寸法測定システム、寸法測定装置及びマスタ
【課題】 マスタを間違えた誤った校正処理を防止できる寸法測定システムの実現。
【解決手段】 寸法測定装置10と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタ50A,50Bとを備え、所定の寸法値の部分を測定して寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、各マスタは、寸法測定装置がマスタの所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段55と、寸法測定装置が所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、寸法測定装置は、測定状態信号を受信する無線通信手段37を備え、無線通信手段が測定状態信号を受信している時に校正処理を行う。
【解決手段】 寸法測定装置10と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタ50A,50Bとを備え、所定の寸法値の部分を測定して寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、各マスタは、寸法測定装置がマスタの所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段55と、寸法測定装置が所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、寸法測定装置は、測定状態信号を受信する無線通信手段37を備え、無線通信手段が測定状態信号を受信している時に校正処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内径、外径または深さのような寸法を測定する寸法測定装置と、寸法測定装置を校正するのに使用されるマスタ、及びそれらで構成される寸法測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置や処理装置では、内径、外径または深さのような各部の寸法を測定する寸法測定装置が広く使用されており、特に近年は加工の高精度化に対応して寸法測定の高精度化が求められている。
【0003】
寸法測定装置は、接触式であれば測定用の触針(コンタクト)などを被測定物の測定部分に接触させ、非接触式であれば測定端子などを被測定物の測定部分付近に配置する。寸法測定装置は、正確な測定を行うには、あらかじめ寸法値の判明している部分を有するマスタを測定して、測定値がマスタの寸法値になるように調整する校正処理を行う必要がある。
【0004】
校正処理は、ゼロ基準値がずれるオフセットを調整するゼロ校正と、ゲインを調整するキャリブレーション校正とで構成される。ゼロ校正は、ゼロ基準値に対応する寸法値の部分を有するゼロマスタを使用し、寸法測定装置でゼロマスタの寸法値部分を測定する状態にして、寸法測定装置に設けられたゼロスイッチを操作する。これに応じて、寸法測定装置は、その測定値がゼロマスタの寸法値に等しくなるように寸法測定装置の信号回路のオフセットを調整する。キャリブレーション校正は、キャリブレーション校正値に対応する寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを使用し、寸法測定装置でキャリブレーションマスタの寸法値部分を測定する状態にして、寸法測定装置に設けられたキャリブレーションスイッチを操作する。これに応じて、寸法測定装置は、その測定値がキャリブレーションマスタの寸法値に等しくなるように寸法測定装置の信号回路のゲインを調整する。
【0005】
なお、校正処理には各種の変形例がある。特に、近年は補正テーブルを記憶してデジタル処理により測定値を補正することが行われており、複雑な補正が容易に行える。例えば、測定範囲の中心にゼロ基準値がある場合には、ゼロマスタと正負のキャリブレーションマスタを使用して、正の測定値範囲と負の測定値範囲でそれぞれゲインを調整したり、測定範囲内の多数の寸法値を有する複数のマスタを使用し、測定範囲で詳細な補正を行う場合がある。本発明は、校正処理の種類に限定されず、どのような校正処理も対象とする。
【0006】
校正処理は上記のように行われるが、オペレータがゼロマスタとキャリブレーションマスタを誤って使用したり、ゼロスイッチとキャリブレーションスイッチを誤って操作したりする場合がある。そのような場合には、不適切な調整が行われるので、測定値は大きな誤差を含むことになる。このような問題を生じないように、寸法測定装置に前に行った校正処理時の測定値を記憶するメモリを設け、前の校正処理時の測定値から大幅な変化が生じた時には不正な校正処理と判定するマスタ隣接機能や、マスタの測定値があらかじめ設定された限界値を超えた時には不正な校正処理と判定するマスタ限界機能などが設けられている。
【0007】
【特許文献1】特開平4−64011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、オペレータが誤ってマスタ以外のもの、例えば測定対象のワークをマスタと間違えて測定し、ワークの寸法値がマスタの寸法値に近似している場合には、たとえマスタ隣接機能やマスタ限界機能などが設けられていても、誤った校正処理が行われることになる。
【0009】
また、各種の寸法測定範囲を有する複数種類の寸法測定装置が並行して使用される場合がある。この場合、寸法測定装置の種類に応じてゼロマスタとキャリブレーションマスタの複数組が用意され、近似した寸法値を有するマスタが存在することがある。複数組のゼロマスタとキャリブレーションマスタが校正作業用テーブルにまとめて配置された場合、たとえ各マスタには識別のための表示がされていても、オペレータが誤って対応しないマスタを測定して誤った校正処理が行われる場合があり得る。
【0010】
誤った校正処理が行われた場合、それ以後の測定値は誤差が大きく、正しい測定が行えなくなる。さらに、オペレータはこのような誤った校正処理を行ったことを自覚できないため、いつからの測定データが不正であるかを判別することもできないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するもので、マスタを間違えて誤った校正処理を行うのを防止できる寸法測定システムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するため、本発明の寸法測定システムは、寸法測定装置がマスタを測定する状態になったことを検出する検出手段と無線通信手段をマスタに設け、寸法測定装置がマスタを測定する測定状態になったことを送信する。寸法測定装置にも無線通信手段を設け、マスタから測定状態であることを受信している時に校正処理を行う。
【0013】
すなわち、本発明の寸法測定システムは、寸法測定装置と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタとを備え、前記寸法測定装置で前記所定の寸法値の部分を測定して前記寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、各マスタは、前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、前記寸法測定装置は、前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信している時に校正処理を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の寸法測定システムによれば、マスタ以外を測定して校正処理を行うことはないので、測定対象であるワークを測定することによる校正処理を防止できる。
【0015】
また、各マスタの無線通信手段は、寸法測定装置が測定状態にあることを検出した時に、マスタの識別コードを送信し、寸法測定装置の無線通信手段は、マスタの識別コードを受信した時に、測定状態にあることを判定するようにしてもよい。
【0016】
寸法測定装置は、その寸法測定装置に対応するマスタの識別コードと、このマスタの識別コードに対応したマスタの所定の寸法値とをメモリに記憶することが望ましい。もし無線通信手段が受信したマスタの識別コードがメモリに存在しない時には、その寸法測定装置に対応しないマスタを測定する状態であるので、警告手段によりオペレータに警告を発生する。
