説明

基板処理方法及び基板処理装置

【課題】完全に乾燥させる前の少なくとも一部に液体が付着している基板表面の性状を、基板全体を乾燥させることなく疎水性から親水性に改質することで、乾燥後にウォーターマークが発生することを極力抑制するとともに、IPAなどの有機溶剤の使用を削減できるようにする。
【解決手段】液体が付着した基板表面の一部の領域に液排除ガスを吹き付けて液体を該ガスで基板表面から排除した露出領域を形成するか、または基板表面の液体の一部を吸引して基板表面の一部の領域に液体を排除した露出領域を形成し、露出領域にプラズマ含有ガスを吹き付けて該露出領域に位置する基板表面の性状を疎水性から親水性に改質する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造で使用される半導体ウェーハ、MEMS(Micro-Electro Mechanical Systems)やNEMS(Nano-Electro Mechanical Systems)基板、LCD(Liquid Crystal Display)等のFPD(Flat Panel Display)製造に使用されるガラス基板等の基板の洗浄及び乾燥等の処理に使用される基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の製造分野において、デバイスの微細化の進展に伴って、プロセス性能に対する要求は高くなっている。それに対して、各加工プロセスにおいて基板上に発生するパーティクルや有機物、金属などの汚染物、自然酸化膜などを有効に除去するために、基板の洗浄技術が益々重要となっている。基板の洗浄には、主として薬液(洗浄液)を使用するウェット洗浄技術が広く用いられている。
【0003】
ウェット洗浄では、基板表面に付着したパーティクルや汚染物質などの除去対象に合わせ、APM,HPM,DHFなどの薬液(洗浄液)を使用した洗浄処理が行われ、その後、直ちに基板表面を超純水などにより水洗して基板表面に付着した薬液を除去するリンス処理が行われる。そして、リンス処理後の基板は脱水乾燥によって乾燥処理される。なお、APMは、アンモニアと過酸化水素水との混合液であり、HPMは、塩酸と過酸化水素水と水との混合液であり、DHFは、フッ酸を水で50から500倍程度に希釈した溶液である。これらの薬液は、洗浄用薬液(洗浄液)として、半導体製造などにおける洗浄プロセスに広く用いられている。
【0004】
ここで、リンス後の乾燥処理中に基板表面に水滴が乾燥されることなく長く残留すると、基板のシリコンが水滴に溶け込み、水滴中のシリコンと溶存酸素が反応してSiOを生成し、乾燥後にウォーターマークと呼ばれる斑点状のしみが発生する。このようにウォーターマークが発生すると、最終的に組みあがったデバイス性能に悪影響を与えてしまう。このため、乾燥プロセスでは、基板上に液滴が残留することを防止し、基板上に液滴が残留する場合においては、その液滴を素早く乾燥させることが非常に重要な技術課題となっている。
【0005】
従来、基板の乾燥には、基板を高速回転させて遠心力により基板表面に残留する液膜または液滴を除去する、いわゆるスピン乾燥法が広く使われている。しかし、スピン乾燥法では、基板を高速で回転させるため、基板から飛び出した液滴が処理槽の外壁に衝突して基板に跳ね返ってくる恐れがある。また、基板表面に金属と絶縁材の異種材料が混在する場合には、遠心力のみでは基板上の液膜または液滴の残留を完全に防げない場合がある。
【0006】
近年、半導体デバイスの高速化に伴って、従来のSiOに代表される絶縁膜材料の代わりに、Low−kと呼ばれる低誘電率の絶縁膜材料が使用されるようになってきている。Low−k材の表面は、親水性のSiOと異なり疎水性を示す。このため、Low−k材を絶縁性材料として使用した基板をリンス後に乾燥させようとすると、リンス液の一部が基板(Low−k材)の表面に液滴として残留し易くなる。そして、例えば直径が数μm以下の液滴が基板表面に残留する場合、液滴と基板との間に作用する付着力が遠心力に対して相対的に大きくなって、一般的なスピン乾燥では液滴の除去が困難となる。リンス後の乾燥処理中に液滴が基板表面に残っている場合、基板表面が疎水性であると、液滴と基板の接触角が大きいため液滴の比表面積(単位体積当たりの表面積)が小さくなって、液滴の乾燥により長い時間がかかるので、ウォーターマークが形成し易くなる。
【0007】
その対策として、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気中で基板表面の液滴とIPAを置換することで基板を乾燥させるIPA蒸気乾燥法、水中からIPA蒸気中へ基板を引き上げるマランゴニ乾燥法、及び基板を低速回転させながら気液界面にIPA蒸気を吹き付けるロタゴニ乾燥法などが基板の乾燥に用いられている。しかし、IPAを使用したいずれの方法でも、基板表面に有機物が残留することや、可燃性溶剤の使用による安全性や環境問題が懸念され、IPAを代替する乾燥法の開発が求められている。
【0008】
ここで、基板を回転させながら、基板の所定領域に大気圧プラズマジェットを当て、次に、前記所定領域にリンス液を噴霧し、必要に応じて、乾燥用ガスを前記所定領域に吹き付けることで、基板上の金属膜を洗浄するようにしてものが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この特許文献1は、大気圧プラズマジェットによって、例えば銅(Cu)を塩化第二銅(CuCl)に化学変化させ、生成された塩化第二銅をリンス液中に溶解させて基板上の金属膜を洗浄するようにしているものであって、基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしたものではない。
【0009】
出願人は、基板表面に液体を供給し、その液体を吸引し、基板表面に残留する液体を蒸発機構で完全に除去することで、ウォーターマーク発生を抑制するようにしたものを提案している(特許文献2参照)。しかしながら、この引用文献2は、基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしたものではない。
【0010】
また、ドライプロセスにあっては、希ガス放電により生成したプラズマ(例えば1Pa以下)に絶縁膜表面を曝すことで、絶縁膜表面のダメージの無い親水化処理を行うようにしたもの(引用文献3参照)、乾燥状態のレジスト表面に酸素プラズマを照射してレジスト表面を親水化するようにしたもの(特許文献4参照)、低圧(例えば10mTorr)高密度プラズマでエッチング表面を親水化するようにしたもの(特許文献5参照)、及び低誘電率の絶縁膜表面にトレンチやビアホールを形成した後、バリアメタル膜を形成する前に、絶縁膜表面をプラズマ処理して親水性に改質し、絶縁膜とバリアメタルとの密着性を向上させるようにしたもの(特許文献6参照)が提案されている。更に、大気圧下で有機化合物や無機化合物をプラズマ励起することにより薄膜を形成したり、表面を改質したりすることも知られている(引用文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2004−536446号公報
【特許文献2】WO2006/038472
【特許文献3】特開2005−33026号公報
【特許文献4】特開平09−106938号公報
【特許文献5】特開2005−052967号公報
【特許文献6】特開2003−309170号公報
【特許文献7】WO95/18249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、基板処理の過程においてウェット洗浄を行う場合の上述の問題点に鑑みて成されたもので、表面が疎水性である基板についてこれを乾燥させる前の少なくとも一部に液体が付着している基板表面の性状を、基板表面全体を乾燥させることなく、基板表面の一部を露出させ当該露出表面を疎水性から親水性に改質することで、基板全体の乾燥後にウォーターマークが発生することを極力抑制するとともに、IPAなどの有機溶剤の使用を削減できるようにした基板処理方法及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため本発明の基板処理方法は、液体が付着した基板表面の一部の領域に液排除ガスを吹き付けて前記液体を該ガスで基板表面から排除した露出領域を形成するか、または基板表面の液体の一部を吸引して基板表面の一部の領域に液体を排除した露出領域を形成し、前記露出領域にプラズマ含有ガスを吹き付けて該露出領域に位置する基板表面の性状を疎水性から親水性に改質する。
【0014】
基板の表面改質は、好ましくは、ロールスポンジなどによる粗洗浄を終えた後、洗浄液を基板へ供給しつつ、場合によってはペンシルスポンジを併用して基板上の汚れや異物を除去する洗浄工程と同時に行なわれるか、または洗浄後の基板へリンス液を供給しつつ、基板上に残留する洗浄液を除去するリンス工程と同時に行われる。
【0015】
通常、プラズマや光を用いた基板の表面改質は、基板の表面が大気に露出した状態において有効であることが知られている。しかし、全体を乾燥させる前の基板であって、少なくとも一部に液体(液膜または液滴)が付着している基板表面に対してプラズマや光を用いた基板の表面改質を行うとすると、この基板表面に付着している液体が基板の表面改質を阻害する。一方、Low−k材のような疎水性表面では、濡れた状態から基板表面全体を乾燥させる過程で液膜が切れて液滴になりやすく、基板表面の液滴を全て除去することは極めて困難なのでウォーターマークが発生し易い傾向がある。
【0016】
本発明によれば、基板表面全体を乾燥する前に、液排除ガスの流れの運動エネルギーまたは基板表面の液体の一部の吸引で、改質の目的箇所である基板表面の一部の領域の液膜または液滴のみが局部的に排除されて大気に露出された状態となり、前記局部的に露出された領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることで、基板表面の疎水性から親水性への改質を有効に実施することができる。装置構造上または運転条件の制限で改質された表面を液体で再び濡らしたとしても、その液体は短時間で乾燥するため、ウォーターマークの発生を防ぐことができる。
【0017】
このように、露出状態にある基板表面にプラズマ含有ガスが吹き付けられてプラズマが照射されると、基板表面にある分子の結合を切断し、大気中の水分子から解離したOH基を付着させることで親水化が行われる。疎水性の基板表面の親水化をより具体的に説明するために、SiOC系のLow−k膜を例に用いると、SiOC系のLow−k膜は、CH基(メチル基)で終端されている。プラズマがLow−k膜に照射されると、SiとCHの結合(Si−C)が切れる。なぜならば、Si−Cの結合エネルギーは、約3.3eVであるが、プラズマ中に含まれる、例えばラジカルのエネルギーは3.3eVよりも高いので、Si−Cの結合を切断することができる。結合が切断されたSiは非常に不安定であり、同様に水分子(HO)から解離した(分子結合が切断された)OH基がLow−k膜表面に到達すると、Siと親水基であるOH基が容易に結合する。結果として、露出状態にあるLow−k膜表面にプラズマを照射するだけで、容易にLow−k膜表面が親水性に改質される。
【0018】
前記露出領域を逐次変更して、基板表面の処理対象全域の性状を疎水性から親水性に改質することが望ましい。
【0019】
前記液排除ガスとして前記プラズマ含有ガスを使用し、プラズマ含有ガスを基板表面の一部に吹き付けることで、前記露出領域の形成と該露出領域に位置する基板表面の性状の疎水性から親水性への改質を同時に行うようにしてもよい。
このように、プラズマ含有ガスの流れの運動エネルギーを用いて、基板表面に付着している液滴を排除してもよい。
【0020】
本発明の好ましいし一態様は、表面に液体が付着した基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付ける。
【0021】
基板表面に付着した液体は、遠心力により基板の中心部から外周端に向かって流れるので、プラズマノズルも同様に基板の中心部から外周端に向かって移動させれば、基板表面の露出領域に液体が侵入する恐れが殆んど無くなるので好ましい。本態様によれば、基板表面の処理対象全域を改質することで、基板の当該領域を乾燥することができる。なお、以下、「基板の処理対象全域を乾燥する」ことを単に「基板を乾燥する」と表現することもある。また基板表面が一旦改質されて乾燥されれば、その後に液体が付着することがあったとしても、例えばスピン乾燥法などにより簡単且つ素早く液体の除去ができるので、基板表面上でのウォーターマークの発生を好適に抑制することができる。
【0022】
移動リンスノズルを更に備え、該移動リンスノズルから基板表面の一部の第1領域に向けてリンス液を供給して該第1領域をリンスし、同時に前記第1領域よりも基板中心側に位置する基板表面の一部の第2領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第1領域及び前記第2領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、前記プラズマノズル及び前記移動リンスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させるようにしてもよい。
【0023】
これにより、リンス液は遠心力で基板の外周端に向かって流れるので、基板表面をリンス液でリンスでき、且つプラズマ含有ガスによりリンス液の一部を吹き飛ばしつつ露出させて改質される基板表面の第2領域にはリンス液が進入しにくいので基板表面を好適に改質でき、これによって、基板の処理対象全域を好適に改質して基板を乾燥できる。従って、本態様によれば、基板の表面改質と基板表面のリンス液によるリンスとを同時に行って、基板表面を乾燥させることができる。
【0024】
本発明の好ましい一態様は、表面に液体が付着した基板を回転させ、基板表面の一部の第3領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて、前記第3領域から液体を排除して基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第3領域と同心円上もしくは基板中心側に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第4領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第3領域及び前記第4領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、前記液排除ガスノズル及びプラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させる。
【0025】
