説明

基板上に微細構造を作製する方法

【課題】 本発明は微細構造の作製方法に関する。
【解決手段】 先駆体流体が存在する中で基板全体にわたって集束粒子ビームを走査することによって、パターニングされたシード層が形成される。ここで前記シード層を原子層堆積法又は化学気相成長法によって成長させることによって、高品質の層を成長させることができる。当該方法の利点は、非常に薄い層しか堆積しなくて良いため、前記シード層を形成するのに要する時間が相対的に短くなることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板上に微細構造を作製する方法に関する。当該方法は、基板に表面を供する工程、前記基板表面上に所望の形状を有するパターニングされたシード層を形成する工程、及び、前記パターニングされたシード層の厚さを増大させる工程であって、前記基板表面に対して実質的に平行な表面を有する構造が形成されるように行われる、工程、を有する。
【背景技術】
【0002】
この方法は非特許文献1に開示されている。
【0003】
上述の方法は、基板上でのパターニングされた誘電膜の成長について開示している。基板は、厚さ1μmの熱的に成長した酸化物を有する研磨されたシリコンウエハの一部である。その基板上では、レジスト層がスピンコーティングされる。フォトリソグラフィ手法によって、又はレジストへの直接的な電子ビーム書き込みの後のレジストの現像によって、パターンがレジスト中に生成される。これにより基板の一部が曝露されたままとなる一方で、残りの基板の部分は厚さ約350nmのレジスト層によってマスクされる。続いて先駆体流体の第1層が基板の曝露された部分上に堆積される。それによりパターニングされたシード層が形成される。その後原子層堆積(ALD)法が、最終的な構造の典型的な厚さが2.5nm〜100nmとなるまで周期的に流体を流すことによって、その層の厚さを増大させるのに用いられる。構造の厚さ及び純度を均一にするため、各ALD流体流出工程間で窒素パージガスが挿入された。
【0004】
最終的に厚くされた層はたとえば、アルミニウム酸化物(Al2O3)、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、又はハフニウム酸化物(HfO2)である。
【0005】
たとえばALDによって上に構造を成長させることが可能なシード層は通常触媒層とも呼ばれることに留意して欲しい。
【0006】
前記方法の欠点は、パターニングされた構造の部位の最小サイズが、フォトリソグラフィプロセス及び後続のエッチングによって制限されることである。
【0007】
前記方法の他の欠点は、フォトリソグラフィプロセスを用いること、及び該フォトリソグラフィプロセスによって多数の工程が必要となることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7303631号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ビアクック(M.J.Biercuk)他、Applied Physics Letters、第83巻、2003年、pp.2405-2407
【非特許文献2】ガイス(O.Guise)他、Applied Physics Letters、第87巻、2005年、pp.171902
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
リソグラフィ手法によって実現可能な寸法よりも小さな寸法を有する構造を作製する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明による方法は、パターニングされた層を作製する工程が、先駆体流体又はエッチング流体が存在する中で、集束粒子ビームによって基板を照射する工程を有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、集束ビームによって均一なシード層をミリングすることによって、又は、ビーム誘起堆積-たとえば電子ビーム誘起堆積(EBID)若しくはイオンビーム誘起堆積(IBID)-によって、若しくは光の集束ビームによって、シード層を堆積することによって、パターニングされたシード層を直接的に作製するという基本構想に基づいている。
【0013】
本明細書においては、ミリングとは、集束イオンビームによる材料の除去を指称し、かつエッチャント流体を用いたビーム支援エッチングを含む。
【0014】
