説明

広帯域インピーダンスおよびノイズ整合を備えた周波数選択性増幅器

【解決手段】 この開示は、広帯域インピーダンスおよびノイズ整合を備えた周波数選択低ノイズ増幅器(LNA)に向けられている。本LNAは、広帯域の入力整合をサポートする閉ループ回路を含み得る。例えば、閉ループ回路は入力信号をインピーダンス整合するとともに低ノイズ指数をもたらすように構成され得る。また、LNAは、入力信号を増幅し、高い出力インピーダンスをもたらす開ループ回路を含み得る。開ループ回路は、所望の周波数帯の外側の周波数を濾波により除去する選択性フィルタをさらに含み得る。LNAは、開ループ回路によって調整可能な帯域通過フィルタを駆動し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して増幅器、特に広帯域遠隔通信用周波数選択性増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線受信器は、典型的には、アンテナによって受け取られた無線周波数信号を増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)を含んでいる。無線受信器は、様々な周波数にわたって入力信号の周波数選択処理を可能にする調整可能素子を含み得る。無線受信器は様々な装置内に設けられ得る。これには、ディジタル・テレビ、ディジタル直接衛星放送システム、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ディジタル音楽/映像プレーヤ、携帯ゲーム機、ビデオゲーム機、ディジタル・カメラ、ディジタル記録装置、携帯電話または衛星ラジオ電話などが含まれる。
【0003】
いくつかの装置は、例えばDVB−H(ディジタル映像放送携帯機器)、ISDBT(統合サービスディジタル放送(地球上))、DMB(ディジタル媒体放送)、またはFLO(順方向リンクのみ)のような映像放送規格に従って、ディジタル映像を処理できるように構成され得る。DVB−HおよびFLO放送については、例えば、映像はおよそ470メガヘルツ(MHz)乃至862MHzの広い周波数帯上に放送され得る。広い周波数帯を扱うように構成された装置中の無線受信器は、適切なインピーダンスおよびノイズ整合で正確な周波数選別をサポートするべきである。
【発明の概要】
【0004】
この開示は、広帯域インピーダンスおよびノイズ整合を備えた周波数選択型低ノイズ増幅器(LNA)に向けられている。LNAは、広帯域の入力整合をサポートする閉ループ回路を含み得る。例えば、閉ループ回路は、入力信号をインピーダンス整合し、かつ低ノイズ指数を提供するように構成され得る。また、LNAは、入力信号を増幅し、高い出力インピーダンスをもたらす開ループ回路を含み得る。開ループ回路は、所望の周波数帯の外側の周波数を濾波により除去する選択性フィルタをさらに含み得る。LNAは開ループ回路によって調整可能帯域通過フィルタを駆動し得る。
【0005】
一例では、本開示は、入力信号に対してインピーダンス整合をもたらす閉ループ回路と、閉ループ回路に接続されインピーダンス整合された入力信号を増幅する開ループ回路と、を具備する増幅器を提供する。
【0006】
別の例では、本開示は、無線周波数(RF)アンテナを備える無線受信器、およびアンテナによって受け取られた入力信号に対するインピーダンス整合をもたらす閉ループ回路と、閉ループ回路に接続されインピーダンス整合された入力信号を増幅する開ループ回路と、を具備する増幅器を提供する。
【0007】
さらなる例では、本開示は、閉ループ回路によって入力信号に対してインピーダンス整合をもたらし、開ループ回路によってインピーダンス整合された入力信号を増幅することを備え、開ループ回路および閉ループ回路が共通の入力トランジスタを共有して該入力信号を受け取る方法を提供する。
【0008】
本開示の1つ以上の側面の詳細は添付図面と以下の記述におい記載される。他の特徴は該記述と図面、および請求項から明らかであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】低ノイズ増幅器(LNA)を含む典型的な無線受信器のブロック図。
【図2】閉ループ回路および開ループ回路を含んだLNAのブロック図。
【図3】閉ループ回路および開ループ回路を含んだシングルエンド(片線接地)型LNAを図示する回路図。
【図4】閉ループ回路および開ループ回路を含んだディファレンシャル(差動)型LNAを図示する回路図。
【図5】閉ループ回路と、選択性フィルタを備えた開ループ回路と、を含んだシングルエンド型LNAを図示する回路図。
【図6】閉ループ回路と、選択性フィルタを備えた開ループ回路と、を含んだディファレンシャル型LNAを図示する回路図。
【図7】閉ループ回路と、調整可能帯域通過フィルタを駆動する開ループ回路と、を含んだシングルエンド型LNAを図示する回路図。
【図8】閉ループ回路と、調整可能帯域通過フィルタを駆動する開ループ回路と、を含んだディファレンシャル型LNAを図示する回路図。
【図9】閉ループ回路と、選択性フィルタを含み且つ調整可能帯域通過フィルタを駆動する開ループ回路と、を含むシングルエンド型LNAを図示する回路図。
【図10】図10は、閉ループ回路と、選択性フィルタを含み且つ調整可能帯域通過フィルタを駆動する開ループ回路と、を含むディファレンシャル型LNAを図示する回路図。
【図11】選択性フィルタを含み、調整可能帯域通過フィルタを駆動する閉ループ回路および開ループ回路を含むディファレンシャル型LNAをより詳細に図示する別の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この開示は、広帯域インピーダンスおよびノイズ整合を備えた周波数選択低ノイズ増幅器(LNA)に向けられている。LNAは、広帯域の入力整合をサポートする閉ループ回路を含み得る。例えば、閉ループ回路は、入力信号をインピーダンス整合し、かつ低ノイズ指数をもたらすように構成され得る。また、LNAは、入力信号を増幅するとともに高い出力インピーダンスをもたらす開ループ回路を含み得る。開ループ回路は、所望の周波数帯の外側の周波数を濾波により除去する選択性フィルタをさらに含み得る。LNAは開ループ回路によって調整可能帯域通過フィルタを駆動し得る。
