説明

基板処理装置、ランプユニット及び半導体装置の製造方法

【課題】基板の回転中心で温度が局所的に低下するのを抑制する基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、被処理用の基板を回転させる回転機構と、前記基板を加熱する複数のランプユニット300,400とを備える。各ランプユニット300,400は、複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、前記発熱体を覆うバルブと、前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、を有する。複数のランプユニット300,400は、前記基板の回転中心部500に対し対称に配置される。回転中心部500に最も近い位置に配置されたランプユニット300a,300i,400a,400iでは、前記基板の回転軸と直交する直線L1,L2と当該ランプユニットとの直交点P1,P2に最も近い接続部、又は前記チップが、直交点P1,P2から離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置、ランプユニット及び半導体装置の製造方法に関し、特に被処理用の基板を回転させながら加熱する場合に当該基板における温度の面均一性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理用の基板を回転させながら加熱する基板処理装置では、直線状を呈する複数のランプ(ランプユニット)を基板の面と平行な面内において互いに平行に略等間隔で配列させ、基板を加熱する場合がある。この場合、通常、ランプを基板の回転中心に対し対称に配置してその対称点と基板の回転中心とを一致させ、ランプの光や熱が基板全体にゆきわたるようにしている。
【0003】
このような基板処理装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された基板処理装置では、複数のランプを横方向と縦方向とに並べてこれらを上下2段にわたり配置しており、平面視した場合にこれらランプがちょうど格子状に配置された状態となっている。
【0004】
上記のような基板処理装置で使用されるランプには通常、フィラメントやそれを覆うバルブ、フィラメントを支持するサポータ、バルブ内にハロゲンガスを封入するためのチップ等が具備されている。特に近年では、ウエハのサイズ(径)の増大に伴いランプ自体も長くなっており、バルブ内では複数のフィラメント断片を互いに接続して(繋ぎ合わせて)その長さに対応させる場合もある。この場合、各ランプ同士が互いに異なる仕様(例えばフィラメントの長さが異なる)を有していると、その仕様ごとにランプをストックする必要があり、ランプのストック管理が面倒で余計にコストがかかる。またフィラメントの劣化等に伴う交換作業においても、ランプの仕様や設置時の向き等を逐一確認する必要があるから、手間がかかる。
【0005】
これに対し、各ランプ同士を同一仕様、例えばフィラメントの長さをバルブの略半分の長さに統一すると、フィラメントも同じ長さのものが使用されその接続部が各ランプのバルブ内で略同一の位置に配置されるから、1種類のランプをストックすれば足り、ランプのストック管理が容易でランプの交換作業も仕様や設置の向き等を気にすることなく容易に行える。そのため、フィラメント同士の接続部に加えてチップやサポータ等も全てランプの中央部に配置することが多い。
【特許文献1】特開2006−303289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フィラメント同士の接続部やチップ、サポータが配置される部位(特にフィラメント同士の接続部やチップが配置される部位)はフィラメントの温度が局所的に低下するから、そのようなランプを基板処理装置にそのまま設置して基板を加熱すれば、その温度低下部位を通過する回転軌道上で基板の温度が局所的に低下する。すなわち、各ランプの中央部で温度が低下するから、基板の回転中心近傍にこれら温度低下部位が集中し、基板の回転中心で局所的に温度が低下する。
【0007】
したがって、本発明の主な目的は、基板の回転中心で温度が局所的に低下するのを抑制することができる基板処理装置を提供することにあり、併せてその基板処理装置に用いられるランプユニット、及びその基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から離間していることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成される発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するための少なくとも1つのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点から前記チップが離間していることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されていることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、
被処理用の基板を回転させながら処理する基板処理装置に用いられるランプユニットであって、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記基板処理装置に設置された際に、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されていることを特徴とするランプユニットが提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されている基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を前記回転機構に設置する工程と、
