説明

回転角度検出装置及びロボットのアーム回動機構及びロボット

【課題】ロボットに備えられたアームの絶対角度をより容易かつ高精度に検出することの
できる回転角度検出装置、及び該回転角度検出装置を備えるロボットのアーム回動機構、
及び該アーム回動機構を採用したロボットを提供する。
【解決手段】基台11の上面11Aには基台11内のモータにより回動される回転軸AX
1に固定される回転体としての連結軸12が設けられている。基台11の上面11Aには
反射型光センサ21を配設し、連結軸12の下面12Aには中心が軸心C1に一致する有
底円筒形状の反射体20を固定する。反射体20の円筒側壁20Bの下面には、その底部
20Aに対して傾斜を有する反射面20sが形成されている。反射型光センサ21から発
せられる光L1の反射面20sによる反射光L2の光量が、反射面20sと反射型光セン
サ21との対向距離Dにより変化することを利用して、基台11に対する連結軸12の回
転角度を絶対角度として得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度検出装置、及び該回転角度検出装置を備えるロボットのアーム回動
機構、及び該アーム回動機構を採用したロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用ロボットとしては、6軸ロボット、スカラロボット、直交型ロボットな
ど、複数のアームが順に回動可能に連結されたロボットが主流となっており、それらロボ
ットが各々の特徴に適合する用途に合わせて選択的に用いられている。これらのロボット
はいずれも、その先端部を目標位置に移動させ、その先端部にて被加工物に種々の作業を
行なったり被搬送物を把持して搬送したりする。すなわち、ロボットは、各アームを、連
結部を介して支持する他のアーム等の支持部に対して適切な角度に変化させることで、ロ
ボットの先端部を基台に対して相対移動させている。
【0003】
一方、各アームとそれらアームを支持する支持部との角度は、その連結部に備えられた
回転軸の回転角度をインクリメンタルエンコーダやアブソリュートエンコーダ等により検
出して算出される。
【0004】
ここで、上記インクリメンタルエンコーダが用いられる場合、同エンコーダから所定の
角度毎に出力されるパルスには絶対角度の情報が含まれないため、電源投入直後等には、
初期化として原点復帰動作を行なう必要があった。ただし、この原点復帰動作は、ロボッ
トの各アームの移動を伴うために非常に複雑な動作となる。
【0005】
また、上記アブソリュートエンコーダが用いられる場合、同エンコーダからは絶対角度
の情報を含むパルスが出力されるため、原点復帰動作は不要となる。しかし、同エンコー
ダは、構造が複雑化して高価になるとともに、多回転対応の場合には、その都度の回転数
並びに回転角度を保持する為にその検出系やメモリ等に対する給電も常に維持しておく必
要があるなどの不都合がある。
【0006】
そこで従来は、アームとそのアームを支持する支持部との回転角度を絶対角度として検
出する安価な回転角度検出装置も提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の装
置では、発光素子、受光素子、及び発光素子と受光素子との間に備えられたスリット板に
より回転角度検出装置を構成している。詳述すると、受光素子は、光の入射量(ここでは
入射位置)に応じて出力電圧が直線的に変化する素子であり、またスリット板は、スパイ
ラル状の溝が貫通形成されて、その溝から発光素子が発光した光を通過させるとともに、
受光素子に投光される光の位置をその回転に伴い変化させるものである。すなわち、スリ
ット板を回転軸に連結させて回転軸とともに回動させたときに受光素子に投光される光の
位置の変化を受光素子の出力電圧の変化として検出し、その検出される出力電圧の変化に
基づいて回転軸(アーム)の回転角度を絶対角度として得るようにしている。
【特許文献1】特開平8−267386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の絶対角度検出装置では、発光素子からの光がスリッ
ト板の溝を通過して受光素子に投光される構造であるがために、その溝を通過した光が受
光素子の比較的広い範囲に投光されることとなり、その受光位置、すなわち光の投光され
た位置を高い分解能で検出する事ができない。そのためこの装置では、おおよその回転角
