説明

基板処理装置

【課題】基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供する。
【解決手段】液体または気体が送入される槽TKと、槽TK内に液体または気体を送り出す機構と、を備え、槽TK内に被処理体1を配置して処理を行う基板処理装置であって、機構は、槽TK内に液体または気体を送出する第1送出手段TBaおよび第2送出手段Tbと、第1送出手段TBaからの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第1送入手段Aと、第2送出手段TBbからの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第2送入手段Bと、を備えた基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や半導体、プリント基板など平面の基板を製造する工程における、液体や気体での洗浄、成膜、エッチング等を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および軽量化への要求が高まり、例えばプリント基板等の基板をより薄くすることが要求されている。
【0003】
一方、液晶表示装置や半導体、プリント基板など、平面の基板を製造する際のエッチング工程等において、処理の面内均一性を向上させることは、製品性能向上や歩留まり向上の為に常に必要とされている。例えば、処理槽を用いてケミカル研磨を行う場合、面内均一性は、基板の大きさに比べて処理槽の大きさが十分大きければ一般的に均一性は向上する。
【0004】
液晶表示装置の製造に際しては、効率化のために、まず、一対の絶縁性基板として多面取り用の大板を用い、これら一対の絶縁性基板間に複数の表示素子を形成する。この後、薄型化および軽量化等のために機械研磨もしくはケミカル研磨のいずれかによって絶縁性基板を所望の基板厚さまで研磨している。
【0005】
従来、一対の基板の夫々を異なる温度履歴で作製し、これらの基板を貼りあわせて夫々の主面を化学的な処理で同時に薄くして、製造歩留まりを向上させる液晶表示装置の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−52367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、被処理基板としてのガラス基板の大型化や半導体でのシリコンウェハーの大型化等に伴い、処理槽を大きくしたり、処理槽内で基板を揺動したりすると処理装置が大掛かりになってしまい、基板面内や基板間での処理バラツキを小さくすることは益々困難になってきている。
【0007】
また、液体や気体(以下液体等と記載)によってエッチングや成膜、洗浄を行う場合、噴出された液体等があたる部分の基板の処理が多く進むことによって、面内厚さが不均一になってしまうことがあった。
【0008】
例えば、ガラス基板をケミカル研磨し、ガラス板の板厚を薄くする工程では、ガラス基板をカセットに入れて、処理槽内の研磨液の中に浸漬し、処理槽底部に配置されたパイプから空気を送り出して、研磨液を撹拌する。上記のように、ガラス基板を研磨すると、パイプから送出された空気があたる部分、すなわち、処理槽底部に位置するガラス基板の一部の板厚が薄くなり製品性能の低下を招いたり、ガラス基板の端部を製品製造のために用いることができないために製造歩留まりの低下を招く場合があった。
【0009】
特に、集積回路が配置される部分の厚さが不均一となった場合、基板上に配置された集積回路の実装不良が発生し、製造歩留まりが低下することがあった。また、液晶表示装置の製造工程において、一対の基板のそれぞれの厚さが不均一となった場合には、一対の基板から液晶表示パネルを切り出し、液晶表示パネルをフレーム等に納める際に部品との位置合わせが困難になることがあった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一態様による基板処理装置は、液体または気体が送入される槽と、前記槽内に液体または気体を送り出す機構と、を備え、前記槽内に被処理体を配置して処理を行う基板処理装置であって、前記機構は、前記槽内に液体または気体を送出する第1送出手段および第2送出手段と、前記第1送出手段からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第1送入手段と、前記第2送出手段からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第2送入手段と、を備えた基板処理装置。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る基板処理装置は、被処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0014】
本実施形態に係る基板処理装置の被処理基板1は、対向するように配置された一対の略矩形状の透明絶縁性基板を有している。図1に示すように、一対の基板は第1基板101Mと、第1基板101Mに対向して配置された第2基板102Mとを有している。第1基板101Mおよび第2基板102Mは、透明ガラス基板である。
【0015】
第1基板101Mは、マトリクス状に配置された複数の画素電極(図示せず)と、画素電極の近傍に配置されたスイッチング素子とを含む第1表示領域110Aと、複数の画素電極を駆動するために第1表示領域110Aから周囲へと延びて配置された駆動配線等の各種配線(図示せず)とを有している。第2基板102Mは、複数の画素電極に対向する対向電極を含む第2表示領域110Bを有している。
【0016】