前記回転機構により前記基板を回転させながら前記複数のランプユニットにより前記基板を加熱する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一又は他の態様に係る基板処理装置によれば、フィラメント同士の接続部やチップが、基板の回転軸と直交する直線とランプユニットとの直交点から離間していたりランプユニットのいずれか一方の端部側にずれていたりするから、フィラメント同士の接続部やチップが基板の回転中心に集中することがなく、基板の回転中心で温度が局所的に低下するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るランプユニットによれば、基板処理装置に設置された際に、フィラメント同士の接続部やチップが基板の回転中心から離間し、基板の回転中心で温度が局所的に低下するのを抑制することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、基板を加熱する工程において、フィラメント同士の接続部やチップが基板の回転中心から離間した状態で基板を加熱することになり、基板の回転中心で温度が局所的に低下するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に示すように、本実施例の基板処理装置の処理炉はその全体が符号202で示される。例示の態様においては、処理炉202は、半導体ウエハ等の基板200(以下、ウエハ200という。)の様々な処理工程を実行するのに適した枚葉式の処理炉である。また処理炉202は、特に半導体ウエハの熱処理に適している。こうした熱処理の例としては、半導体デバイスの処理における、半導体ウエハの熱アニール、ホウ素−リンから成るガラスの熱リフロー、高温酸化膜、低温酸化膜、高温窒化膜、ドープポリシリコン、末ドープポリシリコン、シリコンエピタキシャル、タングステン金属、又はケイ化タングステンから成る薄膜を形成するための化学蒸着が挙げられる。
【0018】
処理炉202は互いに同一の長さを有する複数のランプユニット300,400を有している。ランプユニット300,400は直線状を呈した長尺な部材であり、互いに同種である。ランプユニット300はランプユニット223の上方に配置されている。他方、ランプユニット400はランプユニット207の下方に配置されている。ランプユニット300は図1紙面の表側から裏側にかけて延在しており、ランプユニット400は図1中左右方向に延在している。
【0019】
処理炉202では、ランプユニット300,400はヒータアッセンブリを構成している。このヒータアッセンブリは、基板温度がほぼ均一になるように放射熱をウエハ200に供給する。本実施例においては、ヒータアッセンブリは、放射ピーク0.95ミクロンで照射し、複数の加熱ゾーンを形成し、ウエハ中心部より多くの熱を基板周辺部に加える集中的加熱プロファイルを提供する一連のタングステン−ハロゲン直線ランプ等の加熱要素を含む。
【0020】
各ランプユニット300,400には電極224が接続され、各ランプユニット300,400に電力を供給するとともに、各ランプユニット300,400の加熱具合は加熱制御部283にて制御される。
【0021】
各ランプユニット300,400は石英管286で覆われている。石英管286はOリング等の気密部材によりチャンバ本体227に対し気密に固定されている。石英管286と各ランプユニット300,400との間の空間には、駆動制御部282にて制御される空冷ガス用ブロア285から空冷ガスが供給され、ランプユニット300,400の外側の温度上昇を抑え、所定の温度に保っている。なお、好ましくは、石英管286は透明石英製とするとよい。
【0022】
チャンバ本体227は様々な金属材料から形成することができる。例えば、幾つかのアプリケーションではアルミニウムが適しており、他のアプリケーションではステンレス鋼が適している。材料の選択は、アニールや化学蒸着等の処理に用いられる化学物質の種類、及び選択された金属に対するこれら化学物質の反応性に左右される。チャンバ本体227の壁は通常、本技術分野で周知の循環式冷水フローシステムにより華氏約45〜47度まで水冷される。
【0023】
ウエハ200は、ウエハ200の外周に設けられる均熱リング289と支持ピン279とで保持されている。均熱リング289は例えば炭化ケイ素で被覆したグラファイト、クォーツ、純炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、アルミニウム、鋼等の好適な材料から構成されている。支持ピン279は例えば石英から構成されている。
【0024】
均熱リング289の外周側には均熱リング289の上面を覆うように平板形状の遮光プレート217(サセプタ)が設けられている。遮光プレート217はチャンバ本体227に支持されている。遮光プレート217は例えば炭化ケイ素から構成されている。
【0025】
支持ピン279は回転・昇降機構267に接続され回転可能とされている。支持ピン279の回転速度は個々の処理に応じて適切な速度に設定されるが、5〜60rpm(round per minute)程度であることが好ましい。回転・昇降機構267には突上げピン266が接続されており、回転・昇降機構267により突上げピン266が昇降可能とされている。回転・昇降機構267は駆動制御部282に接続され、駆動制御部282により制御される。
【0026】
処理炉202は主にチャンバ本体227、チャンバ蓋226及びチャンバ底228からなるチャンバ225を有している。処理炉202ではチャンバ225に囲まれた空間にて処理室201が形成されている。
【0027】
チャンバ蓋226にはガス供給管232が貫通して設けられ、処理室201に処理ガス230を供給し得るようになっている。ガス供給管232は、開閉バルブ243、流量制御手段であるマスフローコントローラ241(以下、MFC241という。)を介し、ガスA,ガスBのガス源に接続されている。ここで使用されるガスは、窒素等の不活性ガスや水素、アルゴン、六フッ化タングステン等であって、ウエハ200上に所望の膜を形成して半導体装置を形成するためのものである。
【0028】
また、開閉バルブ243およびMFC241は、ガス制御部284に接続され、ガス制御部284によりガスの供給、停止およびガスの流量が制御される。
【0029】
ガス供給管232から供給された処理ガス230は処理室201内にてウエハ200と反応し、残余ガスはチャンバ本体227に設けられた排気口であるガス排気口235から真空ポンプ等の排気装置(図示略)を介し、処理室201外へ排気される。
【0030】
チャンバ本体227の排気口235の反対側にはゲートバルブ244によって開閉されるウエハ搬入・搬出口247が設けられ、ウエハ200を処理室201に搬入・搬出し得るように構成されている。
【0031】
処理炉202は複数の温度測定用プローブ261を有している。プローブ261はチャンバ蓋226に固定され、すべての処理条件においてウエハ200のデバイス面から放射される光子密度を測定する。温度測定用プローブ261は検出部281に接続され光子密度の測定結果を検出部281に出力する。
【0032】
処理炉202は、様々な製造工程においてウエハ200の放射率(エミシビティ)を測定し、その放射率を計算するための非接触式の放射率測定手段をも含む。この放射率測定手段は、主として放射率測定用プローブ260、放射率測定用リファレンスランプ(参照光)265を有している。