基板に付着している液体は、基板の回転による遠心力で基板の中心部から外周端に向かって流れるので、第3領域に液排除ガスを吹き付けることによって、第3領域から液体が排除される。更に、第3領域と同心円上もしくは基板中心側に位置する第4領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることで、第4領域に位置する基板表面を疎水性から親水性に改質することができる。本態様によれば、このようにして、液排除ガスノズルとプラズマノズルとを基板の中心部から外周端まで移動させることにより、基板表面の処理対象全域を改質して基板を乾燥させることができる。
【0026】
本発明の好ましい一態様は、表面に液体が付着した基板を回転させ、移動リンスノズルから基板表面の一部の第5領域にリンス液を供給して該第5領域をリンスし、前記第5領域よりも基板半径方向内方に位置する第6領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて、前記第6領域への液体の流入を阻止しつつ該第6領域から液体を排除して基板表面に前記露出領域を形成し、同時に前記第6領域よりも基板半径方向内方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第7領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第5領域、前記第6領域及び前記第7領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、基板の中心部から外周端に向けて前記移動リンスノズル、前記液排除ガスノズル及びプラズマガスノズルを移動させる。
【0027】
これにより、基板の第5領域に供給されたリンス液は、遠心力で基板の外周端に向かって流れるので基板表面をリンス液でリンスできる。また第5領域よりも基板半径方向内方に位置する第6領域に液排除ガスを吹き付けてリンス液の一部を吹き飛ばすことで、リンス液を確実に排除して基板表面を露出させ、さらに第6領域よりも内方の第7領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることで、基板表面を好適に改質できる。上記の基板のリンス、基板表面の露出及び改質を基板の中心部から外周端に向かって基板表面の処理対象全域について行うことにより、基板の表面改質と基板表面のリンス液によるリンスとを同時に行って、基板表面を乾燥させることができる。
【0028】
前記基板表面に付着した液体は、例えばリンス液または洗浄液である。
【0029】
本発明の好ましい一態様は、表面に洗浄液を供給しながら基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付ける。
本態様によれば、基板表面を洗浄すると同時に改質することができるから、その後の工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制することができる。
【0030】
本発明の好ましい一態様は、表面にリンス液を供給しながら基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付ける。
本態様によれば、基板表面をリンスすると同時に改質することができるから、その後の工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制することができる。
【0031】
本発明の好ましい一態様は、表面に洗浄液を供給しながら基板を回転させ、基板表面の一部の第8領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第8領域と同心円上もしくは基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の第9領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記液排除ガスノズル及び前記プラズマガスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させる。
【0032】
本態様によれば、基板表面に供給された洗浄液は、遠心力の作用によって基板の外周端に向かって流れる。基板表面の改質を好適に行うために、第8領域に液排除ガスを吹き付けて基板表面を露出させるとともに、洗浄液が第8領域に侵入するのを阻止する。そして第8領域と同心円上もしくは基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の第9領域にプラズマ含有ガスを吹き付けて基板表面を改質する。このようにして基板表面を洗浄すると同時に改質し、その後の工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制することができる。
【0033】
本発明の好ましい一態様は、表面にリンス液を供給しながら基板を回転させ、基板表面の一部の第10領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第10領域と同心円上もしくは基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第11領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記液排除ガスノズル及び前記プラズマガスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させる。
【0034】
本態様によれば、基板表面に供給されたリンス液は、遠心力の作用によって基板の外周端に向かって流れる。基板表面の改質を好適に行うために、第10領域に液排除ガスを吹き付けて基板表面を露出させるとともに、リンス液が第10領域に侵入するのを阻止する。そして第10領域と基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第11領域にプラズマ含有ガスを吹き付けて基板表面を改質する。このようにして、基板表面をリンスすると同時に改質し、その後の工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制することができる。
【0035】
前記プラズマ含有ガスを生成するプラズマ生成用ガスは、例えば空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン及び水蒸気のうちのいずれか一つのガス、または前記ガスから選択された2種類以上の混合ガスである。
【0036】
本発明の基板処理装置は、基板を保持して回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にリンス液を供給する移動リンスノズルと、前記プラズマノズルと前記移動リンスノズルとを該リンスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記プラズマノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構とを備え、基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて前記両ノズルを掃引しつつ、基板表面の一部の領域に前記移動リンスノズルからリンス液を、前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスをそれぞれ供給する。
【0037】
これにより、基板表面の一部の領域をリンスすると共に改質しながら、前記一部の領域を逐次変更することで、やがて基板表面の処理対象全域についてリンスと同時に改質を行って基板を乾燥することが可能な基板処理装置を提供できる。
【0038】
前記プラズマノズルまたは前記移動リンスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることが好ましい。
【0039】
本発明の他の基板処理装置は、基板を保持し回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域に液体排除用のガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にリンス液を供給する移動リンスノズルと、前記プラズマノズル、前記液排除ガスノズル及び前記移動リンスノズルを該リンスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に、該液排除ガスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記プラズマガスの上流側にそれぞれ位置させて搭載し、前記3つのノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構とを備え、基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて前記3つのノズルを掃引しつつ、基板表面の一部の領域に前記移動リンスノズルからリンス液を、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスをそれぞれ供給する。
【0040】
これにより、基板表面の一部の領域をリンスすると共に改質しながら、前記一部の領域を逐次変更することで、やがて基板表面の処理対象全域についてリンスと同時に改質を行って基板を乾燥することが可能な基板処理装置を提供できる。
【0041】
前記プラズマノズル、液排除ガスノズルまたは移動リンスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることが好ましい。
【0042】
本発明の更に他の基板処理装置は、基板を保持し回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記プラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面に洗浄液を供給する洗浄液ノズルとを備え、基板を回転させつつ基板表面に洗浄液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズルを掃引しながら該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付ける。
【0043】
これにより、基板表面の洗浄と同時に改質を行うことができ、基板表面の処理対象全域について洗浄及び改質を行うようにすることで、その後の基板処理工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制可能な基板処理装置を提供できる。
【0044】
本発明の更に他の基板処理装置は、基板を保持し回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記プラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面にリンス液を供給する固定リンスノズルとを備え、基板を回転させつつ基板表面にリンス液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズルを掃引しながら該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付ける。
【0045】
これにより、基板表面のリンスと同時に改質を行うことができ、基板表面の処理対象全域についてリンス及び改質を行うようにすることで、その後の基板処理工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制可能な基板処理装置を提供できる。
【0046】
本発明の更に他の基板処理装置は、基板を保持し回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域に液排除ガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルとを該プラズマノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面に洗浄液を供給する洗浄液ノズルとを備え、基板を回転させつつ基板表面に洗浄液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズル及び液排除ガスノズルを掃引しながら基板表面の一部の領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記両ガスの基板表面上における吹き付け領域の少なくとも一部が重なるようにそれぞれ吹き付ける。
【0047】
これにより、基板表面の一部からより確実に液体を排除して、基板表面の洗浄と同時により確実な改質を行うことができ、基板表面の処理対象全域について洗浄及び改質を行うようにすることで、その後の基板処理工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制可能な基板処理装置を提供できる。
【0048】
本発明の更に他の基板処理装置は、基板を保持し回転させる基板保持機構と、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域に液排除ガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルとを該プラズマノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、前記基板保持機構で保持した基板表面にリンス液を供給する固定リンスノズルとを備え、基板を回転させつつ基板表面にリンス液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズル及び液排除ガスノズルを掃引しながら基板表面の一部の領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記両ガスの基板表面上における吹き付け領域の少なくとも一部が重なるようにそれぞれ吹き付ける。
【0049】
これにより、基板表面の一部からより確実に液体を排除して、基板表面のリンスと同時により確実な改質を行うことができ、基板表面の処理対象全域についてリンス及び改質を行うようにすることで、その後の基板処理工程において基板表面上のウォーターマークの発生を好適に抑制可能な基板処理装置を提供できる。
【0050】
前記プラズマノズルまたは液排除ガスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることが好ましい。
【0051】
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルは同心状に一体に形成されていることが好ましい。
このように、プラズマノズルと液排除ガスノズルとを同心状に一体に形成することで、この一体化したノズルから噴出されるプラズマ含有ガス及び液排除ガスの双方の流れ運動エネルギーを用いて、基板表面に付着した液体を効率的に排除し、しかも、装置のコンパクト化ができる。