【0017】
校正処理は、寸法測定装置がマスタを正しく測定できる状態で行う必要があるので、寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備え、操作スイッチが指示された時の測定値に基づいて校正処理を行う。前述のように、操作スイッチは、ゼロスイッチ及びキャリブレーションスイッチなどで校正されるのが一般的であるが、より多くの操作スイッチを有する場合もある。操作スイッチの種類とマスタが対応するかを判定することにより、誤った校正処理を更に防止できる。
【0018】
更に、寸法測定装置の無線通信手段が、操作スイッチが操作された時に、操作スイッチによりその寸法測定装置で行う校正処理で使用するマスタの識別コードを示すデータを送信し、複数のマスタの無線通信手段は、寸法測定装置が送信したマスタの識別コードを示すデータを受信し、各マスタは、受信したマスタの識別コードがそのマスタに対応する時に、オペレータに対応するマスタであることを示すインジケータを備えるようにしてもよい。
【0019】
複数種類の寸法測定装置が使用され、それに対応した多数のマスタが保管されている時、校正処理を行う寸法測定装置に対応するマスタを探すのが煩雑であるが、これにより、寸法測定装置の操作スイッチが操作されると、使用するマスタのインジケータが対応するマスタであることを示すので、容易にマスタを識別できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マスタであること、更に行おうとする校正処理に対応するマスタであることが自動的に判別できるので、対応するマスタを間違えて誤った校正処理を行うのを防止できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、シリンダなどの内径を測定するハンドゲージを例として、本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施例のハンドゲージの外観図である。ハンドゲージ10は、内径測定用で、直径方向に設けられた2個の触針11(一方のみを図示)の変位を差動トランスで検出することにより内径を測定するもので、バッテリィで駆動される。図示のように、ハンドゲージ10は、触針(コンタクト)11が設けられ、被測定部分である穴に挿入される先端部12と、穴の測定部分の深さを規定するために穴の上面に接触する中間部13と、ハンドゲージ10を保持するためのグリップ14と、操作・表示部16が設けられたヘッド15とを有する。
【0023】
図2は、操作・表示部16の詳細な構成を示す図である。図示のように、操作・表示部16は、表示を行うLCD表示器17と、操作のためのシートキー22〜24と、表示用LEDを有するシートキー25とを有する。LCD表示器17は、測定値を表示するバーグラフ、公差の下限値19及び上限値20、測定値をデジタル表示するデジタル表示21などを表示する。シートキー24は動作モードの選択するスイッチである。シートキー22は、選択された動作モードに応じて、ゼロマスタ処理の指示又は設定値の減少指示を行うためのスイッチである。シートキー23は、選択された動作モードに応じて、キャリブレーションマスタ処理の指示又は設定値の増加指示を行うためのスイッチである。シートキー25は、LEDにより電源状態や判定結果を示すと共に、測定値の記憶指示などを行うスイッチである。
【0024】
ハンドゲージ10における動作モードの選択、寸法測定値の測定レンジ及び公差の入力などは、LCD表示器17を見ながらシートキー22〜24を操作することにより行う。このように、ハンドゲージ10は、表示手段及び操作のためのキーを有しているので独立で使用可能である。
【0025】
図3は、ハンドゲージ16において、表示処理を含めて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。図示のように、バス34を介して、マイクロプロセッサ(MPU)31、ROM32、RAM33、入出力(I/O)ポート35などが接続されている。I/Oポート35には、コンタクト11の変位を検出する差動トランスで構成される測定部からの信号をデジタル信号に変換するA/D変換器36、LCD表示器17のドライバ38、シートキー25のLEDのドライバ39、無線回路37、及びシートキー22〜24などが接続される。このようなコンピュータシステムについては広く知られているので、詳しい説明は省略する。無線回路37は、後述するように、マスタの無線回路と通信を行う。
【0026】
なお、ここでは、バッテリィを有し、独立して使用可能なハンドゲージを例として説明するが、例えば、操作・表示部を有するコラム又は管理用コンピュータにケーブルで接続されたハンドゲージや、コラム又は管理用コンピュータとの間を無線通信で接続し、データを送信できるようにしたハンドゲージなども同様に使用できる。コラム又は管理用コンピュータとの無線通信回路を有する場合には、それを利用してマスタの無線回路と通信を行うようにしてもよい。
【0027】
図4は、本実施例のマスタ50を示す図である。上記の実施例のハンドゲージ10は、図4に示すようなマスタ50を使用して校正処理を行う。
【0028】
図4の(A)は、マスタ50の外観図である。図示のように、マスタ50は、所定の直径の穴52が設けられた本体部51と、台54で構成される。
【0029】
図4の(B)は、校正処理を行うために、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50の穴52に挿入した状態を示す。図示のように、ハンドゲージ10の中間部13がマスタ50の上面53に接触するまで、先端部12をマスタ50の穴52に挿入する。この時、コンタクト11は穴52の内壁に接触して変位し、穴52の内径を測定する状態になる。台54の穴52に面した部分には近接センサ55が設けられており、近接センサ55は先端部12の面が所定距離内に近づくと、近接信号を電気回路56に出力する。言い換えれば、校正処理を行うために、ハンドゲージ10でマスタ50の穴の内径を測定する状態にすると近接信号が出力されるので、近接信号は測定状態であることを示す信号である。
【0030】
電気回路56は、近接センサ55から近接信号を受けると、無線通信回路から、測定状態にあることを示す信号を出力する。ここでは、測定状態にあることを示す信号として、マスタの識別コードを出力する。図3のハンドゲージ10の無線回路37は、この信号を受信する。
【0031】
図5は、本発明の第1実施例のハンドゲージシステムの構成を示す図である。参照番号10は、これまで説明したハンドゲージである。マスタは、ゼロ基準値の内径の穴を有するゼロマスタ50Aと、ゼロ基準値と異なる内径の穴を有するキャリブレーションマスタ50Bの2種類がある。ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bは、穴の内径が異なる点以外は、図4のマスタと同じ構成を有する。ハンドゲージ10のROM32には、ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの識別コードと、ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの穴の内径が対応付けて記憶されている。
【0032】
図6は、校正処理の場合の、ハンドゲージ10における処理動作を示すフローチャートである。ゼロ基準値の校正処理は、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50Aの穴52に挿入し、中間部13がマスタ50Aの上面53に接触した状態で、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22を操作することにより行われ、キャリブレーション校正処理は、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50Bの穴52に挿入し、中間部13がマスタ50Bの上面53に接触した状態で、キャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23を操作することにより行われ。
