説明

回路接続用異方導電性接着フィルム

【課題】微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、長期信頼性を与える接続が可能な、保存安定性の高い回路接続用異方導電性接着フィルムの提供すること。
【解決手段】ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子と絶縁性バインダー樹脂からなる回路接続用異方導電性接着フィルムの提供により長期信頼性、高い保存安定性を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、長期信頼性を与える接続が可能な、保存安定性の高い回路接続用異方導電性接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
回路接続用異方導電性接着フィルムは、絶縁性バインダー樹脂に導電粒子を分散させたフィルムであり、液晶ディスプレイと半導体チップやTCPとの接続又はFPCとTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続を簡便に行うために使用される接続部材で、例えば、ノート型パソコンや携帯電話の液晶ディスプレイと制御ICとの接続用として広範に用いられ、最近では、半導体チップを直接プリント基板やフレキシブル配線板に搭載するフリップチップ実装にも用いられている(非特許文献1)。
【0003】
この分野では近年、接続される配線パターンや電極パターンの寸法が益々微細化されている。微細化された配線や電極の幅は10数μmレベルまで微細化される場合も多くなってきている一方で、これまで用いられてきた導電粒子の平均粒子径は、配線や電極の線幅と同レベルの数μmから10μmレベルの粒子であった。そうすると、接続される電極パターンの寸法が小さくなると、導電粒子がランダムに分散配置されている回路接続用異方導電性接着フィルムでは、導電粒子の分布に偏差が生じているため、接続すべき電極パターンが導電粒子の存在しない位置に配置されてしまい、電気的に接続されない場合が、確率論として避けられない。
【0004】
この問題点を解決するためには、より小さな導電粒子を高密度でフィルム内に分散させることが有効であるが、導電粒子の寸法を小さくすると、表面積が急激に大きくなって2次凝集し易くなり、隣接電極間の絶縁を保持できなくなり、逆に、絶縁を保持するために導電粒子の密度を下げると、今度は、接続されない電極パターンが発生してしまうため、接続信頼性を保ったまま微細化に対応することは困難とされていた。
さらに、導電粒子を小粒子径化すればするほど、用いる絶縁性バインダー樹脂によっては、絶縁抵抗が低くなったり、接続抵抗が高くなったり、隣接電極間でショートが発生したりといった長期接続信頼性が低下する場合が多くなることが判り、その対策が併せて求められていた。
【0005】
このような課題に対しては従来から電極端子間で固定される導電粒子の弾性構造に着目した検討が行われている。特に、導電粒子の樹脂粒子を構成する樹脂の弾性率等の選択によってこれを解決する検討も公開されている(特許文献1、2、3)。
しかしながら、回路接続用異方導電性接着フィルムによる接続工程は絶縁性バインダー樹脂の流動、導電粒子の流動および電極端子間での捕捉、絶縁性バインダー樹脂の硬化反応といった短時間での連続的かつ複雑な過程を経る。このため、導電粒子を構成する特定の樹脂成分を用いて弾性構造を選択するだけでは、電極サイズが急激に極小化する本分野において要求される高度な信頼性の確保は不十分であった。
【0006】
また、導電粒子の樹脂粒子を構成する樹脂の組成についてはジビニルベンゼン及びエチルビニルベンゼンを使用して架橋分子構造を実現する検討も公開されている(特許文献4)。しかし、ジビニルベンゼン量が多い組成構造については金属メッキ層との密着性が不良となる難点があり十分な検討がなされていない。
さらに特許文献1〜3にはジビニルベンゼン及びスチレンを使用した架橋構造を有する樹脂粒子についての検討が公開されている。
【0007】
ところで、分子構造を比較した場合、スチレンにくらべエチルビニルベンゼンから構成される樹脂はエチル基の立体障害により高分子間の架橋構造中に残留応力を発生しやすい。このため、ジビニルベンゼン及びエチルビニルベンゼンを使用した架橋構造を有する樹脂粒子については、ジビニルベンゼンとスチレンを組み合わせた樹脂粒子に比べて、硬化反応後急激に弾性率の上昇する絶縁性バインダー樹脂と組み合わせた場合には、回路接続用異方導電性接着フィルム全体の硬化時の残留応力が発生し易いと考えられる。そのためか、当該分野ではジビニルベンゼン及びエチルビニルベンゼンを使用した架橋構造を有する樹脂粒子を用いた導電粒子と絶縁性バインダー樹脂との組み合わせについての検討は十分に行われていない。
【0008】
加えて、本分野におけるガラス回路板やシリコンチップとを実装する絶縁性バインダー樹脂においてはシランカップリング剤を配合することが知られている。しかし、特に日本国内のように高温多湿な自然環境下では使用前の回路接続用異方導電性接着フィルムが空気中の水分を吸湿しシランカップリング剤と空気中の水分が反応し、保存安定性が著しく低下することが予想される。そのためか、当該分野ではシランカップリング剤を使用した回路接続用異方導電性接着フィルムについての検討は十分に行われていない。
【0009】
【特許文献1】特開2003−323813号公報
【特許文献2】再公表特許WO2005/002002
【特許文献3】特開2005−166934号公報
【特許文献4】特開昭61−277105号公報
【非特許文献1】菅沼克昭「ここまできた導電性接着剤技術」、2004年1月発行、工業調査会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、微細パターンの電気的接続において、微小面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)が起こりにくく、長期信頼性を与える接続が可能な、保存安定性の高い回路接続用異方導電性接着フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の単量体組成に着目して作成した導電粒子と特定の絶縁性バインダー樹脂組成物を組み合わせることで微細なパターンの回路接続において高度な信頼性を実現することを見出した。
特に、絶縁性バインダー樹脂の組成構造のうち、特定のシランカップリング剤との組み合わせによって著しい信頼性の向上を見出し本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明は、下記の通りである。
1.