【0011】
LNAは、これが広帯域のインピーダンスおよびノイズ整合のための閉ループ帰還回路の組合せ、および高出力インピーダンスおよび安定した周波数選択性のための開ループ利得回路を含んでいるという意味で「部分的フィードバック」増幅器と称され得る。例えば、選択性フィルタは、不安定性を回避するために全体的な閉ループ回路内でではなく開ループ回路内に配置され得る。LNAは、広い周波数帯にわたって正確な周波数選別、入力インピーダンス整合およびノイズ一致をサポートするように構成され得る。選択性フィルタは、所定の帯域の外側の周波数を排斥し得る。調整可能帯域通過フィルタは、選択的且つ調整可能な方式で、広帯域内の特定の狭帯域周波数を通過させ得る。
【0012】
LNAが様々な装置に役立ち得、ディジタル映像を処理するように構成された装置を含んでいる。例えば、LNAはDVB−HおよびFLO映像放送に使用される周波数帯(すなわち約470メガヘルツ(MHz)乃至862MHz)のような広帯域にわたって映像信号を処理するように構成され得る。この帯域は、概して極超短波(UHF)帯域内にある。この開示は、説明を目的としてDVB−HおよびFLO映像に関連した周波数帯について言及し得る。しかしながら、この開示に記述されているようなLNAは、音声、映像、および/またはデータを運ぶ信号を処理するように構成された装置を含む多様な周波数帯および装置に適用可能である。
【0013】
図1は、この開示に従ったLNAを含む典型的な無線受信器10を図示するブロック図である。図1に示されるように、受信器10はアンテナ12、LNA14、ダウン・ミキサ16、AD変換器(ADC)18、およびモデム20を含み得る。受信器10は、無線の音声、映像、および/または信号を受け取るように構成されている無線通信デバイスの一部であり得る。一例では、受信器10は、DVB−Hおよび/またはFLO放送信号を受け取るように構成された無線通信デバイス内に設けられ得る。また、無線通信デバイスは、他の装置に例えば音声電話、映像電話、および/またはデータ送信のための無線信号を送信するための無線送信器を含み得る。従って、無線受信器10は、説明の容易さのために図1に示されていない他の要素を含んでいるかもしれない。
【0014】
受信器10において、アンテナ12は無線周波数(RF)信号を受け取り、LNA14に受信信号を供給する。LNA14は、アンテナ12によって受け取られた信号を入力信号として受け取る。LNA14は、記述されているとともにシングルエンド型信号またはディファレンシャル型信号として入力信号を扱うように構成され得る。LNA14は、ダウン・ミキサ16、ADC18、およびモデム20によるさらなる処理のために受信入力信号を増幅する。アンテナ12は、広範囲の周波数にわたる信号を受け取り得る。最適な電力転送のために、LNA14の入力インピーダンスは、広範囲の入力周波数、例えばDVB−HまたはFLOディジタル映像放送信号の場合に約470MHz乃至862MHzにわたって、入力信号と整合されるべきである。
【0015】
また、LNA14によって受け取られた信号が弱いかもしれないので、LNAは低ノイズ指数(NF)を有しているべきである。NFは、概して、装置自体がノイズを導入しないとした場合のノイズに対するLNA14の実際の出力ノイズの比率を指す。LNA14にとって、入力信号上のLNA14によって生成されたあらゆるノイズの影響が弱められるように低ノイズ指数を有することが重要である。LNA14が低ノイズ指数を有する場合、LNA14は出力信号の著しい劣化無しでアンテナ12によって受け取られた弱い信号を増幅することが可能である。後述のように、LNA14は、部分的フィードバック回路とともに構築されて、必要な利得および周波数選択性をもたらしながら、アンテナ12から受け取られた入力信号に対する所望のインピーダンスおよびノイズ整合を提供し得る。
【0016】
LNA14はダウン・ミキサ16に増幅された信号を供給する。ダウン・ミキサ16は、広帯域の入力信号の周波数をベースバンド周波数へと変換するあらゆる種類のミキサ、例えばゼロ中間周波数(zero intermediate frequency、ZIF)または低中間周波数(low intermediate frequency、LIF)ダウン・ミキサであり得る。ダウン・ミキサ16はADC18にベースバンド信号を供給する。ADC18は、アナログ・ベースバンド信号をディジタル・データに変換する。モデム20は、ADC18によって提供されるディジタル・データを復調する。音声または映像復号器が、受信器10内に設けられて復調されたディジタル・データを復号して音声スピーカ、画像ディスプレイ、および/または他のユーザー・インターフェース媒体を駆動し得る。音声または映像復号器は、コーデック(combined encoder-decoder)の一部を形成し、別の装置から受け取られたディジタル・データの復号および別の装置への送信のためのディジタル・データの符号化の両方をサポートし得る。
【0017】
例えば、受信器10は、例えば、MPEG2、MPEG−4、ITU−T H.263、ITU−T H.264またはそれらに相当するもの、ISO/IEC MPEG−4、Part10(つまり高度映像符号化)(AVC)によって画像圧縮および伸張をサポートするように構成された装置の一部を形成し得る。また、映像放送受信のために、無線受信器10が使用されてFLO、DVB−H、ISDBTまたはDMBディジタル映像放送の配信に関連した周波数帯中のRF信号を受け取ることが可能である。DVB−HおよびFLO放送は、例えば、約470MHz乃至862MHzの広い周波数帯を利用し得る。
【0018】
後述のように、LNA4は、DVB−HおよびFLOに関連した帯域のような広い周波数帯にわたってインピーダンス整合およびノイズ整合を備えた正確な周波数選択性をサポートするよう構成され得る。場合によっては、受信器10は、より広い全体的な周波数帯内の副帯(sub-band)を扱うための複数のLNAを含み得る。
【0019】