【0033】
ステップ101では、シートキー22又は23のいずれかが操作されているかを判定する。シートキー22及び23のいずれも操作されていない時には、校正処理は行わないので、最初に戻る。シートキー22又は23のいずれかが操作されている時には、ステップ102に進み、マスタの識別コードを受信しているかを判定する。もしマスタの識別コードを受信していない時には、マスタ以外のもの、例えば測定対象のワークの内径を測定する状態でシートキー22又は23を操作したり、ハンドゲージ10の先端部12を十分にマスタの穴の中に入れないでシートキー22又は23を操作したことが考えられるので、ステップ103に進んでオペレータに警告を行うアラーム処理を行う。
【0034】
マスタの識別コードを受信している時には、ステップ104に進み、受信しているマスタの識別コードを認識する。ステップ105では、認識したマスタの識別コードが、ROM32に記憶されているゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの識別コードのいずれかと一致するかを判定する。もし認識したマスタの識別コードが、このハンドゲージの校正処理に使用するゼロマスタ50A又はキャリブレーションマスタ50Bの識別コードに一致しない時には、他のハンドゲージの校正処理に使用するマスタを測定している可能性があるので、ステップ106に進み、アラーム処理を行う。
【0035】
認識したマスタの識別コードが、このハンドゲージの校正処理に使用するゼロマスタ50A又はキャリブレーションマスタ50Bの識別コードに一致する時には、認識したマスタの識別コードが示すマスタの種類と操作されたシートキーの種類が一致するかを判定する。具体的には、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Aであればよく、またキャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Bであればよく、ステップ109に進む。もし、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Bであったり、またキャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Aであった時には、オペレータがゼロマスタ処理とキャリブレーションマスタ処理を誤っているので、ステップ108に進んでアラーム処理を行う。
【0036】
ステップ109では、ゼロマスタ処理であるかキャリブレーションマスタ処理であるかを判定し、ゼロマスタ処理であれば、ステップ110に進んでゼロマスタ処理を行い、最初に戻る。キャリブレーションマスタ処理であれば、ステップ111に進んでキャリブレーションマスタ処理を行い、最初に戻る。
【0037】
以上のように、第1実施例では、ハンドゲージ10が1台、マスタはゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの2種類のマスタがある例を説明した。次の第2実施例では、ハンドゲージが複数種類あり、それに応じてゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bも複数組あり、複数組のマスタが同じ場所に保管されて、そこで構成処理を行う場合を説明する。
【0038】
図7は、本発明の第2実施例のハンドゲージシステムの構成を示す図である。図示のように、複数種類のハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nがあり、各ハンドゲージに対応して、複数組のゼロマスタ50A−1、50A−2、…、50A−Nとキャリブレーションマスタ50B−1、50B−2、…、50B−Nがあり、複数組のマスタは同じ場所に保管されており、ハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nの校正処理はそこで行うとする。なお、校正処理は、1つのハンドゲージのみ行い、同時に複数のハンドゲージを校正処理することはないとする。ハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nは、測定レンジがそれぞれ異なることを除けば、第1実施例のハンドゲージと同じ構成を有する。ゼロマスタ50A−1、50A−2、…、50A−Nとキャリブレーションマスタ50B−1、50B−2、…、50B−Nは、穴の内径がそれぞれ異なること、及びインジケータ(LED)69が設けられていることを除けば、第1実施例のマスタと同じ構成を有する。
【0039】
図8は、第2実施例のハンドゲージシステムのマスタの電気回路の構成を示す図である。マスタの電気回路は、簡単な構成なので、マイクロコンピュータを利用しなくても実現できるが、マイクロコンピュータを利用すると回路構成が簡単になる。図8に示すように、第2実施例の電気回路は、バス64を介して、マイクロプロセッサ(MPU)61、ROM62、RAM63、入出力(I/O)ポート65などが接続されている。I/Oポート65には、無線回路66、近接センサ67、及びインジケータのLEDのドライバ68などが接続される。無線回路66は、第1実施例と同様に、ハンドゲージ10の無線回路37にマスタの識別コードを送信すると共に、ハンドゲージ10の無線回路37からの相手先マスタの識別コードを受信する。
【0040】
図9は、第2実施例におけるマスタの電気回路の動作を示すフローチャートである。ステップ201では、対応するハンドゲージ10から、このマスタの識別コードの送信があったかを判定する。対応する識別コードを受信した時には、ステップ202に進み、インジケータ69のLEDを点滅させる処理を所定時間行う。この処理は、タイマーを利用して行い、直ちにメインルーチンに復帰する。次に、ステップ203で、近接センサがオン、すなわちハンドゲージがマスタに対して測定状態にあるかを判定し、測定状態にあればステップ204に進み、マスタの識別コードを送信する処理を行い、最初に戻る。測定状態でなければ、何もしないで最初に戻る。
【0041】
以上の処理により、マスタは、ハンドゲージからそのマスタを指示する識別コードを受信すると、インジケータのLEDを所定時間点滅し、ハンドゲージがマスタに対して測定状態にあることを検出すると、マスタの識別コードを送信する。
【0042】
第2実施例における各ハンドゲージは、図6のフローチャートに類似した処理を行うが、最初の部分の処理のみが異なる。
【0043】
図10は、第2実施例におけるハンドゲージにおける処理動作を示すフローチャートである。第1実施例と同様に、ステップ101では、シートキー22又は23のいずれかが操作されているかを判定する。シートキー22及び23のいずれも操作されていない時には、校正処理は行わないので、最初に戻る。シートキー22又は23のいずれかが操作されている時には、ステップ301に進み、そのハンドゲージの操作スイッチで行う校正処理で使用するマスタの識別コードを送信する。上記のように、この識別コードの送信に対応して、対応するマスタのインジケータ69のLEDが点滅する。これにより、使用するマスタを確実に識別することができる。
【0044】
ステップ301で、マスタの識別コードを受信しているかを判定する。もしマスタの識別コードを受信していない時には、前述のように、マスタ以外のものを測定する状態やハンドゲージを十分にマスタの穴に入れない状態でシートキー22又は23を操作したと考えられると共に、対応するマスタを探すためにシートキー22又は23を操作したと考えられるので、ステップ303に進んでオペレータに、非測定状態にあることを報知して最初に戻る。
【0045】
マスタの識別コードを受信している時には、ハンドゲージがマスタを測定する状態で、シートキー22又は23を操作したので、図6のステップ104に進み、以下第1実施例と同様の処理を行う。
【0046】
以上、本発明の実施例を説明したが、各種の変形例が可能である。
【0047】
