説明

基板処理装置及び基板保持体及び半導体装置の製造方法

【課題】デッドスペースを増加させることなく、基板の面内均一性を向上させることができる基板処理装置及び基板保持体及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の基板2を保持する基板保持体と、複数の基板2を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、基板2を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板2の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材35とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える固定支柱26、底板31と、前記基板載置部に載置された基板2の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材36を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材36を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材35と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動支柱27、支柱支持腕33とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を基板保持体により保持して処理する基板処理装置及び基板保持体及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置として、複数枚を一度に処理するバッチ式の基板処理装置があり、バッチ式の基板処理装置では、シリコンウェーハ等の基板を基板保持体(ボート)により支持し、ボートが処理炉内に装入され、ウェーハは処理炉内で基板保持体に保持された状態で処理される様になっている。
【0003】
通常、ボートは複数本の支柱を有し、該支柱に基板保持用の溝が所定ピッチで刻設され、該溝にウェーハが装填されることで、ウェーハがボートに保持される様になっている。又ボートの中には、ウェーハ周縁から外方に向って張出す形状を有するリングがウェーハ間に設けられたものがあり、該リングによってウェーハ周縁部のガスの流れを規制し、基板に成膜される膜の面内均一性、特にウェーハ周辺部の均一性を向上させている。
【0004】
更に、該リングはウェーハの装填、払出しの際に邪魔にならない様に一部が可動式になっている。
【0005】
例えば、特許文献1には一部が可動式になっているリングを有するホルダボートが示されている。然し乍ら、特許文献1に示されるホルダボートは、可動部分が旋回移動し、ホルダボート本体から大きく離間する。この為、デッドスペースが増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−163297号公報
【特許文献2】特開2003−258063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、デッドスペースを増加させることなく、基板の面内均一性を向上させることができる基板処理装置及び基板保持体及び半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の基板を保持する基板保持体と、複数の基板を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有する基板処理装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有する基板保持体に係るものである。
【0010】
又本発明は、処理室に処理ガスを導入し、基板保持体の本体部に於ける基板載置部に載置された基板の周縁一部の前記処理ガスの流れを前記本体部に於ける第1規制部材にて規制し、前記基板保持体の可動部に於ける第2規制部材にて前記基板載置部に載置された基板の周縁他部の前記処理ガスの流れを規制しつつ、前記基板を処理する工程と、前記処理室から前記基板保持体を搬出し、前記可動部を動作し、前記第2規制部材を前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう位置迄退避し、前記基板載置部から基板を搬出する工程とを有する半導体装置の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の基板を保持する基板保持体と、複数の基板を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有するので、第1規制部材と第2規制部材とで基板載置部に載置された基板の周縁のガス流れを規制することができ、基板面内膜厚均一性が向上し、第2規制部材の一部が重力方向に於いて重なる位置に回転退避可能としている為、退避しても第2規制部材が固定部より外側に嵩張ってしまうことがなく、デッドスペースを少なくすることができる。
【0012】
又本発明によれば、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有するので、第1規制部材と第2規制部材とで基板載置部に載置された基板の周縁のガス流れを規制することができ、基板面内膜厚均一性が向上し、第2規制部材の一部が重力方向に於いて重なる位置に回転退避可能としている為、退避しても第2規制部材が固定部より外側に嵩張ってしまうことがなく、デッドスペースを少なくすることができる。
【0013】
又本発明によれば、処理室に処理ガスを導入し、基板保持体の本体部に於ける基板載置部に載置された基板の周縁一部の前記処理ガスの流れを前記本体部に於ける第1規制部材にて規制し、前記基板保持体の可動部に於ける第2規制部材にて前記基板載置部に載置された基板の周縁他部の前記処理ガスの流れを規制しつつ、前記基板を処理する工程と、前記処理室から前記基板保持体を搬出し、前記可動部を動作し、前記第2規制部材を前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう位置迄退避し、前記基板載置部から基板を搬出する工程とを有するので、第1規制部材と第2規制部材とで基板載置部に載置された基板の周縁のガス流れを規制することができ、基板面内膜厚均一性が向上するという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の一例を示す斜視図である。
【図2】該基板処理装置の処理炉の縦断面図である。
【図3】本実施例に於けるガスの流れを規制する規制部材の説明図であり、(A)はウェーハがなく規制部材の欠切部が閉じられている状態、(B)は第2規制部材が移動して欠切部が開放され、ツイーザが挿入された状態、(C)はウェーハが載置され、欠切部が閉じられた状態を示している。
【図4】該基板処理装置に於けるボート及びボート載置部の詳細図である。
