説明

基板処理装置

【課題】ノズル部材に付着した処理液が基板上に滴下するのを防止する。
【解決手段】基板処理装置1は、搬送中の基板Sの上面に、その搬送方向上流側から下流側に向かって斜め方向にリンス液を吐出する液ナイフ16と、この液ナイフ16に向けてエアを噴射するエアノズル32を有する気体噴射手段とを有する。そして、コントローラ40による制御に基づき、液ナイフ16の下方に基板Sが存在しないときに、前記エアノズル32から液ナイフ16に対してエアが吹き付けられるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD、PDP用ガラス基板および半導体基板等の基板に処理液を供給して各種処理を施す基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を搬送しながらその表面に各種処理液を供給することにより所定のプロセス処理を基板に施すことが行われており、例えば特許文献1には、薬液処理後の基板を搬送しながら、液ナイフ(スリットノズル)およびシャワーノズルにより順次基板に洗浄液を供給して洗浄処理を施すものが開示されている。
【0003】
この装置では、搬入されて来る基板に対し、まず液ナイフにより搬送方向上流側から下流側に向かって斜め方向に帯状の洗浄液を吐出させ、これにより基板の先端側から順に、薬液反応を迅速に、かつ基板の幅方向に均一に終息させ、その後、シャワーノズルから吐出される洗浄液により基板に仕上げ洗浄を施す構成となっている。
【特許文献1】特開2004−273984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液ナイフから洗浄液を吐出させる場合、洗浄液の流量がある程度安定するまでに多少の液だれが生じることが経験的に知られているが、その場合、ナイフ表面を伝って流下した洗浄液が液ナイフ下面等に残っていると、これが搬送中の基板上に滴下して基板の品質を低下させることが考えられる。すなわち、液ナイフから洗浄液が滴下することにより、本来の吹き付け(供給)位置よりも上流側の位置で薬液の一部が早期に置換され、その結果、基板面内での薬液反応時間の均一性が損なわれることが考えられる。また、長期間継続的に洗浄液を吐出させていると、洗浄液のミストが液ナイフに付着し、これが雫となって液ナイフから基板上に滴下することとも考えられ、この場合も上記と同様に基板の品質低下の原因となる。従って、このような不都合を未然に回避することが求められる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、液ナイフ等のノズル部材から基板上に不要な処理液が滴下するのを防止し、これによって基板の品質向上に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の基板処理装置は、搬送中の基板の上面に、その搬送方向上流側から下流側に向かって斜め方向に処理液を吐出するノズル部材を備えた基板処理装置において、前記ノズル部材に向けて気体を噴射する気体噴射手段と、前記ノズル部材の下方に基板がないときに前記気体を噴射すべく前記気体噴射手段を制御する制御手段と、を備えるものである(請求項1)。
【0007】
この基板処理装置によれば、気体噴射手段によりノズル部材に対して気体が吹き付けられることにより、液だれによる処理液の雫等、ノズル部材の表面に付着した処理液が除去される。これによりノズル部材に付着した処理液が基板上に滴下することが未然に防止される。なお、気体の噴射は、ノズル部材の下方に基板がないときに行われるように制御されるため、ノズル部材から除去された処理液が基板上に飛散することもない。
【0008】
具体的な構成として、前記制御手段は、例えば前記ノズル部材による処理液の吐出が開始されてから当該処理液の吐出量が安定する所定の安定化条件が満たされるまでの間、前記気体を噴射するように前記気体噴射手段を制御する(請求項2)。
【0009】
この構成によれば、処理液の吐出開始直後の液垂れに起因するノズル材からの処理液の滴下を有効に防止することが可能となる。
【0010】
また、前記制御手段は、被処理基板が前記ノズル部材の下方に到達する直前の所定時間だけ前記気体を噴射するように前記気体噴射手段を制御するものでもよい(請求項3)。
【0011】
この構成によれば、ノズル部材に付着したミスト状の処理液等を、基板の処理直前に除去することが可能となる。
【0012】
なお、上記の構成において、前記気体噴射手段は、前記ノズル部材に対して、前記搬送路の上流側から下流側に向かって前記気体を噴射するものであるのが好適である(請求項4)。
【0013】
この構成によれば、ノズル部材に付着した処理液を下流側に吹き飛ばすことができるため、除去した処理液が、処理前の基板上に飛散することを有効に防止することができる。
