説明

心的外傷後ストレス障害の治療用4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド

4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで心的外傷後ストレス障害を治療する方法が提供される。また、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで回復力を改善する方法が提供される。また、患者の心的外傷後ストレス障害を診断する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、35 U.S.C. §119(e)の下で2007年7月23日に出願された米国仮特許出願番号60/935,035号、「心的外傷後ストレス障害の治療用4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド」に対する優先権およびその利益を主張するものであって、該出願は全体として参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、心的外傷後ストレス障害を治療する方法、より具体的には4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで心的外傷後ストレス障害を治療する方法に関する。また、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで回復力を改善する方法が提供される。また、特に患者の心的外傷後ストレス障害を診断する方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
不安障害は、最も一般的に生じる精神疾患の障害であり、巨額の経済的負担を伴う。全般性不安障害に加えて、それらは心的外傷後ストレス障害、パニック障害、強迫性障害ならびに社会恐怖症および他の恐怖症を含む。
【0004】
心的外傷後ストレス障害は重症かつ慢性的になり得、一部の研究では生涯有病率が一般人口の1.3%〜7.8%であると示唆されている。心的外傷後ストレス障害は、典型的には心理的苦痛をもたらす心的外傷的出来事の後に生じる。これらの出来事は、例えば、戦闘、テロ事件、身体的暴行、性的暴行、自動車事故、および自然災害を含みうる。出来事に対する反応は、激しい不安、無力感、または恐怖を含みうる。ほとんどの人々は時間とともに心的外傷的出来事から回復し、普通の生活に戻る。対照的に、心的外傷後ストレス障害にかかった人々においては、症状が持続し、時間とともに悪化し得、普通の生活に戻ることを妨げる。
【0005】
心理療法は、現在、心的外傷後障害治療の中心である。その方法は、認知行動療法、疑似体験療法、および眼球運動による脱感作と再処理を含む。薬物は、心理療法の有効性を増強しうる。セルトラリン(ゾロフト(Zoloft(登録商標)))およびパロキセチン(パキシル(Paxil(登録商標)))などの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、PTSDを治療するために食品医薬品局によって認可された数少ない薬物である。多くの所望でない副作用および特徴が、SSRI使用と関連する。これらは薬物相互作用についての懸念、胃腸の副作用、性的な副作用、自殺念慮、急性不安惹起作用、および行動の開始の遅れを含む。一部の三環系抗うつ薬(TCA)およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)は、ある程度の有効性を有するようであるが、副作用の高発生率のために患者の耐容性は低い。MAOIは食事制限が必要であり、高血圧発症と関連する。TCAは抗コリン作用性および心血管系副作用を有する。小規模プラセボ対照研究において、ナトリウムチャネルブロッカーであるラモトリジンは、心的外傷後ストレス障害を治療するある程度の有効性を示してきた。用量設定の必要性および生命にかかわる発疹であるスティーブン・ジョンソン症候群を発症するリスクのためにラモトリジンの使用が困難であることは、この薬物を治療上の使用における質の悪い候補にしている。
【0006】
安全で効果的な心的外傷後ストレス障害の治療の開発が必要である。
【0007】
アデノシンおよびその受容体は、中枢神経系活動の調節において多機能を有する。神経伝達物質としてのアデノシンの作用は、Gタンパク質共役受容体のファミリーに属するアデノシン受容体を通じて媒介される。これまでに4つのアデノシン受容体、A、A2A、A2B、A、が知られている。アデノシンによるアデノシン受容体の活性化は、シグナル伝達機構を開始する。各アデノシン受容体サブタイプは、古典的にはアデニル酸シクラーゼエフェクター系によって特徴づけられてきたが、それは二次メッセンジャーとして環状アデノシン一リン酸(cAMP)を利用する。AlおよびA3受容体はGiタンパク質と共役し、アデニル酸シクラーゼを阻害し、細胞のcAMPレベルの減少をもたらすが、一方でA2AおよびA2B受容体はGsタンパク質と共役し、アデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞のcAMPレベルの増加をもたらす。
【0008】
受容体が脳内に広く分布する一方で、A2BおよびA受容体の分布は、はっきりとは分かっていない。A2A受容体は、線条体、側坐核および嗅結節などの別々の脳の領域に非常に多く存在するが、これは神経伝達の調節におけるこれらの受容体の提案されている役割と一致する。これらの脳の領域は、情動のコントロール、報酬および快に関与し、それゆえ、動機の行動への変換の調節において中心に位置する。アデノシンシグナル伝達は、ドーパミン作動性シグナル伝達も間接的に調節しうる。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、A2A受容体アンタゴニストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
心的外傷後ストレス障害と診断された患者を治療する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与することを含む。
【0010】
また、患者の心的外傷後ストレス障害を治療する方法が提供される。方法は、患者を心的外傷後ストレス障害と診断すること;4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること;心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させた場合、心的外傷後ストレス症候群が改善されたと決定すること、を含む。
【0011】
また、患者の回復力を改善する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を投与することを含む。
【0012】
また、患者の心的外傷後ストレス障害を診断する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること、および心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させる場合、患者の心的外傷後ストレス障害を診断することを含む。特定の実施態様では、患者は小児、青年、または成人である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ラットのAPEC誘発性運動低下の回復を示す
【0014】
【図2】図2は、ラットの水泳ストレス試験における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの結果を示す
【0015】
【図3】図3は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドによるラットのストレス誘発性無快感症の回復を示す
【0016】
【図4】図4は、ラットの低反応率分化強化(30秒)試験を示す
【0017】
【図5】図5は、ラットの高架式十字迷路試験の結果を示す
【0018】
【図6】図6は、ラットの受動的回避試験の結果を示す
【0019】
【図7】図7は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの構造を示す
【0020】
【図8】図8は、放射性リガンド結合アッセイ条件を示す
【0021】
【図9】図9は、さまざまな動物種におけるA1、A2A、A2B、およびA3受容体での4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの親和性を示す。
【0022】
【図10】図10は、FLIPR(1)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0023】
【図11】図11は、FLIPR(2)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0024】
【図12】図12は、FLIPR(3)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0025】
【図13】図13は、FLIPR(4)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0026】
【図14】図14は、FLIPR(5)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0027】
【図15】図15は、FLIPR(6)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA1−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0028】
【図16】図16は、FLIPR(1)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0029】
【図17】図17は、FLIPR(2)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0030】
【図18】図18は、FLIPR(3)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0031】
【図19】図19は、FLIPR(4)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0032】
【図20】図20は、FLIPR(5)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体Ca2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0033】
【図21】図21は、FLIPR(6)を用いたCHO細胞内のアデノシンヒトA2A−Gα16受容体のアデノシン受容体C2+流についての生データ、曲線およびデータ計算を示す
【0034】
【図22】図22は、結合アッセイの一般的手順を示す
【0035】
【図23】図23は、結合アッセイの一般的手順を示す
【0036】
【図24】図24は、結合アッセイの一般的手順を示す
【0037】
【図25】図25は、結合アッセイの一般的手順を示す
【0038】
【図26】図26は、実験条件を示す
【0039】
【図27】図27は、実験条件を示す
【0040】
【図28】図28は、実験条件を示す
【0041】
【図29】図29は、実験条件を示す
【0042】
【図30】図30は、実験条件を示す
【0043】
【図31】図31は、実験条件を示す
【0044】
【図32】図32は、実験条件を示す
【0045】
【図33】図33は、酵素アッセイの一般的手順を示す
