値及びこの抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方をより確実に達成することができる。
【0059】
図1は、第一の導電粒子の好適な一形態を示す模式断面図である。図1に示す第一の導電粒子10Aは、導電性を有する核粒子1及びこの核粒子1の表面上に設けられた複数の絶縁性粒子2Aによって構成されている。
【0060】
核粒子1は、中心部分を構成する基材粒子1a及びこの基材粒子1aの表面上に設けられた導電層1bによって構成されている。
【0061】
基材粒子1aの材質としては、ガラス、セラミックス、有機高分子化合物などが挙げられる。これらの材質のうち、加熱及び/又は加圧によって変形するもの(例えば、有機高分子化合物)が好ましい。基材粒子1aが変形するものであると、導電粒子10Aが回路電極によって押圧された場合、回路電極との接触面積が増加する。また、回路電極の表面の凹凸を吸収することができる。したがって、回路電極間の接続信頼性が向上する。
【0062】
上記のような観点から、基材粒子1aを構成する材質として好適なものは、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体及びこれらを架橋したものである。基材粒子1aは粒子間で同一又は異なる種類の材質であってもよく、同一粒子に1種の材質を単独で又は2種以上の材質を混合して用いてもよい。
【0063】
基材粒子1aの平均粒径は、用途などに応じて適宜設計可能であるが、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましく、2〜5μmであることがさらに好ましい。平均粒径が0.5μm未満の基材粒子を用いて導電粒子を作製すると、粒子の二次凝集が生じ、隣接する回路電極間の絶縁性が不十分となる傾向があり、20μmを超える基材粒子を用いて導電粒子を作製すると、その大きさに起因して隣接する回路電極間の絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0064】
導電層1bは、基材粒子1aの表面を覆うように設けられた導電性を有する材質からなる層である。導電性を十分確保する観点から、導電層1bは、基材粒子1aの全表面を被覆していることが好ましい。
【0065】
導電層1bの材質としては、例えば、金、銀、白金、ニッケル、銅及びこれらの合金、錫を含有するはんだなどの合金、並びにカーボンなどの導電性を有する非金属が挙げられる。基材粒子1aに対し、無電解めっきによる被覆が可能であることから、導電層1bの材質は金属であることが好ましい。また、十分なポットライフを得るためには、金、銀、白金又はこれらの合金がより好ましく、金がさらに好ましい。なお、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
導電層1bの厚さは、これに使用する材質や用途などに応じて適宜設計可能であるが、50〜200nmであることが好ましく、80〜150nmであることがより好ましい。厚さが50nm未満であると、接続部分の十分に低い抵抗値が得られなくなる傾向がある。他方、200nmを超える厚さの導電層1bは、製造効率が低下する傾向がある。
【0067】
導電層1bは、一層又は二層以上で構成することができる。いずれの場合においても、これを用いて作製される回路接続材料の保存性の観点から、核粒子1の表面層は、金、銀、白金、パラジウム又はこれらの合金で構成することが好ましく、金で構成することがより好ましい。導電層1bが、金、銀、白金、パラジウム又はこれらの合金(以下、「金などの金属」という)からなる一層で構成される場合、接続部分の十分に低い抵抗値を得るためには、その厚さは10〜200nmであることが好ましい。
【0068】
他方、導電層1bが二層以上で構成される場合、導電層1bの最外層は金などの金属で構成することが好ましいが、最外層と基材粒子1aと間の層は、例えば、ニッケル、銅、錫又はこれらの合金を含有する金属層で構成してもよい。この場合、導電層1bの最外層を構成する金などの金属からなる金属層の厚さは、接着剤成分の保存性の観点から、30〜200nmであることが好ましい。
【0069】
ニッケル、銅、錫又はこれらの合金は、酸化還元作用で遊離ラジカルを発生することがある。このため、金などの金属からなる最外層の厚さが30nm未満であると、ラジカル重合性を有する接着剤成分と併用した場合、遊離ラジカルの影響を十分に防止することが困難となる傾向がある。
【0070】
導電層1bを基材粒子1a表面上に形成する方法としては、無電解めっき処理や物理的なコーティング処理が挙げられる。導電層1bの形成の容易性の観点から、金属からなる導電層1bを無電解めっき処理によって基材粒子1aの表面上に形成することが好ましい。
【0071】
絶縁性粒子2Aは、シリカ、ガラス、セラミックス、等の絶縁性の素材又は有機高分子化合物によって構成されている。有機高分子化合物としては、熱軟化性を有するものが好ましい。
【0072】
絶縁性粒子の好適な素材は、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、粒度分布の分散度、耐溶剤性及び耐熱性の観点から、スチレン−(メタ)アクリル共重合体が特に好適である。絶縁性粒子2Aの製造方法としては、シード重合法などが挙げられる。
【0073】
絶縁性粒子2Aを構成する有機高分子化合物の軟化点は、回路部材同士の接続時の加熱温度以上であることが好ましい。軟化点が接続時の加熱温度未満であると、接続時に絶縁性粒子2Aが過度に変形することに起因して、良好な電気的接続が得られなくなる傾向がある。
【0074】
絶縁性粒子2Aを構成する有機高分子化合物の架橋度は、5〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましく、8〜13%であることがさらに好ましい。架橋度が上記範囲内である有機高分子化合物は、範囲外の有機高分子化合物と比較し、接続信頼性と絶縁性の両方が優れるという特性を有している。したがって、架橋度が5%未満であると、隣接する電極回路間の絶縁性が不十分となる傾向がある。他方、架橋度が20%を超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。
【0075】
有機高分子化合物の架橋度は、架橋性モノマーと非架橋性モノマーとの組成比によって調整することができる。本発明でいう架橋度は、架橋性モノマーと非架橋性モノマーの組成比(仕込み質量比)による理論計算値を意味する。すなわち、有機高分子化合物を合成するに際して配合する架橋性モノマーの仕込み質量を架橋性及び非架橋性のモノマーの合計仕込み質量比で除して算出される値である。
