説明

基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体

【課題】硫酸と過酸化水素水との混合液を用いて被処理基板から汚染物質を除去する処理にあたり、前記混合液による汚染物質の除去能の低下を抑制することが可能な基板処理装置などを提供する。
【解決手段】
処理槽21には、被処理基板Wを浸漬し処理するための硫酸と過酸化水素水との混合液が貯溜され、加熱部412は、処理槽21内の混合液を循環させる循環路410、22に設けられて混合液を加熱し、過酸化水素水供給部420は、循環路410、22における加熱部412の下流側であって、当該循環路410、22の出口の直前位置にて混合液に過酸化水素水を補充供給する。制御部5は、液温検出部25の温度検出値に基づいて処理槽21内の液温を135℃〜170℃の範囲の設定温度に調節すると共に、加熱によって蒸発した混合液を補充するために硫酸供給部430より硫酸を補充供給するように制御信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SPM(Sulfuric acid-hydrogen Peroxide Mixture)液を用いて被処理基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面には、半導体装置の製造工程において発生する種々の汚染物質が付着しており、これらの汚染物質を除去するため、複数種類の薬液を用いてウエハ表面を洗浄する洗浄工程が設けられている。
【0003】
SPM液は、硫酸と過酸化水素水との混合液であり、ウエハ表面に残存するレジストの剥離やその他の有機性の汚染物質を除去する薬液である。SPM液は、例えば回転テーブル上に保持されたウエハを回転させながらその表面に薬液を供給する枚葉式の処理装置や、薬液を満たした処理槽内に複数枚のウエハを同時に浸漬して洗浄を行うバッチ式の処理装置などで利用されている。
【0004】
バッチ式の処理装置では、一般に100℃〜130℃に加熱されたSPM液内に例えば数十枚のウエハを浸漬し、所定時間経過後ウエハを取り出した後、次のウエハを浸漬する動作を繰り返すことにより、液処理が連続的に処理が行われる。こうした連続処理においては、処理槽内のSPM液がウエハ表面に付着し、その一部が処理槽外に持ち出されることにより液レベルが低下するので、SPM液には所定のタイミングで硫酸や過酸化水素水が補充される。
【0005】
ここで過酸化水素水は比較的不安定な物質であり、次第に分解して水を生成することから、例えば液レベルの低下に合わせて硫酸や過酸化水素水の補充を行ってもSPM液中の硫酸濃度が経時的に低下してしまう。硫酸濃度が低下すると、汚染物質の除去能が低下するため、当該処理槽を用いたウエハの処理を定期的に停止し、処理槽内のSPM液を全量交換する作業が発生しており、処理効率の低下や薬液消費量の増大、これに伴う薬液コストの上昇を招いている。
【0006】
SPM液への硫酸や過酸化水素水の補充に関し、例えば特許文献1には処理槽内の硫酸の濃度を検出する濃度検出部を設け、SPM液中の硫酸が予め設定された値以上の濃度となるように硫酸補充量を増減する技術が記載されている。この技術では、過酸化水素水の分解による硫酸濃度の低下を補うため、従来よりも多量の硫酸が供給される一方、硫酸濃度の低下によりSPM液を全量交換する頻度が低下するのでトータルの硫酸使用量を抑制できる旨が主張されている。
【0007】
なお特許文献2には、SPM液(硫酸過水と記載されている)を120℃〜140℃の温度に加熱してウエハ上のレジスト膜を除去する技術が記載されているが、硫酸濃度の低下やこれに伴うSPM液の全量取替えなどの問題を解決する手法は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−164550号公報:段落0021、段落0031〜0033、段落0071、図3
【特許文献2】特開平9−8034号公報:段落0008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既述の特許文献1に記載の技術は、硫酸の濃度検出部を要することから装置のコストアップの要因となる。また、濃度制御に基づく薬液補充だけでは、例えば処理槽内の液レベルをコントロールできないので、硫酸濃度が十分であっても処理槽内のSPM液レベルを維持する観点から濃度のしきい値に対して過剰量の硫酸を補充する必要が生じる場合があり、結果として硫酸消費量を十分に削減できないおそれもある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、硫酸と過酸化水素水との混合液を用いて被処理基板から汚染物質を除去する処理にあたり、前記混合液による汚染物質の除去能の低下を抑制することが可能な基板処理装置、基板処理方法及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る基板処理装置は、被処理基板を、硫酸と過酸化水素水との混合液に浸漬し処理するための処理槽と、
この処理槽内の混合液を循環させるための循環路と、
この循環路に設けられ、前記混合液を加熱するための加熱部と、
前記混合液に硫酸を補充供給するための硫酸供給部と、
前記循環路における前記加熱部の下流側であって、当該循環路の出口の直前位置にて混合液に過酸化水素水を補充供給するための過酸化水素水供給部と、
前記処理槽内の混合液の温度を検出するための液温検出部と、
