説明

層状成形品における又はそれに関係する改良

【課題】基体に接着した発泡可能材料が未発泡状態の層状成形品を得る。
【解決手段】成形された基体に接着した発泡可能材料からなる層状成形品が、発泡可能材料の片を金型内に置き、そして基体が発泡可能材料に接着するが発泡可能材料に発泡を起こさせることがないように発泡可能材料の通常の発泡温度より上の温度で金型内において基体を成形することによって製造され、成形プロセスは射出成形またはブロー成形であることができ、そして成形品は自動車用の音響バッフルまたは構造強化材として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品におけるまたは成形品に関係する改良に関し、そして特に基体に一体的に成形される発泡可能な材料の部分からなる成形品であって、発泡可能材料が基体の軟化点より低い温度でその後発泡することになる成形品に関する。本発明は当該成形品を製造するための成形方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
基体、たとえば発泡可能でない材料の層、に付着した、1層の発泡可能材料からなる成形品であって、発泡可能材料が基体の軟化点より下の温度でその後発泡することになる成形品は知られており、そして多くの用途が見出されている。当該材料の一例は音響バッフル、たとえば乗り物の空洞内の空気流による騒音を減少するために使用される音響バッフルの製造に使用される材料からなる。これらの材料は、基体、典型的には発泡可能でなくそして発泡していない担体層である基体に付着した、高度に膨張した可撓性の発泡体を製造するために、後続の加工段階、たとえば電着塗装防食処理後の焼付けの際に発泡することができる発泡可能層から典型的にはなる。これらのバッフルは2段射出成形によって典型的には製造され、2段射出成形では基体が第1射出成形工程によって形成され、そして次に第2射出成形機に移され、その中で発泡可能材料が既に形成された基体の周りに射出される。この例では、該二つの材料が、基体が発泡可能材料の成形に用いられる条件によって有害な影響を受けないように選ばれるべきであることが重要である。しかし、発泡可能材料が射出される場合には、発泡可能材料はそれが基体に付着し、一体化したものとなり、それでいて成形工程の間まだ発泡しないように成形されることができるようなものでなければならない。基体もまた後続の加工段階で発泡することになるのであれば、その場合には基体が成形工程の間発泡しないことを確保するようにさらに注意が要求される。
【0003】
同様な要件が当てはまるそのような成形品の他の例は、発泡可能でも発泡可能でなくてもよい基体に支持された発泡可能材料からなる自動車の構造強化に使用される材料の製造に見られる。この例では、発泡可能材料は、一般に剛直な強化用発泡体、たとえばエポキシ発泡体を製造することになるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すべてのこれらの方法は、2の別個の成形段階が必要とされ、そして注意を要する成形条件が、特に第2の成形段階で、発泡可能材料の何らかの望ましくない発泡を起こすことなく発泡可能材料と基体間の接着を確保するように採用されなければならないという不利な点を持つ。基体は、典型的には発泡可能材料が発泡することになる温度よりも上の温度で軟化する材料からなる。したがって、発泡可能材料は成形中に発泡してはならないので、それは基体の材料の軟化点よりもかなり下の温度で成形され、そしてこれは発泡可能材料と基体間に望ましくないほど弱い結合が形成される結果となることがある。このことはすると、十分な結合を達成するためには発泡可能材料と基体間のより広い接触面積が必要となり、余分な量の高価な発泡可能材料の使用が要求されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ここにこれらの問題を克服する方法を開発した。
【0006】
すなわち本発明は、基体に付着した1層の発泡可能材料を含む層状成形品の製造方法において、該発泡可能材料の片が、発泡可能材料の一部が金型キャビティ中に突き出るように金型の壁内に保持され、そして基体が金型内において該発泡可能材料が通常発泡する温度で成形され、それによって該発泡可能材料が成形工程の間に基体に接着しかつ未発泡のままでいる、上記方法を提供する。
【0007】