荷電粒子ビームの使用は、たとえば1μm未満の寸法を有する微細構造の作製にとって好ましいことにさらに留意して欲しい。当業者には既知であるように、そのような荷電粒子ビームによるミリング及び堆積手法は、1〜10nmの分解能で実現可能である。しかし体積の大きなものにとっては、直接的にミリング又は堆積を行うのは時間のかかるプロセスであるため、ミリング及び堆積は典型的にはμm3で表される。集束イオンビームによる典型的なミリング速度はたとえば0.1μm3/sである一方で、EBIDの典型的な堆積速度は典型的には典型的なミリング速度の1000倍未満である。従ってこれらの手法は、たとえば堆積を用いて1μm3を超えた体積を有するナノ構造を構築すること、及びたとえばミリングを用いて100μm3を超えた体積を有するナノ構造を構築することには適していない。
【0015】
本願発明者らは、EBID又はIBIDによって材料を堆積するのに必要な時間は、堆積される材料の体積に比例することを認識していた。同様に、ミリングに必要な時間はミリングされる材料の量に比例する。本願発明者らは、直接的にミリング又は堆積を行い、その後たとえばALDによってパターニングされたシード層を厚くすることによって、薄いパターニングされたシード層を作製することによってのみ、比較的高い成長速度での高分解能プロセスが実現されることを認識していた。直接的なミリング又は堆積についての時間のかかる態様は、非常に薄い層(1原子層程度であって良い。)のミリング又は堆積によって制限される一方で、バルク材料は、シード層全体を成長させることによって、並列に堆積される。従って本願発明は、集束粒子ビームによる高分解能のミリング又は堆積と、たとえばALDの成長速度とを組み合わせて、リソグラフィに係るプロセス工程を不要にする。
【0016】
シード層は金属を有して良いが、成長を誘起することのできる任意の材料を有して良いことに留意して欲しい。
【0017】
特許文献1は、ZnOシード層上でのZnOナノワイヤの成長について開示していることに留意して欲しい。ナノワイヤが作製されることで、パターニングされたシード層が保存されず、かつ構造の上部が表面に対して実質的に平行でなくなる点で、開示された方法は本願発明と異なる。
【0018】
本発明による方法の実施例では、厚さを増大させる工程は原子層堆積(ALD)法を有する。
【0019】
当業者にとって既知であるように、たとえシード層が不純物を含んでいる可能性があっても(通常は不純物を含んでいる)、ALDによって堆積される材料は高純度である。またALDは成長速度の制御性が高く、かつ最終的に得られる層は非常に均一な厚さを有する。
【0020】
非特許文献1に記載されているように、ALDは、ALD堆積の純度及び厚さの制御を改善するようにパージ流体を流す中間工程を有して良いことに留意して欲しい。
【0021】
本発明による方法の他の実施例では、厚さを増大させる工程は、化学気相成長(CVD)法、プラズマ化学気相成長(PECVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、又は分子線エピタキシー(MBE)法を有する。
【0022】
たとえばALDと比較したときのこれらの方法の利点は、当業者にとって既知であるように、成長速度の制御が不十分であることで厚さの制御も不十分であるとはいえ、高成長速度であることである。ALDと比較したときのこれらの方法の欠点は、通常は高い基板温度が必要となることである。
【0023】
本発明による方法のさらに他の実施例では、集束ビームによって基板を照射する工程は、レンズの助けを借りることによって基板上にマスクの像を生成する工程を有する。
【0024】
基板-たとえばウエハ-上にマスクの像を生成する光学及び粒子光学装置は当業者には周知である。2つの明確に異なる型が存在する。1つは、マスクがウエハに近接して設けられている装置で、もう1つは、レンズによってマスクの像が基板上で生成される型である。マスクがウエハに近接して設けられている型は通常たとえばX線リソグラフィで用いられる。マスクの像が生成される型は通常光リソグラフィ及び電子ビームリソグラフィに用いられる。マスクが数倍に縮小される型では、基板上で実現可能な寸法よりも大きな寸法を有するマスクの使用が可能となる。細い(光)線束をウエハ全体にわたって走査させるシステムと比較すると、いずれの型も高スループットを示す。しかしこれらの柔軟性は、走査型と比較して制限されている。
【0025】
本発明による方法のさらに他の実施例では、集束ビームによって基板を照射する工程は、集束ビームを基板全体にわたって走査する工程を有する。ここで集束ビームの焦点径は所望形状の最大径よりも小さい。
【0026】
この方法では、集束ビーム-たとえば電子又はイオンビーム-は、基板全体にわたって走査されることで所望の形状を生成する。ここでは基板の一部しか粒子に曝露されず、他方基板の他の部分は照射されない。この方法は、電子ビームリソグラフィの当業者には周知である。
【0027】