図2はこの開示の側面に従った典型的なLNA14のブロック図である。図2の例では、LNA14は、協働して部分的フィードバックLNAを提供する閉ループ回路22および開ループ回路24を含んでいる。閉ループ回路22および開ループ回路24は、両方とも共通の入力を介して入力信号を受け取る。入力にもたらされる信号は、RF信号としてアンテナ12(図1)から受け取られるかもしれないし、または銅導体、光ファイバーなどのような他の種類の有線または無線メディアを介してRF信号として受け取られるかもしれない。LNA14はシングルエンド型またはディファレンシャル型増幅器として構成され得る。この場合、閉ループ回路22および開ループ回路24はシングルエンド型LANまたはディファレンシャル型LNA14を形成するように構成され得る。
【0020】
閉ループ回路22は閉ループ利得増幅器26と、閉ループ利得を設定する帰還ループ27と、を含み得る。閉ループ回路22は広帯域の入力整合をサポートする。例えば、閉ループ回路22は、入力信号についてのインピーダンス整合をもたらし、かつ低ノイズ指数をもたらすように構成され得る。開ループ回路24は開ループ利得増幅器28を含み得る。開ループ回路24は入力信号を増幅し、開ループ回路の負荷に高出力インピーダンスを提供する。選択性フィルタが、開ループ回路22内に提供されて所望の周波数帯の外側の周波数を濾波により除去し得る。また、開ループ回路24は調整可能帯域通過フィルタを駆動し得る。開ループ回路24内に選択性フィルタを配置することによって、不安定性が減じられることが可能である。また、閉ループ回路22によって入力インピーダンス整合をもたらすことによって、低いNFが維持されることが可能である。
【0021】
LNA14の部分的帰還トポロジーは共通ゲートまたは完全帰還トポロジーに代わる選択肢を提供する。共通ゲート・トポロジーを有するLNAは、高いNFを生成する傾向があり、したがって、概して広帯域インピーダンス整合に適していない。一般に、帰還トポロジーを有するLNAは低いNFおよび許容可能な広帯域の入力整合をもたらすことが可能である。しかしながら、帰還トポロジーを有するLNAは、LNAの出力と入力との間で必要な帰還ループ故に低い出力インピーダンスを提供する傾向がある。出力インピーダンスが減じられると、LNAの負荷のフィルタ選択性が劣化するだろう。また、帰還トポロジーを有するLNAは、典型的には不安定性が原因で帰還ループ中で選択性フィルタをサポートすることができない。
【0022】
共通ゲートまたは完全帰還トポロジーではなく、部分的帰還トポロジーを設けることによって、LNA14が、広帯域の入力整合、低いNF、および十分な出力インピーダンスをもたらすことが可能である。また、LNA14は、LNA内の例えば開ループ回路24内に選択性フィルタを取り込むことをサポートし得る。特に、閉ループ回路22は、低NFで広帯域の入力整合をサポートし得、一方、開ループ回路24は、高い出力インピーダンスを備えた信号増幅をサポートするとともに不安定性をもたらさずに、選択性フィルタを取り込むことを可能にし得る。また、出力インピーダンスが高いので、調整可能帯域通過フィルタは、選択性フィルタの選択性を著しく劣化することなく、開ループ回路24の負荷に配置されることが可能である。
【0023】
図3は、閉ループ回路22および開ループ回路24を含むシングルエンド型LNA14を図示する回路図である。図3の例では、閉ループ回路22はトランジスタM1、M2、抵抗器RD1、RF、およびキャパシタCを含んでいる。トランジスタM1、M2は例えば電界効果トランジスタ(FET)であり得る。トランジスタM1のゲートは入力信号を受け取る。キャパシタCの一端は入力信号を受け取るように接続され、キャパシタCの他端は直列接続の抵抗器RFの第1端に接続され得る。抵抗器RD1の一端は電圧源に接続され得る。抵抗器RD1の第2端は抵抗器RFの第2端に接続され得る。また、抵抗器RD1の第2端は、トランジスタM2のソースにも接続され得る。トランジスタM2のドレインはトランジスタM1のソースに接続され得る。トランジスタM1のドレインは、グランドに接続され得る。従って、帰還ループ27はキャパシタC、抵抗器RD1、RF、およびトランジスタM2を具備し得る。閉ループ利得増幅器26は抵抗器RD1、トランジスタM2、M1を備え得る。
【0024】
図3の例では、開ループ回路24はトランジスタM1、M3、および抵抗器RD2を含んでいる。したがって、閉ループ回路22および開ループ回路24は、いくつかの実現形態においてトランジスタM1を共有し得る。閉ループ回路22と開ループ回路24の間で共有される入力トランジスタM1は、所望のトランジスタ特性を実現する1つのトランジスタまたは並列の複数のトランジスタであり得る。トランジスタM1のゲートは入力信号を受け取る。トランジスタM1のソースはグランドに接続され得る。トランジスタM1のドレインは、トランジスタM2のソースとトランジスタM3のソースに接続され得る。トランジスタM3のソースは抵抗器RD2の第1端に接続され得る。抵抗器RD2の第2端は電圧源に接続され得る。LNA14の出力はトランジスタM3の電源電圧であり得る。トランジスタM2、M3のゲートは、トランジスタM2、M3が動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するバイアス回路(図示せず)に接続され得る。トランジスタM2、M3の相対的なサイズを調整することによって、閉ループ回路22と開ループ回路24との間の信号比を調整して全体的な回路のノイズ指数、入力整合、および利得の性能を最適化することが可能である。また、異なるバイアス電圧がトランジスタM2、M3に印加されて閉ループ回路22と開ループ回路24との間の信号比を調整することが可能である。
【0025】
LNA14の出力インピーダンスは、開ループ回路24の抵抗器RD2の値によって近似され得る。LNA14の入力インピーダンスは閉ループ回路22の入力インピーダンスRinによって支配され、次のように近似され得る。
【0026】
Rin=RF/(1+T)
ただし、T=gm*(W1/(W1+W2)*(RD1)
また、gmはトランジスタM1のトランスコンダクタンスであり、W1はトランジスタM1のゲート幅であり、W2はトランジスタM2のゲート幅である。上記の入力インピーダンス等式から分かるように、LNA14の入力インピーダンスは入力周波数に依存しない。したがって、LNA14の入力インピーダンスは、広範囲の入力周波数にわたって入力信号のインピーダンスに整合され得る。さらに、上記のように、LNA14のノイズは、閉ループ回路22内に設けられる部分的帰還トポロジーによって減じられ得る。ノイズの減少によって、ノイズ指数も減少し得る。しかしながら、帰還トポロジーは開ループ回路24の中になく、LNA14の出力インピーダンスを増加させ、また不安定性を導入せずに開ループ回路中への選択性フィルタの取り込みを可能にする。
