説明

固体撮像装置とその製造方法、及び電子機器

【課題】転送効率を低下させることなく、暗電流の発生をも抑制し、白点等の欠陥が抑制された固体撮像装置を提供する。
【解決手段】受光部PDに面する側の側面がテーパ形状とされた転送ゲート電極18を有する構成とする。受光部PDは、基板12の最表面に形成される第1導電型の高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域25と、暗電流抑制領域25の下部に形成される第2導電型の不純物領域からなる電荷蓄積領域24、とから構成され、受光量に応じた信号電荷を生成する。また、転送ゲート電極18は、基板12上部の受光部PDに隣接する領域にゲート絶縁膜13を介して形成され、側面にサイドウォールSWを有する。転送ゲート電極18の側面をテーパ形状とすることにより、その側面に形成されるサイドウォールSWの厚みが制御される。このサイドウォールSW越しにイオン注入することにより、形成領域が制御された暗電流抑制領域25が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置とその製造方法に関する。また、その固体撮像装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、CCD(Charge Coupled Device)型固体撮像装置と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型固体撮像装置とに大別される。
【0003】
CCD型固体撮像装置やCMOS型固体撮像装置では、ウェハ表面近傍の界面準位の影響で発生する暗電流に起因する白点等の画素欠陥の対策として、フォトダイオード表面側に暗電流抑制領域を形成する手法が採られている。例えば、電子を信号電荷として扱うフォトダイオードでは、フォトダイオードの表面側に濃いp型の不純物をイオン注入することにより暗電流抑制領域を形成している。p型の高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域では、フォトダイオード表面に発生する暗電流となる電子を多数キャリアの正孔によって再結合させることにより暗電流を抑制し、白点等の画素欠陥の発生を抑制している。
【0004】
しかしながら、フォトダイオード表面に高濃度の不純物領域を形成することにより、信号電荷の転送効率の悪化が問題になる。そこで、転送効率の向上と白点等の欠陥抑制を両立する手法として、転送ゲート電極と、フォトダイオード表面に形成された暗電流抑制領域との距離を最適に制御する技術が必要である。
【0005】
例えば、下記特許文献1では、CMOS型固体撮像装置において、転送ゲート部と暗電流抑制領域との距離を最適にするために、転送ゲート電極のサイドウォール越しにイオン注入することで、暗電流抑制領域をセルフアラインで形成することが記載されている。
【0006】
図13及び図14に、従来のCMOS型固体撮像装置において用いられている暗電流抑制領域の製造工程を示す。図13及び図14は、受光部PD及び転送トランジスタを含む所定の領域の断面における製造工程を示したものである。
【0007】
図13Aに示すように、シリコンからなる半導体基板112上に、例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜113を形成し、ゲート絶縁膜113上に例えばポリシリコンからなる所望のゲート電極を形成する。図13Aでは、転送トランジスタを構成する転送ゲート電極118と、画素領域に構成される転送トランジスタ以外のトランジスタや、周辺ロジック回路に構成される所望のトランジスタ(以下、非転送トランジスタ)の非転送ゲート電極116とを図示している。これらの転送ゲート電極118及び非転送ゲート電極116は、ポリシリコン膜をエッチングにより所望の形状にパターン加工することにより形成される。また、転送ゲート電極118及び非転送ゲート電極116の側面は、半導体基板112の水平面に対してほぼ垂直となるようにエッチングされている。そして、転送ゲート電極118及び非転送ゲート電極116形成後、受光部PDのみに開口部を有するレジストマスクを用いて、n型の不純物をイオン注入することにより電荷蓄積領域124を形成する。このとき、転送ゲート電極118脇の領域には、転送ゲート電極118をマスクとしたセルフアラインのイオン注入がなされる。
【0008】
その後、図13Bに示すように、転送ゲート電極118及び非転送ゲート電極116を含む全面に、例えばCVD法を用いてシリコン窒化膜114及びシリコン酸化膜115を順に成膜する。
【0009】
その後、例えばRIE(Reactive Ion Etching)法により全面エッチバックする。これにより、図13Cに示すように、転送ゲート電極118及び非転送ゲート電極116の側面には、シリコン窒化膜114及びシリコン酸化膜115からなるサイドウォールSWが形成される。
【0010】
次に、図14Dに示すように、受光部PDが形成される領域以外の領域を覆うようにレジストマスク117を形成し、受光部PDを構成する電荷蓄積領域124の上部にp型の不純物を高濃度にイオン注入することにより、暗電流抑制領域125を形成する。この場合、暗電流抑制領域125と転送ゲート電極118との距離が最適になるように、暗電流抑制領域125がサイドウォールSWの下部に入り込んで形成されるために、図14Dに示すように矢印Iで示すような斜めのイオン注入がなされる。このように、斜めのイオン注入がなされることで、暗電流抑制領域125と転送ゲート電極118との距離Wが調整されるので、信号電荷の転送効率を悪化させることなく、暗電流の発生が効果的に抑制される。
【0011】
次に、図14Eに示すように、受光部PDが形成された領域を覆うようにレジストマスク119を形成し、サイドウォールSW越しにセルフアラインでn型の不純物を高濃度にイオン注入することにより、ソース・ドレイン領域120を形成する。これらのソース・ドレイン領域120は、サイドウォールSW越しのセルフアラインによって形成されるため、矢印Iで示すように半導体基板112の水平面に対して注入角が90°のイオン注入で形成すればよい。