第1基板101Mと第2基板102Mとは、第1表示領域110Aと、第2表示領域110Bとが対向するように位置合わせされ、第1基板101Mおよび第2基板102Mの間において第1表示領域110Aおよび第2表示領域110Bを囲むように配置されたシール材(図示せず)によって固定されている。シール材は、後に液晶材料を封入するための封入口(図示せず)を有している。
【0017】
本実施形態に係る基板処理装置は、液体または気体を入れる処理槽TKと、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す機構と、を備える。図2A乃至図2Cに示す基板処理装置では、処理槽TKは、例えば被処理体を研磨するための研磨液LQで満たされている。
【0018】
本実施形態に係る基板処理装置では、研磨液LQとしてフッ酸を含む溶液を使用する。なお、研磨液LQは、その液面が処理槽TKの上端より下回る量であってもよく、研磨液LQがオーバーフローするように送入され、また処理槽TK外部に設けた循環経路を介して循環するようにしてもよい。
【0019】
被処理体として上記の被処理基板1を研磨処理する際には、図2A乃至図2Cに示すように、被処理基板1は、カセット等(図示せず)に並べて配置され処理槽TK内の研磨液中に浸漬される。被処理基板1は、その処理面(XY平面と略平行な面)が処理槽TKの底面(ZX平面と略平行な面)と略直交するとともに、例えばカセット等に設けられた仕切りによって互いに処理面が触れないように間隔をおいて並べて配置される。
【0020】
処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す機構は、処理槽TK内に液体または気体を送出する送出機構と、送出機構からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う送入機構とを備えている。
【0021】
処理槽TKの底部近傍には、処理槽TK内に液体または気体を送り出すための送出機構が配置されている。図2A乃至図2Cに示すように、本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、被処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びて配置された複数の第1管TBaおよび第2管TBbと、処理槽TKの外部から第1管TBaに液体または気体を送入する外部送入機構Aと、第2管TBbに液体または気体を送入する外部送入機構Bとを有している。
【0022】
図2Aおよび図2Bに示すように、第1管TBaと第2管TBbとは、その軸方向が底面(XZ平面と略平行な面)と略平行であって、互いに軸方向が略平行となるように、X軸方向と略直交する方向(X方向)において交互に並んで配置されている。
【0023】
第1管TBaおよび第2管TBbは、液体又は気体が送出される複数の送出口を有している。複数の送出口は、例えば第1管TBaおよび第2管TBbの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置されている。
【0024】
なお、第1管TBaおよび第2管TBbは、上記のような送出口に限らず、例えば管TBの軸方向(Z方向)と略平行に延びる線状の送出口を有していてもよく、管TBの軸方向に対して蛇行するように配置された複数の送出口を有していてもよい。
【0025】
本実施形態に係る基板処理装置では、図2Aおよび図2Bに示すように、外部送入機構Aおよび外部送入機構Bから第1管TBaおよび第2管TBbへ空気が送入され、第1管TBaおよび第2管TBbの送出口から空気が処理槽TK内に送出されることによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0026】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置では、まず図2Aに示すように、外部送入機構Aから第1管TBaに圧縮空気が送り込まれる。第1管TBaに送り込まれた空気は、第1管TBaの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって処理液LQの中を上昇して行く。
【0027】
次に、図2Bに示すように、外部送入機構Bにつながれた第1管TBaに圧縮空気が送り込まれる。第2管TBbに送り込まれた圧縮空気は、第2管TBbの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって液体の中を上昇して行く。
【0028】
このように、液体や空気の噴出する分布を空間的または時間的に変更可能とすることによって、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができる。すなわち、X方向において第1管TBaと第2管TBbとを交互に配置し、かつ、第1管TBaから空気が噴出される第1期間と、第2管TBbから空気が噴出される第2期間とを設定することによって、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができ、処理槽TK内で被処理基板1を揺動させるのと同じ効果が得られる。
【0029】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置では、被処理基板1を揺動させる必要がないため、処理装置を大掛かりにすることなくより多くの被処理基板1を処理するとともに、面内均一性および基板間均一性を向上させることができる。
【0030】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0031】