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンから重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂及び(4)潜在性硬化剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
2.
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンから重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂、(4)潜在性硬化剤および(5)シランカップリング剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
3.
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂
及び(4)潜在性硬化剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
4.
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂、(4)潜在性硬化剤および(5)シランカップリング剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
【0013】
5.
導電粒子(1)が30〜98質量%のジビニルベンゼン、1〜40質量%のエチルビニルベンゼン及び1〜40質量%のその他の単量体(ただし、合計100質量%)から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子である3.又は4.記載の回路接続用異方導電性接着フィルム。
6.
その他の単量体が多官能(メタ)アクリレートである樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子(1)である、3.〜5.のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルム。
7.
1.〜6.のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルムを用いて相互に対向する端子を有する回路基板と回路部材を接続することを特徴とする回路構造体。
8.
相互に対向する端子を有する回路基板と回路部材の間に1.〜6.のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルムを挿入し、150〜250℃の温度加熱を行って接続することを特徴とする回路構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムは、保存安定性が高く、微細面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)を起こしにくく、微細ピッチの接続性に優れると共に、長期信頼性を与える接続を可能にする効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は、厚さ方向に加圧することで導電性を有する回路接続用異方導電性接着フィルムに関する。
本発明は特定の樹脂粒子の表面に金属をメッキして製造される導電粒子を用いることが必須である。特に樹脂粒子を構成する単量体はジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンを用いることが必須である。
【0016】
特に20〜97質量%のジビニルベンゼンと3〜80質量%のエチルビニルベンゼン(但し、合計100質量%)を用いることで初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。導電粒子の樹脂の分子構造が回路接続用異方導電性接着フィルムの性能に大きな影響を及ぼす原理は明らかではない。しかし、以下のような樹脂粒子の架橋構造の特異性から、接続時に対向する電極間に力学的に接続される際に特異な弾性構造を発現し、電極間での粒子捕捉性を向上させたと考えられる。ここでベンゼン骨格上に2つのビニル基を有するジビニルベンゼンと一方のビニル基が飽和型のエチル基で構成されるエチルビニルベンゼンは構造が極めて近似するためラジカル重合において交互共重合性が非常に高く形成されることが予想される。この際、立体障害性の極めて大きいエチル基がジビニルベンゼンの残されたビニル基の反応を抑制し、ジビニルベンゼンとスチレンの単純な共重合物に比べて架橋密度が低くかつ共重合された樹脂の自由体積の大きな樹脂粒子を実現できると考えられる。これによって、絶縁性バインダー樹脂を硬化するのに必要な200℃付近における、導電粒子が力学的に捕捉される際における好適な条件が満たされると考
えられるからである。
【0017】
必要に応じて本発明に用いられるその他の単量体とは共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、エチレン不飽和カルボン酸単量体、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、カルボン酸ビニルエステル単量体、アミノ基含有エチレン性単量体、ハロゲン化ビニル、スルホン酸基含有単量体、リン酸基含有単量体、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル単量体、多官能(メタ)アクリレート、架橋性官能基含有ビニル単量体、架橋性官能基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
その他の単量体が用いられる場合、ジビニルベンゼン/エチルビニルベンゼン/その他の単量体の質量比(但し、合計で100質量%)は、30〜98質量%/1〜40質量%/1〜60質量%であり、好ましくは15〜70質量%/10〜35質量%/20〜60質量%であり、更に好ましくは20〜40質量%/15〜30質量%/30〜50質量%である。
【0018】
共役ジエン単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3ペンタジエン、クロロプレン、2−クロロ−1,3ブタジエン、シクロブタジエンなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。
芳香族ビニル単量体としては、エチルビニルベンゼンの以外の芳香族ビニル単量体が挙げられる。例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン,o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、などを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0019】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチル(メタ)アクリレ−ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、n−アミル(メタ)アクリレ−ト、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、ノニル(メタ)アクリレ−ト、デシル(メタ)アクリレ−ト、ドデシル(メタ)アクリレ−ト、オクタデシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、フェニル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、プロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルエトキシアクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−トなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