【0052】
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルは別体で構成され、前記ノズル掃引機構に対してそれぞれの位置が固定されていてもよい。
これにより、プラズマ生成条件に制限されることなく、ガスの種類及び流量、更に基板に対する気流の噴出角度を自由に調整して、基板表面に付着した液体を有効に排除できる。しかも、プラズマノズルと液排除ガスノズルとの相対位置を常に一定に保つことで、プラズマを照射する箇所の基板の表面状態、即ち液体の除去と疎水性から親水性への表面改質状態は一定となり、安定な処理を行うことが出来る。
【0053】
本発明の研磨装置は、基板を搬出入するロード・アンロード部と、基板表面を研磨して平坦化する研磨ユニットと、前記基板処理装置を有する。
例えば金属配線を形成するウェットプロセスの研磨処理で、研磨処理後の基板上にウォーターマークが残ると、デバイスの性能に大きな悪影響を与える。前記基板処理装置を研磨工程または研磨後の洗浄工程に使えるように研磨装置に搭載することで、ウォーターマークフリーの高品質なデバイス基板を製造することができる。
【0054】
本発明のめっき装置は、基板を搬出入するロード・アンロード部と、基板表面にめっきを行うめっきユニットと、前記基板処理装置を有する。
例えば、金属配線を形成した後に配線を保護する保護膜(メタルキャップ)を形成する無電解めっき処理では、めっき処理後の基板上にウォーターマークが残ると、デバイスの性能に大きな悪影響を与える。前記基板処理装置を研磨工程または研磨後の洗浄工程に使えるようにめっき装置に搭載することで、ウォーターマークフリーの高品質なデバイス基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、乾燥させる前の少なくとも一部に液体が付着している基板表面の性状を、基板表面全体を乾燥させることなく、基板表面の一部を露出させて当該露出表面を疎水性から親水性に改質することで、基板表面全体の乾燥後にウォーターマークが発生することを極力抑制できるとともに、IPAなどの有機溶剤の使用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態の乾燥ユニットに適用した基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】図1の乾燥ユニット(基板処理装置)の乾燥処理時における基板及びノズルの関係を示す正面図である。
【図3】図1の乾燥ユニット(基板処理装置)の平面図である。
【図4】(a)は図1に示すガスノズルの縦断正面図で、(b)は横断面図である。
【図5】大気圧プラズマを照射した時の接触角と液滴の乾燥時間の変化を示すグラフである。
【図6】大気圧プラズマを照射しない場合の液滴の変化(乾燥過程)を示す顕微鏡写真である。
【図7】大気圧プラズマを照射した場合の液滴の変化(乾燥過程)を示す顕微鏡写真である。
【図8】ウェーハ(基板)回転速度を変えた場合の接触角と液滴の乾燥時間の変化を示すグラフである。
【図9】プラズマ照射距離(mm)を変えた場合の改質幅(mm)の変化を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施の形態の乾燥ユニットに適用した基板処理装置の図2相当図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の乾燥ユニットに適用した基板処理装置の図3相当図である。
【図12】(a)はプラズマノズルと液排除ガスノズルとを一体化したプラズマ兼液排除ガスノズルの一例を示す縦断正面図で、(b)は横断面図である。
【図13】(a)はプラズマノズルと液排除ガスノズルとを一体化したプラズマ兼液排除ガスノズルの他の例を示す縦断正面図で、(b)は横断面図である。プラズマノズル2、ガスノズル4とリンスノズル3の相対位置(実施例2)
【図14】本発明の第3の実施の形態の洗浄ユニットに適用した基板処理装置を示す斜視図である。
【図15】図14の洗浄ユニット(基板処理装置)の洗浄処理時における基板及びノズルの関係を示す正面図である。
【図16】図14の洗浄ユニット(基板処理装置)の平面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態の洗浄ユニットに適用した基板処理装置を示す斜視図である。
【図18】図17の洗浄ユニット(基板処理装置)の洗浄処理時における基板及びノズルの関係を示す正面図である。
【図19】図17の洗浄ユニット(基板処理装置)の平面図である。
【図20】本発明の実施の形態の研磨装置を示す全体平面図である。
【図21】本発明の実施の形態のめっき装置を示す全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の各実施の形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0058】
図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態の乾燥ユニットに適用した基板処理装置を示す。この乾燥ユニット(基板処理装置)10は、基板Wを水平状態で着脱自在に保持して回転させる基板保持機構12と、ノズル掃引機構14を備えている。ノズル掃引機構14は、上下方向に延びて基板保持機構12で保持した基板Wの上方に達する伸縮及び回転自在な支持軸16と、この支持軸16の上端に連結されて水平方向に延びる揺動アーム18を有しており、この揺動アーム18の先端の支持部20に、基板保持機構12で保持した基板Wの一部の領域にプラズマ含有ガス22(図2参照)を吹き付けて大気圧プラズマ照射を行うプラズマノズル24と、基板保持機構12で保持した基板Wの一部の領域に超純水等のリンス液26(図2参照)を供給する移動リンスノズル28が保持されている。
【0059】
これによって、プラズマノズル24と移動リンスノズル28は、基板Wの乾燥・リンス処理に際し、ノズル掃引機構14の支持軸16の回転に伴う揺動アーム18の揺動に伴って、基板Wの表面との距離(高さ)を一定に保持したまま、かつプラズマノズル24と移動リンスノズル28との相対位置を一定に保持した状態で、一体となって一定方向に、この例では、基板Wの中心部から外周端に向けて掃引される。
【0060】
なお、この例では、プラズマノズル24と移動リンスノズル28が基板Wの中心部から外周端に向けて掃引されるようにしているが、これとは逆に、プラズマノズル24と移動リンスノズル28が基板Wの外周端から中心部に向けて掃引されるようにしてもよい。以下の各例でも、各ノズルが基板Wの中心部から外周端に向けて掃引されるようにしているが、これとは逆に、各ノズルが基板Wの外周端から中心部に向けて掃引されるようにしてもよい。
【0061】
このようにプラズマノズル24と移動リンスノズル28と一定方向に掃引した時、図2及び図3に示すように、移動リンスノズル28から基板Wの表面に供給されたリンス液26がプラズマノズル24から吹き出されるプラズマ含有ガス22で基板Wの表面から除去されるように、移動リンスノズル28は、掃引方向に沿ってプラズマノズル24の上流側に配置されている。つまり、プラズマノズル24は、移動リンクノズル28に追随して掃引方向に移動するようになっている。基板保持機構12で保持した基板Wの表面とプラズマノズル24及び移動リンスノズル28の下端との距離(高さ)は、支持軸16を伸縮させることで調節される。
【0062】
この例では、プラズマノズル24から基板Wの表面の一部の領域にプラズマ含有ガス22を吹き付けることで、基板Wの表面の一部の領域にプラズマ含有ガス22でリンス液26を除去した露出領域を形成し、同時に該露出領域に位置する基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしている。この露出領域は、露出すると同時に改質される。そして、この処理を、基板Wを回転させ、プラズマノズル24及び移動リンスノズル28を一定方向に、つまり基板Wの中心部から外周端に向けて掃引しながら行うことで、基板Wの表面の処理対象全域の性状を疎水性から親水性に改質して、基板Wの表面を乾燥させるようにしている。つまり、図3に示すように、基板Wの回転に伴って、リング状に広がった親水化直後領域30の中心側に親水性に改質された改質領域32が、外側に移動リンスノズル28から供給されたリンス液26で覆われた液膜領域34がそれぞれ形成され、この改質領域32が徐々に外方に広がって最終的に基板Wの処理対象表面全域が乾燥される。
【0063】
図1に示すように、基板保持機構12の側方に位置して、基板保持機構12で保持して回転させた基板Wの表面のほぼ中央に超純水等のリンス液を供給して基板Wの表面をリンス液でリンスする固定リンスノズル36が配置されている。
【0064】
プラズマノズル24は、図4に示すように、円筒状で、内部にプラズマ生成用ガスG1を通過させるガス流路38aを有するノズル本体38を有しており、このノズル本体38のガス流路38aを挟んで互いに対向する位置の周壁に一対のプラズマ生成用電極40a,40bが埋設されている。この一対のプラズマ生成用電極40a,40bは、高電圧電源42の両極にそれぞれ接続されている。プラズマ生成用ガスG1として、例えば空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン及び水蒸気のうちのいずれか一つのガス、または前記ガスから選択された2種類以上の混合ガスが使用される。
【0065】
なお、図示しないが、高周波電源を用いて大気圧プラズマを生成するようにしても良く、また電磁波や衝撃波を用いて大気圧プラズマを生成するようにしても良い。高周波電源を用いて大気圧プラズマを生成する際は、アンテナを用いても良く、導波管を用いても良い。アンテナや導波管を用いる場合は、プラズマ生成用電極を用いる必要はない。
【0066】
このように、プラズマ生成用ガスG1を細いガス流路38a内に導入することでノズル本体38内に高速気流を形成し、この高速気流にプラズマ生成用電極40a,40bを介して高電圧を印加することで大気圧プラズマが生成される。ここで、印加する高電圧は、一般的には1〜50kVであり、5〜20kVであることが好ましい。この高電圧は、直流であっても良いし交流であっても良い。この大気圧プラズマは、高電圧を印加する対向したプラズマ生成用電極40a,40b間に生成される。
【0067】
このように、プラズマ生成用ガスの気流とともに大気圧プラズマを基板Wの表面の液体(リンス液または後述する洗浄液)のない露出した領域(露出領域)に到達させることで、該露出領域に位置する基板表面の性状の疎水性から親水性への改質を行うことができる。例えばLow-k膜においては、Si−Cの結合を断ち切り、Si−OH結合に置換することによって、親水性を付与できる。この表面改質は、基板の最表面、換言すれば1〜数原子層レベルの深度に留まるので、事実上基板Wへダメージを与えることはない。
【0068】
なお、この例では、移動リンスノズル28を備え、この移動リンクノズル28から基板Wの表面に供給されるリンス液(純水)26で基板Wの表面のリンスを行うようにしているが、固定リンスノズル36から供給されるリンス液(純水)のみで基板Wのリンスを行うことができる場合や、基板Wのリンスを行う必要がない場合には、移動リンスノズル28を省略することができる。
【0069】
次に、図1乃至図4に示す乾燥ユニット(基板処理装置)10の操作例について説明する。
【0070】
例えば、ロールブラシを用いて表面を洗浄した基板Wを基板保持機構12で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wの直径は、例えば300mmである。基板Wの回転が始まると同時に、固定リンスノズル36からリンス液(純水)を基板Wのほぼ中心に向けて供給して基板Wの表面のリンスを行う。このときのリンス液の流量は、100〜1000mL/min、例えば200mL/minである。リンスを開始してから数秒後に、リンス液は基板Wの全表面に広がり、安定なリンス液の液膜ができる。基板W上での位置や基板Wの回転速度、及びリンス液の流量にもよるが、リンス液の液膜の厚みは、通常、数十μmから数百μmである。例えば、5秒間のリンスを行った後、固定リンスノズル36からのリンス液の供給を止める。
【0071】
次に、移動リンスノズル28から基板Wの表面へのリンス液(純水)26の供給を開始する。リンス液26の流量は、100〜1000mL/min、例えば200mL/minである。移動リンスノズル28からリンス液26を基板Wの表面に供給すると同時に、プラズマノズル24に、例えば窒素ガスからなるプラズマ生成用ガスを供給して、プラズマノズル24から基板Wの表面にプラズマ含有ガス22を吹き付ける。この窒素ガスの流量は、1〜50L/min、例えば5L/minである。なお、本明細書で気体の体積は標準状態(0℃、1気圧)での値を示す。この窒素ガスの供給時に、プラズマ生成用電極40a,40bに1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVの電圧を印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成され、プラズマ生成用ガス(窒素ガス)と共に窒素ラジカルが基板Wに到達する。プラズマ生成用窒素ガスの気流が基板に到達する直前の流速は数十m/sであるため、この窒素ガスの気流が持つ運動エネルギーにより、到達した部分の基板表面にあるリンス液を有効に排除でき、このようにしてリンス液が除去された基板の表面の一部は露出して露出領域が形成される。この露出領域に窒素ラジカルを直接照射することで、該露出表面に位置する例えばLow−k材の表面が、疎水性から親水性に改質される。
【0072】
そして、上記処理を、基板Wを回転させながら、プラズマノズル24及び移動リンスノズル28を一定方向に、つまり基板Wの回転中心から外周端に向けて掃引しながら行うことで、基板Wの表面の処理領域全域の性状を疎水性から親水性に改質して、基板Wの表面を乾燥させる。
【0073】
Low−k材の表面の性状が疎水性から親水性に改質される理由について説明する。本明細書におけるラジカルとは、化学的活性種のことで、化学的に活性な中性分子または原子である。ここでは、窒素ガスを例にして、窒素ラジカルがもたらすLow−k材の表面改質効果について説明する。
【0074】
窒素ラジカルの持つ化学的エネルギーは、Low−k材を構成する分子の分子間結合エネルギーより高いが、イオン化エネルギーより低い。具体的には、窒素分子が窒素ラジカル(Nラジカル)になった場合の化学的エネルギーは、6.3eVである。メチル(CH)基を有する有機性Low−k材の場合、例えばSi−CHの化学的結合エネルギーは3〜4eVである。窒素ラジカルの化学的エネルギーよりもSi−CHの化学的結合エネルギーのほうが低いので、窒素ラジカルが照射されると該結合が切断される。このような分子結合の切断を解離と言う。このとき、同様な理由で大気中の水分(HO)が解離し、OH基が生成される。前記解離したSiとOH基は非常に不安定であり、互いが出会うことで即座に結合する。以上のプロセスを経て、Low−k材表面にあったCH基が親水基であるOH基に置き換えられ、疎水性だった表面が親水性に改質される。
