説明

圧縮機の運転制御装置及びその方法

【課題】 圧縮機の負荷が変動しても圧縮機の運転効率を向上させることができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 圧縮機の運転制御装置は、圧縮機60のモータに印加される電流値及び圧縮機60のモータに印加される電圧値に基づいて、圧縮機60のストローク推定値と速度推定値を演算するストローク/速度演算器50と、この速度推定値を積分して速度積分値を出力し、この速度積分値及びモータの電流値に基づいて、圧縮機60の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部70と、この決定された運転周波数基準値によって、圧縮機60の現在の運転周波数を変化させる制御器20と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関し、特に、往復動式圧縮機の運転制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、往復動式圧縮機は、回転運動を直線運動に変換するクランクシャフトがないため摩擦損失が少なく、これにより、圧縮効率が一般の圧縮機より高い。
【0003】
往復動式圧縮機を冷蔵庫やエアコンに使用する場合は、往復動式圧縮機に入力されるストローク電圧を変化させて、往復動式圧縮機の圧縮比を変化させることにより、冷力を制御することができる。
【0004】
以下、このような従来の往復動式圧縮機について、図7を参照して説明する。
【0005】
図7は、従来の往復動式圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【0006】
図7に示すように、従来の往復動式圧縮機の運転制御装置は、圧縮機6のモータ(図示せず)に印加される電流を検出する電流検出器4と、モータに印加される電圧を検出する電圧検出器3と、この検出された電流及び電圧の値、並びにモータの媒介変数に基づいて、圧縮機6のストローク推定値を演算するストローク演算器5と、この演算されたストローク推定値と予め設定されたストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器1と、この差値によってモータに印加される電圧を変化させて、圧縮機6の運転(ストローク)を制御するストローク制御器2と、から構成される。
【0007】
以下、このように構成された従来の往復動式圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
【0008】
まず、電流検出器4は、圧縮機6のモータ(図示せず)に印加される電流を検出し、その検出された電流値をストローク演算器5に出力する。このとき、電圧検出器3は、モータに印加される電圧を検出し、その検出された電圧値をストローク演算器5に出力する。
【0009】
次いで、ストローク演算器5は、上記の検出された電流値及び電圧値、並びにモータの媒介変数を下記の式(1)に代入して、圧縮機6のストローク推定値(X)を演算した後、その演算されたストローク推定値(X)を比較器1に印加する。
【0010】
【数1】

【0011】
式中、Rはモータの抵抗値、Lはモータのインダクタンス値、αはモータ常数、VMはモータに印加される電圧値、iはモータに印加される電流値、di/dtはモータに印加される電流iの時間変化率である。
【0012】
その後、比較器1は、上記のストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値をストローク制御器2に印加する。
【0013】
次いで、ストローク制御器2は、上記の差値に基づいて、圧縮機6のモータに印加される電圧を変化させることにより、圧縮機6のストロークを制御する。
【0014】
以下、このような従来の往復動式圧縮機の運転制御方法を、図8を参照してより詳しく説明する。
【0015】
図8は、従来の往復動式圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【0016】
まず、ストローク演算器5により、上記のストローク推定値が比較器1に印加されると(ステップS1)、比較器1は、このストローク推定値と予め設定されたストローク基準値とを比較し(ステップS2)、その比較結果による差値をストローク制御器2に出力する。
【0017】
次いで、ストローク制御器2は、上記のストローク推定値がストローク基準値より小さいと、圧縮機6のストロークを制御するために、モータに印加される電圧を増加させ(ステップS3)、また、ストローク推定値がストローク基準値より大きいと、モータに印加される電圧を減少させる(ステップS4)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、このような従来の往復動式圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、ストローク推定値及びストローク基準値に基づいて圧縮機のモータに印加される電圧を変化させることによって、圧縮機の機械的共振周波数が変動するにもかかわらず、常に同一の運転周波数で圧縮機を運転させるため、圧縮機の運転効率が低下するという問題点があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、圧縮機の負荷が変動しても圧縮機の運転効率を向上させることができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような目的を達成するために、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機のモータに印加される電流値及び前記圧縮機のモータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値及び速度推定値を演算するストローク/速度演算器と、前記速度推定値を積分して速度積分値を出力し、前記速度積分値及び前記電流値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、前記の検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、前記の決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の現在の運転周波数を変化させる制御器と、から構成される。
【0021】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機のモータに印加される電流を検出する電流検出器と、前記モータに印加される電圧を検出する電圧検出器と、前記検出された電流及び電圧の値、並びに前記モータの媒介変数に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値及び速度推定値を演算するストローク/速度演算器と、前記速度推定値を積分して速度積分値を出力し、該速度積分値及び前記電流値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、前記検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、前記ストローク演算器から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器と、前記決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、前記比較器から出力される差値によって、前記圧縮機のモータに印加される電圧を変化させることにより、前記圧縮機の運転を制御する制御器と、から構成される。
【0022】
そして、本発明による圧縮機の運転制御方法は、圧縮機のモータに印加される電流値及び前記モータに印加される電圧値に基づいて演算された圧縮機の速度推定値を積分して、速度積分値を出力する段階と、前記速度積分値及び前記電流値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出する段階と、前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する段階と、前記決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の運転周波数を変化させる段階と、からなる。
