説明

外観検査装置

【課題】めっき層表面に生じるめっき未着等の欠陥を安定的に検出することが可能な外観検査装置を提供する。
【解決手段】外観検査装置20は、パッド部11a、11bと、パッド部11a、11bと異なる色彩をもつめっき層12とを有する被検査基材10の外観を検査するものである。外観検査装置20は、被検査基材10に対してパッド部11a、11bからの反射率と、めっき層12からの反射率との差が大きくなる特定波長成分を含む光を照射する照明装置23a−23cと、被検査基材10を撮像してグレー画像を取得するモノクロカメラ22と、モノクロカメラ22に接続された画像処理装置30とを備えている。画像処理装置30は、モノクロカメラ22からのグレー画像に基づいて白黒画像を生成する二値化処理部33と、白黒画像に基づいてめっき層12の未着を判定する判定部34とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置または半導体パッケージ部材のめっき層の外観検査を行う外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般に半導体装置または半導体パッケージ部材の外観検査を行う外観検査装置として、光学照明装置、カメラ、および画像処理装置等を備えた光学式検査装置が用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
半導体装置及び半導体パッケージ部材の内部配線を実現するために、リードフレーム(lead-frame)と呼ばれる薄板の金属が使われている。このリードフレームは、外部配線との橋渡しをする配線部(リード部)、ICチップを搭載するダイパッド部、Auワイヤとの接続をとるワイヤボンディングパッド部等を有する部材であり、パッケージタイプにより、QFP(Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、Micro−CC、BCC等が存在する。
【0004】
このような半導体装置及び半導体パッケージ部材に用いられるリードフレームでは、ワイヤボンディング時に、搭載された半導体チップとリードフレーム本体との電気的接合が損なわれない様にするため、パッド部(ワイヤボンディングパッド部)にめっき層が施される。また、半導体チップが搭載されるパッド部(ダイパッド部)にも、ダイアタッチペーストの濡れ性向上、もしくはワイヤボンディングにて電気的特性の向上(グランド等)を図るため、めっき層が施されることがある。中には、半導体装置及び半導体パッケージ部材の外部に露出し、外部接続のために使用するパッド部における、はんだ等の濡れ性向上および耐食性向上のため、全面めっき層(パラジウムめっき等)が施される場合もある。
【0005】
リードフレーム以外の半導体装置及び半導体パッケージ部材、例えば、TAB/COFに代表されるフレキシブル基板、プリント配線板に代表される多層基板においても、上述した様なパッド部及びめっき層を有する。
【0006】
従来より、一般に、上述した様な半導体装置又は半導体パッケージ部材における外観検査を行う外観検査装置として、光学照明装置、カメラ、及び画像処理装置等を備えた光学式検査装置が用いられている。
【特許文献1】特開平9−273919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光学式検査装置を用いて半導体装置または半導体パッケージ部材の外観検査を行った場合、めっき層表面凹凸のばらつきにより、光の反射状態が変化する場合がある。この結果、特異な欠陥がない箇所でもNG検出してしまう擬似欠陥(過剰検出)が発生する場合がある。めっき層表面凹凸のばらつきには、めっき層形成する金属材料表面(パッド部表面)の凹凸や、めっき層表面の光沢(光沢めっき又は無光沢めっき)に依存する凹凸が影響している。
【0008】
このため、NG検出された半導体装置または半導体パッケージ部材に対して作業者が目視または顕微鏡により、NG検出された箇所に特異な欠陥があるかないかを確認し、実際の欠陥と擬似欠陥(過剰検出)とを判別するレビュー確認作業が必要となり、作業負荷が重くなっている。また、このような判別作業をせず、NG検出したものを全てそのまま排除してしまう場合、実際は良品である擬似欠陥品も捨てることとなり、無駄となる。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、めっき層表面の凹凸に起因する擬似欠陥の検出を低減するとともに、めっき未着等の欠陥を安定的に検出することが可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パッド部と、パッド部上に形成され、パッド部と異なる色彩をもつめっき層とを有する被検査基材の外観検査装置において、被検査基材に対して、パッド部からの反射率と、めっき層からの反射率との差が大きくなる特定波長成分を含む光を照射する照明装置と、被検査基材を撮像してグレー画像を取得するモノクロカメラと、モノクロカメラに接続された画像処理装置とを備え、画像処理装置は、モノクロカメラからのグレー画像に基づいて白黒画像を生成する二値化処理部と、二値化処理部からの白黒画像に基づいてめっき層の未着を判定する判定部とを有することを特徴とする外観検査装置である。