【0075】
次に、Low−k材としてSiOC系のBD(ブラックダイヤモンド)1(SiOCH)を表面に形成した直径300mmのウェーハを用意し、このウェーハを図1乃至図4に示す乾燥ユニット10を使用して乾燥・リンスした時について説明する。ただし、プラズマノズル24は、ウェーハWの中心から半径方向で約100mm離れた場所に設置(固定)して使用した。プラズマノズル24として、ガス流路38aの直径がφ1mmのものを用いた。プラズマ生成用ガスとして窒素ガスを使用し、窒素ガスの流量は5L/minとした。
【0076】
図5は、BD1にプラズマノズル24からプラズマ含有ガスを吹き付けて大気圧プラズマを照射した時の接触角と液滴の乾燥時間の変化を示す。図5において、「■」及び「▲」は、接触角及び乾燥時間をそれぞれ示す。ウェーハの回転速度は2000rpmで、プラズマノズル24の先端とウェーハとの距離(以降、この距離を、プラズマ照射距離または単に照射距離という)を5mmとした。接触角は、協和界面科学株式会社製の接触角計CA−V200を用い、ウェーハ上に1μLの純水を滴下して測定した。純水の滴下には、PP(ポリプロピレン)樹脂製チップ付きの定量式マイクロピペットを用いた。乾燥時間は、ウェーハ上に1μLの純水を滴下し、自然乾燥する時間をストップウォッチを用いて計測した。自然乾燥の完了は、50〜3000倍の光学顕微鏡を用いて確認した。
【0077】
図5から、プラズマ照射時間を0秒(大気圧プラズマを照射しない場合)から5秒へと変化させると、接触角が著しく小さくなり、乾燥時間が著しく短くなることが判る。具体的には、大気圧プラズマを照射しない場合には、接触角は45°前後で、例えば45.7°である。1μLの液滴の乾燥時間は、600〜900秒程度で、例えば651秒である。プラズマ照射時間を1〜2.5秒とすると、接触角及び乾燥時間は、プラズマ照射時間を0秒とした場合の略半分以下になり、照射時間を5秒にすると、接触角は2〜10°程度に、例えば2.9°に低下し、乾燥時間は200〜300秒程度に、例えば207秒に短縮される。プラズマ照射時間を5秒より長くしても、接触角及び乾燥時間に大きな変化は無かった(図示せず)。
【0078】
大気圧プラズマを照射しない場合と照射した場合の違いを、プラズマ照射時間5秒とした時の例との比較により示す。すなわち、大気圧プラズマを照射しない場合の液滴の変化(乾燥過程)を図6に示し、大気圧プラズマを5秒間照射した場合の液滴の変化(乾燥過程)を図7に示す。
【0079】
図6(a)は、大気圧プラズマを照射していないBD1上に1μLの純水を滴下した直後の様子を液滴の上方から観察した状態を示す。光学顕微鏡の倍率は50倍である。図6(a)から、BD1上に1μLの純水を滴下すると、液滴は半球状(ドーム状)になることが判る。この液滴の直径は、約2.5mm程度である。図6(b)は、約640秒経過後(乾燥する約11秒前)の液滴の様子を示す。なお光学顕微鏡の倍率は450倍であり、以降、この倍率を維持している。液滴は自然乾燥により縮小し、直径が約380μmになっている。図6(c)は、液滴を滴下して約648秒経過後(乾燥する約3秒前)の様子を示す。液滴は自然乾燥により縮小し、100×200μm前後の楕円状になっている。図6(d)は、該液滴を滴下して約11分(651秒)経過した後の様子を示す。図6(d)により、液滴が乾燥し、100×200μm前後の楕円状のウォーターマークが形成されていることが判る。
【0080】
図7(a)は、大気圧プラズマ照射直後のBD1上に1μLの純水を滴下した直後の様子を液滴に上方から観察した状態を示す。光学顕微鏡の倍率は50倍である。図7(a)から、5秒間のプラズマ照射を行ったBD1上に1μLの純水を滴下すると、接触角が2.9度と小さいので、液滴は半球状になることができず、薄い液膜状になることが判る。薄い液膜状になった純水の大きさは、約7×9mmの楕円状をしている。図7(b)は、純水を滴下して206.44秒経過後(乾燥する0.56秒前)の様子を示す。光学顕微鏡の倍率は、450倍である。以降、この倍率を維持している。純水は自然乾燥により急速に縮小し、直径が約420μmの円盤状になっている。この円盤に同心円状の輪が見えるのは、薄膜状になったためにニュートンリングが見えているためである。図7(c)は、純水を滴下して206.67秒経過後(乾燥する0.33秒前)の様子を示す。純水は極短時間のうちに更に縮小し、直径が約250μmの円板状になっている。図7(d)は、純水を滴下して207秒経過後の様子を示す。図7(d)により、BD1上に滴下した1μLの純水が、ウォーターマークが形成されることなく乾燥していることが判る。
【0081】
プラズマ照射時間を1秒から10秒まで変化させ、1μLの純水をBD1上に滴下し、光学顕微鏡でウォーターマークが観測されるか観測されないかを観察したところ、プラズマ照射時間が5秒以上ではウォーターマークが観測されなかった。プラズマ照射時間が2.5秒においては、ウォーターマークが観測されたり観測されなかったりした。これよって、以降の実験条件として、プラズマ照射時間は5秒とした。
【0082】
図8は、ウェーハ(基板)回転速度を変えた場合の接触角と液滴の乾燥時間の変化を示す。図8において、「■」及び「▲」は、図5と同じく接触角及び乾燥時間をそれぞれ示す。ウェーハ回転速度を500〜2000rpmまで変化させたところ、接触角及び液滴の乾燥時間は、やや上昇傾向はあるものの、あまり変化しないことが判った。なお、ウェーハ回転速度が0rpmのときのデータは、大気圧プラズマを照射しない場合であり、参考値として図8中に併せて示している。従って、ウェーハの中心部あるいはウェーハの周辺またはその間のいずれであっても、プラズマ照射時間を一定にすれば均一な表面改質(親水化)が行われることが判る。
【0083】
図9は、プラズマ照射距離(mm)を変えた場合の改質幅(mm)の変化を示す。ここで改質幅とは、ウェーハ中心から半径約100mmの位置において円環状にウェーハ表面が改質されるが、その円環の半径方向幅寸法を言う。これは、プラズマ照射距離に対する親水化効果の変化、言い換えれば、プラズマ照射距離に対する親水化効果の及ぶ範囲を調べる実験である。プラズマ照射距離を2.5mmから10mmまで変化させたところ、プラズマ照射距離が2.5mmから5mmでは改質幅にあまり変化が見られず、プラズマ照射を7.5mmから10mmにすると改質幅が半減した。図示しないが、プラズマ照射距離を15mm以上にすると、改質幅の測定が困難であった。この結果から、親水化効果があるのは、照射距離が10mmまでであることが判った。また、安定した親水化効果が得られるのは、プラズマ照射距離が5mmまでであると考えられるので、以降の実験条件としてプラズマ照射距離は5mmとすることとした。
【0084】
以上の実験結果を踏まえると、300mmウェーハにおけるプロセスを以下のように定めるのが好ましい。プラズマ照射の開始時にプラズマノズル24及び移動リンスノズル28をウェーハの中心部からスタートさせて外周端に向けて掃引し、ウェーハの回転速度と処理効果の関係からプラズマノズル24とリンスノズル28の掃引速度を1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましいことが判った。処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、ウェーハ回転速度は、200〜300rpmに設定するのが好ましく、回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、プラズマノズル24と移動リンスノズル28の掃引速度は、5〜15mm/secの範囲(下記の実施例1にあっては10mm/sec)に設定するのが好ましい。
【0085】
プラズマノズル24がウェーハの外周端に到達した時点で、ウェーハ表面の処理対象全域のプラズマ照射が完了する。しかもプラズマノズル24から供給されるプラズマ含有ガスによりプラズマ照射されたウェーハ表面が改質され、略同時にプラズマノズル24から供給される窒素ガス(残留ガス)によりウェーハ表面が乾燥される。この乾燥過程の中で、プラズマが照射されたウェーハ表面に水滴が飛び散ったとしても、その部分は既に親水化状態になっているため、水滴が短時間に自然乾燥し、ウォーターマークが形成されることなくウェーハ表面の乾燥が実現できる。
【0086】
図10及び図11は、本発明の第2の実施の形態の乾燥ユニットに適用した基板処理装置を示す。この例の図1乃至図4に示す乾燥ユニット10と異なる点は、揺動アーム18の支持部20に、プラズマノズル24と移動リンスノズル28との間に位置して、液排除ガスノズル50を設置した点にある。これにより、移動リンスノズル28は、掃引方向に沿って液排除ガスノズル50の上流側に、液排除ガスノズル50は、掃引方向に沿ってプラズマノズル24の上流側にそれぞれ位置して、プラズマノズル24は、液排除ガスノズル50に追随して、液排除ガスノズル50は、移動リンクノズル28に追随してそれぞれ移動する。
【0087】
液排除ノズル50から基板Wの表面の一部の領域に、例えば50℃に加熱した窒素ガス等の液排除ガス52が吹き付けられる。この液排除ガスノズル50のガス吐出口の断面形状は、例えばスリット(矩形)状であり、スリット幅Lの寸法は、移動リンスノズル28のリンス液放出用穴の直径より大きく設定されている。
【0088】
この例では、液排除ガスノズル50から基板Wの表面の一部の領域に液排除ガス52を吹き付けることで、基板Wの表面の一部の領域に液排除ガス52でリンス液26を除去した露出領域を形成し、この露出領域にプラズマノズル24からプラズマ含有ガス22を吹き付けることで、該露出領域に位置する基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしている。そして、この処理を、基板Wを回転させ、プラズマノズル24、移動リンスノズル28及び液排除ガスノズル50を一定方向に、つまり基板Wの中心部から外周端に向けて掃引しながら行うことで、基板表面の処理対象全域の性状を疎水性から親水性に改質して基板Wの表面を乾燥させ、同時にリンス液でリンスするようにしている。
【0089】
つまり、図11に示すように、基板Wの回転に伴って、リング状に広がった露出領域54と該露出領域54の内側に親水化直後領域30が形成され、このリング状に広がった親水化直後領域30の中心側に親水性に改質された改質領域32が、露出領域54の外側にリンス液で覆われた液膜領域34がそれぞれ形成され、この改質領域32が徐々に外方に広がって最終的に基板Wの処理対象表面全域が乾燥される。
【0090】
この例では、プラズマノズル24に導入されるプラズマ生成用ガス及び液排除ガスノズル50に導入される液排除ガスとして、共に窒素ガスを使用しているが、これらのガス導入経路は互いに独立している。これにより、プラズマ生成に影響されること無く、液排除ガスノズル50から基板Wの表面に吹き付ける液排除ガス52で基板Wの表面の液体(液滴や液膜)をより効果的に排除することができる。液排除ガスノズル50の基板Wに対する角度は、乾燥工程中であっても任意に調整可能であるが、この例では、ガスノズルの中心軸と基板Wの表面とがなす角度が60°となるようにしている。
【0091】
なお、前述の例と同様に、固定リンスノズル36(図1参照)から供給されるリンス液(純水)のみで基板Wのリンスを行うことができる場合や、基板Wのリンスを行う必要がない場合には、移動リンスノズル28を省略することができる。
【0092】
次に、図10及び図11に示す乾燥ユニット(基板処理装置)の操作例について説明する。
【0093】
例えば、洗浄後の基板Wを基板保持機構12(図1参照)で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲で、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wの回転が始まると同時に、固定リンスノズル36(図1参照)からリンス液(純水)を、100〜1000mL/minの流量で、例えば200mL/minで基板Wのほぼ中心に向けて供給して基板Wの表面のリンスを行う。リンスを開始して数秒後に、リンス液は基板Wの全表面に広がり、基板Wの表面には安定な液膜ができる。基板W上での位置、基板Wの回転速度、及びリンス液の供給流量によるが、リンス液の液膜の厚みは、通常数十μmから数百μmである。5秒のリンスを行った後、固定リンスノズル36からのリンス液の供給を止める。
【0094】
次に、移動リンスノズル28から基板Wの表面へのリンス液(純水)26の供給を開始する。リンス液の流量は、100〜1000mL/min、例えば200mL/minである。移動リンスノズル28からリンス液26を供給を開始した直後に、液排除ガスノズル50から、例えば50℃までに加熱することができる窒素ガスからなる液排除ガス52を基板Wの表面に吹き付ける。液排除ガスノズル50から吹き付ける窒素ガスの流量は、5〜50L/min、例えば20L/minである。これにより、基板W上に残留する液膜や液滴を液排除ガス52で排除できる。リンスノズル26から基板Wの表面に供給されるリンス液26は、基板W上の洗浄液等をすすぐことにより、基板Wの表面を清浄化した後、上記の窒素ガス流により基板Wの外周方向である下流側に排除される。
【0095】
同時に、プラズマノズル24に、例えば窒素ガスからなるプラズマ生成用ガスを供給して、プラズマノズル24から基板Wの表面にプラズマ含有ガス22を吹き付ける。この窒素ガスの流量は、1〜50L/min、例えば5L/minである。窒素ガスの供給時に、プラズマ生成用電極40a,40b(図4参照)に1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVを印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成され、プラズマ生成用ガス(窒素ガス)と共に窒素ラジカルが基板に到達する。
【0096】
液排除ガス(窒素ガス)52の気流が基板Wに到達する直前の流速は数十m/sであるため、その運動エネルギーにより液排除ガス52の気流が到達した部分に基板Wの表面にある液膜を排除した露出領域が形成される。この露出領域に窒素ラジカルを直接照射することで、例えばLow−k材の表面が、疎水性から親水性に改質される。
【0097】