【0076】
絶縁性粒子2Aを構成する有機高分子化合物のゲル分率は、90%以上であることが好ましく、95%以上がより好ましい。ゲル分率が90%未満であると、導電粒子10Aを接着剤成分中に分散させて回路接続材料を作製した場合、接着剤成分の絶縁抵抗が経時的に低下する傾向がある。
【0077】
ここでいうゲル分率とは、有機高分子化合物の溶剤に対する耐性を示す指標であり、その測定方法を以下に説明する。ゲル分率を測定すべき有機高分子化合物(被測定試料)の質量(質量A)を測定する。被測定試料を容器内に収容し、これに溶剤を入れる。温度23℃において、被測定試料を溶剤に24時間撹拌浸漬する。その後、溶剤を揮発させるなどして除去し、攪拌浸漬後の被測定試料の質量(質量B)を測定する。ゲル分率(%)は、次式により算出される値である。
ゲル分率(%)=(質量B/質量A)×100
【0078】
ゲル分率の測定に使用する溶剤は、トルエンである。なお、回路接続材料の溶液の調製には、一般に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフランが使用される。回路接続材料の溶液の調製には、これらの中から1種を単独で、又は2種以上混合して使用することができる。
【0079】
絶縁性粒子2Aの平均粒径は、用途などに応じて適宜設計可能であるが、50〜500nmであることが好ましく、50〜400nmであることがより好ましく、100〜300nmであることがさらに好ましい。平均粒径が50nm未満であると、隣接する回路間の絶縁性が不十分となる傾向があり、他方、500nmを超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。
【0080】
絶縁性粒子2Aは、上記式(1)で定義される被覆率が20〜70%となるように核粒子1の表面上に形成されることが好ましい。絶縁と導電の効果を一層確実に得る観点から、被覆率は、20〜60%であることが好ましく、25〜60%であることがより好ましく、28〜55%であることがさらに好ましい。被覆率が20%未満であると、隣接する回路電極間の絶縁性が不十分となる傾向があり、他方、70%を超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。なお、核粒子1を被覆している複数の絶縁性粒子2Aは、核粒子1の表面上において、十分分散していることが好ましい。
【0081】
本発明でいう被覆率は、走査型電子顕微鏡(倍率8000倍)による観察によって得られる、下記の測定値に基づくものである。すなわち、被覆率は、核粒子及び絶縁性粒子のそれぞれの平均粒径、並びに1個の核粒子に付着している絶縁性粒子の個数に基づき、算出される値である。任意に選択した粒子50個について上記のようにして測定し、その平均値を算出する。
【0082】
核粒子1の平均粒径は、以下のようにして測定される。すなわち、1個の核粒子を任意に選択し、これを走査型電子顕微鏡で観察してその最大径及び最小径を測定する。この最大径及び最小径の積の平方根をその粒子の粒径とする。任意に選択した核粒子50個について上記のようにして粒径を測定し、その平均値を核粒子1の平均粒径(D)とする。絶縁性粒子2Aの平均粒径についても、これと同様にして任意の絶縁性粒子50個についてその粒径を測定し、その平均値を絶縁性粒子2Aの平均粒径(D)とする。
【0083】
1個の導電粒子が備える絶縁性粒子の個数は、以下のようにして測定される。すなわち、複数の絶縁性粒子2Aで表面の一部が被覆された導電粒子1個を任意に選択する。そして、これを走査型電子顕微鏡で撮像し、観察し得る核粒子表面上に付着している絶縁性粒子の数をカウントする。これにより得られたカウント数を2倍にすることで1個の核粒子に付着している絶縁性粒子の数を算出する。任意に選択した導電粒子50個について上記のようにして絶縁性粒子の数を測定し、その平均値を1個の導電粒子が備える絶縁性粒子の個数とする。
【0084】
核粒子の全表面積は、上記(D)を直径とする球の表面積を意味する。一方、核粒子表面の絶縁被覆体で覆われている部分の面積は、上記(D)を直径とする円の面積の値に1個の導電粒子が備える絶縁性粒子の個数を乗ずることによって得られる値を意味する。
【0085】
絶縁性粒子2Aの平均粒径(D)と核粒子1の平均粒径(D)の比率(D/D)は、1/10以下であることが好ましく、1/15以下であることがより好ましい。なお、この比率(D/D)の下限は、1/20であることが好ましい。D/Dが1/10を超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。他方、1/20未満であると、隣接する回路間の絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0086】
なお、核粒子1の表面上に形成する絶縁被覆体は、絶縁性粒子2Aのように球状のものに制限されない。絶縁被覆体は、絶縁性粒子2Aと同様の材質からなる絶縁性層であってもよい。例えば、図2に示す第一の導電粒子10Bは、核粒子1の表面上に部分的に設けられた絶縁性層2Bを備えている。
【0087】
絶縁性層2Bは、被覆率が20〜70%となるように核粒子1の表面上に形成されることが好ましい。本発明の効果を一層確実に得る観点から、被覆率は、20〜60%であることが好ましく、25〜60%であることがより好ましく、28〜55%であることがさらに好ましい。被覆率が20%未満であると、隣接する回路電極間の絶縁性が不十分となる傾向があり、他方、70%を超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。なお、核粒子1を被覆している絶縁性層2Bの各被覆領域は、核粒子1の表面上において、十分分散していることが好ましい。各被覆領域は、それぞれ孤立していてもよく、連続していてもよい。
【0088】
絶縁性層2Bの厚さ(T)と核粒子1の平均粒径(D)との比率(T/D)は、1/10以下であることが好ましく、1/15以下であることがより好ましい。なお、この比率(T/D)の下限は、1/20であることが好ましい。T/Dが1/10を超えると、接続部分の十分に低い初期抵抗値及び抵抗値の経時的な上昇の抑制の両方を達成することが困難となる傾向がある。他方、1/20未満であると、隣接する回路間の絶縁性が不十分となる傾向がある。
【0089】
絶縁被覆体が絶縁性層2Bにより構成される場合の被覆率は、以下の手順により算出することができる。すなわち、任意に選択した導電粒子50個を走査型電子顕微鏡でそれぞれ撮像し、観察し得る核粒子表面上に付着している絶縁性層の面積の測定値を相加平均することにより得ることができる。