このようにして、従来例の固体撮像装置が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−128296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のように、従来の固体撮像装置の製造方法では、受光部PDの表面側に形成された暗電流抑制領域125と転送ゲート電極118の距離が最適になるように、暗電流抑制領域125を構成するp型の不純物を斜めにイオン注入する方法が採られている。そして、斜めにイオン注入することにより、暗電流抑制領域125をサイドウォールSW下まで注入でき、暗電流抑制領域125と転送ゲート電極118端部との距離Wが調整される。これにより、転送ゲート電極118下部の半導体基板112に形成される転送ゲート部が暗電流抑制領域125から適当な距離だけ離れた位置に形成されるので、信号電荷の転送効率を悪化させることなく、暗電流の発生が効果的に抑制される。
【0014】
しかしながら、このように、不純物を斜め打ちすることによりサイドウォールSW下まで暗電流抑制領域125を形成する場合、転送ゲート電極118の形状とサイドウォールSWの形状に依存して、その都度、注入角等のイオン注入条件を変更する必要がある。
【0015】
また、近年多画素化が進む中、信号電荷が読み出されるフローティングディフュージョン部FDを、隣接する複数の画素で共有する構成が採られている。図15は、例えば2つの画素(受光部PD)で1つのフローティングディフュージョン部FDを共有する例である。このように、2つの画素で1つのフローティングディフュージョン部FDを共有する場合は、斜めのイオン注入で暗電流抑制領域125を形成する場合、図15に示すように、I方向のイオン注入と、I方向のイオン注入が必要となる。また、共有画素が増えることにより、方向を変えた斜めのイオン注入がさらに必要となり、結果として、イオン注入の回数を増やす必要が出てくる。このような工程数の増加に伴い、TAT(Turn Around Time)悪化や異物付着確率増加による低歩留りの懸念がある。
【0016】
上述の点に鑑み、本発明は、転送効率を低下させることなく、暗電流の発生を抑制することにより白点等の欠陥が抑制された固体撮像装置を提供する。また、工程数の低減及び歩留りの向上が図られた固体撮像装置の製造方法を提供する。さらに、この固体撮像装置を用いた電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の固体撮像装置は受光部に面する側の側面がテーパ形状とされた転送ゲート電極を有して構成されている。受光部は、基板の最表面に形成される第1導電型の高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域と、暗電流抑制領域の下部に形成される第2導電型の不純物領域からなる電荷蓄積領域、とから構成され、受光量に応じた信号電荷を生成する。また、転送ゲート電極は、基板上部の受光部に隣接する領域にゲート絶縁膜を介して形成され、側面にサイドウォールを有する。
【0018】
本発明の固体撮像装置では、転送ゲート電極の受光部に面する側の側面がテーパ形状に形成されている。このため、転送ゲート電極の受光部に面する側の側面に形成されるサイドウォールは、その幅が薄くなるように形成され、この幅により、暗電流抑制領域と転送ゲート電極端部の距離が調整される。
【0019】
本発明の固体撮像装置の製造方法は、まず、基板上にゲート絶縁膜を形成し、その上部に電極層を形成する。次に、電極層をエッチングし、基板の受光部が形成される領域に面する側の側面がテーパ形状にされた転送ゲート電極と、側面が垂直形状にされた非転送ゲート電極とを形成する。次に、転送ゲート電極及び非転送ゲート電極上にサイドウォールを形成する工程を有する。転送ゲート電極のテーパ形状の側面に形成されたサイドウォール越しに所望の不純物をイオン注入することにより、基板の受光部が形成される領域の最表面に暗電流抑制領域をセルフアラインで形成する。
【0020】
本発明の固体撮像装置の製造方法では、転送ゲート電極の受光部に面する側の側面がテーパ形状に形成する。このため、転送ゲート電極の受光部に面する側の側面に形成されるサイドウォールは、その幅が薄くなるように形成される。そして、このサイドウォール越しに不純物をイオン注入することにより、セルフアラインで暗電流抑制領域が形成され、暗電流抑制領域は転送ゲート電極端部からサイドウォールの幅分離れた領域に形成される。
【0021】
また、本発明の電子機器は、光学レンズと、上述した固体撮像装置と、信号処理回路とを含んで構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、暗電流抑制領域の形成領域を精度良く制御することができ、転送効率を低下させることなく、暗電流の発生を抑制することによる白点等の欠陥が抑制された固体撮像装置が得られる。また、この固体撮像装置により、画質の向上が図られた電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る固体撮像装置の受光部PDを含む所定の領域の断面構成図である。
【図3】A〜C 第1の実施形態の固体撮像装置の製造工程図(その1〜その3)である。
【図4】D〜E 第1の実施形態の固体撮像装置の製造工程図(その4〜その6)である。
【図5】G 第1の実施形態の固体撮像装置の製造工程図(その7)である。
【図6】A,B 2つの画素(受光部)で、1つのフローティングディフュージョン部を共有した場合の平面レイアウト図と、そのA−A’線上に沿う断面図である。
【図7】A,B 比較例1に係る固体撮像装置の製造工程図である。
【図8】A,B 比較例2に係る固体撮像装置の製造工程図である。
【図9】A,B 比較例4に係る固体撮像装置の製造工程図である。