例えば、第1実施例では、ハンドゲージがマスタを測定する状態であるかを検出するために近接センサを使用したが、図11に示すように、マスタ50の穴52の内壁に面して透過型光センサ57を設けて、ハンドゲージの先端部12がマスタ50の穴52内に挿入されたことを検出して、測定状態であることを検出するようにしてもよい。なお、この場合、ハンドゲージの中間部13がマスタ50の上面53に接触して正規の測定状態になった時に、透過型光センサ57が検出信号を出力するように、正規の測定状態の時のハンドゲージの先端部12の端面の位置に合わせて、透過型光センサ57を配置することが望ましい。
【0048】
また、図11の(B)に示すように、マスタ50の上面53に複数のマイクロスイッチ58A、58Bを設け、複数のマイクロスイッチがすべてオン状態になった時に、測定状態であることを示す信号を送信するようにしてもよい。マイクロスイッチの個数は、例えば3個以上が望ましい。これにより、ハンドゲージがマスタ50の穴52に斜めに挿入されている時には、一部のマイクロスイッチがオン状態にならないので、正規の測定状態の時のみ検出信号が出力される。
【0049】
前述のように、本発明は、マスタを使用して校正処理を行う寸法測定装置であれば、どのような装置にも適用可能であり、実施例で説明した内径を測定するハンドゲージに限定されない。円筒物の外径を測定する場合の構成例を図12に示す。
【0050】
図12に示すように、この外径測定装置70は、V字ブロックの面72を円筒物81に接触させた状態で、コンタクト71の変位を検出することにより円筒物81の直径を測定する。参照番号73は測定部分のガードであり、74は測定部の支持部材であり、75はグリップであり、76はヘッドであり、ヘッド76に操作・表示部が設けられる。
【0051】
この場合のマスタ80は、台83に設けられた支持部材82A及び82Bに、所定の直径を有する円筒物81が取り付けられており、支持部材82A及び82Bに透過型光センサ84A及び84Bが設けられている。透過型光センサ84A及び84Bにより、外径測定装置70がマスタ80を測定する状態であることを検出する。それ以外は、前述の実施例と同じである。
【0052】
以上、本発明の実施例及び変形例を説明したが、記載した変形例以外にも各種の変形例があり得ることは、当業者には明らかである。例えば、本発明は、記載した内径測定装置や外形測定装置に限らず、非接触型の寸法測定装置や内径測定装置及び外形測定装置以外の測定装置にも適用可能である。更に、寸法測定装置がマスタを測定する状態にあることを検出する方法や、マスタから寸法測定装置にマスタの識別コードを無線送信するのに光を利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は、誤ったマスタで校正処理することがなくなるので、測定動作の信頼性が向上し、加工ラインに付随した検査の信頼性を向上することができる。更に、複数種類の寸法測定装置で使用するマスタを一元的に管理しても、信頼性が低下することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例の内径測定用のハンドゲージの外観を示す図である。
【図2】実施例のハンドゲージの操作・表示部を示す図である。
【図3】実施例のハンドゲージにおいて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例で使用するマスタの構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例のハンドゲージシステムの全体構成を示す図である。
【図6】第1実施例のハンドゲージの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施例のハンドゲージシステムの全体構成を示す図である。
【図8】第2実施例のマスタにおいて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。
【図9】第2実施例のマスタの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例のハンドゲージの動作を示すフローチャートである。
【図11】マスタの他の構成例を示す図である。
【図12】外径測定用の外形測定装置システムを示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 寸法測定装置(ハンドゲージ)
11 触針(コンタクト)
12 先端部
14 グリップ
15 ヘッド
16 操作・表示部
50 マスタ
55 近接センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、内径、外径または深さのような寸法を測定する寸法測定装置と、寸法測定装置を校正するのに使用されるマスタ、及びそれらで構成される寸法測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置や処理装置では、内径、外径または深さのような各部の寸法を測定する寸法測定装置が広く使用されており、特に近年は加工の高精度化に対応して寸法測定の高精度化が求められている。
【0003】
寸法測定装置は、接触式であれば測定用の触針(コンタクト)などを被測定物の測定部分に接触させ、非接触式であれば測定端子などを被測定物の測定部分付近に配置する。寸法測定装置は、正確な測定を行うには、あらかじめ寸法値の判明している部分を有するマスタを測定して、測定値がマスタの寸法値になるように調整する校正処理を行う必要がある。
【0004】
校正処理は、ゼロ基準値がずれるオフセットを調整するゼロ校正と、ゲインを調整するキャリブレーション校正とで構成される。ゼロ校正は、ゼロ基準値に対応する寸法値の部分を有するゼロマスタを使用し、寸法測定装置でゼロマスタの寸法値部分を測定する状態にして、寸法測定装置に設けられたゼロスイッチを操作する。これに応じて、寸法測定装置は、その測定値がゼロマスタの寸法値に等しくなるように寸法測定装置の信号回路のオフセットを調整する。キャリブレーション校正は、キャリブレーション校正値に対応する寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを使用し、寸法測定装置でキャリブレーションマスタの寸法値部分を測定する状態にして、寸法測定装置に設けられたキャリブレーションスイッチを操作する。これに応じて、寸法測定装置は、その測定値がキャリブレーションマスタの寸法値に等しくなるように寸法測定装置の信号回路のゲインを調整する。
【0005】
なお、校正処理には各種の変形例がある。特に、近年は補正テーブルを記憶してデジタル処理により測定値を補正することが行われており、複雑な補正が容易に行える。例えば、測定範囲の中心にゼロ基準値がある場合には、ゼロマスタと正負のキャリブレーションマスタを使用して、正の測定値範囲と負の測定値範囲でそれぞれゲインを調整したり、測定範囲内の多数の寸法値を有する複数のマスタを使用し、測定範囲で詳細な補正を行う場合がある。本発明は、校正処理の種類に限定されず、どのような校正処理も対象とする。
【0006】
校正処理は上記のように行われるが、オペレータがゼロマスタとキャリブレーションマスタを誤って使用したり、ゼロスイッチとキャリブレーションスイッチを誤って操作したりする場合がある。そのような場合には、不適切な調整が行われるので、測定値は大きな誤差を含むことになる。このような問題を生じないように、寸法測定装置に前に行った校正処理時の測定値を記憶するメモリを設け、前の校正処理時の測定値から大幅な変化が生じた時には不正な校正処理と判定するマスタ隣接機能や、マスタの測定値があらかじめ設定された限界値を超えた時には不正な校正処理と判定するマスタ限界機能などが設けられている。
【0007】
【特許文献1】特開平4−64011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、オペレータが誤ってマスタ以外のもの、例えば測定対象のワークをマスタと間違えて測定し、ワークの寸法値がマスタの寸法値に近似している場合には、たとえマスタ隣接機能やマスタ限界機能などが設けられていても、誤った校正処理が行われることになる。
【0009】
