説明

安否情報確認システム

【課題】地震発生後に通信システムが輻輳し、安否情報の確認が行えない、といったトラブルを防止することができる安否情報確認システムを提供する。
【解決手段】本発明の安否情報確認システム100は、自らの位置情報を無線で発信する携帯電話機(又はPHS電話機)101と、安否情報確認システム用ネットワークリソース124と、該携帯電話機(又はPHS電話機)101が交信する基地局106と通信回線によって接続される安否情報確認メインシステム121と、からなり、該安否情報確認メインシステム121は、緊急地震速報の入力を契機として、安否情報確認システム用ネットワークリソース124の優先順位を引き上げることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害の発生時において予め登録してある登録者に対して被災者の安否情報確認情報等を発信することが可能な安否情報確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震等の自然災害発生時においては、家族、友人、社員、職員、在校生等の安否に係る情報をできるだけ早く知りたいと考えるものであり、また被災者本人も自身が安全であることや負傷してしまったこと等を家族、知人、会社、学校等にできるだけ早く知らせたいと考えるものである。 そこで、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)などの移動体通信の回線、インターネットを利用し、災害発生時に地域住民各個人の安否情報等を防災ポータルサイトなどで提供する安否情報確認システムが提案されている。このようなシステムは地震等の大規模な災害が発生した場合には、安否情報確認等の固定電話が急増して回線混雑により輻輳状態となるなどの混乱が生じ、被災者の安否を確認することができなくなってしまうことや、テレビ放送、ラジオ放送からの情報では、被災者各個人の安否情報を容易には入手できないことなどから、実用化が強く望まれているものである。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2005−258638号公報)には、サーバと、複数の携帯型通信装置とを備えた安否情報確認システムであって、前記サーバは、前記複数の携帯型通信装置の位置情報を収集する手段と、災害発生時に、安否情報確認が必要な安否情報確認エリアを示す情報を記憶する手段と、収集した各携帯型通信装置の位置情報と前記記憶手段に記憶されている安否情報確認エリアを示す情報とに基づいて、前記複数の携帯型通信装置のうち、前記安否情報確認エリア内にいる携帯型通信装置を選択する手段と、前記選択手段が選択した携帯型情報通信装置へ、安否情報確認通知を送信する手段と、を備え、前記複数の携帯型通信装置は、前記安否情報確認通知を受信すると安否情報の入力を受け付け、前記サーバへ送信する手段を備える安否情報確認システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2005−18395号公報)には、地震計と、前記地震計と第1の通信ネットワークで接続されて地震データを収集し、地震の震源位置や規模等の特性を分析、計算して地震情報を作成する地震データの収集・分析機構と、前記地震データの収集・分析機構と第2の通信ネットワークで接続され配信された前記地震情報に基づいて、対象となる地域での安否情報確認情報の収集が必要かどうかを判断する地震情報発信・安否情報収集機構と、前記地震情報発信機構と第3の通信ネットワークで接続されたユーザの通信端末とを備え、震源地の近傍に設置された前記地震計が地震を検知した際に、前記地震情報発信機構が前記安否情報確認情報の収集が必要と判断した場合には、地震の揺れが当該地域に到達する前に、当該地域周辺の前記ユーザの通信端末に地震に関する情報と安否情報確認指示を送信すると共に、前記ユーザの通信端末から前記地震情報発信機構に安否情報確認情報を返信することを特徴とする、災害時の安否情報確認システムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−258638号公報
【特許文献2】特開2005−18395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の安否情報確認システムは、地震発生後に、自身の安否を自分自身で携帯電話やパーソナルコンピュータ等により入力する必要があった。この場合、被災して入力できない状況におかれた人は、「救助してほしい」という情報を発信することができなかった。さらに、地震発生時には多数のユーザーから安否情報確認システムへアクセスが集中するとともに、他の通信量も増えることにより、通信環境が圧迫され、個々のユーザーが確実にアクセスすることが困難になると推測される。
【0006】
特許文献1に記載の、所在位置に応じた安否情報確認システムでは、災害発生後に所在位置を取得し、取得した情報に基づき、災害発生場所周辺にいる者に対して安否情報確認を行うものである。しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、災害発生後に通信システムが輻輳し、所在位置が取得できない可能性がある。このシステムでも、安否情報の発信は、ユーザー自身であるため、例えば、倒壊した建物の下敷きになっている者などは、安否情報を返信できない。
