説明

基板の処理装置及び処理方法

【課題】この発明は基板を洗浄処理する処理液に含まれるナノバブルを繰り返して使用できる処理装置を提供することにある。
【解決手段】内部に基板が供給される処理槽1と、処理槽の基板にこの基板を洗浄処理するためのナノバブルを含む処理液を供給するナノバブル発生器11と、ナノバブル発生器によって処理槽の内部の基板に供給されナノバブルのもつ電位によって基板から除去されたナノバブルと逆の電位をもつ微粒子を含む処理液を回収する貯液槽7と、基板を洗浄した処理液に含まれる微粒子とこの微粒子の表面に付着したナノバブルを分離して微粒子を除去し、ナノバブルだけを含む処理液を処理槽に供給するフィルタ装置18を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば半導体ウエハや液晶ディスプレイのガラス基板などの基板の回路パターンが形成されたデバイス面を洗浄処理する基板の処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハやガラス基板などの基板の回路パターンが形成された、デバイス面を高い清浄度で洗浄処理することが要求される工程がある。
【0003】
上記基板のデバイス面を洗浄処理する方式としては、洗浄液中に基板を浸漬するデイップ方式や回転テーブルの保持された基板のデバイス面に向けて洗浄液をノズルから噴射して洗浄するスピン方式などがあり、それぞれの方式は基板の洗浄条件などに応じて適宜、選択的に採用されている。
【0004】
デイップ方式の1つとして特許文献1に記載された処理装置が知られている。この特許文献1に記載された処理装置は液体を貯留する処理槽を有し、この処理槽の処理液に基板を浸漬する。処理槽内に貯留された処理液にはマイクロバブル発生部で発生させられたマイクロバブルが含まれている。
【0005】
処理液に含まれるマイクロバブルは全体として広い表面積を有し、しかも通常はマイナスの電位に帯電されているから、基板に付着している、通常はプラスの電位に帯電した微粒子の表面に上記マイクロバブルが吸着される。
【0006】
それによって、基板に付着した微粒子はマイクロバブルに包み込まれて基板から剥離して除去される。つまり、基板に付着した微粒子はマイクロバブルを含む処理液によって基板から除去することができる。そして、マイクロバブルによって基板から除去された微粒子は、その表面全体にマイクロバブルが付着した状態で洗浄液に含まれて処理槽から排出されることになる。
【特許文献1】特開2006−179764
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようにマイクロバブルによって基板に付着した微粒子を除去するだけでは、除去後の洗浄液には基板から除去された微粒子にマイクロバブルが静電気力で付着した状態にある。
【0008】
そのため、基板を洗浄した洗浄液は微粒子を含むことになるから、その洗浄液を再利用することができない。その結果、洗浄液は上述したように一度使用する度に廃棄しなければならず、繰り返して利用するということができないから、非常に不経済である。
【0009】
洗浄液をフィルタに通し、その洗浄液から微粒子を除去して洗浄液を再利用するということが考えられる。しかしながら、洗浄液をフィルタに通して微粒子を除去するようにすると、その微粒子に付着したマイクロバブルも除去されてしまうから、洗浄液の洗浄効果が維持できないということがある。
【0010】
一方、最近では基板のデバイス面に形成される回路パターンが高密度化し、それによって微細化する傾向にある。回路パターンが微細化すると、その回路パターンの洗浄効果を向上させるためにはマイクロバブルよりもさらに小さな粒径のバブル、すなわち1μm以下の粒径のナノバブルによって上記基板を洗浄することが要求される。
【0011】
その場合も、ナノバブルを含む洗浄液を繰り返して使用することで、基板の洗浄に掛かるランニングコストを低減することが要求されることになる。
【0012】
この発明は、処理液及び処理液に含まれるナノバブルを繰り返して使用できるようにすることで、コストや生産性の向上を図ることができるようにした基板の処理装置及び処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理装置であって、
上記基板が供給される処理槽と、
この処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給する処理液供給手段と、
この処理液供給手段によって上記処理槽の上記基板に供給され上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板から除去された上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を含む処理液を回収する貯液槽と、
上記基板を洗浄した上記処理液に含まれる上記微粒子とこの微粒子の表面に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去し、上記ナノバブルだけを含む処理液を上記処理槽に供給する分離手段と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置にある。