【図5】第2規制部材を回転させる場合の、ボート回転機構の状態を示すボート回転機構の断面図である。
【図6】欠切部が2箇所ある場合の規制部材の平面図である。
【図7】欠切部が2箇所ある場合の第2規制部材に関する説明図である。
【図8】本発明が実施される他の基板処理装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施例を説明する。
【0016】
先ず、図1により本発明の実施例に係る基板処理装置1の概略を説明する。
【0017】
シリコン等からなるウェーハ(基板)(図示せず)は、ウェーハキャリアとしてのカセット3に収納され、搬送される。
【0018】
図1中、4は筐体であり、該筐体4の正面壁5の下方には、メンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口(図示せず)が開設され、該正面メンテナンス口を開閉する正面メンテナンス扉(図示せず)が設けられている。該正面メンテナンス扉には図示しないカセット搬入搬出口(基板収容容器搬入搬出口)が前記筐体4内外を連通する様に開設されており、前記カセット搬入搬出口の前記筐体4内側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)6が設置されている。前記カセット3は前記カセットステージ6上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、又前記カセットステージ6上から搬出される様になっている。
【0019】
該カセットステージ6には、工程内搬送装置によって、前記カセット3内のウェーハ2(図3参照)が垂直姿勢となり、前記カセット3のウェーハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。前記カセットステージ6は、前記カセット3を前記筐体4後方に向けて90°回転し、前記カセット3内のウェーハ2が水平姿勢となり、前記カセット3のウェーハ出入れ口が前記筐体4後方を向く様に動作可能となっている。
【0020】
前記筐体4の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)7が設置され、該カセット棚7には複数段複数列にて複数個の前記カセット3を保管する様に構成されている。前記カセット棚7には、後述するウェーハ移載機構8の搬送対象となる、前記カセット3が収納される移載棚9が設けられている。又、前記カセットステージ6の上方には予備カセット棚11が設けられ、予備的に前記カセット3を保管する様になっている。
【0021】
前記カセットステージ6と前記カセット棚7との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)12が設置されている。該カセット搬送装置12は、前記カセット3を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)13と前記カセット3搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収容器搬送機構)14とで構成されており、前記カセットエレベータ13とカセット搬送機構14との連続動作により、前記カセットステージ6、前記カセット棚7、前記予備カセット棚11との間で前記カセット3を搬送する様構成されている。
【0022】
前記カセット棚7の後方には、前記ウェーハ移載機構(基板移載機構)8が設置されており、該ウェーハ移載機構8はウェーハ2を水平方向に回転ないし直動可能なウェーハ移載装置(基板移載装置)15、及び該ウェーハ移載装置15を昇降させる為のウェーハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)16とで構成されている。
【0023】
前記ウェーハ移載装置15はウェーハ2を吸着保持するツイーザ(基板搬送具)17を複数枚有し、前記ウェーハ移載装置エレベータ16との協働により、ボート(基板保持具)18に対してウェーハ2を装填(チャージング)及び装脱(ディスチャージング)する様に構成されている。
【0024】
前記筐体4の後部上方には、処理炉19が設けられている。該処理炉19の内部には処理室が形成され、該処理炉19の下端部は炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)21によって開閉される様になっている。
【0025】
前記処理炉19の下方には、前記ボート18を前記処理炉19に昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)22が設けられ、該ボートエレベータ22の昇降台に連結された連結具としてのアーム23には蓋体としてのシールキャップ24が水平に据付けられており、該シールキャップ24は前記ボート18を垂直に支持し、前記処理炉19の下端部を閉塞可能な様に構成されている。
【0026】
前記ボート18は複数本の支柱、図示の例では3本の固定支柱26と、1本の可動支柱27を有しており、計4本の固定支柱26及び可動支柱27によって処理ガスの流れを規制するリング形状の規制部材28が支持されている。該規制部材28は、鉛直方向に所定間隔で所定枚数設けられ、前記規制部材28の中央に複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウェーハ2がその中心を揃えて鉛直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持される。前記ボート18は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなっている。尚、前記ボート18については、更に詳細に後述する。
【0027】
前記カセット棚7の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給する様、供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット29が設けられており、クリーンエアを前記筐体4の内部に流通させる様に構成されている。
【0028】
又、前記ウェーハ移載装置エレベータ16及び前記ボートエレベータ22側と反対側である前記筐体4の左側端部には、クリーンエアを供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット(図示せず)が設置されており、図示しない該クリーンユニットから吹出されたクリーンエアは、前記ウェーハ移載装置15、前記ボート18を流通した後に、図示しない排気装置に吸込まれて前記筐体4の外部に排気される様になっている。
【0029】
前記基板処理装置1を構成する各部位は、コントローラ98に電気的に接続されている。該コントローラ98は、前記基板処理装置1を構成する各部を所望の条件や、所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0030】