【0046】
【図34】図34は、酵素アッセイの実験条件を示す
【0047】
【図35】図35は、酵素アッセイの実験条件を示す
【0048】
【図36】図36は、酵素アッセイの実験条件を示す
【0049】
【図37】図37は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0050】
【図38】図38は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0051】
【図39】図39は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0052】
【図40】図40は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0053】
【図41】図41は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0054】
【図42】図42は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0055】
【図43】図43は、結合アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0056】
【図44】図44は、結合アッセイのIC50およびKi値を示す
【0057】
【図45】図45は、結合アッセイのIC50およびKi値を示す
【0058】
【図46】図46は、結合アッセイのIC50およびKi値を示す
【0059】
【図47】図47は、結合アッセイのIC50およびKi値を示す
【0060】
【図48】図48は、結合アッセイのIC50およびKi値を示す
【0061】
【図49】図49は、酵素アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0062】
【図50】図50は、酵素アッセイにおける4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果の平均値を示す
【0063】
【図51】図51は、各対照化合物のIC50およびEC50値を示す
【0064】
【図52】図52は、各対照化合物のIC50およびEC50値を示す
【0065】
【図53】図53は、各対照化合物のIC50およびEC50値を示す
【0066】
【図54】図54は、各対照化合物のIC50およびEC50値を示す
【0067】
【図55】図55は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがコントロールと比較して、自発運動活性のAPEC誘発性欠損を有意かつ用量依存的に回復させたことを示す(ID50およびID90値はそれぞれ0.5mg/kgおよび3.4mg/kgである)。
【0068】
【図56】図56は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドのメスのラットへの経口投与が、コントロールと比較して不動の平均総持続時間を有意かつ用量依存的に減少させたことを示す。同様の結果が、対照薬物として用いた三環系抗うつ薬のデシプラミン(100mg/kg 経口)で得られた。
【0069】
【図57】図57は、ストレス期間に対する無快感症指数を示す
【0070】
【図58】図58は、ラットの低反応率分化強化(30秒)試験を示す
【0071】
【図59】図59は、治療群の中の正反応を示す
【0072】
【図60】図60は、クロルジアゼポキシド(10mg/kg 経口)、ビヒクルまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(用量3、10および30mg/kg、経口)治療動物のいずれかについての、オープンアーム内に滞在した平均(+/− SEM)時間(a)、オープンアームへの進入回数(b)、オープンアーム内を移動した距離(c)およびクローズドアーム内を1秒当たりに移動した距離(d)を示す。統計分析、ダネット検定:ビヒクルに対して*p<0.05 **p<0.01、およびダネット検定:ビヒクルに対して#p<0.05 ##p<0.01 ###p<0.001。
【0073】
【図61】図61は、10mg/kgのクロルジアゼポキシド(CDZ10)、ビヒクル(veh)ならびに用量3、10、および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの、高架式十字迷路におけるオープンアーム内での滞在時間(秒)に対する効果を示す。
【0074】
【図62】図62は、10mg/kgのクロルジアゼポキシド(CDZ10)、ビヒクル(veh)ならびに用量3、10、および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの、高架式十字迷路におけるオープンアーム進入に対する効果を示す。
【0075】
【図63】図63は、10mg/kgのクロルジアゼポキシド(CDZ10)、ビヒクル(veh)ならびに用量3、10、および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの、高架式十字迷路におけるオープンアーム内を移動した距離(cm)に対する効果を示す。
【0076】
【図64】図64は、10mg/kgのクロルジアゼポキシド(CDZ10)、ビヒクル(veh)ならびに用量3、10、および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの、高架式十字迷路におけるクローズドアーム内での速度(cm/s)に対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書で用いられている下記の単語および語句は、それらが用いられている文脈で特に示す場合を除き、通常、下記の意味を有することを意図する。
【0078】
本明細書で用いられている「4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド」は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド、およびその医薬的に許容される塩を含む。
【0079】
「医薬的に許容される塩」は、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩などの無機酸との塩;ならびにリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩などのアルカン酸塩、nが0〜4であるHOOC−(CH2)n−COOHなどの有機酸との塩を含み、これらに限定されない。
【0080】
さらに、化合物が酸付加塩として得られた場合、酸性塩の溶液を塩基性化することによって遊離塩基が得られうる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に医薬的に許容される付加塩が、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の製法に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解させ、酸を含む溶液で処理することによって製造されうる。当業者であれば、無毒性の医薬的に許容される付加塩を調製するために用いられてよいさまざまな合成方法を認識できるであろう。
【0081】
本明細書で用いられている用語「治療する」は、疾患または障害の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群が、発症を妨げもしくは遅れさせ、発生率もしくは頻度を減少させ、重症度もしくは強度を減少させ、進行を遅れさせ、再発を防止し、または疾患もしくは障害の症状もしくは随伴症状を改善するように有利に変化させられるいずれかの様式を指す。例えば、心的外傷後ストレス障害において、障害を治療することは、特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つについての頻度および強度の少なくとも1つを減少しうる。
【0082】
本明細書で用いられている語句「心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された」は、心的外傷的出来事によって引き起こされる精神障害である心的外傷後ストレス障害を示す、少なくとも1つの兆候、症状、または症候群の診断を有することを指す。該心的外傷的出来事の非限定的例は、戦闘、テロ事件、身体的暴行、性的暴行、自動車事故、および自然災害を含む。
【0083】
精神障害の診断と統計マニュアル第IV版改訂版(DSM−IV−TR)は、メンタルヘルス専門家用のハンドブックであり、精神障害のカテゴリーおよび基準を記載し、心的外傷後ストレス障害を不安障害と分類している。DSM−IV−TRに従って、PTSD診断は下記に該当するか否かによってなされうる:
【0084】
1.患者が現実の死もしくは死の危険もしくは重傷、または自己もしくは他人の身体的完全性(physical integrity)に対する脅威を含む出来事を経験し、目撃し、または直面し、その反応が激しい不安、無力感、または恐怖を含んだか否か;
【0085】
2.心的外傷的出来事の結果として、患者が少なくとも1つの再体験/侵入症状、3つの回避/麻痺症状、および2つの過覚醒症状を経験し、症状の持続期間が1ヶ月間を超えるか否か;ならびに
【0086】
3.症状が、社会的、職業的領域、または他の重要な機能領域において臨床的に有意な苦痛または障害を引き起こすか否か。
【0087】
特定の実施態様では、患者の障害がDSM−IV−TR基準を満たす場合、患者は心的外傷後ストレス障害と診断される。特定の実施態様では、患者が心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群を有する場合、患者は心的外傷後ストレス障害と診断される。特定の実施態様では、尺度は心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群を測定するために用いられ、心的外傷後ストレス障害はその尺度を用いた測定に基づいて診断される。特定の実施態様では、尺度についての「スコア」は、心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群を診断または評価するために用いられる。特定の実施態様では、「スコア」は心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群の頻度、強度、または重症度の少なくとも1つを測定しうる。
【0088】
本明細書で用いられている用語「尺度」は、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群を測定するための方法を指す。特定の実施態様では、尺度は面接またはアンケートであってよい。尺度の非限定的例は、PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)である。
【0089】
本明細書で用いられている用語「兆候(sign)」および「兆候(signs)」は、障害の客観的所見を指す。特定の実施態様では、兆候は障害の生理的症状または反応でありうる。特定の実施態様では、兆候は、心拍数および心拍リズム、体温、呼吸パターンおよび呼吸率、血圧を指してよい。特定の実施態様では、兆候は症状と関連しうる。特定の実施態様では、兆候は症状を示しうる。
【0090】