本発明者らはたとえば、金型が溝を設けられることができ、その中に発泡可能材料が保持されることができ、発泡可能材料の一部が溝から金型キャビティ中に突き出ていることを見出した。基体材料が次に、金型内に突き出ている発泡可能材料の該一部の周りに、発泡可能材料に望ましくない程度まで発泡を起こさせることなく、金型内に射出されることができる。本発明者らは、これが基体と発泡可能材料間に強い結合を生み出すことが可能であることも見出した。多くの慣用的な成形プロセスと異なって、金型が発泡可能材料の周りに閉じるときに、基体材料の成形の間に適所に固定しておくために僅かな正圧をかけることが必要であるかもしれない。金型に設けられる溝は、適当な物品を製造するために任意の特定の方法で形づくられることができ、そしてそれが発泡可能材料を金型内に軽く保持するような形にすることができる。さらに、金型は、発泡可能材料が所望に従って基体を横切りおよび/または貫通して膨張することができるような基体の構造とするために設計されたエリアを設けられることができる。
【発明の効果】
【0008】
驚くべきことに本発明者らは、閉じる金型にかける任意的な正圧を除いて、標準的な成形サイクルおよび温度が、発泡可能材料に発泡を起こさせることなく本発明の方法を実施するために使用されることができることを見出した。たとえば、金型温度は、基体材料の成形に普通に採用される温度に調節されることができ、そして基体材料は、典型的な成形サイクルを使用してその通常成形温度で成形されることができる。本発明者らは、15秒までのもっと普通には10秒までの成形サイクルを好む。本発明者らは、これらの条件下に発泡可能材料と基体間の強い結合を持つ層状成形品が、発泡可能材料が実質的に発泡することなく得られることができることを見出した。いくらかの発泡が、発泡可能材料の表面で生じてもよく、そしてこれは有益であり得て発泡可能材料と基体間の結合をさらに改良することができると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
例示として、本発明者らは、130〜230℃の範囲の温度で通常発泡するであろう発泡可能材料が、本発明の方法によって基体に、たとえば200〜220℃の温度で射出成形されるガラス充填ポリアミドに、結合されることができることを見出した。本発明者らはこの方法が、発泡可能材料の実質的な発泡が起きることなく実施されることができることを見出した。強い結合が発泡可能材料と基体間で形成される。何故ならば、発泡可能材料と基体の双方ともに軟化する基体の成形温度で、両者が接触するからである。
【0010】
発泡可能材料の輪が担体の周囲に付着しているある種の成形品、たとえば一部の自動車音響バッフルでは、本発明者らは、担体の外側の層が本発明の技術に従い基体として備えられている外周のサンドイッチ構造の中に輪が付着されていることができることを見出した。本発明者らは、当該サンドイッチ構造内の比較的小さい接触面積が該2の材料間の十分な結合を達成するために必要であることも見出した。これは、より少ない発泡可能材料が必要とされることにつながり、コストのかかる発泡可能材料の節約につながる。
【0011】
本発明は多くの異なった材料および成形方法に適用できるけれども、基体が熱可塑性材料であるときに、それは特に適用可能である。基体は発泡可能でも発泡可能でなくてもよく、そして好まれる成形方法は射出成形またはブロー成形のどちらであってもよい。本発明者らは、本発明の技術を使用するときに層状成形品が、一般的には発泡可能材料に発泡を起こさせることになる、基体を成形するための温度を用いて製造されることができることを見出した。従って、材料が適切に選ばれるならば、本発明者らは、発泡可能材料を発泡させることなく該2の材料間に確実な結合を作り出す態様で基体が発泡可能材料に接触しかつそのまわりに成形されることができる、温度および時間についての成形サイクルが開発されることができることを見出した。
【0012】
金型内に置かれる発泡可能な片は、任意の適当な方法によって製造されることができる。押出、カレンダリングおよびカッティングまたはダイスタンピングは、使用されることができる製造技術の例である。好まれる技術は、要求される発泡可能材料の片の形および大きさに依存するであろう。発泡可能材料が、基体の外周に付着されることになる場合、たとえば自動車音響バッフルの製造において必要とされるような場合、および自動車の構造強化材に必要とされることができる場合には、ダイカッティングが特に有用な技術である。
