基板材料の切断、分断または分割装置、システムおよび方法
非金属基板の分割装置および方法が、第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位あるいはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、第2ビームと、第1冷却装置と第2ビームの間に位置された第2冷却装置を有するものとして開示される。第1スクライブビームが基板に入射する角度および基板に入射する第1スクライブビームのエネルギー強度の少なくとも一つが、直角分割を達成するために調節される。クラックセンサとコントローラも設けられ、切断線の位置が測定され、その位置が基準位置を比較され、切断線位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度が調節される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、切断および分割技術に関する。とくに本発明は、非金属のあるいは脆い材料をレーザーを用いて切断、分断および/または分割する装置、システムおよび方法に関する。
なお、この出願は、2004年6月21日出願の米国仮出願第60/581,856号および2004年6月22日出願の米国仮出願第60/582,195号の優先権を主張しており、ここにこれら出願を参考文献として組み入れる。
【背景技術】
【0002】
レーザーを用いて脆い材料中に微小亀裂(マイクロクラック)を成長させる技術は、30年以上前から知られている。1971年に発行されたラムレイの特許文献1は早くからよく知られている刊行物である。多大な活動にもかかわらず、この技術は、多くの分野で未だ商業的に有用なものとなっていない。このような状況にあることの一次的な理由は、遅い工程速度、複雑なレーザーモードの使用、レーザースクライブのメカニズムの貧弱な理解、および時間がかかること、そして、粒状物質とマイクロクラックを発生しラーザー分割の本来の利点を妨げる旧式の2段階の工程(例えば、スクライブと破断)にある。
【0003】
非金属材料を分割する最適なシステムを設計するためには、理解されることが必要な2つの基本的なメカニズムがある。第1のメカニズムは、熱的メカニズムであり、それは、脆性の材料の温度を目標温度に昇温し、しかる後にその材料を急冷して材料内の分子結合を破断することにより、材料がその臨界熱衝撃温度を超えてしまうメカニズムである。この工程は、材料の内部熱的変化、外力、内力および端縁強度により生じる一般に「目に見えない亀裂(ブラインドクラック)」と呼ばれているものを形成する。第2のメカニズムは、材料の内部熱的変化、外力、内力および強度により生じる材料内の三次元応力/歪に関する関係である。
【0004】
特許文献2は、境界を完全分割しない基板の破断方法を開示している。標準的な分割技術では、材料を破断するために2段階の工程を要する、つまり、スクライブステップとそれに続く機械的な破断ステップを要する。基板厚みが0.4mmを超え、基板内の残留引張力が基板を分割するのに不十分である場合に、とくにこのようになる。
【0005】
他の技術では、意図した切断部位の周辺に熱衝撃を与える、幅が広すぎる(通常、8mmよりも広い)2重破断ビームが用いられている。これは、ガラスのクラック発生を弱めるおよび/または制御できない事態を招く。また、切断物のいずれかの側での電子部材やコーティング/層の存在により、限られた軌跡幅以内で分割を行わなければならない場合も多々ある。
【0006】
本発明者による発明に係る特許文献3〜5はすべて、2つのレーザービームとそのレーザービームに隣接する冷却ノズルを用いて非金属基板を分割する装置および方法を開示している。これら特許文献はここに参考文献として組み込まれる。これらの装置を改良するために指摘を要する追加事項を以下に述べる。
【0007】
熱破壊温度を超えること:マイクロクラックを脆性の材料の端から端まで成長させるためには、温度は、臨界熱衝撃温度(Tcr)を超えるか、または、材料内の分子結合が破断して材料内にブラインドクラックを形成する点を超えなければならない。これは通常、臨界熱衝撃温度(Tcr)を超えるために材料を所定温度まで加熱し冷媒流を用いてその材料を冷却することによって達成される。ある種の材料では、Tcrが極めて低温であるので、マイクロクラックをうまく成長させるために比較的少ない冷却が要求される。このような場合には、ヘリウムのような冷却ガスのみを冷却用に使用することができる。他の材料では、とくに低熱膨張率の材料では、Tcrを超えるために高勾配が要求され、効果的な冷却のためにガス/水の混合物が要求される。この場合には、対流および伝導による熱伝達とともに流体の蒸発による潜熱の解放が、より効率のよい材料の冷却に寄与し、それによって臨界熱破壊温度を超えることができる。
【0008】
しかしながら、最適化された冷却であっても、レーザースクライビングをうまく達成するためには適切な初期境界条件が必要である。換言すれば、材料の温度は、臨界熱破壊温度を超えるための冷却の「余地」を与えるに十分な高温まで昇温される必要がある。最低温度と最高温度(例えば、ガラス軟化温度)間のプロセスウインドウ(つまり適正条件)は非常に小さいので、熱影響を受けるゾーンの精密な制御が要求されることが多い。
【0009】
臨界破断力を超えること:旧来のスクライビング操作は、典型的には、材料内に初期通気孔または目に見えないクラックが形成された後に第2破断ステップを要する。この場合、破断を完了させるために機械的な方法が利用され、それによって、ローラー式破断具や機械的ギロチン式破断具等の手段を用いて曲げモーメントが作用される。これらのいずれの方法においても、スクライブされた領域に沿って材料の分割を完了するに十分な力がかけられる。完全分割を効果的に行うために要求されるこの力を、ここでは臨界破断力(Fcb)とする。薄い材料(例えば、0.4mm未満)をスクライブするとき、材料内の残留引張力はガラスを分割するのに十分な力かも知れない。しかし、その残留引張力は、ここで記述する新しい方法ほどには、制御可能なものではない。したがって、より制御性を向上するためにスクライブ工程の残留引張力を最小化することが望ましい。より薄い材料については、レーザースクライビング操作によってもたらされる残留引張力は、通常その材料を完全分割するには不十分である。他の場合においては、その引張力は十分に大きいので材料は制御不能の状態にて分割し、冷却領域の前で容易に移動できるようになる。これは、分割力学が、本来非対称の温度勾配のみによって制御されるものであることから、直進性を危うくする結果を招く。分割メカニズムとして冷却することなく2重平行ビームを用いるいくつかの技術が示唆されてきた。しかしながら、これらの技術は、固有の非対称性による不規則な切断を生じる。臨界破断力に対する制御を改善するためには、新しい方法が必要である。
【0010】
エッジ部の影響を克服すること:いかなる材料においても、入出口クラックは考慮すべき重要なことである。基板の端縁は、その材料の主要部よりもはるかに弱く、これが熱衝撃導入後の制御されないクラック発生を許容することとなっている。加えて、端縁の研磨等の機械加工による材料端縁に沿ったマイクロクラックがしばしば存在し、これも同じく考慮する必要がある。最後に、材料の端縁は、その端縁が伝導および対流熱伝達領域間の境界として機能することから、材料の主要部よりも速く昇温する傾向にある。したがって、貫入や突出等のエッジ部の問題を克服する方法の改良が必要である。
【0011】
確実なスクライブの初期亀裂:材料の端から端までマイクロクラックを成長させるためには、初期マイクロクラックの存在が必要である。上述したように、多くの材料は既に他の加工による端縁に沿った多数のマイクロクラックを有している。しかし、残留マイクロクラックに依存するよりも、所定の場所に制御された方法でマイクロクラックを導入する方がより望ましい。加えて、端縁処理技術の改良につれて、端縁がクラック発生に耐えるように加工されてきているので、端縁に沿ってマイクロクラックを初期生成することがより困難になっている。このように、確実なスクライブの初期亀裂生成技術が必要である。
【0012】
効果的なクロス切断:完全分割技術には新しい挑戦がある。基板が一旦一方向に完全分割されてしまうと、第2の方向(通常は90度方向)への切断は、多数の新たな境界の存在によりより挑戦的なこととなる。
【0013】
さらに、複数の光学要素を必要とするレーザービーム伝送システムには、設計上の柔軟性が少ない。加えて、複数の光学要素は、顕著なレーザーパワー量を吸収あるいは反射し(例えば、ARコートZnSe素子では1素子当たり5%)、それが、6素子システムを使用する場合には36%を超えるロスとなる。さらに加えて、複合光学システムは質量が大きく移動が困難である。さらにまた、これら複合システムは、設定からずれやすい精密なアライメントとキャリブレーションを要求することとなっている。最後に、冷却ノズル、スクライブビーム、破断ビーム、スクライブの初期亀裂生成部位間等における規定の距離を調節することは難しく、それほど安定的ではない。大半のシステムは、ビーム伝送システムの大きな質量により一方向切断を達成することができるだけであって、スクライブの初期亀裂生成や冷却装置のような他の要素の制御とは独立している。典型的には、一つの設備当たり一つのレーザーヘッドユニットのための部屋だけがあり、それによって製造時間削減のために同時に切断する複数ヘッドを設けるオプション形態を排除している。
【0014】
固定光学システムはまた、レーザーをワークピースに対して移動させる代わりにレーザービーム下でワークピースを移動させることが必要な固有の非効率さをもってほぼ2倍の機器設置面積を要求する。しかも、スクライブビームと破断ビーム間の距離は予め設計によって固定されており、設備全体の設置面積は限られた幅に制限される。これにより、異なる材料に変更する際には大きな柔軟性が許容されなくなる。スクライブビームと破断ビーム間の相対的なビームパワーは、物理的にビームスプリッターを変えるか、またはファセット加工された素子を調節することによって、調整される。ビームスプリッターについては、相対パワーはビームスプリッター上のコーティングの相関関係であり、再現は困難である。また、ノズルの設計によっては不適合な流れを招き、ワークピース上に水や他の液体残渣を残すことがある。
【0015】
このように、この分野では数多くの問題があり、多くの技術が克服されるべき欠点を抱えていることがうかがえる。
【特許文献1】米国特許第3610871号公報
【特許文献2】米国特許第5826772号公報
【特許文献3】米国特許第6259058号公報
【特許文献4】米国特許第6489588号公報
【特許文献5】米国特許第6660963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの、さらにいくつかの他の欠点を克服するために、本発明は、迅速で信頼性の高いレーザースクライビング、単一ステップでの分割、および簡素でありながらパワフルな装置の効率的な実現を可能にする、いくつかの革新的な技術を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、非金属材料の複数の小ピースへの精密な分割に関する。とくに、本発明は、望ましいパスに沿った完全分割を可能とする、制御されたマイクロクラックの成長と制御された材料の内力とによって、非金属材料の分割を精密に制御する方法に関する。
【0018】
本発明の一つの目的は、適切で制御可能な熱的クラック生成(例えば、レーザースクライビング)のための最適な熱的条件を、最適な応力/歪関連条件と適合させ、非金属材料を所定の制御された方法で完全に分割することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、冷却領域の後方の適当な場所にて十分に大きな力(Fcb)をかけるとともに、残りの力を冷却領域の前にて臨界破断力(Fcb)以下に保つことにより、制御された方法で基板を分割することにある。
【0020】
主構成要素:完全分割レーザーシステムの主構成要素は、単一のまたは複数のレーザー源、光学システムに対してワークピースを移動させるように設計された移動システム、2またはそれ以上のビームパスからなる光学システム、一体化分断装置、レーザースクライブ促進装置、および補助破断装置を含む。
【0021】
レーザー源:レーザー源は分割されるべき材料に基づいて選択される必要がある。スクライビングの一次的な評価基準は、効率のよい、信頼性の高い、そして最も重要なことには、100%に近い吸収効率を持った出力波長を有しているレーザー源を見つけることである。すなわち、レーザー放射は、一次的には、分割されるべき材料の表面で吸収されるべきである。ガラスの場合には、10.6ミクロンの出力周波数(出力波長)を有するCO2 レーザー源が代表的に用いられる。シリコンの場合には、1.06ミクロン以下のの出力波長を有するYAGレーザー源が代表的に用いられる。加えて、レーザーの作動モードは、主としてガウス形状のビーム分布を与えるTEM00モードとすべきである。光学システムを使用する際には、レーザービーム分布がある点から他の点に多少なりとも変化しないように、均一で平行な(コリメートされた)出力を達成することが重要である。また、一般的に「遠方領域(ファーフィールド)」条件として知られているものへの転移のためのレーザービーム時間を与えるために、レーザーの出力と浮動光学機器との間に十分なスペースを確保しておくことも推奨できる。
【0022】
LSADビームパスの場合には、レーザー出力波長の選択は必ずしも最高吸収効率に対応する必要はない。材料本体の全体に渡って効率よく加熱可能とするために、100%よりもかなり小さいレーザー波長を選択することが望ましい場合もある。このような形態は、引張力と表面での放射熱損失を制限しつつ、対象となる領域の材料の中身を効率よく加熱することを助長する。また、ここで述べた同じ平行化基準(コリメーション基準)を達成することも重要である。
【0023】
最後に、同じ領域またはビームポット内に異なるレーザー波長を混在させたい場合があるかも知れない。例えば、あるレーザーは、通常吸収が高くはない異なる波長のレーザーによって続いて加熱されることを可能とするために、吸収の高い波長で材料を予熱するために用いられる場合がある。この現象は、吸収または自由搬送吸収に依存する上昇温度によって生じる。
【0024】
移動システム:コンピュータを用いてレーザー出力に対するワークピースの移動を制御する移動システムが用いられる。これを達成するために採用され得る方法は数多くある。一つの方法は、光学機器は静置させたままワークピースをx、y、Θ方向に移動させる工程を含む。逆に、ワークピースが静置したまま光学システムがあらゆる方向に移動されることも可能である。組み合わせた方法もまた採用されることができ、光学システムとワークピースの両方が限定された方向へ移動されることもできる。加えて、光学システムの180度回転も双方向切断用に採用され得る。他のオプションとしては、時間削減のための製造用途に複数のICDアレイを利用することである。この場合、望ましいICDは適当な時間にビームパス内へと移動されることができる。これらの評価は、光学システムが簡単になればなるほど、質量が小さくなればなるほど、より高められる。最後に、ワークピースを望ましい切断箇所の下に長穴を有する加工用テーブル上に置くことにより、材料の頂部側と底部側の両方で切断することができる。この種の加工用テーブルはまた、ワークピースの下に置かれたローラー式破断装置での破断の容易化にも寄与する。
【0025】
一体化分断装置(ICD):光学パス、冷却機構、オプション的な遮光板および水除去手段は一つの多機能装置内に一体化される。この装置は、使用者の材料中での望ましい高温度勾配の達成を可能としつつ、簡素で柔軟性があるように設計される。三重反射冷却機構(TRQM)は、基板中に制御された高い温度勾配を与えるのに利用される。
【0026】
冷却ノズルには、レーザービームがノズル周りに再指向するように、かつ、放射レーザービームがワークピース上で冷却領域の近くに、それに交差するように、その周りに、あるいはその範囲内に入射するように、反射カバーを嵌合すっることができる。
【0027】
レーザースクライビングがより効率のよい柔軟性のあるものとなるようにICD内には特別仕立ての単一要素レンズを使用することができる。単一要素とすることでレーザーヘッドのサイズと重量が顕著に低下する。好ましい態様としては、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)を使用する。DACLEは、望ましいレーザービーム分布を達成するために用いることができる。
【0028】