【0023】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機のモータに印加される電流値及び前記圧縮機のモータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算するストローク演算器と、前記電流値を積分して電流積分値を出力し、前記ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、前記検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、前記決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の現在の運転周波数を変化させる制御器と、から構成される。
【0024】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機のモータに印加される電流を検出する電流検出器と、前記モータに印加される電圧を検出する電圧検出器と、前記検出された電流及び電圧の値、並びに前記モータの媒介変数に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算するストローク演算器と、前記電流値を積分して電流積分値を出力し、前記ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、前記検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、前記ストローク演算器から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器と、前記決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、前記比較器から出力される差値によって、前記圧縮機のモータに印加される電圧を変化させることにより、前記圧縮機の運転を制御する制御器と、から構成される。
【0025】
そして、本発明による圧縮機の運転制御方法は、圧縮機のモータに印加される電流値及び前記モータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算する段階と、前記電流値を積分して電流積分値を出力する段階と、前記ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出する段階と、前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する段階と、前記決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の運転周波数を変化させる段階と、からなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、圧縮機の負荷が変動する度に、一周期間の各速度積分値及び各電流値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、その検出された機械的共振周波数によって、圧縮機の運転周波数を変化させることにより、圧縮機の負荷が変動しても圧縮機の運転効率を向上させることができるという効果がある。
【0027】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、圧縮機の負荷が変動する度に、一周期間の各ストローク推定値及び各電流積分値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、その検出された機械的共振周波数によって、圧縮機の運転周波数を変化させることにより、圧縮機の負荷が変動しても圧縮機の運転効率を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、圧縮機の負荷が変動しても圧縮機の運転効率を向上させることができる圧縮機の運転制御装置及びその方法の好ましい実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機60のモータ(図示せず)に印加される電流を検出する電流検出器40と、圧縮機60のモータに印加される電圧を検出する電圧検出器30と、この検出された電流及び電圧の値、並びにモータの媒介変数に基づいて、圧縮機60のストローク推定値及び速度推定値を演算するストローク/速度演算器50と、上記の速度推定値を積分し、この積分された速度推定値及び上記の検出された電流値に基づいて、圧縮機60の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部70と、ストローク/速度演算器50から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器10と、上記の決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、比較器10から出力される差値によって、圧縮機60のモータに印加される電圧を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する制御器20と、から構成される。
【0031】
以下、このように構成された本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
【0032】
まず、電流検出器40は、圧縮機60に印加される電流を検出し、その検出された電流値を、ストローク/速度演算器50及び運転周波数基準値決定部70にそれぞれ出力する。このとき、電圧検出器30は、圧縮機60に印加される電圧を検出し、その検出された電圧値を、ストローク/速度演算器50に出力する。
【0033】
次いで、ストローク/速度演算器50は、電流検出器40から出力される電流値及び電圧検出器30から出力される電圧値、並びに予め設定されたモータ媒介変数に基づいて、圧縮機60のストローク推定値及び速度推定値を演算した後、その演算されたストローク推定値と速度推定値をそれぞれ、比較器10と運転周波数基準値決定部70に出力する。
【0034】
その後、比較器10は、ストローク基準値とストローク/速度演算器50から出力されるストローク推定値とを比較し、その比較結果による差値を制御器20に出力する。
【0035】
その後、制御器20は、比較器10から出力される差値によって、圧縮機60に印加される電圧を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する。
【0036】
一方、運転周波数基準値決定部70は、上記の速度推定値を積分し、その積分された速度推定値(以下、速度積分値という)、及び電流検出器40により検出された電流値に基づいて、圧縮機60の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。
【0037】
例えば、運転周波数基準値決定部70は、モータが共振状態のとき、一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロ(0)のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する。即ち、運転周波数基準値決定部70は、運転周波数を変えて運転した場合に、上記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときに検出された運転周波数を、機械的共振周波数として認識し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。ここで、運転周波数と機械的共振周波数とが一致するとき、圧縮機60の運転効率が向上する。なお、上記の「一周期間の各速度積分値と各電流値」などの記載の「各」は、「一周期間の各サンプリング時点での」ということを意味する。
【0038】
上記の機械的共振周波数値は、下記の式(2)により得られる。
【0039】
【数2】

【0040】
即ち、運転周波数基準値決定部70は、上記の式(2)の第1式が成り立つときの運転周波数を機械的共振周波数として認識し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。式中、vは速度推定値で、前記の式(1)を時間微分して得られる上記の式(2)の第2式より演算され、またiはモータに印加される電流値である。