【0014】
この場合、前記ノズル部材よりも前記搬送方向上流側に、基板の上面に向けて気体を噴射することにより基板上の処理液の上流側への流動を防止する逆流防止手段が設けられるものでは、この逆流防止手段が、基板および前記ノズル部材の双方に対して前記気体を噴射可能に構成されることにより、前記気体噴射手段として当該逆流防止手段が兼用されているものであってもよい(請求項5)。
【0015】
この構成によれば、前記気体噴射手段として当該逆流防止手段を兼用した合理的な構成で、ノズル部材の表面に付着した処理液を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜5に係る基板処理装置によると、ノズル部材から基板上に不要な処理液が滴下するのを有効に防止することができ、これによって基板の品質向上に貢献することができる。特に、請求項2の構成によると、処理液の吐出開始直後の液垂れに起因する処理液の滴下を有効に防止することができ、また、請求項3の構成によると、ノズル部材に付着したミスト状の処理液に起因する処理液の滴下を有効に防止することができる。また、請求項4の構成によると、ノズル部材から除去した処理液が、処理前の基板上に飛散するといった事態を効果的に防止でき、さらに、請求項4の構成によると、上記のような効果を享受しつつ、気体噴射手段として逆流防止手段を兼用した合理的な構成を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置を断面図で概略的に示している。この図に示す基板処理装置1は、基板Sを図中の矢印方向に水平姿勢で搬送しながら、前工程で薬液処理(例えばフォトレジスト液の剥離処理)が施された当該基板Sに対して洗浄処理を施すものである。
【0019】
基板処理装置1は、同図に示すように略密閉された処理室10を有している。この処理室10には、複数の搬送ローラ14が所定間隔で配備されており、これら搬送ローラ14によって構成される搬送路に沿って基板Sが水平姿勢で搬送されるようになっている。なお、図中符号12aは、処理室10の側壁に形成される基板Sの搬入口を示し、また、符号12bは、同搬出口を示している。
【0020】
前記処理室10の内部には、基板Sに対してリンス液(当例では純水;本発明の処理液に相当する)を供給するための2種類の液ノズルが配備されている。具体的には、搬入口12aの直ぐ近傍に液ナイフ16(本発明に係るノズル部材に相当する)が配備され、この液ナイフ16の下流側(同図では右側)にシャワーノズル18a,18bが配備されている。
【0021】
前記液ナイフ16は、処理室10の壁面等に図外の取付け用アームを介して固定されている。この液ナイフ16は、基板Sの搬送路の幅方向(基板Sの搬送方向と直交する方向;同図では紙面に直交する方向)に細長で、かつ、その長手方向に連続的に延びる細長の吐出口をもついわゆるスリットノズルからなり、同図に示すように、吐出口を斜め下向きにした状態で搬送ローラ14の上部に配置されている。これによって、液ナイフ16から基板Sに対して、その搬送方向上流側から下流側に向かって斜め下向きにリンス液を帯状(層状)に吐出する構成となっている。
【0022】
一方、前記シャワーノズル18a,18bは、搬送ローラ14を挟んで上下両側に配置されており、例えばマトリクス状に配備されたノズル口からそれぞれ液滴状にリンス液を吐出して基板Sに吹き付ける構成となっている。
【0023】
なお、リンス液は、同図に示すように処理室10の下方に配置されたタンク20に貯溜されており、ポンプ22の作動により導出管24を通じてタンク20から導出され、この導出管24から分岐する供給管26〜28を通じてそれぞれ液ナイフ16および各シャワーノズル18a,18bに供給される構成となっている。各供給管26〜28にはそれぞれ、開閉バルブV1〜V3が介設されており、これら開閉バルブV1〜V3の操作により液ナイフ16等によるリンス液の供給・停止、あるいは供給量が制御される。
【0024】
また、前記処理室10には、その内底部に漏斗状の回収パン(図示省略)が設けられており、使用済みのリンス液がこの回収パンにより収集されながら回収管30を通じて前記タンク20に戻されるようになっている。つまり、この基板処理装置1では、タンク20と液ナイフ16等との間でリンス液を循環させながら繰り返し使用するようにリンス液の給排系統が構成されている。なお、回収管30にはその途中部分から廃液管が分岐して設けられており、劣化したリンス液がこの廃液管を通じて廃棄されるように構成されるとともに、新たなリンス液を、図外の新液供給管を通じて前記タンク20に供給可能に構成されている。
【0025】
