説明

塗布方法及び塗布装置

【課題】下層の上に上層を逐次的に塗布する上層の塗り付け開始時に、リップクリアランスが広い条件下であっても上層を安定して下層の上に塗布することができ、しかも塗布液ロスや支持体ロスの発生を防止することができる。
【解決手段】塗り付け位置Aから退避した退避位置Bにおいて、第2の塗布手段28の塗布液供給ライン53からリップ先端48までを上層用塗布液で満たした状態で送液ポンプ68を停止しておく塗布準備ステップと、塗布ヘッド42を塗り付け位置Aに移動させる移動ステップと、下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着3分以内の間に送液ポンプ68を稼働して上層塗布液を塗り付け開始する塗り付け開始ステップと、を順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布方法及び塗布装置に係り、特に、高品質なインクジェット用記録シート等の製造の際に、支持体上に無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層を形成し、この色材受容層が生乾きの状態で上層(例えば架橋剤層)を塗布形成するのに好適な塗布方法及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種のインクジェット方式が開発されており、それに伴い各種のインクジェット用の記録シートも開発されている。このインクジェット用の記録シートに使われる支持体としては各種樹脂製フィルムの他、普通紙や上質紙(コート紙)、写真用印画紙などがある。
【0003】
これらのインクジェット用の記録シートのうち、粒径の細かい無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層が設けられた記録用シートは、高品質なインクジェット用の記録シートとして使用されている。無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層が設けられた記録用シートとしては、他に熱転写用の記録用シート、電子写真用の記録用シート等がある。
【0004】
この無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層が設けられた記録用シートの製造方法として、本出願人は特許文献1の製造方法及び装置を提案した。この方法及び装置は、無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層を支持体上に塗布形成した後、生乾き状態の色材受容層の上に架橋剤層等の上層を過剰に塗り付けることにより、塗布面を硬膜化するものである。
【0005】
即ち、未だ流動性のある色材受容層(下層)を傷つけないようにして色材受容層の上にウエットオンウエット方式で例えば架橋剤層(上層)を塗布する方式のものである。上層の塗布方式としては、カーテンコータ、バーコータ、ロールコータ、スライドビードコータ、エクストルージョンコータ等を使用することができるが、エクストルージョンコータは高速で薄膜塗布を行うことができ、架橋剤層等の上層塗布液を塗布するコーターとして好ましい。
【0006】
エクストルージョンタイプの塗布ヘッドを用いて、支持体上に色材受容層である下層を塗布し、下層が生乾き状態の上に架橋剤液である上層塗布液を塗布する場合、下層の色材受容層に上層の架橋剤層を染み込ませるために、下層が生乾き状態で上層を塗り付ける必要がある。また、下層の無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層は、そのまま乾燥されると塗布面がひび割れして、乾燥ゾーン内で塗膜が剥がれて飛散し、後段の乾燥ゾーンや後の搬送ライン等が汚れてしまう。従って、必ず下層を上層で覆うように(下層が上層から露出しないように)塗布して、下層と上層との重層塗布面を硬膜化する必要がある。即ち、下層の支持体走行方向先端が上層を塗布する塗布ヘッドの塗り付け位置に到着する前に上層を確実に塗り付け開始して、下層を上層で覆うことが必要である。
【0007】
この為、下層の支持体走行方向先端が上層を塗布する塗布ヘッドの塗り付け位置に到着した後で上層を塗り付け開始できる通常の2層逐次塗布(下層が上層から露出しても問題ない場合)に比べると、リップクリアランスが大きくなると共に、上層用の塗布ヘッドのリップ先端が下層、特に厚塗りに成り易い耳部に接触しない距離も確保する必要がある。
【0008】
従って、上層を塗布開始する際に必要なリップクリアランスは、上層の塗布を行う塗布ヘッドのリップ先端が生乾き状態の下層に接触しない距離と、上層を塗布するのに必要な距離の2つを加算した距離であり、上層のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッドのリップ先端と支持体との距離をBとしたときに、A:Bの比が1:10〜1:15となる広いリップクリアランスが必要になる。
【0009】
しかし、通常の塗布可能なA:Bの比は1:10までが限度とされている。これは、この限度を超えてリップクリアランスが広くなると、塗布液を液架橋させて支持体との間にビードを安定的に形成することが困難になるためである(例えば特許文献2)。
【0010】