【0041】
なお、上記の式(2)の第1式は、
【0042】
【数3】

【0043】
と書き換えることができ、ここで、vmはサンプリング点mでの速度推定値、inはサンプリング点nでの電流値、Nは一周期間のサンプリング回数、Δtはサンプリング周期である。
【0044】
その後、制御器20は、運転周波数基準値決定部70から出力される運転周波数基準値によって、圧縮機60の現在の運転周波数を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する。即ち、制御器20は、上記の運転周波数基準値が現在の運転周波数値より大きいと、この現在の運転周波数を増加させ、上記の運転周波数基準値が現在の運転周波数値より小さいと、この現在の運転周波数を減少させる。
【0045】
以下、このような圧縮機のストロークの位相及び電流の位相について、図2A及び図2Bを参照して説明する。
【0046】
図2(A)は、本発明の第1実施形態による圧縮機のモータに印加される電流の位相、及び圧縮機のストロークの位相を示すグラフである。ここで、ストロークとは、圧縮機のピストンが往復運動を行うときのピストンの位置をいい、また、ストロークの位相とは、ピストンが往復運動を行うときのピストンの位置による波形(正弦波)をいう。
【0047】
図2(A)に示すように、上記のストロークの位相と電流の位相との差は90°であり、圧縮機の負荷が変動しても、上記のストロークの位相と電流の位相との差が90°のときに共振現象が起こることを、実験を通して明らかにした。
【0048】
図2(B)は、図2(A)のストロークの速度の位相、及び電流の位相を示す図である。
【0049】
前述のように圧縮機の負荷が変動しても、上記のストロークの速度を積分した波形をサンプリングした各速度積分値とモータに印加される各電流値とを乗算した値の和がゼロのときに共振現象が起こることを、実験を通して明らかにした。即ち、モータが共振状態のとき、一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算し、これらの乗算された値を加算すると、その加算された値はゼロとなる。従って、上記の各電流値と各速度積分値とを乗算した値の和がゼロのときに検出された運転周波数は、機械的共振周波数と一致する。
【0050】
以下、一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算し、これらの乗算された値を加算して、その加算された値がゼロのときに運転周波数を検出し、その検出された運転周波数値を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部70の動作を、図3を参照して詳細に説明する。
【0051】
図3は、本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【0052】
本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御方法は、圧縮機に印加される電流値及び電圧値を検出する段階と、この電流値及び電圧値に基づいて、圧縮機のストローク推定値及び速度推定値を演算する段階と、この速度推定値を積分して速度積分値を出力する段階と、一周期間のサンプリングの各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する段階と、この決定された運転周波数基準値によって、圧縮機の現在の運転周波数を変化させる段階と、からなる。ここで、上記の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときに検出された運転周波数は、圧縮機の機械的共振周波数と一致する。従って、上記の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数によって、圧縮機の現在の運転周波数を変化させると、この変化させた運転周波数が機械的共振周波数と一致するので、圧縮機の運転効率が向上する。
【0053】
即ち、図3に示すように、まず、運転周波数基準値決定部70は、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算し、これらの乗算された値の和を計算し(ステップS11)、その計算された和を、以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和と比較する(ステップS12)。
【0054】
その後、運転周波数基準値決定部70は、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、圧縮機60の現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと(ステップS13)、上記の現在の運転周波数を減少させ続けて、一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数(機械的共振周波数と一致する)を、運転周波数基準値として決定する(ステップS15)。
【0055】
これに対して、運転周波数基準値決定部70は、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より小さいと(ステップS13)、現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS16)。
【0056】
一方、運転周波数基準値決定部70は、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より小さいと(ステップS14)、現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS17)。
【0057】
これに対して、運転周波数基準値決定部70は、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと(ステップS14)、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS18)。
【0058】
従って、上記の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときに検出された運転周波数は、圧縮機の機械的共振周波数と一致するので、上記の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロのときの運転周波数によって運転するように、現在の運転周波数を変化させると、圧縮機の運転効率が向上する。即ち、本発明は、往復動式圧縮機の運転中に、圧縮機の負荷が変動する度に、一周期間の各速度積分値及び各電流値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数によって運転するように、圧縮機の運転周波数を変化させることにより、圧縮機の運転効率を向上させることができる。
【0059】
一方、本発明は、モータに印加される電流を積分し、その積分された電流値及び前記のストローク推定値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出することもできる。
【0060】
以下、上記の積分された電流値及びストローク推定値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数で運転するように、圧縮機の運転周波数を変化させることにより、圧縮機の運転効率を向上させることができる第2実施形態の圧縮機の運転制御装置を、図4〜図6を参照して説明する。
【0061】
本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御装置は、運転周波数基準値決定部100及びストローク演算器50を除いては、本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御装置とその構成が同じであるので、その他の構成要素には同じ符号を付する。
【0062】
図4は、本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【0063】