【0007】
また、特許文献2開示の、緊急地震速報を用いた安否情報確認システムでは、地震が到着する前に、安否情報確認を返信する指示をするが、安否の返信は携帯電話等からユーザーが入力する必要がある。このシステムにおいても、被災し、安否情報を返信できない者に対しては、安否の確認という所期の目的を達成することができない。また、本システムはユーザーが安否情報を発信する際に、位置情報の取得や安否情報の返信ができない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、自らの位置情報を無線で発信する携帯端末機器と、安否情報確認システム用ネットワークリソースと、前記携帯端末機器が交信する基地局と通信回線によって接続される安否情報確認メインシステムと、からなる安否情報確認システムにおいて、前記安否情報確認メインシステムは、緊急地震速報の入力を契機として、安否情報確認システム用ネットワークリソースの優先順位を引き上げることを特徴とする安否情報確認システムである。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の安否情報確認システムにおいて、安否情報確認システムと共に提供される他のサービス用のネットワークリソースを有しており、緊急地震速報の入力を契機として、前記他のサービス用のネットワークリソースを安否情報確認システム用ネットワークリソースに振り替えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の安否情報確認システムにおいて、緊急時用ネットワークリソースを有しており、緊急地震速報の入力を契機として、前記緊急時用ネットワークリソースを立ち上げることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の安否情報確認システムにおいて、前記携帯端末機器から送信される位置情報を定期的に記録することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の安否情報確認システムにおいて、定期的に記録される位置情報に基づいて前記携帯端末機器の所有者の安否を推定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5に記載の安否情報確認システムにおいて、緊急地震速報の入力を契機として、前記携帯端末機器に対して、安否問い合わせメールを送信することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載の安否情報確認システムにおいて、安否問い合わせメールは、返信コードを入力するように促すことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の安否情報確認システムにおいて、返信コードに応じて、登録者に対して安否情報を提供することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の安否情報確認システムにおいて、前記携帯端末機器はGPS機能付き携帯電話であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の安否情報確認システムにおいて、前記携帯端末機器はPHS電話機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の安否情報確認システムによれば、地震発生後に通信システムが輻輳し、安否情報の確認が行えない、といったトラブルを防止することができる。また、安否情報が不明なユーザーに対しては、ユーザーの位置情報を定期的に取得し、対処するような設定となっているために、倒壊した建物の下敷きになり、安否情報が送信できない者などの救出を迅速に行える、というメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムの全体構成の概略を示す図である。図1において、100は安否情報確認システム、101は携帯電話機(又はPHS電話機)、105はGPS衛星、106は携帯電話(PHS電話)基地局、110は通信回線網、120はサービス提供用システム、121は安否情報確認メインシステム、122はサービスA用リソース、123はサービスB用リソース、124は安否情報確認システム用リソース、125は緊急時用内部ネットワークリソース、126は安否情報確認システムデータベース、127は平常時用内部ネットワークリソース、128は緊急時用対外ネットワークリソース、129は平常時用対外ネットワークリソース、200は緊急地震速報発信センター、201は地震計1〜n、300は救助機関をそれぞれ示している。
【0020】