【0033】
放射率測定用プローブ260はプローブ回転機構274により回転自在に設けられ、プローブ260の一端をウエハ200または参照光であるリファレンスランプ265の方向に方向付けられる。放射率測定用プローブ260は検出部281に接続され、リファレンスランプ265から放射された光子密度とウエハ200から反射された光子密度を検出してその検出結果を検出部281に出力する。
【0034】
主制御部280は主には、上記で説明した検出部281、駆動制御部282、加熱制御部283、ガス制御部284で構成されており、これらは主制御部280により統括・支配されるように制御される。
【0035】
次に、図2〜図4を参照しながらランプユニット300,400について詳細に説明する。
【0036】
図2,図3に示すように、ランプユニット300は円筒状を呈するバルブ(封体)302を有している。バルブ302の中途部にはバルブ302にガスを封入するためのチップ(ガス封入部)304が形成されている。なお、1つのランプユニット300に対してチップ304を2つ以上(複数)設けてもよい。チップ304はランプユニット300の中央部ではなく、中央部より一方の端部側に配置されている。バルブ302の内部には発熱体306が設けられており、発熱体306は複数のサポータ308により支持されている(図2では、ランプユニット300の構成をわかり易くするためサポータ308の数を図3より少なく描写している。)。なお、好ましくは、バルブ302とチップ304は透明石英製で形成するとよい。
【0037】
発熱体306は互いに長さの異なる2本のフィラメント306a,306bを繋ぎ合わせて接続した構成を有しており、その繋ぎ目が接続部310となっている。すなわち、接続部310は各フィラメント306a,306b同士が互いに接続された接続部位である。接続部310もチップ304と同様にランプユニット300の中央部ではなく、中央部より一方の端部側に配置されている。ランプユニット300においてチップ304と接続部310は略同一部位に配置されている。当該部位はチップ304と接続部310とが重複配置されることで、発熱体306が発熱した場合に他の部位より低温となり易く、本実施例では低温部312と表現する(図2,図3中点線部参照)。
【0038】
低温部312は、チップ304のみで構成した部位であってもよいし、接続部310のみで構成した部位であってもよい。例えば、ランプユニット300が短くてフィラメントが1本で構成される場合には、接続部310はないことになり、低温部312はチップ304のみで構成されることになる。サポータ308もランプユニット300の低温要因となりうることから、低温部312は、チップ304と接続部310とに加えて複数のサポータ308のうち一部のサポータ308(チップ304又は接続部310に最も近いサポータ308)を含んだ状態で構成した部位としてもよい。
【0039】
低温部312を構成する接続部310は2箇所以上設けてもよいが(3本以上のフィラメントを繋ぎ合わせてもよいが)、接続部310の数に応じて低温となる部位が増えるため、接続部310は好ましくは1箇所とする。接続部310を2箇所以上設ける場合には、直交点P1(後述参照)に最も近い接続部310が低温部312を構成する部位となる。
【0040】
ランプユニット300の両端部にはシール部320が設けられている。シール部320にはモリブデン箔322が設けられており、モリブデン箔322とフィラメント306a,306bとが内部リード線324により接続されている。シール部320には接点326が設けられており、接点326とモリブデン箔322とが外部リード線328により接続されている。
【0041】
ここでは、ランプユニット300について詳細に説明したが、ランプユニット400もランプユニット300と同様の構成を有しており、ランプユニット400の各構成部材には図2,図3の通りにランプユニット300の各構成部材を示す符号中下2桁の数字と同一の数字を付して(下2桁の数字を共通化して)その説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、ランプユニット300とランプユニット400とは平面視した場合に互いに直交するように格子状に配置されている。詳しくは、ランプユニット300はウエハ200の面と平行な面内において図4中左右方向に略等間隔で配列されており、ウエハ200の回転中心部500に対し、8本のランプユニット300a〜300hと8本のランプユニット300i〜300pとが左右対称に配置されている。
【0043】
各ランプユニット300a〜300pの設置向きは全て同一とされており、低温部312が図4中左右方向に直線状に配列されている。ウエハ200の回転軸と各ランプユニット300a〜300pとに対し直交する直線を直線L1とすると、ランプユニット300a〜300pの全てにおいて、各低温部312は直線L1とそのランプユニット300a〜300pとの直交点P1からやや離間している。
【0044】
ランプユニット400もウエハ200の面と平行な面内において略等間隔で配置されており、回転中心部500に対し、8本のランプユニット400a〜400hと8本のランプユニット400i〜400pとが上下対称に配置されている。各ランプユニット400a〜400pの設置向きも全て同一とされており、低温部412が図4中上下方向に直線状に配列されている。ウエハ200の回転軸と各ランプユニット400a〜400pとに対し直交する直線を直線L2とすると、ランプユニット400a〜400pの全てにおいて、各低温部412は直線L2とそのランプユニット400a〜400pとの直交点P2からやや離間している。
【0045】
なお、本実施例では、ランプユニット300a〜300p,400a〜400pのうち、ランプユニット300a,300i,400a,400iの少なくとも1本で、低温部312,412が直交点P1,P2から離間していればよい。
【0046】
回転中心部500は、ウエハ200が基板処理中に回転した際の中心となる部位であって、ランプユニット300,400の対称点と一致している。回転中心部500は、ランプユニット300,400を平面視した場合に、4本のランプユニット300a,300i,400a,400iで囲まれた矩形状の空間部に配置される。そのため、図4では、ウエハ200の回転軸は回転中心部500を通過するように紙面を表側から裏側に貫通するものとなる。
【0047】