【0013】
自動車用の音響バッフルおよび自動車用の構造強化材の製造においては、層状成形品は、(時には)「ボディー・イン・ホワイト」(未塗装ボディー)として知られている自動車のボディーシェルにしばしば取り付けられる。ボディーシェルは、次に腐食浸漬浴に通され、そこで防食材料が金属上に堆積され、典型的には堆積は電解法であり、そして本コーティング方法は、多くの場合電着塗装法として知られている。浸漬浴を通された後、防食コーティングは乾燥されそして炉内で焼付けられる。この場合に、追加の発泡段階が必要とならないように、発泡可能材料は、炉内で用いられる温度で発泡が起きるであろうように処方される。したがって、本部品は、部品の先端と金属間に間隔を空けて防食材料の流れおよび堆積が可能となるようにボディー・イン・ホワイトに取り付けられる。この間隔によって形成されたすき間は、次に炉内で発泡可能材料の発泡によって満たされる。いったん発泡したら、発泡可能材料は、担体材料(基体)に確実に結合し、そしてボディーシェルの金属にも結合することが重要である。これが生じることを確保するために、間隔は、伝統的に3ミリメートル台であった。しかし、本発明者らは、本発明の方法によって達成される発泡可能材料と基体間の改良された結合が、より少ない発泡可能材料を使用してそして5ミリメートルの間隔を用いて、同等の性能が得られることを可能にすることを見出した。間隔が大きければ大きいほど、防食流体がより容易に流れ、したがって金属がよりよく被覆され、そしてより少ない腐食が可能となる。
【0014】
本発明の技術が該自動車部品の製造に使用される場合には、部品を車体に取り付ける手段は、成形工程の一体化された一部として形成されることができる。たとえば、自動車の金属フレーム内の受け部分に適合されたクリップが、基体と一体的に形成されることができる。
【0015】
本発明の技術は、射出成形またはブロー成形によって基体が生産される層状成形品の製造に適用でき、好ましい技術は製造される物品に依存する。
【0016】
さらなる実施態様では、本発明は、発泡可能材料に結合された基体を含む成形品の製造方法において、
i) 発泡可能材料の片が金型内に置かれ、それによってそれが金型の壁内に部分的に保持されかつ金型のキャビティ中に部分的に突き出ている、
ii) 金型が閉じられ、そして該発泡可能材料の一部を金型の壁内に保持するために正圧が金型にかけられ、
iii) 該発泡可能材料の軟化および発泡温度より上の温度で、金型のキャビティ中に突き出ている発泡可能材料の該一部の少なくとも一部を基体材料が取り囲みそしてそれに結合する態様で、基体材料が金型内に導入され、そして、
iv) 成形サイクルが完了され、そして2成分成形品が取り出される、
上記方法を提供する。
【0017】
好ましい実施態様では、基体が、ある場所でそして好ましくは全ての場所で金型のキャビティ中に突き出ている発泡可能材料の該一部の実質的に全てを取り囲む。
【0018】
10ミリメートル以下、好ましくは2〜10ミリメートル、より好ましくは5ミリメートル以下の発泡可能材料が、金型キャビティ中に突き出ることが好まれる。というのは、これより長い突き出しは、成形サイクルの間に基体材料が発泡可能材料の十分な表面積と接触することまたは発泡可能材料を取り囲むことを妨げることがあるからである。金型の壁内に保持される発泡可能材料の該部分は、長さ10ミリメートル以下、そして好ましくは2〜10ミリメートル、より好ましくは2〜5ミリメートルであり、成形後に一層のその長さの露出した発泡可能材料が得られることも好ましい。基体材料が金型内に導入される温度は、基体の性質に依存するが、ガラス強化ポリアミドまたはポリプロピレンについては180℃〜235℃の範囲の温度が好まれる。発泡可能材料は好ましくは135〜180℃の範囲の温度で発泡する。成形サイクルは好ましくは、15秒より短い時間で、より好ましくは10秒より短い時間で完了されるべきである。
【0019】