【図10】A〜C 第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造工程図(その1〜その3)である。
【図11】D 第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造工程図(その4)である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る電子機器の概略構成図である。
【図13】A〜C 従来例の固体撮像装置の製造工程図(その1〜その3)である。
【図14】D,E 従来例の固体撮像装置の製造工程図(その4,5)である。
【図15】従来例の固体撮像装置において、2つの画素(受光部)で、1つのフローティングディフュージョン部を共有した場合の平面レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る固体撮像装置とその製造方法、及び電子機器の一例を、図1〜図12を参照しながら説明する。本発明の実施形態は以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.第1の実施形態:固体撮像装置
1−1 固体撮像装置全体の構成
1−2 要部の構成
1−3 製造方法
2.第2の実施形態:固体撮像装置の製造方法
3.第3の実施形態:電子機器
【0025】
〈1.第1の実施形態:固体撮像装置〉
[1−1 固体撮像装置全体の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体を示す概略構成図である。
本実施形態例の固体撮像装置1は、シリコンからなる基板11上に配列された複数の画素2から構成される画素部3と、垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8等を有して構成される。
【0026】
画素2は、フォトダイオードからなる受光部と、複数の画素トランジスタとから構成され、基板11上に、2次元アレイ状に規則的に複数配列される。画素2を構成する画素トランジスタは、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、アンプトランジスタで構成される4つのMOSトランジスタであってもよく、また、選択トランジスタを除いた3つのトランジスタであってもよい。
【0027】
画素部3は、2次元アレイ状に規則的に複数配列された画素2から構成される。画素部3は、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を増幅してカラム信号処理回路5に読み出す有効画素領域と、黒レベルの基準になる光学的黒を出力するための黒基準画素領域(図示せず)とから構成されている。黒基準画素領域は、通常は、有効画素領域の外周部に形成されるものである。
【0028】
制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成する。そして、制御回路8で生成されたクロック信号や制御信号などは、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等に入力される。
【0029】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素部3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各画素2のフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0030】
カラム信号処理回路5は、例えば、画素2の列毎に配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列毎に黒基準画素領域(図示しないが、有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10とのあいだに設けられている。
【0031】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0032】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して、順次に供給される信号に対し信号処理を行い出力する。
【0033】
[1−2 要部の構成]
次に、図2を用いて、本実施形態例の固体撮像装置1の要部の概略構成について説明する。図2は、受光部PDを含む所定の領域の断面構成図である。図2では、受光部PDと、転送トランジスタTraと、画素部3に形成される転送トランジスタTra以外の画素トランジスタ及び周辺ロジック回路に形成されるトランジスタ(以下、非転送トランジスタTrb)とを図示している。
また、本実施形態例の固体撮像装置1では、電子を信号電荷として用いる例を示し、各トランジスタはnチャネルMOSトランジスタで構成される例としている。また、本実施形態例では、本発明における第1導電型をp型、第2導電型をn型として説明する。
【0034】
受光部PDは、p型の半導体基板12の表面側に形成されたn型不純物領域からなる電荷蓄積領域24と、電荷蓄積領域24上の半導体基板12最表面に形成されたp型高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域25とから構成されている。受光部PDでは、暗電流抑制領域25と電荷蓄積領域24との間のpn接合によって主なフォトダイオードが構成され、受光部PDに入射した光の光量に応じて生成された信号電荷が電荷蓄積領域24に蓄積される。また、暗電流抑制領域25では半導体基板12表面に発生した暗電流の原因となる電子が、多数キャリアである正孔によって再結合されることにより暗電流の発生が抑制される。
【0035】
また、半導体基板12の表面側の所望の領域には、各トランジスタを構成するソース・ドレイン領域17が、n型の高濃度不純物領域により形成されている。
【0036】