度を求めることができるものの、絶対角度として正確な角度を求めることはできず、結局
は別のエンコーダを併用せざるを得ないなどの問題を残すものとなっている。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、ロボット
に備えられたアームの回転角度をより容易かつ高精度に検出することのできる回転角度検
出装置、及び該回転角度検出装置を備えるロボットのアーム回動機構、及び該アーム回動
機構を採用したロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転角度検出装置は、支持体に回転軸を介して接続された回転体の前記支持体
に対する回転角度を絶対角度として検出する回転角度検出装置であって、前記支持体及び
前記回転体の各々対向する面に対し、一方には反射型光センサを、他方には前記反射型光
センサでの反射光の受光量を前記回転体の回転方向に沿って可変とする反射体をそれぞれ
設け、これら反射型光センサ及び反射体の協働による反射型光センサの受光出力の変化に
基づいて前記回転軸を中心とする前記回転体の回転角度を検出することを要旨とする。
【0010】
このような構成によれば、反射型光センサの受光出力の変化に基づいて、回転軸を中心
とする回転体の回転角度が絶対角度として検出される。従って、簡易な構成ながら、回転
軸を中心とする回転体の回転角度が光学的に高い精度にて検出可能となる。すなわち、回
転角度検出装置として、回転体の回転にかかる絶対角度をより容易かつ高精度に検出する
ことができるようになる。
【0011】
なお、原理上、反射型光センサ及び反射体をそれぞれ支持体側及び回転体側のいずれに
設けるかは任意であるが、特に反射型光センサを支持体側に設け、反射体についてはこれ
を回転体に一体化される回転軸に直接設ける構造とする(例えばアセンブリ化する)こと
が、その検出精度を高く維持しつつ、当該回転角度検出装置としての汎用性を高めるうえ
で有利である。
【0012】
また本発明の回転角度検出装置は、上記回転角度検出装置において、前記反射型光セン
サ及び前記反射体はそれらの対向面以外の周囲が遮光部材によって覆われてなることを要
旨とする。
【0013】
このような構成によれば、反射型光センサでの反射光の受光量に対してノイズ成分とな
る外乱光が遮光されるため、回転角度の検出精度のさらなる向上が期待できる。
また本発明の回転角度検出装置は、上記回転角度検出装置において、前記反射体には前
記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離が順次変化する反射面が設
けられてなることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、反射型光センサに対する反射面の遠近に応じて反射型光セン
サの受光出力が変化することとなり、反射体の加工精度にもよるものの、当該回転角度検
出装置の実現も容易である。
【0015】
また本発明の回転角度検出装置は、上記回転角度検出装置において、前記反射体の反射
面は前記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離がリニアに変化する
傾斜面からなることを要旨とする。
【0016】
このような構成によれば、検出する回転角度の分解能は反射型光センサ自身の性能(感
度)に依存することになるが、この反射型光センサさえ高性能(高感度)のものを採用す
ることができれば、回転角度の検出にかかる分解能も自ずと高められるようになる。
【0017】
また本発明の回転角度検出装置は、上記回転角度検出装置において、前記反射体の反射
面は前記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離が段階的に変化する
段状面からなることを要旨とする。
【0018】
このような構成によれば、検出する回転角度の分解能は自ずと制限されるものの、回転
角度の検出に高い分解能が要求されない用途、例えば1周を10分割する等の低い分解能
で済む用途には信頼性の面でも有効な構成となる。
【0019】
また本発明の回転角度検出装置は、上記回転角度検出装置において、前記反射体には前
記回転体の回転方向に沿って階調が順次変化する反射面が設けられてなることを要旨とす
る。
【0020】
このような構成によれば、反射型光センサの受光出力を回転体の回転角度に応じて変化