前記処理槽内の混合液の温度を135℃〜170℃の範囲の設定温度にするために前記液温検出部の温度検出値に基づいて加熱部の出力を調節するステップと、加熱によって蒸発した混合液を補充するために、前記硫酸供給部より硫酸を補充供給するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記基板処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記循環路における混合液の流量が20リットル/分以上、50リットル/分以下の範囲であること。
(b)前記被処理基板の処理は、前記処理槽の混合液内に新たな被処理基板を浸漬するステップと、処理を終えた被処理基板を当該処理槽から取り出すステップとが繰り返して行われ、前記制御部は、処理を終えた被処理基板を処理槽から取り出した後、次の被処理基板が混合液に浸漬される前のタイミング毎に硫酸を補充供給するように硫酸供給部を制御すること。
(c)前記処理槽から溢流した混合液を受ける共に、前記循環路の上流側に設けられた外槽と、この外槽内の混合液の液面の高さを検出する液面検出部とを備え、前記制御部は、前記液面検出部にて検出した液面の高さが予め設定した高さを下回ったときに混合液に硫酸を補充供給するように硫酸供給部を制御すること。
【0013】
(d)前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、混合液が当該位置から処理槽に流入されるまでの時間が5秒以内となる位置であること。
(e)前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、当該循環路の出口より上流側50cm以内の位置であること。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、硫酸と過酸化水素水との混合液の温度を従来よりも高い135℃〜170℃の温度範囲となるように調節するので、当該混合液を構成する硫酸、過酸化水素、水のなかで最も蒸発しやすい水分を優先的に蒸発させることができる。この結果、混合液中から水が抜き出され、過酸化水素からの水の生成などに起因する硫酸の濃度低下を抑えて、硫酸と過酸化水素水との混合液の全量交換の頻度を低減することができる。
【0015】
そしてさらに本発明では、1)循環路に設けられた加熱部の下流側に過酸化水素供給部を設け、2)この過酸化水素水の供給位置が循環路の出口の直前位置となっている。これらの構成により、水分を優先的に蒸発させるために混合液の温度を従来よりも高い温度とした場合であっても、硫酸と過酸化水素との反応により生成するカロ酸や過酸化水素自体などの汚染物質の除去に有効な成分の分解を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る処理装置を備えたウエハ処理システムの平面図である。
【図2】前記ウエハ処理システムの一部破断側面図である。
【図3】前記ウエハ処理システムの一部破断斜視図である。
【図4】前記処理装置に設けられた処理槽及びウエハボートの斜視図である。
【図5】前記処理装置の縦断側面図である。
【図6】前記処理装置の第1の作用図である。
【図7】前記処理装置の第2の作用図である。
【図8】前記処理装置の実施例に係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
初めに、本発明の基板処理装置であるSPM処理装置2を備えたウエハ処理システム1について図1〜図3を参照しながら簡単に説明しておく、これらの図に向かって左側を手前とすると、ウエハ処理システム1は、FOUP6の搬入出が行われる搬入出部11と、搬入出部11に搬入されたFOUP6と後段の各処理部13〜14との間でウエハWを搬送するため、ウエハWの位置調整や姿勢変換などを行うインターフェース部12と、液処理後のウエハWを乾燥する2組の乾燥処理部13と、SPM液による処理を行う2組のSPM処理部14とを、手前側からこの順に設けた構成となっている。
【0018】
搬入出部11は、外部の搬送装置との間でFOUP6の受け渡しを行うための載置台111と、搬入出部11内でFOUP6を搬送する第1の搬送アーム112と、ウエハWの搬入出が行われるFOUP6を載置するための受け渡し台113と、ウエハWを取り出した後のFOUP6が一時的に保管される、例えば3個の保管棚114と、を備えている。
【0019】
載置台111は例えば2個のFOUP6を載置することが可能であり、図3に示すようにウエハ処理システム1の前面に設けられた搬入出口110を介して外部との間でFOUP6の搬入出が行われる。第1の搬送アーム112は前方から見て左右方向に移動自在及び回転自在に構成され、載置台111、受け渡し台113及び各保管棚114のとの間でFOUP6を搬送することができる。図2に示すように受け渡し台113は、搬入出部11とインターフェース部12とを仕切る仕切り壁115に固定され、当該仕切り壁115にはFOUP6の側面に設けられた蓋体を着脱するための開閉扉121が設けられている。
【0020】
インターフェース部12には、受け渡し台113上に載置されたFOUP6との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しアーム122と、ウエハWの姿勢変換を行う姿勢変換装置124と、インターフェース部12と後段の各処理部13〜14との間でウエハWを搬送する第2の搬送アーム125とを備えている。この他、インターフェース部12には、受け渡しアーム122から姿勢変換装置124にウエハWが受け渡される前に、ウエハWのノッチ位置を揃えるノッチアライナなどが設けられているが、本例では図示を省略してある。
