建設機械のエンジン異常判断装置
【課題】エンジン停止後に燃料リークの発生を検出した場合でも、オペレータに対して適切に警報動作を行うことができるようにする。
【解決手段】機体コントローラ26bによりエンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生していると判断されると、バッテリリレー34をオン状態に維持し続けて、初期設定された電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させる。さらに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、警報装置35により警報動作が行われる。
【解決手段】機体コントローラ26bによりエンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生していると判断されると、バッテリリレー34をオン状態に維持し続けて、初期設定された電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させる。さらに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、警報装置35により警報動作が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のエンジン異常判断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料ポンプから圧送された燃料をコモンレール内に高圧状態で貯留し、その高圧燃料をディーゼルエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射弁に供給するコモンレール式の燃料噴射装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2に記載の燃料噴射装置では、コモンレール内の燃料圧を検出する圧力センサを設け、検出された燃料圧に基づいて燃料供給ポンプからの燃料圧送量を制御している。そして、燃料噴射弁の開閉時期を制御することで、燃料噴射量及び燃料噴射時期をそれぞれ制御するようにしている。これにより、燃料噴射ポンプとノズルとで構成された一般的な燃料噴射装置に比べて、燃料噴射制御を精度良く行うことができる。
【0004】
しかし、燃料噴射弁が内部破損したり亀裂を生じている等、燃料供給ポンプから燃料噴射弁に至る燃料供給系に異常があることを検出した場合には、燃料リークが発生してコモンレール内の燃料圧が低下するおそれがある。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1には、所定の判定期間中に検出されるコモンレール内の燃料圧変化を算出し、その燃料圧変化に基づいて燃料供給系からの燃料リークを判定することで、ディーゼルエンジンの運転中においても正確に燃料リークを検出することができる技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、燃料供給ポンプの駆動時の燃料圧を検出して、燃料供給ポンプを停止した後、所定時間以上経過したときの燃料圧を検出し、その差が所定値以上になると燃料リークがあると判定して警報ランプを点灯させるようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特許3345933号公報
【特許文献2】特開平4−350358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載のエンジンを搭載した建設機械では、エンジンキースイッチによりエンジンを停止させると、そのエンジン停止動作に連動して、警報ランプ等の警報装置を含む電装品に対する電力供給も同時に遮断されるか、又は所定時間経過後に遮断される構成となっているため、エンジン停止後に燃料リークを検出してから警報ランプを作動させてオペレータに警報しようとしても、既に警報ランプの電源が遮断されてしまって作動しないか、又は警報ランプの点灯時間が短すぎてオペレータが気付かずに建設機械から離れてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジン停止後に燃料リークの発生を検出した場合でも、オペレータに対して適切に警報動作を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明は、エンジン停止後に燃料圧を検出して、エンジン内で燃料リークが発生していると判断した場合に、警報手段に対する電力遮断時間を遅延させて、オペレータに対して確実に警報動作を行うことができるようにした。
【0010】
具体的に、本発明は、高圧状態の燃料を貯留するコモンレールが設けられたエンジンと、電装品に対して電力を供給する電源ユニットと、該エンジンを始動又は停止させるとともに該電源ユニットから該電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる切換手段とを備えた建設機械のエンジン異常判断装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、請求項1の発明は、前記切換手段により前記エンジンを停止させてから前記電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させる遅延手段と、
前記コモンレール内の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
前記電装品を構成し且つオペレータに対して所定の警報動作を行う警報手段と、
前記切換手段により前記エンジンを停止させた後、前記燃料圧検出手段で検出された燃料圧が前記電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、該エンジン内で燃料リークが発生していると判断して、前記遅延手段により該電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるとともに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、前記警報手段を作動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、制御手段により、燃料圧検出手段で検出された燃料圧が電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、エンジン内で燃料リークが発生していると判断される。このとき、遅延手段により電力遮断時間が所定の設定時間だけ遅延される。そして、警報手段は、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、警報動作を行うように制御される。
【0013】
このような構成とすれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0014】
具体的に、オペレータがエンジンを停止させた後、電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された後で警報手段を作動させると、電力遮断時間の時間設定によっては警報手段の作動時間が短すぎたり、又は全く作動しない等の不具合が生じてしまい、オペレータが運転席から離れてしまって警報手段による警報動作を見逃してしまうおそれがある。
【0015】
これに対し、本発明では、燃料リークが発生していると判断した場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるようにしたから、警報手段の作動時間を十分に長く確保して、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、
前記遅延手段は、前記警報手段に対する前記電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2の発明では、燃料リークが発生していると判断された場合に、遅延手段により、警報手段に対する電力遮断時間のみが所定の設定時間だけ遅延される。
【0018】