転送トランジスタTraは、受光部PDに隣接する領域の半導体基板12上部に、ゲート絶縁膜13を介して形成された転送ゲート電極18を有して構成されている。転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面は転送ゲート電極18の上部から裾部にかけて斜めに広がる形状(テーパ形状)に形成されている。また、転送ゲート電極18の受光部PDとは反対側のソース・ドレイン領域17(この場合、フローティングディフュージョン部とされる)に面する側の側面は、半導体基板12の水平面に対してほぼ直角に形成されている。そして、半導体基板12の転送ゲート電極18下部に対応する半導体領域が転送トランジスタTraの転送ゲートとされる。このような転送トランジスタTraでは、転送ゲート電極18に所望の電圧を供給することにより、受光部PDで生成、蓄積された信号電荷が、転送ゲートを介してフローティングディフュージョン部となるソース・ドレイン領域17に転送される。
【0037】
隣接する所望のソース・ドレイン領域17間の半導体基板12上部には、ゲート絶縁膜13を介して非転送トランジスタTrbを構成する非転送ゲート電極16が形成されている。これらの非転送トランジスタTrbを構成する非転送ゲート電極16のソース・ドレイン領域17に面する側面は、半導体基板12の水平面に対してほぼ垂直形状とされている。そして、半導体基板12の非転送ゲート電極16下部に対応する半導体領域が非転送トランジスタTrbのゲートとされる。
【0038】
転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16の側面には、それぞれ、絶縁膜からなるサイドウォールSWが形成されており、本実施形態例のサイドウォールSWは、シリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15の2層の絶縁膜から構成されている。
【0039】
[1−3 製造方法]
図3〜図5は、本実施形態例の固体撮像装置1の製造工程図である。図3〜図5を用いて、本実施形態例の固体撮像装置1の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図3Aに示すように、p型の半導体基板12上部に例えばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜13を形成し、ゲート絶縁膜13上に例えばポリシリコンからなる所望のゲート電極を形成する。図3Aでは、転送トランジスタTraを構成する転送ゲート電極18と、非転送トランジスタTrbの非転送ゲート電極16とを図示している。これらの転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16は、例えばポリシリコンからなる電極層をドライエッチングにより所望の形状にパターン加工することにより形成する。そして、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16の側面は、半導体基板12の水平面に対してほぼ垂直形状(87°以上90°以下)となるようにエッチング加工する。
本実施形態例では、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16をポリシリコンで形成する例としたが、その他、PDAS(リンドープトアモルファスシリコン)で形成する例としてもよい。
【0041】
次に、図3Bに示すように、受光部PDが形成される領域に面する側が開口されたレジストマスク19を形成する。このとき、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の肩部が所望の範囲、露出された状態とされ、非転送ゲート電極16は、全てレジストマスク19で覆われた状態とされる。
【0042】
この状態において、レジストマスク19から露出した肩部をエッチングすることにより、図3Cに示すように、受光部PDに面する側の側面に順テーパ加工が施された転送ゲート電極18を得る。この場合、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法のドライエッチングにおいて、HBr/Oガスを用い、高圧力下でエッチング加工を行う。これにより、ゲート絶縁膜13を構成するシリコン酸化膜に対して高選択比で転送ゲート電極18がエッチングされ、側面に所望のテーパ形状が形成された転送ゲート電極18を得ることができる。このテーパ形状の角度は、エッチング条件を変えることで変更することができる。
また、RIEの他、ICP(Inductive Coupled Plasma)−RIE、CCP(Capacitive Coupled Plasma)−RIE、ECR(Electron Cyclotron Resonance)−RIEを用いることができる。
【0043】
図3Cで形成されるテーパ形状の角度は、半導体基板12の水平面に対して、90°よりも小さい角度で形成されており、好適な角度は転送ゲート電極18の高さや、後の工程で形成されるサイドウォールの厚みによって変わる。本実施形態例では、例えばテーパ形状が、半導体基板12の水平面に対して70°となるようにエッチング条件を選択する。 このようにして、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面は、転送ゲート電極18上部から裾部に広がるようなテーパ形状とされる。
【0044】
次に、図4Dに示すように、受光部PDが形成される領域にn型の不純物領域からなる電荷蓄積領域24を形成する。その後、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16を含むゲート絶縁膜13上部に絶縁膜であるシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15を順に形成する。電荷蓄積領域24は、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16形成後、受光部PDが形成される領域のみに開口を有するレジストマスクを用いて、n型の不純物をイオン注入することにより形成する。このとき、転送ゲート電極18脇の領域には、転送ゲート電極18をマスクとしたセルフアラインのイオン注入がなされる。また、シリコン窒化膜14a、及びシリコン酸化膜15aは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成する。