【0021】
受け渡しアーム122は、進退自在に構成され、回転自在なアーム台123上に例えば2台設けられていて、複数枚のウエハWを水平状態で上下方向に並べて保持できる。姿勢変換装置124は、各ウエハWの側周の対向する両端部を把持し、これらのウエハWを水平状態で上下方向に並べて保持した状態と、これらのウエハWを90度転動させて、各ウエハWを垂直姿勢に保持した状態との間でウエハWの姿勢変換を行う役割を果たす。第2の搬送アーム125は、図1、図2に示すように垂直姿勢に変換された例えば50枚のウエハWを例えば3本のウエハ支持部126にて保持し、前後方向に移動してインターフェース部12及び各処理部13〜14内を自在に移動することができるようになっている。
【0022】
乾燥処理部13は、前後方向に並べて例えば2組設けられており、各乾燥処理部13内には第2の搬送アーム125のウエハ支持部126を洗浄するウエハ支持部洗浄ユニット132と、洗浄後のウエハW及び前記ウエハ支持部126の乾燥処理を行うウエハ乾燥ユニット131と、を備えている。
【0023】
SPM処理部14も、乾燥処理部13と同様に前後に並べて例えば2組設けられており、各SPM処理部14はウエハW上のレジストなどを除去するためのSPM液を満たしたSPM処理槽21と、SPM液による処理を終えたウエハWのリンス洗浄を行うための例えば純水を満たしたリンス槽141と、第2の搬送アーム125との間でウエハWの受け渡しを行うために、前記の各槽21、141に設けられたウエハボート3及びその昇降機構31と、を備えている。SPM処理槽21とウエハボート3及びその昇降機構31とは本実施の形態の処理装置であるSPM処理装置2の一部を構成しており、その詳細については後述する。
【0024】
以上に説明した構成を備えるウエハ処理システム1において、SPM処理部14に設けられたSPM処理装置2は、背景技術にて説明したSPM液(硫酸と過酸化水素水との混合液)中の硫酸濃度の低下を抑え、レジストなどの汚染物質の除去能の低下を抑制するための構成を備えている。以下、SPM処理装置2の詳細な構成について図4、図5を参照しながら説明する。
【0025】
ウエハボート3は、第2の搬送アーム125の移動方向(前後方向)と直交する方向に伸びる例えば4本の棒状のウエハ支持部32を共通の昇降機構31に接続した構成となっている。これらウエハ支持部32を第2の搬送アーム125側のウエハ支持部126と上下方向に交差させることにより、例えば50枚のウエハWを垂直姿勢で保持することができる。昇降機構31は、第2の搬送アーム125との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、SPM処理槽21内のSPM液中にウエハWを浸漬する処理位置との間でウエハボート3を昇降する役割を果たす。
【0026】
SPM処理槽21は、SPM液によるウエハWの処理が行われる処理槽であり、例えば底部側の左右両側が内側へ向けて傾斜する一方、上面が開放されると共に、平面形状が矩形の例えば石英製やポリプロピレン製の容器として構成されている。SPM処理槽21の上縁部には、SPM処理槽21内のSPM液を溢流させるための逆三角形状の切欠き部211が形成されていると共に、SPM処理槽21の上縁部の外側には当該切欠き部211より溢流したSPM液を受ける外槽212が設けられている。便宜上、図4には一部の外槽212のみを示してあるが、実際には外槽212はSPM処理槽21の4辺の上縁部を取り囲むように設けられている。
【0027】
SPM処理槽21の底部側には、SPM処理槽21内にSPM液を供給するための例えば2本のSPM供給ノズル22が設けられている。SPM供給ノズル22はSPM処理槽21の長辺に沿って互いに平行に配置され、各SPM供給ノズル22には多数の吐出孔221が開口しており、例えばSPM処理槽21内に浸漬されたウエハWに向けて斜め上方にSPM液を吐出することができるようになっている。これらの吐出孔221は、後述する本実施の形態の循環路の出口に相当している。
【0028】
図5に示すように、既述の外槽212の例えば底面には循環ライン410が設けられており、この循環ライン410はSPM供給ノズル22に接続されている。これによりSPM処理槽21の上縁部から外槽212に溢流したSPM液は、循環ライン410、SPM供給ノズル22を経て再びSPM処理槽21内に供給されるようになっており、この観点において、当該循環ライン410及びSPM供給ノズル22は、本実施の形態の循環路を構成している。循環ライン410には、SPM液を循環させる循環ポンプ411と、SPM液を予め設定された温度に加熱する加熱部412と、SPM液中の固形不純物を取り除くフィルター413とが介設されている。
【0029】
加熱部412は例えば循環ライン410に捲回された抵抗発熱体などから構成され、例えばSPM処理槽21内に設けられた熱伝対などからなる温度検出部25にて検出されたSPM液の温度検出値に基づいて、不図示の給電部からの給電電力を増減しながら、循環ライン410内を循環するSPM液を加熱することによりSPM処理槽21内の温度を調節することができるようになっている。但し、温度検出部25は、SPM処理槽21内に設ける場合に限られず、SPM処理槽21内のSPM液の温度を実質的に検出することができる位置であれば、外槽212内や加熱部412の手前の循環ライン410に設けてもよい。
【0030】