また、各種の寸法測定範囲を有する複数種類の寸法測定装置が並行して使用される場合がある。この場合、寸法測定装置の種類に応じてゼロマスタとキャリブレーションマスタの複数組が用意され、近似した寸法値を有するマスタが存在することがある。複数組のゼロマスタとキャリブレーションマスタが校正作業用テーブルにまとめて配置された場合、たとえ各マスタには識別のための表示がされていても、オペレータが誤って対応しないマスタを測定して誤った校正処理が行われる場合があり得る。
【0010】
誤った校正処理が行われた場合、それ以後の測定値は誤差が大きく、正しい測定が行えなくなる。さらに、オペレータはこのような誤った校正処理を行ったことを自覚できないため、いつからの測定データが不正であるかを判別することもできないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するもので、マスタを間違えて誤った校正処理を行うのを防止できる寸法測定システムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するため、本発明の寸法測定システムは、寸法測定装置がマスタを測定する状態になったことを検出する検出手段と無線通信手段をマスタに設け、寸法測定装置がマスタを測定する測定状態になったことを送信する。寸法測定装置にも無線通信手段を設け、マスタから測定状態であることを受信している時に校正処理を行う。
【0013】
すなわち、本発明の寸法測定システムは、寸法測定装置と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタとを備え、前記寸法測定装置で前記所定の寸法値の部分を測定して前記寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、各マスタは、前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、前記寸法測定装置は、前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信している時に校正処理を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の寸法測定システムによれば、マスタ以外を測定して校正処理を行うことはないので、測定対象であるワークを測定することによる校正処理を防止できる。
【0015】
また、各マスタの無線通信手段は、寸法測定装置が測定状態にあることを検出した時に、マスタの識別コードを送信し、寸法測定装置の無線通信手段は、マスタの識別コードを受信した時に、測定状態にあることを判定するようにしてもよい。
【0016】
寸法測定装置は、その寸法測定装置に対応するマスタの識別コードと、このマスタの識別コードに対応したマスタの所定の寸法値とをメモリに記憶することが望ましい。もし無線通信手段が受信したマスタの識別コードがメモリに存在しない時には、その寸法測定装置に対応しないマスタを測定する状態であるので、警告手段によりオペレータに警告を発生する。
【0017】
校正処理は、寸法測定装置がマスタを正しく測定できる状態で行う必要があるので、寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備え、操作スイッチが指示された時の測定値に基づいて校正処理を行う。前述のように、操作スイッチは、ゼロスイッチ及びキャリブレーションスイッチなどで校正されるのが一般的であるが、より多くの操作スイッチを有する場合もある。操作スイッチの種類とマスタが対応するかを判定することにより、誤った校正処理を更に防止できる。
【0018】
更に、寸法測定装置の無線通信手段が、操作スイッチが操作された時に、操作スイッチによりその寸法測定装置で行う校正処理で使用するマスタの識別コードを示すデータを送信し、複数のマスタの無線通信手段は、寸法測定装置が送信したマスタの識別コードを示すデータを受信し、各マスタは、受信したマスタの識別コードがそのマスタに対応する時に、オペレータに対応するマスタであることを示すインジケータを備えるようにしてもよい。
【0019】
複数種類の寸法測定装置が使用され、それに対応した多数のマスタが保管されている時、校正処理を行う寸法測定装置に対応するマスタを探すのが煩雑であるが、これにより、寸法測定装置の操作スイッチが操作されると、使用するマスタのインジケータが対応するマスタであることを示すので、容易にマスタを識別できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マスタであること、更に行おうとする校正処理に対応するマスタであることが自動的に判別できるので、対応するマスタを間違えて誤った校正処理を行うのを防止できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、シリンダなどの内径を測定するハンドゲージを例として、本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施例のハンドゲージの外観図である。ハンドゲージ10は、内径測定用で、直径方向に設けられた2個の触針11(一方のみを図示)の変位を差動トランスで検出することにより内径を測定するもので、バッテリィで駆動される。図示のように、ハンドゲージ10は、触針(コンタクト)11が設けられ、被測定部分である穴に挿入される先端部12と、穴の測定部分の深さを規定するために穴の上面に接触する中間部13と、ハンドゲージ10を保持するためのグリップ14と、操作・表示部16が設けられたヘッド15とを有する。
【0023】
図2は、操作・表示部16の詳細な構成を示す図である。図示のように、操作・表示部16は、表示を行うLCD表示器17と、操作のためのシートキー22〜24と、表示用LEDを有するシートキー25とを有する。LCD表示器17は、測定値を表示するバーグラフ、公差の下限値19及び上限値20、測定値をデジタル表示するデジタル表示21などを表示する。シートキー24は動作モードの選択するスイッチである。シートキー22は、選択された動作モードに応じて、ゼロマスタ処理の指示又は設定値の減少指示を行うためのスイッチである。シートキー23は、選択された動作モードに応じて、キャリブレーションマスタ処理の指示又は設定値の増加指示を行うためのスイッチである。シートキー25は、LEDにより電源状態や判定結果を示すと共に、測定値の記憶指示などを行うスイッチである。
【0024】
ハンドゲージ10における動作モードの選択、寸法測定値の測定レンジ及び公差の入力などは、LCD表示器17を見ながらシートキー22〜24を操作することにより行う。このように、ハンドゲージ10は、表示手段及び操作のためのキーを有しているので独立で使用可能である。
【0025】
図3は、ハンドゲージ16において、表示処理を含めて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。図示のように、バス34を介して、マイクロプロセッサ(MPU)31、ROM32、RAM33、入出力(I/O)ポート35などが接続されている。I/Oポート35には、コンタクト11の変位を検出する差動トランスで構成される測定部からの信号をデジタル信号に変換するA/D変換器36、LCD表示器17のドライバ38、シートキー25のLEDのドライバ39、無線回路37、及びシートキー22〜24などが接続される。このようなコンピュータシステムについては広く知られているので、詳しい説明は省略する。無線回路37は、後述するように、マスタの無線回路と通信を行う。
【0026】
なお、ここでは、バッテリィを有し、独立して使用可能なハンドゲージを例として説明するが、例えば、操作・表示部を有するコラム又は管理用コンピュータにケーブルで接続されたハンドゲージや、コラム又は管理用コンピュータとの間を無線通信で接続し、データを送信できるようにしたハンドゲージなども同様に使用できる。コラム又は管理用コンピュータとの無線通信回路を有する場合には、それを利用してマスタの無線回路と通信を行うようにしてもよい。
【0027】
図4は、本実施例のマスタ50を示す図である。上記の実施例のハンドゲージ10は、図4に示すようなマスタ50を使用して校正処理を行う。
【0028】
図4の(A)は、マスタ50の外観図である。図示のように、マスタ50は、所定の直径の穴52が設けられた本体部51と、台54で構成される。
【0029】