本実施例では、支持ピン279が4本のランプユニット300a,300i,400a,400iによる空間部を貫通した状態でウエハ200を支持するから、必然的に回転中心部500にはランプユニット300,400を配置することができず、回転中心部500(ウエハ200の回転軸)を通過するようにランプユニット300,400を配置してその低温部312,412を回転中心部500に一致させるような構成とした場合と、温度の低下という面においてそれほど変わりはないと考えられる。そのため、支持ピン279に代えて、例えばランプユニット300,400の設置領域を迂回するようにしてウエハ200の周縁部を支持しながらウエハ200を回転させる機構を具備する基板処理装置においては、回転中心部500を通過する部分にランプユニット300,400を配置してその低温部312,412を回転中心部500に一致させないような構成としてもよい。
【0048】
図4に示すように、ランプユニット300a〜300p,400a〜400pのなかでは、4本のランプユニット300a,300i,400a,400iが回転中心部500に最も近い位置に配置されており、ランプユニット300a,300i,400a,400iの低温部312,412は回転中心部500からやや離間しており、少なくとも5cm以上離間している。本実施例では、4本のランプユニット300a,300i,400a,400iのうち、少なくとも1本のランプユニット300a,300i,400a,400iの低温部312,412が回転中心部500から少なくとも5cm以上離間していればよい。
【0049】
図2,図3に示すように、低温部312,412を構成するチップ304,404はバルブ302,402からやや突出しているが、チップ304,404は好ましくはウエハ200側とは反対側の方向(ウエハ200に光が向かう方向とは反対の方向)に配置されるとよい。チップ304,404は、ランプユニット300,400の光を遮光したり、熱容量が他の部位より大きくランプユニット300,400の熱を蓄熱したりして、ウエハ200の温度制御精度を高める際の抑制因子となる可能性があるからである。ただ、チップ304,404をウエハ200側とは反対側の方向に向けたとしても、光の遮光は抑制されるものの熱容量は他の部位より大きくなるため、ウエハ200の温度制御精度を高める際の間接的な抑制因子となる可能性はある。また、ウエハ200側とは反対側の方向にチップ304,404を配置するよりは光を遮光する量が若干増えるものの、チップ304,404を側方、すなわちウエハ200側に対し略90°横に向けてもよい。すなわち、少なくともチップ304,404はウエハ200側に向いてさえいなければ(ウエハ200に光が向かう方向に配置されていなければ)、チップ304,404がウエハ200の温度制御精度に与える影響は比較的小さい。
【0050】
次に、上述の構成に係る処理炉202を用いて、半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程としてウエハ200に処理を施す方法について説明する。なお、以下の説明において、処理炉202を構成する各部の動作は主制御部280により制御される。
【0051】
仕切弁であるゲートバルブ244を開放し、チャンバ本体227に設けられたウエハ搬入・搬出口247を通ってウエハ200を処理室201内に搬入する。搬入されたウエハ200は回転・昇降機構267により上昇された突上げピン266上に載置される。その後、回転・昇降機構267により突上げピン266を下降させて、ウエハ200を支持ピン279に載置する。ウエハ200を支持ピン279上に載置後、回転・昇降機構267によりウエハ200を回転させる。
【0052】
この状態において、ランプユニット300,400に電力を供給してランプユニット300,400を発熱させ、ウエハ200を加熱する。このとき、プローブ261がウエハ200のデバイス面から放射される光子密度を常に測定し、プローブ261によって測定された光子密度に基づき検出部281にてウエハ温度が算出され、主制御部280にて設定温度と比較される。主制御部280は比較の結果、あらゆる偏差を計算し、加熱制御部283を介してヒータアッセンブリ内のランプユニット300,400の電力供給量を制御する。
【0053】
上記のようにしてウエハ200の温度制御を行いつつ、ガス供給管232から処理ガス230を処理室201内に供給して、ウエハ200の処理を行う。
【0054】
ウエハ200の処理後、ウエハ200は、複数の突上げピン266により支持ピン279から持ち上げられ、処理炉202内でウエハ200を自動的にアンローティングできるようにするために、ウエハ200の下に空間を形成する。突上げピン266は駆動制御部282の制御のもと、回転・昇降機構267によって上下する。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例によれば、ランプユニット300,400のうち、回転中心部500に最も近いランプユニット300a,300i,400a,400iの低温部312,412が、ウエハ200の回転中心部500から離間した位置に配置されているため、ウエハ200の処理中においてウエハ200の回転中心部500で局所的に温度が低下するのを抑制することができる。
【0056】
そのような作用に信憑性があるのかを検証するため下記の通りに急速熱酸化実験を試みた。
【0057】
図5は、ランプユニット300,400の低温部312,412を図4の配置とした場合におけるウエハ200の急速熱酸化(RPO:Rapid Thermal Oxidation)実験の結果を概略的に示す図面である。図5中、横軸は基板の回転中心から距離(mm)を示し、特に「0(ゼロ)」の位置が基板の回転中心部である(図7も同様)。
【0058】
当該急速熱酸化実験では、ウエハ200として直径300mmのシリコンウエハを用い、その基板上に酸化膜を堆積させた。処理条件は、処理ガスを酸素と、処理温度を950℃と、処理圧力を20Torr(約2632Pa)と、処理時間を60秒とした。図5に示す通り、基板の回転中心部で膜厚が低下することはなく、基板の処理中において基板の回転中心部で局所的に温度が低下するのを抑制していると考えられる。
【0059】
これに対し、本実施例の比較例として、ランプユニット300,400の低温部312,412をランプユニット300,400の中央部に配置した場合(図6の配置とした場合)を想定することができる。図6の配置とした場合におけるウエハ200の急速熱酸化実験の結果を図7に示す。
【0060】
当該急速熱酸化実験でも、ウエハ200として直径300mmのシリコンウエハを用い、その基板上に酸化膜を堆積させた。処理条件は、処理ガスを酸素(窒素希釈)と、処理温度を850℃,900℃,950℃と、処理圧力を大気圧と、処理時間を60秒とした。図7に示す通り、処理温度を850℃,900℃,950℃のいずれに設定した場合においても、基板の回転中心部で膜厚が局所的に低下しており、基板の処理中において基板の回転中心部で局所的に温度が低下していると考えられる。
