説明

常時記録画像処理プログラム

【課題】常時記録画像中の見たい画像に容易にたどり着くことができる常時記録画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】ドライブレコーダ2の常時記録が開始されると、CPU24は、第1カメラ3及び第2カメラ4によって撮影された常時記録画像を取得し、取得した常時分割画像が分割単位となっているか否か判断する。分割単位は、ACCスイッチ19がオンされてからオフされるまでの一起動単位(運行単位)とするのが好適であるが、分割単位を、作業単位や県単位のような他の分割単位とすることもできる。常時記録画像が分割単位となっている場合、CPU24は、常時記録画像をファイル形式でメモリカード6に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアクセサリスイッチ(ACCスイッチ)がオンの間は常に記録される常時記録画像又はユーザの操作からユーザの操作まで若しくはユーザの操作から一定時間まで記録する連続記録画像を処理する常時記録画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設置したカメラにより車両周辺の映像を撮影し、衝突や急ブレーキなど車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車両速度を記録する車載用映像等記録装置、いわゆるドライブレコーダが提案されている。ドライブレコーダを車両に備えることにより、事故が発生した場合には記録した情報を解析することにより、事故原因を検証することが可能となっている。また、運転手の安全運転意識の向上が図れるとともに、日頃の運転状況を記録した映像を安全運転指導など役立てることができる。
【0003】
これまで、車載カメラにより撮影した映像を循環的に記憶し、事故発生時に記憶した映像を他の記録媒体に記録するドライブレコーダが提案されている(例えば、特許文献1,2)。また、車両速度や変速機のシフト位置など走行データを循環記憶し、事故発生時に記憶した走行データを他の記録媒体に記録するドライブレコーダも提案されている(例えば、特許文献3,4)。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−16785号公報
【特許文献2】特開平06−237463号公報
【特許文献3】特開平06−331391号公報
【特許文献4】特開平06−186061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両のACCスイッチがオンの間は常に画像を記録する常時記録画像を記録することが所望されている。このような常時記録画像は、記録時間が著しく長いため、日時やG値を検索条件として絞り込んだとしても見たい時点を絞り込むのが困難である。また、常時記録画像は複数のイベントを含み、1イベントごとにしか常時記録画像を再生することができないので、見たい画像を見るためにイベント間を移動する必要がある。したがって、常時記録画像では見たい画像に容易にたどり着くことができない。
【0006】
本発明の目的は、常時記録画像中の見たい画像に容易にたどり着くことができる記録可能な常時記録画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による常時記録画像処理プログラムは、
コンピュータに読取り可能な常時記録画像処理プログラムであって、当該プログラムは、コンピュータによって、
車載機で記録された常時記録画像が所定の分割単位となっているか否かを判断するステップと、
前記常時記録画像が所定の分割単位となっている場合、前記常時記録画像をファイル単位で保存するステップと、
を実行させることを特徴とする。
【0008】
本発明による他の常時記録画像処理プログラムは、
コンピュータに読取り可能な常時記録画像処理プログラムであって、当該プログラムは、コンピュータによって、
車載機で記録された常時記録画像のイベントを抽出するステップと、
前記イベントのリストを作成するステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による常時記録画像処理プログラムによれば、車載機で記録された常時記録画像が所定の分割単位となっているか否かを判断し、常時記録画像が所定の分割単位となっている場合、常時記録画像をファイル単位で保存する。このように常時記録画像をファイル単位で保存することによって、常時記録画像をファイル単位で管理することができるようになるので、常時記録画像中の見たい画像に容易にたどり着くことができる。
【0010】
本発明による他の常時記録画像処理プログラムによれば、車載機で記録された常時記録画像のイベントを抽出し、イベントのリストを作成する。このように作成されたイベントのリストを参照することにより見たい画像が見つけやすくなるので、常時記録画像中の見たい画像に容易にたどり着くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加した形態で実施することも可能である。
【0012】
最初に、ドライブレコーダにおける情報の記録について説明する。図1は、車両1にドライブレコーダ2を搭載した例を示す図である。車両1内にドライブレコーダ2が設置され、車両1の前方を撮影する第1カメラ3及び車両1の後方を撮影する第2カメラ4と接続されている。第1カメラ3及び第2カメラ4による映像情報をドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に常時記憶する。半導体記憶部15に記憶された映像情報は、メモリカード6に記録される。