【0027】
やはり、閉ループ回路22によってもたらされる入力インピーダンスは、入力信号の周波数に依存しない。上に示されているように、閉ループ回路22の入力インピーダンスは、帰還ループ27の信号利得が乗じられた閉ループ増幅器26の信号利得プラス1の和で除された閉ループ利得増幅器26の入力インピーダンスとしてモデル化され得る。閉ループ増幅器26および帰還ループ27の利得は、LNA14の異なる実現形態によって変わり得る。LNA14の入力インピーダンスは開ループ22の入力インピーダンスと同時に閉ループ回路22の入力インピーダンスとしてモデル化され得る。しかしながら、開ループ回路24の入力インピーダンスは、典型的には、閉ループ回路22の入力インピーダンスよりはるかに大きく構成される。したがって、LNA14の入力インピーダンスは開ループ回路24の入力インピーダンスによって影響されず、また、LNA14の入力インピーダンスは、閉ループ回路22の入力インピーダンスとほぼ同じであり得る。
【0028】
閉ループ回路22は、またLNA4に低ノイズ指数をもたらし得る。上に詳細に述べられているように、低ノイズ指数は出力内の弱い信号の劣化のない増幅を可能にする。増幅器内の要素は、本質的に、電流の無作為の変動が原因でノイズを生成する。増幅器は入力信号および固有のノイズの両方を増幅するので、増幅器の出力信号は劣化する。雑音のレベルが高い場合、増幅器の出力信号上の増幅された信号と増幅された固有のノイズを区別するのは難しいかもしれない。
【0029】
ノイズの影響を最小化するために、増幅器は高い信号対雑音比を必要とし得る。受信器10において、増幅器は弱い信号を受け取り得る。増幅器が弱い信号を受け取る場合、ノイズは高い信号対雑音比を得るために減じられねばならない。閉ループ回路22は、閉ループ利得増幅器26および帰還ループ27を備える部分的帰還トポロジーを使用して、LNA14の入力において固有のノイズを減少させ得る。LNA14の入力におけるノイズは、帰還ループ27の信号利得を乗じられた閉ループ利得26の信号利得プラス1の和で除された閉ループ利得増幅器26の入力でのノイズとして計算され得る。一般に、閉ループ回路22は、等式Rin=RF/(1+T)に従って、NF性能を劣化することなく入力抵抗インピーダンスをもたらす。LNA14の固有のノイズが減じられるのに応じて、ノイズ指数が減じられ得る。
【0030】
閉ループ回路22はインピーダンス整合と低ノイズ指数をもたらす一方、閉ループ回路22は高出力インピーダンスをもたらさないかもしれない。高出力インピーダンスは、受信器10内の様々な要素を駆動するために必要とされ得る。そこで、高出力インピーダンスおよび信号増幅が、LNA14の内の開ループ回路24によってもたらされ得る。開ループ24は、インピーダンス整合された入力信号を所望の利得で増幅する。また、開ループ回路24は高出力インピーダンスをもたらすように設計され得る。この例において、開ループ回路24の出力はLNA14の出力であり得る。開ループ22の出力が閉ループ回路22から電気的に独立しているので、開ループ回路24は高出力インピーダンスをもたらし得る。従って、閉ループ回路22のインピーダンスは開ループ回路24の出力インピーダンスに著しく影響せず、また開ループ回路24の出力インピーダンスは目標値に設計され得る。
【0031】
図4は、閉ループ回路および開ループ回路を含むディファレンシャル型LNA14Sを図示する回路図である。図4の例では、ディファレンシャル型LNA14Sは、正のディファレンシャル型入力信号を受け取る第1LNA14Aと、負のディファレンシャル型入力信号を受け取る第2LNA14Bと、を含んでいる。LNA14Aは、図3に関して上に記述されているように配置されたトランジスタM1、M2、M3、抵抗器RF1、RD1、およびキャパシタC1を含んでいる。LNA14Bは、LNA14Aと同一に構成され、対応するトランジスタM4、M5、M6、抵抗器RD3、RF1、およびキャパシタC2を含んでいる。トランジスタM1のゲートは入力12から正の入力信号を受け取り得る。正入力は、キャパシタC1にも接続され得る。同様に、負入力は、キャパシタC2だけでなくトランジスタM4のゲートにも接続されている。LNA14A、14Bは、正の入力端と負の入力端との間のディファレンシャル型入力信号を受け取り、かつ正の出力端と負の出力端との間の合成されたディファレンシャル型出力信号を生成するように結合される。トランジスタM2、M3、M5、およびM6のゲートは、トランジスタが動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するそれぞれのバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0032】
図5は、閉ループ回路22と、選択性フィルタ30を備えた開ループ回路24と、を含んだシングルエンド型LNA14Tを図示する回路図である。図5のLNA14Tは、図2のLNA14に実質的に相当するが、選択性フィルタ30をさらに含んでいる。図5に示されているように、選択性フィルタ30は、トランジスタM1のドレインと、開ループ回路24内のトランジスタM3のソースの間に存在し得る。いくつかの実現形態では、開ループ回路24の出力は後述のように調整可能帯域通過フィルタ、すなわち他の負荷を駆動し得る。トランジスタM2、M3のゲートは、トランジスタM2、M3が動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0033】
例えばDVB−HまたはFLO装置は、約470メガヘルツ乃至862メガヘルツの広い周波数帯内で動作し得る。しかしながら、これらの装置は、DVB−HまたはFLO帯域の外側の周波数範囲中で動作する機能を実行することがあり、またはそれらの帯域の外の周波数範囲に晒さることがある。例えば、GSM1800システムでは、入力12は、1.710ギガヘルツ乃至1.785ギガヘルツに及ぶ周波数を受け取り得る。UMTSシステムにおいては、入力12は、1.92ギガヘルツ乃至1.98ギガヘルツに及ぶ周波数を受け取り得る。無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)においては、入力12は、2.4ギガヘルツ乃至2.48ギガヘルツに及ぶ周波数を受け取り得る。