エチレン不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
シアン化ビニル単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
(メタ)アクリルアミド単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
−ル(メタ)アクリルアミドやN−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,Nジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−−2−メチルプロパンスルホン酸などをあげることができ、これらを単独又に、は2種以上組み合わせて用いることができる。
カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニルなどを用いることができる。
【0022】
アミノ基含有エチレン性単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレ−トやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト及び2−ビニルピリジンなどをあげることができ、これらを単独又に、は2種以上組み合わせて用いることができる。
ハロゲン化ビニルとしては、例えば塩化ビニルや塩化ビニリデンなどをあげることができ、これらを単独又に、は2種以上組み合わせて用いることができる。
スルホン酸基含有単量体としては、例えばスチレンスルホン酸塩や2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸塩などをあげることができ、これらを単独又に、は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
燐酸基含有単量体としては、例えば燐酸エチレン(メタ)アクリレ−トや燐酸プロピレン(メタ)アクリレ−ト及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ−トなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル単量体としてはジビニルベンゼン以外のラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル単量体が挙げられる。例えば、トリビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン酸、フタル酸ジアリル、ジアリルカルビノール、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0024】
多官能(メタ)アクリレートとしてはポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1−3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,5−ペンタジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、アリル(メタ)アクリレ−ト2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0025】
その他の単量体として1〜40質量%の多官能(メタ)アクリレートを用いた場合、著しく信頼性が向上する。本発明において多官能(メタ)アクリレートを用いた場合に回路接続用異方導電性接着フィルムの性能が向上する理由は明らかではない。しかし、以下の様な理由が考えられる。すなわち樹脂粒子の架橋構造の特異性から、接続時に対抗する電
極間に力学的に接続される際に特異な弾性構造を発現し、電極間での粒子捕捉性を向上させたと考えられる。ここで一般にビニル基、アリル基に比較して(メタ)アクリル基は反応速度が速く、ジビニルベンゼンの残留ビニル基に比べ多官能(メタ)アクリレートの残留(メタ)アクリル基は非常に少なくなり、架橋樹脂の架橋点の大多数は多官能(メタ)アクリレートが中心になっていると考えられる。このため、ジビニルベンゼンが架橋点の中心である単純な二官能型の架橋共重合物に比べて、三官能、四官能の架橋中心の多い耐熱性の高い架橋構造を実現していると考えられる。これによって絶縁性バインダー樹脂を硬化するに必要な200℃付近であっても導電粒子が力学的に破壊されない好適な条件が満たされると考えられるからである。
【0026】
架橋性官能基含有ビニル単量体としては例えば、エポキシ基含有単量体(例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジル(メタ)アクリレート)、メチロール基含有単量体(例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド)、アルコキシメチル基含有単量体(例えばN−メトキシメチルアクリルアミド 、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等)、ヒドロキシル基含有単量体等が挙げられる。
架橋性官能基含有シランカップリング剤としてはビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−2−メトキシエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる導電粒子の樹脂粒子は、水性媒体中で、単量体や連鎖移動剤などを乳化剤、懸濁剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じてその他の添加剤を用いる従来公知の乳化重合方法ないし懸濁重合法によって得られる。
連鎖移動剤としては、例えばα−メチルスチレンダイマ−などの核置換α−メチルスチレンの二量体、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン,n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン及びt−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン、テトラメチルチウラムジスルフィド及びテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド、2−エチルヘキシルチオグリコレ−ト、タ−ピノ−レンなどを単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