非特許文献2は、カーボンドットのアレイがシリコンウエハ上に堆積されていることについて開示している。カーボンドットはオゾンによって処理されることで、小さなドットとなり、かつドット間の表面がより清浄となる(炭化水素が除去される)。1250Kで熱処理される結果、SiC核化サイトが生成され、その後Geが堆積されることで、パターンを有する島が生成される。
【0028】
この方法は以下の2点で本発明による方法とは異なる。第1点は、カーボンドットが書き込まれる際のビーム径がカーボンドット自体の直径よりも小さくないことである。第2点は、SiC核化サイト上に生成される構造が、基板に対して平行な表面を有する構造の代わりに、錐体形状を有することである。
【0029】
本発明による方法の他の実施例では、集束ビームによって基板を照射する前に均一なシード層が基板上に堆積され、かつ集束ビームは、パターニングされたシード層を生成するように均一なシード層内にパターンをミリングする。
【0030】
先に堆積されたシード層内にパターンをミリング(又はビーム支援エッチング)することによって、高端部分解能を有するパターニングされたシード層を生成することができる。本明細書においては、ミリング及びエッチングには流体支援エッチングが含まれる。
【0031】
本発明による方法の他の実施例では、パターニングされたシード層の厚さを増大させた後に第2のパターニングされたシード層が生成され、それに続いて厚さが増大したパターニングされたシード層及び新たに生成された第2のパターニングされたシード層の厚さが増大する。
【0032】
プロセス中にパターニングされたシード層を変化させることによって、厚くした領域が変化する。その結果、厚さを増大させる時間の違いにより、微細構造の一部は、他の一部とは異なる厚さを有する。それにより厚さの異なる3D構造が作製される。
【0033】
本発明による方法の他の実施例では、パターニングされたシード層の厚さを増大させた後、構造の表面の一部が抑制され、それにより該抑制された一部がさらには厚くなり得ず、その後当該構造の残りの部分の厚さがさらに増大する。
【0034】
ここでパターニングされた層は、表面の一部を抑制することによって変化する。その結果、この抑制された一部はさらには厚くなり得ず、かつ厚さの異なる3D構造が作製される。
【0035】
本発明による方法の他の実施例では、構造の作製後に第2のパターニングされたシード層が生成され、その後第2のパターニングされたシード層は他の材料によって厚くされる。
【0036】
成長させた材料を変化させることによって、それぞれ異なる材料からなる複数の層を有する3D構造を作製することができる。第2のシード層が生成される場所に依存して、それぞれ異なる材料はお互いの上部で層を形成して良いし、又は互いに隣接しても良いし、又は重なり合っても良い。
【0037】
本発明による方法の他の実施例では、パターンの生成及びパターニングされたシード層の厚さの増大は、同一装置内で行われる。
【0038】
同一装置内でシード層を生成する工程及び層の厚さを増大させる工程を実行することによって、基板及びシード層を大気曝露する必要がなくなるので、これらの工程間での層の汚染、有害化及び/又は酸化が防止される。
【0039】
本発明の態様では、集束ビームを生成する鏡筒を備えた装置において、
前記ビームは、光ビーム、イオンビーム、若しくは電子ビームで、
当該装置には真空チャンバが備えられていて、
該真空チャンバ内には基板が基板ホルダ上に設けられ、
該基板ホルダは加熱されるように備えられ、
当該装置には制御装置が備えられ、
該制御装置は、当該装置に、集束粒子ビームによって前記基板を照射させることで所定のパターンを生成するように備えられ、
前記制御装置は、前記真空チャンバへ先駆体及び/又はエッチャント流体を流すように当該装置を制御するように備えられている装置であって、
前記制御装置は、試料領域へ流体を繰り返し流すように当該装置を制御するように備えられている、ことを特徴とする。
【0040】
この態様では、基板上にパターンを生成することのできる装置-たとえばSEM、FIB、並びに/又は電子及びイオン鏡筒を備えた装置-には、ALDを実行するソフトウエアがさらに備えられている。
【0041】
本発明の装置の実施例では、当該装置には、厚さ測定システムがさらに備えられている。
【0042】
当該装置に厚さ測定システムを備えることによって、構造の厚さを決定することができる。この厚さと所定の厚さとを比較することによって、この測定は、厚さを増大させるプロセスを終了させるのに用いることができる。
【0043】
本発明による装置のさらなる実施例では、厚さ測定システムは、集束粒子ビームが衝突する結果として基板内で発生するX線の検出を利用する。
【0044】