【0014】
上記処理液供給手段で作られるナノバブルを含む処理液は上記貯液槽に貯留されていて、この貯液槽に貯留された処理液は上記分離手段を通って上記処理槽に供給されて上記貯液槽に回収されることが好ましい。
【0015】
上記処理液供給手段にはナノバブルを含む上記処理液を作るための気体と液体とが供給されるようになっていて、上記気体と液体との上記処理液供給手段に対する供給は供給制御手段によって制御されることが好ましい。
【0016】
この発明は、基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理装置であって、
内部に上記基板が供給される処理槽と、
この処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給し上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板から上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を除去する処理液供給手段と、
この処理液供給手段によって上記基板を洗浄した上記処理液に含まれる上記微粒子とこの微粒子の表面に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去する分離手段と、
この分離手段によって上記微粒子が除去されたナノバブルを含む処理液を貯えて上記処理液供給手段に供給する貯液槽と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置にある。
【0017】
上記分離手段は、上記ナノバブルが帯電した電位と反発し上記微粒子がもつ電位と引き合う所定の極性の電位に帯電されて上記微粒子が通過するのを阻止するフィルタ部材を有するフィルタ装置であることが好ましい。
【0018】
フィルタ部材を上記所定の極性の電位に帯電させるイオナイザを有することが好ましい。
【0019】
この発明は、基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理方法であって、
処理槽に上記基板を供給する工程と、
上記処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給する工程と、
上記処理槽の上記基板に供給され上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板に付着した上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を上記基板から除去する工程と、
上記微粒子とこの微粒子に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去し、上記ナノバブルだけを含む処理液を上記処理槽に供給する工程と
を具備したことを特徴とする基板の処理方法にある。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、処理槽から回収された処理液に含まれる微粒子とこの微粒子に付着したナノバブルを分離し、微粒子を除去してナノバブルだけを含む処理液を供給できるようにしたから、処理液及びナノバブルの再利用が可能となり、基板の洗浄処理を効率よく行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の第1の実施の形態の処理装置を示す。この処理装置は処理槽1を備えている。この処理槽1の内部には載置テーブル2が設けられ、この載置テーブル2は処理槽1の下方に設けられた第1の駆動源3によって回転駆動されるようになっている。上記載置テーブル2の上面には半導体ウエハやガラス基板などの基板Wが図示しない回路パターンが形成されたデバイス面を上に向けて供給され、たとえば真空吸着などの手段によって保持される。
【0022】
上記基板Wには後述する処理液Lが供給される。基板Wに供給されてこの基板Wのデバイス面を洗浄した処理液Lは、上記処理槽1の底部に一端が接続された排液管5に流れる。この排液管5を流れた処理液Lは貯液槽7に回収される。
【0023】
上記貯液槽7にはナノバブル発生器11から上記処理液Lとなるナノバブル水が供給されるようになっている。上記ナノバブル発生器11には気体供給ポンプ12と液体供給ポンプ13がそれぞれ配管12a,13aによって接続されている。各配管12a,13aにはそれぞれ第1、第2の開閉制御弁14a,14bが設けられている。
【0024】
上記気体供給ポンプ12は上記ナノバブル発生器11に窒素ガスや二酸化炭素ガスなどの気体を所定の圧力で供給し、上記液体供給ポンプ13は上記ナノバブル発生器11にイソプロピルアルコール(IPA)や純水などの液体を供給する。
なお、気体と液体はポンプ12、13を用いずに、予め所定の圧力に加圧されて図示しないタンク貯えられた気体及び液体を上記ナノバブル発生器11に供給するようにしてもよい。
【0025】
上記ナノバブル発生器11に供給された気体は旋回流となり、上記液体は気体よりも旋回速度の速い旋回流となって気体の周囲に沿って流れる。それによって、気体が液体によって剪断されることで微細径のバブル、つまりナノバブルが発生し、そのナノバブルが液体に混入して処理液Lとしてのナノバブル水となる。