【0011】
本発明は、照明装置は、被検査基材に対して青色光を照射する青色照明装置からなることを特徴とする外観検査装置である。
【0012】
本発明は、照明装置は、モノクロカメラのレンズの光軸に対して同軸方向に光を照射する同軸方向の照明装置と、モノクロカメラのレンズの光軸に対して角度をつけて光を照射する斜め方向の照明装置とを有することを特徴とする外観検査装置である。
【0013】
本発明は、同軸方向の照明装置および斜め方向の照明装置のうち、一方の照明装置の照度は、他方の照明装置の照度に比べて低いことを特徴とする外観検査装置である。
【0014】
本発明は、パッド部は銅又は銅合金からなり、めっき層は銀からなり、かつ特定波長成分は青色成分からなることを特徴とする外観検査装置である。
【0015】
本発明は、被検査基材はリードフレームであることを特徴とする外観検査装置である。
【0016】
本発明は、照明装置は、光源と、光源からの光のうち特定波長成分の光のみを透過させるフィルタとを有することを特徴とする外観検査装置である。
【0017】
本発明は、照明装置は、LED照明装置からなることを特徴とする外観検査装置である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、照明装置が、被検査基材に対して、パッド部からの反射率と、めっき層からの反射率との差が大きくなる特定波長成分を含む光を照射し、モノクロカメラが被検査基材を撮像してグレー画像を取得する。また画像処理装置の二値化処理部は、モノクロカメラからのグレー画像に基づいて白黒画像を生成し、判定部は、二値化処理部からの白黒画像に基づいてめっき層の未着を判定する。このことにより、めっき層表面の凹凸に起因する擬似欠陥検出を低減(防止)し、外観検査装置のOK通過率を向上させることができるとともに、レビュー確認作業の負荷軽減ができる。また、同時にめっき層表面に生じるめっき欠け等の未着を安定的に検出することができる。
【0019】
また本発明によれば、被検査基材に対して光を照射する照明装置として、モノクロカメラのレンズの光軸に対して同軸方向に光を照射する同軸方向の照明装置と、モノクロカメラのレンズの光軸に対して角度をつけて光を照射する斜め方向の照明装置との双方を用いている。このことにより、めっき層表面の凹凸ばらつき(光沢度ばらつき)による擬似欠陥を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1乃至図7を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0021】
図1乃至図7中、図1(a)は、リードフレーム(被検査基材)を示す平面図であり、図1(b)は、リードフレーム(被検査基材)を示す断面図(図1(a)のIB−IB線断面図)であり、図2は、リードフレーム(被検査基材)上の欠陥を示す図である。図3は、本実施の形態による外観検査装置を示す構成図であり、図4は、青色フィルタの分光特性を示す図である。図5(a)−(c)は、同軸方向の照明装置と斜め方向の照明装置とを併用する場合、斜め方向の照明装置のみを使用する場合、および同軸方向の照明装置のみを使用する場合における、二値化処理されたリードフレームの画像を比較して示す図であり、図6は、めっき層(銀)およびリードフレームのパッド部(銅合金)における反射率を示す図である。図7は、リードフレームの画像の輝度分布を示す概略図である。
【0022】
本明細書において、光沢度は日本電色工業株式会社製の微小面光沢計(型番:VSR−300A)を用いて、拡散反射率濃度(照射−受光/45°−0°)を測定した値である。また、以下、光沢度について記述されている場合も、同方法によって得られる値である。
【0023】