マイクロクラック初期生成機構(MI)は、ICDハウジング上に直接載置され、それは、分割されるべき材料の端縁にマイクロクラックを生成するためにzストローク機構内に標準スクライブホイールを有している。このMIは、スクライブビームの前に置かれる。MIは、レーザースクライブ促進装置(LSAD)の後に置かれ、LSADにより発生する熱が早まってマイクロクラックを成長開始する機会を低減する。本発明では、ガラスの表面で消耗YAGパルスを使用するレーザースクライブ起動オプションも組み込む。
【0029】
一体化クラッキング装置は、一つのチューブと、横断面が円形または四角の一つの特別仕立ての光学要素と、マイクロクラック初期生成機構と、冷却装置と、ミラー要素からなる。
【0030】
光学要素:一つの光学要素は、最適な熱足跡、つまり、一般に、長さ80mm以下で幅5mm以下の楕円ビームを与えるように設計される。この要素が、各方向において平坦な頂部分布を示すことも望ましい。平行化された入力ビームが与えられる単一の要素からこの分布を達成するためには多くの方法がある。一つの方法は、回折光学要素を使用する方法で、それによってレンズの内部構造が予めプログラムされた出力分布を与えるように変更される。他の、この望ましい分布を達成するためのより安価な方法は、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)を利用する方法である。その曲面の凹面(S1)は、最適な負の焦点距離を与えるように設計され、切断方向(x)におけるビーム長(l)とエネルギー分布を制御する。反対側の曲面の凸面(S2)は、最適な正の焦点距離を与えるように設計され、切断方向と直交する方向(y)におけるビーム幅(w)とエネルギー分布を制御する。これら曲面は、切断にとって最適となる出力を与えるようにプログラムされる。
【0031】
ノズルアセンブリは、効率のよい冷却が行えるよう設計された、3つの独立した流体システムを有する。好ましい形態では、液体は中央チューブを流され、気体は同心の外側チューブにて指向され、最外領域にバキューム力がかけられる。この形態では、高圧空気が液体を冷却領域の中心に向けて勢いよく流すことに寄与しつつ、バキュームが残留液体を除去し空気流を制御する。水を破砕し霧化して冷却効率を向上するために、オプションの高周波圧電振動子をノズル上に置くことができる。この好ましい形態では、バキュームはノズルとは同心ではないが、テーブルの動きに対してノズルアセンブリの後半部に位置される。
【0032】
部分遮光板機構:特別仕立てのレンズとワークピースの間に設けられる遮光板は、放射レーザーの一部を選択的に遮蔽しワークピース上のビームスポットを効果的に短縮するために使用できる。この特徴は、レーザー切断工程中ビーム長を変えて望ましい作用を与えるために利用できる。例えば、レーザービームが基板の端縁の過熱を避けるためいに基板の先端または終端近傍にある状態にて、レーザービームの前側区分を切り詰めるためにこの遮光板を採用できる。これはまた、モータ駆動のレンズホルダーを用いてリアルタイムに焦点距離を変えることによっても達成できる。
【0033】
破断装置:基板の完全分割は、種々の技術を用いて達成され、それら技術には、1)基板の底面を冷やすこと、2)温風流、2重レーザービーム、単一レーザービーム、またはTEM20モードで作動する単一レーザービームを用いて基板の頂部を加熱すること、3)加工用テーブルに組み込まれた革新的な特徴を利用して望ましい方法で基板に機械的に応力を加えること、4)基板内に所望の圧縮/引張力を生成する倒立式ローラー破断装置、5)マイクロクラックを除去あるいは低減する貼り合わせガラス用剪断力分割技術、が含まれる。
【0034】
加えて、ローラー式破断装置は、基板の下部に位置され、完全分割を効果的にするためにスクライブ範囲から所定の距離後方で切断パスに沿って移動されることができる。これは、加工用テーブルが予定切断部下部側に長穴を有する場合に最適に作動する。この技術による利点は、その力がスクライブ範囲の後方にうまく位置され、それによって直進性が確保されることにある。最後に、基板分割に剪断力を利用でき、とくに貼り合わせ材料に有用である。これは、上述の他の技術によって導入される曲げモーメントを除去するすることにより、貼り合わせ体の中央層におけるマイクロクラックを最小化あるいは低減するのを助ける。
【0035】
上記TRQDの他に、本発明は少なくとも2つのノズルを有する冷却装置についても言及する。第1冷却ノズルは、レーザースクライブの直進性を保つために一次的に使用される。第1冷却ノズルには、1または2流体と、噴射ノズルまたは霧化ノズルを用いることができる。第1流体は、代表的には水のような液体である。第1流体の量および流体圧力はともに調節できる。第2流体には、空気、窒素、酸素と窒素の混合ガス、酸素、窒素および二酸化炭素の混合ガスを使用できる。第2流体の量および流体圧力はともに調節できる。流体量は、オリフィスサイズを変更することにより、あるいはレギュレータを用いることにより、調節できる。レギュレータの種類には、ニードル弁、ベンチュリ弁、バタフライ弁、ゲート弁等が含まれる。冷却領域には小さなスポットがある。また、ミストの焦点距離は、切断と同じである。第2ノズルは、浅い溝がより深くなるようにする。この第2ノズルには、第1ノズルとは独立して調節可能なパラメータを含めることができる。第2ノズルのスポットサイズは、第1ノズルにより生成されたスポットサイズよりも広い。また、ミストの焦点距離は、切断とは異なっている。
【0036】
本発明で指摘する他の項目は、「ソゲ」(または直交)という語に関連し、切断端縁は材料全体にわたって完全な直角カットではないという事実を考慮したものである。このソゲの問題を克服するために、切断端縁の角度はできるだけ直角に近くされる必要がある。本発明では、切断線に沿った長軸とエネルギー強度を調節できる。エネルギー強度は、熱影響を受けるゾーンを先端から後端にかけて、および/または、左右間にわたって変化させる。切断線と交差する方向への熱伝達は、その開始部位から終端部位まで調節可能である。エネルギー強度は、ビーム位置により調節できる。ビーム位置は、光学機器および/またはテーブル位置によって調節される。これは、レンズ位置、反射ミラーの位置および反射ミラーの角度調節を含む。エネルギー強度はまた、ビーム角度により調節できる。ビーム角度は、レンズ角度および/またはテーブル角度により調節できる。
【0037】
本発明はまた、単板ガラスピースおよび貼り合わせガラスピースを少なくとも2方向にクロスカットするようにした切断方法に関する。開示される一つの方法は、ガラスピースを分割されないままとする各切断線でクロスセクションを生成するレーザービームを使用する。第1切断線はガラスピースのほぼ半分を切断するようにハーフカットとすることができ、第2方向における切断線はフルカットとすることができる。第1方向における切断線はクロスセクションの前方および後方45mmにてハーフカットである。ハーフカットの深さは、照射される加熱エネルギーを変えることで調節できる。また、加えられる真空吸引などによる下向きの力を用いることにより、ギザギザの溝を作ることも可能である。ギザギザの溝を作る他の方法としては、加熱エネルギーを下向きの力とバランスさせる方法がある。
【0038】
本発明はまた、クラックセンサを用いて非金属基板を分割する方法および装置に関する。これにより、破断ビームのレーザーパワーが最適化され、良好な切断面が得られる。クラックセンサは、破断ビームの照射で生成される切断線の位置を動的に測定できるように基板の近傍に位置される。クラックの測定位置情報は基準位置と比較され、この情報に基づいて破断ビームのパワー強度を調節する手段が設けられる。クラックセンサとしては、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサまたは超音波センサを使用できる。測定されたクラック位置と基準位置との比較は、信号処理装置、基板処理操作およびマイクロプロセッサによって行われる。クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはビームエネルギーを増加させ、クラック位置が基準位置よりも先になっている場合にはパワー強度を低下させることが可能である。
【0039】
本発明はまた、切断方向に対称形状とは異なってスクライブレーザービームが形成されるよう調節する方法および装置に関する。この方法では、前後側間でビーム形状またはエネルギー強度が非対称とされる。例えば、加熱開始部のビーム幅はより広く、終了部ではより狭い。あるいは、加熱開始部のビーム幅はより狭く、終了部ではより広い。ビームエネルギー強度は、特定の領域でより高くまたはより低くすることができる。これらの特徴は、ビーム強度の密度を変えることにより達成できる。また、ビーム照射に傾斜角を付与することも可能である。この傾斜角は基板と照射ビームの方向との間で規定することができる。レンズ角度を照射ビームの方向に対して傾けるように調節することもできる。
【0040】
上記技術を用いて、従来技術の欠点を克服する高度に制御されたマイクロクラックの成長および精密な分割を通して非金属基板を分割する方法および装置を提供するという、本発明のもう一つの目的を達成することが可能である。このように、本発明は、完全分割、向上された精度、高度に制御された温度勾配、改良された端縁品質、効果的なクロス切断、低減されたエッジ部の影響、および、より高い柔軟性とコスト低減とを与える簡素な設計をもって、速い工程速度を可能ならしめるという特徴を含むものである。
【0041】
本発明のこれらおよび他の目的は、非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板上の、第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1冷却装置と第2ビームの間に位置された第2冷却装置と、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置によって達成される。第2冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第3冷却装置を使用することも可能である。これら冷却装置は、少なくとも一方が、水や空気などの2流体混合物の霧化吹き付けノズルを含むことができる。分割装置の制御には、第2冷却装置(または第3冷却装置)に対し第1冷却装置のパラメータを独立して調整することが含まれる。
【0042】
本発明はまた、非金属基板のある部分の分割を制御する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。第1ビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、続いて、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに隣接する、あるいはそこから離れた部位に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該第1冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第2冷却ノズルでさらに冷却するステップと、次に、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップである。この方法には、第2冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第3冷却ノズルで付加冷却するステップを含めることができる。冷却工程に続いて、第2スポットの前で過剰冷却流体が吸引される。また、第2ビームに供給されるパワー量を制御または調節することも可能である。
【0043】
本発明はまた、非金属基板中に直角分割箇所を作る方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。第1スクライブビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、続いて、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該冷却ステップに続き、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップである。この方法にはまた、第1スクライブビームが基板に入射する角度および基板に入射する第1スクライブビームのエネルギー強度の少なくとも一つを調節するステップを含めることができる。調節ステップには、第1スクライブビームに関連するレンズの位置の調節および/または第1スポットの位置の調節を含めることができる(例えば、基板を保持するテーブルの位置またはミラーの調節)。
【0044】
本発明はまた、非金属基板の分割方法であって、第1ビームを基板の第1側上の第1スポットに入射するステップと、続いて冷媒流が基板の第1側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、を有する方法によっても達成される。第2ビームは基板上の第2スポットに入射され、厚みを有する基板の一部分を完全に破断する。そして基板は、基板の第2側が第1ビーム、第1冷却ノズルおよび第2ビームに面するように基板を回転される。続いて、第1ビームが基板の第2側上の第3スポットに入射し、それから、冷媒流が基板の第2側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却する。そして、第2ビームを基板上の第4スポットに入射し、厚みを有する基板の少なくとも他の一部分を完全に破断する。この方法には、第1冷却ノズルと第2ビームとの間に位置された第2冷却ノズルで冷却するステップを含めることができる。また、第2ビームを基板上に入射するステップが、基板の第1側を端から端までほぼハーフカットとし、第2ビームを基板の第2側上に入射するステップが、基板を端から端までフルカットにする。
【0045】
本発明はまた、非金属基板のある部分を分割する装置であって、基板上の第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、基板から分離されて設けられ切断線の位置を測定するクラックセンサと、動作可能にクラックセンサに接続され、切断線の位置についての情報を受けその切断線の位置を基準位置と比較し、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節する手段を備えたコントローラと、を有する装置によっても達成される。クラックセンサは、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサ、超音波センサの少なくとも一つを含むことができる。第2ビームのパワー強度を調節、制御する手段は、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させる手段、および、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させる手段を含むことができる。
【0046】
本発明はまた、非金属基板の分割工程を調節する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、クラックセンサを用いて切断線の位置を測定するステップと、その切断線の位置を基準位置と比較するステップと、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節するステップである。
【0047】
本発明はまた、非金属基板の分割工程中においてビーム形状を調節する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、基板上に入射する第1ビームのエネルギー密度分布が変化するように、第1ビームが基板上に入射する第1スポットの形状および第1ビームのエネルギー密度分布の少なくとも一つを調節するステップである。調節ステップは、非対称ビーム形状を含むように第1スポットの形状を調節するステップ、非対称エネルギー密度が存在するように、またはエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるように、第1ビームのエネルギー密度分布を調節するステップを含むことができる。調節ステップはまた、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成するステップ、または、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することなどにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含むこともできる。
【0048】