加熱部412の下流側の循環ライン410には、過酸化水素水供給ライン420を介して過酸化水素水タンク42が接続されており、循環ライン410内を循環するSPM液に過酸化水素水を補充供給することができる。加熱部412の下流側に過酸化水素水を補充供給することにより、過酸化水素水及び後述のカロ酸などの熱的に不安定な成分が加熱部412にて直接加熱されることによって分解されることを抑制している。過酸化水素水供給ライン420に介設された422は開閉弁、421は過酸化水素水供給ポンプである。過酸化水素水タンク42、過酸化水素水供給ライン420、過酸化水素水供給ポンプ421などは本実施の形態の過酸化水素水供給部に相当する。
【0031】
一方、SPM液に硫酸を補充供給する硫酸タンク43は、硫酸供給ライン430を介して外槽212に接続されている。ここで硫酸供給ライン430はSPM処理槽21と同様に石英やポリプロピレンなどの透明な部材により構成されており、例えば外槽212の側方に配置された本実施の形態の液面検出部である例えば赤外線レーザー式の液面センサ24などにより、外槽212内の液面の高さが予め設定した高さ以上となっているか否かを光学的に検出することができる。硫酸タンク43は、液面センサ24にて検出した液面の高さが設定値を下回った場合には、外槽212に硫酸を補充供給して、SPM処理槽21、外槽212及び循環ライン410内に所定量のSPM液が保持された状態となるように調整する役割を果たしている。硫酸供給ライン430に介設された432は開閉弁、431は硫酸供給ポンプである。硫酸タンク43、硫酸供給ライン430、硫酸供給ポンプ431などは本実施の形態の硫酸供給部に相当する。
【0032】
さらにSPM処理槽21には、当該SPM処理槽21の上部側及び外槽212を覆うようにフード部231が設けられており、SPM処理槽21及び外槽212の液面から蒸発した蒸気(図5中に、破線の矢印で示してある)を、例えばフード部231の下部側の側壁面に設けられ、例えばブロアなどに接続された排気路233を介して外部へ排気することができるようになっている。フード部231の上面側には開閉自在に構成された蓋部232が設けられており、ウエハボート3の昇降動作時には当該蓋部232を開くことにより、フード部231と干渉せずにウエハWの搬入出を行うことができる。排気路233に接続されたフード部231内の空間は、本実施の形態の排気部に相当する。なおフード部231には蓋部232を設けない構成としてもよい。
【0033】
以上の構成を備えたSPM処理装置2は、図5に示すように制御部5と接続されている。制御部5は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には当該ウエハ処理システム1内の各機器の作用、つまり、搬入出部11内にFOUP6を搬入し、ウエハWを取り出して各種の処理を実行してから、再度ウエハWをFOUP6内に収納して当該FOUP6を搬出するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0034】
そして制御部5の記憶部には、上述のSPM処理装置2におけるSMP液を用いたウエハWの処理に関するプログラムも記憶されており、過酸化水素水タンク42、硫酸タンク43からの過酸化水素水や硫酸の給断や供給量の調節、循環ライン410内におけるSPM液の循環の開始及び停止、また加熱部412によるSPM液の温度調節などが制御部5からの指示に基づいて実行されるようになっている。
【0035】
ここで本実施の形態に係るSPM処理装置2は、SPM液中の硫酸濃度の低下を抑制する目的で、SPM液の温度を、一般的な100℃〜130℃よりも高い、例えば135℃〜170℃の範囲内、好適には140℃〜150℃の範囲内の例えば140℃に調整する。SPM液は、例えば濃硫酸1容に過酸化水素水を0.05〜1容程度混合した、硫酸、過酸化水素及び水を主成分とする混合液であるところ、これらの成分の蒸気圧は硫酸<過酸化水素<水の順に高くなる。
【0036】
そこでSPM液の温度を従来の温度より高くすることにより、SPM液の液面から水分を優先的に蒸発させることができる。この結果、過酸化水素の分解により生成した水をSPM液中から抜き出して、例えば蒸発により減少した水分量に相当する硫酸を補充することにより、硫酸濃度の低下を抑制することが可能となる。SPM液の温度が135℃よりも低いと、水分を蒸発させる効果が十分でなく、170℃より高いと過酸化水素などの分解が過度に進行してしまうおそれがある。
【0037】
一方、SPM液を用いたレジストなどの除去においては、過酸化水素や硫酸の各成分が汚染物質に作用するのみならず、過酸化水素と硫酸との反応により生成するカロ酸(過硫酸、HSO)が汚染物質の除去に効果的に作用していると考えられている。そして、ウエハW表面へのこれらの成分の供給温度を上げると、汚染物質の除去能が向上し、濃硫酸に対して過酸化水素水の混合割合を抑えることが可能となり、この結果、過酸化水素水の分解による硫酸濃度の低下(水分濃度の上昇)をさらに抑えることができる。
しかしながら、カロ酸や過酸化水素は熱的に不安定な物質であるため、温度を高くすると分解してしまい、逆に汚染物質の除去能が低下してしまうおそれがある。
【0038】
そこで本実施の形態に係るSPM処理装置2では、既述のように加熱部412の下流側に過酸化水素水供給ライン420を接続し、過酸化水素やカロ酸が加熱部412で直接加熱されて分解が進行することを抑えている。
【0039】