【0090】
また、絶縁性層2Bの厚さ(T)についても、任意に選択した導電粒子50個を走査型電子顕微鏡でそれぞれ撮像し、各導電粒子の表面上の絶縁性層2Bの厚さの測定値を相加平均することにより得ることができる。
【0091】
核粒子1の表面に絶縁被覆体(絶縁性粒子2A又は絶縁性層2B)を形成する方法としては、公知の手法を使用することができ、有機溶媒や分散剤による化学変化を利用した湿式方式及び機械エネルギーによる物理化学的変化を利用した乾式方式が挙げられる。例えば、噴霧法、高速撹拌法、スプレードライヤー法などが挙げられる。
【0092】
本発明の効果を一層確実に得るためには、粒径が十分に均一化されている複数の絶縁性粒子2Aを核粒子1の表面上に設け、これにより絶縁被覆体を構成することが好ましい。また、溶媒や分散剤の完全除去が困難な湿式方式よりも溶媒を使用しない乾式方式を採用することが好ましい。
【0093】
乾式方式で核粒子1の表面上に絶縁被覆体を形成できる装置としては、例えば、メカノミル(商品名、(株)徳寿工作所製)、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所製、商品名:NHSシリーズ)等が挙げられる。このうち、絶縁被覆体を核粒子1の表面上に形成する際に核粒子1の表面を好適な状態に改質することができることから、ハイブリダイザーを用いることが好ましい。この装置によれば粒子レベルでの精密な被覆を行うことができ、粒径が十分に均一化された絶縁性粒子2Aを核粒子1の表面上に形成することができる。
【0094】
絶縁被覆体の形状の制御は、例えば、被覆処理の条件を調整することにより行うことができる。被覆処理の条件は、例えば、温度、回転速度である。また、絶縁性粒子2Aの平均粒径又は絶縁性層2Bの厚さは、被覆処理の条件や当該処理に供する核粒子1と有機高分子化合物(絶縁被覆体の材質)との配合比率を調整することにより行うことができる。
【0095】
被覆処理(乾式方式)の温度は、30〜90℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましい。
【0096】
また、被覆処理(乾式方式)の回転速度は、6000〜20000/分であることが好ましく、10000〜17000/分であることがより好ましい。
【0097】
以上、絶縁被覆処理を施した第一の導電粒子の好適な形態について説明したが、本発明における第一の導電粒子は上記の形態に制限するものではない。本発明における第一の導電粒子は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、基材粒子1a及び導電層1bにより構成される核粒子1を例示したが、核粒子は導電性を有する材質(例えば、導電層1bと同様の材質)により構成されるものであってもよい。また、熱溶融金属からなる粒子を核粒子として使用することもできる。この場合、加熱及び加圧によって核粒子を十分に変形させることができる。
【0098】
また、第一の導電粒子は、絶縁被覆体として絶縁性粒子2A及び絶縁性層2Bの両方が核粒子1の表面上に設けられたものであってもよい。
【0099】
次に、表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子について説明する。
【0100】
図3(a)及び(b)は、第二の導電粒子の好適な一形態を示す模式断面図である。図3(a)に示すように、第二の導電粒子20Aは、有機高分子化合物からなる核体21と、核体21の表面上に形成される金属層22とで構成される。核体21は中核部21aと中核部21aの表面上に形成される突起部21bとで構成され、金属層22はその表面側に、複数の突起部14を有している。
【0101】
核体21の中核部21aを構成する有機高分子化合物としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体が挙げられ、これらを架橋したものを使用しても良い。
【0102】
突起部21bを構成する有機高分子化合物は、中核部21aを構成する有機高分子化合物と同一であっても異なっていてもよい。なお、突起部21bの平均粒径は50〜500nmであることが好ましい。
【0103】
核体21は中核部21aの表面に中核部21aよりも小さな径を有する突起部21bを複数個吸着させることにより形成することができる。
【0104】
金属層22の素材は、Ni又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物である。ビッカース硬度が300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物としては、例えば、Ni、Pd、Rh、並びに、それらの合金及び酸化物が挙げられる。これらの中でも、金属層22の素材としては、汎用性の観点から、Ni又はその合金若しくは酸化物が好ましく、Niがより好ましい。
【0105】
金属層22の素材となる金属、合金又は金属酸化物のビッカース硬度は、300Hv以上であるが、樹脂排除性と変形性の観点から、300〜800Hvであることが好ましく、300〜600Hvであることがより好ましい。
【0106】
金属層22は、例えば、無電解めっき法を用いて核体21の表面に形成することができる。
【0107】
なお、ニッケル合金としては、めっき浴中に配合される添加剤により種々のものがある。よく知られているニッケル合金としては、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等が挙げられる。
【0108】
金属層22の厚さ(めっきの厚さ)は50〜170nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましい。金属層22の厚さをこのような範囲とすることで回路電極間の接続抵抗をより一層良好なものとすることができる。金属層22の厚さが50nm未満ではめっきの欠損等が発生して接続抵抗が大きくなる傾向があり、170nmを超えると導電粒子間で凝結が発生して隣接する回路電極間で短絡が生じる傾向がある。
【0109】
導電粒子20Aの突起部14の高さ(H)は、50〜500nmであることが好ましく、75〜300nmであることがより好ましい。突起部の高さが50nm未満の場合、高温高湿処理後に接続抵抗が高くなる傾向があり、500nmを超える場合には、導電粒子の回路電極との接触面積が小さくなるため接続抵抗が高くなる傾向がある。
【0110】
