説明

定着装置の非接触温度検出装置

【課題】 温度検出センサーに汚れが付着した場合でも正確な温度検出が可能な非接触温度検出装置を提供することである。
【解決手段】 非接触温度センサー24と被検出体である加熱ローラ21の間に絞り機構26を設け、非接触温度センサー24の受光部である赤外線吸収フィルム24cに汚れが発生した場合は、汚れが発生しない場合に較べて絞り機構26のシャッターの開口を大きくすることで、絞り機構26の遮光率を小さくし、赤外線吸収フィルム24cの受光量を増加させ、赤外線吸収フィルム24cの汚れによるセンサーの感度の影響を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着装置の温度検出装置、特に加熱源を内蔵する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラとを有する定着装置の非接触温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、複数色のトナーを重ね合わせて転写材上にカラー画像を形成するものが存在する。例えば、フルカラー複写機は、原稿画像を読み取る画像読取部と、読み取った原稿画像をシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4つの色成分に分解する画像処理部とを有している。そして、各色成分毎の静電潜像が露光手段によって感光体ドラム周面に形成され、感光体ドラム上に形成された静電潜像は4つの現像装置によって対応する色に現像化される。感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写体上に順次転写されて積層されたカラートナー画像が形成される。この中間転写体上に転写されたカラートナー画像は転写材上に転写され、定着装置に搬送される。定着装置には、ヒータを内蔵する加熱ローラと加熱ローラに圧接する加圧ローラとが設けられている。トナー画像が形成された転写材は、加熱ローラと加圧ローラとの圧接部で挟持搬送され、加熱ローラからの熱及び加圧ローラからの圧力によって転写材上のカラートナー画像が加熱され溶融定着される。
【0003】
このような定着装置においては、加熱ローラの表面温度が定着に適した温度範囲に維持されるよう、加熱源たとえばヒータランプの通電を制御する温度制御機構が設けられている。ここで、加熱ローラの表面温度を検出するため、加熱ローラ及び加圧ローラの少なくとも一方のローラの表面温度を検出する温度検出手段が備えられている。従来、温度検出手段として、温度検出素子などを被検出体である加熱ローラの表面に直接取り付けた接触式の温度検出手段が提案されている(たとえば、特許文献1)。このような温度検出手段が上記ローラに接触していると、定着枚数が増えるにしたがって上記ローラの表面に摺擦傷が発生して画像品位が悪くなるという問題がある。
【0004】
そこで、温度検出素子をローラに対して接触させることなく温度検出を行うようにすることが提案されている。この非接触型の温度検出手段は、例えば、ローラに対向して配置された赤外線吸収部材と、この赤外線吸収部材の温度を検出するためのサーミスタとを有している。
【0005】
また、定着装置においては、画像形成時にトナーの飛散または紙屑の飛散などが発生する。これらの飛散物が赤外線吸収部材に付着すると、検出温度の正確性に悪影響を及ぼすこととなる。そこで、センサーの表面を清掃する清掃機構を設けたり、赤外線吸収フィルムの汚れを検知する機構を設けた非接触温度検出装置が提案されている。
【特許文献1】特開平7−286911
【特許文献2】特開2000−242131
【特許文献3】特開2003−90763
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置の定着装置において、トナー画像の定着性能を高めるために、加熱ローラなどの表面温度を検出し、定着に適した温度に制御することはいうまでもなく必要である。加熱ローラなど被検知体の表面温度を正確に検出するためには、非接触温度検出装置にトナーなど汚れが付着した場合の影響を除去する必要があり、別途清掃機構を設けても、すべての汚れを除去するのは困難であり、このような汚れにより温度検出の正確性が低下する場合がある。
【0007】
本発明の目的は、温度検出センサーに付着した汚れが温度検出精度への影響を抑制し、汚れが付着した場合でも正確な温度検出が可能な非接触温度検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る定着装置の非接触温度検出装置は、加熱源を内蔵する加熱ローラと、加熱ローラに圧接する加圧ローラとを有する定着装置の非接触温度検出装置であって、非接触型の温度検出センサーと、絞り機構と、駆動機構とを備えている。
【0009】
ここで、非接触型温度検出センサーは被検出体の温度を検出するためのものであって、受光部を有している。絞り機構は、温度検出センサーの受光部の受光量を調整するためのものである。駆動機構は、絞り機構を駆動するためのものである。
【0010】