このような構成とすれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、警報手段に対する電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0019】
ここで、電力遮断時間の再設定は、警報手段に対してのみ行っているため、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給は、初期設定された電力遮断時間が経過した後に遮断されるとともに、警報手段にのみ引き続き電力が供給されることとなる。このように、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給を初期設定の電力遮断時間が経過した後は行わないようにすることで、装置全体として省電力化を図ることができる。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
前記制御手段により前記エンジン内で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記切換手段により前記エンジンが始動されたときに、前記記憶手段に前記エンジン異常情報が記憶されているかを判定し、該エンジン異常情報が記憶されていた場合に前記警報手段を作動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項3の発明では、燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報が記憶手段に記憶される。切換手段によりエンジンが始動されると、制御手段によりエンジン異常情報が記憶手段に記憶されているかが判定される。警報手段は、エンジン異常情報が記憶されていた場合に警報動作を行うように制御される。
【0022】
このような構成とすれば、エンジン始動時にエンジン異常情報の有無を判定することでオペレータに対して燃料リークの発生を警報することができる。ここで、オペレータがエンジン停止後の警報動作を見逃してしまって燃料リークの発生に気付かなかったとしても、エンジン停止時に記憶していたエンジン異常情報に基づいて、エンジン始動時に警報動作が行われるので、作業開始前にオペレータが確実に燃料リークの発生を認識することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0024】
すなわち、オペレータがエンジンを停止させた後、電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された後で警報手段を作動させると、電力遮断時間の時間設定によっては警報手段の作動時間が短すぎたり、又は全く作動しない等の不具合が生じてしまい、オペレータが運転席から離れてしまって警報手段による警報動作を見逃してしまうおそれがあるが、本発明では、警報手段の作動時間を十分に長く確保することができ、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る建設機械の構成を示す側面図である。図1に示すように、この建設機械1は、いわゆる油圧ショベルであり、土木工事や建設工事を行う建設現場で土砂の掘削、砕石、建物の解体などを行うものである。建設機械1は、多数の板状部材を無端状に連結してなるクローラ2を備えた下部走行体3と、下部走行体3の上側に旋回装置4を介して取り付けられた上部旋回体5とを備えている。
【0027】
前記上部旋回体5の下部には基台10が設けられ、この基台10の上面における進行方向前側には作業機構11が設けられている。この作業機構11は、基台10に対して上下方向に傾動可能に取り付けられたブーム12と、ブーム12の先端に揺動可能に取り付けられたアーム13と、アーム13の先端に連結されたバケット14とを備えている。
【0028】
前記基台10の上面における作業機構11取付部の隣りには、オペレータ用のキャビン15が配設されており、キャビン15内には、作業機構11を操作するための図示しない操作機器や空調機器が配設されている。基台10の上面における作業機構11の後方には、エンジンや油圧ポンプ等が配設されており、これらはカバー16により覆われている。さらに基台10の上面におけるカバー16後方にはカウンタウエイト17が装着されている。
【0029】
図2は、建設機械に搭載されたコモンレール式の燃料噴射装置の構成を示す概略図である。図2に示すように、この燃料噴射装置20は、ディーゼルエンジン21の気筒21aに燃料を噴射供給するインジェクタ22と、インジェクタ22に供給する高圧燃料を貯留するコモンレール23と、燃料タンク25から燃料を吸入してコモンレール23内に高圧燃料を圧送する燃料供給ポンプ24と、各種制御を行う制御回路26としてのエンジンコントローラ26aとを備えている。
【0030】
前記インジェクタ22は、供給配管20aを介してコモンレール23に接続されている。そして、エンジンコントローラ26aからのインジェクタ駆動信号に基づいてインジェクタ22が開閉動作されることで、コモンレール23に貯留されている高圧燃料がエンジン21の気筒21aの燃焼室に噴射されるようになっている。インジェクタ22には、リターン配管20bが接続されており、エンジン21を停止して燃料供給ポンプ24による燃料の圧送が停止されたときに、インジェクタ22内の燃料がリターン配管20bを介して燃料タンク25側に徐々に戻されるようになっている。
【0031】
前記コモンレール23は、インジェクタ22に供給するための高圧燃料を一時的に貯留するものであり、内部が高圧状態に維持される。コモンレール23には、その内部に貯留された燃料の燃料圧を検出するための圧力センサ23a(燃料圧検出手段)が取り付けられている。
【0032】
前記燃料供給ポンプ24は、燃料タンク25に貯留された燃料を吸入配管20cを介して吸入し且つポンプ内部で燃料を加圧することで高圧状態の燃料を生成するものであり、この高圧燃料が吐出配管20dを介してコモンレール23に圧送される。ここで、吸入配管20cの管路途中には燃料フィルタ27が接続されており、燃料タンク25内の燃料に含まれるゴミ等が燃料供給ポンプ24内に吸入されないように燃料フィルタ27で取り除かれる。
【0033】
前記エンジンコントローラ26aは、エンジン21の回転数やアクセル開度等を示す情報に基づいて、エンジン21の燃焼状態が最も良好となるような燃料噴射圧を得るための目標燃料圧を算出し、圧力センサ23aで検出したコモンレール23内の実際の燃料圧が目標燃料圧と一致するように、燃料供給ポンプ24を駆動制御してフィードバック制御を行うものである。
【0034】
次に、本発明の特徴部分である、建設機械1のエンジン異常判断装置30について説明する。図3は、建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。図3に示すように、このエンジン異常判断装置30は、エンジン21内の燃料供給ポンプ24からインジェクタ22に至る燃料供給系で燃料リークが発生しているかを判断して所定の警報動作を行うものであり、キースイッチ31(切換手段)と、バッテリリレー34(遅延手段)と、警報装置35と、圧力センサ23aと、制御回路26とを備えている。
【0035】
前記キースイッチ31は、エンジン21を始動又は停止させるエンジンスイッチ31aと、電源ユニット32から警報装置35や制御回路26等の各種電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる電源スイッチ31bとを備えている。ここで、キースイッチ31のエンジンスイッチ31aをオンにするとスタータ33が駆動してエンジン21が始動する一方、キースイッチ31をオフにするとスタータ33の停止によりエンジン21が停止するようになっている。
【0036】
前記バッテリリレー34は、キースイッチ31をオンにすることで電源ユニット32から各種電装品に対する電力供給の開始する一方、キースイッチ31をオフにしてエンジン21を停止することで、エンジン21を停止させてから各種電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させるように構成されている。これにより、エンジン21停止後もしばらくの間は各種電装品に電力が供給されるようになっている。