塗布液の塗り付け開始を安定して行う技術としては、例えば特許文献3がある。この方法は、エクストルージョンタイプの塗布ヘッドを塗布位置から離れた位置で待機し、塗布ヘッドのマニホールドに塗布相当流量の塗布液を供給し、該マニホールドの少なくとも一カ所から塗布液を排出しながら塗布ヘッドを移動し、塗布位置に到達した時点でマニホールドからの塗布液排出を停止して塗布を開始する方法である。これにより、塗布開始時や塗布終了時の厚膜の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2001−113820号公報
【特許文献2】特開2002−248399号公報
【特許文献3】特開2002−346457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献3のような塗布方法では、本発明の前提条件である前記A:Bの比が1:10〜1:15となるような広いリップクリアランスの場合には安定して上層を塗り付けることができないという問題がある。即ち、特許文献3は、塗布開始時や塗布終了時の厚膜塗布の発生を防止のための塗り付け開始技術であり、リップクリアランスが通常の塗布よりも広い場合に如何に安定した塗り付け開始ができるかを開示した技術ではない。
【0012】
また、広いクリアランスの場合には、塗り付け開始時のみ塗布相当流量よりも塗布液の送液量を多くして、塗布が安定したら塗布相当流量に送液量を下げていくことも考えられるが、この場合には塗布液ロスや製品にならない部分の支持体ロスが大きくなり、生産コストがアップするため、本質的な解決にはならない。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、下層の上に上層を逐次的に塗布する上層の塗り付け開始時に、リップクリアランスが広い条件下であっても上層を安定して下層の上に塗布することができ、しかも塗布液ロスや支持体ロスの発生を防止することができる塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、帯状の支持体を連続走行させながら該支持体上に第1の塗布手段により下層用塗布液を塗布形成した後、生乾き状態の下層上に、前記支持体の走行を支持するバックアップローラを備えたエクストルージョンタイプの第2の塗布手段を用いて上層用塗布液を塗布する塗布方法において、前記第2の塗布手段は、前記上層のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッドの塗布液吐出部であるリップ先端と前記支持体との距離をBとしたときに、A:Bの比が1:10〜1:15の範囲となる広いリップクリアランスでの塗り付け位置において前記上層用塗布液を塗布相当流量で塗布することを前提とし、前記塗り付け位置から退避した退避位置において、前記第2の塗布手段の塗布液供給ラインから前記リップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で前記塗布液供給ラインの送液ポンプを停止しておく塗布準備ステップと、前記塗布ヘッドを前記塗り付け位置に移動させる移動ステップと、前記下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着3分以内の間に前記送液ポンプを稼働して上層塗布液を塗り付け開始する塗り付け開始ステップと、を順次行うことを特徴とする塗布方法を提供する。
【0015】
本発明の請求項1は、上層のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッドの塗布液吐出部であるリップ先端と支持体との距離をBとしたときに、A:Bの比が1:10〜1:15の範囲となる広いリップクリアランスでの塗り付け位置(以下、広間隙塗り付け位置という)において、上層用塗布液を塗布相当流量で塗布することを前提とし、このような厳しい塗布条件下で下層の上に如何に安定して上層を塗布するかを発明したものであります。即ち、塗布準備ステップでは、上層塗布液を塗布する第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドの吐出口であるリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で塗布液供給ラインの送液ポンプを停止する。次に、移動ステップでは、塗布準備ステップの状態の塗布ヘッドを退避位置から塗り付け位置に移動させる。移動後の塗布ヘッドは、上記した広間隙塗り付け位置に位置決めされる。次に、塗り付け開始ステップでは、下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着3分以内の間に送液ポンプを稼働して上層塗布液を塗り付け開始する。これにより、下層の上に上層を逐次塗布する上層の塗り付け開始時に、リップクリアランスが広い条件下であっても上層を安定して下層の上に塗布することができる。また、本発明の塗布方法は、上層用塗布液を塗布相当流量で塗布しても塗り付けることができるので、塗布液ロスや支持体ロスの発生を防止することができる。
【0016】