図4の(B)は、校正処理を行うために、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50の穴52に挿入した状態を示す。図示のように、ハンドゲージ10の中間部13がマスタ50の上面53に接触するまで、先端部12をマスタ50の穴52に挿入する。この時、コンタクト11は穴52の内壁に接触して変位し、穴52の内径を測定する状態になる。台54の穴52に面した部分には近接センサ55が設けられており、近接センサ55は先端部12の面が所定距離内に近づくと、近接信号を電気回路56に出力する。言い換えれば、校正処理を行うために、ハンドゲージ10でマスタ50の穴の内径を測定する状態にすると近接信号が出力されるので、近接信号は測定状態であることを示す信号である。
【0030】
電気回路56は、近接センサ55から近接信号を受けると、無線通信回路から、測定状態にあることを示す信号を出力する。ここでは、測定状態にあることを示す信号として、マスタの識別コードを出力する。図3のハンドゲージ10の無線回路37は、この信号を受信する。
【0031】
図5は、本発明の第1実施例のハンドゲージシステムの構成を示す図である。参照番号10は、これまで説明したハンドゲージである。マスタは、ゼロ基準値の内径の穴を有するゼロマスタ50Aと、ゼロ基準値と異なる内径の穴を有するキャリブレーションマスタ50Bの2種類がある。ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bは、穴の内径が異なる点以外は、図4のマスタと同じ構成を有する。ハンドゲージ10のROM32には、ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの識別コードと、ゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの穴の内径が対応付けて記憶されている。
【0032】
図6は、校正処理の場合の、ハンドゲージ10における処理動作を示すフローチャートである。ゼロ基準値の校正処理は、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50Aの穴52に挿入し、中間部13がマスタ50Aの上面53に接触した状態で、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22を操作することにより行われ、キャリブレーション校正処理は、ハンドゲージ10の先端部12をマスタ50Bの穴52に挿入し、中間部13がマスタ50Bの上面53に接触した状態で、キャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23を操作することにより行われ。
【0033】
ステップ101では、シートキー22又は23のいずれかが操作されているかを判定する。シートキー22及び23のいずれも操作されていない時には、校正処理は行わないので、最初に戻る。シートキー22又は23のいずれかが操作されている時には、ステップ102に進み、マスタの識別コードを受信しているかを判定する。もしマスタの識別コードを受信していない時には、マスタ以外のもの、例えば測定対象のワークの内径を測定する状態でシートキー22又は23を操作したり、ハンドゲージ10の先端部12を十分にマスタの穴の中に入れないでシートキー22又は23を操作したことが考えられるので、ステップ103に進んでオペレータに警告を行うアラーム処理を行う。
【0034】
マスタの識別コードを受信している時には、ステップ104に進み、受信しているマスタの識別コードを認識する。ステップ105では、認識したマスタの識別コードが、ROM32に記憶されているゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの識別コードのいずれかと一致するかを判定する。もし認識したマスタの識別コードが、このハンドゲージの校正処理に使用するゼロマスタ50A又はキャリブレーションマスタ50Bの識別コードに一致しない時には、他のハンドゲージの校正処理に使用するマスタを測定している可能性があるので、ステップ106に進み、アラーム処理を行う。
【0035】
認識したマスタの識別コードが、このハンドゲージの校正処理に使用するゼロマスタ50A又はキャリブレーションマスタ50Bの識別コードに一致する時には、認識したマスタの識別コードが示すマスタの種類と操作されたシートキーの種類が一致するかを判定する。具体的には、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Aであればよく、またキャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Bであればよく、ステップ109に進む。もし、ゼロマスタ処理を指示するシートキー22が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Bであったり、またキャリブレーションマスタ処理を指示するシートキー23が操作された時に認識したマスタの識別コードがゼロマスタ50Aであった時には、オペレータがゼロマスタ処理とキャリブレーションマスタ処理を誤っているので、ステップ108に進んでアラーム処理を行う。
【0036】
ステップ109では、ゼロマスタ処理であるかキャリブレーションマスタ処理であるかを判定し、ゼロマスタ処理であれば、ステップ110に進んでゼロマスタ処理を行い、最初に戻る。キャリブレーションマスタ処理であれば、ステップ111に進んでキャリブレーションマスタ処理を行い、最初に戻る。
【0037】
以上のように、第1実施例では、ハンドゲージ10が1台、マスタはゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bの2種類のマスタがある例を説明した。次の第2実施例では、ハンドゲージが複数種類あり、それに応じてゼロマスタ50Aとキャリブレーションマスタ50Bも複数組あり、複数組のマスタが同じ場所に保管されて、そこで構成処理を行う場合を説明する。
【0038】
図7は、本発明の第2実施例のハンドゲージシステムの構成を示す図である。図示のように、複数種類のハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nがあり、各ハンドゲージに対応して、複数組のゼロマスタ50A−1、50A−2、…、50A−Nとキャリブレーションマスタ50B−1、50B−2、…、50B−Nがあり、複数組のマスタは同じ場所に保管されており、ハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nの校正処理はそこで行うとする。なお、校正処理は、1つのハンドゲージのみ行い、同時に複数のハンドゲージを校正処理することはないとする。ハンドゲージ10−1、10−2、…、10−Nは、測定レンジがそれぞれ異なることを除けば、第1実施例のハンドゲージと同じ構成を有する。ゼロマスタ50A−1、50A−2、…、50A−Nとキャリブレーションマスタ50B−1、50B−2、…、50B−Nは、穴の内径がそれぞれ異なること、及びインジケータ(LED)69が設けられていることを除けば、第1実施例のマスタと同じ構成を有する。
【0039】
図8は、第2実施例のハンドゲージシステムのマスタの電気回路の構成を示す図である。マスタの電気回路は、簡単な構成なので、マイクロコンピュータを利用しなくても実現できるが、マイクロコンピュータを利用すると回路構成が簡単になる。図8に示すように、第2実施例の電気回路は、バス64を介して、マイクロプロセッサ(MPU)61、ROM62、RAM63、入出力(I/O)ポート65などが接続されている。I/Oポート65には、無線回路66、近接センサ67、及びインジケータのLEDのドライバ68などが接続される。無線回路66は、第1実施例と同様に、ハンドゲージ10の無線回路37にマスタの識別コードを送信すると共に、ハンドゲージ10の無線回路37からの相手先マスタの識別コードを受信する。
【0040】