隣接する突起部14間の距離(S)は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。突起部14間の距離が1000nmを越えると、突起が疎になるため導電粒子と回路電極との接触面積が小さくなり、接続抵抗が高くなる傾向がある。また、隣接する突起部14間の距離(S)は、導電粒子と回路電極との間に接着剤成分が入り込まず、十分に導電粒子と回路電極とを接触させる観点から、50nm以上であること好ましい。なお、導電粒子20Aの突起部14の高さ(H)及び隣接する突起部14の距離(S)は電子顕微鏡により測定することができる。
【0111】
また、第二の導電粒子は、図3(b)に示すように、核体21が中核部21aのみで構成されてもよい。この第二の導電粒子20Bは、核体21の表面を金属めっきし、核体21の表面上に金属層22が形成されることにより得ることができる。但し、突起部14は、金属めっきの際、めっき条件を変更して金属層22の厚さを変化させることで金属層22に形成することができる。なお、めっき条件の変更は、例えば、最初に使用しためっき液に、これよりも濃度の高いめっき液を追加することでめっき液濃度を不均一にすることにより行うことができる。
【0112】
また、第二の導電粒子は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等の絶縁粒子に、Ni又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物を被覆したものであってもよい。第二の導電粒子が絶縁粒子に導電性物質を被覆したものであって、最外層をNi、核となる絶縁粒子をプラスチックとした場合、又は、第二の導電粒子が熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧による変形性を有し、接続時に回路電極との接触面積が増加して信頼性が向上するので好ましい。
【0113】
回路接続材料において、第一及び第二の導電粒子の合計の配合量は、接着剤成分100体積部に対して0.1〜30体積部の範囲で用途により使い分けることが好ましい。第一及び第二の導電粒子による隣接回路の短絡等を一層十分に防止するためには、配合量は0.1〜10体積部とすることがより好ましい。
【0114】
また、第一及び第二の導電粒子の平均粒径はいずれも、接続する回路の電極高さより小さくすると隣接電極間の短絡が減少する等の観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、2〜6μmがさらに好ましい。また、第一の導電粒子の平均粒径が第二の導電粒子の平均粒径よりも小さい方が、対向する回路電極間の接続抵抗をより十分に低減する効果が高まるため、好ましい。また、第一の導電粒子の平均粒径が第二の導電粒子の平均粒径よりも大きい方が、隣接する回路電極間の絶縁性を十分に確保することができるため、好ましい。特に、全表面が絶縁被覆体で覆われたような導電粒子や被覆率が70%超の導電粒子で効果が大きく現れると思われる。また、被覆率が20%〜70%の導電粒子や、絶縁性微粒子が導電性を有する各粒子の表面上に設けられている場合は、絶縁性微粒子の大きさや、被覆率によって傾向が変わると思われるので適宜調整することが好ましい。これらは、例えば、用途により異なる本発明の回路接続材料に求められる特性により選択することができる。
【0115】
また、第一及び第二の導電粒子としては、10%圧縮弾性率(K値)が100〜1000kgf/mmのものより適宜選択して使用することが好ましい。
【0116】
ここで、第二の導電粒子の平均粒径も、以下のようにして測定される。すなわち、1個の導電粒子を任意に選択し、これを走査型電子顕微鏡で観察してその最大径及び最小径を測定する。この最大径及び最小径の積の平方根をその粒子の粒径とする。任意に選択した導電粒子50個について上記のようにして粒径を測定し、その平均値を導電粒子の平均粒径とする。
【0117】
以上、表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物、或いは、ビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子の好適な形態について説明したが、本発明における第二の導電粒子は上記の形態に制限するものではない。
【0118】
本発明における、回路接続材料中の第一及び第二の導電粒子の個数は、回路接続材料を形成する接着剤成分中の樹脂成分を溶解可能な溶剤に溶解し、得られた不溶成分から余分な溶剤分等を除去した後、走査型電子顕微鏡で観察することで確認することができる。
【0119】
樹脂成分を溶解可能な溶剤としては、例えば、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン等があるが、これらの溶剤に制限するものではない。
【0120】
得られた不溶成分中に存在する導電粒子を100個以上観察し、第一の導電粒子と第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)を測定する。本発明の回路接続材料においては、上記個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3であることが必要であり、0.45〜2.5であることがより好ましく、0.5〜2.0であることがさらに好ましい。
【0121】
本発明における、回路接続材料中の導電粒子の体積については、回路接続材料中に含まれる導電粒子の平均粒径と単位面積あたりの導電粒子個数から体積比に換算することができ、第一の導電粒子と第二の導電粒子との体積比(第一の導電粒子の体積/第二の導電粒子の体積)を求めることができる。本発明の回路接続材料においては、上記体積比(第一の導電粒子の体積/第二の導電粒子の体積)が0.4〜3であることが好ましく、0.45〜2.5であることがより好ましく、0.5〜2.0であることがさらに好ましい。
【0122】
なお、導電粒子の体積の定義については、突起部又は絶縁性層が占める導電粒子全体に対する体積の割合は微小なため、本願発明における導電粒子の体積の測定では、絶縁性粒子2A、絶縁性層2B及び突起部14は算出しないこととする。
【0123】
また、本発明の回路接続材料は、第一の導電粒子及び第二の導電粒子以外の他の導電粒子を含有していてもよい。他の導電粒子の含有割合は、第一の導電粒子及び第二の導電粒子の総個数に対し、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが特に好ましい。
【0124】
他の導電粒子としては特に限定されないが、例えば、Au、Ag、Ni、Cu及びはんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、他の導電粒子は、核となる粒子を1層又は2層以上の層で被覆し、その最外層が導電性を有するものであってもよい。この場合、最外層には、Ni、Cuなどの遷移金属や、Au、Ag、白金族金属などの貴金属の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、最外層は、貴金属を主成分とする層であることが好ましい。