【0013】
また、ドライブレコーダ2は、映像情報の他に、車両の速度情報などを含む運行情報を取得して、ドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に常時記憶する。運行情報は、映像情報と関連付けられて映像情報と供にメモリカード6に記録される。運行情報の詳細については後述する。
【0014】
図2は、ドライブレコーダ2を車両1に設置した例を示す図である。ドライブレコーダ2は、例えば、ハンドルの左下方でセンターパネルの端等に固定され、第1カメラ3(及び図2には図示されない第2カメラ4)、GPSセンサ9、不図示の車速センサ10、不図示のバッテリ21、車載用の表示部30等と電気的に接続されている。第1カメラ3は車室内ミラーの裏側のフロントガラス面に取り付けられ、車両前方を撮影し、映像情報をドライブレコーダ2へ送信する。
【0015】
図3は、ドライブレコーダ2の本体の斜視図である。ドライブレコーダ2には、マイクロフォン7、撮影スイッチ8、電源スイッチ20、LED25、ブザー26、不図示の開閉センサ27、開閉ノブ31等を有している。マイクロフォン7は車両1内の音声を集音する。撮影スイッチ8は、ドライブレコーダ2の初期化等のための諸入力に利用される。LED25及びブザー26は、発光や警告音等を発生させることによって、ドライブレコーダ2の状況をユーザに知らせる機能を有している。
【0016】
開閉ノブ31は、メモリカード6が後述するI/F11を構成するスロットに挿入された後に、メモリカード6を保護するようにその上部にスライドされて位置決めされる(図3の状況)。メモリカード6を抜く場合には、開閉ノブ31を矢印Aの方向にスライドさせる。また、ドライブレコーダ2は、開閉ノブ31に連動した開閉センサ27を有しており、開閉ノブ31がメモリカード6の上部にスライドされている状態(図3の状態)で、閉状態を示すOFF信号を出力し、メモリカード6を抜き出せる状態で、開状態を示すON信号を出力するように構成されている。
【0017】
図4は、再生装置の外観例を示す図である。メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等はパーソナルコンピュータ等から構成される再生装置400により再生される。メモリカード6はパーソナルコンピュータに接続されたI/Fに挿入され、映像情報及び運行情報等が読み取られる。ユーザは再生された映像情報及び運行情報等を検証することによって、車両の走行状態又は事故原因の究明等を行うことができる。
【0018】
図5は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。第1カメラ3は、車両1の前方を撮影してアナログのビデオ信号を第1映像情報500として出力するよう制御され、例えば二次元イメージセンサとしてのCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)から構成される。
【0019】
第2カメラ4は、2台目のカメラとして車両1に設置され、車両後方や車室内等の第1カメラ3と異なる方向を撮影してアナログのビデオ信号を第2映像情報501として出力するよう制御される。なお、カメラを1台のみ必要とする場合には第2カメラ4をドライブレコーダ2に接続する必要はない。
【0020】
加速度センサ5は、車両1に加わる衝撃の大きさを重力加速度として検出する、いわゆるGセンサ(Gravity Accelerative Sensor)で構成される。加速度センサ5は、衝撃を受けるとその重力加速度に基づいた電流を発生する半導体からなり、車両の前後方向及び左右方向の重力加速度の大きさを検出して重力加速度情報502をCPU24へ出力する。
【0021】
メモリカード6は、ドライブレコーダ2から取り外し可能な記録媒体であり、プログラム可能な不揮発性半導体メモリカードであるSDカード(Secure Digital Memory Card)で構成される。メモリカード6には、映像情報及び運行情報が記録される。また、メモリカード6には、車両のID、メモリカード6の固有のID、メモリカード6を利用する利用者(例えば、タクシー乗務員等)のID又は氏名のデータ等の諸情報が別途記録される。さらに、メモリカード6には、ディップスイッチが設けられており、ディップスイッチの操作によってメモリカード6を書き込み禁止状態にすることができるように構成されている。
【0022】
なお、本実施の形態では取り外し可能な記憶媒体としてSDカードを用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、取り外し可能な他のメモリカード(例えば、CFカード(Compact Flash Card)又はメモリスティック等)、ハードディスク等を利用することもできる。また、メモリカード6の替わりに、ドライブレコーダ2にハードディスクを内蔵して用いることも可能であり、この場合にはドライブレコーダ2に送信回路を設け無線通信によりハードディスクに記録した映像情報及び運行情報を再生装置400へ送信するよう構成すればよい。
【0023】
マイクロフォン7は、CPU24と電気的に接続され、車両1の車室内又は車外の音声を集音して音声情報503としてCPU24へ送信するよう構成される。音声情報503はCPU24内のアナログ/デジタル変換器でデジタル信号に変換される。なお、道路上の騒音を不必要に集音しないように、マイクロフォンの正面の感度が高い単一指向性マイクロフォンを用いることが好ましい。