乳化剤としては、例えば脂肪族石鹸、ロジン酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリ−ルスルホン酸塩、アルキル硫酸エタノールアミン、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩及びポリオキシエチレンアルキルアリ−ル硫酸塩などのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テル及びポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマ−などのノニオン性乳化剤など公知のものを単独、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。又これらの他に親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性二重結合を導入した反応性乳化剤も好適に使用でき、更に、ベタイン型などの両性乳化剤及びポリビニルアルコ−ル、カルボキシメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子の保護コロイド乳化剤なども必要に応じて用いることができる。
【0029】
ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機開始剤及び有機開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性及び油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などが挙げられ、具体的には、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルーパーオキシベンゾエート、t−ブチルーパーオキシオクト
エート、t−ブチルーパーオキシアセテート、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、2,2−アゾビスイソバレロニトリル、クメンハイドロパ−オキサイド等を挙げることができ、又他に、POLYMER HANDBOOK(3rd.edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物も用いることができる。又、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、全単量体の質量に基づき、通常0.1〜10.0質量%、好ましくは0.2〜5.0質量%である。
【0030】
懸濁剤としてはゼラチン、デンプン、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリメタクルアミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドモノステアレート、ソルビタンテトラオレエート、グリセリルモノオレエート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースのような水溶性ポリマーや、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの不溶性粉末などを単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
その他の添加剤として、例えばpH調整剤や重合調整剤が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。
重合調整剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤等が挙げられる。
【0031】
本発明の樹脂粒子の重合温度は通常5〜120℃である。
本発明の樹脂粒子の製造における単量体混合物の重合系への添加は一括添加法、連続的にあるいは断続的に添加する方法、これらの方法を組み合わせた方法(例えば、単量体混合物の一部添加した後に重合の進行に従って連続的もしくは断続的に添加する方法)などいずれでも良い。
又、重合にあたってシ−ド重合方法もとることができる。シ−ド用ラテックスの組成は樹脂粒子の組成と同じであっても異なってもよく、シ−ド用ラテックスも同一反応容器で製造したもの、異なる他の反応容器で製造したものを用いてもよい。
【0032】
本発明に用いられる導電粒子は、樹脂粒子の表面を金属薄膜でメッキした構造をとることが必須である。被覆する金属としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、半田、インジウム、パラジウム等の中から1種あるいは2種以上組み合わせてメッキ等により金属被覆することが必須である。金属薄膜の厚さは0.005μm以上1μm以下の範囲が、接続安定性と粒子の凝集性の観点から好ましい。金属薄膜は均一に被覆されていることが接続安定性上好ましい。これら導電粒子の表面を更に絶縁被覆した粒子も使用することができる。
【0033】
メッキの方法としては無電解メッキ、真空蒸着、イオンスパッタ−リング等の方法が用いられる。無電解メッキによって導電粒子を製造した場合、導通信頼性が良好である。
主な無電解メッキの方法としては硫酸銅とホルムアルデヒド等を用いた無電解銅メッキ、金属硫酸塩や塩化金属と次亜リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、水素化ホウ素塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等の還元剤を用いた無電解コバルトメッキ、無電解ニッケルメッキなどが挙げられる。また、金シアン錯体と水素化ホウ素塩、またはジメチルアミンボランを用いた無電解金メッキ、シアン化銀と水素化ホウ素塩、またはジメチルアミンボランを用いた無電解銀メッキ、塩化パラジウムと次亜リン酸塩を用いた無電解パラジウムメッキなどが挙げられる。樹脂粒子の表面に対して無電解ニッケルメッキを行ない、更に無電解金メッキを行うことが接続安定性上好ましい。
【0034】
導電粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10.0μm未満の範囲が粒子の凝集性と異方導電性の観点から好ましい。更に好ましくは、1.0μm以上7.0μm未満、更に好ましくは、1.5μm以上6.0μm未満、更に好ましくは、2.0μm以上5.5μm未満、更に好ましくは、2.5μm以上5.0μm未満である。導電粒子の粒子径の標準偏差は、小さいほど好ましく、平均粒子径の50%以下が好ましい。更に好ましくは20%以下、一層好ましくは10%以下、更に一層好ましくは5%以下である。
【0035】
本発明では、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤からなる絶縁性バインダー樹脂を構成とすることが必須である。
この場合のフェノキシ樹脂/エポキシ樹脂/潜在性硬化剤/の質量比(但し、合計で100質量%)は、10〜80質量%/5〜85質量%/1〜40質量%であり、好ましくは10〜75質量%/10〜80質量%/3〜25質量%であり、更に好ましくは20〜50質量%/30〜70質量%/5〜20質量%である。