【0125】
他の導電粒子は、核としての遷移金属を主成分とする粒子又は核を被覆した遷移金属を主成分とする層の表面を、更に貴金属を主成分とする層で被覆してなるものであってもよい。また、他の導電粒子は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を主成分とする絶縁性粒子を核とし、この核の表面を上記金属又はカーボンを主成分とする層で被覆したものであってもよい。
【0126】
他の導電粒子が、絶縁性粒子である核を導電層で被覆してなるものである場合、プラスチックを主成分とする絶縁性粒子を核とし、この核の表面をNiなどの遷移金属を主成分とする層で被覆し、更にこの層の表面をAuなどの貴金属を主成分とする最外層で被覆したものであると好ましい。
【0127】
また、本発明の回路接続材料は、フィルム状で使用することが取り扱い性に優れることから好ましく、その場合、接着剤成分中にフィルム形成性高分子を含有してもよい。フィルム形成性高分子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などが用いられる。これらの中でも、水酸基等の官能基を有する樹脂が、接着性を向上させることができるのでより好ましい。また、これらの高分子をラジカル重合性の官能基で変性したものも用いることができる。
【0128】
これらフィルム形成性高分子の重量平均分子量は、10000以上が好ましい。また、重量平均分子量が1000000超えると混合性が低下するため、1000000未満であることが好ましい。
【0129】
さらに、本発明の回路接続材料は、接着剤成分中に、ゴム微粒子、充填材、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
【0130】
ゴム微粒子としては、粒子の平均粒径が、配合する第一及び第二の導電粒子の各平均粒径の2倍以下であり、かつ室温(25℃)での貯蔵弾性率が第一及び第二の導電粒子並びに接着剤成分の室温での貯蔵弾性率の1/2以下であるものであればよい。特に、ゴム微粒子の材質がシリコーン、アクリルエマルジョン、SBR、NBR、ポリブタジエンゴムである微粒子は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好適である。3次元架橋したこれらゴム微粒子は、耐溶剤性が優れており、接着剤成分中に容易に分散される。
【0131】
回路接続材料に充填材を含有させる場合、接続信頼性等が向上するため好ましい。充填材は、その最大径が第一及び第二の導電粒子の各平均粒径未満であれば使用できる。充填剤の配合量は、回路接続材料の固形分全量を基準として5〜60体積%の範囲が好ましい。配合量が60体積%を超えると、信頼性向上の効果が飽和する傾向があり、5体積%未満では充填剤添加の効果が十分に得られない傾向がある。
【0132】
カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種以上の基を含有する化合物が、接着性の向上の観点から好ましい。
【0133】
図4は、本発明の回路接続材料の一実施形態であるフィルム状の回路接続材料を示す模式断面図である。フィルム状の回路接続材料50は、少なくとも接着剤成分51、第一の導電粒子10、及び、第二の導電粒子20を含有している。このように、回路接続材料をフィルム状とすることによって、取り扱いを容易にすることができる。
【0134】
また、本発明の回路接続材料は、反応性樹脂を含有する層と潜在性硬化剤を含有する層とに分離したり、遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する層と導電粒子を含有する層に分離したりすることも可能である。このような構成とした場合、高精細化とポットライフ向上との効果が得られる。
【0135】
本発明の回路接続材料は、ICチップと基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤としても有用である。すなわち、第一の回路電極(接続端子)を有する第一の回路部材と、第二の回路電極(接続端子)を有する第二の回路部材とが、第一の回路電極及び第二の回路電極を対向させて配置されており、対向配置された第一の回路電極と第二の回路電極との間に本発明の回路接続材料を介在して加熱加圧することにより、対向配置された第一の回路電極及び第二の回路電極を電気的に接続させて、回路接続構造体を構成することができる。
【0136】
このような回路接続構造体を構成する回路部材としては、例えば、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が挙げられる。これらの回路部材には回路電極が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられており、回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた回路電極の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した回路電極間に本発明の回路接続材料を介在させ、加熱加圧して対向配置した回路電極同士を電気的に接続して回路接続構造体を構成する。
【0137】
回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した回路電極同士は、直接接触により又は異方導電性接着剤(回路接続材料)の導電粒子を介して電気的に接続することができる。
【0138】
本発明の回路接続材料は、接続時に回路接続材料が溶融流動し相対向する回路電極の接続を得た後、硬化して接続を保持するものであり、回路接続材料の流動性は重要な因子である。
【0139】
厚み0.7mm、15mm×15mmのガラス板に、厚み35μm、5mm×5mmの回路接続材料を挟み、170℃、2MPa、10秒の条件で加熱加圧を行った場合、初期の面積(A)と加熱加圧後の面積(B)とを用いて表される流動性(B/A)の値は、1.3〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。この値が1.3未満では流動性が悪く、良好な接続が得られない傾向があり、3.0を超える場合は、気泡が発生しやすく信頼性に劣る傾向がある。
【0140】