なお、被処置基板1が均一な厚さとなるとは、例えば、被処理基板1の、又は、第1基板101Mと第2基板102Mとのそれぞれの、最も厚い部分と、最も薄い部分とでの厚さ(Z方向の幅)の差が所定の値以下となる場合である。本実施形態に係る基板処理装置では、被処理基板1の、最も厚い部分と、最も薄い部分とでの厚さ(Z方向の幅)の差は略1.5μm以下である。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る基板処理装置は、上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様に、被処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0034】
本実施形態に係る基板処理装置において、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す機構は、処理槽TK内に液体または気体を送出する送出機構と、送出機構からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う送入機構とを備えている。
【0035】
図3Aおよび図3Bに示すように、送出機構は処理槽TKの底部近傍に配置されている。本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、被処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びて配置された複数の第1管TBaおよび第2管TBbと、処理槽TKの外部から第1管TBaに液体または気体を送入する外部送入機構Aと、第2管TBbに液体または気体を送入する外部送入機構Bとを有している。
【0036】
第1管TBaと第2管TBbとは、その軸方向が底面(XZ平面と略平行な面)と略平行であって、互いに軸方向が略平行となるように、X軸方向と略直交する方向(X方向)に並んで配置されている。
【0037】
複数の第1管TBaは、X方向において、処理槽TKの中央部に配置されている。第2管TBbは、X方向において、処理増TKの端部に配置されている。第1管TBaおよび第2管TBbは、液体又は気体が送出される複数の送出口を有している。複数の送出口は、例えば第1管TBaおよび第2管TBbの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置されている。
【0038】
本実施形態に係る基板処理装置では、図3Aおよび図3Bに示すように、外部送入機構Aおよび外部送入機構Bから第1管TBaおよび第2管TBbへ空気が送入され、第1管TBaおよび第2管TBbの送出口から空気が処理槽TK内に送出されることによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0039】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置では、図3Aに示すように、まず、第1管TBaに外部送入機構Aから圧縮空気が送り込まれる。第1管TBaに送り込まれた圧縮空気は、第1管TBaの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって液体の中を上昇して行く。
【0040】
次に、図3Bに示すように、第2管TBbに外部送入機構Bから圧縮空気が送り込まれる。第2管TBbに送り込まれた圧縮空気は、第2管TBbの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって液体の中を上昇して行く。
【0041】
このように、液体や空気の噴出する分布を空間的または時間的に変更可能とすることによって、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができる。X方向において、第1管TBaを処理槽TKの中央部に配置し、第2管TBbを処理槽TKの端部に配置し、かつ、第1管TBaから空気が噴出される第1期間と、第2管TBbから空気が噴出される第2期間とを交互に繰り返すことにより、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができ、処理槽TK内で被処理基板1を揺動させるのと同じ効果が得られる。
【0042】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置では、被処理基板1を揺動させる必要がないため、処理装置を大掛かりにすることなくより多くの被処理基板1を処理するとともに、面内均一性および基板間均一性を向上させることができる。
【0043】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、上述の第1実施形態にかかる基板処理装置と同様に、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置について図面を参照して説明する。本実施形態に係る基板処理装置は、上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様に、被処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0045】
本実施形態に係る基板処理装置において、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す機構は、処理槽TK内に液体または気体を送出する送出機構と、送出機構からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う送入機構とを備えている。
【0046】
図4Aおよび図4Cに示すように、送出機構は処理槽TKの底部に配置されている。本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、被処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びて配置された複数の第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcを有している。