させる反射体を板状に形成することができ、回転角度検出装置としてのさらなる小型化(
薄型化)が可能となる。
【0021】
一方、本発明のロボットのアーム回動機構は、支持体に回転軸を介して接続されたアー
ムの前記支持体に対する回転角度を絶対角度として検出する回転角度検出装置を備えるロ
ボットのアーム回動機構であって、前記回転角度検出装置として上記に記載の回転角度検
出装置を備えることを要旨とする。
【0022】
このような構成によれば、簡易な構成ながら、回転軸を中心とするアームの回転角度を
絶対角度として光学的に高い精度にて検出可能となる。すなわち、ロボットのアーム回動
機構として、アブソリュートタイプながら、より簡易で精度の高いアーム回転角度の検出
が可能になる。
【0023】
また一方、本発明のロボットは、支持体に回転軸を介して接続されたアームを有し、該
アームの前記支持体に対する回転角度を絶対角度として検出しつつ、同アームを目標とす
る角度に移動させるアーム回動機構を備えるロボットであって、前記アーム回動機構とし
て上記に記載のアーム回動機構を備えることを要旨とする。
【0024】
このような構成によれば、たとえ多関節ロボットであれ、それら各関節にこうしたアー
ム回動機構を備えることで、高性能なロボットが容易に実現可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明にかかる回転角度検出装置、ロボットのアーム回動機構、及びロボットを
具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、スカラ型ロボット10についてその側面構造を示したものである。
【0026】
図1に示すように、ロボット10は、床面等に設置された支持体としての基台11を有
して、その上端部に第1のアーム13の基端部である回転体としての連結軸12が設けら
れている。連結軸12は、円柱形状に形成されていて、基台11に回動可能に設けられて
いる。なお、基台11内には第1モータM1が設けられており、連結軸12が正逆回転す
る。すなわちこれにより、第1のアーム13は、連結軸12が第1モータM1により回動
されることによって、連結軸12の軸心C1を回動中心として基台11に対して水平方向
に回動する。
【0027】
一方、第1のアーム13の先端部には、第2のアーム15の基端部を回転体としてこれ
を回動可能に支持する支持体としての支持部14が設けられている。また、第2のアーム
15の基端部には第2モータM2が配設されている。そして、この第2モータM2はその
出力軸がギアを介して前記支持部14に駆動連結されている。これにより、第2モータM
2が正逆回転すると、軸心C2を回動中心として第2のアーム15が第1のアーム13に
対して水平方向に回動する。
【0028】
また一方、第2のアーム15の先端部には、主軸16を回転体としてこれを回転可能に
、かつ、上下方向に移動可能に支持する支持体としての主軸筒15Aが設けられている。
主軸16は、第2のアーム15内の先端部に備えられた第3モータM3の正逆回転によっ
て自らの軸心C3を回動中心として正逆回転するとともに、第2のアーム15内の先端部
に備えられた昇降モータM4の正逆回転によって上下方向に昇降移動する。すなわち、主
軸16の下端部17は、図1に実線で示す「最上位置」から図1中に二点鎖線にて示す可
動距離Lだけ下降した「最下位置」の間で上下動するようになっている。また、下端部1
7には、ツール、例えば被搬送物を把持するハンド等の取付が可能になっており、下端部
17に取り付けられたツールは、主軸16の「最上位置」と「最下位置」の間での移動と
ともに一体となって上下動する。なお、第2のアーム15内に設けられているこれらモー
タM2〜M4の制御信号あるいはモニタ信号の各信号線はフレキシブルな配線チューブ1
3tを介して基台11内にまとめられ、上記第1モータM1の信号線と共に、制御装置(
図示略)の各対応する端子に接続されている。
【0029】
次に、基台11に対する連結軸12(第1のアーム13)の回転角度を絶対角度として
検出する回転角度検出装置について説明する。
図2は、回転角度検出装置の断面構造を示したものであり、図1のA−A線に沿った断
面図に相当する。
【0030】
基台11には、投光部(発光部)及び受光部(いずれも図示略)を有する反射型光セン
サ21がその上面11Aに中心部から偏倚する態様にて配設(埋設)されている。この反