この装置においては、加熱ローラの温度を検出する場合、非接触温度検出センサーは受光部の受光量を感知して温度検出を行う。定着装置においては、画像形成時にトナーの飛散または紙屑の飛散などが発生するため、これらの飛散トナーまたは飛散紙屑などが非接触温度検出装置、特に受光部に付着した場合、正確な温度検出に悪影響を与えることとなる。
【0011】
この装置では、絞り機構により温度検出センサーの受光部の受光量を調整する。例えば、受光部に汚れが付着して受光量が少なくなった場合は絞りを開放することにより、温度センサーの感度を調整する。したがって、温度検出センサーに汚れが付着した場合でも正確な温度検出が可能である。
【0012】
請求項2に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項1に記載の装置において、絞り機構はシャッターとシャッター調整機構とを有している。ここで、シャッター調整機構は、シャッター開口部の大きさを調整することにより受光部への受光量を調整する。
【0013】
定着装置においては、画像形成時にトナーの飛散または紙屑の飛散などが発生する。これらの飛散物が非接触温度検出装置に付着すると、検出温度の正確性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0014】
そこで、この装置では、シャッター調整機構によりシャッター開口部の大きさを調整し、温度検出センサー受光部への受光量を調整する。例えば、受光部に汚れが付着して受光量が少なくなった場合はシャッター開口部を開放することにより、温度センサーの感度を調整する。したがって、温度検出センサーに汚れが付着した場合でも正確な温度検出が可能である。
【0015】
請求項3に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項2の装置において、シャッターは一定の間隔で配置された平行する二つの板であり、シャッター調整機構は平行板を平行リンクにより連結し、平行リンクを作動させることにより平行板間の距離を調整するものである。
【0016】
この装置では、一定の間隔で配置された平行板を平行リンクで連結させて平行定規を形成しているため、平行リンクを傾斜させることにより平行板間の距離を調整することができ、簡単な構造でシャッター開口部の大きさを調整することができる。
【0017】
請求項4に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項3に記載の装置において、駆動機構は、リンクに連結されているラックと、ラックに噛み合うウォームと、ウォームを回転させるためのステッピングモータとを有している。
【0018】
この装置では、ステッピングモータによりウォームが回転され、このウォームの回転によってウォームと噛み合っているラックが直線運動をし、ラックに連結されているリンクが作動をする。従って、簡単な構造でリンクの作動を実現し、シャッター開口部の大きさを調整することができる。
【0019】
請求項5に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項3に記載の装置において、駆動機構はソレノイドである。ここでは、ソレノイドにより絞り機構の位置を決めることで、駆動機構のコストダウンを図るとともに、設置スペースの小型化を実現することができる。
【0020】
請求項6に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項1から5のいずれかに記載の装置において、加熱ローラの温度を測定する接触式温度センサーと、駆動機構の駆動を制御する制御部をさらに備えている。ここで、制御部は接触式温度センサーの測定値と非接触温度検出センサーの測定値との温度差に基づいて駆動機構の制御を行うことで、自動的に温度検出センサーの感度を調整することができる。
【0021】
請求項7に係る定着装置の非接触温度検出装置は、請求項1から6のいずれかに記載の装置において、温度検出センサーは赤外線感温センサーである。この装置では、赤外線感温センサーにより、非接触で被検出体の表面温度を測定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、絞り機構により温度検出センサーの受光部の受光量を調整し、例えば受光部に汚れが付着して受光量が少なくなった場合は絞りを開放して温度センサーの感度を調整する。したがって、温度検出センサーに汚れが付着した場合でも正確な温度検出が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態が採用された画像形成装置の全体の断面図である。ほぼ直方体形状を有するカラー画像形成装置1のほぼ中央にa−Si系感光体を用いた感光体ドラム2が配設されている。感光体ドラム2の周囲には、帯電装置3、イエロー現像装置4、マゼンタ現像装置5、シアン現像装置6、ブラック現像装置7、中間転写体8、及びクリーニング装置9が配置されている。イエロー現像装置4、マゼンタ現像装置5、シアン現像装置6は、それぞれイエロートナーカートリッジ10、マゼンタトナーカートリッジ11、シアントナーカートリッジ12を有している。中間転写体8の上方位置には、ブラック現像装置7のブラックトナーカートリッジ13が配設されている。ブラックトナーカートリッジ13の上方には露光装置14が配設されている。中間転写体8の下方位置には二次転写ローラ15が配設され、二次転写ローラ15の用紙搬送方向下流側には、分離装置16、搬送ベルト17、定着装置18が配設されている。装置1の左上方には排出装置40が配設されている。
