説明

基板の乾燥方法及び乾燥炉

【課題】基板表面に形成された厚膜等の被乾燥物を乾燥むらなく短時間で乾燥させることができる基板の乾燥方法及び乾燥炉を提供する。
【解決手段】溶剤を含む被乾燥物が表面に形成された基板を、その被乾燥物形成面側を上方にして乾燥炉内に略水平に設置し、ガス供給手段から出力される溶剤ガスを加熱し、その加熱溶剤ガスを基板下部から供給して基板上の被乾燥物を乾燥させ、被乾燥物の上方近傍の溶剤ガスの溶剤濃度を測定し、溶剤濃度が所定の濃度となるように溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚膜が形成された基板の乾燥方法及びその乾燥方法が適用される乾燥炉に関する。
【背景技術】
【0002】
PDP(プラズマディスプレイパネル)等の基板の製造際にはガラス等の基板上にセルを形成するために膜形成素材を厚膜印刷し、乾燥炉で乾燥させた後に更に膜形成素材の厚膜印刷と乾燥とを繰り返すことが行われている。
【0003】
乾燥工程では基板全面を均等に乾燥させることが要求されている。乾燥が早い部分では厚膜印刷の表面が早期乾燥して硬化膜が形成されるため、内部から溶剤の蒸発を抑制して以降の乾燥がし難くなる。特に、PDPの場合にはハイビジョン対応によるパターンピッチの高精細化が進み、微細な乾燥むらでも厚膜印刷の膜厚が微妙に不均一になる恐れがある。
【0004】
それに対処するために、特許文献1には、膜形成素材を含む基板を炉内に略水平に設置し、その下部から空気を供給して基板の周縁から上方に流動させながら乾燥させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、基板上方から溶剤ガスを供給して基板上の乾燥物を乾燥させる基板乾燥装置において、基板の乾燥が進むにつれてガス流量を増大させる基板乾燥装置が開示されている。
【特許文献1】特願2004−259575号公報
【特許文献2】特願2004−138369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基板上の溶剤濃度は、特許文献2に記載されているように基板の乾燥が進むにつれて低下して行くため、上記の特許文献1の乾燥方法では溶剤濃度が最も低いときに合せて乾燥速度を抑える必要があった。このため乾燥時間が長くなるという問題点があった。
【0007】
特許文献2の基板乾燥装置では、基板上方の給気管から溶剤ガスを供給するため、基板上のガス濃度はその給気管のサイズに起因するばらつきが生じる。このため、微妙な乾燥むらが生じることになるという欠点があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題には、上記の問題点が一例として挙げられ、基板表面に形成された厚膜等の被乾燥物を乾燥むらなく短時間で乾燥させることができる基板の乾燥方法及び乾燥炉を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の基板の乾燥方法は、溶剤を含む被乾燥物が表面に形成された基板を、その被乾燥物形成面側を上方にして乾燥炉内に略水平に設置し、ガス供給手段から出力される溶剤ガスを加熱し、その加熱溶剤ガスを前記基板下部から供給して前記基板上の前記被乾燥物を乾燥させる乾燥ステップを備えた乾燥方法であって、前記乾燥ステップは、前記被乾燥物の上方近傍の前記溶剤ガスの溶剤濃度を測定する測定ステップと、前記溶剤濃度が所定の濃度となるように前記溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御する制御ステップと、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項7に係る発明の乾燥炉は、基板表面に形成されて溶剤を含む被乾燥物を乾燥させる乾燥炉であって、前記被乾燥物を含む前記基板を、炉内においてその被乾燥物形成面側を上方にした状態で略水平に保持する保持手段と、溶剤ガスを出力するガス供給手段と、前記ガス供給手段から出力された溶剤ガスを加熱して加熱溶剤ガスとするヒータと、前記保持手段の下方に設けられ前記加熱溶剤ガスを上方に向けて放出する放出手段と、前記炉内の溶剤ガスを炉上部から排気する排気部と、前記被乾燥物の上方近傍の前記溶剤ガスの溶剤濃度を測定する第1濃度測定手段と、前記第1濃度測定手段によって測定された前記溶剤濃度が所定の濃度となるように前記ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