この結果は、上述の比較例に比べて、処理ガスにおける窒素希釈の有無及び処理圧力が異なるものの、膜厚の局所的な低下については、これらの差異はほとんど影響を与えることがないため、温度の低下を主要因として考えることができる。
【0061】
以上から、ランプユニット300a,300i,400a,400iの低温部312,412をウエハ200の回転中心部500から離間させれば、ウエハ200の処理中においてウエハ200の回転中心部500で局所的に温度が低下するのを抑制可能であることがわかる。
【0062】
更に本実施例の第2の比較例として、図6の構成を改変した図8のような構成も想定することができる。図8の構成は、図6のランプユニット300,400の互いの配置を変えずにその対称点を左下方にずらし(実線矢印)、ランプユニット300,400の設置領域である領域A(実線部)を領域B(点線部)にスライド移動したものである。
【0063】
図8の構成では、ウエハ200の回転中心部500とランプユニット300,400の対称点350とがずれているから、回転中心部500に対する単なる対称点350の偏心により、本実施例のようにウエハ200の回転中心部500で局所的に温度が低下するのを抑制することができるようにみえる。また本実施例のように、ランプユニット300,400のフィラメント306a,406aとフィラメント306b,406bとを互いに異なる長さとする構成を想定し、当該構成と図8の構成とを組み合わせれば、本実施例の構成に想到することができるようにも考えられる。
【0064】
しかしながら、回転中心部500と対称点350とがずれているから、ウエハ200を完全に覆うようにランプユニット300,400を設置するには、例えばランプユニット300,400をウエハ200の面より広い領域にわたり大型化する必要があり(点線矢印)、基板処理装置自体を大型化する必要が生じたりランプユニット300,400の熱エネルギーを無駄に浪費したりする。また対称点350が回転中心部500に対し偏心しているから、ウエハ200の1箇所に対し影響を与えるランプユニット300,400が多くなる。すなわち、1つのランプユニット300,400がウエハ200内の複数個所に対し影響を与えることになる。そのため、ウエハ200の回転中心部500で局所的に温度が低下するのを抑制することができたとしても、却ってウエハ200に対するランプユニット300,400への温度影響がどの程度であるかを把握し難く、ウエハ200を加熱制御し難くなってしまう。その点、本実施例に係る構成では、回転中心部500とランプユニット300,400の対称点とが一致し、その対称点が回転中心部500に対し偏心していないから、上記のような不都合はないと考えられる。
【0065】
次に、本発明の好ましい実施例の基板処理装置の概要を説明する。
【0066】
なお、本発明の好ましい実施例の基板処理装置においてはウエハなどの基板を搬送するキャリヤとしては、FOUP(frontopening unifiedpod。以下、ポッドという。)が使用されている。また、以下の説明において、前後左右は図9を基準とする。すなわち、図9が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後は紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0067】
図9および図10に示されているように、基板処理装置は真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された第1の搬送室103を備えており、第1の搬送室103の筐体101は平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。第1の搬送室103には負圧下でウエハ200を移載する第1のウエハ移載機112が設置されている。前記第1のウエハ移載機112は、エレベータ115によって、第1の搬送室103の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0068】
筐体101の6枚の側壁のうち前側に位置する2枚の側壁には、搬入用の予備室122と搬出用の予備室123とがそれぞれゲートバルブ244、127を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。さらに、予備室122には搬入室用の基板置き台140が設置され、予備室123には搬出室用の基板置き台141が設置されている。
【0069】
予備室122および予備室123の前側には、略大気圧下で用いられる第2の搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2の搬送室121にはウエハ200を移載する第2のウエハ移載機124が設置されている。第2のウエハ移載機124は第2の搬送室121に設置されたエレベータ126によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ132によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0070】
図9に示されているように、第2の搬送室121の左側にはオリエンテーションフラット合わせ装置106が設置されている。また、図10に示されているように、第2の搬送室121の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット118が設置されている。
【0071】
図9および図10に示されているように、第2の搬送室121の筐体125には、ウエハ200を第2の搬送室121に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口134と、ウエハ搬入搬出口を閉塞する蓋142と、ポッドオープナ108がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ108は、IOステージ105に載置されたポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142を開閉するキャップ開閉機構136とを備えており、IOステージ105に載置されたポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142をキャップ開閉機構136によって開閉することにより、ポッド100のウエハ出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、前記IOステージ105に、供給および排出されるようになっている。