本明細書で用いられている用語「症状(symptom)」および「症状(symptoms)」は、障害を特徴づける主観的兆候を指す。心的外傷後ストレス障害の症状は、例えば、反復的および侵入的心的外傷想起、心的外傷的出来事の反復的で苦痛をもたらす夢、心的外傷的出来事が再び起こっているかのような行動または感情、心的外傷想起にさらされた場合の苦痛、心的外傷想起にさらされた場合の生理学的反応性、心的外傷と関連する思考または感情を回避しようとする努力、活動または場所を回避しようとする努力、心的外傷または心的外傷の側面の想起不能、重要な活動への関心の著しい減退、他人からの孤立感または疎遠感、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚、社会不安、不慣れな環境と関連する不安、入眠または睡眠維持の困難、易怒性または怒りの爆発、集中困難、過度の警戒心、ならびに過剰な驚愕反応を指してよく、これらに限定されない。特定の実施態様では、潜在的な脅威刺激は過覚醒または不安を引き起こしうる。特定の実施態様では、生理学的反応性は、異常呼吸、異常拍動、異常血圧、特殊感覚の異常機能、および感覚器官の異常機能の少なくとも1つに現れる。特定の実施態様では、感情の範囲もしくは強度の減少もしくは縮小または感情の表現によって特徴づけられる効果の範囲の縮小が生じ得、未来が短縮した感覚が職業、結婚、子供、または普通の寿命を持つことができないのではないかという思考に現れうる。特定の実施態様では、小児および青年は心的外傷後ストレス障害の症状、例えば、まとまりのないまたは興奮した行動、心的外傷の側面を表現する繰り返しの遊び、はっきりとした内容のない恐ろしい夢、および心的外傷特異的再演などでこれらに限定されない症状を有しうる。
【0091】
本明細書で用いられている用語「症候群」は、一群の兆候、症状、または一群の兆候および症状を指すが、これらは互いの関係またはそれらの同時発症のため一緒の群に分類される。例えば、特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害は3つの症候群:再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒によって特徴づけられる。
【0092】
本明細書で用いられている用語「再体験/侵入」は、反復的および侵入的心的外傷想起、心的外傷的出来事の反復的で苦痛をもたらす夢、心的外傷的出来事が再び起こっているかのような行動または感情、心的外傷想起にさらされた場合の苦痛、ならびに心的外傷想起にさらされた場合の生理学的反応性の少なくとも1つを指す。特定の実施態様では、生理学的反応性は、異常呼吸、異常拍動、異常血圧、特殊感覚の異常機能、および感覚器官の異常機能の少なくとも1つに現れる。
【0093】
本明細書で用いられている用語「回避/麻痺」は、心的外傷と関連する思考または感情を回避しようとする努力、活動または場所を回避しようとする努力、心的外傷または心的外傷の側面の想起不能、重要な活動への関心の著しい減退、他人からの孤立感または疎遠感、感情の範囲の縮小、および未来が短縮した感覚の少なくとも1つを指す。感情の範囲もしくは強度の減少もしくは縮小または感情の表現によって特徴づけられる効果の範囲の縮小が生じうる。未来が短縮した感覚が職業、結婚、子供、または普通の寿命を持つことができないのではないかという思考に現れうる。回避/麻痺は、社会不安および不慣れな環境と関連する不安にも現れうる。
【0094】
本明細書で用いられている用語「過覚醒」は、入眠または睡眠維持の困難、易怒性または怒りの爆発、集中困難、過度の警戒心、および過剰な驚愕反応の少なくとも1つを指す。潜在的な脅威刺激は、過覚醒または不安を引き起こしうる。
【0095】
本明細書で用いられている用語「有意に」は、非常に密接に相関しているため、偶然に起因し得ない一群の観察または発生を指す。例えば、特定の実施態様では、「有意に変化させる」、「有意に減少させる」、および「有意に増加させる」は、偶然に起因するとは思われない変化または効果を指す。特定の実施態様では、観察が「有意に」変更し、減少し、増加し、または変化したと見なしうるか否かを決定するために、統計的方法が用いられうる。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害を評価する「スコア」は、例えば心的外傷後ストレス障害の治療によって有意に変化しうる。
【0096】
心的外傷後ストレス障害と診断された患者は、「見張られている」、心配である、および非常に不安である、と感じうる。うつ病、不安、パニック発作、および双極性障害は、しばしば心的外傷後ストレス障害と関連する。アルコールおよび薬物乱用も一般的である。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害を併発する障害は、例えばうつ病、アルコール乱用、および薬物乱用を含み得、これらに限定されない。
【0097】
本明細書で用いられている用語「PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)」は、心的外傷後ストレス症候群を診断および評価する尺度を指す。CAPSは、PTSD用DSM−IV基準に相当する30項目の構造化面接である。この尺度の異なるバージョンが開発されている。
【0098】
本明細書で用いられている用語「PTSD臨床診断面接尺度パート1(CAPS−1)」は、現在のPTSD、および生涯PTSDを評価するCAPSのバージョンであり、CAPS−DX(診断用)としても知られる。
【0099】
本明細書で用いられている用語「PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)」は、心的外傷後ストレス障害を患う患者の1週間の症状を評価するために用いられるCAPSのバージョンを指し、CAPS−SX(症状用)とも呼ばれる。
【0100】
本明細書で用いられている用語「小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)」は、小児および青年用に開発されたCAPSのバージョンを指す。
【0101】
本明細書で用いられている用語「出来事インパクト尺度(IES)」は、マルディ・ホロウィッツ(Mardi Horowitz)、ナンシー・ウィルナー(Nancy Wilner)、およびウィリアム・アルバレス(William Alvarez)によって開発された、特異的出来事と関連する主観的ストレスを測定する尺度を指す。それは自己申告の評価であり、患者の状態をモニターするために長い期間をかけた測定に用いられうる。
【0102】
本明細書で用いられている用語「改訂出来事インパクト尺度(IES−R)」は、PTSDの過覚醒症候群を評価するためにダニエル・S・ワイス(Daniel S. Weiss)およびチャールズ・マーマー(Charles Marmar)によって開発されたIESの改訂版を指す。
【0103】
本明細書で用いられている用語「臨床全般印象尺度(CGI)」は、精神評価を行うための尺度を指す。患者は面接され、CGIが疾患の重症度(CGI−S)、全般的改善度(CGI−I)、および有効性指数を測定するために用いられる。
【0104】
本明細書で用いられている用語「臨床全般印象重症度(CGI−S)」は、患者の現在の症状の評価を指す。一般的に、1(正常)〜7(病状が極めて重い)のスコアの範囲の7段階の尺度で評価される。患者の疾患の重症度は、他の患者の疾患の重症度と比較される。例えば、CGI−Sスコアは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドでの治療後に患者の状態を測定するために用いられ得、治療前および治療後のスコアが比較されうる。
【0105】
本明細書で用いられている用語「臨床全般印象改善度(CGI−I)」は、患者の現在の状態とそのベースライン状態との比較を指す。一般的に、1(著明改善)〜7(著明悪化)の範囲の7段階の尺度で評価される。CGI−Iスコアは、例えば4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド治療に対する反応における心的外傷後ストレス障害の改善度を測定するために用いられうる。
【0106】
本明細書で用いられている用語「有効性指数」は、CGIで測定されたスコアを指し、患者のベースライン状態を、副作用の重症度に対する現在の治療効果の比率と比較する。一般的に、1(なし)〜4(治療効果を上回る)の範囲の4段階の尺度で評価される。心的外傷後ストレス障害の評価において、有効性指数は、例えば4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドなどの療法剤での治療のリスク対効果を評価しうる。
【0107】
本明細書で用いられている用語「PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)」は、3つのPTSD症候群:再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒の各々についての重症度および改善度、ならびに全PTSD重症度を測定する尺度を指す。
【0108】
本明細書で用いられている用語「PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)」は、治療薬、例えば4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドに対する反応において、反応者(1(著明改善)および2(かなり改善)のDGRP−I)を非反応者(DGRP−I>2)と区別するために用いられる心的外傷後ストレス障害用の尺度を指す。
【0109】
本明細書で用いられている用語「ハミルトン不安尺度(HAM−A)」は、不安および心的外傷後ストレス障害の症状を診断および数量化するために、1959年にマックス・ハミルトン(Max Hamilton)によって開発された尺度を指す。それは14項目からなり、各々は一連の症状によって定義される。患者から情報を引き出すための標準化された調査用の質問(probe questions)または行動的に特異的な指針は、項目スコアリングの決定用に開発されなかった。各項目は、0(呈していない)〜4(重症)の範囲の5段階の尺度で評価される。項目は、不安な気分、恐怖、知的効果、例えば筋肉組織などの身体的不調、心血管症状、緊張、不眠、憂うつな気分、身体感覚不調、呼吸器症状、胃腸症状、自律神経症状、泌尿生殖器症状、および評価時の行動を評価することを含む。例えば、HAM−Aスコアの減少は、心的外傷後ストレス障害などの障害の改善を示すであろう。
【0110】
本明細書で用いられている用語「PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、および小児うつ病指数(CDI)」は、心的外傷後ストレス障害、不安、またはうつ病の兆候、症状、症候群を診断、評価、測定する付加的な尺度を指す。
【0111】
本明細書で用いられている用語「スコア」は、精神症状、不安、または心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群を測定する尺度について測定された少なくとも1つの項目またはパラメータのスコアを指す。特定の実施態様では、スコアは心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、症候群、随伴症状、または日常生活に対する影響の頻度、強度、または重症度を測定する。
【0112】
本明細書で用いられている用語「評価項目スコア」は、治療中または治療後に測定された心的外傷後ストレス障害を評価する手段のスコアを指す。
【0113】
本明細書で用いられている用語「ベースラインスコア」は、治療の開始前に心的外傷後ストレス障害を評価する手段のスコアを指す。
【0114】
本明細書で用いられている用語「全スコア」は、心的外傷後ストレス障害を評価する手段についてのスコアの合計を指す。特定の実施態様では、全スコアは症状、症候群、随伴症状、日常生活に対する影響、有効性、および改善の少なくとも1つのスコアの合計である。