また、本例に係るSPM処理装置2は、循環路を成すSPM供給ノズル22の出口(吐出孔221)の直前位置に、同じく循環路を成す循環ライン410への過酸化水素水の補充供給位置が設定されている。ここで「循環路の出口の直前位置」とは、例えば循環ライン410を循環するSPM液中に過酸化水素水が供給された時点から、SPM供給ノズル22の吐出孔221からSPM処理槽21内のウエハWの処理雰囲気中に当該SPM液が吐出される時点までの時間を5秒以内とする場合などが考えられる。本例では、例えば過酸化水素水の供給点(図5のX1点)、当該供給点から最も遠いSPM供給ノズル22の吐出孔221(図4、図5のX2点)までの距離(例えば50cm以下)、循環ライン410及びSPM供給ノズル22の太さ、過酸化水素水供給後のSPM液の流量(例えば20L/分以上、50L/分以下(例えば循環ライン410及びSPM供給ノズル22の直径が20mm場合には、流速はおよそ1m/秒以上、2.7m/秒以下となる))などを調整することにより、前記時間を5秒以内としている。これにより、従来に比べてSPM液の温度を上げても、汚染物質の除去能を落とさず、逆にその除去能を向上させた状態でウエハWの処理を行うことが可能となる。
【0040】
以上に説明したSPM処理装置2を備えたウエハ処理システム1の作用について説明すると、例えばウエハWを25枚ずつ収納したFOUP6が外部の搬送ロボットなどによって搬送され、載置台111上に載置されると、図2に示すように第1の搬送アーム112はインターフェース部12側の開閉扉121に対向する受け渡し台113上にFOUP6を移動させる。
【0041】
開閉扉121は、FOUP6の蓋体を取り外し、このFOUP6内に一方側の受け渡しアーム122を進入させてウエハWを取り出す。ウエハWが取り出されて空となったFOUP6は、蓋体が閉じられ、第1の搬送アーム112によって保管棚114上に移送され、保管される。
【0042】
FOUP6から取り出されたウエハWを保持した受け渡しアーム122は、不図示のノッチアライナにウエハWを渡して、ノッチ位置の調整が行われた後、再びウエハWを受け取る。次いで受け渡しアーム122を支持するアーム台123が回転し、ウエハWを保持した受け渡しアーム122を姿勢変換装置124に対向させ、姿勢変換装置124側へと受け渡しアーム122が進入してウエハWの受け渡しが行われる。
【0043】
姿勢変換装置124ではウエハWの間隔調整、姿勢変換が行われた後、インターフェース部12内で待機する第2の搬送アーム125にウエハWが受け渡される。このような動作を連続して実行し、例えば50枚のウエハWが保持されると、第2の搬送アーム125はこれらのウエハWを2組のSPM処理部14の一方側へ搬送する。ここで2組のSPM処理部14は例えば交互にウエハWが搬入される運用としてもよいが、本例では一方側のSPM処理部14にてSPM液による処理を実行し、他方側のSPM処理部14は待機状態となっている。
【0044】
処理が行われるSPM処理部14まで第2の搬送アーム125が移動してくると、当該SPM処理部14内のSPM処理装置2は、第2の搬送アーム125の下方側からウエハボート3を受け渡し位置まで上昇させ、双方のウエハ支持部126、31を上下に交差させることにより、図4に示すようにウエハWがウエハボート3に受け渡される。ウエハWを受け渡した第2の搬送アーム125は側方へと退避してウエハWをSPM処理槽21内に搬入する準備を終える。
【0045】
このときSPM処理槽21にはSPM液が満たされた状態となっており、当該SPM液はSPM処理槽21→外槽212→循環ライン410→SPM供給ノズル22→SPM処理槽21と、SPM液の循環系内を循環している。そして外槽212の液面の高さが予め設定された高さとなるように硫酸の供給を終え、またSPM液の温度は加熱部412によって例えば140℃に調整されている。
【0046】
このような状態に調整されたSPM処理装置2のウエハボート3にウエハWが受け渡されると、フード部231の蓋部232が開き、ウエハボート3が降下してSPM処理槽21内のSPM液中にウエハWが浸漬される(図6(a))。ウエハボート3を処理位置まで降下させ、ウエハWの全体がSPM液中に浸漬されると共に、SPM供給ノズル22から吐出されたSPM液がウエハW表面を流れることによりSPM液による処理が開始され、蓋部232が閉じられる。このときSPM液の温度が従来の100℃〜130℃よりも高い温度となっていることにより、同じ濃度比で調製された低温のSPM液に比べて汚染物質の除去能が高くなっている。なお、図6(a)〜図7(b)の各図中においては、フィルター413や各種供給ポンプ421、431などの記載を適宜省略してある。
【0047】
このようにウエハWの全体がSPM液内に浸漬されたら、汚染物質の除去能をさらに高めるため、図6(b)に示すように過酸化水素水供給ライン420から過酸化水素水の補充供給が行われる。補充される過酸化水素水の量は、例えば系内に55L程度のSPM液が保持されている場合には、SPM液の温度が100℃〜130℃である場合では400mL〜700mL程度の補充量が必要となる。しかしながらSPM液の温度を135℃〜170℃に上げ、当該液の活性を高めることにより過酸化水素水の補充量を150mL〜300mL程度まで低減し、その結果、過酸化水素の分解による水分の増加を抑えることができ、硫酸濃度の低下速度を抑えることができる。
【0048】