【0024】
撮影スイッチ(撮影SW)8は、ユーザにより操作されることによって、電気的に接続されたCPU24へ信号を送信する。これにより、CPU24は、第2RAM15に記憶された映像情報及び運行情報をメモリカード6に記録させるよう制御する。なお、撮影SW8が操作された瞬間の映像情報のみをメモリカード6に記録するようにしてもよい。
【0025】
GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)受信機9は、複数のGPS衛星から衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻データを含む電波信号を受信し、受信した電波の時間差により各衛星との相対的距離差を算出して現在地情報を得る。3個の衛星の電波を捉えれば地球上の平面での位置が判別できる。GPS受信機9は、かかる現在地情報を検出すると、位置情報及び時刻情報からなるGPS情報504をCPU24へ送信する。
【0026】
車速センサ10は、磁気センサ又は光センサにより構成され、車両1の車輪軸に設けられたローターの回転を回転パルス信号505として出力する。なお、CPU24は車速センサ10から受信するパルス信号から単位時間当たりの車輪回転数を算出することで車両1の速度情報を算出している。
【0027】
インターフェイス(I/F)11は、ドライブレコーダ2に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部をも構成する。I/F11は、ドライブレコーダ2から送信される映像情報及び運行情報を含む記録情報506を、差し込まれたメモリカード6へ転送し、ドライブレコーダ2に予め記憶されている、諸情報507をCPU24へ転送する。
【0028】
ビデオスイッチ(以下「ビデオSW」)12は、複数のカメラが設けられる場合に撮影するカメラを切り換えるためのスイッチである。本実施の形態では、第1カメラ3及び第2カメラ4が接続され、CPU24からの選択信号508により一方のカメラが選択されるよう構成されている。選択されたカメラからの映像情報を選択映像情報509として画像処理回路13へ出力する。なお、ビデオSW12に計時機能を持たせ、一定の時間間隔で切り換えを行うように構成してもよい。
【0029】
画像処理回路13は、第1カメラ3及び第2カメラ4からビデオSW12を介して入力される選択映像情報509をデジタル信号に変換し、画像データ510を作成して出力する。画像処理回路13は、JPEG−IC(Joint Photographic coding Experts Group−Integrated Circuit)から構成され、JPEG形式のデータを作成する。この場合、JPEG−ICはアドレスを指定してデータを出力する機能を有さないため、毎秒30ファイルを第1RAM(Random Access Memory)14へ書込み、1ファイル毎に上書き処理を行う。
【0030】
第1RAM14は、画像処理回路13によって変換された画像データ510を一時的に記憶する。なお、第1RAM14はCPU24内のDMA(Direct Memory Access)回路と接続されている。
【0031】
第2RAM15は、画像処理回路13により画像データに変換された映像情報、及び運行情報を常時記憶する。なお、第1RAM14及び第2RAM15には、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられる。SDRAMはCPUのクロックに同期して動作するよう設計されているため、入出力の待ち時間が短く、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比較してアクセスを高速に行うことができ、大容量の映像データを高速に処理する制御に適しているためである。
【0032】
不揮発性ROM16は、ドライブレコーダ2を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム17等を記憶する。不揮発性ROM16には、マスクROMを用いてもよいが、プログラム可能な不揮発性半導体メモリであるフラッシュメモリ、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、強誘電体メモリ等を用いればプログラムの書き込みや消去が可能となる。
【0033】
制御プログラム17は、不揮発性ROM16内に記憶されドライブレコーダ2の起動時にCPU24に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。ACCスイッチ19は、車両1に備えられたエンジン始動用のキーシリンダと電気的に一体に構成されている。ユーザのキー操作によりスイッチがオンとされるとアクセサリオン信号511をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ドライブレコーダ2はACCスイッチ19のアクセサリオン信号511を受信することにより、電源制御回路22から電源が供給され制御を開始する。なお、ACCスイッチ19の出力信号に代わりに、イグニッションキー出力信号(IGオン信号)を利用することも可能である。
【0034】
電源スイッチ(電源SW)20は、ユーザによりスイッチ操作がなされると、電源オン信号をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ACCスイッチ17をオンさせずにドライブレコーダ2を動作させたい場合に用いることができる。なお、電源SW20を、不図示のACCオフタイマーによってソフト的にオフすることもできる。