図1および図2に示すように、リードフレーム(被検査基材)10は、金属材料からなり、ダイパッド部11aおよびボンディングパッド部11bを含むリードフレーム本体11と、リードフレーム本体11のパッド部11a、11b上の所定位置にパターン状に形成されためっき層12とを有している。なお、本明細書では、リードフレーム本体11のダイパッド部11aおよびボンディングパッド部11bを総称してパッド部11a、11bという。
【0024】
リードフレーム本体11とめっき層12は、互いに異なる色彩をもつ金属からなっている。例えばリードフレーム本体11は、銅、銅合金等の赤色系の金属材料からなり、めっき層12は、例えば銀、パラジウム、ニッケル等の白色系金属、金等の黄色系金属、またはこれらを多層に構成した金属層からなっている。なおめっき層12は、リードフレーム本体11のパッド部11a、11bの一部上に形成されていてもよく、リードフレーム本体11のパッド部11a、11bの全体上に形成されていても良い。
【0025】
図2に示すように、リードフレーム10のめっき層12表面には、めっき未着とよばれる欠陥Dが発生する場合がある。すなわち図2に示すように、リードフレーム本体11上において、本来めっき層12が形成される部分にめっき層12が形成されず、リードフレーム本体11が表面に露出する欠陥Dが生じる場合がある。
【0026】
以下に説明する本実施の形態による外観検査装置20は、上述したリードフレーム(被検査基材)10(図1参照)の外観検査を行う装置である。具体的には、図2に示すように、めっき層12表面に生じためっき未着による欠陥Dを効果的に検出する装置である。
【0027】
次に、図3により、このような外観検査装置の構成について説明する。図3に示す外観検査装置20は、リードフレーム10を搬送する搬送装置21と、搬送装置21上方に配設され、搬送装置21上のリードフレーム10を撮像してグレー画像を取得するモノクロカメラ22と、モノクロカメラ22に接続された画像処理装置30とを備えている。
【0028】
このうち搬送装置21は、検査対象となる複数のリードフレーム10を、順次水平方向(図3の矢印方向)に間欠送りまたは連続送りで搬送するものである。
【0029】
一方、モノクロカメラ22は、リードフレーム10を撮像してグレー画像を取得するものであり、そのレンズ22aの光軸Aが鉛直方向、すなわちリードフレーム10に対して垂直に向くように設置されている。このようなモノクロカメラ22としては、CCDラインカメラ等のモノクロカメラ、例えばDALSA社製のラインスキャンカメラ(品番:P2−2X等)を用いることができる。
【0030】
また搬送装置21上方に、リードフレーム10に対して特定波長成分の光、ここでは青色光を照射する3つの青色照明装置(第1青色照明装置23a(斜め方向の照明装置)、第2青色照明装置23b(斜め方向の照明装置)、第3青色照明装置23c(同軸方向の照明装置))が配置されている。さらにモノクロカメラ22の鉛直下方には、ハーフミラー24が設けられている。
【0031】
上述した3つの青色照明装置23a、23b、23cは、それぞれ白色光を照射する光源23dと、光源23d近傍に配置された青色のフィルタ23eと、フィルタ23eからの青色光をリードフレーム10側に導く光ファイバ(導光部材)23fとを有している。このうちフィルタ23eは、例えば図4に示すように、光源23dからの光のうち特定波長成分である約400nm〜約550nm(青色成分)の波長域帯以外の光をカットし、特定波長成分の光のみを透過する性質を有している。
【0032】
なお青色照明装置23a、23b、23cとしては、上述した構成に代えて、青色LED照明装置を使用することもできる。
【0033】
ここで特定波長成分とは、リードフレーム本体11のパッド部11a、11bからの反射率と、めっき層12からの反射率との差が大きくなる波長域帯に相当する。例えば、リードフレーム本体11が銅又は銅合金からなり、めっき層12が銀からなる場合、特定波長成分は、約400nm〜約550nm(青色成分)の波長域帯となる。なお本実施の形態においては、3つの青色照明装置23a、23b、23cの光の波長帯域と特定波長成分である波長域帯がほぼ等しい例を示しているが、必ずしも、青色照明装置23a、23b、23cの光の波長域帯と特定波長成分である波長域帯とが一致する必要はなく、青色照明装置23a、23b、23cからの光が、特定波長成分である波長域帯をより高い割合で含んでいればよい。
【0034】
これら青色照明装置23a、23b、23cのうち、第1青色照明装置23aおよび第2青色照明装置23bは、それぞれモノクロカメラ22の外周に設けられている。
【0035】