安否情報確認システム100によるサービス提供は、自らの位置情報を無線で発信することが可能な携帯端末機器であるGPS機能付きの携帯電話機101(又はPHS電話機)を所有するユーザーを対象としている。携帯電話機101の場合は、GPS衛星105からの信号により携帯電話機101が存在する位置を把握したり、また、PHS電話機101の場合には、基地局106からの情報によってPHS電話機101が存在する位置を把握したり、することが可能に構成されるものである。また、このような携帯電話機101(又はPHS電話機)には通常メールの送受信を行う機能が搭載されており、本発明の安否情報確認システムではこのようなメール機能も利用するものである。
【0021】
携帯電話機101(又はPHS電話機)は、基地局106と無線通信して、音声通話情報に加えて、メール情報、測位による位置情情報等を交信可能に構成されている。基地局106は公衆通信回線網やインターネット、WANやLANなどからなる通信回線網110と接続されており、サービス提供用システム120と、平常時用対外ネットワークリソース129を通じて通信可能に構成される。
【0022】
サービス提供用システム120は、安否情報確認システム100を含めた種々のサービスを提供する全体のシステム構成を示している。本実施形態では、サービス提供用システム120は、安否情報確認システム100の他に安否情報確認システムとは直接関係のないサービスA及びサービスBを提供しているものとして説明する。サービスA用リソース122は、サービス提供用システム120のうちサービスAを提供するための、またサービスB用リソース123は、サービス提供用システム120のうちサービスBを提供するための、コンピュータリソースを示すものである。ここで、このようなコンピュータリソースとは、サーバやルータなどのネットワークに係るリソースを主として想定している。また、安否情報確認システム用リソース124は、安否情報確認システムに係るサービスを提供するための、コンピュータリソースを示すものであり、サーバやルータなどのネットワークに係るリソースを主として想定している。以上で述べたリソースは、平常時用内部ネットワークリソース127により相互に接続されている。
【0023】
安否情報確認メインシステム121は、安否情報確認システム100のネットワークに係るリソース以外のコンピュータリソースを想定している。このような安否情報確認メインシステム121には周知のメール機能などが包含されているものであるとして説明する。また、緊急時用内部ネットワークリソース125は地震発生時などの通信の内部的な輻輳対策のためのネットワークリソースであり、緊急時用対外ネットワークリソース128は地震発生時などの通信の輻輳対策と、平常時用対外ネットワークリソースにより接続されている通信経路のバックアップの役割を担うネットワークリソースである。安否情報確認システムデータベース126は、安否情報確認メインシステム121がユーザーの管理用として用いるデータベースである。なお、これまで説明してきたシステムやリソースは、いずれも例えば汎用的なコンピュータ及びその周辺機器により構成され、個々の構成要素または機能は、例えば、記憶手段に書き込まれたコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0024】
緊急地震速報発信センター200は、当該センターが管理する地震計1〜n201などによって地震の発生を瞬時に検知し、この地震波が各地に到達する前に各機関に緊急地震速報を発信するものである。安否情報確認システム100は、緊急地震速報発信センター200からの緊急地震速報を受領できるように構成されている。また、安否情報確認システム100は、救助機関300に対して、救助依頼などの通信を行えるようにも構成されている。
【0025】
本発明の安否情報確認システム100においては、地震波が到達する前に鍵となるネットワークリソースを確保するとともに、GPS機能付きの携帯電話機101(又はPHS電話機)などにより当該携帯電話機101を所有するユーザーの所在位置を事前に自動的に取得する。さらに、地震発生後は、ユーザーにメール等により安否情報の報告を求めるとともに、一定時間間隔(例えば、1〜5分間隔)でユーザーの所在位置を定期的に取得する。返信された安否情報をデータベース化し、安否の問い合わせなどに対応するとともに、安否情報により救助を求める者、および安否情報を返信せず、一定時間内に所在位置の動きがない者に関しては、救助機関300に対して所在位置情報に基づき救助を依頼するものである。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムの動作について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。なお、このようなフローチャートは主として安否情報確認メインシステム121上で動作するものとして説明する。また、以下において説明するフローチャートは、本発明を実施するためのフローチャートの一例であり、唯一のものでない。以下のそれぞれのフローチャートは本発明の主旨を逸脱しない限り種々の改変することができるものである。
【0027】