構造の寸法及び測定される厚さのいずれも、大抵の場合光学的手段によって信頼性のある測定を行うには小さすぎるので、X線検出が用いられるものと思われる。この方法では、知られているように、(集束)電子ビームが、構造の存在する基板上に衝突する。その結果、(電子の侵入能により)特性X線が、基板と(堆積された材料からなる)上部層の両方から発生する。構造の材料は下地の基板からのX線を吸収する。ここで特性放射線及び/又はその強度の比をたとえば校正表と比較することによって、層の厚さを決定することができる。
【0045】
集束ビームは、シード層の堆積に用いられるビームであって良いが、異なるビームであっても良いことに留意して欲しい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】A及びBは、上に微細構造を有する基板を概略的に図示している。
【図2】上にシード層が生成される基板を概略的に図示している。
【図3】基板上にマスクの像が生成される粒子光学装置を概略的に図示している。
【図4】上にさらなる構造が構築される微細構造を有する基板を概略的に図示している。
【図5】本発明による方法によって堆積された層の厚さを測定するのに用いられる層厚測定システムを概略的に図示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで図を参照しながら本発明について説明する。図中、同一参照番号は対応する素子を表すものとする。
【0048】
図1Aは、上に微細構造を有する基板の断面を概略的に図示している。他方図1Bは、
図1Aと同一の基板を、前記微細構造が成長している前記基板の面から見た図を示している。図1A及び図1Bは表面11を有する基板10を図示している。表面11上には、シード層12がEBID又はIBIDによって堆積された。続いてシード層12は、たとえばALD又はCVDを用いることによって材料13の分だけ厚くされる。材料13は、基板表面に対して実質的に平行な表面14を有する。
【0049】
基板10は、たとえばシリコン酸化物、シリコン窒化物、又はアルミニウム酸化物の表面を有する半導体基板-たとえばウエハ又はチップ-であって良い。しかし他の材料が基板として用いられても良い。他の材料とはたとえば、ダイアモンド、又はシード層を堆積することが可能な他の材料である。
【0050】
図2は上にシード層が形成される基板を概略的に図示している。
【0051】
図2は、集束粒子ビーム15-たとえば電子ビーム又はイオンビーム-が上で集束される基板10を図示している。先駆体流体16は基板へ導かれる。その結果、基板上において集束粒子ビームが基板へ衝突する場所に、シード層12が形成される。本願発明者らは、MeCpPtMe3(メチルシクロペンタジエチルプラチナ(IV)トリメチルの短縮形)をガリウムイオンの集束ビームに曝露することによって、プラチナのシード層が堆積されたSiO2表面を有するシリコンウエハを作製するのに成功した。
【0052】
シード層はそのシード層上部に成長させるべき材料の化合物であって良いが、他の材料を用いても良いことに留意して欲しい。よってプラチナ層及びルテニウム層は互いの上部で成長して良い。
【0053】
図3は、マスクが基板上に像を生成する粒子光学装置を概略的に図示している。
【0054】
図3は、粒子の光軸303の周りに粒子ビーム302を生成する粒子源301-たとえば電子源又はイオン源-を図示している。粒子ビームは、コンデンサレンズ304によって平行ビーム305に整形される。平行ビーム305はマスク306を照射する。マスク306は、平行ビーム305を透過する部分、及び平行ビーム305を透過しない部分を有する。対物レンズ308は、基板10の表面11上にマスクの像を生成する。基板が粒子によって照射される場所309では、シード層が堆積されて良い。あるいはこの場所で、それまでに均一であったシード層がミリング又はエッチングされて良い。堆積又はミリングに必要な先駆体又はエッチャント流体は、ガス注入システム(GIS)310によって基板へ導かれる。ノズル311は、キャニスター312からの流体を、照射可能な基板の一部へ導く。供給される流体の量は、好適には制御装置の制御下にあるバルブ313によって制御される。
【0055】
ALDを実行するように、周期的に流体を基板へ流すことを可能にするため、当該装置には他のGISが備えられていて良いことに留意して欲しい。
【0056】
マスク中の粒子ビームを透過する部分は穴あき部分であって良いが、薄いホイル-たとえばSiN3、SiO2からなる50nmの薄いホイル-であっても良いことに留意して欲しい。前記ホイルは、高エネルギー-たとえば100keV-の電子を透過する。
【0057】