【0026】
上記液体に含まれるバブルの粒径は上記気体と液体との旋回速度によって設定することができ、この実施の形態では液体に剪断された気体によって直径が1μm以下のナノバブルが発生するよう、上記ナノバブル発生器11に供給される気体と液体との旋回速度が設定される。それによって、上記ナノバブル発生器11から上記貯液槽7に供給されて貯えられる処理液Lは上述したようにナノバブルを含む、ナノバブル水となる。
【0027】
なお、処理液Lにはナノバブルだけでなく、マイクロバブルも含まれる。その場合、ナノバブル発生器11によって作られた処理液Lを貯液槽7に供給して所定時間放置しておくことで、その処理液Lに含まれるマイクロバブルは浮力によって液面に浮上して除去されることになる。一方、ナノバブルは微細であるために浮力がないから液中を浮遊し、マイクロバブルのように処理液Lの液面から大気中に放散されるということがない。
【0028】
このようにして、上記貯液槽7に貯えられたナノバブルを含む処理液Lは、この貯液槽7に一端が接続された給液管15を通じて上記処理槽1の上方に配置された洗浄ノズル16に供給される。上記給液管15には加圧ポンプ17と分離手段としてのフィルタ装置18が順次設けられている。
【0029】
上記洗浄ノズル16は水平アーム19の先端に取り付けられている。この水平アーム19の基端は軸線を垂直にして設けられた回転軸21の上部に連結されている。この回転軸21は第2の駆動源22によって回転駆動される。それによって、上記洗浄ノズル16は載置テーブル2とともに回転する基板Wの上方で円弧運動するようになっている。
なお、この実施の形態では、上記ナノバブル発生器11と上記洗浄ノズル16とで処理液供給手段を構成している。
【0030】
上記フィルタ装置18は上記給液管15を流れる処理液Lに含まれる汚れ、つまり後述するように基板Wから除去された微粒子P(図2に示す)を通過させることのない大きさのメッシュ状のフィルタ部材24を有する。
【0031】
上記フィルタ部材24はマイナスの電荷の静電気が帯電し易い材料、たとえばフッ素系や塩化ビニル系の樹脂によって微粒子Pを吸着して捕捉することができる。さらに、フィルタ部材24は図1に鎖線で示すイオナイザ25によってマイナスの電荷が帯電されるようになっている。
【0032】
それによって、上記微粒子Pと異なる電位に帯電された上記フィルタ部材24は、上記処理液Lに含まれる微粒子Pを吸着して除去し、フィルタ部材24と同電位のナノバブルを通過させるようになっている。
【0033】
なお、フィルタ部材24をフッ素系や塩化ビニル系の樹脂によって形成すれば、そこに流体が流れて摩擦力が生じることで静電気が発生するから、イオナイザ25を用いなくとも、上記フィルタ部材24にマイナスの電位を帯電させることができる。
【0034】
上述したように、基板Wに付着した汚れである、微粒子Pにはプラスの電荷が帯電し、ナノバブルbにはマイナスの電荷が帯電していることが知られている。それによって、基板Wに図2に示すようにナノバブルbを含む処理液Lを供給すると、ナノバブルbが基板Wに付着した微粒子Pの表面に吸引されてその表面全体を包み込む。
【0035】
ナノバブルbに包まれた微粒子Pは同図に矢印で示すように基板Wから剥離し、ナノバブルbとともに液中を浮遊することになる。つまり、基板Wから微粒子Pがナノバブルbによって除去されるから、その基板Wが洗浄されることになる。
【0036】
ナノバブルbに包まれた微粒子Pを含む処理液Lが処理槽1から貯液槽7に回収された後、給液管15を通じて加圧ポンプ17によってフィルタ装置18に供給されると、このフィルタ装置18のフィルタ部材24によって処理液Lに含まれる微粒子Pが捕捉される。
【0037】
しかも、フィルタ部材24がマイナスの電位に帯電させられているから、フィルタ部材24に捕捉された微粒子Pはそのフィルタ部材24に吸着保持される。それによって、微粒子Pはフィルタ部材24によって確実に処理液Lから除去されることになる。
【0038】
処理液Lがフィルタ装置18に供給されてフィルタ部材24が微粒子Pを処理液Lから除去すると同時に、微粒子Pの表面に静電気力で付着したマイナスの電位のナノバブルbと、上記フィルタ部材24に帯電させられたマイナスの電位とが反発し、その反発力によってナノバブルbが微粒子Pから分離される。微粒子Pから分離されたナノバブルbは処理液Lとともにフィルタ部材24を通過する。
【0039】
それによって、上記給液管15に接続された洗浄ノズル16には微粒子Pが除去されてナノバブルbだけが含まれる洗浄液Lが供給されることになるから、ナノバブル発生器11で生成されたナノバブルbを繰り返して使用することが可能となる。
【0040】
上記ナノバブル発生器11に気体と液体を供給する配管12a,13aに設けられた第1、第2の開閉制御弁14a,14bは制御装置27によって開閉が制御される。すなわち、上記貯液槽7に貯えられる処理液Lの液面の高さが液面センサ28によって検出され、その検出信号が上記制御装置27に出力される。
【0041】