本発明はまた、非金属基板の分割中においてビーム形状を調節する装置であって、該基板上の第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1ビームによって生成される第1スポットの形状を調節するコントローラ手段と、を有する装置によっても達成される。コントローラ手段は、第1スポットの形状を非対称ビーム形状へと調節する手段、または第1ビームのエネルギー密度分布を非対称エネルギー密度へと調節する手段を含むことができる。また、コントローラ手段は、エネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節する手段を含むことができる。また、コントローラ手段は、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成する手段、および、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成する手段を含むこともできる。
【発明の効果】
【0049】
このように、本発明によれば、迅速で信頼性の高いレーザースクライビング、単一ステップでの分割、および簡素でありながらパワフルな装置の効率的な実現を可能にする、いくつかの革新的な技術を提供できる。
【0050】
本発明の上記および他の目的および特徴は、後述の図面を連結して考慮される、以下の好ましい実施態様に関する記述から明瞭に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら述べる。
図1は、本発明に係る非金属材料を分割するための装置の概略構成を示している。符号100で示される、非金属材料102を分割するための分割装置は、2つのレーザービーム110、112と少なくとも2つの冷却ノズル116、118を有する。
【0052】
非金属基板102は、ガラスなどの非金属基板102の下方の矢印で示す方向に、分割装置100に沿って相対的に移動される。レーザービーム110はレンズ113を通過し、スクライブレーザービーム加熱領域140に集光する。2つの冷却ノズル116、118は、非金属基板102上に冷却ゾーン142、143をそれぞれ形成するように概略示されている。冷却ゾーン142、143の間には、成長したスクライブ線144がある。レーザービーム112はレンズ114を通過し、破断レーザービーム加熱領域146上に集光する。非金属基板102の分割は、実際の切断線150に沿って制御される。
【0053】
各冷却ノズルは、気体または液体をそれぞれ通過させるための流路122、126を有している。例えば、流路122、126は非金属基板102へ水を供給することができる。オプションとして、ノズル116、118は第2気体および/または液体を供給するためにさらなる流路124、128をそれぞれ有することができる。このように、少なくとも2つの流体またはガスまたは混合物は、非金属基板102を冷却するために各ノズル116、118を通して供給されることができる。
【0054】
ノズル118に隣接させて、内部に配置される流路を通して残留している冷却液体を除去するための真空ノズル130が配置されている。図1に示すように、真空ノズル130はほぼ長方形の横断面を有している。遮光板132は、真空ノズル130に概略隣接させて示されているように配置されている。遮光板132は、ワークピース上のビームスポットを効果的に短縮するために破断レーザービーム112のある部分を選択的に遮蔽するように用いることができる。遮光板132は、レーザー切断工程中ビーム長さを変えるために用いられることもできる。
【0055】
図2は、明確化のために分割装置100が除かれた状態にて、図1に示した切断および冷却工程の平面図を示している。スクライブレーザービーム加熱領域140は、制御可能な幅Aと長さBを有している。スクライブレーザービーム加熱領域140と再加熱領域146との間の距離は距離Cによって表される。再加熱領域146の長さDと幅Fもまた制御される。本発明ではまた、冷却ゾーン142、143間の距離Eを制御し調節する。代表的には、A:B:C:D:E:Fのサイズの比は0.5:55:35:8:5:10が有用である。
【0056】
図3は、非金属基板102の加熱における温度と時間のグラフを示している。非金属基板102は、初期スクライブレーザービームを通過するように進む際、初期的には室温から加熱され、その後2つの冷却ゾーン142、143を通過する。これに破断レーザービーム112による加熱量増大が続き、完全または部分分割を引き起こし、室温へと冷却が続く。
【0057】
図4は、完全材料分割レーザーシステムのための本発明の主要構成要素を示しており、全体として符号200で示されている。このシステムは、光学システムを形成する符号210で示される単一または複数のレーザー源と付帯設備を含んでいる。光学システム210は2つのレーザー222、224を有し、これらはマシンフレーム226上に支持されている。移動システム240は、フレームベルト駆動機構244をトラバースしかつレーザー222、224によって形成された光学システム210に対してワークピースを移動させる支持テーブル242を有している。レーザーは2つの(またはそれ以上の)ビームパスを形成する。このシステムは、一体化分断装置(ICD)とスクライビングビーム230付与用ミラーと破断ビーム232付与用ミラーを備えている。また、レーザー222から照射されるレーザービーム110(図示略)はミラー230上に入射することができる。さらに、レーザー224から照射されるレーザービーム112(図示略)はミラー232上に入射することができる。
【0058】
移動システム240は、コンピュータコントローラ236を使い、レーザー出力に対するワークピースの移動を制御する。コンピュータコントローラ236は、リモート場所に配置されることもできるが、フレームベルト駆動機構244に隣接させて示されている。一つの適用可能な制御方法では、コンピュータから制御信号を発生し、光学機器を静止状態に保ったままワークピースをx、yおよび回転方向に移動させる。逆に、ワークピースを静止させレーザーを搬送する光学システムを全方向に移動させることもできる。組み合わせ状態でも、限定された方向に光学システムとワークピースの両方を移動させることができる。光学システムを180度回転させることによって双方向切断が可能である。また、ワークピースを要求切断部下部に長穴を有する加工用テーブル上に置くことにより、材料の頂面および底面の両側で切断することが可能である。この加工用テーブルは、ローラー式破断装置がワークピースの下部に配置される場合その破断を容易化することもできる。
【0059】
図5は、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)254の使用を示している。曲面の凹面(S1)268はビーム長さ(L)と切断方向におけるエネルギー分布を制御するための最適な負の焦点距離を持つように形成されている。反対側曲面の凸面(S2)270は、最適な正の焦点距離を持ち、切断方向に直交したビームの幅(W)とそのエネルギー分布を制御するように形成されている。
【0060】
図6Aは、レーザービーム310、312と冷却ノズル316、318を含む本発明の別の実施態様の概略構成図である。真空ノズル330は、加熱領域246において非金属基板に接する第2ビーム312に先立って非金属基板の表面から残留冷却液体を集めるためにノズル318に隣接させて示されている。
【0061】
分割装置の制御には、加熱領域246のサイズL、スクライブレーザービーム加熱領域の終端と加熱領域246の始端との間の距離Mおよびスクライブレーザービーム加熱領域240の長さNの監視と調整ステップを含んでいる。
【0062】
図6Aは、分割装置で完全100%分割が達成される場合の配置を示している。領域Pは分割しなかった領域であり、領域Qは分割した領域である。本例ではレーザービーム312は、200ワットで作動されている。
【0063】
図6Bは、上述したように制御パラメータを変更することによって90%分割が行われている場合を示している。例えば、レーザービーム312は、175ワットで作動されることができる。
【0064】
図6Cは、制御パラメータを変更することによって、例えば150ワットでレーザービーム312を作動させることによって行われる75%分割の場合を示している。
【0065】
図6Dは、破断ビーム312が全く使用されない例を示している。本例では熱衝撃とクラックの成長から130〜180ミクロンの溝が生成される。
【0066】
図7は、図6Aで用いられたのと同様の装置を用いた別の実施態様を示している。スクライブレーザービーム加熱領域340は、図7の左側に示されている。それに隣接させてあるいはそれと部分的にオーバーラップして、第1冷却ノズルによって与えられる第1冷却領域がある。第1冷却領域342から離れて、第2冷却ノズルによって与えられる第2冷却領域343があり、第2冷却領域343から離れて、第3冷却ノズル(図示略)によって与えられるオプションとしての第3冷却領域345がある。
【0067】
非金属基板の上に残っている冷却液体を除去するために、第3冷却領域345に隣接させて真空除去領域330が配置されている。本実施態様においては、この真空除去領域は、冷却中に切断線のいずれかの側に飛散したかもしれない液体を除去できるようにアーク形状を有している。遮光板332は、真空除去ノズルに隣接させて配置され、上述の技術により破断レーザービームが調整されるようにしている。破断ビーム加熱領域346もまた示されており、この領域は非金属基板の分割をその設定に応じて完了するように作用する。
【0068】
図8A〜8Dは、しばしばソゲカット(直角でないカット)を生じる従来技術において用いられていた切断ステップを示している。図8Aはスクライブ予定線402が含まれた非金属基板400を示している。図8Bはレーザービーム加熱工程の開始を示しており、加熱領域440を形成するスクライブレーザービームと冷却領域442を形成する冷却ノズルと加熱領域443を形成する破断レーザービームを示している。分割工程が非金属基板中の不均一な加熱プロセスによって続くとき、スクライブレーザービーム加熱領域440は切断線に関して対称にならないように配される傾向にある。これは、非金属基板部分間の分割に真の直角切断からのずれを生じる。図8Dは非金属基板400のそのような分割の結果を示している。切断の側縁410は望ましい側縁線412から角度を持っているので、非金属基板400の底面側における側縁410と目標側縁412との間の距離は、距離414によって示されることになる。
【0069】
図8E〜8Hは、本発明において直角の側縁カットを両側ピースに対して生成するのに用いられる切断ステップを示している。図8Eはスクライブ予定線502が含まれた非金属基板500を示している。図8Fはレーザービーム加熱工程の開始を示しており、加熱領域540を形成するスクライブレーザービームと冷却領域542、543を形成する冷却ノズルを示している。本発明によれば、以下にさらに詳しく述べるクラックセンサ等の装置を用いて、クラックの成長と方向を測定することが可能である。クラックの成長の進展とそのクラックの成長の方向の測定に基づいて、本発明では、分割工程中のクラック成長の方向を補償し補正するように、スクライブレーザービームのレーザービーム角度、エネルギー分布および/または方向を調節する。例えば、元の所望の切断線は線520で示され、クラックの成長がその線520に沿って続くように補正されることができるように、スクライブレーザービームの方向が線522に沿って再指向されることができる。図8Gは、非金属基板500の分割のために補正されたパス520に沿って継続しているレーザービーム分割工程を示している。図8Hは、非金属基板が2つのピース504、506に分割された、完了した分割工程を示している。各ピース504、506は、直角に切断された側縁を有する。非金属基板506は、非金属基板506の頂縁と底縁に対して垂直に形成された側縁512を有する。
【0070】
図9A、9Bは、本発明の別の実施態様に係る分割装置の前面図および側面図を示している。この分割装置は、加工用テーブル610の上方に配置されたレーザー切断ユニット600を有している。加工用テーブル610は、リニアモータ612によって直線方向に移動される。リニアモータ612は、分割装置のベース614上に配置されている。非金属基板616は、加工用テーブル610上に配置される。
【0071】
レーザー切断ユニット600は、非金属基板616の端から端まで成長するクラックに向けられることが可能な光ビームを発生させる光源620を有している。光は、非金属基板616によって反射され、クラックセンサ630によって受光され得る。上述したように、種々の異なるクラックセンサを用いることができる。
【0072】
図9Bは、レーザー切断ユニットの側面図を示しており、光源620(図示略)とともにスクライブビーム622、一つのまたは複数のノズル624および破断ビーム640と、冷却ノズル624と破断ビーム640の間で受光するように配置されたクラックセンサ640が、示されている。
【0073】
図10は、本発明における貼り合わせガラス基板のための切断順序を示している。例えば、貼り合わせガラスがその貼り合わせ基板中にTFTパネルを含んでいる場合には、このパネルがまず最初に切断される。第1および第2切断は、線1、2に沿った完全カットである。これらの切断中、レーザーパワーを調節することが可能である。そして、貼り合わせガラス基板は、線4に沿う完全切断および線5に沿う完全切断によって後続される、線3に沿う完全なオフセット切断を行うことによって、カラーフィルター(CF)側で切断されることができる。
【0074】
図11は、本発明における貼り合わせガラス基板のための別の切断順序を示している。例えば、貼り合わせガラスがその貼り合わせ基板中にTFTパネルを含んでいる場合には、第1および第2切断は、TFTパネル中の線1、2に沿った完全カットである。そして、貼り合わせガラス基板は、前記線4に沿う完全および線5に沿う完全/ハーフカットによって後続される、線3に沿うスクライブ切断を行うことによって、CF側で切断されることができる。図12は、CF側の切断操作を示している。この切断操作中、切断速度を調節することも可能である。
【0075】
図13は、可動テーブル700上に配置されたガラスまたは他のパネル710などの非金属基板における様子を示している。可動テーブルは、切断線画非金属基板710の後部側から形成されるように種々の区分に分割されることができる。本例では、貼り合わせパネルは、接着剤で接合されたTFTパネル712とカラーパネル714を有している。図13に示すように、可動テーブル700の離間端縁間の領域で線720に沿って第1切断を行うことが可能である。そして、さらなる切断は、線722、724に沿って行うことができる。
【0076】
図14は、クラックセンサを含む実施態様に係る分割装置の制御機構の概略全体構成図を示している。このシステムコントローラは、情報ディスプレイ、キーボード等の入力手段、レーザーユニットを制御するレーザーコントローラ、クラックセンサ、およびリニアモータを制御する移動コントローラへの接続を含む。
【0077】
図15は、本発明におけるクラックセンサを使った制御操作のフローチャートを示している。最初に、レーザービーム放射が始まり、非金属基板上に衝撃される。そして、クラックセンサ光源が起動し、クラックの成長および方向を示す光線が非金属基板から反射され、クラックセンサがそれらを検出する。それから、目標とするクラック成長位置と方向と、測定されたクラック成長位置と方向とが比較される。目標位置と測定位置が同じである場合には、エネルギーレベルがそのときの設定に保たれる。しかし、クラック成長の測定位置が目標位置よりも前方にある場合には、レーザーへのエネルギーが低減される。一方、クラック成長の測定位置が目標位置よりも後方にある場合には、レーザーへのエネルギーが増加される。この工程は、非金属基板の終端部位置に至るまで続けられる。非金属基板の終端部位置にきたら、レーザービーム用エネルギーは停止される。
【0078】
切断の最適シーケンスは、携帯電話用切断やHDTVパネルの短冊状切断を含む多数の適用用途で開発されてきた。携帯電話用には、切断する際の第1側における切断深さを制御することによって(例えば、90%カット)、貼り合わせパネルの第2側の切断中にパネルが保持されることから、信頼性の高い携帯電話用パネルのクロス切断をより容易に達成することができる。第2切断のエッジ部の影響(例えば、入出口側領域)については、レーザーパワー、x−y位置(例えば、ジグザグ進行)、テーブル角度、クラック初期成長力と位置(例えば、入口側)、およびテーブル吸引力を動的に制御することにより、望ましい結果を達成できる。
【0079】
目に見えないクラックを生成するために熱衝撃の良好なバランスを発生させ、続いて、単板のまたは貼り合わせのパネルを完全にあるいは部分的に切断するための第2ビーム適用による十分な引張力を発生させるために、複数のビームを使用することも可能である。吸引は、冷却用の使用された残留水または液体を除去し、光学面(例えば、ミラーやレンズ等)がそれらに曝されることを防ぐために用いられる。
【0080】