【0035】
バッテリ21は、車両1内に備えられ、ドライブレコーダ2の本体に電源を供給する。また、バッテリは、電源制御回路22へ電源を供給する。なお、バッテリ21は車両に装備可能で12Vの起電力を発生できるものであればよい。電源制御回路22は、バッテリ21からの電源をCPU24及びドライブレコーダ2の各部へ供給する。電源制御回路22の詳細は後述する。
【0036】
CPU(Central Processing Unit)24は、ドライブレコーダ2の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU24は、制御プログラム17に基づき、ドライブレコーダ2の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0037】
LED25は、CPU24から電源が供給されることによるドライブレコーダ2の起動中は点灯し、ユーザへ起動中であることを報知する。また、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の点滅を行い、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
【0038】
ブザー26は、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の警告音を発生し、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。開閉センサ27は、メモリカード6の抜き差しに伴う開閉ノブ31の移動に応じて、開信号及び閉信号を出力するように構成されている。RTC(Real Time Clock)28は、現在時刻に対応した信号を発生し、CPU24へ送信する。
【0039】
表示部30は、液晶ディスプレイ等から構成され、メモリカード6に記録された映像情報を再生する。図2では、車両に搭載されたナビゲーション装置のディスプレイを表示部30として用いる場合を示したが、別体のディスプレイを表示部30として利用するようにしても良い。表示部30の利用によって、事故が発生した場合にその場で事故原因を検証することが可能となる。いずれにしても、ドライブレコーダ2は、映像情報を出力するための出力ポートを有していることが好ましい。
【0040】
なお、ドライブレコーダ2は映像記録専用の装置として第1カメラ3、第2カメラ4、GPS受信機9、及び/又は表示部30等と同一の筐体内に収容して一体的に構成してもよい。また、ドライブレコーダ2は、車載用ナビゲーション装置の一機能として構成することもできる。
【0041】
図6は、電源制御回路22の電気的構成を示すブロック図である。電源制御回路22は、第1電源回路40、第2電源回路41、第3電源回路42、第1検出部43、第2検出部44、第3検出部45、及びバックアップバッテリ46等から構成されている。
【0042】
第1電源回路40は、ACCスイッチ19又は電源スイッチ20がオンすることにより動作を開始し、12.0V定格のバッテリ21から電力の供給を受け、6.0Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第1電源回路40からの出力は、第1カメラ3及び第2カメラ4等へ供給されている。
【0043】
第2電源回路41は、6.0V定格の第1電源回路40から電力の供給を受け、3.3Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第2電源回路41からの出力は、画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9、CPU24等へ供給されている。
【0044】
第3電源回路42は、3.3V定格の第2電源回路41から電力の供給を受け、1.8Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第3電源回路41からの出力は、CPU24等へ供給されている。
【0045】
第1検出部43は、バッテリ21の出力電圧を検出し、バッテリ21からの出力電圧が8.0V以下に低下した場合に、第1減電圧信号S1をCPU24へ出力する。また、第2検出部44は、第1電源回路40の出力電圧を検出し、第1電源回路40からの出力電圧が3.7V以下に低下した場合に、第2減電圧信号S2をCPU24へ出力する。さらに、第3検出部45は、第2電源回路41の出力電圧を検出し、第2電源回路41の出力電圧が3.0V以下に低下した場合に、リセット信号S3を、画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9、CPU24へ出力し、低電圧による誤動作防止のために各要素のリセットを行う。
【0046】
バックアップバッテリ46は、2つのコンデンサから構成され、バッテリ21の出力電圧が、低下した場合でも、所定時間、少なくとも画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9及びCPU24が駆動できるような電力を供給できるように構成されている。衝突事故等により車両に衝撃が加わると、バッテリ21の破損やバッテリ21と電源制御回路22と接続線の断線が発生する恐れがある。バックアップバッテリ46は、蓄電された電源をCPU24等へ供給することで、そのような場合でも処理中の映像情報等を極力保存できるようにしている。