このように広いリップクリアランスでの塗り付け開始であっても、安定した塗布ができる理由としては、第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドの吐出口であるリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で塗布液供給ラインの送液ポンプを停止しておき、塗り付け開始時に送液ポンプを稼働することで、稼働時のリップ先端からの吐出圧が一次的に高くなり、これによりリップ先端と支持体のとの間にビードが形成されるためと考察される。しかし、このビードは時間の経過と共に不安定化するので、下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着するまでの時間が長すぎると、上層の塗布ができなくなる。事実、発明者が試験した結果では、A:Bの比が1:10〜1:15の場合、下層の支持体走行方向先端が塗り付け位置に到着するまでの時間が10分を超えて長くなると、塗布液切れが発生して上層塗布が不可能になった。このことから、塗り付け開始ステップでは、下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着3分以内の間に送液ポンプを稼働して上層塗布液を塗り付け開始することが重要になる。
【0017】
請求項2は請求項1において、前記A:Bの比が1:10〜1:13となるように前記塗り付け位置を設定すると共に、前記塗り付け開始ステップでは前記下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着10分以内の間に前記送液ポンプを稼働して前記塗布ヘッドで上層塗布液の塗り付けを開始することを特徴とする。
【0018】
請求項2は、A:Bの比を1:10〜1:13の範囲としたものであり、このリップクリアランスであれば、下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着10分以内の間に送液ポンプを稼働すれば上層を安定して塗り付け開始することができる。
【0019】
請求項3は請求項1又は2において、前記塗布準備工程ステップにおいて、前記リップ先端から前記上層用塗布液をオーバーフローさせて該上層用塗布液の泡抜きを行うと共に、該オーバーフローにより汚れたリップ先端部分を浄化することを特徴とする。
【0020】
請求項3によれば、リップ先端から上層用塗布液をオーバーフローさせて該上層用塗布液の泡抜きを行うようにしたので、リップ先端と支持体との間に形成させるビードを安定化することができると共に、塗布された上層の面質も向上できる。また、オーバーフローにより汚れたリップ先端部分を浄化してから、塗布ヘッドを塗り付け位置に移動するので、移動時や塗り付け時に汚れが飛散して塗布膜面や工程を汚すことがない。
【0021】
請求項4は請求項1〜3のいずれか1において、前記送液手段は、プランジャーポンプであることを特徴とする。
【0022】
プランジャーポンプは逆止弁が内蔵されているので、第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドの吐出口であるリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で送液ポンプを停止しても、上層塗布液が逆流することなく満たした状態で維持される。
【0023】
請求項5は請求項1〜3のいずれか1において、前記送液手段は、ダイヤフラムポンプであることを特徴とする。
【0024】
ダイヤフラムポンプは逆止弁が内蔵されているので、第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドの吐出口であるリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で送液ポンプを停止しても、上層塗布液が逆流することなく満たした状態で維持される。
【0025】
請求項6は請求項1〜3のいずれか1において、前記送液手段は、ギアポンプに逆止弁を備えたものであることを特徴とする。
【0026】
ギアポンプは逆止弁が内蔵されていないので、逆止弁と組み合わせることで、第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドの吐出口であるリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で送液ポンプを停止しても、上層塗布液が逆流することなく満たした状態で維持される。
【0027】
請求項7は請求項1〜6のいずれか1において、前記支持体の走行方向から見て前記塗布ヘッドの上流側に配置した減圧チャンバの減圧度を、大気圧に対して−50k〜−400Paになるように調整することを特徴とする。
【0028】
本発明のような広いリップクリアランスでの塗布では、ビードの安定化が重要であるが、支持体の走行方向から見て塗布ヘッドの上流側に配置した減圧チャンバの減圧度を、大気圧に対して−50k〜−400Paになるように調整することでビードをより安定化できる。
【0029】
請求項8は請求項1〜7のいずれか1において、前記下層用塗布液が無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層用の塗布液であり、前記上層用塗布液が架橋剤を含む塗布液であることを特徴とする。
【0030】
本発明は、生乾き状態の下層の上に上層を逐次的に塗布する場合で、広いリップクリアランスの場合のいずれにも適用できるが、下層用塗布液が無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層用の塗布液であり、上層用塗布液が架橋剤を含む塗布液である、いわゆるインクジェット用の記録シートの製造のための塗布に一層有効だからである。