【0024】
感光体ドラム2は、表面に静電潜像が形成されるものである。帯電装置3は、感光体ドラム2の上方に設置されており、感光体ドラム2の表面を一様に帯電させるための装置である。露光装置14は、図示しない画像データ入力部から読み取った原稿画像に基づいて、感光体ドラム2上に静電潜像を形成させるための装置である。現像装置4,5,6,7は、静電潜像が形成された感光体ドラム2表面にトナーを供給してトナー像を形成させる装置であって、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応して設けられている。トナーカートリッジ10,11,12,13は、同じくイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを供給するものある。中間転写体8は、感光体ドラム2に形成されたトナー像が転写され一時的に保持される転写体の役割を果たしている。転写装置15は、中間転写体8上のトナー像を用紙に転写するための装置である。分離装置16は、トナー画像の転写された用紙を中間転写体8から分離するためのものである。搬送ベルト17は、トナー画像が転写された用紙を定着装置に搬送するためのものである。定着装置18は、加熱・加圧によってトナー画像を溶解定着させ、転写材にトナー画像を定着させるためのものである。クリーニング装置9は、感光体ドラム2に残留した残留現像剤などの付着物をクリーニングするための装置である。
【0025】
ここで、定着装置18は、図2aに示すように、加熱源(例えばヒーター)を内蔵している加熱ローラ21と、加熱ローラ21と図2aのY軸方向で圧接するように設けられた加圧ローラ22と、加熱ローラ21及び加圧ローラ22の表面温度を両ローラ21,22に対して非接触で検出する非接触温度検出装置23とを有している。非接触温度検出装置23は、図2aのY軸方向において加熱ローラ21の中心回転軸とほぼ同じ位置で、かつ用紙搬送方向の上流側に配置されている。この非接触温度検出装置23は、温度検出センサー24と、温度検出センサー24を保持する回転軸25とを有している。また、図2bに示すように、加熱ローラ21の非通紙領域に接触して、加熱ローラ21の温度を測定する接触式温度センサー30が設けられている。
【0026】
温度検出センサー24は、赤外線感温式の非接触サーミスタ24aと、サーミスタ24aの周囲を覆って設けられた透明なケーシング24bと、ケーシング24bの外表面においてサーミスタ24aに赤外線が入射してくる部分に設けられた赤外線透過フィルム24cとを有している。
【0027】
また、非接触温度検出装置23と加熱ローラ21との間には、絞り機構26が配置されている。絞り機構26は、図3(a)及び(b)に示すように、シャッター板50A,50Bが平行に配置されており、平行リンク51A,51Bがピンa,a’,b,b’によりシャッター板50A,50Bとリンクされ、いわゆる平行クランクを形成している。リンク51Aは、さらにリンク51Cの一端とピンcで連結されている。リンク51Cの他端はラック52にピンdで連結されている。このラック52は、傾斜歯を有しており、駆動機構53のウォームギア54と噛み合うように配置されている。駆動機構53は、ウォームギア54とステッピングモータ55とで構成されている。ステッピングモータ55は、装置奥側のフレーム35のさらに奥側に設けられており、モータ軸55の先端には、ラック52に噛み合うウォームギア54が一体で形成されている。なお、リンク51A,51Bはそれぞれピンe,e’により図示しないベース板に回動自在に取り付けられている。
【0028】
以上のような構成により、ステッピングモータ55を正逆回転させると、ウォームギア54が正逆回転される。ウォームギア54が正逆回転されると、ウォームギア54と噛み合わせているラック52は左右に直線運動を行い、ラック52とピン連結されているリンク51Cも左右に傾斜する。例えば、図3における第1位置において、平行シャッター板50A,50Bと平行リンク51A,51Bとから構成されている平行クランクが長方形をなし、リンク51Aとリンク51Cが互いに直角をなしているとする。この際、平行シャッター板50A,50Bの間隔は最大であり、非接触温度センサー24の受光量も最大である。そこで、ステッピングモータ55を回転させ、ウォームギア54を回転させることによりリンク51Cを右に移動させる。そうすると、リンク51Cの一端はピンcによりリンク51Aと連結されているため、リンク51Aはピンe,e’を中心に時計回りに回動し、シャッター板50A,50B及び平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランク全体が右に傾斜する。すなわち、図3の点線で表した第2位置となり、シャッター板50Aとシャッター板50Bの間隔が狭くなる。この際、非接触温度センサー24の受光量は最小である。一方、リンク51Cが左に動くと、リンク51Cの一端はピンcによりリンク51Aと連結されているため、リンク51Aはピンe,e’を中心に反時計回りに回動し、シャッター板50A,50B及び平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランク全体が左に傾斜し、第1位置に回復する。この動きによって、シャッター板50Aとシャッター板50Bの間隔が広くなる。絞り機構26は、このような動きで非接触温度センサー24への光の透過量を調整する。