【0034】
所定の帯域の外側にある周波数の信号の伝搬は、ダウン・ミキサ16、ADC18、よびモデム20のような受信チェーン中のLNA14Tおよび他の要素の性能に悪影響を及ぼし得る。例えば、所定の帯域の外側の周波数が濾波されない場合、受信器10内のダウン・ミキサ16はこの周波数をベースバンドへと混入し、恐らくエラーを生じ得る。そして、特に、ベースバンドにおいて、所定の帯域内の周波数が所定の帯域の外側の周波数とともに重なり得る。このため、選択性フィルタ30を設けて所定の帯域の外側の周波数の信号を排斥することが望ましいかもしれない。選択性フィルタ30は、所望の周波数帯の信号に低インピーダンスを提供し、所定の帯域の外側の信号(例えば妨害信号)に高インピーダンスを提供する排斥フィルタとして働き得る。選択性フィルタ30は開ループ回路24内に不安定性を引き起こさずに組込まれることが可能である。
【0035】
選択性フィルタ30は帯域外信号を排斥し、LNA14の構成と調和するシングルエンドまたはディファレンシャル型フィルタとして構成され得る。場合によっては、選択性フィルタ30はノッチ・フィルタを備え得る。ノッチ・フィルタは、ある周波数で信号の電力を減じ得る。一例として、ノッチ・フィルタは、所定の帯域(例えば470メガヘルツ乃至862メガヘルツ)内の信号を通しながら、1.8ギガヘルツ乃至2.4ギガヘルツで信号を著しく減ずるように設計されることが可能である。もちろん、減衰の量、および減じられる周波数は、設計考慮事項に依存して変わり得る。また、選択性フィルタ24は、ノッチ・フィルタに加えて他のフィルタ、例として低域フィルタを含み得る。
【0036】
図6は、閉ループ回路と、選択性フィルタを備えた開ループ回路と、を含んだディファレンシャル型LNA14Uを図示する回路図である。図6の例では、LNA14Uは、正のディファレンシャル型入力信号を受け取る第1のLNA14Aと、負のディファレンシャル型入力信号を受け取る第2LNA14Bと、を含んでいる。LNA14Aは、図3に関して上に記述されているように配置されたトランジスタM1、M2、M3、抵抗器RF1、RD1、およびキャパシタC1を含んでいる。LNA14Bは、LNA14Aと同一に構成され、対応するトランジスタM4、M5、M6、抵抗器RD3、RF1、およびキャパシタC2を含んでいる。トランジスタM2、M3、M5、およびM6のゲートは、トランジスタが動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するそれぞれのバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0037】
LNA14A、14Bは選択性フィルタ30A、30Bをそれぞれ含むか、共有の選択性フィルタの一部を含み得る。各選択性フィルタ30A、30Bは、それぞれのLNA14A、14Bの開ループ回路24内に配置され得る。LNA14Aおよび14Bは、正および負の入力端間でディファレンシャル型入力信号を受け取り、開ループ回路24中に(例えばノッチ・フィルタによって)選択的周波数フィルタリングを適用し、正の出力端および負の出力端とで一体のディファレンシャル型出力信号を生成するように結合されている。電流源32が、いくつかの実現形態で設けられ、LNA14AおよびLNA14Bの間で共用され得る。電流源32は、回路の完全なディファレンシャル型動作を可能にする。しかしながら、電流源32は随意的である。図6に示されているように、電流源32はトランジスタM1およびM4のドレインとグランドの間に広がり得る。
【0038】
図7は、閉ループ回路22、および調整可能帯域通過フィルタ34を駆動する開ループ回路24を含んだシングルエンド型LNAを14V図示する回路図である。図7の例では、LNA14Vは、概して図3のLNA14に一致するが、出力負荷として調整可能帯域通過フィルタ34を含んでいる。また、図7に示されているように、LNA14は抵抗器RD2を省略し得る。調整可能帯域通過フィルタ34は、開ループ回路24内でトランジスタM3のドレインと電源との間に接続され、LNA14の具体的な実現形態に応じてシングルエンド型またはディファレンシャル型であり得る。やはり、トランジスタM2およびM3のゲートは、トランジスタM2およびM3が動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0039】
例として、調整可能帯域通過フィルタ34は帯域の選別および妨害信号の排斥をサポートするように構成され得る。このように、調整可能帯域通過フィルタ34は、所望の帯域への調整を可能にし、選択的なフィルタ30によってもたらされる妨害信号の排斥を補い得る。また、ディファレンシャル型の実現形態では、調整可能帯域通過フィルタ34は、シングル型のディファレンシャル型への変換のために設けられ得る。これは、LNAによっては必要なことであり得る。
【0040】
調整可能帯域通過フィルタ34は高インピーダンス負荷をもたらし得、したがって、高インピーダンス出力を必要とする。開ループ回路24は、調整可能帯域通過フィルタ34を駆動するための所望の出力インピーダンスをもたらすことが可能である。また、開ループ回路24は上記のような選択性フィルタ30を含むことが可能である。しかしながら、同時に、閉ループ回路22は所望の入力インピーダンスおよびノイズ整合をもたらす。
【0041】
図8は、閉ループ回路22と、調整可能帯域通過フィルタ34を駆動する開ループ回路24と、を含んだディファレンシャル型LNAを14Wを図示する回路図である。図8の例では、第1のLNA14Aは正のディファレンシャル型入力信号を受け取る。また、第2のLNA14Bは負のディファレンシャル型入力信号を受け取る。LNA14Aは、図3に関して上に記述されているように配置されたトランジスタM1、M2、M3、抵抗器RF1、RD1、およびキャパシタC1を含んでいる。LNA14Bは、LNA14Aと同一に構成され、対応するトランジスタM4、M5、M6、抵抗器RD3、RF2、およびキャパシタC2を含んでいる。前の例と同様に、トランジスタM2、M3およびM5、M6のゲートは、トランジスタが動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するそれぞれのバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0042】