上記液面センサ28によって貯液槽7の液面の高さが所定以下になったことが検出されると、その検出信号によってそれまで閉状態にあった上記第1、第2の開閉制御弁14a,14bが開放されて上記ナノバブル発生器11に所定の圧力に加圧された気体と液体が供給される。上記貯液槽7の液面が所定以下になると上記第1、第2の開閉制御弁14a,14bが閉じられて気体と液体の供給が停止される。
【0042】
それによって、貯液槽7には常に一定以上の処理液Lが貯えられるようになっている。つまり、処理液Lがナノバブル発生器11によって適宜に補充されることで、循環使用される処理液Lに含まれるナノバブルbの量を所定量以上に維持されるから、処理液Lによる基板Wの洗浄効果が低下するのを防止できる。
なお、上記第1、第2の開閉制御弁14a,14bと制御装置27とで、上記ナノバブル発生器11に液体と気体の供給を制御する供給制御手段を構成している。
【0043】
このような構成の処理装置によれば、基板Wが載置された載置テーブル2を回転させるとともに、洗浄ノズル16を基板Wの上方で揺動させ、その洗浄ノズル16からナノバブルbを含む処理液Lを基板Wに供給する。
【0044】
それによって、処理液Lに含まれるマイナスの電位が帯電したナノバブルbは、図2に示すように基板Wの表面に付着したプラスの電位が帯電した微粒子Pの表面に吸引されてその微粒子Pの表面を包み込むから、微粒子Pは基板Wの表面から除去されて同図に矢印で示すように基板Wの上面から浮上することになる。
【0045】
基板Wから除去された微粒子Pはその表面がナノバブルbによって包まれた状態で処理槽1から貯液槽7に回収される。貯液槽7に回収された微粒子Pを含む処理液Lは加圧ポンプ17によってフィルタ装置18に送られる。
【0046】
フィルタ装置18のフィルタ部材24はイオナイザ25によってマイナスの電荷が帯電している。そのため、フィルタ装置18に送られた処理液Lに含まれるプラスの電位が帯電した微粒子Pはマイナスの電位が帯電した上記フィルタ部材24に吸着される。
【0047】
それと同時に、微粒子Pの表面に付着したマイナスの電位のナノバブルbは、同じマイナスの電位が帯電した上記フィルタ部材24との間に反発力が生じるから、その反発力によって微粒子Pから離れ、処理液Lに含まれて洗浄ノズル16へ流れる。
【0048】
このように、処理液Lに含まれるナノバブルbをフィルタ装置18によって微粒子Pから分離し、その微粒子Pをフィルタ部材24で捕捉し、ナノバブルbは微粒子Pと分けるようにした。
【0049】
そのため、微粒子Pが含まれていない処理液L及び微粒子Pから分けられたナノバブルbを再利用することができるから、一度使用することで処理液Lをそのまま廃棄する場合に比べて経済的である。
【0050】
図3はこの発明の第2の実施の形態の処理装置を示す。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態では、処理槽1から処理液Lを貯液槽7に回収する排液管5にフィルタ装置18が設けられている。上記排液管5には、上記貯液槽7に回収される処理液Lを所定の圧力で上記フィルタ装置18に供給するための加圧ポンプ31が設けられている。上記貯液槽7には処理液Lとなる液体が液体供給ポンプ12によって配管12aを通じて供給される。この配管12aには第1の開閉制御弁14aが設けられている。
【0051】
上記貯液槽7に貯えられた処理液Lは加圧ポンプ17によってナノバブル発生器11に供給される。このナノバブル発生器11には第2の開閉弁14bが設けられた配管13aが接続され、この配管13aを通じて気体が気体供給ポンプ13によって供給される。
【0052】
上記ナノバブル発生器11には処理槽1に回収された処理液Lが加圧ポンプ17によって供給され、気体供給ポンプ13によって気体が供給される。そして、ナノバブル発生器11では上記処理液Lと気体とで新たに処理液Lが作られる。つまり、新たな処理液Lにはナノバブル発生器11によって生成された新たなナノバブルbがさらに補充されるようになっている。
【0053】
なお、この第2の実施の形態では第1、第2の開閉制御弁14a,14bのうち、第1開閉弁14aだけが貯液槽7の液面を検出する液面センサ28からの検出信号によって開閉制御される。それによって、貯液槽7には一定量以上の処理液Lが貯留されるようになっている。
【0054】
このような構成であっても、第1の実施の形態と同様、使用された処理液Lからフィルタ装置18によって微粒子Pを除去し、ナノバブルbを再使用することができる。つまり、処理液L及びナノバブルbを繰り返して使用することができるから経済的である。
【0055】
しかも、ナノバブルbを繰り返して使用するとともに、処理液Lを洗浄ノズル16に供給する度に、処理液Lにはナノバブル発生器11で生成されたナノバブルbが補充される。それによって、処理液Lに含まれるナノバブルbが減少するのを防止できるから、処理液Lによる洗浄効果が確実に維持されるということがある。
【0056】
上記第1、第2の実施の形態では基板Wを回転駆動される載置テーブルに供給して洗浄処理するようにしたが、上記基板をローラやコンベアなどによって水平搬送しながら処理槽に供給し、処理槽でその基板の上面にナノバブルを含む処理液を供給して処理する場合であっても、この発明を適用することができる。
【0057】