図9は、第2実施例におけるマスタの電気回路の動作を示すフローチャートである。ステップ201では、対応するハンドゲージ10から、このマスタの識別コードの送信があったかを判定する。対応する識別コードを受信した時には、ステップ202に進み、インジケータ69のLEDを点滅させる処理を所定時間行う。この処理は、タイマーを利用して行い、直ちにメインルーチンに復帰する。次に、ステップ203で、近接センサがオン、すなわちハンドゲージがマスタに対して測定状態にあるかを判定し、測定状態にあればステップ204に進み、マスタの識別コードを送信する処理を行い、最初に戻る。測定状態でなければ、何もしないで最初に戻る。
【0041】
以上の処理により、マスタは、ハンドゲージからそのマスタを指示する識別コードを受信すると、インジケータのLEDを所定時間点滅し、ハンドゲージがマスタに対して測定状態にあることを検出すると、マスタの識別コードを送信する。
【0042】
第2実施例における各ハンドゲージは、図6のフローチャートに類似した処理を行うが、最初の部分の処理のみが異なる。
【0043】
図10は、第2実施例におけるハンドゲージにおける処理動作を示すフローチャートである。第1実施例と同様に、ステップ101では、シートキー22又は23のいずれかが操作されているかを判定する。シートキー22及び23のいずれも操作されていない時には、校正処理は行わないので、最初に戻る。シートキー22又は23のいずれかが操作されている時には、ステップ301に進み、そのハンドゲージの操作スイッチで行う校正処理で使用するマスタの識別コードを送信する。上記のように、この識別コードの送信に対応して、対応するマスタのインジケータ69のLEDが点滅する。これにより、使用するマスタを確実に識別することができる。
【0044】
ステップ301で、マスタの識別コードを受信しているかを判定する。もしマスタの識別コードを受信していない時には、前述のように、マスタ以外のものを測定する状態やハンドゲージを十分にマスタの穴に入れない状態でシートキー22又は23を操作したと考えられると共に、対応するマスタを探すためにシートキー22又は23を操作したと考えられるので、ステップ303に進んでオペレータに、非測定状態にあることを報知して最初に戻る。
【0045】
マスタの識別コードを受信している時には、ハンドゲージがマスタを測定する状態で、シートキー22又は23を操作したので、図6のステップ104に進み、以下第1実施例と同様の処理を行う。
【0046】
以上、本発明の実施例を説明したが、各種の変形例が可能である。
【0047】
例えば、第1実施例では、ハンドゲージがマスタを測定する状態であるかを検出するために近接センサを使用したが、図11に示すように、マスタ50の穴52の内壁に面して透過型光センサ57を設けて、ハンドゲージの先端部12がマスタ50の穴52内に挿入されたことを検出して、測定状態であることを検出するようにしてもよい。なお、この場合、ハンドゲージの中間部13がマスタ50の上面53に接触して正規の測定状態になった時に、透過型光センサ57が検出信号を出力するように、正規の測定状態の時のハンドゲージの先端部12の端面の位置に合わせて、透過型光センサ57を配置することが望ましい。
【0048】
また、図11の(B)に示すように、マスタ50の上面53に複数のマイクロスイッチ58A、58Bを設け、複数のマイクロスイッチがすべてオン状態になった時に、測定状態であることを示す信号を送信するようにしてもよい。マイクロスイッチの個数は、例えば3個以上が望ましい。これにより、ハンドゲージがマスタ50の穴52に斜めに挿入されている時には、一部のマイクロスイッチがオン状態にならないので、正規の測定状態の時のみ検出信号が出力される。
【0049】
前述のように、本発明は、マスタを使用して校正処理を行う寸法測定装置であれば、どのような装置にも適用可能であり、実施例で説明した内径を測定するハンドゲージに限定されない。円筒物の外径を測定する場合の構成例を図12に示す。
【0050】
図12に示すように、この外径測定装置70は、V字ブロックの面72を円筒物81に接触させた状態で、コンタクト71の変位を検出することにより円筒物81の直径を測定する。参照番号73は測定部分のガードであり、74は測定部の支持部材であり、75はグリップであり、76はヘッドであり、ヘッド76に操作・表示部が設けられる。
【0051】
この場合のマスタ80は、台83に設けられた支持部材82A及び82Bに、所定の直径を有する円筒物81が取り付けられており、支持部材82A及び82Bに透過型光センサ84A及び84Bが設けられている。透過型光センサ84A及び84Bにより、外径測定装置70がマスタ80を測定する状態であることを検出する。それ以外は、前述の実施例と同じである。
【0052】
以上、本発明の実施例及び変形例を説明したが、記載した変形例以外にも各種の変形例があり得ることは、当業者には明らかである。例えば、本発明は、記載した内径測定装置や外形測定装置に限らず、非接触型の寸法測定装置や内径測定装置及び外形測定装置以外の測定装置にも適用可能である。更に、寸法測定装置がマスタを測定する状態にあることを検出する方法や、マスタから寸法測定装置にマスタの識別コードを無線送信するのに光を利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は、誤ったマスタで校正処理することがなくなるので、測定動作の信頼性が向上し、加工ラインに付随した検査の信頼性を向上することができる。更に、複数種類の寸法測定装置で使用するマスタを一元的に管理しても、信頼性が低下することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例の内径測定用のハンドゲージの外観を示す図である。
【図2】実施例のハンドゲージの操作・表示部を示す図である。
【図3】実施例のハンドゲージにおいて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例で使用するマスタの構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例のハンドゲージシステムの全体構成を示す図である。
【図6】第1実施例のハンドゲージの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施例のハンドゲージシステムの全体構成を示す図である。
【図8】第2実施例のマスタにおいて各種の処理を行うコンピュータシステムの構成を示す図である。
【図9】第2実施例のマスタの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例のハンドゲージの動作を示すフローチャートである。
【図11】マスタの他の構成例を示す図である。
【図12】外径測定用の外形測定装置システムを示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 寸法測定装置(ハンドゲージ)
11 触針(コンタクト)
12 先端部
14 グリップ
15 ヘッド
16 操作・表示部
50 マスタ
55 近接センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法測定装置と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタとを備え、前記寸法測定装置で前記所定の寸法値の部分を測定して前記寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、
各マスタは、前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、
前記寸法測定装置は、前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信している時に校正処理を行うことを特徴とする寸法測定システム。
【請求項2】
各マスタの無線通信手段は、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出した時に、当該マスタの識別コードを送信し、
前記寸法測定装置の無線通信手段は、前記マスタの識別コードを受信する請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項3】
前記寸法測定装置は、当該寸法測定装置に対応するマスタの識別コードと、該マスタの識別コードに対応した前記マスタの前記所定の寸法値とを記憶したメモリを備える請求項2に記載の寸法測定システム。
【請求項4】