【0115】
本明細書で用いられている用語「再発(relapse)」は、患者の疾患または障害の少なくとも1つの症状の再発(reoccurrence)または悪化を指す。
【0116】
本明細書で用いられている語句「治療上の有効量」は、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの兆候、症状、または随伴症状に関する治療結果を提供するために十分な量を指す。例えば、特定の実施態様では、疾患、障害、または状態はPTSDである。
【0117】
本明細書で用いられている語句「回復力を改善する」は、心的外傷後ストレス障害を患うことなく、またはより少ない事後症状もしくは日常生活の正常活動の崩壊しか伴わずに、患者が心的外傷的出来事を経験する能力を増加させることを指す。特定の実施態様では、回復力を改善することは、心的外傷後ストレス障害の症状を減少させうる。
【0118】
本明細書で用いられている用語「同時投与する」は、第二薬剤の投与計画と重複する第一薬剤の投与計画、または第一薬剤および第二薬剤の同時投与を指す。投与計画は、投与量、頻度、および持続時間によって特徴づけられる。第一薬剤の第一投与の開始と第二投与の開始の間に、第二薬剤が投与される場合、2つの投与計画は重複する。
【0119】
本明細書で用いられている用語「薬剤」は、小分子もしくは有機化合物複合体(complex organic compound)などの化学物質、抗体もしくは抗体断片などのタンパク質もしくは抗体断片を含むタンパク質、または生物内でDNAもしくはmRNAレベルで作用する遺伝的構築物を含み、これらに限定されない物質を指す。
【0120】
本明細書で用いられている用語「A2A受容体活性」は、A2A受容体によって引き起こされる少なくとも1つの活性を指す。例えば、活性はcAMPレベルおよびカルシウム流を増加させるアデニル酸シクラーゼ活性であってよく、これに限定されない。
【0121】
本明細書で用いられている用語「調節する」は、活性、機能、または特徴を変更または変化させることを指す。例えば薬剤は、因子のレベルを上昇または減少させることによって因子のレベルを調節しうる。
【0122】
本明細書で用いられている用語「ドーパミン作動性シグナル伝達」は、ドーパミンによって引き起こされるシグナル伝達および神経活動に対するその効果を指す。5つの既知のドーパミン作動性受容体があり、2つはD1様受容体(D1およびD5)であり、3つはD2様受容体(D2、D3、およびD4)である。ドーパミンのD1様受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼを刺激し、D2様受容体への結合はアデニル酸シクラーゼを阻害する。ドーパミン作動性シグナル伝達は、行動、認知、運動活性、動機および報酬、睡眠、気分、注意、ならびに学習を含み、これらに限定されない神経活動に変化を引き起こす。
【0123】
本明細書において、心的外傷後ストレス障害と診断された患者を治療する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与することを含む。
【0124】
特定の実施態様では、方法は、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む。
【0125】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラム、エスシタロプラム、およびフルオキセチンから選択されるSSRIである。
【0126】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、デュロキセチン、ミルタザピン、およびベンラファキシンから選択されるSNRIである。
【0127】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、ブプロピオンおよびアトモキセチンから選択されるNRIである。
【0128】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、ネピカスタットおよびジスルフィラムから選択されるドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤である。
【0129】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、アデノシンA2A受容体アンタゴニストのイストラデフィリンである。
【0130】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、ラモトリジン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、およびバルプロエートから選択されるナトリウムチャネルブロッカーである。
【0131】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、ラモトリジンおよびカルバマゼピンから選択されるカルシウムチャネルブロッカーである。
【0132】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニストのプラゾシンである。
【0133】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、中枢性αアドレナリン作動性アゴニストのクロニジンである。
【0134】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニストのプロプラノロールである。
【0135】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、オランザピン、リスペリドン、およびクエチアピンから選択される非定型抗うつ薬/抗精神病薬である。
【0136】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、アミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、およびトリミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である。
【0137】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、ラモトリジン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、トピラメート、およびレベチラセタムから選択される抗けいれん薬である。
【0138】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、グルタミン酸塩アンタゴニストのトピラメートである。
【0139】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、バルプロエートおよびトピラメートから選択されるGABAアゴニストである。
【0140】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の薬剤は、部分D2アゴニストのアリピプラゾールである。
【0141】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の少なくとも1つのA2A受容体活性を減少させる。
【0142】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者のドーパミン作動性シグナル伝達を調節する。
【0143】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0144】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0145】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群は再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される。
【0146】
特定の実施態様では、再体験/侵入は、反復的および侵入的心的外傷想起、心的外傷的出来事の反復的で苦痛をもたらす夢、心的外傷的出来事が再び起こっているかのような行動または感情、心的外傷想起にさらされた場合の苦痛、ならびに心的外傷想起にさらされた場合の生理学的反応性の少なくとも1つを含む。
【0147】
特定の実施態様では、生理学的反応性は、異常呼吸、異常拍動、異常血圧、少なくとも1つの特殊感覚の異常機能、および少なくとも1つの感覚器官の異常機能の少なくとも1つを含む。特定の実施態様では、少なくとも1つの特殊感覚は視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、および感覚から選択される。特定の実施態様では、少なくとも1つの感覚器官は眼、耳、皮膚、鼻、舌、および咽頭から選択される。
【0148】
特定の実施態様では、回避/麻痺は、心的外傷と関連する思考または感情を回避しようとする努力、活動または場所を回避しようとする努力、心的外傷または心的外傷の側面の想起不能、重要な活動への関心の著しい減退、他人からの孤立感または疎遠感、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚、社会不安、および不慣れな環境と関連する不安の少なくとも1つを含む。
【0149】
特定の実施態様では、過覚醒は、入眠または睡眠維持の困難、易怒性または怒りの爆発、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応、および潜在的な脅威刺激からの不安の少なくとも1つを含む。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、潜在的な脅威刺激に適切におよび迅速に反応する患者の身体能力を減少させない。
【0150】
特定の実施態様では、患者は小児または青年である。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候または症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、兆候または症状はまとまりのないまたは興奮した行動、心的外傷の側面を表現する繰り返しの遊び、はっきりとした内容のない恐ろしい夢、および心的外傷特異的再演から選択される。
【0151】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、薬物乱用、アルコール乱用、および患者のうつ病から選択される心的外傷後ストレス障害と併存する少なくとも1つの障害の発生率を減少させる。
【0152】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者へ1日1回または2回投与される。
【0153】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、眠気、倦怠感、または精神的および身体的能力の変化の少なくとも1つを引き起こさない。
【0154】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、心的外傷的出来事の前または直後に患者へ投与される。
【0155】