その場合、基板に処理液を供給する洗浄ノズルは、基板の搬送方向と交差する幅方向全長にわたって処理液を供給することができる構成や、たとえばパイプに複数のノズルチップが所定間隔で設けられた構成や基板の幅方向に沿って細長いスリットが形成された構成のものなどを用いるようにすればよい。
【0058】
さらに、この発明は処理液が供給された処理槽に複数の基板を浸漬し、その基板を洗浄する、いわゆるデイップ方式の処理装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す処理装置の概略的構成図。
【図2】基板から処理液に含まれるナノバブルによって微粒子を除去するときの説明図。
【図3】この発明の第2の実施の形態を示す処理装置の概略的構成図。
【符号の説明】
【0060】
1…処理槽、2…載置テーブル、7…貯液槽、11…ナノバブル発生器(処理液供給手段)、14a,14b…開閉制御弁(供給制御手段)、16…洗浄ノズル(処理液供給手段)、18…フィルタ装置(分離手段)、24…フィルタ部材、25…イオナイザ、27…制御装置(供給制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理装置であって、
上記基板が供給される処理槽と、
この処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給する処理液供給手段と、
この処理液供給手段によって上記処理槽の上記基板に供給され上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板から除去された上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を含む処理液を回収する貯液槽と、
上記基板を洗浄した上記処理液に含まれる上記微粒子とこの微粒子の表面に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去し、上記ナノバブルだけを含む処理液を上記処理槽に供給する分離手段と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項2】
上記処理液供給手段で作られるナノバブルを含む処理液は上記貯液槽に貯留されていて、この貯液槽に貯留された処理液は上記分離手段を通って上記処理槽に供給されて上記貯液槽に回収されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項3】
上記処理液供給手段にはナノバブルを含む上記処理液を作るための気体と液体とが供給されるようになっていて、上記気体と液体との上記処理液供給手段に対する供給は供給制御手段によって制御されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項4】
基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理装置であって、
内部に上記基板が供給される処理槽と、
この処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給し上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板から上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を除去する処理液供給手段と、
この処理液供給手段によって上記基板を洗浄した上記処理液に含まれる上記微粒子とこの微粒子の表面に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去する分離手段と、
この分離手段によって上記微粒子が除去されたナノバブルを含む処理液を貯えて上記処理液供給手段に供給する貯液槽と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項5】
上記分離手段は、上記ナノバブルが帯電した電位と反発し上記微粒子がもつ電位と引き合う所定の極性の電位に帯電されて上記微粒子が通過するのを阻止するフィルタ部材を有するフィルタ装置であることを特徴とする請求項1又は請求項4記載の基板の処理装置。
【請求項6】
フィルタ部材を上記所定の極性の電位に帯電させるイオナイザを有することを特徴とする請求項5記載の基板の処理装置。
【請求項7】
基板に付着した微粒子を洗浄除去する基板の処理方法であって、
処理槽に上記基板を供給する工程と、
上記処理槽の基板にナノバブルを含む処理液を供給する工程と、
上記処理槽の上記基板に供給され上記ナノバブルのもつ電位によって上記基板に付着した上記ナノバブルと逆の電位をもつ上記微粒子を上記基板から除去する工程と、
上記微粒子とこの微粒子に付着したナノバブルを分離して上記微粒子を除去し、上記ナノバブルだけを含む処理液を上記処理槽に供給する工程と
を具備したことを特徴とする基板の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−246000(P2009−246000A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87978(P2008−87978)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】