【0037】
前記警報装置35は、オペレータに対して所定の警報動作を行うものである。具体的には、警報ブザーや警報ランプで構成され、ブザーを鳴らしたりランプを点灯させることにより、オペレータに対してエンジンの異常を警報することができるようになっている。なお、警報装置35の別の形態として、表示モニタにエラー表示を行うことでオペレータに対して警報するようにしてもよい。また、遠隔地から建設機械1の動作状態を管理している管理者に対して警報を行いたい場合には、エラー情報を無線等で遠隔送信して警報を行うようにしてもよい。
【0038】
前記制御回路26は、エンジンコントローラ26aと、機体コントローラ26bとで構成されている。エンジンコントローラ26aは、コモンレール23内の燃料圧に基づく燃料供給ポンプ24からの燃料圧送量やインジェクタ22の開閉時期等の燃料噴射装置20の動作を制御するものである。エンジンコントローラ26aには、コモンレール23の圧力センサ23aから燃料圧を示す信号が入力される。また、機体コントローラ26bは、エンジンコントローラ26aとの間で信号の伝達を行うことで、燃料圧を示す信号が入力される。
【0039】
前記機体コントローラ26bは、バッテリリレー34や警報装置35等の各種電装品の動作を制御するものである。具体的に、エンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生しているかを判断して、燃料リークが発生している場合には、警報装置35を作動させて、オペレータに異常を警報するように制御している。
【0040】
図4は、エンジン停止後のコモンレール内の燃料圧の低下速度を示すグラフ図である。図4に示すように、エンジン21を停止したときには燃料供給ポンプ24が燃料の圧送を停止するため、コモンレール23に貯留された燃料はインジェクタ22内部からリターン配管20bを介して燃料タンク25側に徐々に戻されていく。その結果、コモンレール23内の燃料圧は徐々に低下していく。ここで、エンジン21の燃料供給系が正常に動作している場合には、エンジン21を停止した後の燃料圧は、比較的緩やかに低下していくこととなる。
【0041】
しかし、インジェクタ22が内部破損していたり亀裂を生じている等、燃料供給系に異常がある場合には、その破損箇所から燃料リークが発生することとなり、エンジン21を停止した後の燃料圧は、急激に低下することとなる。
【0042】
そこで、本発明では、キースイッチ31をオフにしてエンジン21を停止させた後、圧力センサ23aで検出された燃料圧が電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間に所定圧力(判定閾値)以下まで低下した場合に、燃料供給系で燃料リークが発生していると判断するようにしている。
【0043】
次に、建設機械1における作業開始から作業終了までの一連の動作手順について、図3及び図5を用いて説明する。図5は、建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。図5に示すように、まず、ステップS101では、キースイッチ31をオンにしてスタータ33を起動させ、続くステップS102に進む。
【0044】
ステップS102では、キースイッチ31をオンにすることでバッテリリレー34がオンとなり、エンジンコントローラ26a、機体コントローラ26b、警報装置35等の各種電装品に対して電力を供給し、続くステップS103に進む。ステップS103では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21を始動させ、続くステップS104に進む。
【0045】
ステップS104では、作業終了時にキースイッチ31をオフにしてスタータ33を停止させ、続くステップS105に進む。ステップS105では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21の停止動作が開始され、続くステップS106に進む。
【0046】
ステップS106では、圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧が検出され、続くステップS107に進む。
【0047】
ステップS107では、キースイッチ31をオフにした時点から電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間が経過した後で、再び圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧を検出し、続くステップS108に進む。
【0048】
ステップS108では、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が所定圧力以下であるかを判定する。具体的には、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が、予め設定された判定閾値を下回っているかどうかを判定する。ステップS108での判定が「YES」の場合には、燃料供給系において燃料リークが発生していると判断して、ステップS110に分岐する。ステップS108での判定が「NO」の場合には、燃料供給系に異常がない、すなわち正常に動作していると判断して、ステップS109に分岐する。ステップS109では、初期設定通りの電力遮断時間(数秒)が経過するまで待機し、続くステップS111に進む。
【0049】
ステップS110では、機体コントローラ26bにより、バッテリリレー34をオン状態に維持することで、各種電装品に対して電力を供給し続け、初期設定された電力遮断時間を遅延させる。そして、再設定後の電力遮断時間が経過するまで警報装置35としての警報ブザーを2〜30秒間鳴らし続け、続くステップS111に進む。
【0050】
ステップS111では、電力遮断時間が経過した後、バッテリリレー34をオフにすることにより、各種電装品に対する電力の供給を遮断して、処理を終了する。
【0051】
なお、電力遮断時間をどの程度の設定時間だけ遅延させるかについては、警報装置35の警報動作によって適宜変更するのが好ましい。例えば、警報ブザーを鳴らし続けてオペレータに警報を行う場合には、周囲で作業を続けている他のオペレータに対して騒音となるため、警報ブザーの吹鳴時間は短く設定することが好ましい。また、警報ランプの点灯によりオペレータに警報を行う場合には、周囲に及ぼす影響がそれほど大きくはないため、比較的長い時間点灯させ続ける設定としても構わない。
【0052】
以上のように、本実施形態1に係る建設機械1のエンジン異常判断装置30によれば、エンジン21を停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報装置35が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができ、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【0053】
なお、本実施形態1では、バッテリリレー34により警報装置35を含む全ての電装品に対して電力遮断時間を再設定するように制御したが、この形態に限定するものではなく、例えば、警報装置35に対する電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるようにしても良い。このような構成とすれば、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給は、初期設定された電力遮断時間が経過した後に遮断されるとともに、警報装置35にのみ引き続き電力が供給されることとなる。このように、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給を初期設定の電力遮断時間が経過した後は行わないようにすることで、装置全体として省電力化を図ることができる。
【0054】
<実施形態2>