【0031】
請求項9は請求項8において、前記支持体がWP紙、上質紙又は樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0032】
本発明において、支持体がWP紙(Water Proof Paper:ポリエチレン等をラミネートしている写真印画紙等のラミネート紙)、上質紙又は樹脂フィルムであることが好ましい。このような組み合わせであれば、インクジェット用の記録シートとして好適な性能が得られるからである。
【0033】
本発明の請求項10は、帯状の支持体を連続走行させながら該支持体上に第1の塗布手段により下層用塗布液を塗布形成した後、生乾き状態の下層上に、前記支持体の走行を支持するバックアップローラを備えたエクストルージョンタイプの第2の塗布手段を用いて上層用塗布液を塗布する塗布装置において、前記第2の塗布手段は、前記上層塗布液を塗布する塗布ヘッドと、前記塗布ヘッドに上層用塗布液を供給する塗布液供給ラインと、
前記支持体の走行方向から見て前記塗布ヘッドの上流側に配置された減圧チャンバと、
前記塗布ヘッドを塗り付け位置と退避位置との間で移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする塗布装置を提供する。
【0034】
本発明の請求項10は、本発明の塗布方法を実施するための装置として構成したものである。
【0035】
請求項11は請求項10において、前記塗布液供給ラインには、逆止弁を内臓した送液ポンプ又は逆止弁を送液ポンプとの組み合わせた手段が設けられることを特徴とする。
【0036】
請求項11によれば、前記塗布液供給ラインには、逆止弁を内臓した送液ポンプ又は逆止弁を送液ポンプとの組み合わせた手段が設けられているので、第2の塗布手段の塗布液供給ラインから塗布ヘッドのリップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で維持できる。これにより、A:Bの比が1:10〜1:15のような広いリップクリアランスの場合にも塗り付けが可能となる。
【0037】
請求項12は請求項10又は11において、前記移動手段は、前記塗布ヘッドのリップ先端と支持体とのリップクリアランスを0〜5000μmの範囲で且つ±1μmの精度で設定できる高精度移動手段であることを特徴とする。
【0038】
これにより、塗布ヘッドを塗り付け位置に精度良く位置決めできるので、塗布ヘッドのリップ先端が下層に接触したり、リップクリアランスが大きすぎてビードが形成できないということがない。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、下層の上に上層を逐次的に塗布する上層の塗り付け開始時に、リップクリアランスが広い条件下であっても上層を安定して下層の上に塗布することができ、しかも塗布液ロスや支持体ロスの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、添付図面により本発明に係る塗布方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
先ず、本発明に係る塗布装置を組み込んだインクジェット用記録シートの製造装置について説明する。図1はインクジェット用記録シートの製造装置の全体構成を示す構成図である。
【0041】
図1に示されるように、送出し装置10から送り出された支持体12は、走行経路の随所に設けられたガイドローラ36、36…に支持されながら、各種塗布装置(14、28等)や乾燥装置26を経て巻取り装置34に巻き取られる。
【0042】
支持体12は、先ず、第1の塗布手段である色材受容層用塗布装置14により、下層である無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層用の塗布液(下層塗布液)が塗布される。支持体12としては、WP紙やPET等の樹脂フィルムを好適に使用することができるが、これ以外の上質紙等でもよい。また、支持体12の幅は500〜2000mmのものを好適に使用できる。
【0043】
図1は、色材受容層用塗布装置14としてスライド塗布装置を使用した場合であり、塗布液はスライド塗布装置の塗布ヘッド16内に形成されたマニホールド18に供給されて支持体12の幅方向に拡流された後、スリット20を通ってスライド面22に押し出され、スライド面22を流下するようになっている。スライド面22を流下した塗布液は、スライド面先端部と、コーティングロール24に係合支持された支持体12との隙間部分にビードを形成し、このビードを介して支持体12上に塗布される。
【0044】
これにより、支持体12上に、塗布量がたとえば100〜300g/m程度の色材受容層(下層)が塗布形成される。尚、図1では、色材受容層用塗布装置14としてスライド塗布装置を使用したが、エクストルージョン塗布装置、カーテン塗布装置、バー塗布装置等の他の塗布装置を使用することもできる。
【0045】
次に、色材受容層が形成された支持体12は、乾燥装置26の乾燥ゾーンを走行して色材受容層が生乾き状態に乾燥され、乾燥装置26の出口側に配置された第2の塗布手段である上層用塗布装置28により架橋剤塗布液(上層塗布液)がウエットオンウエットで塗布相当流量で塗布される。これにより、色材受容層(下層)の上に架橋剤層(上層)が塗布される。