射型光センサ21は、投光部から反射体20に光を投光するとともに、その反射された光
を受光部にて受光し、該受光部での受光量に応じたレベルの電圧を出力する公知の光セン
サである。
【0031】
また、基台11の上面11Aの中央には、回転軸AX1がその軸心を軸心C1に一致さ
せるかたちで設けられている。この回転軸AX1の基端部(図示略)は、基台11内に回
動可能に挿設されるとともに、先の第1モータM1にギアを介して駆動連結されていて、
第1モータM1の回動に伴い、軸心C1を回動中心として回動されるようになっている。
回転軸AX1の先端部は、回転体である連結軸12に接続固定されており、これによって
連結軸12も、回転軸AX1を介して第1モータM1により回動される構造となっている
。なお、連結軸12は、この回転軸AX1によって基台11から一定の距離Hだけ離間さ
れた位置に保持される。
【0032】
一方、連結軸12の下面12Aには、基台11の上面11Aとの間に略有底円筒形状を
有して上記反射体20が設けられている。この反射体20は、その底部20Aの中心が軸
心C1に一致するようにして連結軸12の下面12Aに固定されている。また、底部20
Aの中央には、回転軸AX1が挿通可能な大きさの軸穴20hが形成されていて、この軸
穴20hを通して回転軸AX1が連結軸12に固定されている。なお、反射体20の円筒
側壁20Bは下方(基台11の上面11Aの方向)に傾斜をもって延出されているととも
に、その最長部と基台11の上面11Aとの間に隙間Gを有し、基台11と接触しないよ
うになっている。
【0033】
ここで、図3を参照して、上記反射体20の形状について更に詳述する。
図3(a)に示すように、反射体20の円筒側壁20Bの下面には、上記底部20Aの
裏面20Dに対して予め定めた一定の傾斜を有する反射面20sが形成されている。すな
わち、この反射面20sと底部20Aの裏面20Dとの距離は、一箇所の非連続面20c
を境に、回転体である上記連結軸12の回転方向に沿ってリニアに変化している。より具
体的には、図3(b)に示すように、この反射体20には、軸心C1を中心として、例え
ば時計回りに順に、0度の位置に始点位置Psが定義され、90度の位置に第1位置P1
が定義され、180度の位置に第2位置P2が定義され、270度の位置に第3位置P3
が定義され、360度の位置に終点位置Peが定義されている。そして、底部20Aの裏
面20Dと反射面20sとの距離は、始点位置Psにおいて最も長い「Ld」、第1位置
P1において「3Ld/4」、第2位置P2において「Ld/2」、第3位置P3におい
て「Ld/4」と順に徐々に短くなり、終点位置Peにおいて最も短い「0」となってい
る。また、反射面20sの終点位置Peと始点位置Psとの間には、距離Ldの段差を有
する上記非連続面20cが形成されており、連結軸12の下面12Aに設けられた反射体
20の反射面20sは、始点位置Psにおいて基台11の上面11Aとの距離が最も短く
なる。すなわち、このときの距離が上述した隙間Gとなる。なお、反射面20sの表面は
鏡面として仕上げられており、図2に示されるように、上記反射型光センサ21の投光部
から投光される光L1を反射光L2として確実にその受光部に受光させ得るように形成さ
れている。
【0034】
このように、本実施形態では、基台11には反射型光センサ21を、連結軸12には反
射型光センサ21での反射光L2の受光量を連結軸12の回転方向に沿って可変とするよ
うに反射型光センサ21との対向距離Dをリニアに変化させる傾斜面として形成された反
射面20sを有する反射体20を設けている。そして、反射型光センサ21は、受光部が
受光した反射光L2の光量に応じたレベルの電圧である出力電圧Voを出力する。詳述す
ると、反射型光センサ21と反射面20sとの間の距離である対向距離Dが短いときは、
反射光L2の拡散が少ないため、反射型光センサ21に多くの光量を受光され、その出力
電圧Voも高くなる。反対に、対向距離Dが長いときは、反射光L2の拡散が増えるため
、反射型光センサ21への受光量も減少し、その出力電圧Voは低くなる。このように、
対向距離Dと出力電圧Voとは反比例する関係になっている。
【0035】
また、本実施形態では、図2に併せて示すように、基台11の上面11Aには、反射体
20よりも外側に、遮光部材としての遮光リング11Eを設けるようにしている。この遮