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムは、導電粒子を本絶縁性バインダー樹脂に対して体積分率で0.1〜20%分散して構成されることが好ましい。導電粒子の分散方法は、絶縁性バインダー樹脂の各原料と導電粒子を有機溶剤中で分散し、これを溶剤の乾燥によってフィルム状に形成する方法、あるいは絶縁性バインダー樹脂のフィルム形成後にフィルムの片面に静電気等によって分散、散布し、フィルム中に埋め込む方法等が挙げられる。
【0036】
また本発明に用いられる絶縁性バインダー樹脂には必要に応じて、その他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を加えることも可能である。これらの樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、SBR、SBS、NBR、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルオキシド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレンブタジエン樹脂、カルボキシル変性ニトリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等又はそれらの変性樹脂が挙げられる。
【0037】
本発明で用いられるフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールF混合型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAビスフェノールS混合型フェノキシ樹脂、フルオレン環含有フェノキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールA型フェノキシ樹脂等が例示される。フェノキシ樹脂の重量平均分子量は2万以上10万未満が好ましい。
【0038】
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エーテル型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環族エポキサイド等があり、これらエポキシ樹脂はハロゲン化や水素添加されていても良く、また、ウレタン変性、ゴム変性、シリコーン変性等の変性されたエポキシ樹脂でも良い。
【0039】
本発明で用いられる潜在性硬化剤としては、ホウ素化合物、ヒドラジド、3級アミン、イミダゾール、ジシアンジアミド、無機酸、カルボン酸無水物、チオール、イソシアネー
ト、ホウ素錯塩及びそれらの誘導体等の硬化剤が好ましい。潜在性硬化剤の中でも、マイクロカプセル型の硬化剤が好ましい。マイクロカプセル型硬化剤は、前記硬化剤の表面を樹脂皮膜等で安定化したもので、接続作業時の温度や圧力で樹脂皮膜が破壊され、硬化剤がマイクロカプセル外に拡散し、エポキシ樹脂と反応する。マイクロカプセル型潜在性硬化剤の中でも、アミンアダクト、イミダゾールアダクト等のアダクト型硬化剤をマイクロカプセル化した潜在性硬化剤が安定性と硬化性のバランスに優れ好ましい。
【0040】
さらに、本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムには絶縁粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤等を含有することもできる。絶縁粒子や充填剤を含有する場合、これらの最大径は、導電粒子の平均粒子径未満である事が好ましい。カップリング剤としては、ケチミン基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基含有シランカップリング剤が、接着性の向上の点から好ましい。
【0041】
具体的なシランカップリング剤としては例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3(又は2)−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0042】
本発明においては、エポキシ基含有シランカップリング剤、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた場合に、耐熱性、耐水性が特に良好である。また絶縁性バインダー樹脂に対して0.05〜1.5質量部の量で用いられる場合に、接続信頼性の面で良好であり、0.05質量部以上用いた場合に粒子捕捉性が良好である。シランカップリング剤の構造が回路接続用異方導電性接着フィルムの性能に大きな影響を及ぼす原理は明らかではない。しかし、以下のような回路接続用異方導電性接着フィルムの接続原理から、電極間での粒子捕捉性を向上させたと考えられる。ここで回路接続用異方導電性接着フィルムは、通常200℃付近の高温で絶縁性バインダー樹脂を溶融し、続いて対向する電極で加圧し回路接続用異方導電性接着フィルム内部の導電粒子を捕捉し、同時に余分な絶縁性バインダー樹脂を流動させて排除することで電極間の導通を得る。また、電極で対向加圧されていない部分にあっては、絶縁性バインダー樹脂により絶縁性が確保される。このような工程で固定された回路接続用異方導電性接着フィルムが潜在性硬化剤の熱による顕在化により熱硬化する。このように回路接続用異方導電性接着フィルムにおいては接続時の絶縁性バインダー樹脂および内部の導電粒子の流動性能が重要な意味合いを有する。一方、200℃で高温溶融した絶縁性バインダー樹脂の内部で、シランカップリング剤のアルコキシル基は接続部材であるチップ表面のシリコン、ガラス基板上の酸化ケイ素、電極を構成する金属および導電粒子の表面上の金属部に選択的に吸着すると考えられる。この際、導電粒子上に吸着したシランカップリング剤は導電粒子の流動を抑制するため
、導電粒子は電極間に滞留する時間が長くなると考えられる。このため、結果として電極上に捕捉される粒子数が増加すると考えられる。また、シランカップリング剤のアルコキシル基は水分に接すると直ちにシラノール基に変化し、絶縁性バインダー樹脂の親水性を増加させる。このため一定以上の使用は耐水性を悪化させ、結果として信頼性を低下させると考えられる。さらに、シランカップリング剤は種々存在するが、エポキシ基含有シランカップリング剤を用いる場合にはエポキシ樹脂の硬化の際に樹脂の架橋構造に取り込まれ接着構造を強化し、結果として信頼性を向上させると考えられる。
【0043】
絶縁性バインダー樹脂の各成分を混合する場合、必要に応じ、溶剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
回路接続用異方導電性接着フィルムの製造は、例えば、各成分を溶剤中で混合、塗工液を作成し、基材上にアプリケーター塗装等により塗工、オーブン中で溶剤を揮散させる事で製造できる。
【0044】
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下が好ましく、更に好ましくは6μm以上35μm以下、更に好ましくは7μm以上25μm以下、更に好ましくは8μm以上22μm以下である。