各LNA14A、14Bは調整可能帯域通過フィルタ34A、34Bをそれぞれ駆動するか、共有の調整可能帯域通過フィルタの一部を駆動する。各帯域通過フィルタ34A、34Bは、それぞれのLNA14A、14Bの開ループ回路24のための負荷として配置され得る。LNA14A、14Bは、正の入力端および負の入力端の間のディファレンシャル型入力信号を受け取り、調整可能帯域通過フィルタ34A、34Bを駆動し、調整可能帯域通過フィルタによってもたらされる、正の出力端および負の出力端とで一体のディファレンシャル型出力信号を生成するように結合されている。また、トランジスタM1、M4のソースをグランドに接続する共通ノードから伸びる随意的な電流源32が、図8に示されている。
【0043】
図9は、閉ループ回路22と、選択性フィルタ30を含むとともに調整可能帯域通過フィルタ34を駆動する開ループ回路24と、を含んだシングルエンド型LNA14Xを図示する回路図である。図9の例では、LNA14Xは、図3のLNA14に概して一致し、開ループ回路24において選択性フィルタ30を含んでいるとともに調整可能帯域通過フィルタ34を駆動する。この場合、選択性フィルタ30は、所定の帯域の外側の周波数の妨害信号の排斥をもたらし、調整可能帯域通過フィルタ34は、さらなる加妨害信号の排斥と、LNA14Xによって通過させられた広帯域内の特定の周波数副帯に選択的に合わせる能力と、をもたらす。やはり、閉ループ回路22は望ましい入力インピーダンスおよびノイズ整合をもたらし、一方、開ループ回路24は入力信号を増幅し、調整可能帯域通過フィルタ34を駆動するための所望の出力インピーダンスを生成し、選択性フィルタ30をLNA14Xへ取り込むことをサポートする。トランジスタM2、M3のゲートは、トランジスタM2、M3が動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0044】
図10は、閉ループ回路22と、選択性フィルタ30A、30Bを備えるとともに調整可能帯域通過フィルタ34A、34Bを駆動する開ループ回路24と、を含むディファレンシャル型LNA14Yを図示する回路図である。図10の例では、第1のLNA14Aは正のディファレンシャル型入力信号を受け取り、第2のLNA14Bは負のディファレンシャル型入力信号を受け取る。LNA14Aは、図3に関して上に記述されているように配置されたトランジスタM1、M2、M3、抵抗器RF1、RD1、およびキャパシタC1を含んでいる。LNA14Bは、LNA14Aと同一に構成され、対応するトランジスタM4、M5、M6、抵抗器RD3、RF1、およびキャパシタC2を含んでいる。前の例と同様に、トランジスタM2、M3、M5、M6のゲートは、トランジスタが動作の能動領域にとどまるように、バイアス電流を印加するそれぞれのバイアス回路(図示せず)に接続され得る。
【0045】
各LNA14A、14Bは、それぞれ、トランジスタM1とトランジスタM3との間、およびトランジスタM4とトランジスタM6との間の選択性フィルタ30A、30Bを含んでいる。また、各LNA14A、14Bはそれぞれの調整可能帯域通過フィルタ34A、34B、または共有の調整可能帯域通過フィルタの一部を駆動する。LNA14A、14Bは、正の入力端および負の入力端の間のディファレンシャル型入力信号を受け取り、調整可能帯域通過フィルタ34A、34Bを駆動し、調整可能帯域通過フィルタによってもたらされる、正の出力端および負の出力端で一体のディファレンシャル型出力信号を生成するように結合されている。また、トランジスタM1、M4のソースをグランドに接続する共通ノードから伸びる随意的な電流源32が、図8に示されている。
【0046】
図11は、閉ループ回路22と、選択性フィルタ30を含むとともに調整可能帯域通過フィルタ34を駆動する開ループ回路24と、を具備するディファレンシャル型LNA14Zをより詳細に図示する別の回路図である。図11の例では、LNA14AはトランジスタM1、M2、およびM3、抵抗器RF、RD1、およびキャパシタC1を含んでいる。LNA14BはトランジスタM4、M5、およびM6、抵抗器RF2、RD3、およびキャパシタC2を含んでいる。選択性フィルタ24の一端は、トランジスタM1のドレインおよびトランジスタM2のソースに接続されている。選択性フィルタ24の他端は、トランジスタM4のドレインおよびトランジスタM5のソースに接続されている。
【0047】
選択性フィルタ24は2つのトランジスタM7、M8、およびインダクタコイルL3乃至L6、およびキャパシタC5乃至C16を具備する2本のLCタンク回路を備え得る。インダクタL3、C5は互いに並列接続され得る。L3とC5の並列結合の第1端は、キャパシタC6を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM3のドレインに共通に接続されている。L3とC5の並列結合の第2端は、キャパシタC8を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM7のソースに共通に接続されている。インダクタL4およびキャパシタC10は同様に並列接続されている。L4とC10の並列結合の第1端は、キャパシタC7を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM6のドレインに共通に接続されている。L4とC10の第2端は、キャパシタC9を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM8のソースに共通に接続されている。電圧源の第2端へのキャパシタC7に直列に接続され得る。並列結合の第2端は、電圧源の第2端へのキャパシタC9に直列に接続され得る。
【0048】