次に、前記基板処理装置1の作動について説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置1を構成する各部の動作は前記コントローラ98により制御される。
【0031】
前記カセット3はカセット搬入搬出口(図示せず)から搬入され、前記カセットステージ6の上にウェーハ2が垂直姿勢且つ前記カセット3のウェーハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。その後、前記カセット3は、前記カセットステージ6によって前記カセット3内のウェーハ2が水平姿勢となり、前記カセット3のウェーハ2出入れ口が前記筐体4の後方を向く様に、筐体4後方に右回りに縦方向90°回転させられる。
【0032】
次に、前記カセット3は、前記カセット棚7或は前記予備カセット棚11の指定された棚位置へ前記カセット搬送装置12によって自動的に搬送されて受渡され、一時的に保管された後、前記カセット棚7或は前記予備カセット棚11から前記カセット搬送装置12によって前記移載棚9に搬送されるか、或は直接該移載棚9に搬送される。
【0033】
前記カセット3が前記移載棚9に移載されると、ウェーハ2は前記カセット3から前記ウェーハ移載装置15の前記ツイーザ17によりウェーハ出入れ口を通じてピックアップされ、ウェーハ2は前記ツイーザ17に載置吸着された状態で搬送され、前記移載棚9の後方にある前記ボート18に装填される。該ボート18にウェーハ2を受渡した前記ウェーハ移載装置15は前記カセット3に戻り、次のウェーハ2を前記ボート18に装填する。
【0034】
予め指定された枚数のウェーハ2が前記ボート18に装填されると、前記炉口シャッタ21によって閉じられていた前記処理炉19の炉口部が、前記炉口シャッタ21によって開放される。続いて、ウェーハ2群を保持した前記ボート18は、前記シールキャップ24が前記ボートエレベータ22によって上昇され、前記処理炉19の処理室に装入(ローディング)される。ローディング後は、該処理炉19にてウェーハ2に任意の処理が実施される。処理後は、上述とは逆の手順でウェーハ2及び前記カセット3が前記筐体4の外部へ払出される。
【0035】
図2は本発明の実施例で好適に用いられる基板処理装置の処理炉19の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0036】
図2に示されている様に、処理炉19は加熱機構としてのヒータ71を有する。該ヒータ71は円筒形状であり、支持基板としてのヒータベース72に支持されることにより垂直に据付けられている。
【0037】
前記ヒータ71の内側には、該ヒータ71と同心円状に反応管73が配設されている。該反応管73は内部反応管としてのインナチューブ74と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウタチューブ75とから構成されている。前記インナチューブ74は、例えば石英(SiO2 )又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。前記インナチューブ74の内部には処理室76が形成されており、ウェーハ2を前記ボート18によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収納可能に構成されている。
【0038】
前記アウタチューブ75は、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、内径が前記インナチューブ74の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、前記インナチューブ74と同心円状に設けられている。
【0039】
前記アウタチューブ75の下方には、前記アウタチューブ75と同心円状にマニホールド77が配設されている。該マニホールド77は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。該マニホールド77は、前記インナチューブ74と前記アウタチューブ75に係合しており、これらを支持する様に設けられている。尚、前記マニホールド77と前記アウタチューブ75との間にはシール部材としてのOリング78が設けられている。前記マニホールド77が前記ヒータベース72に支持されることにより、前記反応管73は垂直に据付けられた状態となっている。前記反応管73と前記マニホールド77により反応容器が形成される。
【0040】
前記シールキャップ24にはガス導入部としてのノズル79が前記処理室76内に連通する様に接続されており、前記ノズル79にはガス供給管81が接続されている。該ガス供給管81の上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)82を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。前記MFC82には、ガス流量制御部83が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0041】
前記マニホールド77には、前記処理室76内の雰囲気を排気する排気管84が設けられている。該排気管84は、前記インナチューブ74と前記アウタチューブ75との間に形成される筒状空間85の下端部に連通している。前記排気管84のマニホールド77との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ86及び圧力調整装置87を介して真空ポンプ等の真空排気装置88が接続されており、前記処理室76内の圧力が所定の圧力(真空度)となる様真空排気し得る様に構成されている。前記圧力センサ86及び前記圧力調整装置87には、圧力制御部89が電気的に接続されており、該圧力制御部89は前記圧力センサ86により検出された圧力に基づいて前記圧力調整装置87により前記処理室76内の圧力が所望の圧力となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0042】
前記マニホールド77の下方には、該マニホールド77の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ24が設けられている。該シールキャップ24は前記マニホールド77の下端に垂直方向下側から当接される様になっている。該シールキャップ24は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。前記シールキャップ24の上面には前記マニホールド77の下端と当接するシール部材としてのOリング91が設けられる。
【0043】
前記シールキャップ24の前記処理室76と反対側(下面側)には、前記ボート18を回転させるボート回転機構40が設置されている。該ボート回転機構40のボート回転軸44は前記シールキャップ24を貫通して、前記ボート18に連結されており、該ボート18を回転させることでウェーハ2を回転させる様に構成されている。