【0045】
次に、全面にエッチバックをかけることにより、図4Eに示すように、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16の側面にシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15(2層の絶縁膜)からなるサイドウォールSWを形成する。このとき、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面はテーパ形状とされているため、そのテーパ形状とされる側面に形成された2層の絶縁膜の垂直方向の厚みは、垂直形状とされる側面に形成された2層の絶縁膜の垂直方向の厚みよりも薄い。そして、全面エッバックする場合、全面で同じ厚みだけ絶縁膜がエッチングされる。これらの理由から、テーパ形状とされた転送ゲート電極18の側面に形成されたサイドウォールSWの厚み(幅Wa)は、垂直形状とされた転送ゲート電極18又は非転送ゲート電極16の側面に形成されたサイドウォールSWの厚み(幅Wb)よりも小さくなる。
【0046】
次に、図4Fに示すように、受光部PDが形成される領域のみに開口を有するレジストマスク20を形成し、電荷蓄積領域24上部の半導体基板12表面にp型の不純物を高濃度にイオン注入することにより暗電流抑制領域25を形成する。このイオン注入の注入角は、図4Fの矢印Iaで示すように、半導体基板23の水平面に対して約90°とする。そして、本実施形態例では、転送ゲート電極18脇の受光部PD領域では、サイドウォールSW越しにセルフアラインでイオン注入されることにより暗電流抑制領域25が形成される。このため、転送ゲート端部と、暗電流抑制領域25との間の距離は、テーパ形状とされた転送ゲート電極18の側面に形成されたサイドウォールSWの厚み(幅Wa)となる。
【0047】
その後、図5Gに示すように、受光部PDが形成された領域を覆うようにレジストマスク21を形成し、転送ゲート電極18、又は非転送ゲート電極16脇の所望の半導体基板12領域にn型の不純物を高濃度にイオン注入する。これにより所望のソース・ドレイン領域17を形成する。この場合も、イオン注入はサイドウォールSW越しにセルフアラインでなされ、その注入角は、図5Gの矢印Ibで示すように、約90°とされる。
【0048】
本実施形態例では、以上のようにして、受光部PDや転送トランジスタTra、及び非転送トランジスタTrb等が形成される。
【0049】
本実施形態例では、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面をテーパ形状とすることにより、その側面に形成されるサイドウォールSWの厚み(幅Wa)を調整することができる。これにより、暗電流抑制領域25と転送ゲート電極端部との距離をサイドウォールの厚み(幅Wa)で調整することが可能となるため、垂直方向のイオン注入によりセルフアラインで暗電流抑制領域25を形成することができる。このため、斜めのイオン注入などが必要なく、サイドウォールの厚み(幅Wa)を調整することで暗電流抑制領域25の形成領域を精度良く調整することができる。また、他の画素トランジスタや周辺ロジック回路のトランジスタのソース・ドレイン領域17の形成に影響なく、転送ゲート端と、受光部PD表面に形成された暗電流抑制領域25との距離を適度に近づけることができる。これにより、転送効率を低下させることなく、暗電流の発生を抑制することによる白点等の欠陥抑制が可能となる。
【0050】
また、本実施形態例の固体撮像装置1では、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面のみをテーパ形状にするだけでよく、他の構成や、製造工程は、通常の固体撮像装置の構成、及び製造工程を用いることができる。このため、従来の固体撮像装置の製造工程から大きな変更をする必要がなく、本実施形態例の固体撮像装置が実現できる。
【0051】
図6Aは、2つの画素(受光部PD)で、1つのフローティングディフュージョン部FDを共有した場合の平面レイアウト図である。受光部PDとフローティングディフュージョン部FDとの間には、それぞれ、転送トランジスタTraを構成する転送ゲート電極18が構成されている。
図6Bは、図6AのA−A’線上に沿う断面構成図である。図6A,Bに示した固体撮像装置は、本実施形態と同様に、図3〜図5の工程で形成したものである。
【0052】
本実施形態例の製造方法を用いて図6Aに示すような固体撮像装置を製造する場合は、各転送ゲート電極18において、図6Bに示すように受光部PDに面する側の側面をテーパ形状に形成する。これにより、半導体基板12の水平面に対して注入角が90°のイオン注入でサイドウォールSW越しにセルフアラインで形成される暗電流抑制領域25は、転送ゲート端部からサイドウォールSWの幅Waだけ離れた領域に形成できる。そして、イオン注入の注入角を90°とすることができるため、フローティングディフュージョン部FDを共有する2つの受光部PDで、同時に暗電流抑制領域25を形成することができる。このため、1回のイオン注入で、全画素の暗電流抑制領域25を形成することができる。
【0053】
このように、2つの画素で1つのフローティングディフュージョン部FDを共有する固体撮像装置に本実施形態例を適用する場合は、暗電流抑制領域25を形成する際に、図13に示した従来の製造方法のように注入角を変えた斜めのイオン注入が必要ない。このため、工程数を減らすことができる。これにより、工程数増加に伴うTAT悪化を抑制し、異物付着率を低減することができるので、歩留りを向上することができる。