請求項1に係る発明の基板の乾燥方法及び請求項7に係る発明の乾燥炉においては、基板表面に形成された被乾燥物の上方近傍の溶剤ガスの溶剤濃度を測定し、溶剤濃度が所定の濃度となるように溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御するので、被乾燥物の表層の乾燥を抑えることができ、それにより被乾燥物を乾燥むらなく短時間で乾燥させることができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明による乾燥炉の断面を示している。この乾燥炉は、ガス供給部1と、乾燥部2とを筐体3内部に備えている。ガス供給部1は筐体3内の下部に配置され、溶剤を含む加熱ガスを乾燥部2に供給する部分である。乾燥部2は筐体3内の上部に配置され、厚膜12が表面に形成された基板11を加熱溶剤ガスによって加熱して厚膜12(被乾燥物)のペーストに含まれる溶剤を蒸発させる部分である。ここで、基板11はPDP用の基板であり、厚膜12は基板11上に形成される電極、透明誘電体層、又は蛍光体層である。
【0014】
筐体3の上部には排気通路3aが形成されている。排気通路3aの途中には帰還通路4が形成され、帰還通路4はガス供給部1内の後述する給気ファン14に連通している。排気通路3aの帰還通路4へ分岐する位置より下流にはダンパー(図示せず)が設けられており、排気されるガス量がダンパーの開度に応じた量となるようにされている。
【0015】
ガス供給部1は、溶剤タンク13、給気ファン14、ヒータ15、拡散板16及び複数のエアーノズル17を備えている。溶剤タンク13は給気ファン14近傍の排気通路4に形成された迂回通路4aに形成されており、その内部に溶剤を備えている。また、溶剤タンク13は、図示しない出力量調整弁を備え、その出力量調整弁によって溶剤タンク13の出力溶剤量を調整するようになっている。出力量調整弁の開度は後述の制御回路30によって制御される。
【0016】
給気ファン14の出力部にはヒータ15が設けられ、給気ファン14は下部からの外部空気と排気通路4からの溶剤ガスとを混合してヒータ15に送風する。ヒータ15は送風された溶剤ガスを含む給気を加熱して加熱溶剤ガスとし、その加熱溶剤ガスは拡散板16を介して拡散室18に放出される。ヒータ15の発熱は制御回路30によって制御される。
【0017】
複数のエアーノズル17は、乾燥部2に突出するように設けられており、拡散室18内の加熱ガスを乾燥部2に放出する。
【0018】
乾燥部2は、トレイ21と、排気孔鉄板22(プレート部材)とを備えている。排気孔鉄板22は乾燥部2内の上部と下部とを区切るように配置され、また、基板11と平行になるように固定されている。トレイ21は乾燥部2内の下部に配置されている。厚膜12が形成された基板11はそのトレイ21に載せられてほぼ水平に保持される。また、トレイ21は基板11と共に図示しない搬送ローラより所定の方向(図1の表面から奥方向)に搬送可能にされている。排気孔鉄板22には基板11側と排気通路3a側とを連通する多数の微小の排気孔22aが形成されている。厚膜12を含む基板11を加熱した加熱溶剤ガス及びその加熱により厚膜12からの蒸発溶剤ガスが排気孔22aを通過して排気通路3a側に移動する。排気孔鉄板22の排気孔22aの開度は調整可能である。
【0019】
厚膜12と排気孔鉄板22との間の空間には濃度測定器25のセンサ部分25aが配置されている。また、迂回通路4aより下流であって給気ファン14直前の排気通路4には濃度測定器26のセンサ部分26aが配置されている。濃度測定器25,26はセンサ部分25a,26aの位置における溶剤ガスの濃度d1,d2を測定する。
【0020】