前記処理室10内には、さらに液ナイフ16に向かって気体(当例ではエア)を吹き付けるためのエアノズル32が設けられている。このエアノズル32は、前記液ナイフ16に沿って延びる細長で、かつ、その長手方向に複数の円形の吐出口が並んだスプレーノズル、又は長手方向に連続的(又は断続的)に延びる細長の吐出口をもつスリットノズルからなり、搬入口12aの近傍の一対の搬送ローラ14の間の部分に配置されている。これによって、図2に示すように、液ナイフ16の下方に基板Sが存在しない時に、搬送路の下方から液ナイフ16の先端部分に向かって斜め上向きに、詳しくはやや基板Sの搬送方向上流側から下流側に向かって斜め上向きにエアノズル32からエアを噴射し得る構成となっている。
【0026】
前記エアノズル32は、図1に示すように、エア供給管36を介して図外のエア供給源に接続されており、エア供給管36に介設される開閉バルブV4の操作によりエアノズル32によるエアの噴射・停止が制御されるように構成されている。
【0027】
なお、この基板処理装置1には、CPU等を構成要素とするコントローラ40(本発明の制御手段に相当する)が設けられており、搬送ローラ14の駆動や前記開閉バルブV1〜V4の切換え操作がこのコントローラ40により統括的に制御されるように構成されている。特に、この装置1では、図1に示すように、処理室10外の前記搬入口12aよりもやや上流側と、処理室10内の前記搬出口12bの近傍とにそれぞれ基板Sを検知するセンサ(第1センサ42,第2センサ44という)が配置されおり、コントローラ40は、これらセンサ42,44による基板Sの検知に基づき開閉バルブV1〜V4を制御する。
【0028】
次に、このコントローラ40による開閉バルブV1〜V4の制御、つまり液ナイフ16等によるリンス液の供給制御およびエアノズル32によるエアの噴射制御について、その作用とともに説明する。
【0029】
図4は、上記コントローラ40による開閉バルブV1〜V4の制御の一例を示すタイミングチャートである。同図に示すように、コントローラ40は、第1センサ42により基板Sが検出されるまでは、各開閉バルブV1〜V4を閉止制御し、これより液ナイフ16等からのリンス液の吐出、およびエアノズル32からのエアの噴射を停止させておく。
【0030】
そして、基板Sが搬送され、その先端が第1センサ42により検出されると(t1時点)、コントローラ40は、開閉バルブV1〜V3を閉止状態から開放状態に切換え、これにより液ナイフ16およびシャワーノズル18a,18bからのリンス液の吐出を開始する。また、これと同時に開閉バルブV4を一定時間だけ開放してエアノズル32からエアを噴射させる(t1〜t2時点)。これにより液ナイフ16によるリンス液の吐出開始後、一定時間だけエアノズル32の先端部分に対してエアを吹き付ける。
【0031】
このようにエアを吹き付けると、吐出開始直後、吐出口から液ナイフ16を伝って流下するリンス液(液垂れ)や、液ナイフ16に付着したミスト状のリンス液がエア圧により除去され、これによって、例えば図3中に示すように、液ナイフ16の先端下部等にリンス液が雫状に溜まる(符号Dで示す)ことが防止される。
【0032】
なお、エアの噴射時間(t1〜t2の時間)は、第1センサ42により基板Sの先端が検知された後、当該基板Sの先端が液ナイフ16と搬入口12aとの間の特定の地点に達するまでの時間に設定されている。つまり、エアの噴射期間を、液ナイフ16の下方に基板Sが存在しない期間とすることにより、エアノズル32から噴射されるエアが基板Sで遮断され、あるいはエア圧により液ナイフ16から除去されたリンス液が基板S上に飛散することが防止されるようになっている。なお、このエアの噴射時間は、開閉バルブV1が開放状態に切換えられてから液ナイフ16から吐出されるリンス液の吐出量が安定するまでの時間よりも充分に長い時間とされている。
【0033】
こうしてエアノズル32からのエアの噴射が停止された後、液ナイフ16の下方に基板Sが搬送されることにより、液ナイフ16から吐出されるリンス液が、基板Sの搬送に伴いその先端側がら順に幅方向全体に亘って供給され、その結果、薬液反応が迅速に、かつ基板Sの幅方向に均一に終息することとなる。この際、上記の通り、予め液ナイフ16にエアが吹き付けられ、液ナイフ16に付着したリンス液が除去されているため、図3に示すように、液ナイフ16の先端下部等に溜まったリンス液の雫等(符号D)が、リンス液の本来の供給位置P1よりも上流側の位置P2に滴下することが有効に防止される。
【0034】
基板Sが液ナイフ16の位置を通過すると、次いでシャワーノズル18a,18bから吐出される大量のリンス液が基板Sの上面および下面に対して供給され、これにより基板Sが仕上げ洗浄される。
【0035】