【0044】
前記シールキャップ24は前記ボートエレベータ22によって垂直方向に昇降される様に構成されており、前記ボート18を前記処理室76に対し装入、装脱することが可能となっている。前記ボート回転機構40及び前記ボートエレベータ22には、駆動制御部94が電気的に接続されており、所望の動作をする様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0045】
前記ボート18は、複数枚のウェーハ2を水平姿勢で且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持する様に構成されている。尚、前記ボート18の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板58(図4参照)が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、前記ヒータ71からの熱が前記マニホールド77側に伝わりにくくなる様構成されている。
【0046】
前記反応管73内には、温度検出器としての温度センサ95が設置されている。前記ヒータ71と前記温度センサ95には、電気的に温度制御部96が接続されており、前記温度センサ95により検出された温度情報に基づき前記ヒータ71への通電具合を調整することにより前記処理室76内の温度が所望の温度分布となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0047】
前記ガス流量制御部83、前記圧力制御部89、前記駆動制御部94、前記温度制御部96は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部97に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部83、圧力制御部89、駆動制御部94、温度制御部96、主制御部97はコントローラ98として構成されている。
【0048】
次に、上記構成に係る処理炉19を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、CVD法によりウェーハ2上に薄膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置1を構成する各部の動作は前記コントローラ98により制御される。
【0049】
複数枚のウェーハ2が前記ボート18に装填(ウェーハチャージ)されると、図2に示されている様に、複数枚のウェーハ2を保持した前記ボート18は、前記ボートエレベータ22によって持ち上げられて前記処理室76に搬入(ボートローディング)される。この状態で、前記シールキャップ24は前記Oリング91を介して前記マニホールド77の下端をシールした状態となる。
【0050】
前記処理室76内が所望の圧力(真空度)となる様に真空排気装置88によって真空排気される。この際、前記処理室76内の圧力は、前記圧力センサ86で測定され、この測定された圧力に基づき前記圧力調整装置87が、フィードバック制御される。又、前記処理室76内が所望の温度となる様に前記ヒータ71によって加熱される。この際、前記処理室76内が所望の温度分布となる様に前記温度センサ95が検出した温度情報に基づき前記ヒータ71への通電具合がフィードバック制御される。続いて、前記ボート回転機構40により、前記ボート18が回転されることで、ウェーハ2が回転される。
【0051】
次いで、処理ガス供給源から供給され、前記MFC82にて所望の流量となる様に制御されたガスは、ガス供給管81を流通して前記ノズル79から前記処理室76内に導入される。導入されたガスは前記処理室76内を上昇し、前記インナチューブ74の上端開口から前記筒状空間85に流出して前記排気管84から排気される。ガスは前記処理室76内を通過する際にウェーハ2の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェーハ2の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0052】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、前記処理室76内が不活性ガスに置換されると共に、該処理室76内の圧力が常圧に復帰される。
【0053】
その後、前記ボートエレベータ22により前記シールキャップ24が下降されて、前記マニホールド77の下端が開口されると共に、処理済ウェーハ2が前記ボート18に保持された状態で前記マニホールド77の下端から前記反応管73の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウェーハ2は前記ボート18より取出される(ウェーハディスチャージ)。
【0054】
尚、一例迄、本実施例の処理炉にてウェーハを処理する際の処理条件としては、例えば、窒化珪素膜(Si3 N4 膜)の成膜に於いては、処理温度300℃以上800℃以下、処理圧力10Pa以上1000Pa以下、ガス種、ガス供給流量としてアンモニア(NH3 )ガス0.1SLM以上0.5SLM以下、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 )ガス0.3SLM以上5SLM以下が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウェーハに処理がなされる。
【0055】
又、図1〜図4を参照して前記ボート18について説明する。
【0056】
本実施例に於けるボート18は、円板形状の底板31、天板32及び該底板31、天板32に掛渡り、鉛直に立設された前記固定支柱26及び前記底板31に対して半径方向に延出し、水平方向に回転可能に設けられた支柱支持腕33及び該支柱支持腕33の先端に鉛直に立設された前記可動支柱27を有し、前記固定支柱26、前記可動支柱27に処理ガスの流れを規制する前記規制部材28が設けられている。
【0057】
前記各固定支柱26には中心に向って水平方向に突出する基板載置ピン34が設けられ、該基板載置ピン34は前記規制部材28の内縁よりも更に中心側に延出し、前記基板載置ピン34の延出部分である内端部にウェーハ2が載置される様になっている。
【0058】
前記規制部材28は保持されるウェーハ2の間に位置し、ウェーハ周縁から外方に向って張出す形状を有している。又、前記規制部材28とウェーハ2とは鉛直方向に適宜な間隙が形成され、前記規制部材28と前記ウェーハ2とは非接触となっている。
【0059】
前記規制部材28は、一部の円弧が欠切されたリング形状の第1規制部材35、該第1規制部材35の欠切部37を充足する円弧形状をした第2規制部材36から構成されており、前記第1規制部材35は前記固定支柱26に固定支持され、前記第2規制部材36は前記可動支柱27に固定支持されている。
【0060】