【0054】
また、1つのフローティングディフュージョン部FDを共有する画素(受光部PD)が2つよりも増えた場合にも、本実施形態例の製造方法を用いることで、1回のイオン注入で暗電流抑制領域25を形成することができる。
【0055】
図7〜図9に、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面の形状を本実施形態例以外の形状にした場合の比較例1〜比較例3を示す。
【0056】
まず、図7A,Bを用いて比較例1について説明する。
図7A,Bは、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面のテーパ形状の角度を、半導体基板12の水平面に対して、本実施形態例の規定範囲よりも小さく設定した場合の製造工程図である。すなわち、テーパ形状は、本実施形態例のテーパ形状よりも緩やかにされた例である。
【0057】
テーパ形状を図7Aに示すように緩やか(例えば45°のテーパ角)に形成した場合、転送ゲート電極18上部に形成したシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15を本実施形態例と同様の方法でエッチバックする。そうすると、テーパ形状をなした転送ゲート電極18の側面では、シリコン酸化膜15の表面から転送ゲート電極18に到達するまでの距離が小さいため、テーパ形状の側面に形成されたシリコン酸化膜15が必要以上にエッチング除去されてしまう。このため、結果的に転送ゲート電極18のテーパ形状に形成された側面にはサイドウォールが形成されず、転送ゲート電極18と暗電流抑制領域25の距離をサイドウォールの厚みで制御することができない。
【0058】
次に、図8A,Bを用いて比較例2について説明する。
図8A,Bは、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面が、転送ゲート電極18の上部が裾部に広がるテーパ形状とされ、さらに、その側面が凹状のラウンド形状を有するように形成された場合の製造工程図である。
【0059】
転送ゲート電極18の側面が、図8Aに示すようなラウンド形状を有する場合、転送ゲート電極18上部に形成したシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15を本実施形態例と同様の方法でエッチバックする。そうすると、図8Bに示すように、ラウンド形状をなした転送ゲート電極18の側面ではラウンド形状とされた転送ゲート電極18側面に形成されたシリコン酸化膜15のみが残り転送ゲート電極18の裾部の側面のシリコン酸化膜15はエッチング除去されてしまう。このため、図8の例でも、転送ゲート電極18のラウンド形状に形成された側面の裾部にはサイドウォールが形成されない結果となり転送ゲート電極18と暗電流抑制領域25の距離をサイドウォールの厚みで制御することができない。
【0060】
次に、図9A,Bを用いて比較例3について説明する。
図9A,Bは、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面が、転送ゲート電極18の上部から裾部にかけて内側に入り込むように、逆テーパ形状に形成された場合の製造工程図である。
【0061】
転送ゲート電極18の側面が、図9Aに示すような逆テーパ径所を有する場合、転送ゲート電極18の上部にシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15を形成し、本実施形態例と同様の方法でエッチバックする。この場合、シリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15は、逆テーパ形状とされた側面と、半導体基板12との間に埋めこまれて形成される。そして、このシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15をエッチバックした場合、逆テーパ形状とされた側面と半導体基板12との間に入り込んだシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15からなる絶縁膜は、図9Bに示すように、エッチングされずに残る。そうすると、逆テーパ形状に形成された転送ゲート電極18の側面とその側面に形成されたサイドウォール端部との距離は、垂直に形成された転送ゲート電極18の側面と、その側面に形成されたサイドウォール端部との距離よりも大きくなってしまう。この場合、かえって、受光部PDに面する側の側面と暗電流抑制領域25との距離は大きくなってしまう。
【0062】
以上の比較例1〜3より、本実施形態例の固体撮像装置1では、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面のテーパ形状を好適な角度で形成することで、転送ゲート電極18端部と、暗電流抑制領域25との距離を好適に調整できることがわかる。
【0063】
〈2.第2の実施形態:固体撮像装置の製造方法〉
次に、本発明の第2の実施形態における固体撮像装置の製造方法について説明する。本実施形態例は、製造方法が第1の実施形態における固体撮像装置の製造方法と異なる例である。本実施形態例の固体撮像装置全体の構成は図1と同様であり、また、本実施形態例で製造される固体撮像装置の要部の断面構成は図2と同様であるので、重複説明を省略する。
【0064】
図10〜図12は、本実施形態例の固体撮像装置の製造工程図である。
本実施形態例では、まず、図10Aに示すように、p型の半導体基板12上にゲート絶縁膜13を介して例えばポリシリコンからなる電極層18bを形成し、その電極層18b上部にレジストマスク22を形成し電極層18aをエッチングする。これにより、非転送ゲート電極16を形成する。
【0065】
次に、図10Bに示すように、転送ゲート電極18の受光部PDに面する側の側面となる位置から、受光部PDが形成される領域に開口を有するレジストマスク28を形成する。