【0072】
図10に示されているように、筐体101の六枚の側壁のうち背面側に位置する2枚の側壁には、ウエハに所望の処理を行う第1の処理炉202と、第2の処理炉137とがそれぞれ隣接して連結されている。第1の処理炉202および第2の処理炉137はいずれもコールドウォール式の処理炉によってそれぞれ構成されている。また、筐体101における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する2枚の側壁には、第3の処理炉としての第1のクーリングユニット138と、第4の処理炉としての第2のクーリングユニット139とがそれぞれ連結されており、第1のクーリングユニット138および第2のクーリングユニット139はいずれも処理済みのウエハ200を冷却するように構成されている。
【0073】
以下、上記構成をもつ基板処理装置を使用した処理工程を説明する。
【0074】
未処理のウエハ200は25枚がポッド100に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。図9および図10に示されているように、搬送されてきたポッド100はIOステージ105の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッド100のキャップ及びウエハ搬入搬出口134を開閉する蓋142がキャップ開閉機構136によって取り外され、ポッド100のウエハ出し入れ口が開放される。
【0075】
ポッド100がポッドオープナ108により開放されると、第2の搬送室121に設置された第2のウエハ移載機124はポッド100からウエハ200をピックアップし、予備室122に搬入し、ウエハ200を基板置き台140に移載する。この移載作業中には、第1の搬送室103側のゲートバルブ244は閉じられており、第1の搬送室103の負圧は維持されている。ウエハ200の基板置き台140への移載が完了すると、ゲートバルブ128が閉じられ、予備室122が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0076】
予備室122が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ244、130が開かれ、予備室122、第1の搬送室103、第1の処理炉202が連通される。続いて、第1の搬送室103の第1のウエハ移載機112は基板置き台140からウエハ200をピックアップして第1の処理炉202に搬入する。そして、第1の処理炉202内に処理ガスが供給され、所望の処理がウエハ200に行われる。
【0077】
第1の処理炉202で前記処理が完了すると、処理済みのウエハ200は第1の搬送室103の第1のウエハ移載機112によって第1の搬送室103に搬出される。
【0078】
そして、第1のウエハ移載機112は第1の処理炉202から搬出したウエハ200を第1のクーリングユニット138へ搬入し、処理済みのウエハを冷却する。
【0079】
第1のクーリングユニット138にウエハ200を移載すると、第1のウエハ移載機112は予備室122の基板置き台140に予め準備されたウエハ200を第1の処理炉202に前述した作動によって移載し、第1の処理炉202内に処理ガスが供給され、所望の処理がウエハ200に行われる。
【0080】
第1のクーリングユニット138において予め設定された冷却時間が経過すると、冷却済みのウエハ200は第1のウエハ移載機112によって第1のクーリングユニット138から第1の搬送室103に搬出される。
【0081】
冷却済みのウエハ200が第1のクーリングユニット138から第1の搬送室103に搬出されたのち、ゲートバルブ127が開かれる。そして、第1のウエハ移載機112は第1のクーリングユニット138から搬出したウエハ200を予備室123へ搬送し、基板置き台141に移載した後、予備室123はゲートバルブ127によって閉じられる。
【0082】
予備室123がゲートバルブ127によって閉じられると、前記排出用予備室123内が不活性ガスにより略大気圧に戻される。前記予備室123内が略大気圧に戻されると、ゲートバルブ129が開かれ、第2の搬送室121の予備室123に対応したウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142と、IOステージ105に載置された空のポッド100のキャップがポッドオープナ108によって開かれる。続いて、第2の搬送室121の第2のウエハ移載機124は基板置き台141からウエハ200をピックアップして第2の搬送室121に搬出し、第2の搬送室121のウエハ搬入搬出口134を通じてポッド100に収納していく。処理済みの25枚のウエハ200のポッド100への収納が完了すると、ポッド100のキャップとウエハ搬入搬出口134を閉塞する蓋142がポッドオープナ108によって閉じられる。閉じられたポッド100はIOステージ105の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0083】
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが、順次、処理されていく。以上の作動は第1の処理炉202および第1のクーリングユニット138が使用される場合を例にして説明したが、第2の処理炉137および第2のクーリングユニット139が使用される場合についても同様の作動が実施される。
【0084】
なお、上述の基板処理装置では、予備室122を搬入用、予備室123を搬出用としたが、予備室123を搬入用、予備室122を搬出用としてもよい。また、第1の処理炉202と第2の処理炉137は、それぞれ同じ処理を行ってもよいし、別の処理を行ってもよい。第1の処理炉202と第2の処理炉137で別の処理を行う場合、例えば第1の処理炉202でウエハ200にある処理を行った後、続けて第2の処理炉137で別の処理を行わせてもよい。また、第1の処理炉202でウエハ200にある処理を行った後、第2の処理炉137で別の処理を行わせる場合、第1のクーリングユニット138(又は第2のクーリングユニット139)を経由するようにしてもよい。
【実施例2】
【0085】
実施例2に係る基板処理装置は実施例1に係る基板処理装置と主に下記の点で異なっており、それ以外は同様となっている。
【0086】
図11に示すように、ランプユニット300が1本置きに反転している。具体的には、複数のランプユニット300のうち、ランプユニット300a,300c,300e,300g,300j,300l,300n,300pの配置が直線L1を中心軸として反転している。そしてランプユニット300の低温部312の配置に着目した場合に、低温部312が図11中左右方向に沿ってジグザグ状に配列されている。これと同様に、ランプユニット400も1本置きに反転しており、低温部412の配置に着目した場合に、低温部412が図11中上下方向に沿ってジグザグ状に配列されている。