前記支柱支持腕33は前記ボート18の軸心を中心に回転可能であり、前記底板31に対して回転可能となっている。従って、前記支柱支持腕33に立設された前記可動支柱27は鉛直状態を維持して、前記ボート18の軸心を中心に回転可能であり、前記可動支柱27に固定された第2規制部材36は前記第1規制部材35に対して回転可能となっている。前記可動支柱27は、前記第1規制部材35の外径よりも外側に配置される様に前記支柱支持腕33に立設されている。又、前記第2規制部材36の外径は、前記第1規制部材35の外径よりも大きい径で形成されている。
【0061】
又、前記第2規制部材36は前記第1規制部材35に対して非接触であり、該第1規制部材35、前記第2規制部材36、前記ウェーハ2は、それぞれの間に鉛直方向で適宜な間隙が形成される様な配置となっている。好ましくは、前記第2規制部材36の内径は、前記第1規制部材35の内径と同径となる様に形成されている。
【0062】
而して、前記底板31、前記天板32及び前記固定支柱26、第1規制部材35はボート本体部を構成し、前記支柱支持腕33、前記可動支柱27、前記第2規制部材36は可動部を構成する。
【0063】
図3(A)〜図3(C)に於いて、前記第1規制部材35と前記第2規制部材36との関係について説明する。
【0064】
図3(A)は、前記第2規制部材36が前記欠切部37を充足した状態を示しており、前記第2規制部材36と前記第1規制部材35によって完全円状のリングが形成されている。
【0065】
図3(B)は、前記可動支柱27が図中反時計方向に回転した状態を示しており、前記可動支柱27の回転により、前記第2規制部材36は前記可動支柱27と一体に回転し、該第2規制部材36は前記第1規制部材35に少なくとも一部が重合状態となり、前記欠切部37を開放する。開放された該欠切部37は、前記ツイーザ17が進入、退避する為の搬送空間を形成する。
【0066】
尚、図3(B)は、開放された前記欠切部37に前記ツイーザ17が進入し、前記基板載置ピン34へウェーハ2を載置した状態を示している。又、図3(C)は、前記第2規制部材36が前記欠切部37を充足した状態を示している。更に、図3(C)は、前記基板載置ピン34にウェーハ2が載置された状態も示している。
【0067】
次に、図4を参照してボートエレベータ22のボート載置部39を説明する。
【0068】
前記ボートエレベータ22から水平方向に延びた前記アーム23の先端部に前記シールキャップ24が設けられている。前記アーム23の下側から前記シールキャップ24を気密に貫通する様にボート回転機構40が設けられている。
【0069】
前記ボート回転機構40の下部に減速器41が取付けられている。前記ボート回転機構40の内部に中空の外回転軸42が軸受43を介して回転自在に設けられ、前記外回転軸42の上端に中空のボート回転軸44が前記外回転軸42と同心に設けられている。
【0070】
前記ボート回転軸44は前記シールキャップ24を貫通し、前記ボート回転軸44の上端にはボート載置盤45が固着され、該ボート載置盤45に前記ボート18が載置される。
【0071】
前記減速器41の内部にはウォームホイール46が収納され、該ウォームホイール46は前記外回転軸42に嵌着されている。前記ウォームホイール46にはウォーム47が噛合され、該ウォーム47は図示しないボート回転モータ(図示せず)の出力軸48に嵌着されている。前記外回転軸42の回転位置を検出する回転検出器(図示せず)が設けられ、前記外回転軸42の前記シールキャップ24に対する回転位置が検出される様になっており、又前記回転検出器は前記外回転軸42、即ち前記ボート載置盤45の基準位置を検出可能となっている。尚、前記回転検出器は前記外回転軸42の回転を検出してもよく、或は前記出力軸48の回転を検出してもよく、回転検出器としては例えば前記ボート回転モータに設けられたエンコーダが用いられる。
【0072】
前記外回転軸42、前記ボート回転軸44の中心を貫通する内回転軸49が、軸受50を介して回転自在に設けられ、又前記内回転軸49は気密にシールされている。該内回転軸49の上端部は前記ボート載置盤45より突出しており、前記内回転軸49の上端に前記支柱支持腕33が固着されている。前記内回転軸49の下端部は半円柱状に一部が切除され、平坦面51が形成されている。該平坦面51は前記減速器41の下面より下方に突出している。
【0073】
前記内回転軸49の下端部には弾性体としての捩りコイルバネである内回転軸用バネ52が外嵌され、該内回転軸用バネ52の一端は中心側に折曲げられ、前記平坦面51に係合され、他端は接線方向に延出し、前記外回転軸42に係合されている。特に図示していないが、前記内回転軸49と前記外回転軸42間には機械的にストッパが設けられ、前記内回転軸用バネ52は前記内回転軸49と前記外回転軸42とがストッパを介して確実に当接する様に初期撓みが与えられている。
【0074】
又、前記内回転軸49と前記外回転軸42とが当接した状態は、即ち、前記内回転軸49と前記外回転軸42との相対回転位置は、前記可動支柱27と前記固定支柱26との位置が図3(A)、図3(C)の状態となっている。
【0075】
前記減速器41の下面にはスライド軸受53を介してロックロッド54が前記内回転軸49の軸心に直交する方向に摺動自在に設けられ、前記ロックロッド54の先端は前記平坦面51に当接可能となっており、前記ロックロッド54の基端はシリンダ、ソレノイド等、リニア駆動器であるロックアクチュエータ55に連結されている。
【0076】
而して、該ロックアクチュエータ55により前記ロックロッド54が進退され、該ロックロッド54の先端が前記平坦面51に当接離反する様になっており、前記ロックロッド54が前記平坦面51に当接した状態では、前記内回転軸49の回転が拘束される。
【0077】
前記内回転軸49、前記内回転軸用バネ52、前記ロックロッド54、前記ロックアクチュエータ55、前記支柱支持腕33、前記可動支柱27等は第2規制部材回転機構56を構成する。
【0078】
尚、前記内回転軸49の回転を拘束する方法としては、前記内回転軸49の下端に水平方向に延びるピンを設け、該ピンの回転面に対して係合部材を出入りさせる様にしてもよい。
【0079】
図5により、前記第2規制部材36の前記第1規制部材35に対する回転(相対回転)作動について説明する。
【0080】
通常状態(前記ウェーハ移載機構8によるウェーハ2の移載が行われていない場合)は、前記ロックアクチュエータ55より前記ロックロッド54が後退され、該ロックロッド54が前記平坦面51から離反している。即ち、前記外回転軸42と前記内回転軸49とがストッパを介して当接している状態である(図5(A)参照)。
【0081】
従って、前記支柱支持腕33、前記可動支柱27は、前記シールキャップ24、前記固定支柱26に対して相対回転していない状態であり、同様に前記第2規制部材36が前記第1規制部材35に対して相対回転していない状態であり、前記第2規制部材36により前記欠切部37が充足され、前記規制部材28は完全円状態となっている(図3(A)参照)。
【0082】
次に、前記ロックアクチュエータ55により前記ロックロッド54を前進させ、該ロックロッド54を前記平坦面51に当接させ、前記内回転軸49の回転を拘束する(図5(B)参照)。