乾燥部2内の下部には圧力センサ27が設けられ、その上部には圧力センサ28が設けられている。圧力センサ27は乾燥部2内の下部のガス圧力P1を測定し、圧力センサ28は乾燥部2内の上部のガス圧力P2を測定する。
【0021】
濃度測定器25,26の測定出力及び圧力センサ27,28の測定出力は制御回路30に接続されている。また、制御回路30には上記したように溶剤タンク13の出力量調整弁及びヒータ15が接続されている。制御回路30は濃度測定器25,26によって測定された溶剤ガスの濃度d1,d2に応じて出力量調整弁を駆動して出力調整弁の開度を制御する。更に、制御回路30は圧力センサ27,28によって測定されたガス圧力P2,P2に応じてヒータ15の発熱温度が所望温度となるようにヒータ15の印加電圧を調整する。
【0022】
かかる構成の乾燥炉においては、給気ファン14によって送風される溶剤ガスはヒータ15で加熱されて加熱溶剤ガスとして拡散板16に供給される。拡散板16は加熱溶剤ガスを複数のエアーノズル17各々に均等のガス濃度となるように拡散する。エアーノズル17各々は加熱溶剤ガスを上方に向けて噴出する。
【0023】
エアーノズル17各々から放出された加熱溶剤ガスは厚膜12を含む基板11を加熱する。基板11上の厚膜12は加熱されると、厚膜12のペーストに含まれる溶剤が蒸発し、それが蒸発溶剤ガスとして加熱溶剤ガスと混合して上昇する。混合した溶剤ガスは排気孔鉄板22の排気孔22aを通過し、そして排気通路3aに送出される。排気通路3aを通過する溶剤ガスの一部は帰還通路4に進んでガス供給部1に帰還される。ガス供給部1においては、帰還通路4を流れる溶剤ガスの一部は入力側の迂回通路4aを介して溶剤タンク13内に流れ込む。溶剤タンク13内では供給された溶剤ガスが圧力となって溶剤が出力される。その溶剤出力量は上記の出力量調整弁によって調整される。その出力量が調整された溶剤が出力側の迂回通路4aを介して帰還通路4の溶剤ガスに混入する。更に、そのように溶剤が混入した帰還通路4の溶剤ガスは給気ファン14によって外部空気と混合されてヒータ15に送風される。
【0024】
排気孔鉄板22は、乾燥部2内の下部のガス圧力P1と、その上部のガス圧力P2との関係がP1>P2となるように設けられている。そのP1とP2との圧力差は排気孔22aの開度を調整することにより決定される。
【0025】
濃度測定器25によって測定された厚膜12と排気孔鉄板22との間における溶剤ガスの濃度d1と、濃度測定器26によって測定された給気ファン14近傍の排気通路4の溶剤ガスの濃度d2とは個別にデータ信号として制御回路30に供給される。溶剤濃度d1には加熱溶剤ガスの他に蒸発溶剤ガスが含まれるので、d1>d2である。
【0026】
制御回路30は、d1−d2=a(一定値)となるように溶剤タンク13の出力量調整弁を駆動し、これにより加熱溶剤ガスの溶剤濃度d2を制御している。また、溶剤濃度d2は、溶剤濃度d1は飽和蒸気圧に達しないレベルとなるようにされる。
【0027】
制御回路30は、溶剤濃度制御動作では図2に示すように、濃度測定器25,26から溶剤濃度d1,d2を読み取り(ステップS1)、d2’=d1−aを算出し(ステップS2)、差d2−d2’に応じた開度となるように出力量調整弁を駆動する(ステップS3)。この動作を制御回路30は所定時間毎に繰り返し実行する。ステップS3では差d2−d2’に応じて定まる出力量調整弁の駆動信号を制御回路30内に予め記憶されたデータから得て、その駆動信号を用いて出力量調整弁を駆動することができる。
【0028】
制御回路30は、乾燥部2内の下部のガス圧力P1と、その上部のガス圧力P2との差に応じてヒータ15の印加電圧を制御する。P1とP2との圧力差は厚膜12と排気孔鉄板22との間の溶剤移動速度を決定するので、その溶剤移動速度が厚膜12内の溶剤移動速度と等しくなるようにヒータ15の印加電圧が制御される。ヒータ15の印加電圧が制御されることにより、厚膜12を加熱する給気温度が調整される。
【0029】
