説明

外転型電動機およびそれを用いた送風機

【課題】本発明は、外転型電動機に関するもので、内部の熱を効率的に放出することを目的とするものである。
【解決手段】鉛直方向に設けられたシャフト6と、このシャフト6に固定されたステータコア7と、このステータコア7の周囲に所定間隔をあけて設けられたロータコア8と、このロータコア8を前記シャフト6の軸方向から挟み込む上部カバー10とロータカバー9を有し、前記上部カバー10と前記ロータカバー9は、それぞれ軸受(下軸受15a、上軸受15b)を介して前記シャフト6に回転可能に取り付けられ、前記ロータカバー9には、前記ステータコア7に対向した面に、前記シャフト6を中心にして放射状のインペラ14を設けたものであるので、効率的に放熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機、特に密閉型の電動機の冷却構造についてである。
【背景技術】
【0002】
従来の外転型の密閉型電動機における冷却構造としては、以下のような構成となっている。
【0003】
すなわち、外転型の電動機とは、固定軸と、この固定軸の外周に一体化した固定子と、この固定子の外周に、この固定子とは非接触状態で近接配置された回転子とを有している。回転子は、ハウジングに収納され、このハウジングは軸受を介して固定軸に取り付けられている。そして、軸受の外周から距離を隔てたハウジングの内壁には、ドーナツ状のハブが固定され、このハブ側面に複数個のラジアルインペラを回転方向に設けたものである。
【0004】
このような全閉形の外転型電動機では、ラジアルインペラは、インペラ内気から熱の一部を吸収して回転軸受ブラケットへ伝達するので、インペラ内気の温度は若干低下する。(このような技術としては、例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−41358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例においては、固定軸を略水平に設け、そして、ラジアルインペラを軸方向の両方の壁面に設けているので、2ヶ所に設けたラジアルインペラ分の体積が必要になる。さらに、上記従来例においては、電動機を横置きにすることを前提としているので、ハウジングの周囲に放熱用のファンインペラが必要になるという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、全閉型のハウジングを有した外転型の電動機において、効率的に放熱することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成する為に本発明の外転型電動機は、鉛直方向に設けられたシャフトと、このシャフトに固定されたステータコアと、このステータコアの周囲に所定間隔をあけて設けられたロータコアと、このロータコアを前記シャフトの軸方向から挟み込む上部カバーとロータカバーを有し、前記上部カバーと前記ロータカバーは、それぞれ軸受を介して前記シャフトに回転可能に取り付けられ、前記ロータカバーには、前記ステータコアに対向した面に、前記シャフトを中心にして放射状のインペラを設けたものである。これにより、所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の外転型電動機は、鉛直方向に設けられたシャフトと、このシャフトに固定されたステータコアと、このステータコアの周囲に所定間隔をあけて設けられたロータコアと、このロータコアを前記シャフトの軸方向から挟み込む上部カバーとロータカバーを有し、前記上部カバーと前記ロータカバーは、それぞれ軸受を介して前記シャフトに回転可能に取り付けられ、前記ロータカバーには、前記ステータコアに対向した面に、前記シャフトを中心にして放射状のインペラを設けたものであるので、効率的に放熱することができる。すなわち、本発明においては、電動機内の下部にたまる比較的冷たい空気を、放射状のインペラで外周側に移動させ、その後上昇させることにより、ステータコアのコイル部を効率的に冷却するものである。さらに、熱は外周側に移動することになるので、中心部に設けられる軸受の劣化を抑制することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の天井扇を示す斜視図
【図2】同要部の一部断面図
【図3】同要部の平面断面図
【図4】同インペラの詳細斜視図