また第1青色照明装置23aおよび第2青色照明装置23bの各軸La、軸Lbがモノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めになるように配置されている。この時の青色照明装置23a、23bの光の照射角度としては、リードフレーム10の搬送面を基準にした場合、角度θ(図3参照)が60〜89°になるように設定するが、70〜80°が望ましい。このことにより、リードフレーム10のめっき層12表面に凹凸がある(光沢度が小さい)場合に、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に反射される光の割合が高くなる。
【0036】
すなわち第1青色照明装置23aおよび第2青色照明装置23bからの光は、リードフレーム10に対して斜めに照射され、リードフレーム10表面で反射するとともに、その反射光の一部がハーフミラー24内を通過して、モノクロカメラ22に入射する。
【0037】
他方、第3青色照明装置23cは、その軸Lcが水平方向を向くように配置されている。また上述したハーフミラー24は、第3青色照明装置23cの側方に設けられている。この結果、第3青色照明装置23cからの光は、ハーフミラー24に側方から入射するとともに、ハーフミラー24内部で反射して、リードフレーム10に対して垂直に照射される。さらにこの光はリードフレーム10表面で反射し、ハーフミラー24内を下方から上方に通過するとともに、モノクロカメラ22に入射する。
【0038】
このことにより、第3青色照明装置23cでは、リードフレーム10のめっき層12表面が滑らかな(光沢度が大きい)場合に、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aの方向に反射される率が高くなる。
【0039】
このように青色照明装置23a、23b(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めに光を照射する照明装置)、と青色照明装置23c(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に光を照射する照明装置)のそれぞれの特徴から、双方を併用することにより、めっき層12表面の凹凸ばらつき(光沢度ばらつき)に依存する擬似欠陥を低減することができる。
【0040】
例えば、青色照明装置23a、23b(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めに光を照射する照明装置)を主照明装置とした場合、めっき層表面に凹凸がある(光沢度が小さい)部分では、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に反射される光の割合が高くなる一方、めっき層表面が滑らかな(光沢度が大きい)部分では、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に反射される光の割合が低くなり、撮像される画像では輝度が低くなる。結果的に、擬似欠陥の原因となりうる。
【0041】
しかしながら、青色照明装置23c(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に照射)を、めっき層表面が滑らかな(光沢度が大きい)部分で低下する輝度を補充する、補助照明装置として併用すれば、青色照明装置23cでは、リードフレーム10のめっき層12表面が滑らかな(光沢度が大きい)場合に、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aの方向に反射される率が高くなることから、めっき層表面が滑らかな(光沢度が大きい)部分で低下する輝度を補充することが可能である。
【0042】
めっき層表面の凹凸ばらつき(光沢度のばらつき)の度合いにも依存するが、光沢度が0.4〜0.9の範囲であれば、補助照明装置(青色照明装置23c)の照度を主照明装置(青色照明装置23a、23b)の20〜40%に設定すればよい。補助照明装置の照度を上げすぎることによって、光の干渉(ハレーション)により、めっき未着欠陥部と正常部との輝度コントラストが低くなることから、NG検出が困難になることがある。そのため、凹凸ばらつき(光沢度のばらつき)が小さい場合には、補助照明装置の照度を低めに設定する方がよい。
【0043】