前記寸法測定装置は、前記無線通信手段が受信した前記マスタの識別コードが、前記メモリに存在しない時には、警告を発生する警告手段を備える請求項3に記載の寸法測定システム。
【請求項5】
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備える請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項6】
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備える請求項3又は4に記載の寸法測定システム。
【請求項7】
前記寸法測定装置は、前記操作スイッチが操作され、且つ前記無線通信手段が前記メモリに記憶された前記マスタの識別コードを受信している時に、校正処理を行う請求項6に記載の寸法測定システム。
【請求項8】
前記複数のマスタは、ゼロ基準寸法値の部分を有するゼロマスタと、前記ゼロ基準寸法値と異なるキャリブレーション寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを有する請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項9】
前記複数のマスタは、ゼロ基準寸法値の部分を有するゼロマスタと、前記ゼロ基準寸法値と異なるキャリブレーション寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを有し、
前記操作スイッチは、前記ゼロマスタによる校正を指示するゼロ校正スイッチと、前記キャリブレーションマスタによる校正を指示するキャリブレーション校正スイッチとを有し、
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチと、前記無線通信手段が前記メモリに記憶された前記マスタの識別コードが対応する時に校正処理を行う請求項6に記載の寸法測定システム。
【請求項10】
前記寸法測定装置の無線通信手段は、前記操作スイッチが操作された時に、前記操作スイッチにより当該寸法測定装置で行う校正処理で使用するマスタの識別コードを示すデータを送信し、
前記複数のマスタの無線通信手段は、前記寸法測定装置が送信した前記マスタの識別コードを示すデータを受信し、
各マスタは、受信した前記マスタの識別コードが当該マスタに対応する時に、オペレータに対応するマスタであることを示すインジケータを備える請求項9に記載の寸法測定システム。
【請求項11】
請求項1に記載の寸法測定システムで校正される寸法測定装置であって、
前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信した時に校正処理を行うことを特徴とする寸法測定装置。
【請求項12】
請求項1に記載の寸法測定システムで寸法測定装置を校正するのに使用されるマスタであって、
前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出した時に測定状態信号を送信する無線通信手段とを備えることを特徴とするマスタ。
【請求項1】
寸法測定装置と、所定の寸法値の部分を有する複数のマスタとを備え、前記寸法測定装置で前記所定の寸法値の部分を測定して前記寸法測定装置を校正する寸法測定システムであって、
各マスタは、前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出したことを示す測定状態信号を送信する無線通信手段とを備え、
前記寸法測定装置は、前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信している時に校正処理を行うことを特徴とする寸法測定システム。
【請求項2】
各マスタの無線通信手段は、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出した時に、当該マスタの識別コードを送信し、
前記寸法測定装置の無線通信手段は、前記マスタの識別コードを受信する請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項3】
前記寸法測定装置は、当該寸法測定装置に対応するマスタの識別コードと、該マスタの識別コードに対応した前記マスタの前記所定の寸法値とを記憶したメモリを備える請求項2に記載の寸法測定システム。
【請求項4】
前記寸法測定装置は、前記無線通信手段が受信した前記マスタの識別コードが、前記メモリに存在しない時には、警告を発生する警告手段を備える請求項3に記載の寸法測定システム。
【請求項5】
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備える請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項6】
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチを備える請求項3又は4に記載の寸法測定システム。
【請求項7】
前記寸法測定装置は、前記操作スイッチが操作され、且つ前記無線通信手段が前記メモリに記憶された前記マスタの識別コードを受信している時に、校正処理を行う請求項6に記載の寸法測定システム。
【請求項8】
前記複数のマスタは、ゼロ基準寸法値の部分を有するゼロマスタと、前記ゼロ基準寸法値と異なるキャリブレーション寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを有する請求項1に記載の寸法測定システム。
【請求項9】
前記複数のマスタは、ゼロ基準寸法値の部分を有するゼロマスタと、前記ゼロ基準寸法値と異なるキャリブレーション寸法値の部分を有するキャリブレーションマスタを有し、
前記操作スイッチは、前記ゼロマスタによる校正を指示するゼロ校正スイッチと、前記キャリブレーションマスタによる校正を指示するキャリブレーション校正スイッチとを有し、
前記寸法測定装置は、オペレータが校正を指示する操作スイッチと、前記無線通信手段が前記メモリに記憶された前記マスタの識別コードが対応する時に校正処理を行う請求項6に記載の寸法測定システム。
【請求項10】
前記寸法測定装置の無線通信手段は、前記操作スイッチが操作された時に、前記操作スイッチにより当該寸法測定装置で行う校正処理で使用するマスタの識別コードを示すデータを送信し、
前記複数のマスタの無線通信手段は、前記寸法測定装置が送信した前記マスタの識別コードを示すデータを受信し、
各マスタは、受信した前記マスタの識別コードが当該マスタに対応する時に、オペレータに対応するマスタであることを示すインジケータを備える請求項9に記載の寸法測定システム。
【請求項11】
請求項1に記載の寸法測定システムで校正される寸法測定装置であって、
前記測定状態信号を受信する無線通信手段を備え、前記無線通信手段が前記測定状態信号を受信した時に校正処理を行うことを特徴とする寸法測定装置。
【請求項12】
請求項1に記載の寸法測定システムで寸法測定装置を校正するのに使用されるマスタであって、
前記寸法測定装置が当該マスタの前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出する測定状態検出手段と、前記寸法測定装置が前記所定の寸法値の部分を測定する状態にあることを検出した時に測定状態信号を送信する無線通信手段とを備えることを特徴とするマスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−284222(P2006−284222A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101415(P2005−101415)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【出願人】(598060350)株式会社東精エンジニアリング (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【出願人】(598060350)株式会社東精エンジニアリング (33)
【Fターム(参考)】
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