光リング11Eは、その中心が軸心C1に一致するとともに、その一部が連結軸12の回
動を阻害しない程度にまで連結軸12の下面12Aの近傍に位置するように配設されてい
る。こうした構造により、上記反射型光センサ21での反射光L2の受光量に対してノイ
ズ成分となる外乱光が的確に遮光されるようになる。
【0036】
ところで、本実施形態では、図1に示すように、アーム13が基台11に対して正面方
向(図1におてい左側)に配置されているときの連結軸12の回転角度θを絶対角度で1
80度と定義している。また、連結軸12の回転角度θは、連結軸12を上方から見て反
時計回りに回転させると小さくなり、連結軸12を反時計回りに回動させてアーム13を
基台11に対して背面方向(図1において右側)に配置させたときに絶対角度で0度と定
義している。反対に、連結軸12の回転角度θは、連結軸12を上方から見て時計回りに
回転させると大きくなり、連結軸12を時計回りに回動させてアーム13を基台11に対
して背面方向に配置させたときに絶対角度で360度と定義している。
【0037】
そして、反射型光センサ21は、基台11の上面11Aにおいて、連結軸12の回転角
度θが絶対角度で0度のときに反射面20sの始点位置Psと相対向する位置に配設され
ている。すなわち、反射型光センサ21は、連結軸12の回転角度θが絶対角度で0度の
ときは、始点位置Psに対応する反射面20sと相対向して、上記反射光L2としても対
向距離Dとしての最小距離Dmin(=G)に対応する光量を検出する。また、反射型光
センサ21は、連結軸12の回転角度θが絶対角度で90度のときは、第1位置P1に対
応する反射面20sと相対向して、反射光L2としても対向距離Dとしての第1距離D1
(=Ld/4+G)に対応する光量を検出する。さらに、反射型光センサ21は、連結軸
12の回転角度θが絶対角度で180度のときは、第2位置P2に対応する反射面20s
と相対向して、反射光L2としても対向距離Dとしての第2距離D2(=Ld/2+G)
に対応する光量を検出する。また、反射型光センサ21は、連結軸12の回転角度θが絶
対角度で270度のときには、第3位置P3に対応する反射面20sと相対向して、反射
光L2としても対向距離Dとしての第3距離D3(=3Ld/4+G)に対応する光量を
検出する。さらにまた、反射型光センサ21は、連結軸12の回転角度θが絶対角度で3
60度のときには、終点位置Peに対応する反射面20sと相対向して、反射光L2とし
ても対向距離Dとしての最大距離Dmax(=Ld+G)に対応する光量を検出する。
【0038】
図4は、連結軸12の回転角度θと上記対向距離Dとの関係を示したグラフであり、図
5は、回転角度θと反射型光センサ21から出力される出力電圧Voとの関係を示したグ
ラフである。
【0039】
図4に示すように、対向距離Dは、回転角度θが絶対角度で0度(始点位置Ps)では
最小距離Dminとなる。同様に、回転角度θが絶対角度で90度(第1位置P1)では
第1距離D1となり、回転角度θが絶対角度で180度(第2位置P2)では第2距離D
2となり、回転角度θが絶対角度で270度(第3位置P3)では第3距離D3となり、
回転角度θが絶対角度で360度(終点位置Pe)では最大距離Dmaxとなる。そして
実際には、これら回転角度θと対向距離Dとの関係が同図4に示されるようにリニアに変
化する。
【0040】
一方、図5に示すように、反射型光センサ21はその出力電圧Voとして、始点位置P
sとなる対向距離Dが最小距離Dminのときに最大電圧Vmaxを出力する。同様に、
第1位置P1となる第1距離D1のときに第3電圧V3を出力し、第2位置P2となる第
2距離D2のときに第2電圧V2を出力し、第3位置P3となる第3距離D3のときに第
1電圧V1を出力し、終点位置Peとなる対向距離Dが最大距離Dmaxのときに最小電
圧Vminを出力する。そしてここでも実際には、これら回転角度θと出力電圧Voとの
関係が同図5に示されるようにリニアに変化する。
【0041】
本実施形態ではこのように、反射型光センサ21からの出力電圧Voが最大電圧Vma
xから最小電圧Vminまでに変化することに基づいて、連結軸12の回転角度θの絶対
角度で0度から360度までの変化が検出される。なお、本実施形態では、連結軸12が
回動する回転角度θの範囲は360度未満、例えば、絶対角度にして10度〜350度ま
でとしており、非連続面20cについての配慮は必要とされない。また、本実施形態のロ