第1レーザー(スクライブレーザー)と第2レーザー(破断レーザー)の独立制御もまた可能である。パネルの端から端までのクラック成長を制御し安定化させるために、工程全体にわたるレーザービームパワーおよび/またはレーザービームに関するテーブル角度および/またはテーブル速度の動的制御にコンピュータソフトが用いられる。
【0081】
目に見えないクラックの深さのリアルタイムクローズドループ制御(例えば、1%から100%分割)は第2レーザーのレーザーパワーの調節によって行われる。このパワーは、クラックの存在および/または幅を測定可能なクラックセンサまたは検出器あるいは溝深さ検出装置(光学、音、RFによる、または他の手段)からのフィードバックループによって制御される。これによって、切断深さの精密な制御および/または分割ガラスの完全切断と形状のしかるべき形態への管理が可能になるであろう。
【0082】
複数のノズルビームの形態としては、脆性材料の冷却性能を高めるために2以上のノズル形態を含む。これらノズルは、小さな面積(例えば、0.5mm径未満)全体にわたる最大冷却(dT/dt)および/または全体にわたる熱の最大除去(冷却効果またはdQ/dt)を考慮して設計される。より深い溝や目に見えないクラックを生成することによって、材料やパネルの完全切段に要求される力、ここではパワー、を低減することが可能である。
【0083】
本発明についてその好ましい実施態様に関して述べてきたが、当業者が想定し得る他の種々の実施形態および変化形態も本発明の範囲および思想の範囲内であり、そのような他の実施形態および変化形態も請求の範囲によってカバーされるよう意図されていると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施態様に係る分割装置によって分割される非金属基板を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るレーザービームおよび冷却ノズルによってそれぞれ形成される加熱領域および冷却領域を示す平面図である。
【図3】非金属基板の分割中の加熱、冷却および再加熱段階を示す時間と温度のグラフである。
【図4】本発明の一実施態様に係る分割装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施態様に係る一体化クラッキング装置内に含まれる二重非対称シリンドリカルレンズ要素の拡大断面図である。
【図6】図6A〜6Dは本発明に係る分断深さの制御を示す図を含む非金属基板分割装置の概略構成図である。
【図7】本発明の別の実施態様に係るレーザービームおよび冷却ノズルによってそれぞれ形成される加熱領域および冷却領域を示す平面図である。
【図8】図8A〜8Dは不完全切断またはソゲの分割結果の非金属基板の分割工程を示す図であり、図8E〜8Hは直角切断の分割結果の非金属基板の分割工程を示す図である。
【図9】図9Aは本発明のさらに別の実施態様に係るクラックセンサを含む非金属基板分割装置の概略構成図であり、図9Bはその非金属基板分割装置の別の角度から見た概略構成図である。
【図10】本発明のさらに別の実施態様に係る貼り合わせ非金属基板のための切断順序を示す図である。
【図11】本発明の別の実施態様に係る貼り合わせ非金属基板のための別の切断順序を示す図である。
【図12】図11に示した実施態様におけるCF側切断のための切断順序を示す概略図である。
【図13】稼働テーブル上に配置された非金属基板の概略斜視図である。
【図14】本発明のさらに別の実施態様に係る制御用クラックセンサを含む非金属基板分割装置の概略全体構成図である。
【図15】本発明により非金属基板中のクラックの成長を制御するためのクラックセンサを用いた制御工程を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、切断および分割技術に関する。とくに本発明は、非金属のあるいは脆い材料をレーザーを用いて切断、分断および/または分割する装置、システムおよび方法に関する。
なお、この出願は、2004年6月21日出願の米国仮出願第60/581,856号および2004年6月22日出願の米国仮出願第60/582,195号の優先権を主張しており、ここにこれら出願を参考文献として組み入れる。
【背景技術】
【0002】
レーザーを用いて脆い材料中に微小亀裂(マイクロクラック)を成長させる技術は、30年以上前から知られている。1971年に発行されたラムレイの特許文献1は早くからよく知られている刊行物である。多大な活動にもかかわらず、この技術は、多くの分野で未だ商業的に有用なものとなっていない。このような状況にあることの一次的な理由は、遅い工程速度、複雑なレーザーモードの使用、レーザースクライブのメカニズムの貧弱な理解、および時間がかかること、そして、粒状物質とマイクロクラックを発生しラーザー分割の本来の利点を妨げる旧式の2段階の工程(例えば、スクライブと破断)にある。
【0003】
非金属材料を分割する最適なシステムを設計するためには、理解されることが必要な2つの基本的なメカニズムがある。第1のメカニズムは、熱的メカニズムであり、それは、脆性の材料の温度を目標温度に昇温し、しかる後にその材料を急冷して材料内の分子結合を破断することにより、材料がその臨界熱衝撃温度を超えてしまうメカニズムである。この工程は、材料の内部熱的変化、外力、内力および端縁強度により生じる一般に「目に見えない亀裂(ブラインドクラック)」と呼ばれているものを形成する。第2のメカニズムは、材料の内部熱的変化、外力、内力および強度により生じる材料内の三次元応力/歪に関する関係である。
【0004】
特許文献2は、境界を完全分割しない基板の破断方法を開示している。標準的な分割技術では、材料を破断するために2段階の工程を要する、つまり、スクライブステップとそれに続く機械的な破断ステップを要する。基板厚みが0.4mmを超え、基板内の残留引張力が基板を分割するのに不十分である場合に、とくにこのようになる。
【0005】
他の技術では、意図した切断部位の周辺に熱衝撃を与える、幅が広すぎる(通常、8mmよりも広い)2重破断ビームが用いられている。これは、ガラスのクラック発生を弱めるおよび/または制御できない事態を招く。また、切断物のいずれかの側での電子部材やコーティング/層の存在により、限られた軌跡幅以内で分割を行わなければならない場合も多々ある。
【0006】
本発明者による発明に係る特許文献3〜5はすべて、2つのレーザービームとそのレーザービームに隣接する冷却ノズルを用いて非金属基板を分割する装置および方法を開示している。これら特許文献はここに参考文献として組み込まれる。これらの装置を改良するために指摘を要する追加事項を以下に述べる。
【0007】
熱破壊温度を超えること:マイクロクラックを脆性の材料の端から端まで成長させるためには、温度は、臨界熱衝撃温度(Tcr)を超えるか、または、材料内の分子結合が破断して材料内にブラインドクラックを形成する点を超えなければならない。これは通常、臨界熱衝撃温度(Tcr)を超えるために材料を所定温度まで加熱し冷媒流を用いてその材料を冷却することによって達成される。ある種の材料では、Tcrが極めて低温であるので、マイクロクラックをうまく成長させるために比較的少ない冷却が要求される。このような場合には、ヘリウムのような冷却ガスのみを冷却用に使用することができる。他の材料では、とくに低熱膨張率の材料では、Tcrを超えるために高勾配が要求され、効果的な冷却のためにガス/水の混合物が要求される。この場合には、対流および伝導による熱伝達とともに流体の蒸発による潜熱の解放が、より効率のよい材料の冷却に寄与し、それによって臨界熱破壊温度を超えることができる。
【0008】
しかしながら、最適化された冷却であっても、レーザースクライビングをうまく達成するためには適切な初期境界条件が必要である。換言すれば、材料の温度は、臨界熱破壊温度を超えるための冷却の「余地」を与えるに十分な高温まで昇温される必要がある。最低温度と最高温度(例えば、ガラス軟化温度)間のプロセスウインドウ(つまり適正条件)は非常に小さいので、熱影響を受けるゾーンの精密な制御が要求されることが多い。
【0009】
臨界破断力を超えること:旧来のスクライビング操作は、典型的には、材料内に初期通気孔または目に見えないクラックが形成された後に第2破断ステップを要する。この場合、破断を完了させるために機械的な方法が利用され、それによって、ローラー式破断具や機械的ギロチン式破断具等の手段を用いて曲げモーメントが作用される。これらのいずれの方法においても、スクライブされた領域に沿って材料の分割を完了するに十分な力がかけられる。完全分割を効果的に行うために要求されるこの力を、ここでは臨界破断力(Fcb)とする。薄い材料(例えば、0.4mm未満)をスクライブするとき、材料内の残留引張力はガラスを分割するのに十分な力かも知れない。しかし、その残留引張力は、ここで記述する新しい方法ほどには、制御可能なものではない。したがって、より制御性を向上するためにスクライブ工程の残留引張力を最小化することが望ましい。より薄い材料については、レーザースクライビング操作によってもたらされる残留引張力は、通常その材料を完全分割するには不十分である。他の場合においては、その引張力は十分に大きいので材料は制御不能の状態にて分割し、冷却領域の前で容易に移動できるようになる。これは、分割力学が、本来非対称の温度勾配のみによって制御されるものであることから、直進性を危うくする結果を招く。分割メカニズムとして冷却することなく2重平行ビームを用いるいくつかの技術が示唆されてきた。しかしながら、これらの技術は、固有の非対称性による不規則な切断を生じる。臨界破断力に対する制御を改善するためには、新しい方法が必要である。
【0010】
エッジ部の影響を克服すること:いかなる材料においても、入出口クラックは考慮すべき重要なことである。基板の端縁は、その材料の主要部よりもはるかに弱く、これが熱衝撃導入後の制御されないクラック発生を許容することとなっている。加えて、端縁の研磨等の機械加工による材料端縁に沿ったマイクロクラックがしばしば存在し、これも同じく考慮する必要がある。最後に、材料の端縁は、その端縁が伝導および対流熱伝達領域間の境界として機能することから、材料の主要部よりも速く昇温する傾向にある。したがって、貫入や突出等のエッジ部の問題を克服する方法の改良が必要である。
【0011】
確実なスクライブの初期亀裂:材料の端から端までマイクロクラックを成長させるためには、初期マイクロクラックの存在が必要である。上述したように、多くの材料は既に他の加工による端縁に沿った多数のマイクロクラックを有している。しかし、残留マイクロクラックに依存するよりも、所定の場所に制御された方法でマイクロクラックを導入する方がより望ましい。加えて、端縁処理技術の改良につれて、端縁がクラック発生に耐えるように加工されてきているので、端縁に沿ってマイクロクラックを初期生成することがより困難になっている。このように、確実なスクライブの初期亀裂生成技術が必要である。
【0012】
効果的なクロス切断:完全分割技術には新しい挑戦がある。基板が一旦一方向に完全分割されてしまうと、第2の方向(通常は90度方向)への切断は、多数の新たな境界の存在によりより挑戦的なこととなる。
【0013】
さらに、複数の光学要素を必要とするレーザービーム伝送システムには、設計上の柔軟性が少ない。加えて、複数の光学要素は、顕著なレーザーパワー量を吸収あるいは反射し(例えば、ARコートZnSe素子では1素子当たり5%)、それが、6素子システムを使用する場合には36%を超えるロスとなる。さらに加えて、複合光学システムは質量が大きく移動が困難である。さらにまた、これら複合システムは、設定からずれやすい精密なアライメントとキャリブレーションを要求することとなっている。最後に、冷却ノズル、スクライブビーム、破断ビーム、スクライブの初期亀裂生成部位間等における規定の距離を調節することは難しく、それほど安定的ではない。大半のシステムは、ビーム伝送システムの大きな質量により一方向切断を達成することができるだけであって、スクライブの初期亀裂生成や冷却装置のような他の要素の制御とは独立している。典型的には、一つの設備当たり一つのレーザーヘッドユニットのための部屋だけがあり、それによって製造時間削減のために同時に切断する複数ヘッドを設けるオプション形態を排除している。
【0014】
固定光学システムはまた、レーザーをワークピースに対して移動させる代わりにレーザービーム下でワークピースを移動させることが必要な固有の非効率さをもってほぼ2倍の機器設置面積を要求する。しかも、スクライブビームと破断ビーム間の距離は予め設計によって固定されており、設備全体の設置面積は限られた幅に制限される。これにより、異なる材料に変更する際には大きな柔軟性が許容されなくなる。スクライブビームと破断ビーム間の相対的なビームパワーは、物理的にビームスプリッターを変えるか、またはファセット加工された素子を調節することによって、調整される。ビームスプリッターについては、相対パワーはビームスプリッター上のコーティングの相関関係であり、再現は困難である。また、ノズルの設計によっては不適合な流れを招き、ワークピース上に水や他の液体残渣を残すことがある。
【0015】
このように、この分野では数多くの問題があり、多くの技術が克服されるべき欠点を抱えていることがうかがえる。
【特許文献1】米国特許第3610871号公報
【特許文献2】米国特許第5826772号公報
【特許文献3】米国特許第6259058号公報
【特許文献4】米国特許第6489588号公報
【特許文献5】米国特許第6660963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの、さらにいくつかの他の欠点を克服するために、本発明は、迅速で信頼性の高いレーザースクライビング、単一ステップでの分割、および簡素でありながらパワフルな装置の効率的な実現を可能にする、いくつかの革新的な技術を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、非金属材料の複数の小ピースへの精密な分割に関する。とくに、本発明は、望ましいパスに沿った完全分割を可能とする、制御されたマイクロクラックの成長と制御された材料の内力とによって、非金属材料の分割を精密に制御する方法に関する。
【0018】
本発明の一つの目的は、適切で制御可能な熱的クラック生成(例えば、レーザースクライビング)のための最適な熱的条件を、最適な応力/歪関連条件と適合させ、非金属材料を所定の制御された方法で完全に分割することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、冷却領域の後方の適当な場所にて十分に大きな力(Fcb)をかけるとともに、残りの力を冷却領域の前にて臨界破断力(Fcb)以下に保つことにより、制御された方法で基板を分割することにある。
【0020】
主構成要素:完全分割レーザーシステムの主構成要素は、単一のまたは複数のレーザー源、光学システムに対してワークピースを移動させるように設計された移動システム、2またはそれ以上のビームパスからなる光学システム、一体化分断装置、レーザースクライブ促進装置、および補助破断装置を含む。
【0021】
レーザー源:レーザー源は分割されるべき材料に基づいて選択される必要がある。スクライビングの一次的な評価基準は、効率のよい、信頼性の高い、そして最も重要なことには、100%に近い吸収効率を持った出力波長を有しているレーザー源を見つけることである。すなわち、レーザー放射は、一次的には、分割されるべき材料の表面で吸収されるべきである。ガラスの場合には、10.6ミクロンの出力周波数(出力波長)を有するCO2 レーザー源が代表的に用いられる。シリコンの場合には、1.06ミクロン以下のの出力波長を有するYAGレーザー源が代表的に用いられる。加えて、レーザーの作動モードは、主としてガウス形状のビーム分布を与えるTEM00モードとすべきである。光学システムを使用する際には、レーザービーム分布がある点から他の点に多少なりとも変化しないように、均一で平行な(コリメートされた)出力を達成することが重要である。また、一般的に「遠方領域(ファーフィールド)」条件として知られているものへの転移のためのレーザービーム時間を与えるために、レーザーの出力と浮動光学機器との間に十分なスペースを確保しておくことも推奨できる。
【0022】
LSADビームパスの場合には、レーザー出力波長の選択は必ずしも最高吸収効率に対応する必要はない。材料本体の全体に渡って効率よく加熱可能とするために、100%よりもかなり小さいレーザー波長を選択することが望ましい場合もある。このような形態は、引張力と表面での放射熱損失を制限しつつ、対象となる領域の材料の中身を効率よく加熱することを助長する。また、ここで述べた同じ平行化基準(コリメーション基準)を達成することも重要である。
【0023】