そして、上記処理を、基板Wを回転させながら、プラズマノズル24、移動リンスノズル28及び液排除ガスノズル50を一定方向に、つまり基板の中心部から外周端に向けて掃引しながら行うことで、基板Wの表面をリンス液でリンスすると同時に、基板Wの表面の処理対象全域を疎水性から親水性に改質して基板Wの表面を乾燥させる。この時、前述の例と同様に、プラズマノズル24、移動リンスノズル28及び液排除ガスノズル50を基板Wの中心部からスタートさせて外周端に向けて掃引させ、この掃引速度を1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましく、処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、基板の回転速度は200〜300rpmに設定するのが好ましい。基板の回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、掃引速度は5〜15mm/secの範囲(下記の実施例2にあって10mm/sec)に設定するのが好ましい。
【0098】
プラズマノズル24が基板Wの外周端に到達した時点で、基板表面の処理対象全域がプラズマ照射を受けたことになる。しかも、液排除ガスノズル50から供給される50℃まで加熱される窒素ガス(液排除ガス)とプラズマノズル24から供給される窒素ガス(プラズマ含有ガス)により、基板Wの表面が乾燥される。ここでは、乾燥過程の中で、プラズマが照射された基板表面に水滴が飛び散ったとしても、その部分は既に親水化状態になっているため、水滴が短時間に自然乾燥し、ウォーターマークが形成されることなく、表面の乾燥が実現できる。
【0099】
なお、上記の例では、プラズマノズル24と液排除ガスノズル50とを別体で構成しているが、このプラズマノズル24と液排除ガスノズル50の代りに、2つのガス流路を有するプラズマ兼液排除ガスノズルを使用しても良い。
【0100】
図12は、プラズマ兼ガス液排除ガスノズル60の一例を示す。図12に示すように、このプラズマ兼液排除ガスノズル60は、中央にプラズマ生成用ガスG1を通過させるガス流路62aを、該ガス流路62aの外側に液排除ガスG2を通過させるガス流路62bをそれぞれ有する二重管構造のノズル本体62を有しており、ノズル本体62のガス流路62aを挟んで互いに対向する位置の周壁に一対のプラズマ生成用電極40a,40bが埋設されている。この一対のプラズマ生成用電極40a,40bは、高電圧電源42の両極にそれぞれ接続されている。
【0101】
このプラズマ兼液排除ガスノズル60によれば、プラズマ生成用ガスと液排除ガスをそれぞれ独立にプラズマ兼液排除ガスノズル60に導入し、プラズマ生成用ガスとは独立した液排除ガスで基板表面の液体を排除し、更に、必要に応じてそれぞれに最適なガスを選ぶことで、基板の表面改質と液膜や液滴の状態で基板表面に存在する液体の除去を効率的に行うことができる。しかも、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0102】
図13は、他のプラズマ兼液排除ガスノズル70を示す。このプラズマ兼液排除ガスノズル70は、中央に液排除ガスG2を通過させるガス流路72aを、該ガス流路72aの外側にプラズマ生成用ガスG1を通過させるガス流路72bをそれぞれ有する二重管構造のノズル本体72を有しており、ガス流路72bを区画する管体の内周面と外周面に一対のプラズマ生成用電極40a,40bが配置されている。この一対のプラズマ生成用電極40a,40bは、高電圧電源42の両極にそれぞれ接続されている。
【0103】
図14乃至図16は、本発明の第3の実施の形態の洗浄ユニットに適用した基板処理装置を示す。この洗浄ユニット(基板処理装置)80の前記図1乃至図4に示す乾燥ユニット10と異なる点は、以下の通りである。即ち、基板保持機構12の側方に位置して、基板保持機構12で保持して回転させた基板Wの表面のほぼ中央に洗浄液を供給して基板Wの表面を洗浄液で洗浄する洗浄液ノズル82が固定リンスノズル36と並列に配置されている。ノズル掃引機構14の揺動アーム18の先端の支持部20には、プラズマノズル24のみが保持されていて、移動リンスノズル28(図1乃至図3参照)は備えられていない。
【0104】
この図14乃至図16に示す洗浄ユニット(基板処理装置)80の操作例について説明する。
【0105】
基板Wを基板保持機構12で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲で、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wを回転させると同時に、固定リンスノズル36からリンス液(超純水)を100〜1000mL/minの流量で、例えば200mL/minで、基板Wのほぼ中心に向けて3秒間供給する。
【0106】
その後、洗浄液ノズル82から100〜1000mL/minの流量で、例えば500mL/minの洗浄液(薬液)を基板Wのほぼ中心に向けて供給して基板Wの表面の洗浄を行う。洗浄液は、例えば1%以下のクエン酸をベースに、他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機酸溶液である。洗浄液として、1%以下のTMAH液(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)をベースに、他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機アルカリ溶液を使用しても良い。そして、例えば15秒間、基板Wの表面の洗浄を行った後、洗浄液ノズル82からの洗浄液の供給を止める。
【0107】
次に、固定リンスノズル36から基板Wの表面へのリンス液(超純水)の供給を開始する。リンス液の流量は、100〜1000mL/min、例えば200mL/minである。リンス液の供給を開始して数秒後に、基板Wの全表面に安定なリンス液の液膜ができる。基板Wの表面での位置や基板の回転速度及びリンス液の流量にもよるが、リンス液の液膜の厚みは、通常数十μmから数百μmである。
【0108】
洗浄終了後に、固定リンスノズル36からリンス液26を基板Wの表面への供給を開始した直後に、図15及び図16に示すように、プラズマノズル24に、例えば窒素ガスからなるプラズマ生成用ガスを供給して、プラズマノズル24から基板Wの表面にプラズマ含有ガス22を吹き付けながら、プラズマノズル24を基板Wの中心部から外周端に向けて掃引する。この窒素ガスの流量は1〜50L/minであり、例えば5L/minである。窒素ガスの供給時に、プラズマ生成用電極40a,40b(図4参照)に1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVを印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成され、プラズマ生成用ガス(窒素ガス)と共に窒素ラジカルが基板Wに到達する。
【0109】
プラズマ生成用窒素ガスの気流が基板Wに到達する直前の流速は数十m/secであるため、その運動エネルギーにより窒素ガスの気流が到達した部分の基板表面にあるリンス液の液膜が該気流で有効に排除されて露出領域が形成され、基板Wの回転に伴って、この露出領域は下流側に延びてリンス液の液膜が分断される。つまり、プラズマノズル24の直下にリンス液に液膜を排除した露出領域が形成された状態となり、基板Wの回転に伴って、この露出領域は円弧状に下流側に延びる。
【0110】
図16は、この露出領域84がリング状に形成されて(実際にはプラズマノズル24の直下乃至該直下より下流にのみ形成されることが多い)、リンス液の液膜が中心側領域86と外周側領域88に分断される状態を模式的に示している。そして、プラズマノズル24の直下に位置する露出領域に窒素ラジカルを直接照射することで、この露出領域に位置する、例えばLow−k材の表面が疎水性から親水性に改質される。
【0111】
前述と同様に、プラズマ照射の開始時にプラズマノズル24を基板Wの中心部から外周端に向けて掃引させる掃引速度は、1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましく、処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、この基板Wの回転速度は200〜300rpmに設定するのが好ましい。基板Wの回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、掃引速度は5〜15mm/secの範囲(下記の実施例3にあっては10mm/sec)に設定するのが好ましい。プラズマノズル24が基板Wの端部に到達した時点で、基板Wの表面の処理対象全領域がプラズマ照射を受けたことになる。その後、固定リンスノズル36からのリンス液の基板Wへの供給、及びプラズマノズル24へのプラズマ生成ガスの供給を止める。
【0112】
そして、洗浄ユニット80で洗浄・リンスした後の基板を、例えばスピンドライ方式の乾燥ユニットに搬送し、この乾燥ユニットで乾燥処理(例えばリンスが5秒、基板回転速度が2000rpm、乾燥時間が40秒)を行う。この乾燥処理ここでは、基板の表面は既に大気圧プラズマの照射により親水化されているので、該基板に対して従来のスピン乾燥処理を実施しても、基板表面にウォーターマークが発生することはない。
【0113】
次に、図14乃至図16に示す洗浄ユニット(基板処理装置)80の他の操作例について説明する。
【0114】
基板Wを基板保持機構12で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲で、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wを回転させると同時に、固定リンスノズル36からリンス液(超純水)を100〜1000mL/minの流量で、例えば200mL/minで、基板Wのほぼ中心に向けて3秒間供給する。
【0115】
その後、洗浄液ノズル82から100〜1000mL/minの流量で、例えば500mL/minの洗浄液(薬液)を基板Wのほぼ中心に向けて供給して基板Wの表面の洗浄を行う。洗浄液は、例えば1%以下のクエン酸をベースに、他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機酸溶液である。洗浄液として、1%以下のTMAH液をベースに他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機アルカリ溶液を使用しても良い。
【0116】
洗浄を開始して数秒後、基板Wの全表面に洗浄液の安定な液膜ができる。基板Wの表面での位置や基板の回転速度及び洗浄液の流量にもよるが、洗浄液の液膜の厚みは、通常数十μmから数百μmである。この洗浄は、上記の通り洗浄液の供給開始から数秒後に洗浄液の安定な液膜が形成されるので、安定な液膜が形成された時点から起算して、例えば15秒間行う。
【0117】
洗浄液ノズル82から基板Wの表面への洗浄液の供給を開始した直後に、プラズマノズル24に、例えば窒素ガスからなるプラズマ生成用ガスを供給して、プラズマノズル24から基板Wの表面にプラズマ含有ガス22を吹き付けながら、プラズマノズル24を基板Wの中心部から外周端に向けて掃引する。窒素ガスの流量は1〜50L/minであり、例えば5L/minである。窒素ガスの供給時に、プラズマ生成用電極40a,40b(図4参照)に1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVを印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成され、プラズマ生成用ガスと共に窒素ラジカルが基板に到達する。
【0118】
プラズマ生成用窒素ガスの気流が基板に到達する直前の流速は数十m/secであるため、その運動エネルギーにより窒素ガスの気流が到達した部分の基板表面にある洗浄液が該気流で有効に排除されて露出領域が形成され、基板Wの回転に伴って、この露出領域は下流側に延びて洗浄液の液膜が分断される。そして、プラズマノズル24の直下に位置する露出領域に窒素ラジカルを直接照射することで、この露出領域に位置する、例えばLow−k材の表面が疎水性から親水性に改質される。
【0119】
前述と同様に、プラズマ照射の開始時にプラズマノズル24を基板Wの中心部から外周端に向けて掃引させる掃引速度は、1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましく、処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、この基板Wの回転速度は200〜300rpmに設定するのが好ましい。基板Wの回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、掃引速度は5〜15mm/secの範囲(下記の実施例5にあっては10mm/sec)に設定するのが好ましい。プラズマノズル24が基板の端部に到達した時点で、基板Wの表面の処理対象全領域がプラズマ照射を受けたことになる。
【0120】
例えば15秒間の洗浄及びプラズマ照射を行った後、洗浄液ノズル82からの基板への洗浄液の供給、及びプラズマガス24へのプラズマ用ガスの供給を止め、固定リンスノズル36から基板Wの表面へのリンス液(純水)の供給を開始する。リンス液の流量は、100〜1000mL/minであり、例えば200mL/minである。リンスの時間は、例えば15秒である。
【0121】
そして、洗浄ユニット80で洗浄・リンスした後の基板を、例えばスピンドライ方式の乾燥ユニットに搬送し、この乾燥ユニットで乾燥処理(例えばリンスが5秒、基板回転速度が2000rpm、乾燥時間が40秒)を行う。この乾燥処理ここでは、基板の表面は既に大気圧プラズマの照射により親水化されているので、該基板に対して従来のスピン乾燥処理を実施しても、基板表面にウォーターマークが発生することはない。
【0122】
この例によれば、基板表面の改質(親水化)処理は、早い段階で、即ち洗浄の段階で実施されるので、その後の処理中でのウォーターマーク発生が抑制される。
【0123】
また、前述のように、大気圧プラズマ照射による親水化処理を、基板の洗浄とリンスのそれぞれの段階で併用することで、換言すれば基板の洗浄と大気圧プラズマ照射による親水化処理、及び基板のリンスと大気圧プラズマ照射による親水化処理をそれぞれ同時に行うことで、基板表面の親水化効果は一層増大し、ウォーターマークはより発生し難くなる。
【0124】
図17乃至図19は、本発明の第4の実施の形態の洗浄ユニットに適用した基板処理装置を示す。この洗浄ユニット(基板処理装置)90の前記図14乃至図16に示す洗浄ユニット80と異なる点は、揺動アーム18の支持部20に、プラズマノズル24の他に、前述の図10及び図11に示す乾燥ユニットに使用されている液排除ガスノズル50とほぼ同様な構成の液排除ガスノズル92を設置した点にある。この液排除ガスノズル92は、プラズマノズル24の掃引方向に沿って該プラズマノズル24の下流側に配置され、液排除ガスノズル92は、プラズマノズル24に追随して移動する。
【0125】