ボットでは、先の支持部14に対する第2のアーム15の回転角度の検出、及び第2のア
ーム15に対する主軸16の回転角度の検出にも上述と同様の回転角度検出装置を用いて
いるが、それらの構造も基本的には上述と同様でありその説明については省略する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の回転角度検出装置、アーム回動機構、及びロボット
によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、反射型光センサ21の出力電圧Voの変化に基づいて、回転軸
AX1を中心とする連結軸12の回転角度θを絶対角度として検出するようにした。従っ
て、簡易な構成ながら、回転軸AX1を中心とする連結軸12の回転角度θが光学的に高
い精度にて検出可能となる。すなわち、回転角度検出装置、ロボットのアーム回動機構、
ロボットとして、連結軸12の回転にかかる絶対角度をより容易かつ高精度に検出するこ
とができるようになる。
【0043】
(2)本実施形態では、反射型光センサ21での反射光L2の受光量に対してノイズ成
分となる外乱光を遮光リング11Eによって遮光するようにした。従って、連結軸12の
基台11に対する回転角度θの検出精度のさらなる向上が期待できるようになる。
【0044】
(3)本実施形態では、反射型光センサ21と反射面20sとの対向距離Dがリニアに
変化するようにした。従って、検出する回転角度θの分解能は反射型光センサ21自身の
性能(感度)に依存することになるが、この反射型光センサ21さえ高性能(高感度)の
ものを採用することができれば、回転角度θの検出にかかる分解能も自ずと高められるよ
うになる。
【0045】
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、連結軸12の回動する絶対角度の範囲は360度未満とした。し
かし、これに限らず、連結軸12は360度以上回動しても良い。この場合、反射型光セ
ンサ21が非連続面20cを検出する都度、その数を計数する等の公知のデータ処理方法
にて適切に処理することで、所望の絶対角度を得ることができる。
【0046】
・上記実施形態では、反射面20sを傾斜面として反射型光センサ21との対向距離D
がリニアに変化するようにしたが、反射面20sを段状面にして反射型光センサ21との
対向距離Dが段階的に変化するようにしても良い。回転角度θの検出に高い分解能が要求
されない用途には、このような構成が信頼性の面でも有利な構成となる。
【0047】
・上記実施形態では、反射型光センサ21の受光部が受光する反射光L2の光量を反射
体20の反射面20sに設けた傾斜により変化させるようにした。しかしこれに限らず、
回転体の回転方向に沿って階調(明暗)が順次変化する反射面が設けられた反射体を採用
するようにしても良い。このような構成によれば、反射体を板状に形成することができ、
回転角度検出装置としてのさらなる小型化(薄型化)が可能となる。
【0048】
・上記実施形態では、反射体20を連結軸12に固定して、回転軸AX1を反射体20
の軸穴20hを通して連結軸12に固定させた。しかしこれに限らず、軸穴20hを介し
て反射体20が回転軸AX1に直接固定されていても、もしくは、反射体20が回転軸A
X1に一体成形されていても良い。特に反射型光センサ21を支持体側に設け、反射体2
0についてはこれを連結軸12に一体化される回転軸AX1に直接設ける構造とすれば(
例えばアセンブリ化すれば)、その検出精度を高く維持しつつ、当該回転角度検出装置と
しての汎用性を高める上で有利となる。
【0049】
・上記実施形態では、反射型光センサ21を支持体である基台11に配設し、反射体2
0を回転体である連結軸12に固定したが、反対に、反射型光センサ21を回転体である
連結軸12に配設し、反射体20を支持体である基台11に固定しても良い。
【0050】
・上記実施形態では、基台11の上面11Aに遮光部材としての遮光リング11Eを設
けて反射型光センサ21での反射光L2の受光量にノイズ成分となる外乱光を遮光するよ
うにした。ただし、反射型光センサ21及び反射面20sが関節部に内蔵されるなど、そ
れらが予め遮光されている環境で用いられるときにはこうした遮光部材の配設を割愛する
こともできる。
【0051】
・上記実施形態では、ロボットは、スカラ型ロボット10であったが、ロボットは、回