図6は、本実施形態2に係る建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。前記実施形態1との違いは、エンジン異常情報を記憶する記憶装置41を設けた点であるため、以下、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0055】
図6に示すように、このエンジン異常判断装置40は、RAM等の記憶媒体で構成された記憶装置41を備えている。この記憶装置41は、機体コントローラ26bに接続されており、機体コントローラ26bによりエンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報が記憶されるようになっている。
【0056】
次に、建設機械1における作業開始から作業終了までの一連の動作手順について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。図7に示すように、まず、ステップS201では、キースイッチ31をオンにしてスタータ33を起動させ、続くステップS202に進む。
【0057】
ステップS202では、キースイッチ31をオンにすることでバッテリリレー34がオンとなり、エンジンコントローラ26a、機体コントローラ26b、警報装置35等の各種電装品に対して電力を供給し、続くステップS203に進む。ステップS203では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21を始動させ、続くステップS204に進む。
【0058】
ステップS204では、記憶装置41にエンジン異常情報が記憶されているかを判定する。ステップS204での判定が「YES」の場合には、ステップS205に分岐して、ステップS205で警報装置35としての警報ブザーを所定時間鳴らし、続くステップS206に進む。ステップS204での判定が「NO」の場合には、ステップS206に分岐する。
【0059】
ステップS206では、作業終了時にキースイッチ31をオフにしてスタータ33を停止させ、続くステップS207に進む。ステップS207では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21の停止動作が開始され、続くステップS208に進む。
【0060】
ステップS208では、圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧が検出され、続くステップS209に進む。
【0061】
ステップS209では、キースイッチ31をオフにした時点から電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間が経過した後で、再び圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧を検出し、続くステップS210に進む。
【0062】
ステップS210では、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が所定圧力以下であるかを判定する。具体的には、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が、予め設定された判定閾値を下回っているかどうかを判定する。ステップS210での判定が「YES」の場合には、燃料供給系において燃料リークが発生していると判断して、ステップS212に分岐する。ステップS210での判定が「NO」の場合には、燃料供給系に異常がない、すなわち正常に動作していると判断して、ステップS211に分岐する。ステップS211では、初期設定通りの電力遮断時間(数秒)が経過するまで待機し、続くステップS214に進む。
【0063】
ステップS212では、燃料リークが発生していることを示すエンジン異常情報を記憶装置41に記憶して、続くステップS213に進む。ステップS213では、機体コントローラ26bにより、バッテリリレー34をオン状態に維持することで、各種電装品に対して電力を供給し続け、初期設定された電力遮断時間を遅延させる。そして、再設定後の電力遮断時間が経過するまで警報装置35としての警報ブザーを2〜30秒間鳴らし続け、続くステップS214に進む。
【0064】
ステップS214では、電力遮断時間が経過した後、バッテリリレー34をオフにすることにより、各種電装品に対する電力の供給を遮断して、処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態2に係る建設機械1のエンジン異常判断装置30によれば、エンジン21始動時にエンジン異常情報の有無を判定することでオペレータに対して燃料リークの発生を警報することができる。すなわち、オペレータがエンジン21停止後の警報動作を見逃してしまって燃料リークの発生に気付かなかったとしても、エンジン21停止時に記憶装置41に記憶していたエンジン異常情報に基づいて、エンジン21始動時に警報装置35により警報動作が行われるので、作業開始前にオペレータが確実に燃料リークの発生を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、エンジン停止後に燃料リークの発生を検出した場合でも、オペレータに対して適切に警報動作を行うことができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係る建設機械の構成を示す側面図である。
【図2】建設機械に搭載されたコモンレール式の燃料噴射装置の構成を示す概略図である。
【図3】建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。
【図4】エンジン停止後のコモンレール内の燃料圧の低下速度を示すグラフ図である。
【図5】建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。
【図6】本実施形態2に係る建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。
【図7】建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0068】
1 建設機械
21 エンジン
23 コモンレール
23a 圧力センサ(燃料圧検出手段)
26 制御回路(制御手段)
26a エンジンコントローラ
26b 機体コントローラ
30 エンジン異常判断装置
31 キースイッチ(切換手段)
32 電源ユニット
34 バッテリリレー(遅延手段)
35 警報装置(警報手段)
40 エンジン異常判断装置
41 記憶装置(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のエンジン異常判断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料ポンプから圧送された燃料をコモンレール内に高圧状態で貯留し、その高圧燃料をディーゼルエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射弁に供給するコモンレール式の燃料噴射装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2に記載の燃料噴射装置では、コモンレール内の燃料圧を検出する圧力センサを設け、検出された燃料圧に基づいて燃料供給ポンプからの燃料圧送量を制御している。そして、燃料噴射弁の開閉時期を制御することで、燃料噴射量及び燃料噴射時期をそれぞれ制御するようにしている。これにより、燃料噴射ポンプとノズルとで構成された一般的な燃料噴射装置に比べて、燃料噴射制御を精度良く行うことができる。
【0004】
しかし、燃料噴射弁が内部破損したり亀裂を生じている等、燃料供給ポンプから燃料噴射弁に至る燃料供給系に異常があることを検出した場合には、燃料リークが発生してコモンレール内の燃料圧が低下するおそれがある。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1には、所定の判定期間中に検出されるコモンレール内の燃料圧変化を算出し、その燃料圧変化に基づいて燃料供給系からの燃料リークを判定することで、ディーゼルエンジンの運転中においても正確に燃料リークを検出することができる技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、燃料供給ポンプの駆動時の燃料圧を検出して、燃料供給ポンプを停止した後、所定時間以上経過したときの燃料圧を検出し、その差が所定値以上になると燃料リークがあると判定して警報ランプを点灯させるようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特許3345933号公報