【0029】
図4に定着装置の制御ブロックを示している。なお、ここでは絞り機構の制御に関連する構成のみを示している。制御部60は、CPU、RAM、ROMなどを有するマイクロコンピュータによって構成されており、非接触温度検出センサー24、絞り機構を駆動させるステッピングモータ55、接触温度検出センサー30が接続されている。
【0030】
次に、画像形成の動作について説明する。画像形成時は、帯電装置3によって感光体ドラム2に帯電が行われた後、露光装置14によって露光が行われ、感光体ドラム2上に静電潜像が形成される。感光体ドラム2が回転して最初色であるイエロー現像装置4の現像位置に達すると、イエローに対応した静電潜像が現像装置4でトナー画像化され、感光体ドラム2表面にイエローに対応したトナー画像が形成される。このような動作が他の色(マゼンタ、シアン、ブラック)に関しても行われる。感光体ドラム2の表面上に形成された各色のトナー像は順次中間転写体8に転写されることによって、中間転写体8上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、転写装置15に印加された転写バイアスにより、タイミングを合わせて図示しない給紙部から転写位置まで搬送された転写材19にフルカラーのトナー像が転写される。フルカラーのトナー像が転写された転写材は分離装置16によって中間転写体8から分離され、搬送ベルト17によって定着装置18に搬送される。さらに転写材19に転写されたフルカラーのトナー像は、定着装置18による加熱・加圧によって転写材に定着され、転写材は排紙部40に排出される。
【0031】
ここで、画像形成時に定着装置18においてはトナーの飛散または紙屑の飛散などが発生する。これらの飛散トナーまたは飛散紙屑などが非接触温度検出装置23の赤外線吸収フィルム24cに付着した場合、正確な温度検出に悪影響を与えることとなる。この実施形態では、非接触温度センサー24と被検出体である加熱ローラ21の間に絞り機構26を設け、非接触温度センサー24の受光部である赤外線吸収フィルム24cに汚れが発生した場合は、汚れが発生しない場合に較べて絞り機構26のシャッターの開口を大きくすることで、絞り機構26の遮光率を小さくし、赤外線吸収フィルム24cの受光量を増加させ、赤外線吸収フィルム24cの汚れによるセンサーの感度の影響を抑える。制御部60は、赤外線吸収フィルム24cの汚れによる赤外線温度センサー24の測定誤差と絞り機構26の遮光率との関係は表1ように設定し、この設定値に基づいて制御を行う。
【0032】
画像形成過程では図5のフローチャートに示すように絞り機構26の制御が行われる。画像形成装置に電源が投入されると、各種パラメータが初期化され、定着部18の温度設定を行うなどの初期設定を実行する。次にステップS1では、非接触温度センサー24と接触式温度センサー30の温度値の照合を行う。ステップS2では、非接触温度センサー24の温度値と接触式温度センサー30の温度値の差が35℃以下であるか否かを判断する。温度差が35℃以上である場合は、ステップS3に移行し、図示しない清掃機構により清掃を行うようにする。温度差が35℃以下である場合は、ステップS4に移行し、温度差と絞り機構26の遮光率の関係が表1の設定値範囲内か否かを判断する。温度差と絞り機構26の遮光率の関係が表1の設定値範囲内でない場合は、ステップS5に移行し、絞り機構26の遮光率の調整を行う。具体的には、非接触温度センサー24の温度値と接触式温度センサー30の温度値の差が0℃である場合は、絞り機構26の絞り量を最大限にし、シャッター板50Aとシャッター板50Bによる遮光率を30%に設定する。例えば、ステッピングモータ55を回転させ、ウォームギア54を回転させることによりラック52を右に動かし、よってリンク51Cを右に移動させる。リンク51Cが右に移動すると、リンク51Cの一端はピンcによりリンク51Aと連結されているため、リンク51Aも右に傾斜し、シャッター板50A,50B及び平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランク全体が右に傾斜する。すなわち、図3の点線で表した第2位置となり、シャッター板50Aとシャッター板50Bの間隔が狭くなる。この際、非接触温度センサー24の受光量は最小である。
【0033】
一方、非接触温度センサー24の温度値と接触式温度センサー30の温度値の差が例えば温度値の差が7℃である場合、シャッター板50Aとシャッター板50Bによる遮光率を20%に設定する。具体的には、ステッピングモータ55を回転させ、ウォームギア54を回転させることによりラック52を左に動かし、よってリンク51Cを左に移動させる。リンク51Cが左に移動すると、シャッター板50A,50B及び平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランク全体が左に傾斜する。このような調整により、シャッター板50Aとシャッター板50Bの間隔が広くなる。