本発明の回路接続材料の硬化後の40℃での弾性率は、100〜3000MPaであることが好ましく、500〜2000MPaであることがより好ましい。
【0141】
また、本発明の回路電極の接続方法は、熱又は光による硬化性を有する回路接続材料を、表面が金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属である一方の回路電極上に形成した後、もう一方の回路電極を位置合わせし加熱、加圧して接続することができる。
【0142】
次に、図面を用いて本発明の回路接続構造体の製造方法の好適な一形態を説明する。図5は、本発明の回路接続構造体の製造方法を模式的に示す工程断面図である。図5(a)は回路部材同士を接続する前の回路部材の断面図であり、図5(b)は回路部材同士を接続する際の回路接続構造体の断面図であり、図5(c)は回路部材同士を接続した回路接続構造体の断面図である。
【0143】
まず、図5(a)に示すように、LCDパネル73上に設けられた回路電極72の上に、回路接続材料をフィルム状に成形してなるフィルム状の回路接続材料(異方導電性接着フィルム)50を載置する。
【0144】
次に、図5(b)に示すように、位置あわせをしながら回路電極76が設けられた回路基板75を回路電極72と回路電極76とが互いに対向するようにフィルム状の回路接続材料50の上に載置して、フィルム状の回路接続材料50を回路電極72と回路電極76との間に介在させる。なお、回路電極72及び76は奥行き方向に複数の電極が並んだ構造を有する(図示しない)。また、回路電極76が設けられた回路基板75としては、COF等が挙げられる。
【0145】
フィルム状の回路接続材料50はフィルム状であるため取扱いが容易である。このため、このフィルム状の回路接続材料50を回路電極72と回路電極76との間に容易に介在させることができ、LCDパネル73と回路基板75との接続作業を容易にすることができる。
【0146】
次に、加熱しながらLCDパネル73と回路基板75とを介して、フィルム状の回路接続材料50を図5(b)の矢印Aの方向に加圧して硬化処理を行う。これによって図5(c)に示すように、回路接続材料50の硬化物からなる回路接続部60により回路部材同士が接続された回路接続構造体70が得られる。硬化処理の方法は、使用する接着剤成分に応じて、加熱及び光照射の一方又は双方を採用することができる。フィルム状の回路接続材料50を加圧して硬化処理を行うことにより、回路接続材料50が流動、硬化し、回路電極72と回路電極76とを電気的に接続し、且つ、機械的に固定する。
【実施例】
【0147】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0148】
(実施例1)
[ウレタンアクリレートの合成]
重量平均分子量800のポリカプロラクトンジオール400質量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート131質量部、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.5質量部、及び、重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテル1.0質量部を、攪拌しながら50℃に加熱して混合した。
【0149】
次いで、イソホロンジイソシアネート222質量部を滴下し、さらに攪拌しながら80℃に昇温してウレタン化反応を進行させた。イソシアネート基の反応率が99%以上になったことを確認後、温度を下げて、ラジカル重合性物質としてのウレタンアクリレートを得た。
【0150】
[ポリエステルウレタン樹脂の調製]
ジカルボン酸としてのテレフタル酸、ジオールとしてのプロピレングリコール、イソシアネートとしての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、テレフタル酸/プロピレングリコール/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのモル比が1.0/1.3/0.25となるような量で用い、ポリエステルウレタン樹脂を以下の手順で調製した。
【0151】
ジカルボン酸とジオールとの反応により得られたポリエステルポリオールをメチルエチルケトンに溶解した溶液を、撹拌機、温度計、コンデンサーおよび真空発生装置と窒素ガス導入管を具備したヒーター付きステンレススチール製オートクレーブに投入した。次いで、イソシアネートを所定量投入し、触媒としてジブチル錫ラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.02質量部となる量投入し、75℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却した。さらに、ピペラジンを加えて30分反応させることにより鎖延長した後、トリエチルアミンで中和させた。
【0152】
上記反応後の溶液を純水に滴下すると、溶剤及び触媒が水に溶解するとともに、エステルウレタン化合物としてのポリエステルウレタン樹脂が析出した。析出したポリエステルウレタン樹脂を真空乾燥機で乾燥し、ポリエステルウレタン樹脂を得た。
【0153】
得られたポリエステルウレタン樹脂の重量分子量をゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したところ、30000であった。
【0154】
上記ポリエステルウレタン樹脂をメチルエチルケトンに20質量%となるように溶解した。上記ポリエステルウレタン樹脂のメチルエチルケトン溶液を、厚み80μmの片面を表面処理したPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分間の熱風乾燥を行うことにより、厚みが35μmの樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムについて、広域動的粘弾性測定装置を用い、引っ張り荷重5gf、周波数10Hzの条件で弾性率の温度依存性を測定した。得られた弾性率−温度曲線において、ガラス転移領域の前後それぞれにおけるベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移領域の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(中間点ガラス転移温度)をポリエステルウレタン樹脂のガラス転移温度として求めたところ、105℃であった。
【0155】
[第一の導電粒子aの作製]