この例において、液排除ガスノズル92用のガス供給経路は、プラズマノズル24用のガス供給経路とは別に設けられており、これによって、プラズマ生成に影響されること無く、液排除ガスノズル92から基板Wに向けて吹き出される液排除ガス(気流)の運動エネルギーにより、基板表面の液膜を排除することができる。基板表面の液膜を有効に排除するため、液排除ガスノズル92の基板に対する角度は、洗浄・乾燥処理中でも調整可能であるが、この例では、基板表面に垂直な90°としている。また、プラズマノズル24及び液排除ガスノズル92が揺動アーム18に連結され、基板表面との距離及び基板半径方法の位置を自由に調整できるようになっている。
【0126】
この図17乃至図19に示す洗浄ユニット(基板処理装置)90の操作例について説明する。
【0127】
基板Wを基板保持機構12で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲で、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wの回転が始まると同時に、固定リンスノズル36からリンス液(純水)を、100〜1000mL/minの流量で、例えば200mL/minで基板のほぼ中心に向けて3秒間供給し、その後、洗浄液ノズル82から洗浄液(薬液)を100〜1000mL/minの流量で、例えば500mL/minで基板Wのほぼ中心に向けて供給して、基板Wの表面の洗浄を行う。洗浄液は、例えば1%以下のクエン酸をベースに、他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機酸溶液である。1%以下のTMAH液をベースに他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機アルカリ溶液を洗浄液として使用しても良い。
【0128】
基板Wの洗浄を開始した数秒後に、基板Wの全表面に洗浄液の安定な液膜ができる。基板表面での位置や基板の回転速度及び洗浄液の流量によるが、洗浄液の液膜の厚みは、通常数十μmから数百μmである。洗浄液による、例えば15秒の洗浄を行った後、洗浄液ノズル82からの洗浄液の供給を止める。
【0129】
次に、固定リンスノズル36から基板Wのほぼ中心に向けてリンス液(超純水)の供給を開始する。リンス液の流量は100〜1000mL/minの範囲で、例えば200mL/minである。このリンス液の供給を開始した直後に、プラズマノズル24に、例えば窒素ガスからなるプラズマ生成用ガスを供給して、プラズマノズル24から基板Wの表面にプラズマ含有ガス22を吹き付ける。窒素ガスの流量は1〜50L/minであり、例えば5L/minである。窒素ガスの供給時に、プラズマ生成用電極40a,40b(図4参照)に1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVを印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成され、プラズマ生成用ガスと共に窒素ラジカルが基板Wの表面に到達する。
【0130】
プラズマ生成用窒素ガスの気流が基板に到達する直前の流速は数十m/secであるため、窒素ガスの気流が到達した部分の基板Wの表面にある液体(液膜や液滴)は該気流の運動エネルギーで有効に排除されて露出して露出領域が形成され、この露出領域に窒素ラジカルを直接照射できることで、例えばLow−k材の表面が疎水性から親水性に改質される。
【0131】
プラズマ照射の開始に当っては、上記のように、先ず、固定リンスノズル36からリンス液を基板Wのほぼ中心に向けて供給し、数秒後、リンス液の安定な液膜が出来たら、プラズマノズル24にプラズマ生成用ガスとして窒素ガスを供給し、プラズマ生成用電極40a,40b(図4参照)に電圧を印加することにより、基板Wの中心部からプラズマの供給を開始する。
【0132】
次に、プラズマノズル24及び液排除ガスノズル92が基板Wの中心部からが外周端に向けて移動するように掃引動作を開始する。そして、プラズマノズル24よりも基板Wの中心側、換言すれば、リンス液液膜の遠心力による流れの上流側に隣接して配置された液排除ガスノズル92が基板Wの中心に至った時点で、図18に示すように、液排除ガスノズル92から液排除ガス94を基板Wの表面に向けて吹き付ける。液排除ガスノズル92から基板Wに吹き付けられる液排除ガス94は、固定リンスノズル36から供給されるリンス液の液膜の流れが基板Wの一部分であってラジカルが照射されている部分に侵入しないように防御する役目を果たす。
【0133】
図19は、この液排除ガスノズル92からの液排除ガス94の吹き付けによって、リング状の防御域(実際には、液排除ガスノズル92の直下乃至該直下より下流にのみ防御域が形成されることが多い)96を模式的に示している。つまり、防御域96が、リンス液の中心側領域86と外周側領域88とを分断する露出領域84の内側に形成される。
【0134】
前述と同様に、プラズマノズル24及び液排除ガスノズル92を基板Wの中心部からスタートさせて外周端に向かって掃引させる掃引速度を1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましく、処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、基板Wの回転速度は200〜300rpmに設定するのが好ましい。基板Wの回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、掃引速度は5〜15mm/secの範囲(下記の実施例4にあっては10mm/sec)に設定することが好ましい。
【0135】
プラズマノズル24が基板Wの端部に到達した時点で、基板表面の処理対象全領域がプラズマ照射を受けたことになる。その後、固定リンスノズル36からのリンス液の供給、並びにプラズマノズル24及び液排除ガスノズル92への窒素ガスの供給を止める。
【0136】
そして、洗浄ユニット90で洗浄・リンスした後の基板を、例えばスピンドライ方式の乾燥ユニットに搬送し、この乾燥ユニットで乾燥処理(例えばリンスが5秒、基板回転速度が2000rpm、乾燥時間が40秒)を行う。この乾燥処理ここでは、基板の表面は既に大気圧プラズマの照射により親水化されているので、該基板に対して従来のスピン乾燥処理を実施しても、基板表面にウォーターマークが発生することはない。
【0137】
次に、図17乃至図19に示す洗浄ユニット(基板処理装置)90の他の操作例ついて説明する。
【0138】
基板Wを基板保持機構12で保持し、回転速度が10rpm〜1000rpmの範囲で、例えば250rpmで基板Wを回転させる。基板Wの回転が始まると同時に、固定リンスノズル36から純水(リンス液)を100〜1000mL/minの流量で、例えば200mL/minで基板Wのほぼ中心に向けて3秒間供給し、その後、洗浄液ノズル5から薬液を100〜1000mL/minの流量で、例えば500mL/minで基板Wの中心に向けて供給して、基板Wの表面の洗浄を行う。洗浄液は、例えば1%以下のクエン酸をベースに、他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機酸溶液である。1%以下のTMAH液をベースに他の錯化剤、界面活性剤を含有する有機アルカリ溶液を洗浄液として使用しても良い。
【0139】
基板Wの洗浄を開始した数秒後に、基板Wの全表面に洗浄液の安定な液膜ができる。基板表面での位置や基板の回転速度及び洗浄液の流量によるが、洗浄液の液膜の厚みは、通常数十μmから数百μmである。この洗浄は、上記の通り洗浄液の供給開始から数秒後に洗浄液の安定な液膜が形成されるので、安定な液膜が形成された時点から起算して、例えば15秒間行う。
【0140】
洗浄液の基板Wの表面へ供給を開始した直後に、プラズマノズル24にプラズマ生成用ガスとして窒素ガスを、液排除ガスノズル92に液排除ガスとしての窒素ガスを、それぞれ供給して、基板Wの表面に、プラズマノズル24からプラズマ含有ガス22を、液排除ガスノズル92から液排除ガス94をそれぞれ吹き付ける(図18参照)。プラズマ生成用窒素ガスの流量は1〜50L/minであり、例えば5L/minである。液排除ガスノズル92に供給する窒素ガスの流量は5〜50L/minであり、例えば20L/minである。これらの窒素ガス(プラズマ含有ガス22及び液排除ガス94)の基板Wの表面へに吹き付けにより、液排除ガスノズル92及びプラズマノズル24の直下の基板W上の液膜が分断されて排除されて露出領域が形成される。
【0141】
このとき、同時にプラズマ生成用電極40a,40bに1〜50kVの電圧を印加するが、例えばプラズマ生成用電極40a,40bに10kVを印加すると、プラズマノズル24内に大気圧プラズマが生成される。プラズマ生成用窒素ガスの気流が基板に到達する直前の流速は数十m/secであるため、この窒素ガスの気流が到達した部分の基板Wの表面にある液体(液膜や液滴)は、更に有効に排除され、基板表面の当該部分を露出させることができる。このため、基板Wの表面の露出領域に窒素ラジカルが直接照射されて、例えばLow−k材の表面が疎水性から親水性に改質される。
【0142】
前述と同様に、プラズマ照射の開始時に、プラズマノズル24及び液排除ガスノズル92を基板の中心部からス外周端に向けて掃引させる掃引速度を1〜20mm/secの範囲内に設定するのが好ましく、処理のスループットと処理効果の兼ね合いを考慮し、基板Wの回転速度は200〜300rpmに設定するのが好ましい。このように、基板Wの回転速度を200〜300rpmの範囲に設定した場合には、掃引速度は5〜15mm/secの範囲(下記の実施例6にあっては10mm/sec)に設定するのが好ましい。プラズマノズル24が基板Wの端部に到達した時点で、基板表面の処理対象全領域がプラズマ照射を受けたことになる。
【0143】
上記のように、例えば15秒間の薬液洗浄及びプラズマ照射を行った後、洗浄液ノズル82からの洗浄液の供給、並びにプラズマノズル24及び液排除ガスノズル92への窒素ガスの供給を止め、固定リンスノズル36からリンス液(超純水)の基板Wの表面への供給を開始する。このリンス液の流量は100〜1000mL/minで、例えば200mL/minである。リンスの時間は、例えば15秒である。
【0144】
そして、洗浄ユニット90で洗浄・リンスした後の基板を、例えばスピンドライ方式の乾燥ユニットに搬送し、この乾燥ユニットで乾燥処理(例えばリンスが5秒、基板回転速度が2000rpm、乾燥時間が40秒)を行う。この乾燥処理ここでは、基板の表面は既に大気圧プラズマの照射により親水化されているので、該基板に対して従来のスピン乾燥処理を実施しても、基板表面にウォーターマークが発生することはない。
【0145】
また、この例によれば、基板表面の改質(親水化)は早い段階で、即ち洗浄の段階で実施されるので、その後の処理中でのウォーターマーク発生が抑制される。
【0146】
また、前述のように、大気圧プラズマ照射による親水化処理を、基板の洗浄とリンスのそれぞれの段階で併用することで、換言すれば基板の洗浄と大気圧プラズマ照射による親水化処理、及び基板のリンスと大気圧プラズマ照射による親水化処理をそれぞれ同時に行うことで、基板表面の親水化効果は一層増大し、ウォーターマークはより発生し難くなる。
【0147】
図20は、本発明の実施の形態の研磨装置を示す。図20に示すように、この研磨装置は、基板を搬入・搬出するロード・アンロード部100、基板表面を研磨して平坦化する研磨部102、研磨後の基板を洗浄する洗浄部104及び基板を搬送する基板搬送部106を備えている。ロード・アンロード部100は、半導体ウェーハ等の基板をストックする複数(図示では3個)の基板カセットを載置するフロントロード部108と、第1搬送ロボット110を備えている。
【0148】
研磨部102には、この例では、4つの研磨ユニット112が備えられ、基板搬送部106は、互いに隣接した2つの研磨ユニット108間で基板の搬送を行う第1リニアトランスポータ114a及び第2トランスポータ114bから構成されている。洗浄部104は、例えばロールブラシ方式を採用して粗洗浄を行う2つの洗浄ユニット116a,116b、スピンドライ方式を採用して仕上げ洗浄を行う洗浄ユニット118及び乾燥ユニット120を有している。更に、第1リニアトランスポータ114a、第2トランスポータ114b及び洗浄部104の間に位置して第2搬送ロボット122が配置されている。
【0149】
この例では、乾燥ユニット120として、前述の図1乃至図4に示す乾燥ユニット10が使用され、研磨し洗浄した後の基板を、乾燥ユニット120(10)でリンスし乾燥させながら、基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしている。なお、図1乃至図4に示す乾燥ユニット10の代りに、図10及び図11に示す乾燥ユニットを使用しても良い。
【0150】
また、スピンドライ方式を採用して仕上げ洗浄を行う洗浄ユニット118として、図14乃至図16に示す洗浄ユニット80または図17乃至図19に示す洗浄ユニット90を使用して、研磨後の基板の洗浄と同時に基板表面の性状を疎水性から親水性に改質し乾燥させるようにしてもよい。
【0151】
この研磨装置にあっては、フロントロード部108に搭載された基板カセットから第1搬送ロボット110で取り出された基板は、第1リニアトランスポータ114a、または第1リニアトランスポータ114a及び第2リニアトランスポータ114bを介して、研磨部102の少なくとも1つの研磨ユニット112に搬送される。そして、研磨ユニット112で研磨された基板は、第2搬送ロボット122で洗浄部104に搬送され、洗浄部104の洗浄ユニット116a,116b及び洗浄ユニット118で順次洗浄され、乾燥ユニット120で乾燥された後、第1搬送ロボット110でフロントロード部108に搭載された基板カセットに戻される。
【0152】
図21は、本発明の実施の形態のめっき装置を示す。図21に示すように、このめっき装置は、矩形状の設備210を有し、この設備210は、仕切壁211によってめっき空間212と清浄空間213に仕切られている。清浄空間213内には、基板カセットを載置する2つのロード・アンロード部215と、めっき処理後の基板を純水で洗浄(リンス)し乾燥する2基の乾燥ユニット216が配置され、更に基板の搬送を行う固定タイプで回転自在な第1搬送ロボット217が備えられている。めっき空間212内には、基板のめっきの前処理を行い、前処理後の基板を反転機220で反転させる2基の前処理ユニット221と、基板の表面に該表面を下向きにしてめっき処理を施す4基のめっきユニット222と、基板を載置保持する2基の第1基板ステージ223a,223bが配置され、更に基板の搬送を行う自走タイプで回転自在な第2搬送ロボット224が備えられている。
【0153】