特定の実施態様では、心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群は、PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、CAPS、CAPS−2、CAPS−CA、IES、IES−R、CGI、CGI−S、CGI−I、DGRP、DGRP−I、HAM−A、SI−PTSD、PTSD−I、PSS−I、MADRS、BDI、HAM−D、RHRSD、MDI、GDS−30、およびCDIの少なくとも1つのスコアを有意に変化させる。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、CAPS、CAPS−2、IES、IES−R、およびHAMAの少なくとも1つについて、ベースラインスコアと比較して評価項目スコアを有意に減少させる。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、1(著明改善)および2(かなり改善)の少なくとも1つのCGI−Iスコアを有するCGI−Iの反応者の割合を有意に増加させる。特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、1(著明改善)および2(かなり改善)の少なくとも1つのDGRP−Iスコアを有するDGRP−Iの反応者の割合を増加させる。特定の実施態様では、CAPSおよびCAP−2の少なくとも1つについての全スコアが少なくとも65である場合、心的外傷後ストレス障害を示す。特定の実施態様では、HAM−Aについての全スコアが少なくとも18である場合、不安障害を示す。特定の実施態様では、CGI−IおよびDGRP−Iの少なくとも1つについてのスコアが少なくとも3である場合、心的外傷後ストレス障害を示す。
【0156】
また、患者の心的外傷後ストレス障害を治療する方法が提供される。方法は、患者を心的外傷後ストレス障害と診断すること;4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること;心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させた場合、心的外傷後ストレス障害が改善されたと決定すること、を含む。
【0157】
特定の実施態様では、方法は、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む。
【0158】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0159】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0160】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群は再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群は、PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される。
【0161】
また、患者の回復力を改善する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を投与することを含む。特定の実施態様では、方法は、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む。
【0162】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0163】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる。
【0164】
特定の実施態様では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群は再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群は、PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される。
【0165】
また、患者の心的外傷後ストレス障害を診断する方法が提供される。方法は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること、および心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させた場合、患者の心的外傷後ストレス障害を診断すること、を含む。特定の実施態様では、患者は小児、青年、または成人である。
【0166】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)ならびに該障害の治療および予防におけるルフィナマイドおよび他の治療薬の効果は、さまざまな尺度によって評価されうる。これらは、例えばPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)で、これらに限定されない。これらの尺度は、一般的に面接またはアンケートによって評価される。特定の実施態様では、尺度の全ての部分が実施されるとは限らない。特定の実施態様では、尺度はPTSDの兆候、症状、随伴症状、または日常生活に対する影響を診断および評価するために用いられる。特定の実施態様では、1つ以上の尺度が患者の心的外傷後ストレス障害を診断、評価、または確認するために用いられる。特定の実施態様では、尺度は、兆候、症状、または症候群の頻度および強度の少なくとも1つをスコアリングすることによって、兆候、症状、症候群を測定するであろう。
【0167】
心的外傷後ストレス障害評価用の尺度の例は、CAPS、CAPS−1、およびCAPS−2を含むCAPSのバージョンであり、下記の17項目の中核PTSD症状をスコア化する:
【0168】
1.反復的および侵入的心的外傷想起
【0169】
2.心的外傷想起にさらされた場合の苦痛
【0170】
3.出来事が再び起こっているかのような行動または感情
【0171】
4.出来事の反復的で苦痛をもたらす夢
【0172】
5.思考または感情を回避しようとする努力
【0173】
6.活動または場所を回避しようとする努力
【0174】
7.心的外傷または心的外傷の側面の想起不能
【0175】
8.重要な活動への関心の著しい減退
【0176】
9.他人からの孤立感または疎遠感
【0177】
10.感情の範囲の縮小
【0178】
11.未来が短縮した感覚
【0179】
12.入眠または睡眠維持の困難
【0180】
13.易怒性または怒りの爆発
【0181】
14.集中困難
【0182】
15.過度の警戒心
【0183】
16.過剰な驚愕反応
【0184】
17.生理学的反応性
【0185】
質問は、社会的および職業的機能または日常生活、前回のCAPS実施からの症状の改善度、全反応妥当性、全PTSD重症度、ならびに随伴症状の頻度および強度に対する症状の影響も標的にする。これらの項目は:
【0186】
18.社会的機能に対する影響
【0187】
19.職業的機能に対する影響
【0188】
20.全般的改善度(前回の測定機会からの)
【0189】
21.評価妥当性
【0190】
22.全般的改善度
【0191】
23.関わったまたは怠った行動に対する罪悪感
【0192】
24.生存者の罪悪感
【0193】
25.殺人念慮(Homicidality)
【0194】
26.権威に対する幻想の崩壊
【0195】
27.絶望感
【0196】
28.記憶障害
【0197】
29.悲しさおよびうつ病
【0198】
30.圧倒された感情
【0199】
症状の頻度を評価するために、面接官は標準的な質問に従い、必要に応じてはっきりと説明し、または言い換える。標準的な質問は、例えば:「これまでに心的外傷的出来事の所望でない記憶があるか?」、「それらはどのようなものであったか?」、「何を覚えていたのか?」などで、これらに限定されない。質問を言い換える必要がある場合、面接官は、例えば:「それらはこれまでに目覚めている間に起こったのか、もしくは夢の中だけで起こったのか?」、「またはこの1ヶ月間(この1週間)どのくらいの頻度でこれらの記憶があったか?」などの質問をしうる。スコア0は今までに起こったことがないことを示し、スコア1は1回または2回起こることを示し、スコア2は週に1回または2回起こることを示し、スコア3は週に数回起こることを示し、スコア4はほとんど毎日日常的に起こることを示す。
【0200】
症状の強度を評価するために、面接官は、例えば:「これらの記憶がどの程度の苦痛または不快を引き起こしたか?」、「それらを心の中から追い出し、何か他のことを考えることができたか?」、「どれぐらい懸命に取り組む必要があったか?」、「それらがどの程度生活の妨げになっていたか?」などで、これらに限定されない標準的な質問をしうる。スコア0は苦痛がないことを示し、スコア1は軽度の、最小の苦痛または活動の崩壊を示し、スコア2ははっきりと存在するがまだ扱いやすい中程度の苦痛、一部の活動の崩壊を示し、スコア3は重度の、かなりの苦痛、記憶を退ける困難、顕著な活動の崩壊を示し、スコア4は極度の、まともに生活できないほどの苦痛、記憶を退けることができない、活動を続けることができないことを示す。
【0201】
特定の実施態様では、用いられるスコアリングルールは、1回以上の頻度および2以上の強度を有する場合、症状があると見なす。他の実施態様では、重症度スコアは、各症状についての頻度および強度評価を合計することによって計算される。
【0202】
特定の実施態様では、CAPSのバージョンについての全項目の総スコアまたは全スコアが計算される。特定の実施態様では、各症候群についての総スコアが計算される。特定の実施態様では、PTSDの中核症状についての総スコアが計算される。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害の重症度の変化を測定するために、評価項目スコアがベースラインスコアと比較される。特定の実施態様では、ベースラインスコアと比較した評価項目スコアの有意な減少は、PTSDの改善と見なされる。特定の実施態様では、65を超えるCAPS、CAPS−1、CAPS−2、またはCAPS−CAの全スコアが、PTSDを示す。
【0203】
別の例は、15項目を評価するIESである:7項目は侵入的症状を測定し、8項目は回避症状を測定する。自己評価項目は、下記の所見の各々がどのくらいの頻度で当てはまるのかを質問する:「意図しなかった時にそれについて考えた」、「それについて考えまたはそれを想起したときに取り乱すことを回避した」、「それを記憶から除去しようと試みた」、「心の中に入ってくるそれについての観念または思考のため入眠または睡眠維持が困難であった」、「それについての強い感情に波があった」、「それについての夢を見た」、「それの想起を避けていた」、「それが起こらなかったまたは現実でないように感じた」、「それについて話さないように努めた」、「それについての観念が心に浮かんだ」、「他の物事がそれについて考え続けさせようとした」、「それについてなおも多くの感情を持っていることを認識していたが、それらに対処しなかった」、「それについて考えないように努めた」、「いずれかの想起がそれについての感情を思い出させた」、および「感情が多少麻痺していた」。項目は一般的に4段階の尺度で評価される:0(全くない)、1(めったにない)、3(時々ある)、および5(しばしばある)、である。スコアの合計は、症状または全主観的ストレスの重症度の全評価を提供する。スコア0〜8は無症状の範囲内であり、スコア9〜25は軽度の範囲内であり、スコア26〜43は中程度の範囲内であり、スコア44を超えると重度のストレスの範囲内にあると提案されてきた。
【0204】
特定の実施態様では、IESについての全項目の総スコアまたは全スコアが計算される。特定の実施態様では、各症候群についての総スコアが計算される。特定の実施態様では、PTSDの重症度の変化を決定するために、評価項目スコアがベースラインスコアと比較される。特定の実施態様では、ベースラインスコアと比較した評価項目スコアの30%の減少は、PTSDの改善と見なされる。