制御回路30は、ヒータ印加電圧制御動作では図3に示すように、圧力センサ27,28から圧力P1,P2を読み取り(ステップS11)、圧力差P1−P2に応じた電圧を設定し(ステップS12)、その設定電圧をヒータ15に印加する(ステップS13)。この動作を制御回路30は所定時間毎に繰り返し実行する。ステップS12では圧力差P1−P2に応じて定まる電圧値を制御回路30内に予め記憶されたデータから得て、その電圧値を用いてヒータ15への電圧印加を行うことができる。
【0030】
上記の溶剤濃度制御により厚膜12と排気孔鉄板22との間の溶剤濃度d1が飽和蒸気圧に達しないレベルにされるので、厚膜12の表層の乾燥を抑えることができる。また、ヒータ印加電圧制御により乾燥時間をミニマム化するために厚膜12の温度を厚膜12中の溶剤の沸点T1に達しない温度T2に設定することが行われる。温度T2により厚膜12内部での溶剤移動速度が決まり、圧力P1,P2により厚膜12上の溶剤移動速度が決まり、それら厚膜12内外の溶剤移動速度を等しくするように制御するので、厚膜12内部に溶剤を閉じ込めることなく乾燥させることが可能になる。
【0031】
厚膜12上の溶剤濃度が変化するため、濃度が最も低いとき(表層が乾燥しやすいとき)に合わせ乾燥速度を抑える必要がある。例えば、200℃の沸点を持つ溶剤を50%含むペーストで膜厚300μmを乾燥させる場合には、表層の乾燥を防ぐため沸点の半分の100℃程度で乾燥させる必要があるため、従来、60分程度の乾燥時間を要し、蒸気圧は20mmHg程度であった。一方、上記した実施例のように表層の乾燥を抑えた場合には、180℃で乾燥が可能となり、このときの蒸気圧は400mHg程度であり、乾燥時間としては従来の1/20の3分程度で乾燥が可能となる。
【0032】
なお、上記した実施例においては、筐体3内に1つの乾燥室のみの構成を示しているが、基板上に形成された厚膜を乾燥させる場合には図4に示すように、2つの乾燥室(第1及び第2乾燥室)を用いることができる。先ず、第1乾燥室では上記実施例の如く溶剤濃度を制御して内部乾燥(第1の工程)を行い、その後、第2乾燥室に基板を移動させてそこで溶剤濃度制御なしで表面乾燥(第2の工程)を行うようにしても良い。
【0033】
また、上記した実施例においては、厚膜12の内部溶剤移動速度と、厚膜12と排気孔鉄板22との間の外部溶剤移動速度とが等しくなるように制御されるが、内部溶剤移動速度≧外部溶剤移動速度でも良い。内部溶剤移動速度≧外部溶剤移動速度であれば、図5に示すように、厚膜31内の溶剤32は粉末等の他の成分33の間を時間経過に従って移動して外部に排出される。しかしながら、内部溶剤移動速度<外部溶剤移動速度であれば、図6に示すように、厚膜31内の溶剤32は粉末等の他の成分33の間を時間経過に従って移動しても厚膜31の表層が乾いてしまうため厚膜31内に残留してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】溶剤濃度制御動作を示すフローチャートである。
【図3】ヒータ印加電圧制御動作を示すフローチャートである。
【図4】第1及び第2乾燥室各々の処理を示す図である。
【図5】内部溶剤移動速度≧外部溶剤移動速度の場合の溶剤の移動を示す図である。
【図6】内部溶剤移動速度<外部溶剤移動速度の場合の溶剤の移動を示す図である。
【主要部分の符号の説明】
【0035】
1 ガス供給部
2 乾燥部
3 筐体
4 帰還通路
11 基板
12,31 厚膜
13 溶剤タンク
14 給気ファン
15 ヒータ
16 拡散板
17 エアーノズル
22 排気孔鉄板
25,26 濃度測定器
27,28 圧力測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤を含む被乾燥物が表面に形成された基板を、その被乾燥物形成面側を上方にして乾燥炉内に略水平に設置し、ガス供給手段から出力される溶剤ガスを加熱し、その加熱溶剤ガスを前記基板下部から供給して前記基板上の前記被乾燥物を乾燥させる乾燥ステップを備えた乾燥方法であって、
前記乾燥ステップは、前記被乾燥物の上方近傍の前記溶剤ガスの溶剤濃度を測定する測定ステップと、
前記溶剤濃度が所定の濃度となるように前記溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御する制御ステップと、を有することを特徴とする基板の乾燥方法。