図4に示すように、本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機60のモータ(図示せず)に印加される電流を検出する電流検出器40と、圧縮機60のモータに印加される電圧を検出する電圧検出器30と、上記の検出された電流及び電圧の値、並びにモータの媒介変数に基づいて、圧縮機60のストローク推定値を演算するストローク演算器50と、上記の検出された電流値を積分し、この積分された電流値及び上記の検出されたストローク推定値に基づいて、圧縮機60の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部100と、ストローク演算器50から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器10と、上記の決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、比較器10から出力される差値によって、圧縮機60のモータに印加される電圧を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する制御器20と、から構成される。
【0064】
以下、このように構成された本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
【0065】
まず、電流検出器40は、圧縮機60に印加される電流を検出し、その検出された電流値を、ストローク演算器50及び運転周波数基準値決定部100にそれぞれ出力する。このとき、電圧検出器30は、圧縮機60に印加される電圧を検出し、その検出された電圧値を、ストローク演算器50に出力する。
【0066】
次いで、ストローク演算器50は、電流検出器40から出力される電流値及び電圧検出器30から出力される電圧値、並びに予め設定されたモータ媒介変数に基づいて、圧縮機60のストローク推定値を演算した後、その演算されたストローク推定値を、比較器10及び運転周波数基準値決定部100にそれぞれ出力する。
【0067】
その後、比較器10は、ストローク基準値とストローク演算器50から出力されるストローク推定値とを比較し、その比較結果による差値を制御器20に出力する。
【0068】
その後、制御器20は、比較器10から出力される差値によって、圧縮機60に印加される電圧を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する。
【0069】
一方、運転周波数基準値決定部100は、上記の検出された電流値を積分し、その積分された電流値(以下、電流積分値という)、及び上記のストローク推定値に基づいて、圧縮機60の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。
【0070】
例えば、運転周波数基準値決定部100は、モータが共振状態のとき、一周期間の各電流積分値と各ストローク推定値とを乗算した値の和が最大のときに検出された運転周波数を、運転周波数基準値として決定する。即ち、運転周波数基準値決定部100は、上記の各電流積分値と各ストローク推定値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、機械的共振周波数として認識し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。ここで、運転周波数と機械的共振周波数とが一致するとき、圧縮機60の運転効率が向上する。なお、上記の「一周期間の各電流積分値と各ストローク推定値」などの記載の「各」は、「一周期間の各サンプリング時点での」という意味である。
【0071】
上記の機械的共振周波数値は、下記の式(3)により得られる。
【0072】
【数4】

【0073】
即ち、運転周波数基準値決定部100は、上記の式(3)の左辺により得られた値が最大(MAX)のときの運転周波数を機械的共振周波数として認識し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する。式中、Xはストローク推定値で、iはモータに印加される電流値である。
【0074】
なお、上記の式(3)は、
【0075】
【数5】

【0076】
と書き換えることができ、ここで、imはサンプリング点mでの電流値、Xnはサンプリング点nでのストローク推定値、Nは一周期間のサンプリング回数、Δtはサンプリング周期である。
【0077】
その後、制御器20は、運転周波数基準値決定部100から出力される運転周波数基準値によって、圧縮機60の現在の運転周波数を変化させることにより、圧縮機60の運転を制御する。即ち、制御器20は、上記の運転周波数基準値が現在の運転周波数値より大きいと、現在の運転周波数を増加させ、上記の運転周波数基準値が現在の運転周波数値より小さいと、現在の運転周波数を減少させる。
【0078】
以下、このような圧縮機のストロークの位相及び電流の位相について、図5を参照して説明する。
【0079】
図5は、本発明の第2実施形態による圧縮機のモータに印加される電流の積分値、及び圧縮機のストロークの位相を示すグラフである。即ち、図5は、図2(A)の電流を積分した位相、及びストロークの位相を示す図である。
【0080】
図5に示すように、圧縮機の負荷が変動しても、上記各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときに共振現象が起こることを、実験を通して明らかにした。即ち、モータが共振状態のとき、一周期間の各電流積分値と各ストローク推定値とを乗算し、これらの乗算された値を加算すると、その加算された値は最大となる。従って、上記の各電流積分値と各ストローク推定値とを乗算した値の和が最大のときに検出された運転周波数は、機械的共振周波数と一致する。
【0081】
以下、一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算し、これらの乗算された値を加算して、その加算された値が最大のときに運転周波数を検出し、その検出された運転周波数値を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部100の動作を、図6を参照して詳細に説明する。
【0082】
図6は、本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【0083】
本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御方法は、圧縮機に印加される電流値及び電圧値を検出する段階と、この電流値及び電圧値に基づいて、圧縮機のストローク推定値を演算する段階と、上記の電流値を積分して電流積分値を出力する段階と、一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、この機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する段階と、この決定された運転周波数基準値によって、圧縮機の現在の運転周波数を変化させる段階と、からなる。ここで、上記の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数は、圧縮機の機械的共振周波数と一致する。従って、上記の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数によって、圧縮機の現在の運転周波数を変化させると、この変化された運転周波数が機械的共振周波数と一致するので、圧縮機の運転効率が向上する。
【0084】
即ち、図6に示すように、まず、運転周波数基準値決定部100は、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算し、これらの乗算された値の和を計算し(ステップS21)、その計算された和を、以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和と比較する(ステップS22)。
【0085】
その後、運転周波数基準値決定部100は、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、圧縮機60の現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと(ステップS23)、現在の運転周波数を増加させ続けて、一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数(機械的共振周波数と一致する)を、運転周波数基準値として決定する(ステップS25)。