インダクタL5およびキャパシタC11は互いに並列接続される。L5とC11の並列結合の第1端は、キャパシタC12を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM7のドレインに共通に接続され得る。L5とC11の並列結合の第2端は、キャパシタC14を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM1のソースおよびトランジスタM2のドレインに共通に接続されている。インダクタL6およびキャパシタC16は互いに並列接続され得る。L6とC16の並列結合の第1端は、キャパシタC13を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM8のドレインに共通に接続されている。L6とC16の並列結合の第2端は、キャパシタC15を介してグランドに共通に接続されているとともにトランジスタM4のソースおよびトランジスタM5のドレインに共通に接続されている。
【0049】
調整可能帯域通過フィルタ34は2つのインダクタL1、L2、2つの可変キャパシタC3、C4、および2つのトランジスタM3、M6を具備し得る。可変キャパシタC3、C4は、調整可能帯域通過フィルタ34を所望の帯域に合わせるために選択的に切り替えられることが可能なスイッチ・キャパシタ・ネットワークによって形成され得る。インダクタL1および可変キャパシタC3は並列接続されている。同様に、インダクタL2および可変キャパシタC4は並列接続されている。L1とC3の並列結合は、L2とC4の並列結合に電磁的に(electromagnetically)接続され得る。インダクタL2の中央タップは電圧源に接続され得る。L2とC4の並列結合の第1端は、トランジスタM3のドレインに接続され得る。L2とC4の並列結合の第2端は、トランジスタM6のドレインに接続され得る。トランジスタM3のソースは、選択性フィルタ30のインダクタL3およびキャパシタC5の並列結合の第1端に接続され得る。トランジスタM6のソースは、選択性フィルタ30のインダクタL4およびキャパシタC10の並列結合の第1端に接続され得る。
【0050】
選択性フィルタ30は、事実上、ダブルカスケード型楕円排斥フィルタを形成する。該して、トランジスタM7およびM8のドレイン・ノードにおける帯域信号は低インピーダンスを経験し、他方、所定の帯域の外側の妨害信号は高インピーダンスを経験する。また、トランジスタM7およびM8のドレインから流れ出てキャパシタC12およびC13をまたぐ帯域信号は、高インピーダンスを経験し、他方、妨害信号は低インピーダンスを経験してグランドへ分路される。したがって、選択性フィルタ30では、妨害信号が排斥される一方、所定の帯域内の信号は増幅される。高度の排斥のためには、フィルタについての高いQが重要であり得る。また、インダクタL5とL6との間およびインダクタL3とL4との間の低いk(結合係数)は、インダクタL5とL6との間およびインダクタL3とL4との間の実質的な対称性と同様に重要であり得る。
【0051】
図11の例示的実現形態についての例示的回路要素の値は、以下のように提供され得る。
【0052】
トランジスタM1:975ミクロン/0.18ミクロン(ゲート幅/ゲート長)
トランジスタM2:132ミクロン/0.18ミクロン
トランジスタM7:810ミクロン/0.18ミクロン
抵抗器RF1:2.7kΩ
抵抗器RD1:1kΩ
キャパシタC1:2.5pF
インダクタL5:3nH
キャパシタC11:3pF
キャパシタC14:3pF
キャパシタC12:8pF
インダクタL3:9nH
キャパシタC5:1pF
キャパシタC8:2pF
キャパシタC6:2pF
トランジスタM3:360ミクロン/0.2ミクロン
インダクタL1:11nH
インダクタL2:11nH
キャパシタC3:230fFから3.5pFまで調整可能。
【0053】
同一の成分値が、本質的に上記の回路の半分の鏡像である、回路の残りの半分の要素に対して提供され得る。上記の回路要素の値は例および実例の目的にもたらされ、この開示に記述されている様々な例を制限すると考えられるべきでない。
【0054】
様々な例が開示された。この開示に記述されている様々なトランジスタ、抵抗器、キャパシタおよびインダクタ、および他の要素は、様々な適切な技術および製造技術のうちのいずれによっても実現され得る。例えば、そのような要素は1つ以上の集積回路装置内に形成されるか、または集積回路部品とディスクリート部品の組合せによって形成されるか、完全にディスクリート部品によって形成され得る。トランジスタはFETまたは他の種類のトランジスタであり得る。適切な要素の値、物理的性質および特性が設計要件に従って選択され得る。この設計要件は、LNAの所望の周波数応答、利得および選択性を含んでいる。また、積分回路製造の目的のためには、様々なリソグラフィー技術のうちのいずれもが使用され得る。これらの例および他の例は次の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号についてインピーダンス整合をもたらす閉ループ回路と、
閉ループ回路に接続され、前記インピーダンス整合された入力信号を増幅する開ループ回路と、
を具備する増幅器。
【請求項2】
前記閉ループ回路が入力トランジスタおよび帰還トランジスタを含み、前記開ループ利得増幅器回路が入力トランジスタおよび出力トランジスタを含んでいる、請求項1の増幅器。
【請求項3】
前記入力トランジスタのゲートが入力信号を受け取り、前記帰還トランジスタのドレインが入力トランジスタのソースに接続され、前記出力トランジスタのドレインが前記入力トランジスタのソースに接続され、前記帰還トランジスタのソースが帰還ループを介して前記入力トランジスタのゲートに接続されている、請求項2の増幅器。
【請求項4】
選択された帯域の外側の周波数を排斥する、開ループ回路内の選択性フィルタをさらに具備する、請求項1の増幅器。
【請求項5】
前記選択性フィルタがノッチ・フィルタを具備する、請求項4の増幅器。
【請求項6】
前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタをさらに具備する、請求項4の増幅器。
【請求項7】
帯域通過フィルタが調整可能型である、請求項4の増幅器。