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムは、剥離シート上に形成されていてもよい。該剥離シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET、PEN等のポリエステル、ナイロン、塩化ビニール、ポリビニルアルコール等のフィルムが例示される。好ましい剥離シート用の樹脂としては、ポリプロピレン、PETが挙げられる。該剥離シートはフッ素処理、シリコーン処理、アルキド処理等の表面処理を行っていることが好ましい。
回路接続用異方導電性接着フィルムは、以上のような工程を経て生産されるが、市販される場合には、一般に所望の幅にスリットされ、リール状に巻き取られた上で流通に乗せられる。
【0045】
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムの接続温度は、150〜250℃が好ましく、この範囲の接続温度において初期導通性、信頼性、粒子捕捉性が良好である。接続温度の範囲と特定の導電粒子を用いた回路接続用異方導電性接着フィルムの性能の関係は明らかではない。しかし、以下の様な理由が考えられる。絶縁性バインダー樹脂に用いられる熱硬化樹脂は一般に低温では硬化反応が不十分であり熱硬化後の弾性率の増加が充分でない。また、非常に高温において硬化を行った場合、導電粒子を捕捉する圧力に達する前に硬化反応が終了してしまう。さらに樹脂を樹脂粒子に用いた導電粒子の接続時の力学的な弾性率は、接続時の温度によって変化する。すなわち、ジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンを有する特異な架橋構造を有する導電粒子を用いた場合、本導電粒子の接続温度での弾性率変化と絶縁性バインダー樹脂の弾性率変化は接続温度の選択により独立した経過を経るが、150〜250℃において電極間で加圧と捕捉がなされる場合に初期導通性、信頼性、粒子捕捉性に最適な条件が実現されるためと考えられる。
このようにして製造された本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムは、線幅が10数〜数10μmクラスのファインピッチ接続用に好適に用いることができ、液晶ディスプレイとTCP、TCPとFPC、FPCとプリント配線基板との接続、あるいは、半導体シリコンチップを直接基板に実装するフリップチップ実装に好適に用いることができる。
【実施例】
【0046】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
[接続抵抗測定]
日置電機(株)製3541RESISTANCE HiTESTERを用いて接続抵抗を測定した。
[絶縁抵抗測定]
TOA社製ULTRA MEGOHMMETER SM−8210を用いて絶縁抵抗を測定した。
【0047】
[参考製造例]
(樹脂粒子の製造)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水794質量部、800nmの平均粒子径を有するスチレン重合体シ−ド粒子の水分散体6質量部(固形分30質量%)、ポリビニルアルコール水溶液100質量部(固形分5質量%)、真空脱気により酸素を除去したジビニルベンゼン60.4質量部、エチルビニルベンゼン39.6質量部からなる単量体混合物を入れ、内温を25℃に維持して回転数280rpmで1時間攪拌した。
【0048】
次に、過酸化ベンゾイル5質量部、ラウリル硫酸トリエタノールアミン25質量部(固形分40質量%)、ポリビニルアルコール水溶液70質量部(固形分5質量%)混合物を添加し、さらに12時間攪拌した。
その後、イオン交換水600質量部、ポリビニルアルコール水溶液400質量部(固形分5質量%)を添加後85℃で10時間攪拌し、単量体混合物を反応させた。
重合終了後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過した。さらに、グラスフィルターで水分を除去し、イオン交換水で洗浄後乾燥して樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子の粒子径は日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分布径(型式:9230UPA)を用いて数平均粒子径を測定したところ3.0μmであった。
【0049】
なお、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンの調整は新日鉄化学製DVB−570(ジビニルベンゼン含有量57.8%、エチルビニルベンゼン含有量37.9%)、DVB−810(ジビニルベンゼン含有量81.8%、エチルビニルベンゼン含有量17.5%)、DVB−960(ジビニルベンゼン含有量96.2%、エチルビニルベンゼン含有量3.2%)を所定量混合して行った。ポリビニルアルコール水溶液は日本合成化学製ゴーセノールKM−11(けん化度約73mol%)をイオン交換水に溶解して用いた。ラウリル硫酸トリエタノールアミンについては花王製エマールTDを用いた。
シード粒子はスチレン100質量部、t−ドデシルメルカプタン0.4質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部(固形分)、ペルオキソ二硫酸カリ0.7質量部を用いて90℃で8時間乳化重合して得られたものを用いた。
【0050】
(導電粒子の製造)
得られた樹脂粒子10gを硫酸ニッケル26g/L、エチレンジアミン90g/L、次亜リン酸ナトリウム11g/Lからなるメッキ浴2Lに60℃で10分間浸漬し無電解ニッケルメッキを施した。これをグラスフィルターで水分を除去し、イオン交換水で洗浄後乾燥してニッケルメッキ樹脂粒子を得た。
続いて、得られたニッケルメッキ樹脂粒子をジシアノ金(I)酸カリウム5.8g/L、シアン化カリウム13g/L、水酸化カリウム11.2g/L、水素化ホウ素カリウム21.6g/Lからなるメッキ浴2Lに75℃で10分間浸漬し無電解金メッキを施した。これをグラスフィルターで水分を除去し、イオン交換水で洗浄後乾燥して導電粒子Aを得た。
【0051】
(回路接続用異方導電性接着フィルムの製造)
フェノキシ樹脂(InChem社製、商品名:PKHC,重量平均分子量43000)
30質量部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:AER2603)30質量部、マイクロカプセル型潜在性硬化剤と液状エポキシ樹脂の重量比で1:2の混合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ノバキュアHX−3941HP)40質量部、エポキシシランカップリング剤(ジーイー東芝シリコーン:商品名A−187(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン))0.5質量部、酢酸エチル150質量部を混合し、接着剤ワニスを得た。本接着剤ワニスの固形分の100体積部に対して導電粒子Aを5体積部に相当する量を添加し、混合して回路接続用異方導電性接着フィルムのワニスを得た。これを離型処理した50μmのPETフィルム製剥離シート上にブレードコーターを用いて塗布し、70℃で10分間乾燥して溶剤を除去した。得られた膜厚20μmのフィルム状の回路接続用異方導電性接着フィルムには離型処理した38μmのPET製剥離フィルムをカバーして接続テスト用サンプルを作成した。