【0034】
さらに、例えば非接触温度センサー24の温度値と接触式温度センサー30の温度値の差が35℃である場合、シャッター板50Aとシャッター板50Bによる遮光率を0%に設定する。具体的に、ステッピングモータ55を回転させ、ウォームギア54を回転させることによりラック52をさらに左に動かし、よってリンク51Cをさらに左に移動させる。リンク51Cが左に移動すると、シャッター板50A,50B及び平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランク全体が左に傾斜し、図3における第1位置になる。この際、平行シャッター板50A,50Bと平行リンク51A,51Bから構成されている平行クランクが長方形をなし、リンク51Aとリンク51Cが互いに直角をなしており、平行シャッター板50A,50Bの間隔は最大である。すなわち、非接触温度センサー24の受光量も最大である。
【0035】
次に、ステップS6では画像形成スタートキーが押されたか否かを判断する。画像形成スタートキーが押された場合はステップS7に移行し、画像形成を行う。画像形成が終了した後はステップS8に移行し、画像形成を終了するか否かを判断する。画像形成を終了しない場合はステップS2に戻る。一方、画像形成を終了する場合は、リターンする。
[本実施形態の効果]
非接触温度センサー24と被検出体である加熱ローラ21の間に絞り機構26を設け、非接触温度センサー24の受光部である赤外線吸収フィルム24cに汚れが発生した場合は、汚れが発生しない場合に較べて絞り機構26のシャッターの開口を大きくすることで、絞り機構26の遮光率を小さくし、赤外線吸収フィルム24cの受光量を増加させ、赤外線吸収フィルム24cの汚れによるセンサーの感度の影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】画像形成装置の略図。
【図2a】定着装置の拡大図。
【図2b】定着装置の斜視図。
【図3】非接触温度検出装置の概略構成図。
【図4】定着装置の制御ブロック。
【図5】定着装置の制御フロー。
【符号の説明】
【0037】
1 カラー画像形成装置
2 感光体ドラム
18 定着装置
21 加熱ローラ
22 加圧ローラ
23 非接触温度検出装置
24 非接触温度検出センサー
25 回転軸
26 絞り機構
28 加熱ローラの加熱源
30 接触式温度検出センサー
50A,50B シャッター板
51A,51B,51C リンク
52 ラック
53 駆動機構
54 ウォームギア
55 ステッピングモータ
60 絞り制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源を内蔵する加熱ローラと前記加熱ローラに圧接する加圧ローラとを有する定着装置の非接触温度検出装置であって、
受光部を有する非接触型の温度検出センサーと、
前記温度検出センサーの受光部の受光量を調整する絞り機構と、
前記絞り機構を駆動する駆動機構と、
を備えた定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項2】
前記絞り機構は、
シャッターと、
前記シャッターの開口部の大きさを調整することにより受光部への受光量を調整するシャッター調整機構とを有している、
請求項1に記載の定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項3】
前記シャッターは、一定の間隔で配置された平行する二つの板であり、
前記シャッター調整機構は、前記平行板を平行リンクにより連結し、前記平行リンクを作動させることにより、前記平行板間の距離を調整する、
請求項2に記載の定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記リンクに連結されているラックと、
前記ラックに噛み合うウォームと、
前記ウォームを回転させるステッピングモータとを有している、
請求項3に記載の定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記リンクに連結しているソレノイドである、
請求項3に記載の定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項6】
前記加熱ローラの温度を測定する接触式温度センサーと、
前記駆動機構の駆動を制御する制御部とをさらに備えており、
前記制御部は接触式温度センサーの測定値と前記非接触温度検出センサーの測定値との温度差に基づいて前記駆動機構の制御を行う、
請求項1から5のいずれかに記載の定着装置の非接触温度検出装置。
【請求項7】
前記温度検出センサーは赤外線感温センサーである、請求項1から6のいずれかに記載の定着装置の非接触温度検出装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−98199(P2006−98199A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284202(P2004−284202)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】