【特許文献2】特開平4−350358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載のエンジンを搭載した建設機械では、エンジンキースイッチによりエンジンを停止させると、そのエンジン停止動作に連動して、警報ランプ等の警報装置を含む電装品に対する電力供給も同時に遮断されるか、又は所定時間経過後に遮断される構成となっているため、エンジン停止後に燃料リークを検出してから警報ランプを作動させてオペレータに警報しようとしても、既に警報ランプの電源が遮断されてしまって作動しないか、又は警報ランプの点灯時間が短すぎてオペレータが気付かずに建設機械から離れてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジン停止後に燃料リークの発生を検出した場合でも、オペレータに対して適切に警報動作を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明は、エンジン停止後に燃料圧を検出して、エンジン内で燃料リークが発生していると判断した場合に、警報手段に対する電力遮断時間を遅延させて、オペレータに対して確実に警報動作を行うことができるようにした。
【0010】
具体的に、本発明は、高圧状態の燃料を貯留するコモンレールが設けられたエンジンと、電装品に対して電力を供給する電源ユニットと、該エンジンを始動又は停止させるとともに該電源ユニットから該電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる切換手段とを備えた建設機械のエンジン異常判断装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、請求項1の発明は、前記切換手段により前記エンジンを停止させてから前記電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させる遅延手段と、
前記コモンレール内の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
前記電装品を構成し且つオペレータに対して所定の警報動作を行う警報手段と、
前記切換手段により前記エンジンを停止させた後、前記燃料圧検出手段で検出された燃料圧が前記電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、該エンジン内で燃料リークが発生していると判断して、前記遅延手段により該電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるとともに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、前記警報手段を作動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、制御手段により、燃料圧検出手段で検出された燃料圧が電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、エンジン内で燃料リークが発生していると判断される。このとき、遅延手段により電力遮断時間が所定の設定時間だけ遅延される。そして、警報手段は、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、警報動作を行うように制御される。
【0013】
このような構成とすれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0014】
具体的に、オペレータがエンジンを停止させた後、電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された後で警報手段を作動させると、電力遮断時間の時間設定によっては警報手段の作動時間が短すぎたり、又は全く作動しない等の不具合が生じてしまい、オペレータが運転席から離れてしまって警報手段による警報動作を見逃してしまうおそれがある。
【0015】
これに対し、本発明では、燃料リークが発生していると判断した場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるようにしたから、警報手段の作動時間を十分に長く確保して、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、
前記遅延手段は、前記警報手段に対する前記電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2の発明では、燃料リークが発生していると判断された場合に、遅延手段により、警報手段に対する電力遮断時間のみが所定の設定時間だけ遅延される。
【0018】
このような構成とすれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、警報手段に対する電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0019】
ここで、電力遮断時間の再設定は、警報手段に対してのみ行っているため、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給は、初期設定された電力遮断時間が経過した後に遮断されるとともに、警報手段にのみ引き続き電力が供給されることとなる。このように、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給を初期設定の電力遮断時間が経過した後は行わないようにすることで、装置全体として省電力化を図ることができる。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
前記制御手段により前記エンジン内で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記切換手段により前記エンジンが始動されたときに、前記記憶手段に前記エンジン異常情報が記憶されているかを判定し、該エンジン異常情報が記憶されていた場合に前記警報手段を作動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項3の発明では、燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報が記憶手段に記憶される。切換手段によりエンジンが始動されると、制御手段によりエンジン異常情報が記憶手段に記憶されているかが判定される。警報手段は、エンジン異常情報が記憶されていた場合に警報動作を行うように制御される。
【0022】
このような構成とすれば、エンジン始動時にエンジン異常情報の有無を判定することでオペレータに対して燃料リークの発生を警報することができる。ここで、オペレータがエンジン停止後の警報動作を見逃してしまって燃料リークの発生に気付かなかったとしても、エンジン停止時に記憶していたエンジン異常情報に基づいて、エンジン始動時に警報動作が行われるので、作業開始前にオペレータが確実に燃料リークの発生を認識することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エンジンを停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報手段が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができる。
【0024】