本発明の技術は広い範囲の用途を持つ。1の好まれる用途は、自動車用音響バッフルの製造における用途であり、その場合には発泡可能材料は、典型的には重合体たとえばエチレン不飽和エステル共重合体、典型的にはエチレン酢酸ビニル共重合体および/またはエチレンアクリル酸エステル共重合体から高度に膨張した柔らかい発泡体を製造するような材料である。特に好まれる材料はオレフィン性重合体に基づいた音響発泡体、そしてより特にはエチレンに基づいた重合体である。たとえば、制限するものでなく、1の実施態様では、発泡可能材料は、C〜Cアルファーオレフィン共単量体を含有することができるエチレン共重合体または三元重合体に基づく。特に好まれる重合体の例は、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、EPDMまたはこれらの混合体を含む。商業的に入手できる好まれる発泡体配合物の他の例は、ミシガン州、RomeoのL&L Products社からL−2105、L−2100、L−7005またはL−2018などの呼称名で商業的に入手できる重合体に基づいた材料を含む。
【0020】
多数の他の適当な材料が従来技術において知られており、そして騒音減衰のためにも使用されることができる。1のそのような発泡体は、連続気泡の重合体ベースの材料、たとえば適当な成分(典型的には発泡剤および硬化剤)とコンパウンドされたときに、熱を加えられるとまたは特定の環境条件が生じると、確実なそして予測できる態様で膨張しそして硬化するエチレンに基づいた重合体である。熱的に活性化される材料についての化学的な観点からは、音響発泡体は、硬化する前に流動可能な熱可塑性材料として通常最初に加工される。それは硬化すると好ましくは架橋するであろう。そしてこのことは材料をそれ以上の流動または最終形状の変化に対して抵抗させる。
【0021】
吸音材料を製作するための好ましい材料は従来開示されているけれども、該材料は他の材料(たとえば、従来技術において構造発泡体とみなされている発泡体)から形成されることができ、但し選ばれた材料が熱で活性化されるか、さもなければ環境条件(たとえば、水分、圧力、時間その他)によって活性化され、そして予測できて確実な態様で、選択された用途に対して適当な条件下に硬化しなければならない。
【0022】
いくつかの他の可能な材料は、ポリオレフィン材料、共重合体および三元重合体、フェノール/ホルムアルデヒド材料、フェノキシ材料およびポリウレタンを含むが、それらに限定されない。米国特許第5,266,133号、第5,766,719号、第5,755,486号、第5,575,526号、第5,932,680号および国際特許出願公開第00/27920号は適当な材料を記載している。一般に、得られる発泡体の所望の特性は、比較的低いガラス転移点および良好な腐食耐性を含む。このようであれば、材料は一般に、自動車製造業者によって採用される材料系の邪魔にはならない。その上、それは、自動車の製造において典型的に現れる処理条件、たとえば電着プライマー塗装、洗浄および脱脂並びに他のコーティング処理に耐えるであろう。
【0023】
熱で活性化され、熱で膨張する材料が吸音材料として用いられる用途では、材料の選択および配合に関係した考慮事項は、材料の反応または膨張およびたぶん硬化が起きるであろう温度である。たとえば、ほとんどの用途では、材料が室温で、さもなければ製造ライン環境中の周囲温度で反応性であることは望ましくない。もっと典型的には、材料は、もっと高い処理温度で、たとえば自動車組立工場で材料が自動車部品とともに高められた温度でまたはより高い印加エネルギーレベルで、たとえば電着塗装調製段階の間に処理されるときに出会うような温度で反応性になる。自動車の電着塗装操作に現れる温度は約145℃〜約210℃の範囲にある一方で、プライマー、充填材および塗料の作業場での使用は通例約93.33℃またはそれより高い。したがって、材料は、これらの操作に要求される性能に従って選択される。必要であれば、発泡剤活性化剤が、要求される温度で膨張を起こさせるために組成物に加えられることができる。
【0024】
一般に、適当な膨張可能発泡体は約100から1000パーセントを超える範囲の膨張範囲を持つ。音響用発泡体の膨張のレベルは1500パーセント以上という高さになることができる。
【0025】
他の実施態様では、吸音材料は外被に包まれまたは部分的に包まれた形態で提供され、たとえば膨張可能な発泡可能材料は接着性の殻に包まれまたは部分的に包まれる。その上、吸音材料は溶融流動可能な材料、たとえば米国特許第6,030,701号に開示されたものを含むことができる。
【0026】
音響バッフルの製造においては、基体は好ましくは、発泡可能材料を支持する発泡可能でない材料である。典型的には、基体は、より硬いより高温溶融性の熱可塑物、たとえばポリアミドであり、これは通常ガラス繊維を充填されることができ、またはポリプロピレンである。これらの材料はどちらも、音響バッフルに使用される、より低温溶融性の発泡可能材料を発泡するために必要とされる温度よりも高い温度を成形のために必要とするが、本発明の技術は、発泡可能材料の望ましくない発泡を起こすことなく、層状成形物が製造されることを可能にする。