【0047】
図7は、再生装置400の電気的構成を示すブロック図である。インターフェイス(I/F)411は、再生装置400に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部を構成する。I/F411は、メモリカード6に記録された、映像情報及び運行情報等を再生装置400側に転送する。
【0048】
RAM414は、CPU424がメモリカード6から転送された映像情報の画像処理及び運行情報の情報処理等を行う際に一時的にデータを記憶するために利用される。RAM414には、例えばSDRAMが用いられる。
【0049】
不揮発性ROM416は、再生装置400を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム417等を記憶する。不揮発性ROM16には、例えば、EEPROM、強誘電体メモリ等が用いられる。
【0050】
制御プログラム417は、不揮発性ROM416内に記憶され、再生装置400の起動時にCPU424に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
【0051】
コンピュータとしてのCPU424は、再生装置400の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU424は、制御プログラム417に基づき、再生装置400の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0052】
操作部430は、キーボード、マウス等から構成され、ユーザが再生装置400を操作する場合に、CPU424への操作入力を行うための手段として利用する。表示部440は、液晶表示装置等から構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を適宜表示するために利用される。
【0053】
地図情報記録部450は、ハードディスク、DVD等の記録媒体によって構成され、道路情報及び制限速度情報等を含んだ地図情報が記録されている。カード情報記録部460は、ハードディスク等の記録媒体によって構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を、記録するために利用される。
【0054】
運行情報とは、以下の情報を言う。
1.加速度センサ5の各軸で検出した重力加速度情報(G1、G2)。
2.GPS受信機9から検出した車両1の位置情報及び時刻情報。
3.車速センサ10から検出した速度情報。
4.ACCスイッチ19のON/OFF情報。
なお、運行情報は、例えばウィンカー等の灯火類の点灯状態やハンドル操舵角のような車両1の運行や走行に関する情報を含めるようにしても良い。
【0055】
図8は、常時記録画像の分割の処理フローを示す図である。図8に示す処理フローは、主にドライブレコーダ2のCPU24が制御プログラム17に従ってドライブレコーダ2の各構成要素と共同することによって実行されるが、主に再生装置400のCPU424が制御プログラム417に従って再生装置400の各構成要素と共同することによって実行されてもよい。
【0056】
この処理フローは、ドライブレコーダ2の常時記録の開始とともに開始され、先ず、ステップS1において、CPU24は、ファイル名の一部として利用するために起動日時を取得する。
【0057】
次いで、ステップS2において、CPU24は、常時記録画像ファイルを生成する。この場合、常時記録画像ファイルには、M081105102533−0001.dat,M081105102533−0002.dat等のように起動日時と追番とを組み合わせたファイル名が付与される。次いで、ステップS3において、CPU24は、ファイルに画像データを追記する。
【0058】
次いで、ステップS4において、CPU24は、ACCスイッチ19がオフであるか否か判断する。ACCスイッチ19がオフである場合、この処理フローを終了し、それに対し、ACCスイッチ19がオフでない場合、ステップS5において、ファイルサイズが一定サイズ以上であるか否か判断する。フィルサイズが一定サイズ以上である場合、ステップS2に戻り、それに対し、ファイルサイズが一定サイズ以上でない場合、ステップS3に戻る。図8の処理フローでは2段階でファイルを分割しており、すなわち、第1段階において起動単位で分割することによって、ファイルが探しやすくなり、第2段階においてファイルサイズ単位(例えば、10Mbyte)で分割することによって、一つのファイルが壊れたときに被害を少なくすることができる。
【0059】
図8の処理フローによりメモリカード6に記録された常時記録画像ファイルを表示部440に表示するとき、常時記録画像ファイルは、ファイル名からカテゴライズされ、サムネイル表示される。なお、起動回数が多い場合には、常時記録画像ファイルは、日付、年等の大きいくくりで更にカテゴライズして表示される。なお、常時記録画像ファイルを、サムネイル表示ではなくリスト表示することもできる。また、一つのカテゴライズの中のファイルが多い場合には、サムネイル表示するファイルを間引くこともできる(2ファイルに一つのサムネイルを表示する等)。
【0060】
常時記録画像ファイルをサムネイル表示する場合、記録日時や、記録時の車速、G値、位置座標、地図上の位置及び実車・空車等の動態を同時に表示することもできる。また、常時記録画像ファイルのサムネイル表示と共に、常時記録画像ファイル内の違反項目名、違反項目のアイコン、違反項目の数を同時に表示することもできる。さらに、常時記録画像ファイルのサムネイル表示と共に、常時記録画像ファイル内の最高速度、最高G値及び記録時間を同時に表示することもできる。なお、常時記録画像ファイルは、メモリカード6内のデータに対して表示部440に一覧表示してもカード情報記録部460に蓄積された単数又は複数のメモリカード6のデータに対して表示部440に一覧表示してもよい。