ステップS100において、安否情報確認システム起動が起動されると、ステップS101で安否情報確認システムに新たに登録使用するユーザーが存在するかどうかを判定する。ステップS101での判定がYESの場合には、ステップS104へと進みユーザーの新規登録処理を行う。また、ステップS101での判定がNOの場合には、ステップS102へと進む。
【0028】
ステップS102においては、緊急地震速報発信センター200からの緊急地震速報を受領したかどうかが判定される。ステップS102での判定がNOである場合には、ステップS101に戻る。また、緊急地震速報発信センター200から緊急地震速報を受領して、ステップS102での判定がYESとなったときには、次にステップS103へと進み、安否情報確認システム地震発生時処理を起動する。ステップS105では、安否情報確認システムの処理を終了する。
【0029】
次に、上記ステップS104に関連して、安否情報確認メインシステム121がユーザーの管理用として用いる安否情報確認システムデータベース126について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムが管理する安否情報確認システムデータベースのデータ構成を示す図である。また、図4は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムにおける新規ユーザー登録のためのユーザーインターフェイス画面の例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、安否情報確認システムデータベース126は、各ユーザーの「ID」、「ユーザーネーム」、「パスワード」、「メールアドレス」、「登録者1」、「登録者2」、・・、「登録者N」、「位置情報(Xn,Yn)」、「位置情報(Xn1,Yn1)」、「Rフラグ」、「Dフラグ」、「Iフラグ」、「Sフラグ」のデータを保有する構成となっている。ここで「ユーザー」とは、安否情報確認システム自体に直接的に登録している者をいい、「登録者」とはユーザーが自身の安否情報を発信しようとして安否情報確認システムに登録している者をいう。また、「位置情報(Xn,Yn)」はユーザーの最新の位置情報、「位置情報(Xn1,Yn1)」は最新の位置情報の一つ前の位置情報を示している。各フラグについては後で説明する。
【0031】
安否情報確認システムに登録するためには、ユーザーは携帯電話機(又はPHS電話機)101を用いて、例えば、図4に示すようなインターフェイス画面を通してユーザーネーム、パスワード、自分のメールアドレス、安否メールを送信したい登録者のメールアドレスを入力する。このようにして安否情報確認システムに登録された情報は、図3の安否情報確認システムデータベース126の形式で保存される。
【0032】
次に、上述の安否情報確認システム地震発生時処理について図5を参照しつつ説明する。図5は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。図5のフローチャートは、ステップS103のより詳細なルーチンである。図5において、ステップS200での安否情報確認システムの地震発生時処理が開始されると、ステップS201においてネットワークリソースの選択処理が行われる。
【0033】
このような選択処理とは具体的には、安否情報確認システムとは関係のないサービスA用リソース122、サービスB用リソース123などのリソースを安否情報確認システム向けに振り替えたり、或いは停止させたりする。また、その他の選択処理としては、安否情報確認システム用リソース124の優先順位の引き上げや、緊急時用内部ネットワークリソース125の立ち上げ、緊急時用対外ネットワークリソース128の立ち上げによる通信経路の確保、平常時用対外ネットワークリソース129の安否確認情報システム向け通信の優先順位引き上げ・不要通信の優先順位引き下げ、などがある。
これらのネットワークリソースの選択によって、安否情報確認システムは、地震発生後に通信システムが輻輳し、安否情報の確認が行えない、といったトラブルを防止することができる。
【0034】
ステップS201に続き、ステップS202へと進むと、地震発生前処理のルーチンを実行する。ステップS203では地震発生時処理を終了する。
【0035】
次に、上述の地震発生前処理について図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。図6のフローチャートは、ステップS202のより詳細なルーチンである。
【0036】
図6において、ステップS300での安否情報確認システムの地震発生前処理が開始されると、ステップS301において地震発生前位置情報取得処理ルーチンが実行される。このルーチンは、地震発生前に各ユーザーの位置情報を把握するためのものである。このルーチンの具体的な処理の流れについては後述する。
【0037】
次にステップS302において、実際に地震が発生したかどうかが判定される。このような判定には、緊急地震速報発信センター200からの情報を用いることができる。S302におおける判定がYESであれば、ステップS303へと進み、地震発生後処理のルーチンが実行される。S302におおける判定がNOであれば、ステップS304へと進み、地震発生前処理を終了する。
【0038】