すなわち、オペレータがエンジンを停止させた後、電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された後で警報手段を作動させると、電力遮断時間の時間設定によっては警報手段の作動時間が短すぎたり、又は全く作動しない等の不具合が生じてしまい、オペレータが運転席から離れてしまって警報手段による警報動作を見逃してしまうおそれがあるが、本発明では、警報手段の作動時間を十分に長く確保することができ、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る建設機械の構成を示す側面図である。図1に示すように、この建設機械1は、いわゆる油圧ショベルであり、土木工事や建設工事を行う建設現場で土砂の掘削、砕石、建物の解体などを行うものである。建設機械1は、多数の板状部材を無端状に連結してなるクローラ2を備えた下部走行体3と、下部走行体3の上側に旋回装置4を介して取り付けられた上部旋回体5とを備えている。
【0027】
前記上部旋回体5の下部には基台10が設けられ、この基台10の上面における進行方向前側には作業機構11が設けられている。この作業機構11は、基台10に対して上下方向に傾動可能に取り付けられたブーム12と、ブーム12の先端に揺動可能に取り付けられたアーム13と、アーム13の先端に連結されたバケット14とを備えている。
【0028】
前記基台10の上面における作業機構11取付部の隣りには、オペレータ用のキャビン15が配設されており、キャビン15内には、作業機構11を操作するための図示しない操作機器や空調機器が配設されている。基台10の上面における作業機構11の後方には、エンジンや油圧ポンプ等が配設されており、これらはカバー16により覆われている。さらに基台10の上面におけるカバー16後方にはカウンタウエイト17が装着されている。
【0029】
図2は、建設機械に搭載されたコモンレール式の燃料噴射装置の構成を示す概略図である。図2に示すように、この燃料噴射装置20は、ディーゼルエンジン21の気筒21aに燃料を噴射供給するインジェクタ22と、インジェクタ22に供給する高圧燃料を貯留するコモンレール23と、燃料タンク25から燃料を吸入してコモンレール23内に高圧燃料を圧送する燃料供給ポンプ24と、各種制御を行う制御回路26としてのエンジンコントローラ26aとを備えている。
【0030】
前記インジェクタ22は、供給配管20aを介してコモンレール23に接続されている。そして、エンジンコントローラ26aからのインジェクタ駆動信号に基づいてインジェクタ22が開閉動作されることで、コモンレール23に貯留されている高圧燃料がエンジン21の気筒21aの燃焼室に噴射されるようになっている。インジェクタ22には、リターン配管20bが接続されており、エンジン21を停止して燃料供給ポンプ24による燃料の圧送が停止されたときに、インジェクタ22内の燃料がリターン配管20bを介して燃料タンク25側に徐々に戻されるようになっている。
【0031】
前記コモンレール23は、インジェクタ22に供給するための高圧燃料を一時的に貯留するものであり、内部が高圧状態に維持される。コモンレール23には、その内部に貯留された燃料の燃料圧を検出するための圧力センサ23a(燃料圧検出手段)が取り付けられている。
【0032】
前記燃料供給ポンプ24は、燃料タンク25に貯留された燃料を吸入配管20cを介して吸入し且つポンプ内部で燃料を加圧することで高圧状態の燃料を生成するものであり、この高圧燃料が吐出配管20dを介してコモンレール23に圧送される。ここで、吸入配管20cの管路途中には燃料フィルタ27が接続されており、燃料タンク25内の燃料に含まれるゴミ等が燃料供給ポンプ24内に吸入されないように燃料フィルタ27で取り除かれる。
【0033】
前記エンジンコントローラ26aは、エンジン21の回転数やアクセル開度等を示す情報に基づいて、エンジン21の燃焼状態が最も良好となるような燃料噴射圧を得るための目標燃料圧を算出し、圧力センサ23aで検出したコモンレール23内の実際の燃料圧が目標燃料圧と一致するように、燃料供給ポンプ24を駆動制御してフィードバック制御を行うものである。
【0034】
次に、本発明の特徴部分である、建設機械1のエンジン異常判断装置30について説明する。図3は、建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。図3に示すように、このエンジン異常判断装置30は、エンジン21内の燃料供給ポンプ24からインジェクタ22に至る燃料供給系で燃料リークが発生しているかを判断して所定の警報動作を行うものであり、キースイッチ31(切換手段)と、バッテリリレー34(遅延手段)と、警報装置35と、圧力センサ23aと、制御回路26とを備えている。
【0035】
前記キースイッチ31は、エンジン21を始動又は停止させるエンジンスイッチ31aと、電源ユニット32から警報装置35や制御回路26等の各種電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる電源スイッチ31bとを備えている。ここで、キースイッチ31のエンジンスイッチ31aをオンにするとスタータ33が駆動してエンジン21が始動する一方、キースイッチ31をオフにするとスタータ33の停止によりエンジン21が停止するようになっている。
【0036】
前記バッテリリレー34は、キースイッチ31をオンにすることで電源ユニット32から各種電装品に対する電力供給の開始する一方、キースイッチ31をオフにしてエンジン21を停止することで、エンジン21を停止させてから各種電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させるように構成されている。これにより、エンジン21停止後もしばらくの間は各種電装品に電力が供給されるようになっている。
【0037】
前記警報装置35は、オペレータに対して所定の警報動作を行うものである。具体的には、警報ブザーや警報ランプで構成され、ブザーを鳴らしたりランプを点灯させることにより、オペレータに対してエンジンの異常を警報することができるようになっている。なお、警報装置35の別の形態として、表示モニタにエラー表示を行うことでオペレータに対して警報するようにしてもよい。また、遠隔地から建設機械1の動作状態を管理している管理者に対して警報を行いたい場合には、エラー情報を無線等で遠隔送信して警報を行うようにしてもよい。
【0038】
前記制御回路26は、エンジンコントローラ26aと、機体コントローラ26bとで構成されている。エンジンコントローラ26aは、コモンレール23内の燃料圧に基づく燃料供給ポンプ24からの燃料圧送量やインジェクタ22の開閉時期等の燃料噴射装置20の動作を制御するものである。エンジンコントローラ26aには、コモンレール23の圧力センサ23aから燃料圧を示す信号が入力される。また、機体コントローラ26bは、エンジンコントローラ26aとの間で信号の伝達を行うことで、燃料圧を示す信号が入力される。
【0039】
前記機体コントローラ26bは、バッテリリレー34や警報装置35等の各種電装品の動作を制御するものである。具体的に、エンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生しているかを判断して、燃料リークが発生している場合には、警報装置35を作動させて、オペレータに異常を警報するように制御している。
【0040】
図4は、エンジン停止後のコモンレール内の燃料圧の低下速度を示すグラフ図である。図4に示すように、エンジン21を停止したときには燃料供給ポンプ24が燃料の圧送を停止するため、コモンレール23に貯留された燃料はインジェクタ22内部からリターン配管20bを介して燃料タンク25側に徐々に戻されていく。その結果、コモンレール23内の燃料圧は徐々に低下していく。ここで、エンジン21の燃料供給系が正常に動作している場合には、エンジン21を停止した後の燃料圧は、比較的緩やかに低下していくこととなる。
【0041】
しかし、インジェクタ22が内部破損していたり亀裂を生じている等、燃料供給系に異常がある場合には、その破損箇所から燃料リークが発生することとなり、エンジン21を停止した後の燃料圧は、急激に低下することとなる。
【0042】
そこで、本発明では、キースイッチ31をオフにしてエンジン21を停止させた後、圧力センサ23aで検出された燃料圧が電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間に所定圧力(判定閾値)以下まで低下した場合に、燃料供給系で燃料リークが発生していると判断するようにしている。