【0205】
IESの改訂版であるIES−Rは、元のIES項目「入眠または睡眠維持が困難であった」を2項目:「入眠が困難であった」、および「睡眠維持が困難であった」に分割し、IES項目に6項目を加えることによってIESを修正した。これらの付加的な項目は:「苛立ちおよび怒りを感じた」、「びくびくして容易に驚いた」、「その時に戻ったかのように行動しまたは感じていると分かった」、「集中が困難であった」、「それを想起すると、発汗、呼吸困難、悪心、または心臓が激しく鼓動を打つなどの身体的反応を引き起こした」、ならびに「用心深く、または見張られていると感じた」である。スコアリングシステムも、0(全くない)、1(少しある)、2(中程度にある)、3(かなりある)、および4(極度にある)に変化した。
【0206】
特定の実施態様では、IES−Rについての全項目の総スコアまたは全スコアが計算される。特定の実施態様では、各症候群についての総スコアが計算される。特定の実施態様では、心的外傷後ストレス障害の重症度の変化を決定するために、評価項目スコアがベースラインスコアと比較される。特定の実施態様では、IES−Rについて、ベースラインスコアと比較した評価項目スコアの有意な減少は、心的外傷後ストレス障害の改善と見なされる。
【0207】
DGRP−I尺度において、心的外傷後ストレス障害の治療における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性は、1(著明改善)または2(かなり改善)のDGRP−Iを有するDGRP−Iについての反応者の割合の増加を測定することによって評価されうる。特定の実施態様では、DGRP−Iについてのスコアが少なくとも3である場合は心的外傷後ストレスを示す。
【0208】
CGIにおいて、心的外傷後ストレス障害を治療するための4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性は、CGI−S、CGI−I、および有効性指数によって評価されうる。例えば、特定の実施態様では、治療後に1(著明改善)または2(かなり改善)のCGI−Iを有するCGI−Iについての反応者の割合の増加は、治療が効果的であることを示す。特定の実施態様では、CGI−Iについてのスコアが少なくとも3である場合は心的外傷後ストレス障害を示す。特定の実施態様では、CGIについての有効性指数は、心的外傷後ストレス障害の治療のための4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性を測定しうる。
【0209】
HAMA−Aにおいて、不安または心的外傷後ストレス障害を評価するために、一般的にHAM−Aについての全項目の総スコアまたは全スコアが計算される。特定の実施態様では、不安および心的外傷後ストレス障害の重症度の変化を決定するために、HAM−Aについて評価項目スコアがベースラインスコアと比較される。特定の実施態様では、HAM−Aについてのベースラインスコアと比較した評価項目スコアの有意な減少は、不安および心的外傷後ストレス障害の改善と見なされる。特定の実施態様では、HAM−Aについての全スコアが少なくとも18である場合は、不安および心的外傷後ストレス障害を示す。
【0210】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの医薬的に許容される形態は、酸、塩基、エノールエーテル、およびエステル、エステル、水和物、溶媒和物、ならびにプロドラッグ形態を含む。その薬物動態学的(pharmokinetic)性質が少なくとも1つの特徴に関して対応する中性薬剤よりも優れているように、誘導体は選択される。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、製剤化前に誘導体化されてよい。
【0211】
通常は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたは医薬的に許容される誘導体は、治療上の有効量にて、単独または別の治療薬と組み合わせて投与されるであろう。医薬組成物は、例えば心的外傷後ストレス障害の治療用に有用であろう。
【0212】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたは医薬的に許容される形態の治療上の有効量は、心的外傷後ストレス障害の重症度、被験者の年齢および相対的健康、用いられる化合物の効力ならびに他の因子に依存して広く変化してよい。特定の実施態様では、治療上の有効量は約0.1mg/kg体重/日〜約50mg/kg体重/日である。他の実施態様では、該量は約1.0〜約10mg/kg/日である。それゆえ、特定の実施態様では、70kgのヒトについての治療上の有効量が約7.0〜約3500mg/日である一方で、他の実施態様では、約70〜約700mg/日である。
【0213】
該疾患を治療する当業者の1人であれば、必要以上の実験を行うことなく、個人的知識および本出願の開示に依存して、心的外傷後ストレス障害用の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を確認することができるであろう。通常は、例えば4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは下記の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内もしくは坐剤による)または非経口(例えば、筋肉内、静脈内もしくは皮下)の1つによって医薬組成物として投与されるであろうが、これらに限定されない。組成は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体、散剤、持続放出製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル、またはいずれかの他の適切な組成の形態をとり得、これらに限定されないが、通常は、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と組み合わせた4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを含む。許容される賦形剤は、例えば、無毒性で、投与を補助し、化合物の治療効果に不利に影響しない賦形剤で、これらに限定されない。該賦形剤は、例えば、いずれかの固体、液体、半固体であってよく、またはエアロゾル組成の場合は、当業者の1人であれば一般的に入手可能な気体の賦形剤であってよい。
【0214】
固体医薬賦形剤は、例えばデンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどを含み、これらに限定されない。液体および半固体賦形剤は、例えば水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、および石油、動物、植物または合成由来の油(例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含むさまざまな油から選択されてよく、これらに限定されない。好ましい液体担体、特に注射液用に好ましい液体担体は、例えば水、生理食塩水、水溶性デキストロースおよびグリコールを含み、これらに限定されない。エアロゾル形態にある化合物を分散させるために、圧縮気体が用いられてよい。この目的に適切な不活性気体は、例えば窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素などで、これらに限定されない。
【0215】
医薬製剤はさらに、例えば防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤(flavorants)、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤または抗酸化剤を含み得、これらに限定されない。特定の実施態様では、それらはさらに他の治療上有用な物質を含みうる。他の適切な医薬担体およびそれらの製剤は、「A. R. Alfonso Remington's Pharmaceutical Sciences 1985, 17th ed. Easton, Pa.: Mack Publishing Company」に記載されている。
【0216】
組成内の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの量は、例えば、製剤の型、単位投与量の大きさ、賦形剤の種類および薬学の技術分野の当業者に既知の他の因子に依存して広く変化してよい。通常は、最終組成は10%w〜90%wの化合物、好ましくは25%w〜75%wを含み、残りは賦形剤であろう。好ましくは、医薬組成物は継続的な治療用に単位投与量型にて投与され、または症状の軽減が特に必要である場合は適宜、単位投与量型にて投与される。
【0217】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはその医薬的に許容される形態は、1つ以上の上記薬剤の投与と同時に、投与前に、または投与後に投与される。
【0218】
本発明は、下記の非限定的実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0219】
実施例1
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性および認容性を実証するために、臨床研究を実施する。
【0220】
研究デザインは、PTSDの治療用の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの8週間ランダム化、二重盲検、プラセボコントロール治療試験を含む。
【0221】
インフォームドコンセントに署名し、包含/除外基準を満たした後、患者をランダム化して4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボのいずれかを8週間継続して摂取させる。研究の間、薬剤師はランダム化の記録を継続し、類似の錠剤形態にあるプラセボまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドについての健康状態を検証する。患者の症状、副作用および服薬遵守を隔週で評価する。
【0222】
症状および副作用の発生に基づいて、研究者は20〜40mgの増加量にて、耐えられる限りは最大治療効果が達成されるまで薬物を増量させてよい。1日2回がより耐性が高い場合を除き、投薬は1日1回である。第4週目および第8週目に、丸剤数によって服薬遵守を評価する。
【0223】
有効性は、下記の評価尺度の少なくとも1つによって測定される:
・機能の全体的評価(GAF)
・PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)
・臨床全般印象重症度(CGI−s)
・臨床全般印象改善度(CGI−I)
・デビッドソン心的外傷尺度(DTS)
・ハミルトン不安尺度(Ham−A)
・モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)
・治療成績PTSD評価尺度(TOP−8)
【0224】
被験者包含基準は:
・精神疾患簡易構造化面接(MINI)およびCAPSによって確認されたPTSDの診断
・年齢13歳以上
・前4週間に薬物乱用または依存がないこと(ニコチンおよびカフェインを除く)
・2週間、向精神薬を摂取していないこと(4週間のフルオキセチン摂取を除く)
・臨床的に正常な身体試験および臨床試験(肝機能試験(LFT)では正常範囲の2.5倍まで許容される。)
・出産可能な女性は、コンドーム、経口避妊薬、デポ・プロベラ、または殺精子薬付きペッサリーなどの医学的に認可された避妊方法を用いていなければならない