次に、上述のステップS301の地震発生前位置情報取得処理ルーチン、及び、ステップ303の地震発生後処理ルーチンについて説明する。図7及び図8は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【0039】
図7において、ステップS400で地震発生前位置情報取得処理ルーチンが開始されると、ステップS401へと進み、IDに1がセットされる。続いて、IDが1のユーザーの位置情報を取得して、取得した位置情報を安否情報確認システムデータベース126に保存する。ステップS403においては、全IDについて位置情報の取得が終了したかどうかが判定される。
【0040】
ステップS403における判定がNOであれば、ステップS404へと進み、IDが1インクリメントされる。ステップS403における判定がYESであれば、ステップS405へと進み、地震発生前位置情報取得処理のルーチンを終了する。
【0041】
次に、地震発生後処理ルーチンについて図8により説明する。ステップS500で地震発生後処理ルーチンが開始されると、ステップS501において安否確認メール送信処理のルーチンが実行される。次にステップS502へと進み、ステップS502において地震発生後位置情報取得処理のルーチンが実行される。次にステップS503へと進み、ステップS503において安否確認処理のルーチンが実行される。ステップS504へと進み、地震発生後処理ルーチンを終了する。
【0042】
次に、図8の地震発生後処理ルーチンに登場する、安否確認メール送信処理、地震発生後位置情報取得処理、安否確認処理の各ルーチンについて説明する。
【0043】
図9は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(安否確認メール送信処理)の一例を示す図である。図9において、ステップS600において、安否確認メール送信処理が開始されると、ステップS601において、地震の発生地域などに応じて定型の安否問い合わせメールが作成される。図10は、このような定型の安否問い合わせメールの一例を示すものである。この定型メールは図10に示すように、ユーザーに自身の状況を0〜3までの数字(返信コード)で表すように促したり、自身のおかれている状況についてコメントを促したりするような文面となっている。
【0044】
次に、ステップS601においてIDに1がセットされ、ステップS603に当該IDに対して作成された定型メールが送信される。ステップS604では、全IDについてメール送信が終了したかどうか判定される。判定結果がNOであるときはステップS605に進み、IDに1が足された上で、ステップS603に戻る。また、ステップS604の判定結果がYESであるときは、ステップS606に進み、安否確認メール送信処理を終了する。
【0045】
図11は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(地震発生後位置情報取得処理)の一例を示す図である。ステップS700で地震発生後位置情報取得処理のルーチンが開始されると、ステップS701においてIDに1がセットされる。続いてステップS702において、地震発生後の位置情報を各ユーザーの携帯電話機(又はPHS電話機)101から取得する。ここで、取得された位置情報はステップS703において、位置情報(X1,Y1)として安否情報確認システムデータベース126に登録・保存される。ステップS704では、全てのIDについて位置情報取得の処理が終わっているかどうかが判定される。ステップS704での判定の結果がNOであればステップS705に進み、IDを1インクリメントしてステップS702へと進む。ステップS704での判定の結果がYESであればステップS706に進み、地震発生後位置情報取得処理を終了する。
【0046】
次に、安否確認処理のルーチンを説明する。図12は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(安否確認処理)の一例を示す図である。ステップS800で安否確認処理のルーチンが開始されると、まず、ステップS801において全てのIDの「Rフラグ」、「Dフラグ」、「Iフラグ」、「Sフラグ」の全フラグを0にセットする。ここで、これらのフラグは、0か1かの値をとり、あるIDのあるフラグが1の値をとったときには、安否情報確認システムが何かしらの対応を当該IDのユーザーに対して行ったことを示すものである。それぞれのフラグの意味については後に説明する。
【0047】
ステップS802に進むと、IDに1がセットされる。続いて、ステップS803において当該IDのユーザーから返信メールがあったかどうかが判定される。ステップS803における判定結果がYESである場合には、ステップS807の返信メール受領処理サブルーチンが実行される。ステップS803における判定結果がNOである場合には、ステップS804へと進む。ステップS804では、(X1,Y1)と(X0,Y0)とで差分が存在するかどうかが判定される。
【0048】