【0083】
前記内回転軸49の回転を拘束した状態で、前記ボート回転モータ(図示せず)が駆動され、前記ウォーム47、前記ウォームホイール46を介し前記外回転軸42が所定角度回転される。該外回転軸42の回転方向は前記内回転軸用バネ52を更に撓ませる方向であり、前記外回転軸42の回転によって前記ボート回転軸44を介して前記ボート載置盤45が所定角度回転される。この時、前記内回転軸49は回転を拘束されているので、該内回転軸49は前記外回転軸42に対して逆方向に所定角度相対回転する。この場合の回転角度は前記第2規制部材36が前記欠切部37を完全に開放する角度であり、前記ツイーザ17の幅、ウェーハ2の外径等に対応して適宜決定され、本実施例では略30°である。
【0084】
又、前記ボート載置盤45と共に前記固定支柱26を介して第1規制部材35が回転され、同時に前記欠切部37も回転する。回転後の該欠切部37の位置は、前記ウェーハ移載装置15に対峙し、前記ツイーザ17の進退方向と合致している(図3(B)参照)。
【0085】
前記欠切部37が開放され、前記ツイーザ17が進入、退避する為の搬送空間が確保されるので、前記ウェーハ移載機構8により前記ボート18にウェーハ2の移載が実行される。
【0086】
ウェーハ2移載の前記ツイーザ17の動きを略述すると、該ツイーザ17はウェーハ2を載置した状態で、前記第1規制部材35の上面と基板載置ピン34の上面との間に挿入され、ウェーハ2が前記ボート18の中心に達した位置で、若干降下する。前記ツイーザ17の降下により、ウェーハ2が前記基板載置ピン34に載置され、前記ウェーハ2の下面と前記ツイーザ17の上面との間に間隙が生じる。この状態で、前記ツイーザ17を後退させることで、ウェーハ2のボート18への移載が完了する。
【0087】
尚、ウェーハ2を前記ボート18から払出す場合は、上記作動の逆を行えばよい。
【0088】
又、前記ウェーハ2が前記基板載置ピン34に載置された状態では、前記第2規制部材36と前記規制部材28、前記ウェーハ2との間にそれぞれ間隙が形成される。
【0089】
前記ボート18にウェーハ2が所定枚数装填され、前記ツイーザ17が後退すると、前記ボート回転モータ(図示せず)が上記回転方向とは逆の方向に駆動される。前記内回転軸49は前記ロックロッド54により依然として回転が拘束されており、前記第2規制部材36が前記第1規制部材35に対して前記欠切部37を充足する方向に相対回転される。回転方向は前記内回転軸用バネ52を復元させる方向である。前記ボート載置盤45が所定角度、逆方向に回転されると前記ロックアクチュエータ55により前記ロックロッド54が後退され、前記内回転軸49はストッパ(図示せず)で前記外回転軸42に対する回転方向の位置が決定される。
【0090】
ここで、前記内回転軸49を前記ボート載置盤45に対して相対復帰させる為には、前記ロックロッド54を後退させ、前記内回転軸用バネ52の復元力により、前記内回転軸49を逆方向に回転させることもできるが、前記内回転軸49の急激な回転、停止は発塵を誘発する可能性があり、上記した様に、ボート回転モータによりゆっくり戻すのが好ましい。
【0091】
前記ロックロッド54による前記内回転軸49のロックが解除された状態では、前記内回転軸49と前記外回転軸42とは前記内回転軸用バネ52、ストッパを介して一体化された状態であり、前記ボート回転モータ(図示せず)により前記外回転軸42を回転することで該外回転軸42と前記内回転軸49とが一体に、即ち前記第1規制部材35と前記第2規制部材36とは完全円状態を維持して一体に回転可能となる(図3(C)参照)。
【0092】
上記した様に、前記炉口シャッタ21により前記処理炉19の炉口部が開放され、前記ボートエレベータ22によって前記ボート18が前記処理炉19の処理室76に装入される。
【0093】
該処理炉19の処理室でウェーハ2が加熱されると共に処理ガスが導入され、ウェーハ2に所要の処理がなされる。前記処理室では、前記ウェーハ2の周囲に前記規制部材28(前記第1規制部材35、前記第2規制部材36)が存在するので、該規制部材28によってウェーハ2の周縁部の処理ガスの流れが、ウェーハ2の内部での処理ガスの流れと同様となる様に規制される。この為、ウェーハ2の成膜の均一性が向上し、処理品質、歩留りの向上が図れる。
【0094】
又、処理中、前記ボート回転機構40により前記ボート18が回転されるので、ウェーハ2に対する処理ガスの流れが均等化され、同様に、成膜の均一性が向上し、処理品質、歩留りが向上する。
【0095】
尚、処理室の温度均一性を向上させる為、炉口部の断熱を行うのが好ましく、前記ボート18の下部には多数枚の断熱板58を装填し、断熱域を形成する。尚、断熱域については、前記規制部材28は分割構造とはせずに、一体のリング形状としてもよく、或は規制部材28を省略してもよい。更に、前記断熱域をボートキャップで構成してもよい。
【0096】
図6、図7は、第2の実施例を示している。尚、図6は、前記ツイーザ17がウェーハ2を載置してボート18内に進入した状態を示しており、図7は簡略化し、前記第2規制部材36の一段のみを示している。
【0097】
第2の実施例では、ウェーハ移載機構8のツイーザ17が掬上げ方式となっており、該ツイーザ17の先端がウェーハ2より突出する。従って、前記ツイーザ17の先端部と前記規制部材28との干渉を避ける為、該規制部材28には対峙する2箇所に欠切部37a,37bが形成される。
【0098】
支柱支持腕33は、前記底板31の直径と同等の長さを有し、両端部に可動支柱27a,27bが立設され、該可動支柱27a,27bに前記欠切部37a,37bをそれぞれ充足する第2規制部材36a,36bが固着される。
【0099】
好適には、前記ツイーザ17の進入方向基端側に位置する前記第2規制部材36aの円弧の長さを前記ツイーザ17の進入方向先端側に位置する前記第2規制部材36bの円弧長よりも大きくし、更に、前記ツイーザ17の進入方向基端側に位置する前記欠切部37aの円弧長を前記ツイーザ17の進入方向先端側に位置する前記欠切部37bの円弧長より大きくするとよい。
【0100】
これにより、前記可動支柱27aと前記ツイーザ17又は該ツイーザ17に載置されたウェーハ2との干渉の可能性をより一層抑制することができ、より完全に前記ウェーハ2を移載することができる。
【0101】
前記支柱支持腕33を正逆回転することで、前記可動支柱27a,27bを介して前記第2規制部材36a,36bが前記第1規制部材35に対して正逆回転し、前記欠切部37a,37bを開放又は充足する。
【0102】
尚、好適には前記内回転軸49に、更に前記底板31に係合解除可能なロック部材を設けるとよい。前記内回転軸49は、前記底板31との係合を解除させる第1位置と前記ロック部材を前記底板31に係合させる第2位置との間で回転可能とし、地震等に備える場合には、ホルダボートの倒れを抑制することができ、ホルダボートの倒れを抑制する必要がないときにはロックを解除することができる。