【0087】
以上の本実施例2のように、ランプユニット300,400の設置の向きを交互に入れ替えて低温部312,412の配置を互いに違いにすれば、ランプユニット300,400の設置領域で低温部312,412が点在することになり、ウエハ200を加熱する際にウエハ200の面内温度の均一性を向上させることができる。またこの場合であっても、ランプユニット300,400自体は互いに同種であるから、互いに異なる種類のランプユニット300,400を製造するまでもなく、単一種類のランプユニット300,400で実施例2の構成を実現することができ、ランプユニット300,400のストック管理に係るコストが増大するのを防止することができる。
【実施例3】
【0088】
実施例3に係る基板処理装置は実施例1に係る基板処理装置と主に下記の点で異なっており、それ以外は同様となっている。
【0089】
図12に示すように、ランプユニット300,400の低温部312,412の位置がランプユニット300a〜300p,400a〜400pごとに異なっており(一部同じものがあってもよい。)、低温部312,412が不規則に点在している。
【0090】
以上の実施例3によれば、ランプユニット300,400の設置領域で低温部312,412が実施例2(図11参照)と比較してより複雑に点在し、不規則的にばらばらに配置されているから、ウエハ200を温度制御する際の精度を向上させ易く、実施例1,2に比較してウエハ200の面内温度の均一性を更に向上させることができる。
【0091】
なお、実施例1〜3において、好ましくは、チップ304,404と接続部310,410とを重複配置させずに、チップ304,404と接続部310,410同士を別々に設けてもよい。これにより、低温部312,412を多く点在させることになり、特にウエハ200を回転させない状態のときは、温度制御する際の精度を向上させ易く、ウエハ200の面内温度の均一性を向上させることができる。
【0092】
以上本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の好ましい実施の形態によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い近位の接続部、又は前記チップが、前記直交点から離間している第1の基板処理装置が提供される。
【0093】
本発明の他の好ましい実施の形態によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成される発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するための少なくとも1つのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点から前記チップが離間している第2の基板処理装置が提供される。
【0094】
本発明の他の好ましい実施の形態によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い近位の接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されている第3の基板処理装置が提供される。
【0095】
好ましくは、第1又は第2の基板処理装置において、
前記複数のランプユニットが、前記基板の回転中心に対し格子状に配置されている第4の基板処理装置が提供される。
【0096】
好ましくは、第1の基板処理装置において、
前記近位の接続部又は前記チップが、前記基板の回転軸と前記複数のランプユニットのうち少なくとも1つのランプユニットとに対し直交する1本の仮想直線上から離れた位置に設けられている第5の基板処理装置が提供される。
【0097】
好ましくは、第1の基板処理装置において、
前記近位の接続部又は前記チップが、前記基板の回転軸と前記複数のランプユニットの全部とに対し直交する1本の仮想直線上から離れた位置に設けられている第6の基板処理装置が提供される。
【0098】
好ましくは、第3の基板処理装置において、
前記複数のランプユニットが、前記基板の回転中心に対し格子状であって対称に配置されている第7の基板処理装置が提供される。
【0099】
好ましくは、第3の基板処理装置において、
前記複数のランプユニット全部で、前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されている第8の基板処理装置が提供される。
【0100】
好ましくは、第1〜第3のいずれか1つの基板処理装置において、
前記複数のフィラメントは互いに長さが異なる第9の基板処理装置が提供される。
【0101】
好ましくは、第1〜第3のいずれか1つの基板処理装置において、
前記基板の回転軸に最も近い位置に配置された少なくとも1対のランプユニットでは、一方のランプユニットの前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該一方のランプユニットの一方の端部側にずれた位置に配置されており、他方のランプユニットの前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該他方のランプユニットの前記一方の端部とは反対の他方の端部側にずれた位置に配置されている第10の基板処理装置が提供される。
【0102】
好ましくは、第1〜第3のいずれか1つの基板処理装置において、
前記複数のランプユニット全部で、前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置され、
前記基板の回転軸に最も近い位置に配置された少なくとも1対のランプユニットでは、一方のランプユニットの前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該一方のランプユニットの一方の端部側にずれた位置に配置されており、他方のランプユニットの前記近位の接続部又は前記チップが、前記直交点から当該他方のランプユニットの前記一方の端部とは反対の他方の端部側にずれた位置に配置されている第11の基板処理装置が提供される。
【0103】
好ましくは、第1〜第3のいずれか1つの基板処理装置において、
前記複数のランプユニットのうち、少なくとも前記基板の回転軸に最も近い位置に配置されたランプユニットが同種であり、
前記複数のランプユニットは設置の向きが互い違いとなっている第12の基板処理装置が提供される。