【0027】
本発明は、自動車または他の輸送体系、たとえば鉄道および飛行機の中空部分の構造強化のための部品の製造にも使用されることができる。この場合には、外側の発泡可能層は、一般に剛直な強化用熱硬化層、たとえば発泡可能なエポキシ樹脂または発泡可能なポリウレタンであり、発泡可能なポリウレタンは反応性基が保護されたポリウレタンであることができる。発泡可能材料は、一般に剛直な強化用担体または基体に担持される。この場合に、発泡可能材料は、2の主要な機能を果たす。すなわち、これは、強化用部材と中空部の内側との間の空間を横切って膨張するであろう、そして中空部の内壁の一部または全部に結合するであろう。したがって、膨張可能接着性材料とは、該材料が膨張し(典型的には発泡し)かつ接着剤として作用するように活性化されることができることを意味する。従って、活性化は、膨張可能材料が膨張し、強化用部材とそれが強化するべく意図されている中空構造体との間のすき間を満たし、そして中空構造体の選択された内部表面に結合することを可能にする。したがって、膨張可能接着剤は、所望の温度で膨張しなければならず、そして自動車構造の内側で強化用部材を堅固に結合するのに十分に接着性でなければならない。いったん発泡したら、それは、十分に強くて、提供された全体としての強化効果にどのような弱点も与えないものでなければならない。
【0028】
活性化前に、膨張可能接着性材料は、好ましくは乾燥していてそして指触粘着性がない。というのは、そうであれば出荷および取扱いを容易にし、そして汚染を防ぐからである。好まれる発泡可能材料の例は、エポキシに基づいた発泡可能な樹脂を含み、そして当該材料の例はL5206、L5207、L5208およびL5209の製品であり、これらは米国、ミシガン州、RomeoのL & L Products社から商業的に入手でき、そして仏国、StrasbourgのCore products社から商業的に入手できるCore 5204、5206、5205および5208の製品である。製品は、必要とされる膨張速度および発泡体密度に従って選ばれなければならない。それは、電着塗装焼付け炉で体験される温度、典型的には160℃〜185℃で膨張することがさらに好まれる。
【0029】
これらの強化用部品では、担体または基体は、剛直な重合体、たとえばガラス繊維強化ポリアミドまたはポリプロピレンから通常は形成される。ガラス繊維強化ポリアミドおよびポリプロピレンはどちらも、より低温溶融性の熱硬化性エポキシまたはポリウレタン材料を発泡させるのに必要とされる温度よりも高い成形温度を必要とする。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、本発明の射出成形またはブロー成形技術が、発泡可能材料の望ましくない発泡を起こすことなく層状成形品が形成されることを可能にすることを見出した。単純な断面の強化用部材はブロー成形によって調製されることができ、一方射出成形が、より複雑な構造には要求されることがある。ブロー成形が使用されるときは、基体は金属または熱可塑物からなり、一方射出成形が使用されるときは、熱可塑物が好まれる。ポリアミド、特にガラス充填ポリアミドが、重量に対するその高い強度比故に適した材料である。成形品は、部品が取り付けられそして発泡可能材料が発泡した後で、流体の排出を可能にする手段を設けられることが好ましい。たとえば、時が経つと構造体内に凝縮するかもしれない水の排出を可能にするために、穴が、成形品に設けられることができる。
【0030】
本発明は、さまざまな種類の材料の製造に適用できるけれども、それは、自動車、飛行機、船舶、列車および他の乗り物用の強化用部品または防音部品の製造に特に適している。本発明は、建設産業に使用される材料の提供にも有用である。
【0031】
構造強化は、自動車フレームの一部のような中空構造体内に強化用部材を施与することによって提供されることができる。強化用部材は、構造的接着性発泡体を持つ芯、典型的には中空の芯を含むことができることが知られている。公知の方法では、発泡体は加熱されると膨張して、芯が中空構造体に結合されるように芯と中空構造体の間の小さいすき間を埋める。典型的には、既に記載された音響材料と同じように、構造的接着性発泡体の性質は、自動車産業で広く使用されている電着塗装防食コーティング法の間に中空構造体に塗布されるコーティングを焼き付けるために使用される温度で、それが膨張するように選ばれる。