核となるポリスチレンからなる粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径4μmの導電粒子を準備した。一方、スチレン−(メタ)アクリル共重合体からなる絶縁性粒子を準備した。ハイブリダイザーを用いて、上記導電粒子の表面を上記絶縁性粒子で被覆し、第一の導電粒子aを準備した。この第一の導電粒子aのD/Dは1/12であり、被覆率は50%であった。
【0156】
[第二の導電粒子aの作製]
核となるポリスチレンからなる粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側にNi突起を設けた、平均粒径4μmの第二の導電粒子aを準備した。この第二の導電粒子aのNiのビッカース硬度は350Hv、突起の高さは120nm、突起間距離は420nmであった。
【0157】
[回路接続材料の作製]
ラジカル重合性物質としての上記ウレタンアクリレート30質量部及びイソシアヌレート型アクリレート(製品名:M−325、東亞合成社製)20質量部、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(製品名:P−2M、共栄社化学社製)1質量部、遊離ラジカル発生剤としてのベンゾイルパーオキサイド(製品名:ナイパーBMT−K40、日本油脂社製)3質量部、並びに、上記ポリエステルウレタン樹脂の20質量%メチルエチルケトン溶液60質量部(固形分:12質量部)を混合し、攪拌して接着剤成分とした。
【0158】
上記第一の導電粒子a及び上記第二の導電粒子aを、接着剤成分に配合分散させ、塗工用の分散液を得た。第一の導電粒子a及び第二の導電粒子aの配合量は、塗工用の分散液の固形分全量を基準として、いずれも1.5体積%となる量とした。
【0159】
得られた分散液を、厚み50μmの片面を表面処理したPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分間の熱風乾燥を行うことにより、厚みが16μmの接着剤層(異方導電性接着剤層)(幅15cm、長さ70m)を形成した。得られた接着剤層とPETフィルムとの積層体を1.5mm幅に裁断し、内径40mm及び外径48mmのプラスチック製リールの側面(1.7mm幅)に接着フィルム面を内側にして50m巻きつけ、テープ状の回路接続材料を得た。
【0160】
(実施例2〜3)
第一の導電粒子a及び第二の導電粒子aの配合量を、表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3のテープ状の回路接続材料を得た。
【0161】
(実施例4〜6)
[第一の導電粒子bの作製]
核となるポリスチレンからなる粒子の表面に、厚み0.09μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.03μmの金層を設けた平均粒径3μmの導電粒子を準備した。一方、スチレン−(メタ)アクリル共重合体からなる絶縁性粒子を準備した。ハイブリダイザーを用いて、上記導電粒子の表面を上記絶縁性粒子で被覆し、第一の導電粒子bを準備した。この第一の導電粒子bのD/Dは1/15であり、被覆率は55%であった。
【0162】
[第二の導電粒子bの作製]
核となるポリスチレンからなる粒子の表面に、厚み0.1μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側にNi突起を設けた、平均粒径3μmの第二の導電粒子bを準備した。この第二の導電粒子bのNiのビッカース硬度は350Hv、突起の高さは100nm、突起間距離は200nmであった。
【0163】
[回路接続材料の作製]
第一の導電粒子a及び第二の導電粒子aに代えて、第一の導電粒子b及び第二の導電粒子bを用い、それらの配合量を表1に示す量とした以外は実施例1と同様にして、実施例4〜6のテープ状の回路接続材料を得た。
【0164】
(比較例1〜7)
[Au被覆導電粒子の作製]
核となるポリスチレンからなる粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に厚み0.04μmの金層を設けた、平均粒径4μmのAu被覆導電粒子を準備した。このAu被覆導電粒子のAuのビッカース硬度は150Hvであった。
【0165】
[回路接続材料の作製]
表2に示す導電粒子を同表に示す配合量で用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1〜7のテープ状の回路接続材料を得た。
【0166】
なお、表1及び2中、個数比は、第一の導電粒子と第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)を意味する。また、第二の導電粒子に代えてAu被覆導電粒子を用いた場合、個数比は、第一の導電粒子とAu被覆導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/Au被覆導電粒子の個数)を意味する。
【0167】
【表1】



【0168】
【表2】



【0169】
(回路接続構造体の作製)
回路部材として、厚み0.7mmのITOコートガラス基板(15〜20Ω/□、全面電極)、及び、厚み0.7mmのCr/IZO[Al(2000Å)+Cr(500Å)+IZO(1000Å)、全面電極]コートガラス基板の2種類の回路部材を用意した。
【0170】
ITOコートガラス基板、及び、Cr/IZOコートガラス基板のそれぞれに対し、上記実施例及び比較例で得られた回路接続材料(幅1.5mm及び長さ3cm)を、接着剤層側を基板に向けて、70℃、1MPaで2秒間加熱加圧して積層し、PETフィルムを剥離して接着剤層を基板に転写した。
【0171】
次いで、ライン幅25μm、ピッチ50μm、厚み8μmのすずめっき銅回路600本がポリイミドフィルム上に形成されたフレキシブル回路板(FPC)を、転写した接着剤層上に回路側を接着剤層に向けて置き、24℃、0.5MPaで1秒間加圧して仮固定した。
【0172】
このFPCが接着剤層によって仮固定されたガラス基板を本圧着装置に設置し、厚み200μmのシリコーンゴムをクッション材として、FPC側から、ヒートツールによって170℃、3MPaで6秒間加熱加圧することにより幅1.5mmにわたり接続した。これにより、回路接続構造体を得た。
【0173】
(接続抵抗の測定)
得られた回路接続構造体について、FPCの回路電極と、該回路電極に対向するITOコートガラス基板又はCr/IZOコートガラス基板の回路電極との間の接続抵抗を、マルチメータ(装置名:TR6845、アドバンテスト社製)により測定した。接続抵抗は、対向する回路電極間の抵抗値40点を測定し、それらの平均値として求めた。得られた結果を表3〜4に示す。
【0174】
(絶縁性の測定)