この投影法及び前述した集束ビームの走査の代替手法として、多重ビーム装置が、スループットの向上に用いられて良いことに留意して欲しい。係る装置自体は既知である。
【0058】
図4は、さらに他の構造が上に構築されている微細構造を有する基板を概略的に図示している。
【0059】
図4は図1Aから派生したものと考えることができる。図4は、上に第1シード層12が堆積された基板10を図示している。この第1シード層上では、第1材料13が、ALD又は他の堆積手法-たとえばCVD-によって堆積される。前記第1材料13を第1シード層12上に堆積した後、第2シード層401a、401bが堆積される。この例では、第2シード層の一部401bが基板上に堆積され、かつ第2シード層の一部401aは既に堆積された第1材料13上に堆積される。その後第2材料402a、402bが第2シード層上に堆積される。この第2材料は第1材料と同一の組成を有しても良いが、異なる組成であっても良いことに留意して欲しい。
【0060】
この方法は3D構造の構築に用いられて良い。この方法を繰り返し用いることによって、一の種類の材料が他の種類の材料中に埋め込まれる3D構造を構築することができる。たとえば、重金属構造が低Z材料中に埋め込まれて良い。これは、たとえばX線光学で用いられるコリメータ構造又は(フレネル)レンズ構造を構築するのに用いられて良い。
【0061】
第2層が第1材料13上に堆積されて良く、前記第2層は、この第2層が堆積される領域上での構造のさらなる成長を抑制することに留意して欲しい。続いて第2層が堆積されない領域上での層の厚さを再度増大させることによって、3D構造が構築される。
【0062】
集束粒子ビームに対して基板をさらに傾けることによって、既に成長した構造の上部の第2シード層401aの一部は、基板上に第2シード層401bの一部と連続的になって良いし、又は不連続であっても良い。
【0063】
図5は、本発明による方法によって堆積された層の厚さを測定するのに用いられる層厚測定システムを概略的に図示している。
【0064】
図4は図1Aから派生したものと考えることができる。基板10の表面11は、パターニングされたシード層12によって部分的に覆われている。このシード層上では材料13が堆積される。材料13は表面14を有する。
【0065】
ここでこの構造は、集束電子ビーム504によって照射される。その結果X線が、堆積された材料13(X線502)と基板(X線501)の両方から発生する。これらのX線の一部はX線検出器503-たとえばEDX検出器-によって検出される。基板10内で発生するX線の一部は、検出器へ到達する際に通り抜けなければならない材料によって吸収される。よって厚い層では、基板からのX線は検出されにくい。他方、非常に薄い堆積層では、その堆積層中でほとんどX線が発生しない。従って、基板から発生するX線のうち検出されたものと、堆積層から発生したX線のうち検出されたものとの比は、層の厚さの関数となる。この比を校正表と比較することによって、さらに非常に小さな構造の厚さをも高精度で決定することができる。
【0066】
その比はまた電子の侵入能の関数でもあることに留意して欲しい。電子の侵入能は、当業者に知られているように、電子のエネルギーの関数である。従って集束電子ビームのビームエネルギーは、測定される厚さに対して調節することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 基板
11 表面
12 シード層
13 材料
14 表面
15 集束電子ビーム
16 先駆体流体ジェット
301 粒子源
302 粒子ビーム
303 粒子の光軸
304 コンデンサレンズ
305 ビーム
306 マスク
307 ビーム
308 対物レンズ
309 場所
310 ガス注入システム
311 ノズル
312 キャニスター
313 バルブ
401a シード層
401b シード層
402a 材料
402b 材料
501 X線
502 X線
503 X線検出器
504 集束電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に微細構造を作製する方法であって、
基板に表面を供する工程、
前記基板表面上に所望の形状を有するパターニングされたシード層を形成する工程、及び、
前記パターニングされたシード層の厚さを増大させる工程であって、前記基板表面に対して実質的に平行な表面を有する構造が形成されるように行われる、工程、
を有し、