そして、さらに基板Sが搬送され、第2センサ44により基板Sの先端が検知されると(t3時点)、コントローラ40は、開閉バルブV1を開放状態から閉止状態に切換え、これにより液ナイフ16からのリンス液の吐出を停止し、さらに、基板Sの後端が第2センサ44により検知されると(t4時点)、開閉バルブV2,V3をそれぞれ開放状態から閉止状態に切換え、これによりシャワーノズル18a,18bからのリンス液の吐出を停止する。以上により、基板Sの一連の洗浄処理が終了する。
【0036】
以上のように、この基板処理装置1では、エアノズル32の先端部分にエアを吹き付けることにより吐出口から液ナイフ16を伝って流下するリンス液(液垂れ)や、液ナイフ16に付着したミスト状のリンス液を除去し、これによって液ナイフ16から基板S上に不要なリンス液が滴下するのを防止する構成となっているので、本来の供給位置P1よりも上流側の位置P2に液ナイフ16からリンス液が滴下して薬液反応が部分的に早期に終息し、その結果、薬液処理の均一性が損なわれるといった不都合が生じるのを有効に防止することができる。従って、このような不都合を回避できる分、基板Sに対して薬液処理をより均一に施すことが可能となり、基板の品質をより一層高めることができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0038】
図5は、第2の実施形態に係る基板処理装置を断面図で概略的に示している。この第2の実施形態の基板処理装置2は、同図に示すようにエアノズル32が搬送路の上方に設けられ、リンス液の逆流防止手段として前記エアノズル32等が兼用された構成となっている点で、第1の実施形態の基板処理装置1と構成が相違している。
【0039】
具体的には、液ナイフ16の後端下側(図5では左端下方)の部分にエアノズル32が配置され、液ナイフ16の先端下部に向かって上流側から下流側に斜め下向きにエアを噴射するようにエアノズル32が配備されている。
【0040】
このエアノズル32は、図6に示すように、液ナイフ16の先端下部に向かってエアを噴射するとともに、液ナイフ16等の下方に基板Sがある時には、その上面に対して上流側から下流側に向かってエアを噴射し得るようにその噴射角度が設定されている。つまり、上記コントローラ40による開閉バルブV4の制御により、基板Sの処理の際には、第1の実施形態と同様に、エアノズル32の先端部分にエアを吹き付けて吐出口から液ナイフ16を伝って流下するリンス液(液だれ)や、液ナイフ16に付着したミスト状のリンス液を除去する一方で、例えば基板Sの搬送トラブル等により、処理室10とその上流側の処理室とに跨った状態で基板Sの搬送が停止した場合(図6の二点鎖線に示す状態)には、エアノズル32から基板Sの上面に向かってエアを噴射することにより、基板S上のリンス液の逆流、つまり基板S上に供給されたリンス液が当該基板Sを伝って上流側の処理室に流入するのを防止するように構成されている。
【0041】
このような第2の実施形態の基板処理装置2によると、第1の実施形態と同様に、液ナイフ16から基板S上への不要なリンス液の滴下を有効に防止することができる一方で、上記エアノズル32等が、液ナイフ16に対してエアを噴射するための手段と、リンス液の逆流防止手段としての機能を兼ね備えた合理的な構成が達成されるという利点がある。
【0042】
なお、以上説明した基板処理装置1,2は、本発明に係る基板処理装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成、例えばエアノズル32の形状、配置、エアの噴射方向(角度)、噴射タイミング等は、必ずしも実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、エアノズル32は固定的に設けられているが、揺動機構を組込むことによりエアノズル32を搬送ローラ14と平行な軸回りに揺動可能とし、液ナイフ16に向かってエアを吹き付けながらその吹き付け方向に変化をもた得るようにしてもよい。特に、第2の実施形態の場合、液ナイフ16の液滴等を除去する上で最適なエアの吹き付け角度と、リンス液の逆流を防止する上で最適なエアの吹き付け角度とが必ずしも重複しない場合があり、エアノズル32を固定的に設けた場合には、双方の用途共に最適なエア噴射角度とすることが困難になることも考えられる。このような場合、上記のようにエアノズル32を揺動可能に設け、コントローラ40によりエアノズル32の角度(エアの噴射角度)を用途に応じて制御する構成とすれば、何れの用途の場合にも最適な角度で液ナイフ16又は基板Sにエアを噴射することが可能となる。
【0044】
また、エアノズル32によるエアの噴射時期については、エアノズル32から噴射されるエアが基板Sで遮断されたり(第1の実施形態の場合)、あるいはエア圧により液ナイフ16から除去されたリンス液が基板S上に飛散するのを防止する必要があるため、最低限、液ナイフ16の下方に基板Sが存在する期間を避ける必要があるが、それ以外の期間であれば何時エアを噴射するようにしてもよい。但し、液ナイフ16によるリンス液の吐出が開始されてから当該リンス液の吐出量が安定するまでの期間は、液だれにより液ナイフ16に雫状のリンス液が残り易く、従って、上記実施形態のように、この期間に液ナイフ16に対してエアを吹き付けることがリンス液の滴下を防止する上で有効となる。