厚み38μmのポリイミドフィルムと、ライン幅50μm、スペース幅50μm、厚み1000ÅのITO電極が50μmピッチで形成されたガラス基板とを、上記実施例及び比較例で得られた回路接続材料(幅1.5mm及び長さ3cm)を介して圧着した。このとき、ガラスエッジ部に導電粒子の凝集が発生した。図6は、ITO電極が形成されたガラス基板のエッジ部に導電粒子の凝集が発生した場合の外観を示す接続体写真である。図6は、接続体をガラス基板側から撮影した写真であり、ITO電極15が形成されたガラス基板のエッジ部17に導電粒子の凝集16が生じているのが確認できる。なお、図中の18は、基板外への樹脂フロー部である。そして、図6に示すように、ガラス基板のエッジ部17に導電粒子の凝集16が生じた場合、絶縁性の低い回路接続材料では隣接するITO電極15間で短絡が生じて接続抵抗が得られることになる。
【0175】
その後、隣接するITO電極間の抵抗値をマルチメータ(装置名:TR6845、アドバンテスト社製)により測定した。抵抗値は、隣接するITO電極間の抵抗値20点を測定し、1×1010Ω以下の接続抵抗が得られた点(ショートが発生した電極)の数を記録し、それにより絶縁性を評価した。得られた結果を表3〜4に示す。
【0176】
【表3】



【0177】
【表4】



【産業上の利用可能性】
【0178】
以上説明した通り、本発明によれば、従来の回路接続材料に比べ、回路間におけるショートが発生し難く、IZO電極などの高抵抗電極を用いた場合でも良好な接続抵抗が得られ、かつ接続信頼性にも優れる回路接続材料及び回路接続構造体を提供することができる。
【符号の説明】
【0179】
1…核粒子、1a…基材粒子、1b…導電層、2A…絶縁性粒子、2B…絶縁性層、10,10A,10B…第一の導電粒子、14…突起部、20,20A,20B…第二の導電粒子、21…核体、21a…中核部、21b…突起部、22…金属層、50…フィルム状の回路接続材料、51…接着剤成分、60…回路接続部、70…回路接続構造体、72,76…回路電極、73…LCDパネル、74…液晶表示部、75…回路基板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、
接着剤成分と、
表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子と、
表面の少なくとも一部がNi又はその合金若しくは酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子と、を含有し、
前記第一の導電粒子と前記第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3である、回路接続材料。
【請求項2】
相対峙する回路電極間に介在され、相対向する回路電極を加圧し加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続材料であって、
接着剤成分と、
表面の少なくとも一部が絶縁被覆体で被覆された第一の導電粒子と、
表面の少なくとも一部がビッカース硬度300Hv以上の金属、合金又は金属酸化物で被覆され、且つ、突起を有する第二の導電粒子と、を含有し、
前記第一の導電粒子と前記第二の導電粒子との個数比(第一の導電粒子の個数/第二の導電粒子の個数)が0.4〜3である、回路接続材料。
【請求項3】
前記第一の導電粒子と前記第二の導電粒子との体積比(第一の導電粒子の体積/第二の導電粒子の体積)が0.4〜3である、請求項1又は2記載の回路接続材料。
【請求項4】
前記第二の導電粒子において、前記突起の高さが50〜500nmであり、隣接する前記突起間の距離が1000nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続材料。
【請求項5】
前記第一の導電粒子において、被覆率が20〜70%となるように前記絶縁被覆体が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続材料。
【請求項6】
前記第一の導電粒子は、導電性を有する核粒子と、該核粒子の表面上に設けられた複数の絶縁性粒子を含む前記絶縁被覆体と、を備え、
前記絶縁性粒子の平均粒径(D)と前記核粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が1/10以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続材料。
【請求項7】
前記第一の導電粒子は、導電性を有する核粒子と、該核粒子の表面上に設けられた有機高分子化合物を含有する絶縁性層を含む前記絶縁被覆体と、を備え、
前記絶縁性層の厚さ(T)と前記核粒子の平均粒径(D)との比(T/D)が1/10以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路接続材料。
【請求項8】
前記第一の導電粒子及び前記第二の導電粒子の平均粒径が、いずれも2〜6μmの範囲内である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料。
【請求項9】
第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とを、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが対向するように配置し、対向配置した前記第一の回路電極と前記第二の回路電極との間に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路接続材料を介在させ、加熱加圧することにより、対向配置した前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とを電気的に接続させてなる、回路接続構造体。
【請求項10】
前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極の少なくとも一方がITO電極である、請求項9記載の回路接続構造体。
【請求項11】
前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極の少なくとも一方がIZO電極である、請求項9記載の回路接続構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−34045(P2010−34045A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155513(P2009−155513)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】