【0043】
次に、建設機械1における作業開始から作業終了までの一連の動作手順について、図3及び図5を用いて説明する。図5は、建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。図5に示すように、まず、ステップS101では、キースイッチ31をオンにしてスタータ33を起動させ、続くステップS102に進む。
【0044】
ステップS102では、キースイッチ31をオンにすることでバッテリリレー34がオンとなり、エンジンコントローラ26a、機体コントローラ26b、警報装置35等の各種電装品に対して電力を供給し、続くステップS103に進む。ステップS103では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21を始動させ、続くステップS104に進む。
【0045】
ステップS104では、作業終了時にキースイッチ31をオフにしてスタータ33を停止させ、続くステップS105に進む。ステップS105では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21の停止動作が開始され、続くステップS106に進む。
【0046】
ステップS106では、圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧が検出され、続くステップS107に進む。
【0047】
ステップS107では、キースイッチ31をオフにした時点から電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間が経過した後で、再び圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧を検出し、続くステップS108に進む。
【0048】
ステップS108では、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が所定圧力以下であるかを判定する。具体的には、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が、予め設定された判定閾値を下回っているかどうかを判定する。ステップS108での判定が「YES」の場合には、燃料供給系において燃料リークが発生していると判断して、ステップS110に分岐する。ステップS108での判定が「NO」の場合には、燃料供給系に異常がない、すなわち正常に動作していると判断して、ステップS109に分岐する。ステップS109では、初期設定通りの電力遮断時間(数秒)が経過するまで待機し、続くステップS111に進む。
【0049】
ステップS110では、機体コントローラ26bにより、バッテリリレー34をオン状態に維持することで、各種電装品に対して電力を供給し続け、初期設定された電力遮断時間を遅延させる。そして、再設定後の電力遮断時間が経過するまで警報装置35としての警報ブザーを2〜30秒間鳴らし続け、続くステップS111に進む。
【0050】
ステップS111では、電力遮断時間が経過した後、バッテリリレー34をオフにすることにより、各種電装品に対する電力の供給を遮断して、処理を終了する。
【0051】
なお、電力遮断時間をどの程度の設定時間だけ遅延させるかについては、警報装置35の警報動作によって適宜変更するのが好ましい。例えば、警報ブザーを鳴らし続けてオペレータに警報を行う場合には、周囲で作業を続けている他のオペレータに対して騒音となるため、警報ブザーの吹鳴時間は短く設定することが好ましい。また、警報ランプの点灯によりオペレータに警報を行う場合には、周囲に及ぼす影響がそれほど大きくはないため、比較的長い時間点灯させ続ける設定としても構わない。
【0052】
以上のように、本実施形態1に係る建設機械1のエンジン異常判断装置30によれば、エンジン21を停止させた後の電力遮断時間内に燃料リークが発生していると判断された場合に、電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させることで、警報装置35が警報動作を行うための時間を十分に長く確保することができ、オペレータが警報動作を見逃すおそれを低減することができる。
【0053】
なお、本実施形態1では、バッテリリレー34により警報装置35を含む全ての電装品に対して電力遮断時間を再設定するように制御したが、この形態に限定するものではなく、例えば、警報装置35に対する電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるようにしても良い。このような構成とすれば、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給は、初期設定された電力遮断時間が経過した後に遮断されるとともに、警報装置35にのみ引き続き電力が供給されることとなる。このように、警報動作に直接必要のない電装品に対する電力供給を初期設定の電力遮断時間が経過した後は行わないようにすることで、装置全体として省電力化を図ることができる。
【0054】
<実施形態2>
図6は、本実施形態2に係る建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。前記実施形態1との違いは、エンジン異常情報を記憶する記憶装置41を設けた点であるため、以下、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0055】
図6に示すように、このエンジン異常判断装置40は、RAM等の記憶媒体で構成された記憶装置41を備えている。この記憶装置41は、機体コントローラ26bに接続されており、機体コントローラ26bによりエンジン21内の燃料供給系で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報が記憶されるようになっている。
【0056】
次に、建設機械1における作業開始から作業終了までの一連の動作手順について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。図7に示すように、まず、ステップS201では、キースイッチ31をオンにしてスタータ33を起動させ、続くステップS202に進む。
【0057】
ステップS202では、キースイッチ31をオンにすることでバッテリリレー34がオンとなり、エンジンコントローラ26a、機体コントローラ26b、警報装置35等の各種電装品に対して電力を供給し、続くステップS203に進む。ステップS203では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21を始動させ、続くステップS204に進む。
【0058】
ステップS204では、記憶装置41にエンジン異常情報が記憶されているかを判定する。ステップS204での判定が「YES」の場合には、ステップS205に分岐して、ステップS205で警報装置35としての警報ブザーを所定時間鳴らし、続くステップS206に進む。ステップS204での判定が「NO」の場合には、ステップS206に分岐する。
【0059】
ステップS206では、作業終了時にキースイッチ31をオフにしてスタータ33を停止させ、続くステップS207に進む。ステップS207では、エンジンコントローラ26aによりエンジン21の停止動作が開始され、続くステップS208に進む。
【0060】
ステップS208では、圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧が検出され、続くステップS209に進む。
【0061】
ステップS209では、キースイッチ31をオフにした時点から電力遮断時間内における所定の燃料リーク判定時間が経過した後で、再び圧力センサ23aによりコモンレール23内の燃料圧を検出し、続くステップS210に進む。
【0062】