【0045】
この場合、リンス液の吐出が開始されてから供給管26内のリンス液の流量が所定値(リンス液が安定的に吐出される流量)に達するまでの時間(安定化条件)を予め測定しておき、その時間に基づいてエアの噴射時間を制御する以外に、例えば、供給管26内のリンス液の流量をリアルタイムで検出し、リンス液の吐出が開始されてから当該流量が上記所定値(安定化条件)に達する時点を検知し、当該検知に基づいてエアの噴射を停止するようにしてもよい。要は、液ナイフ16から吐出されるリンス液の吐出状態が安定する安定化条件を予め定めておき、リンス液の吐出が開始されてからその安定化条件が満たされるまでの間、エアノズル32から液ナイフ16に対してエアを噴射させるようにすればよい。
【0046】
また、複数枚の基板Sの処理期の間中、液ナイフ16やシャワーノズル18a,18bから継続的にリンス液が吐出されるような場合には、処理室10内に多量のミストが発生して、液ナイフ16にリンス液の雫が生じ易くなる。従って、このような場合には、基板Sが液ナイフ16の下方に到達する直前の一定時間だけエアを噴射することにより、基板Sの処理の直前に液ナイフ16から当該雫を除去するのが有効である。
【0047】
なお、上記の実施形態では、基板Sに洗浄処理を施す基板処理装置1,2について本発明を適用した例について説明したが、勿論、本発明は、洗浄処理に限らず薬液処理を行う基板処理装置についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る基板処理装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】基板処理装置の要部拡大断面図である。
【図3】液ナイフと、当該ナイフから基板上に供給されるリンス液の供給位置との関係を示す図である。
【図4】コントローラによる開閉バルブの制御を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明に係る基板処理装置の第2の実施形態を示す断面図である。
【図6】基板処理装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1,2 基板処理装置
10 処理室
14 搬送ローラ
16 液ナイフ
18a,18b シャワーノズル
32 エアノズル
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の基板の上面に、その搬送方向上流側から下流側に向かって斜め方向に処理液を吐出するノズル部材を備えた基板処理装置において、
前記ノズル部材に向けて気体を噴射する気体噴射手段と、
前記ノズル部材の下方に基板がないときに前記気体を噴射すべく前記気体噴射手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記制御手段は、前記ノズル部材による処理液の吐出が開始されてから当該処理液の吐出状態が安定する所定の安定化条件が満たされるまでの間、前記気体を噴射するように前記気体噴射手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板処理装置において、
前記制御手段は、被処理基板が前記ノズル部材の下方に到達する直前の所定時間だけ前記気体を噴射するように前記気体噴射手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の基板処理装置において、
前記気体噴射手段は、前記ノズル部材に対して、前記搬送路の上流側から下流側に向かって前記気体を噴射することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記ノズル部材よりも前記搬送方向上流側に、基板の上面に向けて気体を噴射することにより基板上の処理液の上流側への流動を防止する逆流防止手段が設けられるものであり、この逆流防止手段が、基板および前記ノズル部材の双方に対して前記気体を噴射可能に構成されることにより、前記気体噴射手段として当該逆流防止手段が兼用されていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−277682(P2008−277682A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122257(P2007−122257)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】