・インフォームドコンセントへの署名
・男性または女性、あらゆる人種または民族起源(ethic origin)
【0225】
被験者除外基準は:
・双極性I型障害、精神障害、または認知障害の生涯病歴
・自殺願望、殺人願望、または精神病
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドに対する感受性の病歴
・不安定な一般身体疾患
・自殺念慮に関するMADRSの質問#10についてのスコア≧6
・研究の間に妊娠中、妊娠を計画しているまたは授乳している女性
【0226】
研究を終了するためには、終了基準を1つだけ達成する必要がある。終了基準は:
・研究の完了
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボ治療に対する重度で容認し得ない副作用
・自殺念慮、殺人念慮または精神病の症状の急な発生
・CGI−Iについてのスコア7(著明悪化)で判断される症状の悪化
・参加者の明確な研究終了の要求
・プロトコールに明記されている治験薬または補助的薬物以外の、被験者の精神症状のコントロール用の付加的な向精神薬の必要性
・研究の過程の間に被験者が妊娠した
・研究を継続することがもはや患者の最善の利益にはならないという研究者の判断
【0227】
実施例2
PTSDの予防における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性および認容性を実証するために、臨床研究を実施する。
【0228】
研究デザインは、PTSD予防用の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの無制限のランダム化、二重盲検、プラセボコントロール治療試験を含む。インフォームドコンセントに署名し、包含/除外基準を満たした後、患者をランダム化して4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボのいずれかを8週間継続して摂取させる。研究の間、薬剤師はランダム化の記録を継続し、類似の錠剤形態にあるプラセボまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドについての健康状態を検証する。患者の症状、副作用および服薬遵守を隔週で評価する。
【0229】
症状および副作用の発生に基づいて、研究者は20〜40mgの増加量にて、耐えられる限りは最大治療効果が達成されるまで薬物を増量させうる。1日2回がより耐性が高い場合を除き、投薬は1日1回である。第4週目および第8週目に、丸剤数によって服薬遵守を評価する。
【0230】
有効性は、下記の評価尺度の少なくとも1つによって測定される:
・機能の全体的評価(GAF)
・PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)
・臨床全般印象重症度(CGI−s)
・臨床全般印象改善度(CGI−I)
・デビッドソン心的外傷尺度(DTS)
・ハミルトン不安尺度(Ham−A)
・モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)
・治療成績PTSD評価尺度(TOP−8)
・診断と統計マニュアル第IV版(DSM−IV)
【0231】
被験者包含基準は:
・MINIおよびCAPSによって確認されたPTSDの非存在
・年齢13歳以上
・前4週間に薬物乱用/依存がないこと(ニコチンおよびカフェインを除く)
・2週間、向精神薬を摂取していないこと(4週間のフルオキセチン摂取を除く)
・臨床的に正常な身体試験および臨床試験(LFTでは正常範囲の2.5倍まで許容される。)
・出産可能な女性は、医学的に認可された避妊方法(コンドーム、経口避妊薬、デポ・プロベラ、または殺精子薬付きペッサリーなど)を用いていなければならない
・インフォームドコンセントへの署名
・男性または女性、あらゆる人種または民族起源(ethic origin)
【0232】
除外基準は:
・PTSDの病歴
・双極性I型障害、精神障害、または認知障害の生涯病歴
・自殺願望、殺人願望、または精神病
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドに対する感受性の病歴
・不安定な一般身体疾患
・自殺念慮に関するMADRSの質問#10についてのスコア≧6
・研究の間に妊娠中、妊娠を計画しているまたは授乳している女性
【0233】
研究を終了するためには、終了基準を1つだけ達成する必要がある。終了基準は:
・研究の完了
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボ治療に対する重度で容認し得ない副作用
・自殺念慮、殺人念慮または精神病の症状の急な発生
・PTSDの診断に適合する兆候または症状の出現
・参加者の明確な研究終了の要求
・プロトコールに明記されている治験薬または補助的薬物以外の、被験者の精神症状のコントロール用の付加的な向精神薬の必要性。
・研究の過程の間に被験者が妊娠した
・研究を継続することがもはや患者の最善の利益にはならないという研究者の判断。
【0234】
実施例3
臨床研究は、PTSDの治療における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド併用療法の有効性および認容性を実証するために実施される。
【0235】
研究デザインは、PTSD治療用の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの8週間ランダム化、二重盲検、プラセボコントロール治療試験を含む。インフォームドコンセントに署名し、包含/除外基準を満たした後、患者をランダム化して4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボのいずれかを8週間継続して摂取させる。患者は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボと組み合わせて、プラゾシン、バルプロエート、カルバマゼピン、またはトピラメートの治療上の有効用量も摂取しうる。
【0236】
研究の間、薬剤師はランダム化の記録を継続し、類似の錠剤形態にあるプラセボまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドについての健康状態を検証する。患者の症状、副作用および服薬遵守を隔週で評価する。症状および副作用の発生に基づいて、研究者は20〜40mgの増加量にて、耐えられる限りは最大治療効果が達成されるまで薬物を増量させる。1日2回がより耐性が高い場合を除き、投薬は1日1回である。第4週目および第8週目に、丸剤数によって服薬遵守を評価する。
【0237】
有効性は、下記の評価尺度の少なくとも1つによって測定される:
・機能の全体的評価(GAF)
・PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)
・臨床全般印象重症度(CGI−s)
・臨床全般印象改善度(CGI−I)
・デビッドソン心的外傷尺度(DTS)
・ハミルトン不安尺度(Ham−A)
・モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)
・治療成績PTSD評価尺度(TOP−8)
【0238】
被験者包含基準は:
・MINIおよびCAPSによって確認されたPTSDの診断
・年齢13歳以上
・前4週間に薬物乱用/依存がないこと(ニコチンおよびカフェインを除く)
・2週間、向精神薬を摂取していないこと(4週間のフルオキセチン摂取を除く)
・臨床的に正常な身体試験および臨床試験(LFTでは正常範囲の2.5倍まで許容される。)
・出産可能な女性は、医学的に認可された避妊方法(コンドーム、経口避妊薬、デポ・プロベラ、または殺精子薬付きペッサリーなど)を用いていなければならない
・インフォームドコンセントへの署名
・男性または女性、あらゆる人種または民族起源(ethic origin)
【0239】
被験者除外基準は:
・双極性I型障害、精神障害、または認知障害の生涯病歴
・自殺願望、殺人願望、または精神病
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドに対する感受性の病歴
・不安定な一般身体疾患
・自殺念慮に関するMADRSの質問#10についてのスコア≧6
・研究の間に妊娠中、妊娠を計画しているまたは授乳している女性
【0240】
研究を終了するためには、終了基準を1つだけ達成する必要がある。終了基準は:
・研究の完了
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボ治療に対する重度で容認し得ない副作用
・自殺念慮、殺人念慮または精神病の症状の急な発生
・CGI−Iについてのスコア7(著明悪化)で判断される症状の悪化
・参加者の明確な研究終了の要求
・プロトコールに明記されている治験薬または補助的薬物以外の、被験者の精神症状のコントロール用の付加的な向精神薬の必要性
・研究の過程の間に被験者が妊娠した
・研究を継続することがもはや患者の最善の利益にはならないという研究者の判断
【0241】
実施例4
小児のPTSD治療における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの有効性および認容性を実証するために、臨床研究を実施する。
【0242】
研究デザインは、PTSD治療用の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの8週間ランダム化、二重盲検、プラセボコントロール治療試験を含む。
【0243】
インフォームドコンセントに署名し、包含/除外基準を満たした後、患者をランダム化して4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボのいずれかを8週間継続して摂取させる。研究の間、薬剤師はランダム化の記録を継続し、類似の錠剤形態にあるプラセボまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドについての健康状態を検証する。患者の症状、副作用および服薬遵守を隔週で評価する。
【0244】
症状および副作用の発生に基づいて、研究者は20〜40mgの増加量にて、耐えられる限りは最大治療効果が達成されるまで薬物を増量させうる。1日2回がより耐性が高い場合を除き、投薬は1日1回である。第4週目および第8週目に、丸剤数によって服薬遵守を評価する。
【0245】
患者は来診の間、補助的な臨床管理を受ける。緊急の場合は、研究者が電話で1日24時間対応可能である。患者は、必要であれば頻繁に来診してよい。
【0246】
有効性は、下記の評価尺度の少なくとも1つによって測定される:
・機能の全体的評価(GAF)
・PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)
・PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)
・臨床全般印象重症度(CGI−s)
・臨床全般印象改善度(CGI−I)
・デビッドソン心的外傷尺度(DTS)
・ハミルトン不安尺度(Ham−A)
・モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)
・治療成績PTSD評価尺度(TOP−8)
【0247】
被験者包含基準は:
・MINIおよびCAPSによって確認されたPTSDの診断
・年齢12歳以下
・前4週間に薬物乱用/依存がないこと(ニコチンおよびカフェインを除く)
・2週間、向精神薬を摂取していないこと(4週間のフルオキセチン摂取を除く)