【0046】
尚、本実施の形態では、上層として架橋剤層の例で説明するが、たとえば別の色材受容層を塗布する場合や、保護層等でもよい。これら上層用塗布液の粘度は1×10−2Pa・s(10cP)以下が好ましく、最終的に色材受容層の上に塗布される必要塗布量は5〜100ml/mの範囲であることが好ましい。
【0047】
記録用シートの製造装置における上層用塗布装置28として、生乾き状態の色材受容層の上に上層塗布液を安定塗布することができるように、塗布装置の諸条件を設定したエクストルージョンタイプの塗布装置を設けることが好ましい。
【0048】
次に、上層塗布液を塗布するエクストルージョンタイプの上層塗布装置40の詳細を説明する。
【0049】
図2は、上層用塗布装置28の一例を示す全体構成図であり、主として、塗布ヘッド42と、減圧チャンバ54と、塗布液供給ライン53と、塗り付け位置Aと退避位置Bとの間で塗布ヘッド42を移動させる高精度移動手段55とで構成される。
【0050】
塗布ヘッド42は、図3に示されるように、上層用塗布液が塗布ヘッド42のマニホールド44に供給されて支持体幅方向に拡げられた後、スリット46を通ってスリット先端であるリップ先端48から吐出される。吐出された上層用塗布液は、バックアップローラ50に巻き掛け支持されて連続走行する帯状の支持体12の表面(本発明では色材受容層が塗布されている)に液架橋して支持体12との間にビード52を形成し、このビード52を介して支持体12表面に塗布される。
【0051】
また、図2に示すように、塗布ヘッド42は、架台56に固定状態で載置される共に、架台56が高精度移動手段55に支持される。また、塗布ヘッド42を挟んで減圧チャンバ54の反対側には、リップ先端48からオーバーフローさせた上層用塗布液を回収する液回収容器58が設けられる。
【0052】
塗布液供給ライン53は、塗布ヘッド42と上層塗布液を貯留するストックタンク60との間をつなぐ配管62上に、塗布ヘッド42側から順に、流量計64、逆止弁66、及び送液ポンプ68が設けられる。ストックタンク60は液面コントロールを行い、液面が下降すれば補給されるようになっている。送液ポンプ68はギアポンプを使用する場合には、図3のように逆止弁66を配置するが、逆止弁が内蔵されているプランジャーポンプ又はダイヤフラムポンプを使用する場合には、逆止弁66を配管62上に設ける必要はない。逆止弁66は、塗布液供給ライン53から塗布ヘッド42のリップ先端48までを上層用塗布液で満たしたときに、上昇塗布液が逆流しないで満ちた状態に維持されるための役目だからである。流量計64は、上層塗布液の送液量をチェックするためのものであり、メカニカルタイプや電磁式のものを好適に使用できる。
【0053】
高精度移動手段55は、主として、塗布ヘッド42が載置された架台56を支持する昇降テーブル70と、昇降テーブル70を昇降駆動させる昇降駆動装置72と、昇降テーブル70の昇降をガイドするガイド装置74とで構成される。これにより、塗布ヘッド42を塗り付け位置Aと退避位置Bとの間で移動させて、塗布ヘッド42を塗り付け位置Aに精度良く位置決めすることができる。また、この高精度移動手段55は塗布ヘッド42の移動の他、塗布ヘッド42の塗り付け位置Aでのリップクリアランスの調整にも使用され、リップ先端48と支持体12とのリップクリアランスを0〜5000μmの範囲で且つ±1μmの精度で設定できるように構成されている。また、ガイド装置74は、塗布ヘッド42の昇降時及び塗り付け位置への位置決め時のガタを防止する。符号76は高精度移動手段55を支持する台座であり、台座には耐震機構が内蔵されている。尚、図2は、塗布ヘッド42を縦置きにしてため、塗布ヘッド42を昇降することで塗布ヘッドを塗り付け位置と退避位置との間で移動させるようにしたが、塗布ヘッド42を横置きにした場合には、水平方向への移動手段を使用することができる。
【0054】
減圧チャンバ54は、図3に示すように、支持体12の走行方向から見て塗布ヘッド42の上流側に設けられ、ビード52の上流側を減圧することができるように構成される。減圧チャンバ54の減圧度は、大気圧に対して−50k〜−400Paになるように調整することが好ましい。この理由は、減圧度が大気圧に対して−400Paを超えて大きくなると、ビード52が上流側に引っ張られすぎて上層の膜面にスジ故障が発生し易くなるからである。また、減圧度が大気圧に対して−50Pa未満では、ビード52を安定化するのに不十分だからである。
【0055】
次に、図4(A)〜図4(E)を使用して、上記の如く構成された上層用塗布装置28を用いて本発明の塗布方法を実施するステップについて説明する。
【0056】
本発明の塗布方法により生乾き状態の下層上に上層塗布液を塗布する場合には、上層のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッドの塗布液吐出部であるリップ先端と支持体12との距離をBとしたときに、A:Bの比が1:10〜1:15の範囲となる広いリップクリアランスでの塗り付け位置において上層用塗布液を塗布相当流量で塗布しても、下層の上に上層を安定して塗り付けることができることが重要である。
【0057】