また、過酸化水素水タンク42から供給される過酸化水素水の温度はSPM液の温度よりも低いので、循環ライン410内を循環するSPM液のうち過酸化水素水と接触したSPM液は局所的に温度が低下する。これにより、例えば加熱部412の上流側で過酸化水素水を供給し、その後、当該SPM液を加熱する場合に比べて過酸化水素水の補充で生成したカロ酸や過酸化水素自体の分解を抑制することができる。
【0049】
さらに本例では、新鮮な過酸化水素水が供給されたSPM液がSPM処理槽21内のウエハWの処理雰囲気中に吐出されるまでの時間が既述のように5秒以内となるように過酸化水素水の供給点(図5のX1点)と、当該供給点から最も遠いSPM供給ノズル22の吐出孔221(図4、図5のX2点)までの距離、循環ライン410及びSPM供給ノズル22の太さ、SPM液の循環量や過酸化水素水の供給速度(即ち、過酸化水素水供給後のSPM液の流速)が調整されている。これにより従来の温度よりも高い温度でSPM液の液温を調整した場合であっても、カロ酸や過酸化水素水の分解が過度に進行する前にこれらの成分をウエハW表面に到達させることができる。
【0050】
過酸化水素水が供給され、カロ酸などの有効成分を多く含むSPM液は、図4に示すようにウエハWの並ぶ方向に沿って連設された吐出孔221の各吐出孔221から吐出され、このSPM液がウエハW同士の隙間に流れ込んで各ウエハWの表面と接触し、汚染物質の除去が進行する。
【0051】
このようにして、例えば0.5秒間〜5秒間かけて150mL〜300mLの過酸化水素水を補充し、さらにSPM液を循環させながらSPM処理槽21内にて全体で例えば10分間〜15分間程度ウエハWの処理を実行する。こうして所定時間が経過したら、蓋部232を開きウエハボート3を上昇させてSPM処理槽21内からウエハWを搬出し(図7(a))、再度蓋部232を閉じてSPM処理装置2におけるウエハWの処理を終える(図7(b))。
【0052】
以上に説明したウエハWの処理を開始する準備やSPM処理槽21内へのウエハWの搬入とSPM液による処理、これに続くウエハWの搬出までの一連の動作の実行中、既述のようにSPM処理槽21内のSPM液の温度は135℃〜170℃の範囲内の例えば140℃に調整されると共に、フード部231内は排気路233を介して常時排気されている。この結果、SPM液からは、SPM液を構成する硫酸、過酸化水素、水の中で最も蒸発しやすい水分が従来よりも多く蒸発し、過酸化水素水の分解により生成した水に起因する硫酸濃度の低下を抑えることができる。
【0053】
このように本例では、従来に比較してSPM液の温度を高く調整し、SPM液中の水分を積極的に蒸発させる構成となっているので、図6(a)〜図7(b)に示すように外槽212の液面の高さ位置が次第に低下していく。そこで本例のSPM処理装置2においては、図7(b)に示すように例えばウエハWの処理を終えたタイミングで、液面センサ24にて外槽212内の液面の高さが予め設定された高さ(設定レベル)以上となっているか否かを検出し、液面が所定の高さを下回っている場合には、設定レベルに到達するまで硫酸タンク43からの硫酸の補充供給が行われる(図7(b))。これにより、循環系内のSPM液の保持量、SPM液の温度が所定の状態に調整され、次のウエハWを処理する準備が整えられる。
【0054】
SPM液による処理を終え、SPM処理槽21から引き上げられたウエハWはウエハボート3から第2の搬送アーム125に再び受け渡され、リンス槽141にて純水によるリンス洗浄を終えた後、乾燥処理部13へと搬送される。乾燥処理部13ではウエハ乾燥ユニット131内にて例えばIPA(IsoPropyl Alcohol)蒸気によるIPA乾燥が行われた後、処理を終えたウエハWが第2の搬送アーム125によりインターフェース部12へと搬送され、姿勢変換装置124へと受け渡される。
【0055】
姿勢変換装置124では搬入時とは反対に、垂直状態から水平状態へのウエハWの姿勢変換が実行された後、姿勢変換装置124から受け渡しアーム122へウエハWが受け渡され、受け渡し台113にて待機している空のFOUP6内にウエハWが搬入される。しかる後、FOUP6の蓋体を閉じ、第1の搬送アーム112によって当該FOUP6が載置台111に載置されると、処理後のウエハWを収納したFOUP6は例えば搬送ロボットによって次の工程へと搬送されていく。本実施の形態に係るウエハ処理システム1では、以上に述べた動作を連続的に実行し、例えば1時間に数百枚のウエハWを処理することができる。
【0056】
本実施の形態に係るSPM処理装置2によれば以下の効果がある。SPM液の温度を従来よりも高い135℃〜170℃の温度範囲、好適には140℃〜150℃の温度範囲に調整するので、当該SPMを構成する硫酸、過酸化水素、水のなかで最も蒸発し易い水分を優先的に蒸発させることができる。この結果、SPM液中から水が抜き出され、過酸化水素からの水の生成などに起因する硫酸の濃度低下を抑えて、SPM液の全量交換の頻度を低減することができる。
【0057】
そしてさらに本例のSPM処理装置2では、1)循環ライン410に設けられた加熱部412の下流側に過酸化水素水供給ライン420を接続し、2)この過酸化水素水の供給位置が循環路であるSPM供給ノズルの出口の直前位置、例えば循環ライン410を循環するSPM液中に過酸化水素水が供給された時点から、SPM供給ノズル22の吐出孔221からSPM液が吐出される時点までの時間が例えば5秒以内となるような位置となっている。これらの構成により、水分を優先的に蒸発させるためにSPM液の温度を従来よりも高い温度とした場合であっても、硫酸と過酸化水素との反応により生成するカロ酸や過酸化水素自体などの汚染物質の除去に有効な成分の分解を抑制することができる。