前記のパターニングされた層を作製する工程が、先駆体流体又はエッチング流体が存在する中で、集束粒子ビームによって前記基板を照射する工程を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記集束ビームは、集束光ビーム、集束イオンビーム、又は集束電子ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の厚さを増大させる工程は原子層堆積(ALD)法を有する、上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記の厚さを増大させる工程は、化学気相成長(CVD)法、プラズマ化学気相成長(PECVD)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、又は分子線エピタキシー(MBE)法を有する、上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記の集束ビームによって基板を照射する工程は、レンズの助けを借りることによって前記基板上にマスクの像を生成する工程を有する、上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記の集束ビームによって基板を照射する工程は前記集束ビームを前記基板全体にわたって走査する工程を有し、
前記集束ビームの焦点径は所望形状の最大径よりも小さい、
請求項1-4のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記集束ビームによって前記基板を照射する前に均一なシード層が前記基板上に堆積され、かつ
前記集束ビームは、前記パターニングされたシード層を生成するように前記均一なシード層内にパターンをミリング又はエッチングする、
上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記パターニングされたシード層の厚さを増大させた後、第2のパターニングされたシード層が生成され、
その後前記の厚くなった第2のパターニングされたシード層及び新たに生成された第2のパターニングされたシード層が厚くなる、
上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記パターニングされたシード層の厚さを増大させた後、前記構造の表面の一部が抑制され、
それにより該抑制された一部がさらには厚くならず、
その後前記構造の残りの部分の厚さがさらに増大する、
請求項1-7のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記構造の作製後、第2のパターニングされたシード層が生成され、
その後前記第2のパターニングされたシード層が他の材料によって厚くされる、
上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記のパターニングされたシード層を生成する工程及び前記のパターニングされたシード層を厚くする工程は、同一装置内で行われる、上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
集束ビームを生成する鏡筒を備えた装置において、
前記ビームは、光ビーム、イオンビーム、若しくは電子ビームで、
当該装置には真空チャンバが備えられていて、
該真空チャンバ内には基板が基板ホルダ上に設けられ、
該基板ホルダは加熱されるように備えられ、
当該装置には制御装置が備えられ、
該制御装置は、当該装置に、集束粒子ビームによって前記基板を照射させることで所定のパターンを生成するように備えられ、
前記制御装置は、前記真空チャンバへ先駆体及び/又はエッチャント流体を流すように当該装置を制御するように備えられている装置であって、
前記制御装置は、試料領域へ流体を繰り返し流すように当該装置を制御するように備えられている、
ことを特徴とする、装置。
【請求項13】
厚さ測定システムをさらに有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記厚さ測定システムは、集束粒子ビームが衝突する結果として前記基板内で発生するX線の検出を利用する、請求項13に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−144250(P2010−144250A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285250(P2009−285250)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(501233536)エフ イー アイ カンパニ (87)
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
【住所又は居所原語表記】7451 NW Evergreen Parkway, Hillsboro, OR 97124−5830 USA
【Fターム(参考)】