【0032】
自動車の設計の趨勢は、燃料消費量を改良するためにより軽い自動車に向かっている。同時に、安全基準および要件は、欧州連合の要件および欧州NCAP(自動車安全性評価プログラム)の衝撃試験によって示されるようにますます厳しくなっている。自動車のサブフレームとして使用される中空断面の部材を製造するためにより軽い材料、たとえばアルミニウムを使用することは、追加の強化の必要性につながった。自動車のいろいろな場所における外板、たとえば窓およびドアの周囲部、特に窓枠およびドア枠間の空洞部における外板、並びに自動車のルーフとつながっているハッチバックドアおよびフロントガラスのピラーの強化におけるような外板の背後に強化の必要もある。本発明は、そのような強化を提供することができる部品を製造するために使用されることができる。
【0033】
自動車に構造強化が要求される4の主な種類の用途がある。すなわち、車体の変形の防止が搭乗者の保護をもたらすために重要である衝突保護。衝撃に屈した後の性能を高めるためのエネルギー吸収。特に耐久性を改良しそして応力割れを減少するための自動車構造体における繰り返し曲がりおよび車体振動の低減。および剛直性を付与することによる共振の減少を必要とする点移動度の問題。強化の必要性は、自動車構造体を製造するために使用される材料に拘わらず存在し、そしてその必要性は、提供されようとしている強化の性質に従って、材料ごとにいろいろである。強化用部品は、空洞内の空気の通路を塞ぐ結果としての消音効果を持つことによって、自動車の動きによって生じる騒音を減少することもできる。
【0034】
強化用部品は典型的には、音響バッフルに関連して説明されたのと同じようにボディー・イン・ホワイトに取り付けられる。したがって、電着塗装工程に関する同等の性能が要求される。強化用構造体は、好ましくは電着塗装前に中空部内に取り付けられる。したがって、強化用構造体は、電着塗装工程の運転および効率に最小限の影響しか与えないことが重要である。構造強化用部材は、構造強化用部材の望ましくない動きなしに、電着塗装工程の十分な性能が発揮される態様で、強化されるべき中空部内に取り付けられる必要がある。各種の取り付け手段が備えられることができ、たとえばクリップのような手段が基体に成形されることができ、それは、外板を構成する一または複数の壁以外の中空部の壁内につくられた穴の中にクリップ留めされることができる。同様に、クリップのような取り付け手段は、外板以外の中空部の壁内につくられことができ、それは強化用部材の芯の穴に嵌め込まれることができる。あるいはまたは追加して、構造強化用部材は、小さい突起を設けられることができ、これは構造強化用部材が中空構造の内壁から離れて取り付けられることを可能にする。このようにして、固定用具は必ずしも必要とされず、そして構造強化用部材と自動車フレームの内壁間の接触面積は最小化される。
【0035】
強化用部材の先端と中空部の内壁との間隔は、電着塗装浴で使用される液体が、強化用部材と自動車のその部分の内壁との間を、有効な防食コーティングが堆積されることができるのに十分な量で流れることを可能にするのに十分なほど広くなければならない。他方で、間隔はあまり広過ぎてもいけない。というのは、その場合、膨張可能接着剤が発泡し、構造強化用部材を外板以外の中空部の壁に結合させたときに、構造体の剛性が不足する結果になることがあるからである。本発明者らは、間隔は1センチメートル以下、そしてより好ましくは3〜10ミリメートルであるべきことを好む。構造体全体の周りの間隔は、より均一な発泡構造体が得られることを可能にする。音響バッフルと同様に、本発明の技術は、同じような量の発泡可能材料でより広いすき間が設けられることを可能にする。
【0036】
剛直な強化用部材の大きさ並びに発泡可能材料の厚さ、場所および性質は、所望の構造強化を達成するために重要である。強化用部材の外形は、それが強化するべく意図されている構造体の部分の断面に実質的に一致しなければならない。強化用部材の形は、構造体の断面の大きさが変わるにつれて、その長さに沿って変わることができる。膨張可能接着性材料を含む強化用部材の大きさは、電着塗装流体の通過の余地があるように強化用部材の先端と強化される構造体の内壁間に小さい間隔があるようなものでなければならない。剛直な強化用部材が構造体内に堅固に固定されるように、発泡体は中空構造体の他の表面に接触しそして結合しなければならない。強化用部材は、いくつかの異なった軸に沿った強化を与える為に細胞状、蜂の巣状または肋状の内部構造を持つことができ、そしてこの構造は基体の成形時に付与されることができる。部材は穴を設けられることもでき、その穴は、発泡可能材料がその穴を貫通して膨張して基体と自動車フレーム間に有効な結合を与えることを可能にするであろう。