【0058】
以上に説明した実施の形態に係るSPM処理装置2では、図7(b)を用いて説明したように液面センサ24にて外槽212内におけるSPM液の液面レベルを検出し、この液面レベルが予め設定した高さ位置を下回った場合に硫酸を供給する構成としたが、硫酸の供給タイミングはこの例に限られるものではない。例えば、SPM処理槽21におけるウエハW処理を終え、ウエハWをSPM処理槽21から取り出した後、次のウエハWがSPM処理槽21内に搬入されるまでのタイミング毎に、所定量または、水分の蒸発分に相当する量の硫酸を供給する構成としてもよい。毎回の硫酸を供給することにより、硫酸供給に伴うSPM液中の硫酸濃度の変動幅を小さくすることができる。
【0059】
また図5に示したSPM処理装置2においては、SPM処理槽21をフード部231及び蓋部232で覆い、当該フード部231内を強制排気する例を示したが、フード部231は必ずしも設けなくてもよい。例えばSPM処理槽21や外槽212の液面から蒸発した蒸気をウエハ処理システム1の空間内に向けて自然排気してもよい。この場合にはSPM処理槽21や外槽212の上面側の開口部がSPM処理装置2の排気部となる。
【0060】
このほか、上述のウエハ処理システム1ではSPM液による処理と組み合わせて、DHF(Diluted HydroFluoric acid)液によるウエハW表面の酸化被膜の除去やSC−1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるウエハW表面のパーティクルや有機性の汚染物質の除去、SC−2液(塩酸と過酸化水素水との混合液)による金属不純物の除去などを行ってもよいし、さらにまたはこれらの処理に替えて他の処理を組み合わせてもよい。
【実施例】
【0061】
(実験)
図5に示すSPM処理装置2を用い、図6(a)〜図7(b)にて説明した要領でウエハWの処理を繰り返し実行し、SPM温度を変化させたことによるSPM液(初濃度:硫酸95重量%、過酸化水素水5重量%)中の硫酸濃度及び水分濃度の経時変化を測定した。各実験においては、1ロットで50枚のウエハWに対する処理を行った。本実験では、硫酸の濃度が80重量%に到達する時点をSPM液の全量交換タイミングに設定している。
【0062】
A.実験条件
(実施例)
SPM液の温度:140℃、
過酸化水素水の供給:ウエハW処理開始前毎に3秒間で150mLを供給、
硫酸の供給:ウエハW処理開始後毎に150mLを供給、
循環ライン410におけるSPM液の循環量:40L/分
(比較例)
SPM液の温度:120℃、
過酸化水素水の供給:ウエハW処理開始前毎に3秒間で150mLを供給、
硫酸の供給:液面センサ24による液レベル管理。ウエハWの処終了後に外槽212の液レベルが設定値を下回っていたら、当該液レベルを回復するまで硫酸を供給。
循環ライン410におけるSPM液の循環量:40L/分
【0063】
B.実験結果
実施例、比較例におけるSPM液中の硫酸濃度及び過酸化水素水濃度の変化を示すグラフを図8に示す。図8において横軸は時間[分]、左側の縦軸は硫酸濃度[重量%]、右側の縦軸は過酸化水素水中に含まれる水分濃度[重量%]を示している。図中、実施例は実線、比較例は破線で示してある。なお、実際に計測された濃度は、過酸化水素水や硫酸の供給などの影響を受けて小刻みに変動しているが、図8には平滑化した結果を示してある。
【0064】
図8に示した結果によれば、時間の経過と共に過酸化水素水の補充の影響によって硫酸濃度が低下しているが、その低下速度は次第に緩やかになった。そして2400分以降ではSPM液の全量交換タイミングである硫酸濃度80重量%よりも1〜2重量%程度高い濃度から低下せずほぼ一定となり、約2700分で160ロットの処理を実行することができた。一方で過酸化水素水中の水の濃度は、多少の変動はあるものの実験の期間中0.5重量%程度であり、当該水分濃度が上昇する現象は観察されなかった。
【0065】
このことは、SPM液を140℃にすることにより、過酸化水素水の供給による硫酸の希釈と、水分の蒸発による硫酸の濃縮とが当該液内で同時並行的に進行し、硫酸濃度の低下する時間帯では硫酸の希釈速度が大きくなった結果であると考えられる。一方で硫酸濃度が一定となった時間帯では前記希釈速度と、水分の蒸発による硫酸の濃縮速度が釣り合った状態になったものと推察できる。SPM液中の硫酸濃度を80重量%以上に維持できたことにより、ウエハWの処理結果に不具合は見られなかった。
【0066】
一方で図8に破線で示した比較例の結果によれば、SPM液中の硫酸濃度は時間の経過と共にほぼ一定の速度で低下し、処理開始後、約980分で全量交換タイミングである80重量%に到達した。このとき、過酸化水素水中の水分濃度も処理開始直後の0.5重量%から1.5重量%程度まで3倍程度に上昇している。これは、水分の蒸発速度が十分ではなくSPM液中に水分が蓄積されてしまった結果であると考えられる。
【0067】
以上の結果から、SPM処理槽21内のSPM液の温度を135℃〜170℃の範囲内の例えば140℃とすることにより、従来温度(120℃)と比べて過酸化水素水の供給量を低減し、さらに硫酸濃度の低下を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0068】
W ウエハ
1 ウエハ処理システム
11 搬入出部
12 インターフェース部
13 乾燥処理部
14 SPM処理部
2 SPM処理装置
21 SPM処理槽