【0066】
次に、例えば、ECR方式のプラズマエッチング装置を用い、エッチングガスに臭化水素、塩素、酸素の混合ガスを用いてレジストマスク28の開口から露出した電極層18bをエッチング除去する。このエッチング条件により、ゲート絶縁膜13を構成するシリコン酸化膜に対して高選択比で電極層18bをエッチング加工することができる。このため、図10Cに示すように所望のテーパ形状を有する転送ゲート電極18を得ることができる。テーパ形状の角度は、半導体基板12の水平面に対して、90°よりも小さい角度で形成されており、好適な角度は転送ゲート電極18の高さや、後の工程で形成されるサイドウォールの厚みによって変わる。本実施形態例では、例えばテーパ形状が、半導体基板12の水平面に対して70°となるようにエッチング条件を選択する。
本実施形態例では、ECR方式のプラズマエッチング装置を用いる例としたが、その他、第1の実施形態と同様の加工条件が可能であり、RIE、ICP−RIE、CCP−RIEを用いることでもテーパ形状を有する転送ゲート電極18を形成することができる。
【0067】
次に、図示を省略するが、受光部PDに開口を有するレジストマスクを形成したのち、受光部PDが形成される領域に、n型の不純物をイオン注入することにより電荷蓄積領域24を形成する。この場合、転送ゲート電極18脇の領域では、転送ゲート電極18の端部をマスクとしてセルフアラインにより電荷蓄積領域24が形成される。
その後、図11Dに示すように、転送ゲート電極18及び非転送ゲート電極16を含むゲート絶縁膜13上にシリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜15の2層の絶縁層を順に形成する。これらのシリコン窒化膜14やシリコン酸化膜15は、第1の実施形態と同様にCVD法により形成することができる。
【0068】
その後、第1の実施形態における図4E〜図5Gの製造工程を経て、図2に示す固体撮像装置を得ることができる。
【0069】
本実施形態例の固体撮像装置の製造方法においても、第1の実施形態の固体撮像装置と同様の構成を有する固体撮像装置を得ることができ、第1の実施形態で得られる固体撮像装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0070】
上述した第1及び第2の実施形態では、主として、nチャネルMOSトランジスタを用いた構成について説明したが、pチャネルMOSトランジスタ構成とすることもできる。この場合は、各図において、その導電型を反転した構成となる。
【0071】
また、上述の第1及び第2の実施形態では、入射光量に応じた信号電荷を物理量として検知する単位画素が行列状に配置されてなるCMOS型固体撮像装置に適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明はCMOS型固体撮像装置への適用に限られるものではない。また画素が二次元マトリックス状に形成された画素部の画素列ごとにカラム回路を配置してなるカラム方式の固体撮像装置全般に限定するものでもない。
【0072】
また、本発明は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置にも適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0073】
さらに、本発明は、画素部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像装置に限られるものではない。画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像装置に対しても適用可能である。
なお、固体撮像装置はワンチップとして形成された形態であってもよいし、画素部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0074】
また、本発明は、固体撮像装置への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機などの撮像機能を有する電子機器のことを言う。なお、電子機器に搭載される上記モジュール状の形態、即ちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。以下に、本発明の電子機器について説明する。
【0075】
〈3.第3の実施形態:電子機器〉
図12は、本発明の第3の実施形態に係る電子機器200の概略構成図である。
本実施形態例の電子機器200は、上述した本発明の第1の実施形態における固体撮像装置1を電子機器(カメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0076】
本実施形態に係る電子機器200は、固体撮像装置1と、光学レンズ210と、シャッタ装置211と、駆動回路212と、信号処理回路213とを有する。
【0077】
光学レンズ210は、被写体からの像光(入射光)を集光して固体撮像装置1の撮像面上に結像させる。これにより固体撮像装置1内に一定期間当該信号電荷が蓄積される。
シャッタ装置211は、固体撮像装置1への光照射期間および遮光期間を制御する。
駆動回路212は、固体撮像装置1の転送動作およびシャッタ装置211のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路212から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置1の信号転送を行なう。信号処理回路213は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、あるいはモニタに出力される。
【0078】
本実施形態例の電子機器200では、固体撮像装置1において、暗電流抑制領域の形成領域を精度良く制御することができ、転送効率を低下させることなく、暗電流の発生を抑制することによる白点等の欠陥抑制が可能となるため、画質の劣化が抑制される。