なお、本接着剤ワニスの固形分の体積に対する導電粒子の添加体積は、本接着剤ワニスの固形分および導電粒子の比重から算出して行った。また、本接着剤ワニスの固形分についてはワニスを70℃で10分間乾燥して質量を測定して求めた。さらに、比重についてはルシャテリエ比重びんを用いて測定し、本接着剤ワニスの固形分については1.2g/cm、導電粒子Aについては3.2g/cmであった。
【0052】
(ITOガラス基板上でのベアチップとの接続)
25μm×100μmの金バンプがピッチ40μmで並んだベアチップとベアチップに対応した接続ピッチを有するITOガラス基板を準備し、回路接続用異方導電性接着フィルムを、カバーした離型フィルムからはがして、ITOガラス基板に70℃、5Kg/cm、2秒間の条件で熱圧着した。さらに剥離シートを剥がした後、ベアチップをフリップチップボンダー(東レエンジニアリング株式会社製FC2000、以下同じ)を用いて位置合わせをし、コンスタントヒートで2秒後に180℃に到達し、その後一定温度となる条件で30Kg/cm、20秒間加熱加圧し、ベアチップをITOガラス基板に接続した。本サンプルを、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX−100、以下同じ)で観察した結果、12個の電極上の導電粒子数は一電極当たり平均5個であった。接続抵抗を、ベアチップ側で接続された隣接した2つのITO電極から引き出された電圧測定用の引出配線上および電流測定用の引出配線上に、それぞれ電圧測定用プローブと電流測定用プローブを接触し、4端針で測定した。接続抵抗は64Ωであった。一方、絶縁抵抗を、ベアチップ側電極が独立している隣接した2つのITO電極から引き出されたITO配線上で測定した。絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。本サンプルを85℃、湿度85%の高温高湿下で1000時間静置後、上記と同様に接続抵抗、絶縁抵抗を測定した。接続抵抗は68Ωであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。
更に、5℃で6か月保存した回路接続用異方導電性接着フィルム(以下の表3.〜8.では保存試料と表記する。)を用いて、上記と同様に接続を行った。本サンプルを、マイクロスコープで観察した結果、12個の電極上の導電粒子数は一電極当たり平均5個であった。4端針法による接続抵抗は63Ωであった。一方、絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。本サンプルを85℃、湿度85%の高温高湿下で1000時間静置後、接続抵抗は69Ωであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。
【0053】
(ITOガラス基板上FPC接続)
100μm巾の金電極がピッチ200μmで並んだFPC試験基材((株)キョウデン製、AY001)とFPC試験基材に対応した接続ピッチを有するITOガラス基板を準備し、2mm幅で調整した回路接続用異方導電性接着フィルムを、カバーした離型フィルムからはがして、ITOガラス基板に70℃、5Kg/cm、2秒間の条件で熱圧着した。さらに剥離シートを剥がした後、FPC圧着装置(大崎エンジニアリング(株)製、T1174)により200℃、35Kg/cm、10秒間の条件で熱圧着して接続した。本サンプルを、マイクロスコープで観察した結果、電極上の導電粒子数密度は2200
個/mmであった。接続抵抗を、ITOガラス基板側で接続された隣接した2つの金電極から引き出されたFPC試験基材上の金配線間に、4端針プローブを接触し測定した。接続抵抗は63mΩであった。一方、絶縁抵抗を、ITOガラス基板側電極が独立している隣接した2つの金電極から引き出されたFPC試験基材上の金配線間で測定した。絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。本サンプルを85℃、湿度85%の高温高湿下で1000時間静置後、接続抵抗は70mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。
更に、5℃で6か月保存した回路接続用異方導電性接着フィルムを用いて、上記と同様に接続を行った。本サンプルを、マイクロスコープで観察した結果、接続面の導電粒子数密度は2200個/mmであった。上記と同様に測定した接続抵抗は63mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であり、隣接電極間でショートの発生はなかった。本サンプルを85℃、湿度85%の高温高湿下で1000時間静置後、接続抵抗は65mΩであり、絶縁抵抗は10Ω以上であった。
【0054】
以下、実施例、比較例において、参考例で示した原料の他、多官能(メタ)アクリレートとしては、新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステル A−TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)、NKエステル A−TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、フェノキシ樹脂としてInChem社製、商品名:PKHB,重量平均分子量32000、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983U、ナフタレン型エポキシ樹脂として大日本インキ株式会社製、商品名:HP4032D、熱可塑性樹脂として旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフプレン315、非潜在性の硬化剤としてジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:ジェーイーアールキュアT、アミノシランカップリング剤としてジーイー東芝シリコーン株式会社製、商品名:A−1100(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)をそれぞれ用いた。
【0055】
[実施例1〜14]
表1.の単量体組成を用いる点を除き、参考例と同様にして樹脂粒子を製造し、導電粒子A〜Nを得た。これらを用いて参考例と同様の操作により回路接続用異方導電性接着フィルムを作成し、評価した。次いで参考例と同様にして得られた評価結果を表3.、表4.に示す。
[比較例1〜2]
表2.の単量体組成を用いる点を除き、参考例と同様にして樹脂粒子を製造し、導電粒子a〜bを得た。これらを用いて参考例と同様の操作により回路接続用異方導電性接着フィルムを作成し、評価した。次いで参考例と同様にして得られた評価結果を表5.に示す。
【0056】
[実施例15〜22]
表1.の導電粒子Eを用いて表6.の接着剤組成を用いて参考例と同様の操作により回路接続用異方導電性接着フィルムを作成し、評価した。次いで参考例と同様にして得られた評価結果を同表6.に示す。
[比較例3〜5]