ステップS210では、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が所定圧力以下であるかを判定する。具体的には、燃料リーク判定時間経過後の燃料圧が、予め設定された判定閾値を下回っているかどうかを判定する。ステップS210での判定が「YES」の場合には、燃料供給系において燃料リークが発生していると判断して、ステップS212に分岐する。ステップS210での判定が「NO」の場合には、燃料供給系に異常がない、すなわち正常に動作していると判断して、ステップS211に分岐する。ステップS211では、初期設定通りの電力遮断時間(数秒)が経過するまで待機し、続くステップS214に進む。
【0063】
ステップS212では、燃料リークが発生していることを示すエンジン異常情報を記憶装置41に記憶して、続くステップS213に進む。ステップS213では、機体コントローラ26bにより、バッテリリレー34をオン状態に維持することで、各種電装品に対して電力を供給し続け、初期設定された電力遮断時間を遅延させる。そして、再設定後の電力遮断時間が経過するまで警報装置35としての警報ブザーを2〜30秒間鳴らし続け、続くステップS214に進む。
【0064】
ステップS214では、電力遮断時間が経過した後、バッテリリレー34をオフにすることにより、各種電装品に対する電力の供給を遮断して、処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態2に係る建設機械1のエンジン異常判断装置30によれば、エンジン21始動時にエンジン異常情報の有無を判定することでオペレータに対して燃料リークの発生を警報することができる。すなわち、オペレータがエンジン21停止後の警報動作を見逃してしまって燃料リークの発生に気付かなかったとしても、エンジン21停止時に記憶装置41に記憶していたエンジン異常情報に基づいて、エンジン21始動時に警報装置35により警報動作が行われるので、作業開始前にオペレータが確実に燃料リークの発生を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、エンジン停止後に燃料リークの発生を検出した場合でも、オペレータに対して適切に警報動作を行うことができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係る建設機械の構成を示す側面図である。
【図2】建設機械に搭載されたコモンレール式の燃料噴射装置の構成を示す概略図である。
【図3】建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。
【図4】エンジン停止後のコモンレール内の燃料圧の低下速度を示すグラフ図である。
【図5】建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。
【図6】本実施形態2に係る建設機械のエンジン異常判断装置の構成を示す電気回路図である。
【図7】建設機械の動作手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0068】
1 建設機械
21 エンジン
23 コモンレール
23a 圧力センサ(燃料圧検出手段)
26 制御回路(制御手段)
26a エンジンコントローラ
26b 機体コントローラ
30 エンジン異常判断装置
31 キースイッチ(切換手段)
32 電源ユニット
34 バッテリリレー(遅延手段)
35 警報装置(警報手段)
40 エンジン異常判断装置
41 記憶装置(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧状態の燃料を貯留するコモンレールが設けられたエンジンと、電装品に対して電力を供給する電源ユニットと、該エンジンを始動又は停止させるとともに該電源ユニットから該電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる切換手段とを備えた建設機械のエンジン異常判断装置であって、
前記切換手段により前記エンジンを停止させてから前記電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させる遅延手段と、
前記コモンレール内の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
前記電装品を構成し且つオペレータに対して所定の警報動作を行う警報手段と、
前記切換手段により前記エンジンを停止させた後、前記燃料圧検出手段で検出された燃料圧が前記電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、該エンジン内で燃料リークが発生していると判断して、前記遅延手段により該電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるとともに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、前記警報手段を作動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記遅延手段は、前記警報手段に対する前記電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるように構成されていることを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御手段により前記エンジン内で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記切換手段により前記エンジンが始動されたときに、前記記憶手段に前記エンジン異常情報が記憶されているかを判定し、該エンジン異常情報が記憶されていた場合に前記警報手段を作動させるように構成されていることを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【請求項1】
高圧状態の燃料を貯留するコモンレールが設けられたエンジンと、電装品に対して電力を供給する電源ユニットと、該エンジンを始動又は停止させるとともに該電源ユニットから該電装品に対する電力供給を開始又は遮断させる切換手段とを備えた建設機械のエンジン異常判断装置であって、
前記切換手段により前記エンジンを停止させてから前記電装品に対する電力供給が遮断されるまでの電力遮断時間を遅延させる遅延手段と、
前記コモンレール内の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
前記電装品を構成し且つオペレータに対して所定の警報動作を行う警報手段と、
前記切換手段により前記エンジンを停止させた後、前記燃料圧検出手段で検出された燃料圧が前記電力遮断時間内の所定時間に所定圧力以下まで低下した場合に、該エンジン内で燃料リークが発生していると判断して、前記遅延手段により該電力遮断時間を所定の設定時間だけ遅延させるとともに、再設定された電力遮断時間が経過するまでの間、前記警報手段を作動させるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記遅延手段は、前記警報手段に対する前記電力遮断時間のみを所定の設定時間だけ遅延させるように構成されていることを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御手段により前記エンジン内で燃料リークが発生していると判断された場合に、燃料リークの発生を示すエンジン異常情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記切換手段により前記エンジンが始動されたときに、前記記憶手段に前記エンジン異常情報が記憶されているかを判定し、該エンジン異常情報が記憶されていた場合に前記警報手段を作動させるように構成されていることを特徴とする建設機械のエンジン異常判断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−48167(P2010−48167A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212943(P2008−212943)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】
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