ステップS804の判定の結果がYESであれば、ステップS808の差分検出処理サブルーチンが実行される。ステップS804の判定の結果がNOであれば、ステップS805へと進み、ステップS805で安否再確認処理のルーチンが実行される。ステップS806において全てのIDについて処理が終了したかどうかが判定され、判定がNOであるとステップS809に進み、IDが1インクリメントされた上で、ステップS803へと進む。ステップS806の判定結果がYESであると、ステップS810へと進み、安否確認処理を終了する。
【0049】
次に、ステップS807の返信メール受領処理サブルーチンについて説明する。図11は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(返信メール受領処理サブルーチン)の一例を示す図である。
【0050】
ステップS900で返信メール受領処理サブルーチンが開始されると、ステップS901へと進み、現在扱っているIDのフラグを1にセットする。このRフラグが1にセットされているIDのユーザーからは、安否情報確認システムから送信した安否問い合わせメールに対して返信があったことを示している。
【0051】
安否問い合わせメール(図10)では、ユーザーに返信コードによって自身の状態を表すように促している。以下のステップS902乃至ステップS905ではこの返信コードの判定が行われる。ステップS902においては、返信コードが0であるか否かが判定される。ステップS902での判定がNOであるとステップS903へと進み、YESであるとステップS906へと進む。ステップS906においては、返信コード0に対応する安否情報メールを自動生成し、ユーザーのコメントがあれば当該メールにそれを付加する。ステップS907においては、ステップS906で作成されたメールが各登録者に送信される。
【0052】
ステップS903においては、返信コードが1であるか否かが判定される。ステップS903での判定がNOであるとステップS904へと進み、YESであるとステップS908へと進む。ステップS908においては、返信コード1に対応する安否情報メールを自動生成し、ユーザーのコメントがあれば当該メールにそれを付加する。ステップS909においては、ステップS908で作成されたメールが各登録者に送信される。
【0053】
図13は、返信コードが1であるメールの例を示している。このようにユーザーは、自身の被災した状況を、返信コードと、簡単なコメントによって記述して返信している。また、図15は、返信コードが1であるメールを安否情報確認システムが受領した場合に自動生成するメールの例を示している。
【0054】
ステップS904においては、返信コードが2であるか否かが判定される。ステップS904での判定がNOであるとステップS905へと進み、YESであるとステップS910へと進む。ステップS910においては、返信コード2に対応する安否情報メールを自動生成し、ユーザーのコメントがあれば当該メールにそれを付加する。ステップS911においては、ステップS910で作成されたメールが各登録者に送信される。
【0055】
ステップS905においては、返信コードが3であるか否かが判定される。ステップS905での判定がNOであるとステップS915へと進み、リターンする。ステップS905での判定がYESであるとステップS912へと進む。ステップS912においては、返信コード3に対応する安否情報メールを自動生成し、ユーザーのコメントがあれば当該メールにそれを付加する。ステップS913においては、ステップS912で作成されたメールが各登録者に送信される。返信コードの3は、要救助のコードであるので、ステップS914において、安否情報確認システムは救助機関300に対して、ユーザーの位置情報などと共に救助の要請連絡を行う。
【0056】
次に、ステップS808の差分検出処理サブルーチンについて説明する。図16は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(差分検出処理サブルーチン)の一例を示す図である。
【0057】
ステップS1000で差分検出処理サブルーチンが開始されると、ステップ1001でフラグDに1がセットされる。このDフラグが1にセットされているIDのユーザーは、少なくとも地震発生前と地震発生後での位置情報の差分が検出された者である。このようなユーザーは、移動することが可能であり、被災後も無事であるものと推測される。ステップS1002においては、安否情報確認システムは、このような差分が検出された場合のメールを自動生成する。テップS1003においては、ステップS1002で作成されたユーザーの安否情報に係るメールが各登録者に送信され、ステップS1004でリターンとなる。
【0058】
図17は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムにおいて登録者に対して送信する安否情報メールの一例を示すものである。図示するように、ユーザーの位置情報の差分に基づいて、ユーザーの無事が推定される旨の情報を各登録者に報知するような文面となっている。
【0059】