表1.の導電粒子Eを用いて表7.の接着剤組成を用いて参考例と同様の操作により回路接続用異方導電性接着フィルムを作成し、評価した。次いで参考例と同様にして得られた評価結果を同表7.に示す。
[実施例23〜26]
表1.の導電粒子Eを用いて接続温度が異なる以外は実施例5と同様に評価した。得られた評価結果を同表8.に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
【表7】

【0064】
【表8】

【0065】
[実施例1〜3と比較例1〜2の比較]
表3.と表5.の結果から、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンから重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子を用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が顕著に良好である。
[実施例4〜14と比較例1〜2の比較]
表3.〜表5.の結果から、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子を用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が顕著に良好である。
【0066】
[実施例4〜22と比較例3〜5の比較]
表3.〜表7.の結果から、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が顕著に良好である。
[実施例4〜18、20〜22と実施例19の比較]
表3.〜表4.、表6.の結果から、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、潜在性硬化剤及びシランカップリング剤を用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。
[実施例5、実施例15〜22、比較例4の比較]
表6.〜表7.の結果から、硬化剤として潜在性硬化剤を用いた場合に、特に保存安定性、信頼性の点で良好である。
【0067】
[実施例4〜18、20〜21と実施例19、22の比較]
表3.〜表4.、表6.の結果から、シランカップリング剤を0.05質量%〜1.5質量%用いた場合に初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。シランカップリング剤が絶縁性バインダー樹脂組成に対して0.05質量%以上の場合に、粒子捕捉性が特に良好である。
[実施例4〜9、11〜14と実施例1〜3、10の比較]
表3.〜表4.の結果から、ジビニルベンゼン及びエチルビニルベンゼン以外のその他の単量体が1〜40質量部である混合単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子を用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。
【0068】
[実施例5〜9、11〜14と実施例4の比較]
表3.〜表4.の結果から、ジビニルベンゼン及びエチルビニルベンゼン以外のその他の単量体が1〜40質量部の多官能(メタ)アクリレートである混合単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子用いた場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。
[実施例5、24〜25と実施例23、26の比較]
表3.、表8.の結果から、150〜250℃の温度加熱を行って接続した場合に、初期導通性、信頼性、保存安定性、粒子捕捉性が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の回路接続用異方導電性接着フィルムは、保存安定性が高く、微細面積の電極の電気的接続性に優れると共に、微細な配線間の絶縁破壊(ショート)を起こしにくく、微細ピッチの接続性に優れると共に、長期に渡り接続安定性を保持でき、微細パターンの電気的接続用途において好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンから重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂及び(4)潜在性硬化剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項2】
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼンから重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂、(4)潜在性硬化剤および(5)シランカップリング剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項3】
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂及び(4)潜在性硬化剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項4】
(1)ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン及びその他の単量体から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子、(2)フェノキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂、(4)潜在性硬化剤および(5)シランカップリング剤からなる回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項5】
導電粒子(1)が30〜98質量%のジビニルベンゼン、1〜40質量%のエチルビニルベンゼン及び1〜40質量%のその他の単量体(ただし、合計100質量%)から重合される樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子である請求項3又は4記載の回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項6】
その他の単量体が多官能(メタ)アクリレートである樹脂粒子の表面に金属をメッキした導電粒子(1)である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルムを用いて相互に対向する端子を有する回路基板と回路部材を接続することを特徴とする回路構造体。
【請求項8】
相互に対向する端子を有する回路基板と回路部材の間に請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路接続用異方導電性接着フィルムを挿入し、150〜250℃の温度加熱を行って接続することを特徴とする回路構造体の製造方法。

【公開番号】特開2008−222786(P2008−222786A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60367(P2007−60367)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】