【0037】
他の部品、たとえばボルトが、後続の自動車組立ての際に強化用部材を貫くことになる場合には、ボルトの貫通のために強化用部材につくられた穴は、発泡体が膨張するときにそれによって塞がれないように注意しなければならない。
【0038】
本発明は、添付の図面を引用して例示される。
【0039】
図面のうち、図1は、本発明に使用できそして発泡可能な挿入材料が入っている金型の片半分を示す。
【0040】
図2は、発泡可能材料を挟んで閉じられた金型を示す。
【0041】
図3は、金型内に射出された基体の入った図2の金型を示す。
【0042】
図4は、本発明に従う成形品の外周部に製造される構造を示す、金型の壁内に保持されそして金型内に突き出ている発泡可能材料を示す断面概略図である。
【0043】
図5は、本発明に従って製造された成形品を示す。
【0044】
図6は、発泡可能材料が発泡を起こさせられた後の、図5の成形品の一部を示す。
【0045】
これらの図において、金型の2つの片半分は(1)および(2)でありそして図1に示された通りである。発泡可能材料(3)が金型内の溝内に置かれた後、(図1の矢印によって示されるように)金型が閉じられる。
【0046】
閉じられると、金型は、発泡可能材料のまわりに空洞(4)を持った図2に示された通りになる。基体材料(5)が次に射出孔(示されていない。)を通して金型内に射出され、図3に示された構造を作り出す。
【0047】
図4は、製造された典型的な成形品の断面であり、そして図5は、自動車の中空部品の内側に取り付けるためのクリップ(6)を備えられた、本発明に従って製造された音響バッフル前駆体を示す。
【0048】
図6は、発泡体(7)を示す発泡後の製品を示す。
【0049】
図7は、発泡可能材料(9)のまわりの基体(8)に穴(10)が作られている、本発明に従って製造された重ね成形されたバッフルを示し、穴(10)を貫通して発泡可能材料が膨張し、そしてこのようにして基体の外周のまわりおよびその上を発泡体がより広く覆うことを確保することができる。
【0050】
図8は、図7に示されたバッフルの製造を可能にするために金型がどのように建造されることができるかを示す。図8は、発泡可能材料(9)を含み、しかし重ね成形された基体材料が入っていなく、基体材料を備えるための空間を持つ金型を示す。図9は、重ね成形された基体材料も含む金型を示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に使用できそして発泡可能な挿入材料が入っている金型の片半分を示す概略図
【図2】発泡可能材料を挟んで閉じられた金型を示す概略図
【図3】金型内に射出された基体の入った図2の金型を示す概略図
【図4】本発明に従う成形品の外周部に製造される構造を示す、金型の壁内に保持されそして金型内に突き出ている発泡可能材料を示す断面概略図
【図5】本発明に従って製造された成形品を示す写真
【図6】発泡可能材料が発泡を起こさせられた後の、図5の成形品の一部を示す写真
【図7】発泡可能材料(9)のまわりの基体(8)に穴(10)が作られている、本発明に従って製造された重ね成形されたバッフルを示す写真
【図8】図7に示されたバッフルの製造を可能にするために金型がどのように建造されることができるかを示す概略図
【図9】重ね成形された基体材料も含む金型を示す概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に付着した1層の発泡可能材料を含む層状成形品の製造方法において、該発泡可能材料の片が、発泡可能材料の該片の一部が金型キャビティ中に突き出るように金型の壁内に保持され、そして基体が金型内において該発泡可能材料が通常発泡する温度より上の温度で発泡可能材料のまわりに成形され、それによって該発泡可能材料が成形工程の間に基体に接着しかつ未発泡のままでいる、上記方法。
【請求項2】
成形プロセスが射出成形である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