212 外槽
22 SPM供給ノズル
221 吐出孔
24 液面センサ
3 ウエハボート
410 循環ライン
420 過酸化水素水供給ライン
430 硫酸供給ライン
5 制御部
6 FOUP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を、硫酸と過酸化水素水との混合液に浸漬し処理するための処理槽と、
この処理槽内の混合液を循環させるための循環路と、
この循環路に設けられ、前記混合液を加熱するための加熱部と、
前記混合液に硫酸を補充供給するための硫酸供給部と、
前記循環路における前記加熱部の下流側であって、当該循環路の出口の直前位置にて混合液に過酸化水素水を補充供給するための過酸化水素水供給部と、
前記処理槽内の混合液の温度を検出するための液温検出部と、
前記処理槽内の混合液の温度を135℃〜170℃の範囲の設定温度にするために前記液温検出部の温度検出値に基づいて加熱部の出力を調節するステップと、加熱によって蒸発した混合液を補充するために、前記硫酸供給部より硫酸を補充供給するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記循環路における混合液の流量が20リットル/分以上、50リットル/分以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記被処理基板の処理は、前記処理槽の混合液内に新たな被処理基板を浸漬するステップと、処理を終えた被処理基板を当該処理槽から取り出すステップとが繰り返して行われ、
前記制御部は、処理を終えた被処理基板を処理槽から取り出した後、次の被処理基板が混合液に浸漬される前のタイミング毎に硫酸を補充供給するように硫酸供給部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理槽から溢流した混合液を受ける共に、前記循環路の上流側に設けられた外槽と、この外槽内の混合液の液面の高さを検出する液面検出部とを備え、
前記制御部は、前記液面検出部にて検出した液面の高さが予め設定した高さを下回ったときに混合液に硫酸を補充供給するように硫酸供給部を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、混合液が当該位置から処理槽に流入されるまでの時間が5秒以内となる位置であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、当該循環路の出口より上流側50cm以内の位置であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
処理槽内の硫酸と過酸化水素水との混合液に被処理基板を浸漬して処理を行う工程と、
前記処理槽内の混合液を循環路に循環させる工程と、
この循環路内にて混合液を加熱することにより、前記処理槽内の混合液の温度を135℃〜170℃の範囲の設定温度に調節する工程と、
加熱により蒸発した混合液を補充するために、当該混合液に硫酸を補充供給する工程と、
前記循環路における混合液の加熱位置よりも下流側であって、当該循環路の出口の直前位置にて混合液に過酸化水素水を補充供給する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記循環路における混合液の流量が20リットル/分以上、50リットル/分以下の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
処理槽の混合液内に新たな被処理基板を浸漬する工程と、処理を終えた被処理基板を当該処理槽から取り出す工程とが繰り返して行われ、
処理を終えた被処理基板を処理槽から取り出した後、次の被処理基板が混合液に浸漬される前のタイミング毎に、前記硫酸を補充供給する工程を実行することを特徴とする請求項7または8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記処理槽から溢流した混合液を外槽にて受け止め、受け止められた混合液を前記循環路に流す工程と、
この外槽内の混合液の液面の高さを検出する工程と、を含み、
前記工程で検出された液面の高さが予め設定された高さを下回ったときに、前記混合液に硫酸を補充供給する工程を実行することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、混合液が当該位置から処理槽に流入されるまでの時間が5秒以内となる位置であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記循環路における前記過酸化水素水を補充供給する位置は、当該循環路の出口より上流側50cm以内の位置であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項13】
被処理基板を、硫酸と過酸化水素水との混合液に浸漬し処理する基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項7ないし12のいずれか一つに記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−114305(P2011−114305A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271919(P2009−271919)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】