【0047】
さらに、送出機構は、処理槽TKの外部から第1管TBaに液体または気体を送入する外部送入機構Aと、第2管TBbに液体または気体を送入する外部送入機構Bと、第3管TBcに液体または気体を送入する外部送入機構Cとを有している。
【0048】
第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcは、その軸方向が底面(XZ平面と略平行な面)と略平行であって、互いに軸方向が略平行となるように、X軸方向と略直交する方向(X方向)に並んで配置されている。
【0049】
複数の第1管TBaは、X方向において、処理槽TKの中央部に配置されている。第2管TBbは、X方向において、処理増TKの一方の端部に配置されている。第3管TBcは、X方向において、処理槽TKの他方の端部に配置されている。
【0050】
第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcは、液体又は気体が送出される複数の送出口を有している。複数の送出口は、例えば第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置されている。
【0051】
本実施形態に係る基板処理装置では、図4Aおよび図4Bに示すように、外部送入機構A、外部送入機構B、および外部送入機構Cから、第1管TBa、第2管TBbおよび第3管TBcへ空気が送入され、第1管TBa、第2管TBbおよび第3管TBcの送出口から空気が処理槽TK内に送出されることによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0052】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置では、例えば、まず、図4Aに示すように、外部送入機構Aと外部送入機構Bとにつながれた第1管TBaおよび第2管TBbに圧縮空気が送り込まれる。第1管TBaおよび第2管TBbに送り込まれた圧縮空気は、第1管TBaおよび第2管TBbの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって処理液LQの中を上昇して行く。このとき、処理槽TK内で気泡BBLが存在する範囲は、処理槽TK内で図4Aの左側に偏っている。
【0053】
次に、図4Bに示すように、外部送入機構Aと外部送入機構Cとにつながれた第1管TBaおよび第3管TBcに圧縮空気が送り込まれる。第1管TBaおよび第3管TBcに送り込まれた空気は、第1管TBaおよび第3管TBcの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって処理液LQの中を上昇して行く。このとき、処理槽TK内で気泡BBLが存在する範囲は、処理槽TKで図4Bの右側に偏っている。
【0054】
このように、液体や空気の噴出する分布を空間的または時間的に変更可能とすることによって、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができる。すなわち、X方向において、第1管TBaを処理槽TKの中央部に配置し、第2管TBbを一方の端部に配置し、第3管YBcを処理槽TKの他方の端部に配置し、かつ、第1管TBaおよび第2管TBbから空気が噴出される第1期間と、第1管TBaおよび第3管TBcから空気が噴出される第2期間とを交互に繰り返すことにより、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができ、処理槽TK内で被処理基板1を揺動させるのと同じ効果が得られる。
【0055】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置では、被処理基板1を揺動させる必要がないため、処理装置を大掛かりにすることなくより多くの被処理基板1処理するとともに、主に基板の中央部と端部とにおける処理の進行の差を軽減して面内均一性および基板間均一性を向上させることができる。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、上述の第1実施形態にかかる基板処理装置と同様に、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0057】
次に、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る基板処理装置は、上述の第1実施形態に係る基板処理装置と同様に、被処理体としての液晶表示装置の透明絶縁性基板を液体や気体での洗浄、成膜、エッチング(研磨)等する際に用いられる基板処理装置である。
【0058】
本実施形態に係る基板処理装置において、処理槽TKの内部に液体や空気を送り出す機構は、処理槽TK内に液体または気体を送出する送出機構と、送出機構からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う送入機構とを備えている。
【0059】
図5Aおよび図5Bに示すように、送出機構は処理槽TKの底部および側面近傍に配置されている。本実施形態に係る基板処理装置では、送出機構は、被処理基板1の処理面と略直交する方向(Z方向)に延びて配置された複数の第1管TBaおよび第2管TBbと、処理槽TKの外部から第1管TBaに液体または気体を送入する外部送入機構Aと、第2管TBbに液体または気体を送入する外部送入機構Bとを有している。
【0060】
図5Aおよび図5Bに示すように、複数の第1管TBaは、処理槽TKの底部近傍においてX方向に並ぶように配置されている。すなわち、第1管TBaは、その軸方向が底面(XZ平面と略平行な面)と略平行であって、互いに軸方向が略平行となるように、軸方向と略直交する方向(X方向)に並んで配置されている。
【0061】