【請求項8】
前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタをさらに具備する、請求項1の増幅器。
【請求項9】
前記帯域通過フィルタが調整可能型である、請求項1の増幅器。
【請求項10】
前記増幅器がディファレンシャル型増幅器であり、前記閉ループ回路が、前記入力信号の正の成分にインピーダンス整合をもたらす第1閉ループ回路と前記入力信号の負の成分にインピーダンス整合をもたらす第2閉ループ回路とを含み、前記開ループ回路が前記入力信号の正の成分を増幅する第1の開ループ回路と前記入力信号の負の成分を増幅する第2開ループ回路とを含んでいる、請求項1の増幅器。
【請求項11】
前記閉ループ回路が、約470メガヘルツ乃至約862メガヘルツの周波数範囲にわたって入力信号にインピーダンス整合をもたらす、請求項1の増幅器。
【請求項12】
無線周波数(RF)アンテナと、
前記アンテナによって受け取られた入力信号にインピーダンス整合をもたらす閉ループ回路と、前記閉ループ回路に接続され、前記インピーダンス整合された入力信号を増幅する開ループ回路と、具備する増幅器と、
を具備する無線受信器。
【請求項13】
前記閉ループ回路が入力トランジスタおよび帰還トランジスタを含み、前記開ループ利得増幅器回路が入力トランジスタおよび出力トランジスタを含んでいる、請求項12の受信器。
【請求項14】
前記入力トランジスタのゲートが入力信号を受け取り、前記帰還トランジスタのドレインが入力トランジスタのソースに接続され、前記出力トランジスタのドレインが前記入力トランジスタのソースに接続され、前記帰還トランジスタのソースが帰還ループを介して前記入力トランジスタのゲートに接続されている、請求項13の受信器。
【請求項15】
選択された帯域の外側の周波数を排斥する、開ループ回路内の選択性フィルタをさらに具備する、請求項12の受信器。
【請求項16】
前記選択性フィルタがノッチ・フィルタを具備する、請求項15の受信器。
【請求項17】
前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタをさらに具備する、請求項15の受信器。
【請求項18】
帯域通過フィルタが調整可能型である、請求項15の受信器。
【請求項19】
前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタをさらに具備する、請求項12の受信器。
【請求項20】
前記帯域通過フィルタが調整可能型である、請求項12の受信器。
【請求項21】
前記増幅器がディファレンシャル型増幅器であり、前記閉ループ回路が、前記入力信号の正の成分にインピーダンス整合をもたらす第1閉ループ回路と前記入力信号の負の成分にインピーダンス整合をもたらす第2閉ループ回路とを含み、前記開ループ回路が前記入力信号の正の成分を増幅する第1の開ループ回路と前記入力信号の負の成分を増幅する第2開ループ回路とを含んでいる、請求項12の受信器。
【請求項22】
前記閉ループ回路が、約470メガヘルツ乃至約862メガヘルツの周波数範囲にわたって入力信号にインピーダンス整合をもたらす、請求項1の受信器。
【請求項23】
前記増幅器の出力に接続され且つ増幅された前記入力信号の周波数をベースバンド周波数へとダウンコンバートするダウン・ミキサと、前記ベースバンドへと変換された周波数入力信号をディジタル値へと変換するAD変換器と、をさらに具備する、請求項1の受信器。
【請求項24】
閉ループ回路によって入力信号にインピーダンス整合をもたらし、
前記インピーダンス整合された入力信号を開ループ回路によって増幅する、
ことを具備し、
前記開ループ回路と前記閉ループ回路は、前記入力信号を受け取るために共通の入力トランジスタを共有する、
方法。
【請求項25】
前記閉ループ回路が入力トランジスタおよび帰還トランジスタを含み、前記開ループ利得増幅器回路が入力トランジスタおよび出力トランジスタを含んでいる、請求項24の方法。
【請求項26】
前記入力トランジスタのゲートが入力信号を受け取り、前記帰還トランジスタのドレインが入力トランジスタのソースに接続され、前記出力トランジスタのドレインが前記入力トランジスタのソースに接続され、前記帰還トランジスタのソースが帰還ループを介して前記入力トランジスタのゲートに接続されている、請求項25の方法。
【請求項27】
前記増幅された入力信号中の選択された帯域の外側の周波数を前記開ループ回路内の選択性フィルタによって排斥することをさらに具備する、請求項24の方法。
【請求項28】
前記選択性フィルタがノッチ・フィルタを具備する、請求項27の方法。
【請求項29】
前記増幅された信号を前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタによって帯域通過濾波することをさらに具備する、請求項27の方法。
【請求項30】
前記増幅された信号を前記開ループ回路の出力に接続された帯域通過フィルタによって帯域通過濾波することをさらに具備する、請求項24の方法。
【請求項31】
前記増幅器がディファレンシャル型増幅器であり、前記閉ループ回路が、前記入力信号の正の成分にインピーダンス整合をもたらす第1閉ループ回路と前記入力信号の負の成分にインピーダンス整合をもたらす第2閉ループ回路とを含み、前記開ループ回路が前記入力信号の正の成分を増幅する第1の開ループ回路と前記入力信号の負の成分を増幅する第2開ループ回路とを含んでいる、請求項24の方法。
【請求項32】
前記閉ループ回路が、約470メガヘルツ乃至約862メガヘルツの周波数範囲にわたって入力信号にインピーダンス整合をもたらす、請求項24の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−521127(P2010−521127A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553711(P2009−553711)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/056366
【国際公開番号】WO2008/112611
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】