なお、青色照明装置23c(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に光を照射する照明装置)を主照明装置とし、青色照明装置23a、23b(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めに光を照射する照明装置)を補助照明装置として使用してもよく、青色照明装置23c(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に光を照射する照明装置)もしくは、青色照明装置23a、23b(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めに光を照射する照明装置)を単独にて検査したときに、欠陥検出能力が高い方を、主照明装置とすることが好ましい。
【0044】
ところで、図5(a)−(c)は、後述する画像処理装置30の二値化処理部33により二値化処理されたリードフレーム10の画像を示している。このうち図5(a)は、青色照明装置23a、23b(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して斜めに光を照射する斜め方向の照明装置)と青色照明装置23c(モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aと同方向に照射する同軸方向の照明装置)とを併用した場合、図5(b)は、青色照明装置23a、23b(斜め方向の照明装置)のみを使用した場合、図5(c)は、青色照明装置23c(同軸方向の照明装置)のみを使用した場合をそれぞれ示している。
【0045】
図5(a)−(c)から明らかなように、青色照明装置23a、23b(斜め方向の照明装置)のみを使用した場合(図5(b))、および青色照明装置23c(同軸方向の照明装置)のみを使用した場合(図5(c))には、いずれも本来白色として処理されるべきめっき層12上に、黒色の影が映っている。このような影を擬似欠陥として検出するおそれがある。これに対して青色照明装置23a、23b(斜め方向の照明装置)と青色照明装置23c(同軸方向の照明装置)とを併用した場合(図5(a))、めっき層12上にこのような影が生じることがなく、疑似欠陥が検出されることがない。
【0046】
なお、青色照明装置23a、23b、23cの個数、設置位置、および設置角度は上述したものに限定されるものではない。
【0047】
他方、図3に示すように、画像処理装置30は、モノクロカメラ22により撮像されたグレー画像を取り込む画像取込部31と、画像取込部31によって取り込まれたグレー画像に基づいて白黒画像を生成する二値化処理部33と、二値化処理部33からの白黒画像に基づいてめっき層12のめっき未着を判定する判定部34とを有している。
【0048】
二値化処理部33は、画像取込部31によって取り込まれたグレー画像を、輝度(例えば、256階調等)において、特定の閾値を基準として二値化処理する。すなわちグレー画像において、輝度が前記閾値を上回る部分を白色とし、前記閾値を下回る部分を黒色とする処理をする。例えば、上述したようにリードフレーム本体11が銅又は銅合金からなり、めっき層12が銀からなる場合、リードフレーム本体11(銅又は銅合金)が黒色として処理され、めっき層12(銀)が白色として処理される。
【0049】
なお上記の方法に限定されず、輝度(256階調等)に基づいて特定の閾値を基準としたデジタル処理をする場合、輝度分布の特徴によっては、閾値を複数設定する、多値化処理をする方が有効な場合もある。
【0050】
また判定部34は、予め記憶しておいた、欠陥の存在しないマスター画像と、二値化処理部33で二値化処理された画像とをパターンマッチングにより比較する。この結果、判定部34は、めっき層12(白色部分)上に所定の大きさ(例えば50μm角)を上回る欠陥(黒色部分)(めっき未着)を検出した場合、検査したリードフレーム10に欠陥があるとしてNG判定を行う。逆に、判定部34は、めっき層12上に所定の大きさを上回る欠陥を検出できなかった場合、リードフレーム10に欠陥が存在しないものとしてOK判定を行う。
【0051】
本実施の形態においては、欠陥を検出する検査アルゴリズムとして、パターンマッチングを紹介しているが、膨張及び収縮処理、特徴的な形状のフィルタリング等による、特徴抽出のアルゴリズムを用いてもよい。
【0052】
一方、画像処理装置30には記憶部40が接続されている。記憶部40は、検査したリードフレーム10を特定する番号と、画像処理装置30の判定部34から送信された当該リードフレーム10の判定結果とを記憶する機能を有している。
【0053】
また記憶部40には表示部50が接続されている。この表示部50は、記憶部40に記憶されたリードフレーム10の番号および当該リードフレーム10の判定結果を表示するものである。