【図5】同空気溜に放熱フィンを設けた図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1、図2は本実施形態の電動機2を用いた送風装置1を示したものである。図1に示すように、この送風装置1は、シーリングファンあるいは天井扇と呼ばれ、天井に取り付けられる扇風機である。支柱4は、天井(図示せず)に下向きに固定され、その支柱4には、シャフト6が接続されて、その先端に羽根3を備えた電動機2が取り付けられている。電動機2は本体カバー5と上部カバー10とで実質的に密閉されている。
【0013】
図2に示すように、シャフト6には、B相巻線(内側コイル11)、A相巻線(外側コイル12)を施したステータコア7が固定されている。このステータコア7の周囲には、所定間隔をあけて、シャフト6を中心としてロータコア8が配置されている。ロータコア8は、下部をロータカバー9で、上部を上部カバー10で挟むようにして覆われている。そして、ロータカバー9は、軸受ハウジング部9aを設け、下軸受15aを介してシャフト6に回転可能に取り付けられている。また、上部カバー10は、軸受ハウジング部10aを設け、上軸受15bを介してシャフト6に回転可能に取り付けられている。そして、上部カバー10には、羽根3が放射状に取り付けられている。そして、ロータカバー9の下側に本体カバー5を被せて送風装置1としたものである。ここで、図3に示すように、ステータコア7には、内周側の内側スロット16に設けた内側コイル11と、その外周側の外側スロット17に設けた外側コイル12が同心円上に並んで設けられている。
【0014】
ロータカバー9には、上側、すなわち、ステータコア7側に突出したインペラ14が設けてある。図3に示すように、このインペラ14は、シャフト6を中心に放射状に設けられている。さらに、インペラ14は、内側コイル11の直下を端部とした内側コイル用インペラ14aと、外側コイル12の直下を端部とした外側コイル用インペラ14bとが交互に放射状に並んでいる。そして、詳しくは図4に示すように、それぞれのインペラ14の外周側の端部には、周方向に壁(壁部14d)が設けられている。
【0015】
一方、上部カバー10には、リング状に上方に膨らんだ空気溜13が設けられている。この空気溜13は、内側コイル11と外側コイル12の真上に設けられている。
【0016】
このような構成によりその作用について説明する。
【0017】
送風装置1を運転させるには、内側コイル11、外側コイル12に通電する。そして、ロータコア8はシャフト6を中心に回転する。この回転運動により羽根3は空気の流れを生み出すのである。このとき、内側コイル11、外側コイル12は、通電により発熱することになる。
【0018】
一方、ロータカバー9も同時に回転し、インペラ14は、その回転によって外周方向に向かう気流、すなわち、内側コイル11、外側コイル12に向けて空気の流れを作り出す。この空気の流れが、内側コイル11、外側コイル12が発した熱を上方に向けて移動させることになる。
【0019】
さらに詳しく説明すると、インペラ14が回転すると、翼部14cに沿って中心側から外周側に向けた空気の流れが発生する。この空気の流れは、壁部14dに衝突して上方へと流れの方向が変わることになる。そして、この上方に向いた空気の流れが内側コイル11、外側コイル12と接触して冷却するのである。さらに、暖められた空気は、空気溜13に溜められる。この空気溜13は、その外側を外気にさらされているので、外気と接触して放熱されることになる。
【0020】
ここで、壁部14dは、内側コイル11と外側コイル12それぞれの位置にあわせて設けられているので、内側コイル11、外側コイル12それぞれに向けて上方への気流が発生することになる。従って、内側コイル11、外側コイル12ともに気流が接触し、効率よく冷却される。
【0021】
そして、暖められた空気は、上昇して空気溜13に集まる。この空気溜13は、外気側に突出して直接外気に接しているので、効率的に暖められた空気の放熱が行われることになる。
【0022】
ここで、この空気溜に13は、図5に示すように、放熱フィン18を設けることによって、より効率的に放熱が行われることになる。
【0023】
また、暖かい空気は、インペラ14に沿って外周側に流れるとともに、上軸受15bから離れた位置に設けた空気溜13に溜められることになるので、中心部には比較的冷たい空気が滞留することになる。すなわち、下軸受15a、上軸受15bの温度上昇を極力抑えることによって、下軸受15a、上軸受15bの寿命を延ばすことができるのである。