そこで、本発明者等は、図4(A)に示すように、上層用塗布装置28の塗布ヘッド42を塗り付け位置から退避した退避位置Bにおいて、上層用塗布装置28の塗布液供給ライン53から塗布ヘッド42のリップ先端48までを上層用塗布液で満たし、この状態で塗布液供給ライン53の送液ポンプ68を停止する。この場合、リップ先端48から上層用塗布液をオーバーフローさせて該上層用塗布液の泡抜きを行うことが好ましく、オーバーフローさせた上層用塗布液は液回収容器58に回収される。このときにリップ面を流れる上層用塗布液でリップ面が汚れるので、図4(B)に示すように、リップ先端48及びリップ面をスリット46内に溜まった上層用塗布液に接触しないようにして洗浄除去する。洗浄除去には、布等により拭い取る方法が一番簡単である(塗布準備ステップ)。
【0058】
次に、図4(C)に示すように、高精度移動手段55を駆動して塗布ヘッド42を塗り付け位置Aに移動させる。このときに、上述したA:Bの比が1:10〜1:15の範囲となるように、塗布ヘッド42を位置決めする。例えば、上層のウエット厚みAが50μmとした場合には、リップ先端48と支持体12との距離Bが500μm〜750μmの範囲になるように塗布ヘッド42を位置決めし、この位置で待機する(移動ステップ)。
【0059】
次に、インクジェット用記録シートの製造ラインを運転開始して、図4(D)に示すように、下層L1の塗布を開始したら、減圧チャンバ54の減圧度を大気圧に対して−50k〜−400Paになるように調整する。そして、図4(E)に示すように、下層L1の支持体走行方向先端が塗り付け位置Aに到着する前で且つ到着3分以内の間に送液ポンプ68を稼働して上層塗布液L2を塗り付けを開始する(塗り付け開始ステップ)。
【0060】
これにより、下層L1の上に上層L2を逐次塗布する上層の塗り付け開始時に、リップクリアランスが広い条件下であっても上層L2を安定して下層L1の上に塗布することができる。また、本発明の塗布方法は、上層用塗布液L2を塗布相当流量で塗布しても塗り付けることができるので、塗布液ロスや支持体ロスの発生を防止することができる。
【0061】
本発明で使用される無機微粒子の例としては、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。透明性を低下させない観点から、屈折率が1.40〜1.60の範囲にあることが好ましい。これらの中で、シリカ微粒子が特に好ましい。また、無機微粒子の平均一次粒子径は、20nm以下、好ましくは10nm以下、特に好ましくは3nm以下がよく、また、屈折率は1.45付近であることが好ましい。
【0062】
本発明で使用される水溶性樹脂の例としては、親水性構造単位として、ヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びポリビニツエーテル(PVE);そしてアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、及びポリビニルピロリドン(PVP)を挙げることができる。
【0063】
また、解離性基として、カルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸塩、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン酸基を有する、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPA)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
【0064】
本発明で使用される架橋剤の例としては、硼酸、硼酸塩〔たとえば、オルト硼酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO〕、二硼酸塩〔たとえば、Mg、Co〕、メタ硼酸塩〔たとえば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO〕、四硼酸塩〔たとえば、Na・10HO〕、五硼酸塩〔たとえば、KB・4HO、CaB6O11・7HO、CsB〕、グリオキザール、ミラミン・ホルムアルデヒド〔たとえば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、〕、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート等を挙げることができる。これらの中で、硼酸又は硼酸塩が特に好ましい。
【実施例】
【0065】
図1に示したインクジェット用記録シートの製造装置の第2の塗布手段として、図2で説明した上層用塗布装置28使用して、記録用シートを製造した。
【0066】
支持体12としては、厚さ210μmで幅が700mmのWP紙を使用した。支持体12の搬送速度は100m/分に設定した。
【0067】
先ず、スライド塗布装置14により、表1に示される組成の無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層(下層)を、支持体12上に100g/mの塗布量になるように幅1.5mで塗布した。なお、色材受容層用塗布液の調製は、表1の無水シリカ微粒子を、イオン交換水(73.3重量部)中に添加して、高速回転湿式コロイトミル〔クレアミックス(エム・テクニック(株)製〕を用いて、10000rpmの条件で20分間分散させた後、ポリビニルアルコール水溶液(イオン交換水の残り62.7重量部に溶解させたもの)を加えて、更に、上記と同じ条件で分散を行なって色材受容層のための塗布液を調製した。