【0054】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0055】
まず、リードフレーム本体11と、リードフレーム本体11上に形成されためっき層12とを有するリードフレーム10が、外観検査装置20の搬送装置21に載置される。その後、リードフレーム10は、搬送装置21によって水平方向に搬送され、モノクロカメラ22の下方に到達する。
【0056】
この際、青色照明装置23a、23b、23cからリードフレーム10に対して特定波長成分(青色成分:波長約400nm〜約550nm)の光が照射される。この光は、リードフレーム10で反射し、モノクロカメラ22のレンズ22aに入射する。
【0057】
続いて、モノクロカメラ22は、搬送装置21上のリードフレーム10を撮像する。この際モノクロカメラ22は、リードフレーム10で反射した特定波長成分の光に基づき、リードフレーム10のグレー画像を取得するとともに、このグレー画像を画像処理装置30に送信する。
【0058】
続いて、画像処理装置30の画像取込部31が、モノクロカメラ22により撮像されたグレー画像を取り込む。
【0059】
画像取込部31によって取り込まれたグレー画像は二値化処理部33に送られ、二値化処理部33において、この特定波長成分を含む画像成分に対して画像処理が施される。
【0060】
以下、この画像処理時における作用について詳細に説明する。なお、以下においては、リードフレーム本体11が銅又は銅合金からなり、めっき層12が銀からなる場合を例にとって説明する。
【0061】
まず、上述したように青色照明装置23a、23b、23cから出射され、リードフレーム10表面で反射した特定波長成分(青色波長成分)の光がモノクロカメラ22に入射する。次にモノクロカメラ22は、リードフレーム10表面で反射した青色波長成分のみを含む光に基づいて、グレー画像を作成する。
【0062】
このようにモノクロカメラ22が青色波長成分のみの画像を抽出する理由は以下の通りである。
【0063】
図6に示すように、一般に、めっき層12表面(銀面)における反射率(図6中、四角印で示す)は、可視光の波長域内(400nm〜700nm)において略同一である。これに対して、リードフレーム本体11表面(銅面)における光の反射率(図6中、三角印で示す)は、青色の波長域内(400nm〜550nm)より、赤色の波長域内(550nm〜700nm)の方が大きい。したがって、めっき層12表面(銀面)の反射率とリードフレーム本体11表面(銅面)の反射率との差(図6中、丸印で示す)は、赤色の波長域内(550nm〜700nm)より青色の波長域内(400nm〜550nm)の方が大きくなる。
【0064】
このため、モノクロカメラ22が青色波長成分のみを含む光に基づいてグレー画像を取得することにより、めっき層12表面(銀面)とリードフレーム本体11表面(銅面)との輝度の差を大きくすることができる。これにより、二値化処理部33において、めっき層12とリードフレーム本体11との差を明確に識別することができる。
【0065】
リードフレーム本体11とめっき層12の構成としては、リードフレーム本体11に銅又は銅合金を用い、めっき層12に銀を用いる構成の他に、次のものが挙げられる。
【0066】
リードフレーム本体11に銅又は銅合金が用いられる場合には、そのめっき層12として、Ni/Ag、Ni/Au、Ni/Au/Ag、Ni/Pd/Au、Ni/Cu/Ni/Au、Au/Ni/Au、Au/Pd/Ni/Agが付加される(下記表1参照)。リードフレーム本体11に42Aが用いられる場合には、そのめっき層12として、Cu/Agが付加される。ここでは、めっき層12を構成する複数層のめっき層に対して、リードフレーム本体11を最下層とした場合、その上層にあたるめっき層を左側から順に表記し、各めっき層の間にスラッシュ(/)を置き表記した。
【表1】

【0067】
上記構成の場合、互いに隣り合う2つの金属層(下層/上層)の種類としては、Au/Ag、Ni/Cu、Ni/Au、Pd/Au、銅又は銅合金/Ni、Au/Ni、Au/Pd、42A/Cu、となる。このうち、上記金属層(下層/上層)の組合せがAu/Agの場合には、青色光をリードフレーム10に対して照射することにより、白色光を照射する場合と比較し、めっき層12とリードフレーム本体11との差をより大きくする効果が期待できる(下記表2参照)。他方、上記金属層(下層/上層)の組合せがNi/Cu、Ni/Au、Pd/Au、銅又は銅合金/Ni、Au/Ni、Au/Pd、42A/Cuの場合には、赤色光をリードフレーム10に対して照射することで、白色光を照射する場合と比較し、めっき層12とリードフレーム本体11との差をより大きくする効果が期待できる(下記表2参照)。