【0104】
更に好ましくは第8の基板処理装置において、
前記複数のランプユニットの全部が同種であり、
前記複数のランプユニットは設置の向きが互い違いとなっている第13の基板処理装置が提供される。
【0105】
本発明の他の好ましい実施の形態によれば、
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されている基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を前記回転機構に設置する工程と、
前記回転機構により前記基板を回転させながら前記複数のランプユニットにより前記基板を加熱する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の好ましい実施例で使用される基板処理装置の処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施例で使用されるランプユニットの概略斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施例で使用されるランプユニットの(a)概略平面図(b)概略側面図である。
【図4】本発明の好ましい実施例で使用されるランプユニットの配置を説明するための概略平面図である。
【図5】図4の配置により得られる基板の回転中心からの距離と膜厚との関係を概略的に示す図面である。
【図6】本発明の好ましい実施例の比較例を示す概略平面図である。
【図7】図6の配置により得られる基板の回転中心からの距離と膜厚との関係を概略的に示す図面である。
【図8】本発明の好ましい実施例の比較例を示す概略平面図である。
【図9】本発明の好ましい実施例の基板処理装置を説明するための概略横断面図である。
【図10】本発明の好ましい実施例の基板処理装置を説明するための概略縦断面図である。
【図11】図4の配置の変形例(実施例2)を示す概略平面図である。
【図12】図4の配置の変形例(実施例3)を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0107】
100 ポッド
101 筐体
103 搬送室
105 IOステージ
106 オリエンテーションフラット合わせ装置
108 ポッドオープナー
112 ウエハ移載機
115 エレベータ
118 クリーンユニット
121 搬送室
122,123 予備室
124 ウエハ移載機
125 筐体
126 エレベータ
127,128,129 ゲートバルブ
130 ゲートバルブ
132 リニアアクチュエータ
134 ウエハ搬入搬出口
136 キャップ開閉機構
137 処理炉
138,139 クーリングユニット
140,141 基板置き台
142 蓋
200 ウエハ
201 処理室
202 処理炉
217 遮光プレート
224 電極
225 チャンバ
226 チャンバ蓋
227 チャンバ本体
228 チャンバ底
230 処理ガス
232 ガス供給管
235 ガス排気口
241 マスフローコントローラ
243 バルブ
244 ゲートバルブ
247 ウエハ搬入・搬出口
260 放射率測定用プローブ
261 温度測定用プローブ
265 放射率測定用リファレンスランプ
266 突上げピン
267 回転・昇降機構
274 プローブ回転機構
275 昇降機構
279 支持ピン
280 主制御部
281 検出部
282 駆動制御部
283 加熱制御部
284 ガス制御部
285 空冷ガス用ブロア
286 石英管
289 均熱リング
300,400 ランプユニット
302,402 バルブ
304,404 チップ
306,406 発熱体
306a,306b,406a,406b フィラメント
308,408 サポータ
310,410 接続部
312,412 低温部
320,420 シール部
322,422 モリブデン箔
324,424 内部リード線
326,426 接点
328,428 外部リード線
350 対称点
500 回転中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から離間していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成される発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するための少なくとも1つのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点から前記チップが離間していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
被処理用の基板を回転させながら処理する基板処理装置に用いられるランプユニットであって、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記基板処理装置に設置された際に、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されていることを特徴とするランプユニット。
【請求項5】
被処理用の基板を回転させる回転機構と、
前記基板を加熱する複数のランプユニットと、
を備え、
前記各ランプユニットが、
複数のフィラメントから構成され、前記各フィラメント同士が互いに接続される1又は2以上の接続部を有する発熱体と、
前記発熱体を覆うバルブと、
前記バルブに設けられ、前記バルブにガスを封入するためのチップと、
を有し、
前記複数のランプユニットが、
前記基板の面と平行な面内においてその回転中心に対し対称に配置され、
前記複数のランプユニットのうち、前記基板の回転中心に最も近い位置に配置された少なくとも1つのランプユニットでは、前記基板の回転軸と直交する直線と当該ランプユニットとの直交点に最も近い接続部、又は前記チップが、前記直交点から当該ランプユニットのいずれか一方の端部側にずれた位置に配置されている基板処理装置を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を前記回転機構に設置する工程と、
前記回転機構により前記基板を回転させながら前記複数のランプユニットにより前記基板を加熱する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−88354(P2009−88354A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257927(P2007−257927)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】