【0068】
【表1】

【0069】
次いで、乾燥装置26の乾燥ゾーンにおいて乾球温度50〜120°C、露点温度0°Cの風を用いて色材受容層を生乾き状態まで乾燥を行い、空隙率60%の多孔質層を形成した。
【0070】
乾燥後、エクストルージョン塗布装置28により、表2に示される組成の上層(粘度2cP,表面張力30dyn/cm)を生乾き状態の下層の上に塗布した。即ち、上記した塗布前準備ステップ〜塗り付け開始ステップにより、塗布相当量(ウエット厚みで30μm,塗布量として30ml/mの供給塗布量)になるように塗布した。
【0071】
次いで、乾燥装置26の乾燥ゾーンにおいて乾球温度120°C、露点温度0°Cの風を用いて上層を乾燥させた。
【0072】
【表2】

【0073】
(実施例1)
実施例1は、かかる記録用シートの製造の上層塗布において、上層L2のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッド42の塗布液吐出部であるリップ先端48と支持体12との距離をBとしたときのA:Bの比を、表3の如く1:8〜1:17の範囲で変えたときに、下層L1の上に上層L2を安定して塗り付けることができるかを試験した。1:8のときのリップクリアランスは300μmであり、1:15のときのリップクリアランスは700μmである。
【0074】
【表3】

【0075】
表3から分かるように、A:Bの比が1:10〜1:15の範囲では、下層L1の上に上層L2K、補助手段(例えばビードの形成を助ける部材等)を使用することなく、良好に塗り付けを開始することができた。また、塗り付け時における上層塗布液の飛散もなかった。
【0076】
これに対し、A:Bの比が1:8の場合には、塗布ヘッド42のリップ先端48が、下層L1のウェブ幅方向両端における厚塗り部に接触してしまった。また、A:Bの比が1:17の場合には、ビードが形成されないために塗り付けることができなかった。
【0077】
(実施例2)
実施例2は、表4に示すように、送液ポンプ68の種類と逆止弁66との組み合わせによる、塗り付けの良否を試験したものである。
【0078】
【表4】

【0079】
表4から分かるように、逆止弁66を有しないギアポンプ68を使用した場合には、上層用塗布装置28の塗布液供給ライン53から塗布ヘッド42のリップ先端48までを上層用塗布液で満たしてギアポンプを停止すると、上層塗布液が逆流してしまい、満たした状態が確保されなかった。この結果、生乾き状態の下層L1の上に上層L2を塗布することができなかった。
【0080】
これに対し、ギアポンプ68と逆止弁66を組み合わせた場合や、逆止弁66を内蔵するプランジャーポンプ68を使用した場合には、生乾き状態の下層の上に上層を安定に塗布することができた。
【0081】
(実施例3)
実施例3は,表5に示すように、A:Bの比が1:9〜1:15の範囲において、支持体12に下層を塗布せずに上層を単独で塗布相当流量で塗布を行った場合に、安定塗布を維持できる時間がA:Bの比によってどのように変わるかを試験した。この試験は、下層L1の支持体走行方向先端が塗り付け位置Aに到着する前で且つ到着の何分以内の間に送液ポンプ68を稼働して上層塗布液を塗り付け開始すればよいかを知るための試験である。
【0082】
【表5】

【0083】
表5から分かるように、A:Bの比が1:10までは上層塗布液が液切れすることなく連続して安定塗布することができた。しかし、A:Bの比が1:13では、塗り付け開始から10分間は安定塗布を行うことができたが、10分を超えると液切れが発生して塗布できなくなった。また、A:Bの比が1:15では、塗り付け開始から3分間は安定塗布を行うことができたが、3分を超えると液切れが発生して塗布できなくなった。
【0084】
この結果から、A:Bの比が1:10〜1:15を前提として、生乾き状態の下層L1の上に塗布相当流量の上層L2を塗布する場合には、下層L1の支持体走行方向先端が塗り付け位置Aに到着する前で且つ到着3分以内の間に送液ポンプ68を稼働して上層塗布液を塗り付け開始することが必要になる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る塗布方法が適用される記録シートの製造装置の全体構成図
【図2】上層を塗布するエクストルージョンタイプの塗布装置の全体構成を説明する説明図
【図3】塗布ヘッドの内部構造及び減圧チャンバを説明する説明図
【図4(A)】本発明の塗布方法における塗布前準備ステップの図
【図4(B)】塗布前準備ステップにおいてオーバーフローした上層塗布液を浄化した後の図
【図4(C)】塗布ヘッドを退避位置から塗り付け位置に移動した後の図
【図4(D)】塗布された下層の先端が上層を塗布する塗布装置の塗り付け位置に近づいている図
【図4(E)】下層の先端が上層を塗り付け位置に到着する前に上層を塗布している図
【符号の説明】
【0086】
10…送出し装置、12…支持体、14…色材受容層用塗布装置、26…乾燥装置、28…上層用塗布装置、34…巻取り装置、42…塗布ヘッド、44…マニホールド、46…スリット、48…リップ先端、50…バックアップローラ、52…ビード、53…塗布液供給ライン、54…減圧チャンバ、55…高精度移動手段、56…架台、58…液回収容器、60…ストックタンク、62…配管、64…流量計、66…逆止弁、68…送液ポンプ、70…昇降テーブル、72…昇降駆動装置、74…ガイド装置、76…台座、A…塗り付け位置、B…退避位置、L1…下層、L2…上層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の支持体を連続走行させながら該支持体上に第1の塗布手段により下層用塗布液を塗布形成した後、生乾き状態の下層上に、前記支持体の走行を支持するバックアップローラを備えたエクストルージョンタイプの第2の塗布手段を用いて上層用塗布液を塗布する塗布方法において、