【0086】
これに対し、運転周波数基準値決定部100は、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より小さいと(ステップS23)、現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS26)。
【0087】
一方、運転周波数基準値決定部100は、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より小さいと(ステップS24)、現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS27)。
【0088】
これに対して、運転周波数基準値決定部100は、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと(ステップS24)、現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定する(ステップS28)。
【0089】
従って、上記の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数は、圧縮機の機械的共振周波数と一致するので、上記の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数によって、現在の運転周波数を変化させると、圧縮機の運転効率が向上する。即ち、本発明は、往復動式圧縮機の運転中に、圧縮機の負荷が変動する度に、一周期間の各ストローク推定値及び各電流積分値に基づいて、圧縮機の機械的共振周波数を検出し、この検出された機械的共振周波数によって、圧縮機の運転周波数を変化させることにより、圧縮機の運転効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は本発明の第1実施形態による圧縮機のモータに印加される電流の位相、及び圧縮機のストロークの位相を示すグラフである。 また、(B)は本発明の第1実施形態による圧縮機のモータに印加される電流の位相、及び圧縮機のストロークの速度の位相を示すグラフである。
【図3】本発明の第1実施形態による圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態による圧縮機のモータに印加される電流の積分値の位相、及び圧縮機のストロークの位相を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態による圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【図7】従来の往復動式圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の往復動式圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10 比較器
20 制御器
30 電圧検出器
40 電流検出器
50 ストローク/速度演算器
60 圧縮機
70、100 運転周波数基準値決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機のモータに印加される電流値及び前記圧縮機のモータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値及び速度推定値を演算するストローク/速度演算器と、
前記速度推定値を積分して速度積分値を出力し、該速度積分値及び前記電流値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、前記の検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の現在の運転周波数を変化させる制御器と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項2】
前記運転周波数基準値決定部は、一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算し、前記の乗算された値の和がゼロのときの圧縮機運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項3】
前記乗算された値の和がゼロのときの前記運転周波数は、前記圧縮機の機械的共振周波数と一致することを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項4】
前記運転周波数基準値は、数式
【数1】

により得られた値がゼロのときに検出された運転周波数値で、ここで、前記vは、前記速度推定値で、前記iは、モータに印加される電流値であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項5】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロとなるときの運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項6】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロとなるときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項7】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロとなるときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項8】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロとなるときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項9】
圧縮機のモータに印加される電流を検出する電流検出器と、
前記モータに印加される電圧を検出する電圧検出器と、
前記の検出された電流及び電圧の値、並びに前記モータの媒介変数に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値及び速度推定値を演算するストローク/速度演算器と、
前記速度推定値を積分して速度積分値を出力し、該速度積分値及び前記電流の値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、該検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、
前記ストローク/速度演算器から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、前記比較器から出力される差値によって、前記圧縮機のモータに印加される電圧を変化させることにより、前記圧縮機の運転を制御する制御器と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項10】
前記運転周波数基準値決定部は、一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算し、前記の乗算された値の和がゼロのときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項9に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項11】
圧縮機のモータに印加される電流値及び前記モータに印加される電圧値に基づいて演算された圧縮機の速度推定値を積分して、速度積分値を出力する段階と、
前記速度積分値及び前記電流値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出する段階と、
前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する段階と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の運転周波数を変化させる段階と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御方法。