最後に、同じ領域またはビームポット内に異なるレーザー波長を混在させたい場合があるかも知れない。例えば、あるレーザーは、通常吸収が高くはない異なる波長のレーザーによって続いて加熱されることを可能とするために、吸収の高い波長で材料を予熱するために用いられる場合がある。この現象は、吸収または自由搬送吸収に依存する上昇温度によって生じる。
【0024】
移動システム:コンピュータを用いてレーザー出力に対するワークピースの移動を制御する移動システムが用いられる。これを達成するために採用され得る方法は数多くある。一つの方法は、光学機器は静置させたままワークピースをx、y、Θ方向に移動させる工程を含む。逆に、ワークピースが静置したまま光学システムがあらゆる方向に移動されることも可能である。組み合わせた方法もまた採用されることができ、光学システムとワークピースの両方が限定された方向へ移動されることもできる。加えて、光学システムの180度回転も双方向切断用に採用され得る。他のオプションとしては、時間削減のための製造用途に複数のICDアレイを利用することである。この場合、望ましいICDは適当な時間にビームパス内へと移動されることができる。これらの評価は、光学システムが簡単になればなるほど、質量が小さくなればなるほど、より高められる。最後に、ワークピースを望ましい切断箇所の下に長穴を有する加工用テーブル上に置くことにより、材料の頂部側と底部側の両方で切断することができる。この種の加工用テーブルはまた、ワークピースの下に置かれたローラー式破断装置での破断の容易化にも寄与する。
【0025】
一体化分断装置(ICD):光学パス、冷却機構、オプション的な遮光板および水除去手段は一つの多機能装置内に一体化される。この装置は、使用者の材料中での望ましい高温度勾配の達成を可能としつつ、簡素で柔軟性があるように設計される。三重反射冷却機構(TRQM)は、基板中に制御された高い温度勾配を与えるのに利用される。
【0026】
冷却ノズルには、レーザービームがノズル周りに再指向するように、かつ、放射レーザービームがワークピース上で冷却領域の近くに、それに交差するように、その周りに、あるいはその範囲内に入射するように、反射カバーを嵌合すっることができる。
【0027】
レーザースクライビングがより効率のよい柔軟性のあるものとなるようにICD内には特別仕立ての単一要素レンズを使用することができる。単一要素とすることでレーザーヘッドのサイズと重量が顕著に低下する。好ましい態様としては、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)を使用する。DACLEは、望ましいレーザービーム分布を達成するために用いることができる。
【0028】
マイクロクラック初期生成機構(MI)は、ICDハウジング上に直接載置され、それは、分割されるべき材料の端縁にマイクロクラックを生成するためにzストローク機構内に標準スクライブホイールを有している。このMIは、スクライブビームの前に置かれる。MIは、レーザースクライブ促進装置(LSAD)の後に置かれ、LSADにより発生する熱が早まってマイクロクラックを成長開始する機会を低減する。本発明では、ガラスの表面で消耗YAGパルスを使用するレーザースクライブ起動オプションも組み込む。
【0029】
一体化クラッキング装置は、一つのチューブと、横断面が円形または四角の一つの特別仕立ての光学要素と、マイクロクラック初期生成機構と、冷却装置と、ミラー要素からなる。
【0030】
光学要素:一つの光学要素は、最適な熱足跡、つまり、一般に、長さ80mm以下で幅5mm以下の楕円ビームを与えるように設計される。この要素が、各方向において平坦な頂部分布を示すことも望ましい。平行化された入力ビームが与えられる単一の要素からこの分布を達成するためには多くの方法がある。一つの方法は、回折光学要素を使用する方法で、それによってレンズの内部構造が予めプログラムされた出力分布を与えるように変更される。他の、この望ましい分布を達成するためのより安価な方法は、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)を利用する方法である。その曲面の凹面(S1)は、最適な負の焦点距離を与えるように設計され、切断方向(x)におけるビーム長(l)とエネルギー分布を制御する。反対側の曲面の凸面(S2)は、最適な正の焦点距離を与えるように設計され、切断方向と直交する方向(y)におけるビーム幅(w)とエネルギー分布を制御する。これら曲面は、切断にとって最適となる出力を与えるようにプログラムされる。
【0031】
ノズルアセンブリは、効率のよい冷却が行えるよう設計された、3つの独立した流体システムを有する。好ましい形態では、液体は中央チューブを流され、気体は同心の外側チューブにて指向され、最外領域にバキューム力がかけられる。この形態では、高圧空気が液体を冷却領域の中心に向けて勢いよく流すことに寄与しつつ、バキュームが残留液体を除去し空気流を制御する。水を破砕し霧化して冷却効率を向上するために、オプションの高周波圧電振動子をノズル上に置くことができる。この好ましい形態では、バキュームはノズルとは同心ではないが、テーブルの動きに対してノズルアセンブリの後半部に位置される。
【0032】
部分遮光板機構:特別仕立てのレンズとワークピースの間に設けられる遮光板は、放射レーザーの一部を選択的に遮蔽しワークピース上のビームスポットを効果的に短縮するために使用できる。この特徴は、レーザー切断工程中ビーム長を変えて望ましい作用を与えるために利用できる。例えば、レーザービームが基板の端縁の過熱を避けるためいに基板の先端または終端近傍にある状態にて、レーザービームの前側区分を切り詰めるためにこの遮光板を採用できる。これはまた、モータ駆動のレンズホルダーを用いてリアルタイムに焦点距離を変えることによっても達成できる。
【0033】
破断装置:基板の完全分割は、種々の技術を用いて達成され、それら技術には、1)基板の底面を冷やすこと、2)温風流、2重レーザービーム、単一レーザービーム、またはTEM20モードで作動する単一レーザービームを用いて基板の頂部を加熱すること、3)加工用テーブルに組み込まれた革新的な特徴を利用して望ましい方法で基板に機械的に応力を加えること、4)基板内に所望の圧縮/引張力を生成する倒立式ローラー破断装置、5)マイクロクラックを除去あるいは低減する貼り合わせガラス用剪断力分割技術、が含まれる。
【0034】
加えて、ローラー式破断装置は、基板の下部に位置され、完全分割を効果的にするためにスクライブ範囲から所定の距離後方で切断パスに沿って移動されることができる。これは、加工用テーブルが予定切断部下部側に長穴を有する場合に最適に作動する。この技術による利点は、その力がスクライブ範囲の後方にうまく位置され、それによって直進性が確保されることにある。最後に、基板分割に剪断力を利用でき、とくに貼り合わせ材料に有用である。これは、上述の他の技術によって導入される曲げモーメントを除去するすることにより、貼り合わせ体の中央層におけるマイクロクラックを最小化あるいは低減するのを助ける。
【0035】
上記TRQDの他に、本発明は少なくとも2つのノズルを有する冷却装置についても言及する。第1冷却ノズルは、レーザースクライブの直進性を保つために一次的に使用される。第1冷却ノズルには、1または2流体と、噴射ノズルまたは霧化ノズルを用いることができる。第1流体は、代表的には水のような液体である。第1流体の量および流体圧力はともに調節できる。第2流体には、空気、窒素、酸素と窒素の混合ガス、酸素、窒素および二酸化炭素の混合ガスを使用できる。第2流体の量および流体圧力はともに調節できる。流体量は、オリフィスサイズを変更することにより、あるいはレギュレータを用いることにより、調節できる。レギュレータの種類には、ニードル弁、ベンチュリ弁、バタフライ弁、ゲート弁等が含まれる。冷却領域には小さなスポットがある。また、ミストの焦点距離は、切断と同じである。第2ノズルは、浅い溝がより深くなるようにする。この第2ノズルには、第1ノズルとは独立して調節可能なパラメータを含めることができる。第2ノズルのスポットサイズは、第1ノズルにより生成されたスポットサイズよりも広い。また、ミストの焦点距離は、切断とは異なっている。
【0036】
本発明で指摘する他の項目は、「ソゲ」(または直交)という語に関連し、切断端縁は材料全体にわたって完全な直角カットではないという事実を考慮したものである。このソゲの問題を克服するために、切断端縁の角度はできるだけ直角に近くされる必要がある。本発明では、切断線に沿った長軸とエネルギー強度を調節できる。エネルギー強度は、熱影響を受けるゾーンを先端から後端にかけて、および/または、左右間にわたって変化させる。切断線と交差する方向への熱伝達は、その開始部位から終端部位まで調節可能である。エネルギー強度は、ビーム位置により調節できる。ビーム位置は、光学機器および/またはテーブル位置によって調節される。これは、レンズ位置、反射ミラーの位置および反射ミラーの角度調節を含む。エネルギー強度はまた、ビーム角度により調節できる。ビーム角度は、レンズ角度および/またはテーブル角度により調節できる。
【0037】
本発明はまた、単板ガラスピースおよび貼り合わせガラスピースを少なくとも2方向にクロスカットするようにした切断方法に関する。開示される一つの方法は、ガラスピースを分割されないままとする各切断線でクロスセクションを生成するレーザービームを使用する。第1切断線はガラスピースのほぼ半分を切断するようにハーフカットとすることができ、第2方向における切断線はフルカットとすることができる。第1方向における切断線はクロスセクションの前方および後方45mmにてハーフカットである。ハーフカットの深さは、照射される加熱エネルギーを変えることで調節できる。また、加えられる真空吸引などによる下向きの力を用いることにより、ギザギザの溝を作ることも可能である。ギザギザの溝を作る他の方法としては、加熱エネルギーを下向きの力とバランスさせる方法がある。
【0038】
本発明はまた、クラックセンサを用いて非金属基板を分割する方法および装置に関する。これにより、破断ビームのレーザーパワーが最適化され、良好な切断面が得られる。クラックセンサは、破断ビームの照射で生成される切断線の位置を動的に測定できるように基板の近傍に位置される。クラックの測定位置情報は基準位置と比較され、この情報に基づいて破断ビームのパワー強度を調節する手段が設けられる。クラックセンサとしては、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサまたは超音波センサを使用できる。測定されたクラック位置と基準位置との比較は、信号処理装置、基板処理操作およびマイクロプロセッサによって行われる。クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはビームエネルギーを増加させ、クラック位置が基準位置よりも先になっている場合にはパワー強度を低下させることが可能である。
【0039】
本発明はまた、切断方向に対称形状とは異なってスクライブレーザービームが形成されるよう調節する方法および装置に関する。この方法では、前後側間でビーム形状またはエネルギー強度が非対称とされる。例えば、加熱開始部のビーム幅はより広く、終了部ではより狭い。あるいは、加熱開始部のビーム幅はより狭く、終了部ではより広い。ビームエネルギー強度は、特定の領域でより高くまたはより低くすることができる。これらの特徴は、ビーム強度の密度を変えることにより達成できる。また、ビーム照射に傾斜角を付与することも可能である。この傾斜角は基板と照射ビームの方向との間で規定することができる。レンズ角度を照射ビームの方向に対して傾けるように調節することもできる。
【0040】
上記技術を用いて、従来技術の欠点を克服する高度に制御されたマイクロクラックの成長および精密な分割を通して非金属基板を分割する方法および装置を提供するという、本発明のもう一つの目的を達成することが可能である。このように、本発明は、完全分割、向上された精度、高度に制御された温度勾配、改良された端縁品質、効果的なクロス切断、低減されたエッジ部の影響、および、より高い柔軟性とコスト低減とを与える簡素な設計をもって、速い工程速度を可能ならしめるという特徴を含むものである。
【0041】
本発明のこれらおよび他の目的は、非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板上の、第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1冷却装置と第2ビームの間に位置された第2冷却装置と、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置によって達成される。第2冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第3冷却装置を使用することも可能である。これら冷却装置は、少なくとも一方が、水や空気などの2流体混合物の霧化吹き付けノズルを含むことができる。分割装置の制御には、第2冷却装置(または第3冷却装置)に対し第1冷却装置のパラメータを独立して調整することが含まれる。
【0042】
本発明はまた、非金属基板のある部分の分割を制御する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。第1ビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、続いて、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに隣接する、あるいはそこから離れた部位に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該第1冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第2冷却ノズルでさらに冷却するステップと、次に、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップである。この方法には、第2冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第3冷却ノズルで付加冷却するステップを含めることができる。冷却工程に続いて、第2スポットの前で過剰冷却流体が吸引される。また、第2ビームに供給されるパワー量を制御または調節することも可能である。
【0043】
本発明はまた、非金属基板中に直角分割箇所を作る方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。第1スクライブビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、続いて、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該冷却ステップに続き、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップである。この方法にはまた、第1スクライブビームが基板に入射する角度および基板に入射する第1スクライブビームのエネルギー強度の少なくとも一つを調節するステップを含めることができる。調節ステップには、第1スクライブビームに関連するレンズの位置の調節および/または第1スポットの位置の調節を含めることができる(例えば、基板を保持するテーブルの位置またはミラーの調節)。
【0044】
本発明はまた、非金属基板の分割方法であって、第1ビームを基板の第1側上の第1スポットに入射するステップと、続いて冷媒流が基板の第1側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、を有する方法によっても達成される。第2ビームは基板上の第2スポットに入射され、厚みを有する基板の一部分を完全に破断する。そして基板は、基板の第2側が第1ビーム、第1冷却ノズルおよび第2ビームに面するように基板を回転される。続いて、第1ビームが基板の第2側上の第3スポットに入射し、それから、冷媒流が基板の第2側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却する。そして、第2ビームを基板上の第4スポットに入射し、厚みを有する基板の少なくとも他の一部分を完全に破断する。この方法には、第1冷却ノズルと第2ビームとの間に位置された第2冷却ノズルで冷却するステップを含めることができる。また、第2ビームを基板上に入射するステップが、基板の第1側を端から端までほぼハーフカットとし、第2ビームを基板の第2側上に入射するステップが、基板を端から端までフルカットにする。
【0045】