【表2】

【0068】
なお、リードフレーム本体11からの反射率と、めっき層12からの反射率との差は、大きくなる程、好ましい。すなわち図6において、青色の波長域内(400nm〜550nm)において、リードフレーム本体11からの反射率と、めっき層12からの反射率との差は15%〜20%程度である。これに対して、赤色の波長域内(550nm〜700nm)では、前記反射率の差は10%未満である。よって、このリードフレームでは、波長域帯400nm〜550nmが特性波長成分となる。仮に、反射率の差が小さい場合、二値化処理部33において、めっき層12とリードフレーム本体11との差を明確に識別できないおそれがある。このため、反射特性分析等を実施し、最善の特性波長成分を選定することが重要である。
【0069】
続いて、このようにグレー画像が画像取込部31から二値化処理部33に送られた後、二値化処理部33は、このグレー画像を、その輝度に基づいて数値化する(例えば0〜255の256階調)。次に、二値化処理部33は、予め定められた所定の閾値を基準として輝度の数値を二値化処理する。すなわちグレーの画像のうち、輝度が前記閾値を上回る部分を白色として処理し、前記閾値を下回る部分を黒色として二値化処理する。このようにして二値化処理部33は白黒画像(2階調)を生成する。
【0070】
この閾値は、以下のようにして予め定めておく。図7は、画像取込部31が取り込んだグレー画像において、256階調に割り振られた輝度を持つ画素(画像分割の最小単位)が、それぞれどの程度存在するかの分布を示す概略図である。
【0071】
一般に、青色の光は、リードフレーム本体11(銅又は銅合金)に対する反射率が相対的に低く(輝度が低い)、めっき層12(銀)に対する反射率が相対的に高い(輝度が高い)。したがって、図7に示すように、リードフレーム10の輝度分布は、リードフレーム本体11(銅又は銅合金)に対応する相対的に輝度の低いピークと、めっき層(銀)12に対応する相対的に輝度の高いピークとに分離される。
【0072】
上述した閾値は、これら2つのピークの間に設定する。そして二値化処理部33は、輝度が前記閾値を上回る部分を白色(高輝度部分)とし、前記閾値を下回る部分を黒色(低輝度部分)として二値化処理し、白黒画像(2階調)を生成する。
【0073】
続いて、この白黒画像は、二値化処理部33から判定部34に送られる。その後、判定部34は、上述したように、予め記憶しておいたマスター画像と、二値化処理部33で二値化処理された白黒画像とをパターンマッチングすることにより比較する。この結果、めっき層12上に所定の大きさを上回る欠陥(黒色、低輝度部分)を発見した場合、NG判定を行い、所定の大きさを上回る欠陥を発見できなかった場合、OK判定を行う。
【0074】
その後、画像処理装置30は、検査したリードフレーム10を特定する番号と、画像処理装置30の判定部34から送信された当該リードフレーム10の判定結果とを記憶部40に送信する。記憶部40は、このリードフレーム10の番号および判定結果を記憶する。また表示部50は、記憶部40に記憶されたリードフレーム10の番号および判定結果を表示する。
【0075】
他方、外観検査が終了したリードフレーム10は、搬送装置21によって後工程に搬送される。後工程側には、図示しない分離機構が設置され、この分離機構により、判定部34からの判定結果に基づいて、NG判定されたリードフレーム10と、OK判定されたリードフレーム10とに分離される。
【0076】
このように本実施の形態によれば、青色照明装置23a、23b、23cが、リードフレーム10に対して、リードフレーム本体11のパッド部11a、11bからの反射率と、めっき層12からの反射率との差が大きくなる特定波長成分(青色成分)を含む光を照射し、モノクロカメラ22がリードフレーム10を撮像してグレー画像を取得する。また画像処理装置30の二値化処理部33は、モノクロカメラ22からのグレー画像に基づいて白黒画像を生成し、判定部34は、二値化処理部33からの白黒画像に基づいてめっき層12の未着を判定する。このことにより、リードフレーム本体11表面とめっき層12表面との輝度の差を大きくしているので、二値化処理部33によりリードフレーム本体11とめっき層12との相違を明確に識別することができ、めっき未着等の欠陥を安定的に検出することができる。
【0077】
またリードフレーム本体11およびめっき層12表面の凹凸に起因する擬似欠陥(過剰検出)の検出を低減することができるので、外観検査装置20のOK通過率を向上させることができる。これにより、目視もしくは顕微鏡にてNG検出された箇所に特異な欠陥があるかないかを確認し、実際の欠陥と擬似欠陥(過剰検出)とを判別するレビュー確認作業の負荷を軽減することができる。