次に、ステップS805の安否再確認処理について説明する。図17は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(安否再確認処理)の一例を示す図である。ステップS1100で安否再確認処理が開始されると、続いてステップS1101で安否問い合わせメール(図10)に対する返信メールを受領しているかどうかを判定し、判定の結果がYESであればステップS1109へと進み、ステップS1109で返信メール受領処理サブルーチンを実行する。ステップS1101の判定の結果がNOであれば、次にステップ1102へと進む。ステップS1102では位置情報取得処理サブルーチンを実行する。この位置情報取得処理サブルーチンについては後に説明する。
【0060】
続いて、ステップS1103において、最新の位置情報(Xn,Yn)とその一つ前の位置情報(Xn1,Yn1)との差分があったかどうかが判定される。ステップ1103における判定結果がYESである場合には、ステップS1110において、すでに説明した差分検出処理サブルーチンを実行する。ステップS1103における判定結果がNOである場合には、次にステップS1104へと進む。
【0061】
ステップS1104において最新の位置情報(Xn,Yn)が被災地域なであるかどうかが判定される。被災地域情報は、例えば緊急地震速報発信センター200により得るものとする。ステップS1104での判定結果がNOでるときは、ステップS1111においてフラグIに1をたてる。フラグIが1のユーザーは、ユーザーが被災地域外に存在し、安否情報確認システムが当面無視しても差し支えないユーザーを示している。ステップS1104での判定結果がYESでるときは、次にステップS1105に進む。ステップS1105においては、最新の位置情報(Xn,Yn)のnの値が、所定の値mと等しくなったかどうかが判定される。例えば、m=10とする。そのm=10と等しいn=10とは、地震発生後に10回目に取得した位置情報であることを示している。ステップS1105において、nがmに達していなければ、判定の結果はNOとなり、ステップS1108に進む。ステップS1105の判定の結果がYESである場合には、例えば地震発生後に10回目にわたって取得した位置情報が全く不動であることを示しているので、ユーザーが何らかの形で被災している可能性が高いので、ステップS1106で位置情報等とともに救助機関300に通報する。このように、すでに救助機関に通報したユーザーについては、ステップS1107にて、フラグSに1をたてて、安否情報確認システムがなんらかの対処をしたことを記録しておく。
【0062】
ステップS1108では、全てのIDについて、R=1又はD=1又はI=1又はS=1であるか否かが判定される。ステップS1108の判定の結果がNOである場合には、いまだになんの対処もしていないユーザーIDがあるということなので、再びステップS1101に戻る。ステップS1108の判定の結果がYESである場合には、全てのユーザーIDについて何らかの処理を施したことを意味するので、ステップS1112へと進み、安否再確認処理を終了する。
【0063】
次に、ステップS1101の位置情報取得処理サブルーチンについて説明する。図19は、本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャート(位置情報取得処理サブルーチン)の一例を示す図である。
【0064】
ステップS1200で位置情報取得処理サブルーチンが開始されると、ステップS1201においては所定の時間Tが経過しているかどうかが判定される。判定の結果がNOであれば、ステップS1207へと進みリターンする。ステップ1201の判定の結果がYESであるときは、ステップS1202へと進み、IDに1をセットする。続いてステップS1203において、当該IDについて、R=0かつD=0又はI=0かつS=0であるか否かが判定される。いずれかのフラグに1がたっているということは、安否情報確認システムが当該ユーザーIDに対して何らかの処理を対処したことを意味しており、そのような場合にはこの判定の結果はNOとなり、続いてステップS1206へと進む。ステップS1206では、IDを1インクリメントして、再びステップS1203の判断ループを通る。
【0065】
ステップS1203の判定がYESであるときは、ステップS1204へと進み、ユーザーの携帯電話機(又はPHS電話機)101から位置情報を取得する。ステップS1205に示すように、取得した最新の位置情報を順次大きい方のnで表す。続いて、ステップS1207へと進み、リターンする。
【0066】
以上、 本発明の安否情報確認システムによれば、地震発生後に通信システムが輻輳し、安否情報の確認が行えない、といったトラブルを防止することができる。また、安否情報が不明なユーザーに対しては、ユーザーの位置情報を定期的に取得し、対処するような設定となっているために、倒壊した建物の下敷きになり、安否情報が送信できない者などの救出を迅速に行える、というメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムの全体構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムが管理する安否情報確認システムデータベースのデータ構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムにおける新規ユーザー登録のためのユーザーインターフェイス画面の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムの定型の安否問い合わせメールの一例を示すものである。