複数の第2管TBbは、処理増TKの側面近傍においてY方向に並ぶように配置されている。すなわち、第2管TBbは、その軸方向が側面と略平行であって、互いに軸方向が略平行となるように、軸方向と略直交する方向(Y方向)に並んで配置されている。なお、本実施形態に係る基板処理装置では、複数の第2管TBbは、被処理基板1の処理面と略直交する処理槽TKの側面近傍に配置されている。
【0062】
第1管TBaおよび第2管TBbは、液体又は気体が送出される複数の送出口を有している。複数の送出口は、例えば第1管TBaおよび第2管TBbの軸方向(Z方向)において所定の間隔をおいて配置されている。
【0063】
本実施形態に係る基板処理装置では、図5Aおよび図5Bに示すように、外部送入機構Aおよび外部送入機構Bから第1管TBaおよび第2管TBbへ圧縮空気が送入され、第1管TBaおよび第2管TBbの送出口から空気が処理槽TK内に送出されることによって、処理槽TK内の研磨液LQが撹拌される。
【0064】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置では、まず、図5Aに示すように、外部送入機構Aにつながれた第1管TBaに圧縮空気が送り込まれる。第1管TBaに送り込まれた圧縮空気は、第1管TBaの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって処理液LQの中を上昇して行く。
【0065】
次に、図5Bに示すように、外部送出機構Bにつながれた第2管TBbに圧縮空気が送り込まれる。第2管TBbに送り込まれた圧縮空気は、第2管TBbの表面に開けられた送出口から噴出し、気泡BBLとなって処理液LQの中を上昇して行く。すなわち、図5Aに示す場合では処理槽TKの底面近傍からY方向に空気が噴出され、図5Bに示す場合では処理槽TKの側面近傍からX方向に空気が噴出される。
【0066】
このように、液体や空気の噴出する分布を空間的または時間的に変更可能とすることによって、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができる。X方向において、第1管TBaを処理槽TKの中央部に配置し、第2管TBbを端部に配置し、かつ、第1管TBaから空気が噴出される第1期間と、第2管TBbから空気が噴出される第2期間とを交互に繰り返すことにより、処理槽TK内の処理液LQの流れを変えることができ、処理槽TK内で被処理基板1を揺動させるのと同じ効果が得られる。
【0067】
上記のように、本実施形態に係る基板処理装置では、被処理基板1を揺動させる必要がないため、処理装置を大掛かりにすることなくより多くの被処理基板1処理するとともに、面内均一性および基板間均一性を向上させることができる。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置によれば、上述の第1実施形態にかかる基板処理装置と同様に、基板面内や基板間の厚さのバラツキを低減することができるとともに、製品性能や製造歩留を向上させる基板処理装置を提供することができる。
【0069】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。以上の実施例では、液体による処理を行う基板処理装置での例を示したが、処理に用いられるのは気体であってもよい。その場合、処理槽の代わりに密閉性のある箱を用いてもかまわない。
【0070】
また、管から噴出するものは気体とは限らず液体や液体と気体の混合でも良い。管から噴出される気体は空気である必要はなく、例えば窒素ガスなどでもよい。管から噴出される液体は、例えば洗剤の入った洗浄液や酸性またはアルカリ性のエッチング液などでも良い。
【0071】
さらに、空間的または時間的な液体や空気の噴出する分布は上記実施例だけには限らない。例えば、図2Aよび図2Bに示す場合では、1本の第1管TBaと1本の第2管TBbとをX方向において交互に配置していたが、2本以上の第1管TBaと2本以上の第2管TBbとをX方向において交互に配置してもよい。さらに、例えば1本の第1管TBaと複数本の第2管TBbとをX方向において交互に配置してもよい。
【0072】
また、例えば第1実施形態、第2実施形態および第4実施形態では、第1管TBaから空気が噴出される第1期間と、第2管TBbから空気が噴出される第2期間とを交互に設ける場合について説明したが、さらに、第1期間と第2期間との一部を重複させて、第1管TBaと第2管TBbとの両方から空気が噴出される期間を設けてもよい。
【0073】
第3実施形態に係る基板処理装置についても同様に、第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcの全てから空気が噴出される期間を設けてもよい。また、第1管TBa、第2管TBb、および第3管TBcのいずれかからのみ空気が噴出される期間を設けてもよい。
【0074】
また、第4実施形態に係る基板処理装置では、第1管TBaと第2管TBbとは、互いに軸方向が略平行となるように配置されていたが、第1管TBaと第2管TBbとは軸方向が略直交するように配置されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置で処理する被処理基板の構成の一例を概略的に示す図。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図2B】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図2C】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図3A】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図3B】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図4A】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図4B】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の一構成例を説明するための図。