【0061】
図9は、常時記録画像ファイルの構成例を示す図である。図9に示す画像情報ファイルは、基本情報と、設定情報と、画像・音声情報とを有する。基本情報は、G検知で撮影したのか、スイッチで撮影したのか、常時記録なのか等を表すトリガ種別の項目と、トリガが発生した日時の項目と、車載機(ドライブレコーダ)が起動してからの時間(Time Stamp)の項目と、加速度センサから得られたG値の項目と、車速の項目と、GPSから得られた車両の座標の項目と、ACCスイッチ、外部入力ポート等の状態の項目と、車載機が起動してから走行した累積距離の項目とを有する。
【0062】
画像・音声情報は、制御情報、詳細情報及び画像又は音声格納ブロックからなる複数のサムネイル画像を有する。画像格納ブロックと音声格納ブロックは、交互に配置されるとは限らず、画像ファイルと音声のみファイルとの区別は、設定情報及びトリガ種別から取得される。なお、サムネイル画像は、トリガ検知時の最新保持画像とする。
【0063】
制御情報は、画像格納ブロック又は音声格納ブロックのブロックサイズの項目と、車載機(ドライブレコーダ)が起動してからの時間(Time Stamp)の項目と、実際のデータサイズの項目と、画像か音声かを識別するIDとを有する。データ詳細情報は、トリガが発生した日時の項目と、加速度センサから得られたG値の項目と、車速の項目と、GPSから得られた車両の座標の項目と、発生した急加速等のイベント種別の項目と、ACCスイッチ、外部入力ポート等の状態の項目と、車載機が起動してから走行した累積距離の項目とを有し、画像の場合には、撮影カメラ番号の項目と、撮影フレームに付した連番である画像番号の項目とを更に有する。
【0064】
図10は、常時記録画像ファイルのイベントリストアップの処理フローを示す図である。図10に示す処理フローは、主に再生装置400のCPU424が制御プログラム417に従って再生装置400の各構成要素と共同することによって、図8に示す処理フローと独立して実行される。
【0065】
図10に示す処理フローは、CPU400が図9に示すような常時記録画像ファイルをカード情報記録部560から取得することによって開始し、先ず、ステップS11において、CPU424は、リストアップされていないイベントが常時記録画像ファイルに存在するか否か判断する。イベントが存在する場合、ステップS12において、CPU424は、イベントをリストアップし、ステップS11に戻る。それに対し、イベントが存在しない場合、処理フローを終了し、イベントリストを各イベントの情報(日時、トリガ等)とともに表示部440に表示する。なお、イベントリスト内のイベントは、日時でソートして表示される。このようにイベントを表示することによって、再生中の画像データに含まれるイベントについて知ることができ、各イベントの情報を得ることが可能となる。
【0066】
操作部430によってイベントリスト内のイベントが選択される(例えば、マウスによるクリック)と、CPU424は、選択されたイベントが発生した時刻の数秒前から画像を再生する。表示部440には、選択されたイベントの次のイベントの発生時刻の数秒前から再生するボタンを設置することもでき、これによって、イベント間の移動を簡単に行うことができる。
【0067】
CPU424は、イベントがマークされた時間グラフを作成し、マークを選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から画像を再生することができる。また、CPU424は、イベントがマークされた地図を作成し、マークを選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から画像を再生することもできる。さらに、CPU424は、常時記録画像撮影時に検出された所定の値以上のG値のリストを作成し、G値を選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から画像を再生することもできる。この場合、検知したG値の上位件数をリストしてもよい。なお、画像の再生が二つの常時記録画像ファイルにまたがるときには、CPU424は、再生すべき常時記録画像ファイル及び設定時間データを参照しながら画像を再生する。
【0068】
図11は、常時記録画像ファイルの選択保存の処理フローを示す図である。図11に示す処理フローは、主に再生装置400のCPU424が制御プログラム417に従って再生装置400の各構成要素と共同することによって、図10に示す処理フローに関連して又は図8に示す処理フロー及び図10に示す処理フローと独立して実行される。
【0069】
図11に示す処理フローは、先ず、ステップS21において、CPU424は、操作部430の操作によって常時記録画像ファイルを表示部440に再生する。次いで、ステップS22において、CPU424は、操作部430の操作によって、再生された画像を保存したい時点で一時停止する。
【0070】