【請求項2】
前記乾燥炉は、前記基板の前記被乾燥物形成面上方に開度調整機構付きの複数の排気孔を有するプレート部材を有し、
前記プレート部材の下方近傍の圧力がその上方近傍の圧力より大きくなるように前記開度調整機構により前記複数の排気孔の開度が調整されることを特徴とする請求項1記載の基板の乾燥方法。
【請求項3】
前記制御ステップは、前記プレート部材の下方近傍の圧力と前記上方近傍の圧力とに応じて前記溶剤ガスの加熱温度を制御し、それにより前記被乾燥物内の溶剤移動速度が前記プレート部材と前記被乾燥物との間の溶剤移動速度とが等しくなるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の基板の乾燥方法。
【請求項4】
前記所定の濃度は飽和蒸気圧に達しない濃度であることを特徴とする請求項1記載の基板の乾燥方法。
【請求項5】
前記乾燥ステップは、前記被乾燥物の内部を乾燥させる第1の工程と、前記第1の工程後、前記被乾燥物の表面を乾燥させる第2の工程と、を備え、前記第1の工程では前記溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度の制御を行い、前記第2の工程では前記溶剤ガス供給手段の出力溶剤濃度の制御を行わないことを特徴とする請求項1記載の基板の乾燥方法。
【請求項6】
前記第1の工程と第2の工程とは異なる乾燥炉により実施することを特徴とする請求項5記載の基板の乾燥方法。
【請求項7】
基板表面に形成されて溶剤を含む被乾燥物を乾燥させる乾燥炉であって、
前記被乾燥物を含む前記基板を、炉内においてその被乾燥物形成面側を上方にした状態で略水平に保持する保持手段と、
溶剤ガスを出力するガス供給手段と、
前記ガス供給手段から出力された溶剤ガスを加熱して加熱溶剤ガスとするヒータと、
前記保持手段の下方に設けられ前記加熱溶剤ガスを上方に向けて放出する放出手段と、
前記炉内の溶剤ガスを炉上部から排気する排気部と、
前記被乾燥物の上方近傍の前記溶剤ガスの溶剤濃度を測定する第1濃度測定手段と、
前記第1濃度測定手段によって測定された前記溶剤濃度が所定の濃度となるように前記ガス供給手段の出力溶剤濃度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする乾燥炉。
【請求項8】
前記ガス供給手段は、前記溶剤ガスを送風して出力する給気ファンと、
前記排気部の途中から排気溶剤ガスの一部を前記給気ファンに帰還する帰還通路と、
前記給気ファンの近傍の前記帰還通路に形成された迂回通路と、
前記迂回通路に設けられ内部に溶剤を格納して出力側に溶剤量を調整する調整弁を有する溶剤タンクと、を備え、
前記制御手段は、前記給気ファンの直前の前記帰還通路における溶剤ガスの溶剤濃度を測定する第2濃度測定手段を備え、
前記第1及び第2濃度測定手段によって測定された前記溶剤濃度の差が一定となるように前記調整弁の開度を制御することを特徴とする請求項7記載の乾燥炉。
【請求項9】
前記基板の前記被乾燥物形成面上方に開度調整機構付きの複数の排気孔を有するプレート部材を備え、前記プレート部材下方の圧力がその上方の圧力より大きくなるように前記開度調整機構により前記複数の排気孔の開度が調整されることを特徴とする請求項7記載の乾燥炉。
【請求項10】
前記制御手段は、前記プレート部材下方の圧力を測定する第1圧力測定手段と、
前記プレート部材上の圧力を測定する第2圧力測定手段と、備え、
前記下方及び上方の圧力に応じて前記ヒータの印加電圧を制御し、それにより前記被乾燥物内の溶剤移動速度が前記プレート部材と前記被乾燥物との間の溶剤移動速度とが等しくなるようにしたことを特徴とする請求項7又は9記載の乾燥炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−192674(P2009−192674A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31450(P2008−31450)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】