清浄空間213内に位置して、めっき後の基板を薬液で洗浄する2基の洗浄ユニット225と、この洗浄ユニット225と乾燥ユニット216との間に位置して第2基板ステージ226a,226bが配置され、更に2基の洗浄ユニット225に挟まれた位置に基板の搬送を行う固定タイプで回転自在な第3搬送ロボット227が備えられている。一方の第1基板ステージ23b及び第2基板ステージ26bは、基板を反転させる反転機220が備えられている。
【0154】
この例では、乾燥ユニット216として、前述の図1乃至図4に示す乾燥ユニット10が使用され、めっきし洗浄した後の基板を乾燥ユニット216(10)でリンスし乾燥させながら、基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしている。なお、図1乃至図4に示す乾燥ユニット10の代りに、図10及び図11に示す乾燥ユニットを使用しても良い。
【0155】
また、洗浄ユニット225として、図14乃至図16に示す洗浄ユニット80または図17乃至図19に示す洗浄ユニット90を使用して、洗浄と同時に基板表面の性状を疎水性から親水性に改質するようにしてもよい。
【0156】
このめっき装置にあっては、第1搬送ロボット217が基板をカセットから取出し、第2基板ステージ226a上に移動して、基板を第2基板ステージ226a上に載置する。そして、第3搬送ロボット227が第2基板ステージ226a上にあった基板を第1基板ステージ223aに移す。次に、第2搬送ロボット224が第1基板ステージ223aから基板を受け取って前処理ユニット221に渡し、前処理ユニット221での前処理終了後、基板の表面が下に向くように反転機220で基板を反転させ、再び第2搬送ロボット224に渡す。そして、第2搬送ロボット224は基板をめっきユニット222に渡す。
【0157】
めっきユニット222で基板のめっき処理及び液切りを行った後、基板を第2搬送ロボット224に渡し、第2搬送ロボット224は基板を第1基板ステージ223bへ渡す。基板は、第1基板ステージ223bの反転機220によって、表面が上に向くように反転され、第3搬送ロボット227によって洗浄ユニット225に移される。洗浄ユニット225において薬液洗浄、純水リンス、スピン液切りされた基板は、第3搬送ロボット227により第2基板ステージ226bへ運ばれる。次に、第1搬送ロボット217が第2基板ステージ226bから基板を受取り、乾燥ユニット216に基板を移送し、乾燥ユニット216で純水によるリンスとスピン乾燥を行う。乾燥された基板は、第1搬送ロボット217によりカセットステージ215に載置された基板カセット内に収納される。
【0158】
なお、図示しないが、液体が付着した基板表面の該液体の一部を吸引して、基板表面の一部の領域に吸引によって液体を排除した露出領域を形成するようにしてもよい。この液体の吸引は、例えば液吸引ノズルによって行われる。
【0159】
(実施例1)
図1乃至図4に示す乾燥ユニット10を使用し、洗浄ユニットとして、図14乃至図16に示す洗浄燥ユニット80のプラズマノズル24を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄液による洗浄及び乾燥を行った。
【0160】
まず、ウェーハを洗浄ユニットで保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した後、洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給して、ウェーハ表面の洗浄液による洗浄を行った。しかる後、ウェーハを250rpmで回転させたまま、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を15秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした。
【0161】
次に、図1乃至図4に示す乾燥ユニット10の基板保持機構12でウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を5秒間供給して、ウェーハ表面のリンス液によるリンスを行った。次に、ウェーハを250rpmで回転させたまま、ウェーハ表面の一部に、移動リンスノズル28からリンス液を吹き付けながら、プラズマガス24からプラズマ含有ガスを吹き付けて、ウェーハをリンス液でリンスしながら、ウェーハ表面の親水化処理を55秒間行って、基板を乾燥させた。
【0162】
(実施例2)
図10及び図11に示す乾燥ユニットを使用し、洗浄ユニットとして、図14乃至図16に示す乾燥ユニット80のプラズマノズル24を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0163】
まず、ウェーハを洗浄ユニットで保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した後、洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給して、ウェーハ表面の洗浄液による洗浄を行った。しかる後、ウェーハを250rpmで回転させたまま、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を15秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした。
【0164】
次に、図10乃至図11に示す乾燥ユニットの基板保持機構12(図1参照)でウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を5秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした。次に、ウェーハを250rpmで回転させたまま、ウェーハ表面の一部に、移動リンスノズル28からリンス液(純水)を供給しながら、プラズマガス24からプラズマ含有ガスを吹き付け、同時に液排除ガスノズル50から液排除ガスをウェーハに吹き付けて、ウェーハをリンス液でリンスしながら、ウェーハ表面の親水化処理を55秒間行って、基板を乾燥させた。
【0165】
(実施例3)
図14乃至図16に示す洗浄ユニット80を使用し、乾燥ユニットとして、図1乃至図3に示す乾燥ユニット10のプラズマノズル24及び移動リンスノズル28を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0166】
まず、図14乃至図16に示す洗浄ユニット80の基板保持機構12でウェーハを保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した後、ウェーハを500rpmで回転させ、ウェーハ表面に洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給して、ウェーハ表面を洗浄液で洗浄した。しかる後、ウェーハを250rpmで回転させ、固定リンスノズル25からウェーハ表面にリンス液(純水を)を15秒間供給し、ウェーハ表面にプラズマノズル24からプラズマ含有ガスを吹き付けて、ウェーハ表面をリンス液でリンスしながらウェーハ表面の親水化処理を15秒間行った。
【0167】
次に、乾燥ユニットでウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を20秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした後、ウェーハを2000rpmで40秒間回転させて、ウェーハのスピン乾燥を行った。
【0168】
(実施例4)
図17乃至図19に示す洗浄ユニット90を使用し、乾燥ユニットとして、図1乃至図3に示す乾燥ユニット10のプラズマノズル24及び移動リンスノズル28を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0169】
まず、図17乃至図19に示す洗浄ユニット90の基板保持機構12でウェーハを保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した後、ウェーハを500rpmで回転させ、ウェーハ表面に洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給して、ウェーハ表面を洗浄液で洗浄した。しかる後、ウェーハを250rpmで回転させ、固定リンスノズル25からウェーハ表面にリンス液(純水を)を15秒間供給し、ウェーハ表面にプラズマノズル24からプラズマ含有ガスを、液排除ガスノズル92から液排除ガスをそれぞれ吹き付けて、ウェーハ表面をリンス液でリンスしながらウェーハ表面の親水化処理を15秒間行った。
【0170】
次に、乾燥ユニットの基板保持機構12でウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を20秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした後、ウェーハを2000rpmで40秒間回転させて、ウェーハのスピン乾燥を行った。
【0171】
(実施例5)
図14乃至図16に示す洗浄ユニット80を使用し、乾燥ユニットとして、図1乃至図3に示す乾燥ユニット10のプラズマノズル24及びリンスノズル28を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0172】
まず、図14乃至図16に示す洗浄ユニット80の基板保持機構12でウェーハを保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した。しかる後、ウェーハを500rpmで回転させながら、ウェーハ表面に洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給し、ウェーハ表面にプラズマノズル24からプラズマ含有ガスを吹き付けて、ウェーハ表面を洗浄液で洗浄しながら、ウェーハ表面の親水化処理を15秒間行った。次に、ウェーハを250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を15秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした。
【0173】
次に、乾燥ユニットでウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を20秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした後、ウェーハを2000rpmで40秒間回転させて、ウェーハのスピン乾燥を行った。
【0174】
(実施例6)
図17乃至図19に示す洗浄ユニット90を使用し、乾燥ユニットとして、図1乃至図3に示す乾燥ユニット10のプラズマノズル24及びリンスノズル28を省略したものを使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0175】
まず、図17乃至図19に示す洗浄ユニット90の基板保持機構12でウェーハを保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した。しかる後、ウェーハを500rpmで回転させながら、ウェーハ表面に洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給し、ウェーハ表面にプラズマノズル24からプラズマ含有ガスを、液排除ガスノズル92から液排除ガスをそれぞれ吹き付けて、ウェーハ表面を洗浄液で洗浄しながら、ウェーハ表面の親水化処理を15秒間行った。次に、ウェーハを250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を15秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした。
【0176】
次に、乾燥ユニットでウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を20秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした後、ウェーハを2000rpmで40秒間回転させて、ウェーハのスピン乾燥を行った。
【0177】
(比較例1)
洗浄ユニットとして、図14乃至図16に示す洗浄ユニット80のプラズマノズル24を省略したものを、乾燥ユニットとして、図1乃至図3に示す乾燥ユニット10のプラズマノズル24及び移動リンスノズル28を省略したものをそれぞれ使用して、表面に500nmのSiOCHを堆積した300mmのSiブランケットウェーハの洗浄及び乾燥を行った。
【0178】
まず、ウェーハを洗浄ユニットで保持し250rpmで回転させながら、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を3秒間供給した後、洗浄液ノズル82から洗浄液を15秒間供給して、ウェーハ表面を洗浄液で洗浄した。しかる後、ウェーハを250rpmで回転させたまま、ウェーハ表面に固定リンスノズル36からリンス液(純水)を15秒間供給してウェーハ表面をリンス液でリンスした。
【0179】
次に、乾燥ユニットでウェーハを保持して250rpmで回転させ、固定リンスノズル36からウェーハ表面にリンス液(純水)を20秒間供給して、ウェーハ表面をリンス液でリンスした後、ウェーハを2000rpmで40秒間回転させて、ウェーハのスピン乾燥を行った。
【0180】
実施例1〜6及び比較例1のプロセス条件(洗浄処理のみ)を表1に示す。また、処理前後において、その最小寸法が100nm以上のディフェクト(欠陥)数を記録し、比較例1における処理後と処理前のディフェクト数の差を1とした時の、実施例1〜6における処理後と処理前のディフェクト数の差の相対値を表1に「実験結果」として併せて示す。ここで示したディフェクトは、研磨などの処理を行っていないので、処理後に増加したディフェクト数は、ウォーターマーク起因のものと考えられる。
【0181】
【表1】

【0182】
表1に「実験結果」として示すように、プラズマ照射を行った実施例1〜6においては、比較例1に比べ処理後のディフェクトの増加数が大幅に減少していることが明らかであり、ウォーターマークの大幅な低減効果が得られることが判った。従って、本発明によれば、ウォーターマークの発生を著しく抑制することができる。
【符号の説明】
【0183】
10 乾燥ユニット(基板処理装置)
12 基板保持機構
14 ノズル掃引機構
18 揺動アーム
20 支持部
22 プラズマ含有ガス
24 プラズマノズル
26 リンス液
28 移動リンスノズル
36 固定リンスノズル
38 ノズル本体
38a ガス流路
40a,40b プラズマ生成用電極
42 高電圧電源
50,92 液排除ガスノズル
52,94 液排除ガス
60,70 プラズマ兼液排除ノズル、62a.62b,72a,72b ガス流路
62,72 ノズル本体
80,90 洗浄ユニット(基板処理装置)
82 洗浄液ノズル
100 ロード・アンロード部
102 研磨部