【図5A】整流板を用いないで被処理基板を研磨処理した場合に、基板の厚さを測定した結果の一例を示す図。
【図5B】整流板を用いないで被処理基板を研磨処理した場合に、基板の厚さを測定した結果の一例を示す図。
【符号の説明】
【0077】
TK…処理槽、TBa…第1管(第1送出機構)、TBb…第2管(第2送出機構)、A…第1送入機構、B…第2送入機構、1…被処理基板(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または気体が送入される槽と、
前記槽内に液体または気体を送り出す機構と、を備え、前記槽内に被処理体を配置して処理を行う基板処理装置であって、
前記機構は、前記槽内に液体または気体を送出する第1送出手段および第2送出手段と、前記第1送出手段からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第1送入手段と、前記第2送出手段からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第2送入手段と、を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記第1送出手段は、液体または気体が送出される複数の送出口が設けられた第1管を有し、
前記第2送出手段は、液体または気体が送出される複数の送出口が設けられた第2管を有し、
前記第1管と前記第2管とは、前記槽の底部近傍において、互いの軸方向が略平行となるように、前記軸方向と略直交する方向に交互に並んで配置された請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1送出機構は液体または気体が送出される第1送出口が配置された複数の第1管を備え、
前記第2送出機構は液体または気体が送出される第2送出口が配置された複数の第2管を備え、
前記第1管と前記第2管とは、前記槽の底部近傍において互いの軸方向が略平行となるように、前記軸方向と略直交する方向に並んで配置され、
前記第1管は、前記第1管の軸方向と略直交する方向における前記槽の中央部に配置され、
前記第2管は、前記第2管の軸方向と略直交する方向における前記槽の端部に配置された請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1送出機構は液体または気体が送出される第1送出口が配置された複数の第1管を備え、
前記第2送出機構は液体または気体が送出される第2送出口が配置された複数の第2管を備え、
前記第1管は、前記槽の底部近傍において互いの軸方向が略平行となるように、前記軸方向と略直交する方向に並んで配置され、
前記第2管は、前記槽の側面近傍において互いの軸方向が略平行となるように、前記軸方向と略直交する方向に並んで配置された請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1送入手段は第1期間において前記第1送出手段から液体または気体を送出させるように構成され、前記第2送入手段は前記第1期間と異なる第2期間において前記第2送出手段から液体または気体を送出させるように構成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記機構は、前記槽内に液体または気体を送出する第3送出手段と、前記第3送出手段からの液体または気体の送出の開始と停止とを行う第3送入手段と、をさらに備え、
前記第1送出手段は、液体または気体が送出される複数の送出口が設けられた第1管を有し、
前記第2送出手段は、液体または気体が送出される複数の送出口が設けられた第2管を有し、
前記第3送出手段は、液体または気体が送出される複数の送出口が設けられた第3管を有し、
前記第1管、前記第2管および前記第3管は、前記槽の底部近傍において、互いの軸方向が略平行となるように、前記軸方向と略直交する方向に並んで配置され、
前記第1管は、前記第1管の軸方向と略直交する方向における前記槽の中央部に配置され、
前記第2管は、前記第2管の軸方向と略直交する方向における前記槽の一方の端部に配置され、
前記第3管は、前記第3管の軸方向と略直交する方向における前記槽の他方の端部に配置された請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1送入手段は第1期間と前記第1期間と異なる第2期間とにおいて前記第1送出手段から液体または気体を送出させるように構成され、前記第2送入手段は前記第1期間において前記第2送出手段から液体または気体を送出させるように構成され、前記第3送入手段は前記第2期間において前記第3送出手段から液体または気体を送出させるように構成された請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記被処理基板は、マトリクス状に配置された複数の第1電極を含む第1領域を有する第1基板と、
前記第1基板と対向して配置され、前記複数の第1電極と対向するように配置された第2電極を含む第2領域を有する第2基板と、を備えた請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2010−40759(P2010−40759A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201957(P2008−201957)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】