【0103】
又、ロック部材、ボート18の回転、第2規制部材36の相対回転をさせる機構を、ボート載置部に集約して設置しているので、有機汚染物・パーティクル等の発生を抑制し、更に発生した汚染物のウェーハ2に対する影響を抑制できる。
【0104】
上述した様に、本発明によれば、以下に挙げる効果の内、少なくとも1つ以上の効果を奏する。
【0105】
(1)基板処理時には、前記第1規制部材35と前記第2規制部材36とで基板載置部に載置された基板の周縁の処理ガス流れを規制することができ、基板面内膜厚均一性を向上させることができる。
【0106】
(2)基板載置部への基板挿入出時には、前記第2規制部材36を前記第1規制部材35と少なくとも一部が重なる位置迄退避することで、基板搬送具(ツイーザ)17と前記第2規制部材36とを干渉させることなく基板を挿入出することができる。
【0107】
(3)基板挿入出時に前記第2規制部材36を前記第1規制部材35とその一部が重力方向に於いて重なる位置に回転退避させることで、前記基板搬送具(ツイーザ)17と前記ボート(可動リング部)18との干渉の懸念が無くなる。その為、基板間ピッチを小さくすることができ、載置枚数(1バッチでの処理枚数)を増加させることができる。
【0108】
(4)その一部が重力方向に於いて重なる位置に回転退避可能としている為、退避しても前記第2規制部材36が固定部より外側に嵩張ってしまうことがない。その為、デッドスペースを少なくすることができる。
【0109】
(5)前記第2規制部材36が、基板搬送具の進退方向であって対向する少なくとも2箇所に設けられており、回転部は、前記第2規制部材36を前記2箇所から前記第1規制部材35と重力方向(鉛直方向)に重なり合う位置迄、同時に回転可能としている為、掬上げ方式の基板搬送にも対応することができる。即ち、掬上げ方式の場合、前記ツイーザ17の進行方向奥側で基板の周端を前記ツイーザ17が保持するがこの保持する際に可動リング部を退避させることができる為、可動リング部と干渉することなく掬上げ方式での基板搬送を可能とすることができる。
【0110】
(6)回転部が前記2箇所に設けられる第2規制部材36を固定リング部と重力方向(鉛直方向)に重なり合う様に同時に回転させることで、スループットを向上させることができる。
【0111】
(7)前記第1規制部材35、前記第2規制部材36を含む前記ボート18を一体回転可能とする為、ウェーハ膜厚面内均一性を確保することができる。
【0112】
(8)回転部には、前記ボート本体部を回転させる第1回転軸と前記ボート本体部と前記可動部とを一体回転させる第2回転軸とが同軸状に形成されていることにより、前記ボート18より下方に回転機構を集約することができ、回転体の磨耗により発生する有機汚染物やパーティクル等による前記ボート(固定における基板載置部)18に載置された基板への悪影響を抑制できる。
【0113】
図8は、本発明を他の基板処理装置60に実施した場合を示している。尚、図8中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0114】
該基板処理装置60に使用されるカセット3は密閉式であり、前記基板処理装置60外ではウェーハ2は前記カセット3に密閉された状態で搬送され、前記基板処理装置60の内部に前記カセット3の蓋を開閉するカセットオープナ61を具備している。
【0115】
又、筐体4の内部、ボートエレベータ22と対向した位置に、ボート交換装置62を有し、複数のボート18を用いてウェーハ2の該ボート18への装填、払出しと基板処理とを並行して実行できる様にし、スループットの向上を図っている。
【0116】
図8に於いて、63はボート18にウェーハ2の装填、払出しを行うウェーハ移載位置63を示し、64は処理済のボート18を一時的に保管するボート待機位置を示している。
【0117】
前記ウェーハ移載位置63でウェーハ2が装填されたボート18は前記ボート交換装置62によって前記シールキャップ24に移載され、前記ボートエレベータ22によって前記処理炉19に装入される。
【0118】
処理が完了すると、処理済ボート18は前記ボート交換装置62によって前記ボート待機位置64に移載され、未処理ウェーハが装填されたボート18が前記ボート交換装置62によって前記シールキャップ24に移載され、再び未処理ボート18が前記処理炉19に装入される。前記ウェーハ移載位置63が空きになると、前記ボート交換装置62により処理済ボート18が前記ボート待機位置64から前記ウェーハ移載位置63に移載され、処理済ボート18からウェーハ2が払出される。
【0119】
上記作動の繰返しにより、ウェーハ2処理中にウェーハ2の装填、払出しが行われ、ウェーハ2移載の無駄な時間がなくなるのでスループットが向上する。
【0120】
前記基板処理装置60に本発明を実施することで、基板処理時には、第1規制部材35と第2規制部材36とで基板載置部に載置された基板の周縁の処理ガス流れを規制することができ、基板面内膜厚均一性を向上させることができる等、上記したと同等の効果が得られる。
【0121】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0122】
(付記1)複数の基板を保持する基板保持体と、複数の基板を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備える可動部を有し、前記第1規制部材が周方向に第2間隙を有し、前記第2規制部材は前記第2間隙を充足する形状を有し、前記第2規制部材を前記第2間隙を充足する第1位置から前記第2間隙を開放し、前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能にしたことを特徴とする基板処理装置。
【0123】
(付記2)付記1に於いて、前記第1規制部材及び前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記第1位置に位置する際に前記第1規制部材及び前記第2規制部材とで前記基板載置部に支持された基板の全周縁を囲う様に構成されている基板処理装置。
【0124】
(付記3)付記1に於いて、更に前記第2規制部材が前記第1位置と前記第2位置とで移動可能に前記可動部を回転させる回転機構が構成されている基板処理装置。
【0125】
(付記4)付記1に於いて、前記第1規制部材は、円弧状で形成された第1円弧体が周方向に第2間隙を残置して複数設けられており、前記第2規制部材は、円弧状で形成された第2円弧体が周方向に第3間隙を成して複数設けられている基板処理装置。
【0126】
(付記5)付記4に於いて、更に、前記第2間隙を通して前記基板載置部に基板を搬送する基板搬送具を有する基板処理装置。
【0127】
(付記6)付記4に於いて、複数の前記第2円弧体は、複数の前記第1円弧体の周方向に於ける少なくとも2箇所の第2間隙を同時に充足する様移動可能に構成されている基板処理装置。
【0128】
(付記7)付記3に於いて、前記回転機構は、更に前記本体部と前記可動部とを一体回転可能な様に構成されている基板処理装置。