前記第2の塗布手段は、前記上層のウエット塗膜厚みをAとし、塗布ヘッドの塗布液吐出部であるリップ先端と前記支持体との距離をBとしたときに、A:Bの比が1:10〜1:15の範囲となる広いリップクリアランスでの塗り付け位置において前記上層用塗布液を塗布相当流量で塗布することを前提とし、
前記塗り付け位置から退避した退避位置において、前記第2の塗布手段の塗布液供給ラインから前記リップ先端までを上層用塗布液で満たした状態で前記塗布液供給ラインの送液ポンプを停止しておく塗布準備ステップと、
前記塗布ヘッドを前記塗り付け位置に移動させる移動ステップと、
前記下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着3分以内の間に前記送液ポンプを稼働して上層塗布液を塗り付け開始する塗り付け開始ステップと、を順次行うことを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記A:Bの比が1:10〜1:13となるように前記塗り付け位置を設定すると共に、前記塗り付け開始ステップでは前記下層の支持体走行方向先端が前記塗り付け位置に到着する前で且つ到着10分以内の間に前記送液ポンプを稼働して前記塗布ヘッドで上層塗布液の塗り付けを開始することを特徴とする請求項1の塗布方法。
【請求項3】
前記塗布準備工程ステップにおいて、前記リップ先端から前記上層用塗布液をオーバーフローさせて該上層用塗布液の泡抜きを行うと共に、該オーバーフローにより汚れたリップ先端部分を浄化することを特徴とする請求項1又は2の塗布方法。
【請求項4】
前記送液手段は、プランジャーポンプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の塗布方法。
【請求項5】
前記送液手段は、ダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の塗布方法。
【請求項6】
前記送液手段は、ギアポンプに逆止弁を備えたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の塗布方法。
【請求項7】
前記支持体の走行方向から見て前記塗布ヘッドの上流側に配置した減圧チャンバの減圧度を、大気圧に対して−50k〜−400Paになるように調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の塗布方法。
【請求項8】
前記下層用塗布液が無機微粒子と水溶性樹脂を含む色材受容層用の塗布液であり、前記上層用塗布液が架橋剤を含む塗布液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記支持体がWP紙、上質紙又は樹脂フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の塗布方法。
【請求項10】
帯状の支持体を連続走行させながら該支持体上に第1の塗布手段により下層用塗布液を塗布形成した後、生乾き状態の下層上に、前記支持体の走行を支持するバックアップローラを備えたエクストルージョンタイプの第2の塗布手段を用いて上層用塗布液を塗布する塗布装置において、
前記第2の塗布手段は、
前記上層塗布液を塗布する塗布ヘッドと、
前記塗布ヘッドに上層用塗布液を供給する塗布液供給ラインと、
前記支持体の走行方向から見て前記塗布ヘッドの上流側に配置された減圧チャンバと、
前記塗布ヘッドを塗り付け位置と退避位置との間で移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
前記塗布液供給ラインには、逆止弁を内臓した送液ポンプ又は逆止弁を送液ポンプとの組み合わせた手段が設けられることを特徴とする請求項10の塗布装置。
【請求項12】
前記移動手段は、前記塗布ヘッドのリップ先端と支持体とのリップクリアランスを0〜5000μmの範囲で且つ±1μmの精度で設定できる高精度移動手段であることを特徴とする請求項10又は11の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図4(C)】
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【図4(D)】
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【図4(E)】
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【公開番号】特開2007−105672(P2007−105672A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300453(P2005−300453)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】