【0078】
また本実施の形態によれば、リードフレーム10に対して光を照射する照明装置として、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して同軸方向に光を照射する同軸方向の青色照明装置23cと、モノクロカメラ22のレンズ22aの光軸Aに対して角度をつけて光を照射する斜め方向の青色照明装置23a、23bとの双方を用いている。このことにより、めっき層12表面の凹凸ばらつき(光沢度ばらつき)による擬似欠陥を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】リードフレーム(被検査基材)を示す図。
【図2】リードフレーム(被検査基材)上の欠陥を示す図。
【図3】本発明の一実施の形態による外観検査装置を示す構成図。
【図4】青色フィルタの分光特性を示す図。
【図5】同軸方向の照明装置と斜め方向の照明装置とを併用する場合、斜め方向の照明装置のみを使用する場合、および同軸方向の照明装置のみを使用する場合における、二値化処理されたリードフレームの画像を比較して示す図。
【図6】めっき層(銀)およびリードフレームのパッド部(銅合金)における反射率を示す図。
【図7】リードフレームの画像の輝度分布を示す概略図。
【符号の説明】
【0080】
10 リードフレーム(被検査基材)
11 リードフレーム本体
11a、11b パッド部
12 めっき層
20 外観検査装置
21 搬送装置
22 モノクロカメラ
22a レンズ
23a、23b、23c 青色照明装置
23d 光源
23e フィルタ
23f 光ファイバ
24 ハーフミラー
30 画像処理装置
31 画像取込部
33 二値化処理部
34 判定部
40 記憶部
50 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド部と、パッド部上に形成され、パッド部と異なる色彩をもつめっき層とを有する被検査基材の外観検査装置において、
被検査基材に対して、パッド部からの反射率と、めっき層からの反射率との差が大きくなる特定波長成分を含む光を照射する照明装置と、
被検査基材を撮像してグレー画像を取得するモノクロカメラと、
モノクロカメラに接続された画像処理装置とを備え、
画像処理装置は、モノクロカメラからのグレー画像に基づいて白黒画像を生成する二値化処理部と、二値化処理部からの白黒画像に基づいてめっき層の未着を判定する判定部とを有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
照明装置は、被検査基材に対して青色光を照射する青色照明装置からなることを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
照明装置は、モノクロカメラのレンズの光軸に対して同軸方向に光を照射する同軸方向の照明装置と、モノクロカメラのレンズの光軸に対して角度をつけて光を照射する斜め方向の照明装置とを有することを特徴とする請求項1または2記載の外観検査装置。
【請求項4】
同軸方向の照明装置および斜め方向の照明装置のうち、一方の照明装置の照度は、他方の照明装置の照度に比べて低いことを特徴とする請求項3記載の外観検査装置。
【請求項5】
パッド部は銅又は銅合金からなり、めっき層は銀からなり、かつ特定波長成分は青色成分からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の外観検査装置。
【請求項6】
被検査基材はリードフレームであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の外観検査装置。
【請求項7】
照明装置は、光源と、光源からの光のうち特定波長成分の光のみを透過させるフィルタとを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の外観検査装置。
【請求項8】
照明装置は、LED照明装置からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145353(P2010−145353A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325764(P2008−325764)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】