転軸を有するロボット、例えば、多関節ロボットでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のロボットの側面構造を示す側面図。
【図2】同実施形態の回転角度検出装置の構造を図1のA−A線に沿った断面構造として示す断面図。
【図3】同実施形態の回転角度検出装置の反射体の構造を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面(底面)図。
【図4】同実施形態の回転角度検出装置による回転体の回転角度と反射型光センサ及び反射面間の対向距離との関係を示すグラフ。
【図5】同実施形態の回転角度検出装置による回転体の回転角度と反射型光センサが出力する電圧との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0053】
10…スカラ型ロボット、11…基台、11A…上面、11E…遮光リング、12…連
結軸、12A…下面、13…第1のアーム、13t…配線チューブ、14…支持部、15
…第2のアーム、15A…主軸筒、16…主軸、17…下端部、20…反射体、20A…
底部、20B…円筒側壁、20c…非連続面、20D…底部の裏面、20h…軸穴、20
s…反射面、21…反射型光センサ、AX1…回転軸、M1…第1モータ、M2…第2モ
ータ、M3…第3モータ、M4…昇降モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に回転軸を介して接続された回転体の前記支持体に対する回転角度を絶対角度と
して検出する回転角度検出装置であって、
前記支持体及び前記回転体の各々対向する面に対し、一方には反射型光センサを、他方
には前記反射型光センサでの反射光の受光量を前記回転体の回転方向に沿って可変とする
反射体をそれぞれ設け、これら反射型光センサ及び反射体の協働による反射型光センサの
受光出力の変化に基づいて前記回転軸を中心とする前記回転体の回転角度を検出する
ことを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
前記反射型光センサ及び前記反射体はそれらの対向面以外の周囲が遮光部材によって覆
われてなる
請求項1に記載の回転角度検出装置。
【請求項3】
前記反射体には前記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離が順次
変化する反射面が設けられてなる
請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
【請求項4】
前記反射体の反射面は前記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離
がリニアに変化する傾斜面からなる
請求項3に記載の回転角度検出装置。
【請求項5】
前記反射体の反射面は前記回転体の回転方向に沿って前記反射型光センサとの対向距離
が段階的に変化する段状面からなる
請求項3に記載の回転角度検出装置。
【請求項6】
前記反射体には前記回転体の回転方向に沿って階調が順次変化する反射面が設けられて
なる
請求項1または2に記載の回転角度検出装置。
【請求項7】
支持体に回転軸を介して接続されたアームの前記支持体に対する回転角度を絶対角度と
して検出する回転角度検出装置を備えるロボットのアーム回動機構であって、
前記回転角度検出装置として請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転角度検出装置を
備える
ことを特徴とするロボットのアーム回動機構。
【請求項8】
支持体に回転軸を介して接続されたアームを有し、該アームの前記支持体に対する回転
角度を絶対角度として検出しつつ、同アームを目標とする角度に移動させるアーム回動機
構を備えるロボットであって、
前記アーム回動機構として請求項7に記載のアーム回動機構を備える
ことを特徴とするロボット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−156833(P2009−156833A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338594(P2007−338594)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】