本発明はまた、非金属基板のある部分を分割する装置であって、基板上の第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、基板から分離されて設けられ切断線の位置を測定するクラックセンサと、動作可能にクラックセンサに接続され、切断線の位置についての情報を受けその切断線の位置を基準位置と比較し、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節する手段を備えたコントローラと、を有する装置によっても達成される。クラックセンサは、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサ、超音波センサの少なくとも一つを含むことができる。第2ビームのパワー強度を調節、制御する手段は、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させる手段、および、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させる手段を含むことができる。
【0046】
本発明はまた、非金属基板の分割工程を調節する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、クラックセンサを用いて切断線の位置を測定するステップと、その切断線の位置を基準位置と比較するステップと、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節するステップである。
【0047】
本発明はまた、非金属基板の分割工程中においてビーム形状を調節する方法であって、次のステップを有する方法によっても達成される。基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、基板上に入射する第1ビームのエネルギー密度分布が変化するように、第1ビームが基板上に入射する第1スポットの形状および第1ビームのエネルギー密度分布の少なくとも一つを調節するステップである。調節ステップは、非対称ビーム形状を含むように第1スポットの形状を調節するステップ、非対称エネルギー密度が存在するように、またはエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるように、第1ビームのエネルギー密度分布を調節するステップを含むことができる。調節ステップはまた、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成するステップ、または、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することなどにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含むこともできる。
【0048】
本発明はまた、非金属基板の分割中においてビーム形状を調節する装置であって、該基板上の第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1ビームによって生成される第1スポットの形状を調節するコントローラ手段と、を有する装置によっても達成される。コントローラ手段は、第1スポットの形状を非対称ビーム形状へと調節する手段、または第1ビームのエネルギー密度分布を非対称エネルギー密度へと調節する手段を含むことができる。また、コントローラ手段は、エネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節する手段を含むことができる。また、コントローラ手段は、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成する手段、および、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成する手段を含むこともできる。
【発明の効果】
【0049】
このように、本発明によれば、迅速で信頼性の高いレーザースクライビング、単一ステップでの分割、および簡素でありながらパワフルな装置の効率的な実現を可能にする、いくつかの革新的な技術を提供できる。
【0050】
本発明の上記および他の目的および特徴は、後述の図面を連結して考慮される、以下の好ましい実施態様に関する記述から明瞭に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら述べる。
図1は、本発明に係る非金属材料を分割するための装置の概略構成を示している。符号100で示される、非金属材料102を分割するための分割装置は、2つのレーザービーム110、112と少なくとも2つの冷却ノズル116、118を有する。
【0052】
非金属基板102は、ガラスなどの非金属基板102の下方の矢印で示す方向に、分割装置100に沿って相対的に移動される。レーザービーム110はレンズ113を通過し、スクライブレーザービーム加熱領域140に集光する。2つの冷却ノズル116、118は、非金属基板102上に冷却ゾーン142、143をそれぞれ形成するように概略示されている。冷却ゾーン142、143の間には、成長したスクライブ線144がある。レーザービーム112はレンズ114を通過し、破断レーザービーム加熱領域146上に集光する。非金属基板102の分割は、実際の切断線150に沿って制御される。
【0053】
各冷却ノズルは、気体または液体をそれぞれ通過させるための流路122、126を有している。例えば、流路122、126は非金属基板102へ水を供給することができる。オプションとして、ノズル116、118は第2気体および/または液体を供給するためにさらなる流路124、128をそれぞれ有することができる。このように、少なくとも2つの流体またはガスまたは混合物は、非金属基板102を冷却するために各ノズル116、118を通して供給されることができる。
【0054】
ノズル118に隣接させて、内部に配置される流路を通して残留している冷却液体を除去するための真空ノズル130が配置されている。図1に示すように、真空ノズル130はほぼ長方形の横断面を有している。遮光板132は、真空ノズル130に概略隣接させて示されているように配置されている。遮光板132は、ワークピース上のビームスポットを効果的に短縮するために破断レーザービーム112のある部分を選択的に遮蔽するように用いることができる。遮光板132は、レーザー切断工程中ビーム長さを変えるために用いられることもできる。
【0055】
図2は、明確化のために分割装置100が除かれた状態にて、図1に示した切断および冷却工程の平面図を示している。スクライブレーザービーム加熱領域140は、制御可能な幅Aと長さBを有している。スクライブレーザービーム加熱領域140と再加熱領域146との間の距離は距離Cによって表される。再加熱領域146の長さDと幅Fもまた制御される。本発明ではまた、冷却ゾーン142、143間の距離Eを制御し調節する。代表的には、A:B:C:D:E:Fのサイズの比は0.5:55:35:8:5:10が有用である。
【0056】
図3は、非金属基板102の加熱における温度と時間のグラフを示している。非金属基板102は、初期スクライブレーザービームを通過するように進む際、初期的には室温から加熱され、その後2つの冷却ゾーン142、143を通過する。これに破断レーザービーム112による加熱量増大が続き、完全または部分分割を引き起こし、室温へと冷却が続く。
【0057】
図4は、完全材料分割レーザーシステムのための本発明の主要構成要素を示しており、全体として符号200で示されている。このシステムは、光学システムを形成する符号210で示される単一または複数のレーザー源と付帯設備を含んでいる。光学システム210は2つのレーザー222、224を有し、これらはマシンフレーム226上に支持されている。移動システム240は、フレームベルト駆動機構244をトラバースしかつレーザー222、224によって形成された光学システム210に対してワークピースを移動させる支持テーブル242を有している。レーザーは2つの(またはそれ以上の)ビームパスを形成する。このシステムは、一体化分断装置(ICD)とスクライビングビーム230付与用ミラーと破断ビーム232付与用ミラーを備えている。また、レーザー222から照射されるレーザービーム110(図示略)はミラー230上に入射することができる。さらに、レーザー224から照射されるレーザービーム112(図示略)はミラー232上に入射することができる。
【0058】
移動システム240は、コンピュータコントローラ236を使い、レーザー出力に対するワークピースの移動を制御する。コンピュータコントローラ236は、リモート場所に配置されることもできるが、フレームベルト駆動機構244に隣接させて示されている。一つの適用可能な制御方法では、コンピュータから制御信号を発生し、光学機器を静止状態に保ったままワークピースをx、yおよび回転方向に移動させる。逆に、ワークピースを静止させレーザーを搬送する光学システムを全方向に移動させることもできる。組み合わせ状態でも、限定された方向に光学システムとワークピースの両方を移動させることができる。光学システムを180度回転させることによって双方向切断が可能である。また、ワークピースを要求切断部下部に長穴を有する加工用テーブル上に置くことにより、材料の頂面および底面の両側で切断することが可能である。この加工用テーブルは、ローラー式破断装置がワークピースの下部に配置される場合その破断を容易化することもできる。
【0059】
図5は、二重非対称シリンドリカルレンズ要素(DACLE)254の使用を示している。曲面の凹面(S1)268はビーム長さ(L)と切断方向におけるエネルギー分布を制御するための最適な負の焦点距離を持つように形成されている。反対側曲面の凸面(S2)270は、最適な正の焦点距離を持ち、切断方向に直交したビームの幅(W)とそのエネルギー分布を制御するように形成されている。
【0060】
図6Aは、レーザービーム310、312と冷却ノズル316、318を含む本発明の別の実施態様の概略構成図である。真空ノズル330は、加熱領域246において非金属基板に接する第2ビーム312に先立って非金属基板の表面から残留冷却液体を集めるためにノズル318に隣接させて示されている。
【0061】
分割装置の制御には、加熱領域246のサイズL、スクライブレーザービーム加熱領域の終端と加熱領域246の始端との間の距離Mおよびスクライブレーザービーム加熱領域240の長さNの監視と調整ステップを含んでいる。
【0062】
図6Aは、分割装置で完全100%分割が達成される場合の配置を示している。領域Pは分割しなかった領域であり、領域Qは分割した領域である。本例ではレーザービーム312は、200ワットで作動されている。
【0063】
図6Bは、上述したように制御パラメータを変更することによって90%分割が行われている場合を示している。例えば、レーザービーム312は、175ワットで作動されることができる。
【0064】
図6Cは、制御パラメータを変更することによって、例えば150ワットでレーザービーム312を作動させることによって行われる75%分割の場合を示している。
【0065】
図6Dは、破断ビーム312が全く使用されない例を示している。本例では熱衝撃とクラックの成長から130〜180ミクロンの溝が生成される。
【0066】
図7は、図6Aで用いられたのと同様の装置を用いた別の実施態様を示している。スクライブレーザービーム加熱領域340は、図7の左側に示されている。それに隣接させてあるいはそれと部分的にオーバーラップして、第1冷却ノズルによって与えられる第1冷却領域がある。第1冷却領域342から離れて、第2冷却ノズルによって与えられる第2冷却領域343があり、第2冷却領域343から離れて、第3冷却ノズル(図示略)によって与えられるオプションとしての第3冷却領域345がある。
【0067】
非金属基板の上に残っている冷却液体を除去するために、第3冷却領域345に隣接させて真空除去領域330が配置されている。本実施態様においては、この真空除去領域は、冷却中に切断線のいずれかの側に飛散したかもしれない液体を除去できるようにアーク形状を有している。遮光板332は、真空除去ノズルに隣接させて配置され、上述の技術により破断レーザービームが調整されるようにしている。破断ビーム加熱領域346もまた示されており、この領域は非金属基板の分割をその設定に応じて完了するように作用する。
【0068】
図8A〜8Dは、しばしばソゲカット(直角でないカット)を生じる従来技術において用いられていた切断ステップを示している。図8Aはスクライブ予定線402が含まれた非金属基板400を示している。図8Bはレーザービーム加熱工程の開始を示しており、加熱領域440を形成するスクライブレーザービームと冷却領域442を形成する冷却ノズルと加熱領域443を形成する破断レーザービームを示している。分割工程が非金属基板中の不均一な加熱プロセスによって続くとき、スクライブレーザービーム加熱領域440は切断線に関して対称にならないように配される傾向にある。これは、非金属基板部分間の分割に真の直角切断からのずれを生じる。図8Dは非金属基板400のそのような分割の結果を示している。切断の側縁410は望ましい側縁線412から角度を持っているので、非金属基板400の底面側における側縁410と目標側縁412との間の距離は、距離414によって示されることになる。
【0069】
図8E〜8Hは、本発明において直角の側縁カットを両側ピースに対して生成するのに用いられる切断ステップを示している。図8Eはスクライブ予定線502が含まれた非金属基板500を示している。図8Fはレーザービーム加熱工程の開始を示しており、加熱領域540を形成するスクライブレーザービームと冷却領域542、543を形成する冷却ノズルを示している。本発明によれば、以下にさらに詳しく述べるクラックセンサ等の装置を用いて、クラックの成長と方向を測定することが可能である。クラックの成長の進展とそのクラックの成長の方向の測定に基づいて、本発明では、分割工程中のクラック成長の方向を補償し補正するように、スクライブレーザービームのレーザービーム角度、エネルギー分布および/または方向を調節する。例えば、元の所望の切断線は線520で示され、クラックの成長がその線520に沿って続くように補正されることができるように、スクライブレーザービームの方向が線522に沿って再指向されることができる。図8Gは、非金属基板500の分割のために補正されたパス520に沿って継続しているレーザービーム分割工程を示している。図8Hは、非金属基板が2つのピース504、506に分割された、完了した分割工程を示している。各ピース504、506は、直角に切断された側縁を有する。非金属基板506は、非金属基板506の頂縁と底縁に対して垂直に形成された側縁512を有する。
【0070】
図9A、9Bは、本発明の別の実施態様に係る分割装置の前面図および側面図を示している。この分割装置は、加工用テーブル610の上方に配置されたレーザー切断ユニット600を有している。加工用テーブル610は、リニアモータ612によって直線方向に移動される。リニアモータ612は、分割装置のベース614上に配置されている。非金属基板616は、加工用テーブル610上に配置される。
【0071】
レーザー切断ユニット600は、非金属基板616の端から端まで成長するクラックに向けられることが可能な光ビームを発生させる光源620を有している。光は、非金属基板616によって反射され、クラックセンサ630によって受光され得る。上述したように、種々の異なるクラックセンサを用いることができる。
【0072】
図9Bは、レーザー切断ユニットの側面図を示しており、光源620(図示略)とともにスクライブビーム622、一つのまたは複数のノズル624および破断ビーム640と、冷却ノズル624と破断ビーム640の間で受光するように配置されたクラックセンサ640が、示されている。
【0073】
図10は、本発明における貼り合わせガラス基板のための切断順序を示している。例えば、貼り合わせガラスがその貼り合わせ基板中にTFTパネルを含んでいる場合には、このパネルがまず最初に切断される。第1および第2切断は、線1、2に沿った完全カットである。これらの切断中、レーザーパワーを調節することが可能である。そして、貼り合わせガラス基板は、線4に沿う完全切断および線5に沿う完全切断によって後続される、線3に沿う完全なオフセット切断を行うことによって、カラーフィルター(CF)側で切断されることができる。
【0074】
図11は、本発明における貼り合わせガラス基板のための別の切断順序を示している。例えば、貼り合わせガラスがその貼り合わせ基板中にTFTパネルを含んでいる場合には、第1および第2切断は、TFTパネル中の線1、2に沿った完全カットである。そして、貼り合わせガラス基板は、前記線4に沿う完全および線5に沿う完全/ハーフカットによって後続される、線3に沿うスクライブ切断を行うことによって、CF側で切断されることができる。図12は、CF側の切断操作を示している。この切断操作中、切断速度を調節することも可能である。
【0075】