104 洗浄部
106 基板搬送部
112 研磨ユニット
118 洗浄ユニット
120 乾燥ユニット
215 ロード・アンロード部
216 乾燥ユニット
221 前処理ユニット
222 めっきユニット
225 洗浄ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付着した基板表面の一部の領域に液排除ガスを吹き付けて前記液体を該ガスで基板表面から排除した露出領域を形成するか、または基板表面の液体の一部を吸引して基板表面の一部の領域に液体を排除した露出領域を形成し、
前記露出領域にプラズマ含有ガスを吹き付けて該露出領域に位置する基板表面の性状を疎水性から親水性に改質することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記露出領域を逐次変更して、基板表面の処理対象全域の性状を疎水性から親水性に改質することを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記液排除ガスとして前記プラズマ含有ガスを使用し、プラズマ含有ガスを基板表面の一部に吹き付けることで、前記露出領域の形成と該露出領域に位置する基板表面の性状の疎水性から親水性への改質を同時に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
表面に液体が付着した基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
移動リンスノズルを更に備え、該移動リンスノズルから基板表面の一部の第1領域に向けてリンス液を供給して該第1領域をリンスし、同時に前記第1領域よりも基板中心側に位置する基板表面の一部の第2領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第1領域及び前記第2領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、前記プラズマノズル及び前記移動リンスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させることを特徴とする請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
表面に液体が付着した基板を回転させ、基板表面の一部の第3領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて、前記第3領域から液体を排除して基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第3領域の同心円上もしくは基板中心側に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第4領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第3領域及び前記第4領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、前記液排除ガスノズル及びプラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項7】
表面に液体が付着した基板を回転させ、移動リンスノズルから基板表面の一部の第5領域にリンス液を供給して該第5領域をリンスし、前記第5領域よりも基板半径方向内方に位置する第6領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて、前記第6領域への液体の流入を阻止しつつ該第6領域から液体を排除して基板表面に前記露出領域を形成し、同時に前記第6領域よりも基板半径方向内方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板の一部の第7領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記第5領域、前記第6領域及び前記第7領域が基板表面の処理対象全域を掃引するように、基板の中心部から外周端に向けて前記移動リンスノズル、前記液排除ガスノズル及びプラズマガスノズルを移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記基板表面に付着した液体は、リンス液または洗浄液であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
表面に洗浄液を供給しながら基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項10】
表面にリンス液を供給しながら基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けてプラズマノズルを移動させつつ該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることを特徴とする請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項11】
表面に洗浄液を供給しながら基板を回転させ、基板表面の一部の第8領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第8領域と同心円上もしくは基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の第9領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記液排除ガスノズル及び前記プラズマガスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項12】
表面にリンス液を供給しながら基板を回転させ、基板表面の一部の第10領域に液排除ガスノズルから液排除ガスを吹き付けて基板表面の一部に前記露出領域を形成し、同時に前記第10領域と同心円上もしくは基板半径方向外方に位置する領域を少なくとも一部に含む基板表面の一部の第11領域にプラズマノズルからプラズマ含有ガスを吹き付けながら、前記液排除ガスノズル及び前記プラズマガスノズルを基板の中心部から外周端に向けて移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記プラズマ含有ガスを生成するプラズマ生成用ガスは、空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン及び水蒸気のうちのいずれか一つのガス、または前記ガスから選択された2種類以上の混合ガスであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
基板を保持して回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にリンス液を供給する移動リンスノズルと、
前記プラズマノズルと前記移動リンスノズルとを該リンスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記プラズマノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構とを備え、
基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて前記両ノズルを掃引しつつ、基板表面の一部の領域に前記移動リンスノズルからリンス液を、前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスをそれぞれ供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項15】
前記プラズマノズルまたは前記移動リンスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を保持し回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域に液体排除用のガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、
前記基板保持機構で保持した基板表面の一部の領域にリンス液を供給する移動リンスノズルと、
前記プラズマノズル、前記液排除ガスノズル及び前記移動リンスノズルを該リンスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に、該液排除ガスノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記プラズマガスの上流側にそれぞれ位置させて搭載し、前記3つのノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構とを備え、
基板を回転させ、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部に向けて前記3つのノズルを掃引しつつ、基板表面の一部の領域に前記移動リンスノズルからリンス液を、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスをそれぞれ供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項17】
前記プラズマノズル、液排除ガスノズルまたは移動リンスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることを特徴とする請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
基板を保持し回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記プラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面に洗浄液を供給する洗浄液ノズルとを備え、
基板を回転させつつ基板表面に洗浄液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズルを掃引しながら該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項19】
基板を保持し回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記プラズマノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面にリンス液を供給する固定リンスノズルとを備え、
基板を回転させつつ基板表面にリンス液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズルを掃引しながら該プラズマノズルから基板表面の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項20】
基板を保持し回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域に液排除ガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルとを該プラズマノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面に洗浄液を供給する洗浄液ノズルとを備え、
基板を回転させつつ基板表面に洗浄液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズル及び液排除ガスノズルを掃引しながら基板表面の一部の領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記両ガスの基板表面上における吹き付け領域の少なくとも一部が重なるようにそれぞれ吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項21】
基板を保持し回転させる基板保持機構と、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域にプラズマ含有ガスを吹き付けるプラズマノズルと、
前記基板保持機構で保持した基板の一部の領域に液排除ガスを吹き付ける液排除ガスノズルと、
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルとを該プラズマノズルの少なくとも一部を掃引方向に沿って前記液排除ガスノズルの上流側に位置させて搭載し、前記両ノズルを基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けて基板との間隔を一定に保持しつつ掃引するノズル掃引機構と、
前記基板保持機構で保持した基板表面にリンス液を供給する固定リンスノズルとを備え、
基板を回転させつつ基板表面にリンス液を供給し、基板の中心部から外周端に向けて、または基板の外周端から中心部向けてプラズマノズル及び液排除ガスノズルを掃引しながら基板表面の一部の領域に前記プラズマノズルからプラズマ含有ガスを、前記液排除ガスノズルから液排除ガスを、前記両ガスの基板表面上における吹き付け領域の少なくとも一部が重なるようにそれぞれ吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項22】
前記プラズマノズルまたは液排除ガスノズルは、前記ノズル掃引機構によって掃引されたときの軌跡が基板の回転中心を通るように、前記ノズル掃引機構に搭載されていることを特徴とする請求項20または21に記載の基板処理装置。
【請求項23】
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルは同心状に一体に形成されていることを特徴とする請求項16,17,20または21に記載の基板処理装置。
【請求項24】
前記プラズマノズルと前記液排除ガスノズルは別体で構成され、前記ノズル掃引機構に対してそれぞれの位置が固定されていることを特徴とする請求項16,17,20または21に記載の基板処理装置。
【請求項25】
基板を搬出入するロード・アンロード部と、
基板表面を研磨して平坦化する研磨ユニットと、
前記請求項14乃至24のいずれか一項に記載の基板処理装置を有することを特徴とする研磨装置。
【請求項26】
基板を搬出入するロード・アンロード部と、
基板表面にめっきを行うめっきユニットと、
前記請求項14乃至24のいずれか一項に記載の基板処理装置を有することを特徴とするめっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−177543(P2010−177543A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20147(P2009−20147)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】