次いで、ステップS23において、CPU424は、画像の一時停止時より第1の期間前の時刻及び第2の期間後の時刻との間の範囲を指定する。このような範囲の指定を、例えば、表示部440に表示されたスライドバーを用いて行うことができる。第1の期間と第2の期間は同一であっても異なってもよいが、常時記録する際のフレームレートが可変である場合、同一時間保存してもフレームレートによって記録サイズが異なるので、フレームレートに応じて第1の期間と第2の期間が異なるようにする、すなわち、指定できる最大値をフレームレートによって変えるのが好適である。
【0071】
次いで、ステップS24において、CPU424は、指定した時間の画像をRAM414に保存し、処理フローを終了する。常時記録画像の場合、データ量が数Gbyteと大きくなり、RAM414の容量がすぐに不足する。図11に示す処理フローによって常時記録画像を保存する範囲を絞り込むことによって、多くのイベントをRAM414に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ドライブレコーダを車両に搭載した例を示す図である。
【図2】ドライブレコーダの等を車両に設置した例を示す図である。
【図3】ドライブレコーダ本体の斜視図である。
【図4】再生装置の外観例を示す図である。
【図5】ドライブレコーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】電源制御回路の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】常時記録画像の分割の処理フローを示す図である。
【図9】常時記録画像ファイルの構成例を示す図である。
【図10】常時記録画像ファイルのイベントリストアップの処理フローを示す図である。
【図11】常時記録画像ファイルの選択保存の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0073】
6 メモリカード
400 再生装置
411 インターフェイス(I/F)
414 RAM
416 不揮発性ROM
417 制御プログラム
424 CPU
430 操作部
440 表示部
450 地図情報記録部
460 カード情報記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに読取り可能な常時記録画像処理プログラムであって、当該プログラムは、コンピュータによって、
車載機で記録された常時記録画像が所定の分割単位となっているか否かを判断するステップと、
前記常時記録画像が所定の分割単位となっている場合、前記常時記録画像をファイル単位で保存するステップと、
を実行させることを特徴とする常時記録画像処理プログラム。
【請求項2】
前記分割単位が、前記車両の起動単位である請求項1に記載の常時記録画像処理プログラム。
【請求項3】
コンピュータに読取り可能な常時記録画像処理プログラムであって、当該プログラムは、コンピュータによって、
車載機で記録された常時記録画像のイベントを抽出するステップと、
前記イベントのリストを作成するステップと、
を実行させることを特徴とする常時記録画像処理プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータによって、前記リストのイベントを選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から前記常時記録画像を再生するステップを更に実行させる請求項3に記載の常時記録画像処理プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータによって、前記イベントがマークされた時間グラフを作成するステップと、
前記マークを選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から前記常時記録画像を再生するステップと、
を更に実行させる請求項3又は4に記載の常時記録画像処理プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータによって、
前記イベントがマークされた地図を作成するステップと、
前記マークを選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から前記常時記録画像を再生するステップと、
を更に実行させる請求項3から5のうちのいずれか1項に記載の常時記録画像処理プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータによって、前記常時記録画像撮影時に検出された所定の値以上のG値のリストを作成するステップと、
前記G値を選択すると当該イベントの発生時刻の数秒前から前記常時記録画像を再生するステップと、
を更に実行させる請求項3から6のうちのいずれか1項に記載の常時記録画像処理プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータによって、前記常時記録画像を再生するステップと、
再生された前記常時記録画像を一時停止するステップと、
前記常時記録画像の一時停止時より第1の期間前の時刻及び第2の期間後の時刻との間の範囲を指定するステップと、
前記範囲の前記常時記録画像を保存するステップと、
を更に実行させる請求項3に記載の常時記録画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−130577(P2010−130577A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305562(P2008−305562)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】