【0129】
(付記8)付記7に於いて、前記回転機構には、前記可動部を前記本体部に対して回転させる第1回転軸と前記本体部と前記可動部とを一体回転させる第2回転軸とが同軸状に形成されている基板処理装置。
【0130】
(付記9)付記8に於いて、前記本体部を前記第2回転軸若しくは前記可動部に係合させるロック部を更に有する基板処理装置。
【0131】
(付記10)複数の基板を保持する基板保持体と、複数の基板を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、互いに平行に複数設けられる第1支柱と、該第1支柱に対して鉛直方向に第1間隙を成して複数設けられ、ガス流れを規制する第1規制部材と、前記第1支柱若しくは前記第1規制部材に夫々設けられる基板を載置可能に構成される基板載置部とを少なくとも備える本体部と、前記第1支柱と平行に設けられる第2支柱と、該第2支柱に対して鉛直方向に前記第1間隙を成して複数設けられ、ガス流れを規制する第2規制部材とを少なくとも備える可動部とを有し、該可動部の前記第2規制部材は、前記第1規制部材がガス流れを規制する前記基板載置部に載置された基板の周縁一部とは異なる周縁他部のガス流れを規制する第1位置と前記第1規制部材と前記第2規制部材とが前記第1支柱と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置とで移動可能に構成されていることを特徴とする基板処理装置。
【0132】
(付記11)基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有することを特徴とする基板保持体。
【0133】
(付記12)付記11に於いて、前記第1規制部材は、円弧状で形成された第1円弧体が周方向に第2間隙を成して複数設けられており、前記第2規制部材は、円弧状で形成された第2円弧体が周方向に第3間隙を成して複数設けられている基板保持体。
【0134】
(付記13)付記11に於いて、互いに平行に複数設けられる第1支柱と、該第1支柱に対して鉛直方向に第1間隙を成して複数設けられ、ガス流れを規制する第1規制部材と、前記第1支柱若しくは前記第1規制部材に夫々設けられる基板を載置可能に構成される基板載置部とを少なくとも備える本体部と、前記第1支柱と平行に設けられる第2支柱と、該第2支柱に対して鉛直方向に前記第1間隙を成して複数設けられ、ガス流れを規制する第2規制部材とを少なくとも備える可動部とを有し、該可動部の前記第2規制部材は、前記第1規制部材がガス流れを規制する前記基板載置部に載置された基板の周縁一部とは異なる周縁他部のガス流れを規制する第1位置と前記第1規制部材と前記第2規制部材とが前記第1支柱と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置とで移動可能に構成されている基板保持体。
【0135】
(付記14)処理室に処理ガスを導入し、基板保持体の本体部に於ける基板載置部に載置された基板の周縁一部の前記処理ガスの流れを前記本体部に於ける第1規制部材にて規制し、前記基板保持体の可動部に於ける第2規制部材にて前記基板載置部に載置された基板の周縁他部の前記処理ガスの流れを規制しつつ、前記基板を処理する工程と、前記処理室から前記基板保持体を搬出し、前記可動部を動作し、前記第2規制部材を前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう位置迄退避し、前記基板載置部から基板を搬出する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0136】
(付記15)付記14の前記基板搬出工程に於いて、前記処理室から前記基板保持体を搬出しつつ前記可動部を動作し、前記第2規制部材を前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう位置迄退避する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0137】
1 基板処理装置
2 ウェーハ
3 カセット
8 ウェーハ移載機構
17 ツイーザ
18 ボート
22 ボートエレベータ
23 アーム
24 シールキャップ
26 固定支柱
27 可動支柱
28 規制部材
31 底板
33 支柱支持腕
34 基板載置ピン
35 第1規制部材
36 第2規制部材
37 欠切部
42 外回転軸
49 内回転軸
52 内回転軸用バネ
54 ロックロッド
55 ロックアクチュエータ
58 断熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を保持する基板保持体と、複数の基板を前記基板保持体で保持しつつ処理する処理室とを備え、前記基板保持体は、基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第1規制部材及び前記第2規制部材は、前記第2規制部材が前記第1位置に位置する際に前記第1規制部材及び前記第2規制部材とで前記基板載置部に支持された基板の全周縁を囲う様に構成されている請求項1の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2規制部材が前記第1位置と前記第2位置とで移動可能とする回転機構が構成されている請求項1の基板処理装置。
【請求項4】
基板を載置可能に構成される基板載置部と、該基板載置部に載置された基板の周縁一部のガス流れを規制する第1規制部材とを複数鉛直方向に第1間隙を成して備える本体部と、前記基板載置部に載置された基板の周縁他部のガス流れを規制する第2規制部材を複数鉛直方向に前記第1間隙を成して備え、前記第2規制部材を前記周縁他部のガス流れを規制する第1位置から前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう第2位置迄退避可能に構成されている可動部とを有することを特徴とする基板保持体。
【請求項5】
処理室に処理ガスを導入し、基板保持体の本体部に於ける基板載置部に載置された基板の周縁一部の前記処理ガスの流れを前記本体部に於ける第1規制部材にて規制し、前記基板保持体の可動部に於ける第2規制部材にて前記基板載置部に載置された基板の周縁他部の前記処理ガスの流れを規制しつつ、前記基板を処理する工程と、前記処理室から前記基板保持体を搬出し、前記可動部を動作し、前記第2規制部材を前記第1規制部材と鉛直方向に於いて少なくとも一部が重なりあう位置迄退避し、前記基板載置部から基板を搬出する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−198957(P2011−198957A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63167(P2010−63167)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】