【0079】
このように、固体撮像装置1を適用できる電子機器200としては、カメラに限られるものではなく、デジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置に適用可能である。
【0080】
本実施形態例においては、固体撮像装置1を電子機器に用いる構成としたが、前述した第2の実施形態によって形成された固体撮像装置を用いることもできる。
【符号の説明】
【0081】
1 固体撮像装置
2 画素
3 画素部
4 垂直駆動回路
5 カラム信号処理回路
6 水平駆動回路
7 出力回路
8 制御回路
10 水平信号線
11 基板
12 半導体基板
13 ゲート絶縁膜
14 シリコン窒化膜
14a シリコン窒化膜
15 シリコン酸化膜
15a シリコン酸化膜
16 非転送ゲート電極
17 ソース・ドレイン領域
18 転送ゲート電極
18a 電極層
18b 電極層
19 レジストマスク
20 レジストマスク
21 レジストマスク
22 レジストマスク
23 半導体基板
24 電荷蓄積領域
25 暗電流抑制領域
28 レジストマスク
PD 受光部
FD フローティングディフュージョン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の最表面に形成される第1導電型の高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域と、前記暗電流抑制領域の下部に形成される第2導電型の不純物領域からなる電荷蓄積領域、とから構成され、受光量に応じた信号電荷を生成する受光部と、
前記基板上部の前記受光部に隣接する領域にゲート絶縁膜を介して形成された転送ゲート電極であって、前記受光部に面する側の側面がテーパ形状とされ、側面にサイドウォールを有する転送ゲート電極と、
を有する固体撮像装置。
【請求項2】
前記基板上部の所望の領域には、ゲート絶縁膜を介して形成された非転送ゲート電極を有し、
前記転送ゲート電極の前記テーパ形状とされた側面以外の側面及び、前記非転送ゲート電極の側面は、前記基板の水平面に対してほぼ垂直となるように形成され、
前記転送ゲート電極のテーパ形状とされた側面に形成される前記サイドウォールの厚みは、前記基板の水平面に対してほぼ垂直となるように形成された前記転送ゲート電極及び非転送ゲート電極の側面に形成されたサイドウォールの厚みよりも小さく形成されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記暗電流抑制領域は、前記転送ゲート電極端部から前記テーパ形状とされた側面に形成されたサイドウォールの厚み分だけ離れた領域に形成されている
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
基板上にゲート絶縁膜を形成し、その上部に電極層を形成する工程、
前記電極層をエッチングし、前記基板の受光部が形成される領域に面する側の側面がテーパ形状にされた転送ゲート電極と、側面が垂直形状にされた非転送ゲート電極とを形成する工程、
前記転送ゲート電極及び非転送ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程、
前記転送ゲート電極のテーパ形状の側面に形成されたサイドウォール越しに所望の不純物をイオン注入することにより、前記基板の前記受光部が形成される領域の最表面に暗電流抑制領域をセルフアラインで形成する工程、
を含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項5】
前記暗電流抑制領域を形成する工程で用いられるイオン注入は、前記基板の水平面に対して垂直方向の注入角で行う
請求項4記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
前記転送ゲート電極と、前記非転送ゲート電極を形成する工程は、
前記電極層をエッチングし、側面が垂直加工された転送ゲート電極及び非転送ゲート電極を形成する工程、前記転送ゲート電極の受光部が形成される領域に面する側の側面をエッチングによりテーパ形状に加工する工程からなる
請求項5記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
前記転送ゲート電極と前記非転送ゲート電極を形成する工程は、
前記電極層をエッチングし、側面が垂直加工された非転送ゲート電極を形成する工程、前記非転送ゲート電極が形成する工程の後、又は前において、前記電極層をエッチングし、前記基板の受光部が形成される領域に面する側の側面がテーパ形状とされた転送ゲート電極を形成する工程からなる
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項8】
光学レンズと、
前記光学レンズで集光された光が照射される固体撮像装置であって、基板の最表面に形成される第1導電型の高濃度不純物領域からなる暗電流抑制領域と前記暗電流抑制領域の下部に形成される第2導電型の不純物領域からなる電荷蓄積領域とから構成され、受光量に応じた信号電荷を生成する受光部と、前記半導体基板上部の前記受光部に隣接する領域にゲート絶縁膜を介して形成された転送ゲート電極であって、前記受光部に面する側の側面がテーパ形状とされ、側面にサイドウォールを有する転送ゲート電極と、を有する固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
を含む電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−278080(P2010−278080A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126863(P2009−126863)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】