【図11】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムの定型の安否問い合わせメールに対する返信例を示すものである。
【図14】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムにおいて登録者に対して送信する安否情報メールの一例を示すものである。
【図16】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムにおいて登録者に対して送信する安否情報メールの一例を示すものである。
【図19】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【図18】本発明の実施形態に係る安否情報確認システムを動作させるためのフローチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
100・・・安否情報確認システム、101・・・携帯電話機(又はPHS電話機)、105・・・GPS衛星、106・・・携帯電話(PHS電話)基地局、110・・・通信回線網、120・・・サービス提供用システム、121・・・安否情報確認メインシステム、122・・・サービスA用リソース、123・・・サービスB用リソース、124・・・安否情報確認システム用リソース、125・・・緊急時用内部ネットワークリソース、126・・・安否情報確認システムデータベース、127・・・平常時用内部ネットワークリソース、128・・・緊急時用対外ネットワークリソース、129・・・平常時用対外ネットワークリソース、200・・・緊急地震速報発信センター、201・・・地震計1〜n、300・・・救助機関

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らの位置情報を無線で発信する携帯端末機器と、安否情報確認システム用ネットワークリソースと、前記携帯端末機器が交信する基地局と通信回線によって接続される安否情報確認メインシステムと、からなる安否情報確認システムにおいて、
前記安否情報確認メインシステムは、緊急地震速報の入力を契機として、安否情報確認システム用ネットワークリソースの優先順位を引き上げることを特徴とする安否情報確認システム。
【請求項2】
安否情報確認システムと共に提供される他のサービス用のネットワークリソースを有しており、緊急地震速報の入力を契機として、前記他のサービス用のネットワークリソースを安否情報確認システム用ネットワークリソースに振り替えることを特徴とする請求項1に記載の安否情報確認システム。
【請求項3】
緊急時用ネットワークリソースを有しており、緊急地震速報の入力を契機として、前記緊急時用ネットワークリソースを立ち上げることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安否情報確認システム。
【請求項4】
前記携帯端末機器から送信される位置情報を定期的に記録することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の安否情報確認システム。
【請求項5】
定期的に記録される位置情報に基づいて前記携帯端末機器の所有者の安否を推定することを特徴とする請求項4に記載の安否情報確認システム。
【請求項6】
緊急地震速報の入力を契機として、前記携帯端末機器に対して、安否問い合わせメールを送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の安否情報確認システム。
【請求項7】
安否問い合わせメールは、返信コードを入力するように促すことを特徴とする請求項6に記載の安否情報確認システム。
【請求項8】
返信コードに応じて、登録者に対して安否情報を提供することを特徴とする請求項7に記載の安否情報確認システム。
【請求項9】
前記携帯端末機器はGPS機能付き携帯電話であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の安否情報確認システム。
【請求項10】
前記携帯端末機器はPHS電話機であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の安否情報確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−211419(P2008−211419A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44992(P2007−44992)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】