図13は、可動テーブル700上に配置されたガラスまたは他のパネル710などの非金属基板における様子を示している。可動テーブルは、切断線画非金属基板710の後部側から形成されるように種々の区分に分割されることができる。本例では、貼り合わせパネルは、接着剤で接合されたTFTパネル712とカラーパネル714を有している。図13に示すように、可動テーブル700の離間端縁間の領域で線720に沿って第1切断を行うことが可能である。そして、さらなる切断は、線722、724に沿って行うことができる。
【0076】
図14は、クラックセンサを含む実施態様に係る分割装置の制御機構の概略全体構成図を示している。このシステムコントローラは、情報ディスプレイ、キーボード等の入力手段、レーザーユニットを制御するレーザーコントローラ、クラックセンサ、およびリニアモータを制御する移動コントローラへの接続を含む。
【0077】
図15は、本発明におけるクラックセンサを使った制御操作のフローチャートを示している。最初に、レーザービーム放射が始まり、非金属基板上に衝撃される。そして、クラックセンサ光源が起動し、クラックの成長および方向を示す光線が非金属基板から反射され、クラックセンサがそれらを検出する。それから、目標とするクラック成長位置と方向と、測定されたクラック成長位置と方向とが比較される。目標位置と測定位置が同じである場合には、エネルギーレベルがそのときの設定に保たれる。しかし、クラック成長の測定位置が目標位置よりも前方にある場合には、レーザーへのエネルギーが低減される。一方、クラック成長の測定位置が目標位置よりも後方にある場合には、レーザーへのエネルギーが増加される。この工程は、非金属基板の終端部位置に至るまで続けられる。非金属基板の終端部位置にきたら、レーザービーム用エネルギーは停止される。
【0078】
切断の最適シーケンスは、携帯電話用切断やHDTVパネルの短冊状切断を含む多数の適用用途で開発されてきた。携帯電話用には、切断する際の第1側における切断深さを制御することによって(例えば、90%カット)、貼り合わせパネルの第2側の切断中にパネルが保持されることから、信頼性の高い携帯電話用パネルのクロス切断をより容易に達成することができる。第2切断のエッジ部の影響(例えば、入出口側領域)については、レーザーパワー、x−y位置(例えば、ジグザグ進行)、テーブル角度、クラック初期成長力と位置(例えば、入口側)、およびテーブル吸引力を動的に制御することにより、望ましい結果を達成できる。
【0079】
目に見えないクラックを生成するために熱衝撃の良好なバランスを発生させ、続いて、単板のまたは貼り合わせのパネルを完全にあるいは部分的に切断するための第2ビーム適用による十分な引張力を発生させるために、複数のビームを使用することも可能である。吸引は、冷却用の使用された残留水または液体を除去し、光学面(例えば、ミラーやレンズ等)がそれらに曝されることを防ぐために用いられる。
【0080】
第1レーザー(スクライブレーザー)と第2レーザー(破断レーザー)の独立制御もまた可能である。パネルの端から端までのクラック成長を制御し安定化させるために、工程全体にわたるレーザービームパワーおよび/またはレーザービームに関するテーブル角度および/またはテーブル速度の動的制御にコンピュータソフトが用いられる。
【0081】
目に見えないクラックの深さのリアルタイムクローズドループ制御(例えば、1%から100%分割)は第2レーザーのレーザーパワーの調節によって行われる。このパワーは、クラックの存在および/または幅を測定可能なクラックセンサまたは検出器あるいは溝深さ検出装置(光学、音、RFによる、または他の手段)からのフィードバックループによって制御される。これによって、切断深さの精密な制御および/または分割ガラスの完全切断と形状のしかるべき形態への管理が可能になるであろう。
【0082】
複数のノズルビームの形態としては、脆性材料の冷却性能を高めるために2以上のノズル形態を含む。これらノズルは、小さな面積(例えば、0.5mm径未満)全体にわたる最大冷却(dT/dt)および/または全体にわたる熱の最大除去(冷却効果またはdQ/dt)を考慮して設計される。より深い溝や目に見えないクラックを生成することによって、材料やパネルの完全切段に要求される力、ここではパワー、を低減することが可能である。
【0083】
本発明についてその好ましい実施態様に関して述べてきたが、当業者が想定し得る他の種々の実施形態および変化形態も本発明の範囲および思想の範囲内であり、そのような他の実施形態および変化形態も請求の範囲によってカバーされるよう意図されていると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施態様に係る分割装置によって分割される非金属基板を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るレーザービームおよび冷却ノズルによってそれぞれ形成される加熱領域および冷却領域を示す平面図である。
【図3】非金属基板の分割中の加熱、冷却および再加熱段階を示す時間と温度のグラフである。
【図4】本発明の一実施態様に係る分割装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施態様に係る一体化クラッキング装置内に含まれる二重非対称シリンドリカルレンズ要素の拡大断面図である。
【図6】図6A〜6Dは本発明に係る分断深さの制御を示す図を含む非金属基板分割装置の概略構成図である。
【図7】本発明の別の実施態様に係るレーザービームおよび冷却ノズルによってそれぞれ形成される加熱領域および冷却領域を示す平面図である。
【図8】図8A〜8Dは不完全切断またはソゲの分割結果の非金属基板の分割工程を示す図であり、図8E〜8Hは直角切断の分割結果の非金属基板の分割工程を示す図である。
【図9】図9Aは本発明のさらに別の実施態様に係るクラックセンサを含む非金属基板分割装置の概略構成図であり、図9Bはその非金属基板分割装置の別の角度から見た概略構成図である。
【図10】本発明のさらに別の実施態様に係る貼り合わせ非金属基板のための切断順序を示す図である。
【図11】本発明の別の実施態様に係る貼り合わせ非金属基板のための別の切断順序を示す図である。
【図12】図11に示した実施態様におけるCF側切断のための切断順序を示す概略図である。
【図13】稼働テーブル上に配置された非金属基板の概略斜視図である。
【図14】本発明のさらに別の実施態様に係る制御用クラックセンサを含む非金属基板分割装置の概略全体構成図である。
【図15】本発明により非金属基板中のクラックの成長を制御するためのクラックセンサを用いた制御工程を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板上の、第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、前記第1冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第2冷却装置と、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置。
【請求項2】
さらに、前記第2冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第3冷却装置を有する、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項3】
前記第1冷却装置および前記第2冷却装置の少なくとも一方が、2流体混合物の霧化吹き付けノズルを含む、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項4】
2流体混合物が水と空気を含む、請求項3に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項5】
さらに、前記第2冷却装置とは独立して前記第1冷却装置のパラメータを調節する手段を有する、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項6】
非金属基板のある部分の分割を制御する方法であって、第1ビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに隣接する、あるいはそこから離れた部位に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該第1冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第2冷却ノズルでさらに冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割制御方法。
【請求項7】
さらに、第2冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第3冷却ノズルで付加冷却するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項8】
さらに、第2スポットの前で過剰冷却流体を吸引するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項9】
さらに、第1冷却ノズルおよび第2冷却ノズルの少なくとも一方に、2流体混合物の霧化吹き付けノズルを設けるステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項10】
さらに、第2ビームに供給されるパワー量を調節するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項11】
さらに、第2冷却ノズルとは独立して第1冷却ノズルのパラメータを制御するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項12】
非金属基板中に直角分割箇所を作る方法であって、第1スクライブビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、第1スクライブビームが基板に入射する角度および基板に入射する第1スクライブビームのエネルギー強度の少なくとも一つを調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の直角分割方法。
【請求項13】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、第1スクライブビームに関するレンズの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項14】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項15】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、基板を保持するテーブルの位置を調節することにより第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項14に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項16】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、ミラーの調節により第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項14に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項17】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、ミラーの調節により第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項18】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、基板を保持するテーブルの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項19】
第1ビームを基板の第1側上の第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の第1側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、基板の第2側が第1ビーム、第1冷却ノズルおよび第2ビームに面するように基板を回転させるステップと、第1ビームを基板の第2側上の第3スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の第2側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第4スポットに入射し、厚みを有する基板の少なくとも他の一部分を完全に破断するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割方法。
【請求項20】
さらに、前記第1冷却ノズルと第2ビームとの間に位置された第2冷却ノズルで冷却するステップを有する、請求項19に記載の非金属基板の分割方法。
【請求項21】
前記第2ビームを基板上に入射するステップが、基板の第1側を通してほぼハーフカットとし、前記第2ビームを基板の第2側上に入射するステップが、基板を端から端までフルカットにする、請求項19に記載の非金属基板の分割方法。
【請求項22】
非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、基板から分離されて設けられ切断線の位置を測定するクラックセンサと、動作可能に前記クラックセンサに接続され、切断線の位置についての情報を受けその切断線の位置を基準位置と比較し、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節する手段を備えたコントローラと、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置。
【請求項23】
前記クラックセンサが、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサ、超音波センサの少なくとも一つを含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項24】
前記第2ビームのパワー強度を調節する手段が、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させる手段を含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項25】
前記第2ビームのパワー強度を調節する手段が、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させる手段を含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項26】
非金属基板の分割工程を調節する方法であって、基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、クラックセンサを用いて切断線の位置を測定するステップと、その切断線の位置を基準位置と比較するステップと、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項27】
前記第2ビームのパワー強度を調節するステップが、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させるステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項28】
前記第2ビームのパワー強度を調節するステップが、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させるステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項29】
さらに、切断線の全長にわたって前記測定、比較、調節のステップを継続するステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項30】
非金属基板の分割工程中においてビーム形状を調節する方法であって、基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、基板上に入射する第1ビームのエネルギー密度分布が変化するように、第1ビームが基板上に入射する第1スポットの形状および第1ビームのエネルギー密度分布の少なくとも一つを調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項31】