成形プロセスがブロー成形である、請求項1に従う方法。
【請求項4】
発泡可能材料が高度に膨張した柔らかい発泡体を生成するようなものである、請求項1〜3のいずれか1項に従う方法。
【請求項5】
発泡可能材料がエチレン不飽和エステル共重合体である、請求項4に従う方法。
【請求項6】
不飽和エステルが酢酸ビニルおよび/またはアクリル酸エステルである、請求項5に従う方法。
【請求項7】
膨張可能材料が100〜1500%の膨張のレベルを持つ、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項8】
発泡可能材料が強化用熱硬化性材料である、請求項1〜3のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
発泡可能材料が熱で活性化される接着性材料である、請求項8に従う方法。
【請求項10】
強化用熱硬化性層が発泡可能エポキシ樹脂または発泡可能ポリウレタンである、請求項8〜9のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
活性化前に、発泡可能材料が乾燥していてそして指触粘着性がない、請求項1〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
基体が非発泡性材料である、請求項1〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
基体が繊維充填されていてもよいポリアミド、またはポリプロピレンである、請求項12に従う方法。
【請求項14】
発泡可能材料に結合された基体を含む成形品の製造方法において、
i) 発泡可能材料の片が金型内に置かれ、それによってそれが金型の壁内に部分的に保持されかつ金型のキャビティ中に部分的に突き出ている、
ii) 金型が閉じられ、そして該発泡可能材料の一部を金型の壁内に保持するために正圧が金型にかけられ、
iii) 該発泡可能材料の軟化および発泡温度より上の温度で、金型のキャビティ中に突き出ている発泡可能材料の該一部の少なくとも一部を基体材料が取り囲みそしてそれに結合する態様で、基体材料が金型内に導入され、そして、
iv) 成形サイクルが完了され、そして2成分成形品が取り出される、
上記方法。
【請求項15】
発泡可能材料の10ミリメートル以下が金型内に突き出ている、請求項14に従う方法。
【請求項16】
発泡可能材料の2〜5ミリメートルが金型内に突き出ている、請求項15に従う方法。
【請求項17】
金型キャビティ内に保持される発泡可能材料の該一部が長さ10ミリメートル以下である、請求項14〜16のいずれか1項に従う方法。
【請求項18】
発泡可能材料が135〜185℃の範囲の温度で発泡する、請求項14〜17のいずれか1項に従う方法。
【請求項19】
基体材料が180℃〜235℃の範囲の温度で射出される、請求項14〜18のいずれか1項に従う方法。
【請求項20】
成形サイクルが15秒までである、請求項14〜19のいずれか1項に従う方法。
【請求項21】
成形サイクルが10秒までである、請求項20に従う方法。
【請求項22】
その一部が基体の2層間にサンドイッチ状に挟まれかつ一部が基体を超えて突き出ている発泡可能材料を含む多層成形品であって、該発泡可能材料が基体の軟化点より下の温度で発泡し、該発泡可能材料の2〜10ミリメートルが基体を超えて突き出ている成形品。
【請求項23】
サンドイッチ構造が発泡可能材料の2〜10ミリメートルを内包する、請求項22に従う多層成形品。
【請求項24】
請求項22〜23のいずれか1項に従う多層成形品を、中空構造体内に音響バッフルを備えるために使用する方法。
【請求項25】
請求項22〜23のいずれか1項に従う多層成形品を、中空構造体内に構造的強化を与えるために使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−123506(P2006−123506A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−175148(P2005−175148)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(504187250)エル アンド エル プロダクツ, インク. (3)
【Fターム(参考)】