【請求項12】
前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する前記段階は、
現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、前記圧縮機の現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロになるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より大きいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロになるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロになるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和より小さいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各速度積分値と各電流値とを乗算した値の和がゼロになるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の圧縮機の運転制御方法。
【請求項13】
圧縮機のモータに印加される電流値及び前記圧縮機のモータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算するストローク演算器と、
前記電流値を積分して電流積分値を出力し、該ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、該検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の現在の運転周波数を変化させる制御器と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項14】
前記運転周波数基準値決定部は、一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算し、前記の乗算された値の和が最大のときの圧縮機運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項15】
前記乗算された値の和が最大のときの前記運転周波数は、前記圧縮機の機械的共振周波数と一致することを特徴とする請求項14に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項16】
前記運転周波数基準値は、数式
【数2】

により得られた値が最大のときに検出された運転周波数値で、ここで、前記Xは、前記ストローク推定値で、前記iは、モータに印加される電流値であることを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項17】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項18】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項19】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項20】
前記運転周波数基準値決定部は、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大のときの運転周波数を、運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項21】
圧縮機のモータに印加される電流を検出する電流検出器と、
前記モータに印加される電圧を検出する電圧検出器と、
前記の検出された電流及び電圧の値、並びに前記モータの媒介変数に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算するストローク演算器と、
前記電流値を積分して電流積分値を出力し、前記ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出し、該検出された機械的共振周波数を運転周波数基準値として決定する運転周波数基準値決定部と、
前記ストローク演算器から出力されるストローク推定値とストローク基準値とを比較し、その比較結果による差値を出力する比較器と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、現在の運転周波数を変化させ、前記比較器から出力される差値によって、前記圧縮機のモータに印加される電圧を変化させることにより、前記圧縮機の運転を制御する制御器と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項22】
前記運転周波数基準値決定部は、一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算し、前記の乗算された値の和が最大のときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定することを特徴とする請求項21に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項23】
圧縮機のモータに印加される電流値及び前記モータに印加される電圧値に基づいて、前記圧縮機のストローク推定値を演算する段階と、
前記電流値を積分して電流積分値を出力する段階と、
前記ストローク推定値及び前記電流積分値に基づいて、前記圧縮機の機械的共振周波数を検出する段階と、
前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する段階と、
前記の決定された運転周波数基準値によって、前記圧縮機の運転周波数を変化させる段階と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御方法。
【請求項24】
前記機械的共振周波数を前記圧縮機の運転周波数基準値として決定する段階は、
現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、以前の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、前記圧縮機の現在の運転周波数が以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大になるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より大きいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大になるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より小さいと、前記現在の運転周波数を増加させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大になるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
前記一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が、前記以前の一周期間の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和より小さいと共に、前記現在の運転周波数が前記以前の運転周波数より大きいと、前記現在の運転周波数を減少させ続けて、現在の一周期間の前記の各ストローク推定値と各電流積分値とを乗算した値の和が最大になるときに検出された運転周波数を、前記運転周波数基準値として決定する段階と、
を含むことを特徴とする請求項23に記載の圧縮機の運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−77755(P2006−77755A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91847(P2005−91847)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(590001669)エルジー電子株式会社 (296)
【Fターム(参考)】