前記調節ステップが、非対称ビーム形状を含むように第1スポットの形状を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項32】
前記調節ステップが、非対称エネルギー密度が存在するように第1ビームのエネルギー密度分布を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項33】
前記調節ステップが、第1ビームのエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項34】
前記調節ステップが、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項35】
前記調節ステップが、基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項36】
前記調節ステップが、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含む、請求項35に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項37】
非金属基板の分割中においてビーム形状を調節する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1ビームによって生成される第1スポットの形状を調節するコントローラ手段と、を有することを特徴とする非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項38】
前記コントローラ手段が、第1スポットの形状を非対称ビーム形状へと調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項39】
前記コントローラ手段が、第1ビームのエネルギー密度分布を非対称エネルギー密度へと調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項40】
前記コントローラ手段が、第1ビームのエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項41】
前記コントローラ手段が、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項42】
前記コントローラ手段が、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項1】
非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板上の、第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、前記第1冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第2冷却装置と、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置。
【請求項2】
さらに、前記第2冷却装置と前記第2ビームの間に位置された第3冷却装置を有する、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項3】
前記第1冷却装置および前記第2冷却装置の少なくとも一方が、2流体混合物の霧化吹き付けノズルを含む、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項4】
2流体混合物が水と空気を含む、請求項3に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項5】
さらに、前記第2冷却装置とは独立して前記第1冷却装置のパラメータを調節する手段を有する、請求項1に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項6】
非金属基板のある部分の分割を制御する方法であって、第1ビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに隣接する、あるいはそこから離れた部位に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、該第1冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第2冷却ノズルでさらに冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割制御方法。
【請求項7】
さらに、第2冷却ノズルに隣接しかつそれから離れた部位に位置された第3冷却ノズルで付加冷却するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項8】
さらに、第2スポットの前で過剰冷却流体を吸引するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項9】
さらに、第1冷却ノズルおよび第2冷却ノズルの少なくとも一方に、2流体混合物の霧化吹き付けノズルを設けるステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項10】
さらに、第2ビームに供給されるパワー量を調節するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項11】
さらに、第2冷却ノズルとは独立して第1冷却ノズルのパラメータを制御するステップを有する、請求項6に記載の非金属基板の分割制御方法。
【請求項12】
非金属基板中に直角分割箇所を作る方法であって、第1スクライブビームを、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、第1スクライブビームが基板に入射する角度および基板に入射する第1スクライブビームのエネルギー強度の少なくとも一つを調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の直角分割方法。
【請求項13】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、第1スクライブビームに関するレンズの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項14】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項15】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、基板を保持するテーブルの位置を調節することにより第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項14に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項16】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、ミラーの調節により第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項14に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項17】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、ミラーの調節により第1スポットの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項18】
前記第1スクライブビームが基板に入射する角度を調節するステップが、基板を保持するテーブルの位置を調節するステップを含む、請求項12に記載の非金属基板の直角分割方法。
【請求項19】
第1ビームを基板の第1側上の第1スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の第1側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断するステップと、基板の第2側が第1ビーム、第1冷却ノズルおよび第2ビームに面するように基板を回転させるステップと、第1ビームを基板の第2側上の第3スポットに入射するステップと、冷媒流が基板の第2側に付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第4スポットに入射し、厚みを有する基板の少なくとも他の一部分を完全に破断するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割方法。
【請求項20】
さらに、前記第1冷却ノズルと第2ビームとの間に位置された第2冷却ノズルで冷却するステップを有する、請求項19に記載の非金属基板の分割方法。
【請求項21】
前記第2ビームを基板上に入射するステップが、基板の第1側を通してほぼハーフカットとし、前記第2ビームを基板の第2側上に入射するステップが、基板を端から端までフルカットにする、請求項19に記載の非金属基板の分割方法。
【請求項22】
非金属基板のある部分を分割する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、基板から分離されて設けられ切断線の位置を測定するクラックセンサと、動作可能に前記クラックセンサに接続され、切断線の位置についての情報を受けその切断線の位置を基準位置と比較し、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節する手段を備えたコントローラと、を有することを特徴とする非金属基板の分割装置。
【請求項23】
前記クラックセンサが、CCDセンサ、CMOSセンサ、音響センサ、視覚センサ、超音波センサの少なくとも一つを含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項24】
前記第2ビームのパワー強度を調節する手段が、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させる手段を含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項25】
前記第2ビームのパワー強度を調節する手段が、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させる手段を含む、請求項22に記載の非金属基板の分割装置。
【請求項26】
非金属基板の分割工程を調節する方法であって、基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、クラックセンサを用いて切断線の位置を測定するステップと、その切断線の位置を基準位置と比較するステップと、切断線の位置の基準位置との比較に基づいて第2ビームのパワー強度を調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項27】
前記第2ビームのパワー強度を調節するステップが、クラック位置が基準位置よりも前方にある場合にはパワー強度を低下させるステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項28】
前記第2ビームのパワー強度を調節するステップが、クラック位置が基準位置よりも後方にある場合にはパワー強度を増加させるステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項29】
さらに、切断線の全長にわたって前記測定、比較、調節のステップを継続するステップを含む、請求項26に記載の非金属基板の分割工程調節方法。
【請求項30】
非金属基板の分割工程中においてビーム形状を調節する方法であって、基板上の第1スポットに第1ビームを入射するステップと、冷媒流が基板の熱影響を受けるゾーンに付与されるように位置された第1冷却ノズルで冷却するステップと、第2ビームを基板上の第2スポットに入射し、厚みを有する基板の一部分を完全に破断して基板に切断線を形成するステップと、基板上に入射する第1ビームのエネルギー密度分布が変化するように、第1ビームが基板上に入射する第1スポットの形状および第1ビームのエネルギー密度分布の少なくとも一つを調節するステップと、を有することを特徴とする非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項31】
前記調節ステップが、非対称ビーム形状を含むように第1スポットの形状を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項32】
前記調節ステップが、非対称エネルギー密度が存在するように第1ビームのエネルギー密度分布を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項33】
前記調節ステップが、第1ビームのエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項34】
前記調節ステップが、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項35】
前記調節ステップが、基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含む、請求項30に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項36】
前記調節ステップが、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成するステップを含む、請求項35に記載の非金属基板の分割工程ビーム形状調節方法。
【請求項37】
非金属基板の分割中においてビーム形状を調節する装置であって、該基板上の、先端と終端を有する第1スポットに入射する第1ビームと、冷媒流が基板の第1スポットの終端部位またはそれに直隣接する部位に付与されるように位置された第1冷却装置と、基板に切断線を形成するために基板上の第1スポットの後方に位置された第2スポットに入射する第2ビームと、第1ビームによって生成される第1スポットの形状を調節するコントローラ手段と、を有することを特徴とする非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項38】
前記コントローラ手段が、第1スポットの形状を非対称ビーム形状へと調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項39】
前記コントローラ手段が、第1ビームのエネルギー密度分布を非対称エネルギー密度へと調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項40】
前記コントローラ手段が、第1ビームのエネルギー密度分布の中心が第1スポットの他方側よりも一方側により近くなるようにそのエネルギー密度分布を調節する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項41】
前記コントローラ手段が、第1スポットの他の部分よりも細くなるような第1スポットの一部分を形成する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【請求項42】
前記コントローラ手段が、第1ビームを形成するレンズ位置を調節することにより基板と第1ビームの方向との間に傾斜角を形成する手段を含む、請求項37に記載の非金属基板の分割ビーム形状調節装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−503355(P2008−503355A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518204(P2007−518204)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/021930
【国際公開番号】WO2006/002168
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506422489)アプライド フォトニクス,インク. (1)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/021930
【国際公開番号】WO2006/002168
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506422489)アプライド フォトニクス,インク. (1)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
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