【0024】
また、上部カバー10を熱伝導度の高いアルミニウムで形成すると良い。さらには、羽根3は、少なくとも上部カバー10との取り付け部分、すなわち、羽根3の回転軸に最も近い部分を金属で形成すると良い。このような構成によれば、空気溜13に集められた暖かい空気の放熱を、空気溜13の表面から、さらには羽根3から、より効率的に放出することができるのである。なお、本実施の形態では、羽根3を上部カバー10に取り付ける構造としたが、上部カバー10の熱を羽根3に伝えることができれば、どこに取り付けてもよい。すなわち、羽根3を本体カバー5に取り付けて上部カバー10に接触させる構造、あるいは、羽根3をロータカバー9に取り付けて上部カバー10に接触させる構造であってもその作用・効果に差異はない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように本発明のモータは、鉛直方向に設けられたシャフトと、このシャフトに固定されたステータコアと、このステータコアの周囲に所定間隔をあけて設けられたロータコアと、このロータコアを前記シャフトの軸方向から挟み込む上部カバーとロータカバーを有し、前記上部カバーと前記ロータカバーは、それぞれ軸受を介して前記シャフトに回転可能に取り付けられ、前記ロータカバーには、前記ステータコアに対向した面に、前記シャフトを中心にして放射状のインペラを設けたものであるので、効率的に放熱することができる。このような外転型電動機は、天井扇、扇風機などの送風装置に活用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 送風装置
2 電動機
3 羽根
4 支柱
5 本体カバー
6 シャフト
7 ステータコア
8 ロータコア
9 ロータカバー
10 上部カバー
11 内側コイル
12 外側コイル
13 空気溜
14 インペラ
14a 内側コイル用インペラ
14b 外側コイル用インペラ
14c 翼部
14d 壁部
15a 下軸受
15b 上軸受
18 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に設けられたシャフトと、
このシャフトに固定されたステータコアと、
このステータコアの周囲に所定間隔をあけて設けられたロータコアと、
このロータコアを前記シャフトの軸方向から挟み込む上部カバーとロータカバーを有し、
前記上部カバーと前記ロータカバーは、それぞれ軸受を介して前記シャフトに回転可能に取り付けられ、
前記ロータカバーには、前記ステータコアに対向した面に、前記シャフトを中心にして放射状のインペラを設けた外転型電動機。
【請求項2】
前記上部カバーと前記ロータカバーによって前記ステータコアと前記ロータコアを密閉した請求項1記載の外転型電動機。
【請求項3】
前記インペラの外周側先端に周方向に延びた壁部を設けた請求項1または2記載の外転型電動機。
【請求項4】
前記ステータコアは、A相巻線を外周側に設けて外側コイルを形成し、B相巻線を内周側に設けて内側コイルを形成し、
前記インペラは、外周側の端を外側コイルの直下に設けた長いインペラと、外周側の端を前記内側コイルの直下に設けた短いインペラとを交互に設けた請求項3記載の外転型電動機。
【請求項5】
前記上部カバーには、上側に膨らんだ円環状の空気溜を設けた請求項1〜4いずれか一つに記載の外転型電動機。
【請求項6】
前記空気溜は、前記ステータコアに設けたコイルの直上部に設けた請求項5記載の外転型電動機。
【請求項7】
前記空気溜の上部に複数の放熱フィンを設けた請求項5または6記載の外転型電動機。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか一つの外転型電動機を用いた送風機。
【請求項9】
前記上部カバーはアルミニウムで形成された請求項8に記載の送風機。
【請求項10】
少なくとも取り付け部が金属製の羽根を前記上部カバーに取り付けた請求項9記載の送風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−186875(P2012−186875A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46234(P2011−46234)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】