・臨床的に正常な身体試験および臨床試験(LFTでは正常範囲の2.5倍まで許容される。)
・出産可能な女性は、医学的に認可された避妊方法(コンドーム、経口避妊薬、デポ・プロベラ、または殺精子薬付きペッサリーなど)を用いていなければならない
・インフォームドコンセントへの署名
・男性または女性、あらゆる人種または民族起源(ethic origin)
【0248】
被験者除外基準は:
・双極性I型障害、精神障害、または認知障害の生涯病歴
・自殺願望、殺人願望、または精神病
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドに対する感受性の病歴
・不安定な一般身体疾患
・自殺念慮に関するMADRSの質問#10についてのスコア≧6
・研究の間に妊娠中、妊娠を計画しているまたは授乳している女性
【0249】
研究を終了するためには、終了基準を1つだけ達成する必要がある。終了基準は:
・研究の完了
・4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはプラセボ治療に対する重度で容認し得ない副作用
・自殺念慮、殺人念慮または精神病の症状の急な発生
・CGI−Iについてのスコア7(著明悪化)で判断される症状の悪化
・参加者の明確な研究終了の要求
・プロトコールに明記されている治験薬または補助的薬物以外の、被験者の精神症状のコントロール用の付加的な向精神薬の必要性
・研究の過程の間に被験者が妊娠した
・研究を継続することがもはや患者の最善の利益にはならないという研究者の判断
【0250】
実施例5
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの特異性、選択性および活性を調査するために、研究をインビトロおよびインビボで実施した。インビトロ研究では、A2A受容体の結合および機能的不活性化、ならびに他の結合部位との非特異的相互作用を調べた。インビボ研究では、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがA2A受容体アゴニスト誘発性行動効果をアンタゴナイズする効力、ならびにうつ病、不安、および認知のいくつかの動物モデルにおけるその有効性を調査した。
【0251】
放射性リガンド結合アッセイは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、ヒトA2A受容体について高親和性を有し(pKi 8.3)、hA、hA2B、およびhAと比較してそれぞれおよそ230、110および260倍の選択性があることを示した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、ラット(pKi 7.7)、イヌ(pKi 7.9)およびサル(pKi 7.9)のA2A受容体についても高親和性を有する。
【0252】
さらなる放射性リガンド結合研究で、67種類を超える受容体、神経伝達物質トランスポーターおよびイオンチャネルについて、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの選択性を評価した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、試験した標的よりもA2A受容体について1900倍の選択性を有する(4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが10μMで55%置換を示したアデノシントランスポーターを除く)。16種類の酵素標的についての細胞生物学アッセイは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、これらの標的よりもA2A受容体について1900倍の選択性を有し、ホスホジエステラーゼ(IV)酵素についての阻害(10μMで88%)のみが検出されることを示した。
【0253】
機能アッセイでは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、hA2A−Gα16−CHO細胞におけるNECA(非特異的アデノシン受容体アゴニスト)刺激性のCa2+流をアンタゴナイズする能力を評価した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、A2A媒介性反応を阻害し、pIC50値は8.83(ヒル傾斜0.6)であった。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、hA−Gα16−CHO細胞におけるNECA刺激性のCa2+流をアンタゴナイズし、pIC50値は5.22(ヒル傾斜0.7)であった。これらのデータは、このアッセイにおいて4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、hAよりもhA2A受容体について>4000倍の選択性を有することを示す。
【0254】
2A受容体アゴニストであるAPEC(2−[(2−アミノエチルアミノ)カルボニルエチル−フェニル−エチルアミノ]−5'−エチルカルボキサミド−アデノシン)は、用量依存的様式にて自発運動活性を減少させる。APEC誘発性運動低下は、選択的A2A受容体アンタゴニストによって軽減されるが、選択的A受容体アンタゴニストによっては軽減されない。選択的A2A受容体アンタゴニストとしてのそのインビボの効力およびその有効性を決定するために、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがラットのAPEC誘発性運動低下を阻止する能力を評価した。
【0255】
経口(po)4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドのウィスターラットへの投与は、コントロールと比較して自発運動活性のAPEC誘発性欠損を有意に回復させ、ID50およびID90値はそれぞれ0.5および3.4mg/kgであった(図1)。この試験は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)のインビボの有効性、およびそのA2A受容体アンタゴニストとしての選択性を裏付ける。
【0256】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを0.3〜10mg/kg範囲の用量にて経口投与し、次いで0.01mg/kgのAPECを皮下注射することによってオスのウィスターラットを治療した。コントロール動物に、ビヒクルのみ、またはビヒクルおよびAPECを摂取させた。コンピューターと連結した多数の光電池を有するプレキシグラス試験ケージ内に動物を置き、運動活性を15分間記録した。データは1群当たり8匹の動物に基づく平均値±SEMである。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの投与は、自発運動活性のAPEC誘発性欠損を有意に減少させたが、これはその選択的A2A受容体アンタゴニストとしての有効性を裏付けるものである。*p<0.05はマンホイットニー検定によって決定した。
【0257】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗うつ薬活性は、うつ病の3つの有効なモデルを用いて試験した:水泳ストレス試験、ストレス誘発性無快感症試験、および低反応率分化強化(30秒)(DRL30)の試験である。全試験はウィスターラットで実施した。
【0258】
水泳ストレス試験は、げっ歯類を水の中に入れた時、初期の精力的な活動後、特徴的な不動姿勢を取り、浮いたままでいるのに必要な最小限の運動しかしないという原則に依存する。不動時間が減少すれば、特定の薬物が潜在的に抗うつ薬様特性を有すると見なす。
【0259】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)のメスのラットへの投与は、コントロールと比較して水泳ストレス試験の不動の平均全持続時間を用量依存的様式にて有意に減少させた(図2)。同様の結果が、対照薬物として用いられるTCAであるデシプラミン(100mg/kg 経口)で得られた。
【0260】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)を、メスのウィスターラットに、3、10および30mg/kgの用量で、水泳試験の2時間前に摂取させた。対照薬物として、三環系抗うつ薬であるデシプラミンを、100mg/kg(経口)で用いた。データは1群当たり8匹の動物に基づく平均値±SEMである。不動の持続時間の用量依存的減少は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで観察された。スチューデントt検定に基づいて*p<0.05であった。
【0261】
ストレス誘発性無快感症試験においては、報酬または快の感情に関与することが知られている動物の脳の領域に電極を埋め込む。この電極は、動物が自己を刺激すること(自己刺激行動)を可能にする。次いで動物を、さまざまな軽度の、断続的で、予測不可能なストレス要因(すなわち限られたスペースへの閉じ込め、食物および/または水の欠乏、明/暗周期の反転)に、数週間にわたって順次さらす。結果として、自己刺激についての閾値が次第に上昇するが、これは報酬に対する動物の感受性が次第に減少していることを意味する。これは、日常活動における関心または快の欠如である無快感症の緩やかな発症として解釈されるが、これはうつ病の顕著な特徴である。
【0262】
3週間にわたってさまざまな軽度の、断続的で、予測不可能なストレス要因にさらした後、オスのラットを4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドまたはビヒクルで、3週間にわたる1日1回の腹腔内(ip)注射によって慢性的に治療した。ストレス誘発性無快感症の発症を追跡するために自己刺激行動を週2回記録したが、これは自己刺激閾値の%変化(無快感症指数)として決定した。
【0263】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで治療された動物は、治療の1〜2週間後に正常な報酬感受性のレベルに戻った(図3)が、一方でビヒクル治療の、ストレスにさらされた動物は、試験後3週間にわたって無快感症のままであった。これらの結果は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗うつ薬性のさらなる証拠を提供する。
【0264】
3週間にわたってさまざまな軽度の、断続的で、予測不可能なストレス要因にさらした後、無快感症のオスのウィスターラットに、3週間にわたり毎日1または3mg/kgの用量で、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(腹腔内)を与えた。コントロール動物は、ビヒクルのみで治療した。無快感症の発症を追跡するために自己刺激行動を週2回記録したが、これは自己刺激閾値の%変化(1分間当たり15回の刺激要求=無快感症指数として任意に定義した)から決定した。データは1群当たり7〜8匹の動物に基づく平均値±SEMである。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの投与は、1〜2週間後にコントロールと比較して無快感症指数の有意な減少を引き起こした。3元配置ANOVAと、続く対応のないt検定に基づいて、*p<0.05であった(図3)。
【0265】
低反応率分化強化(DRL)試験は、薬物の潜在的な抗うつ薬性を評価するだけではなく、それらの抗不安薬の潜在性を評価するために用いられる。レバーを押すことによって特定の刺激に反応するように動物を訓練する。TCAなどの典型的な抗うつ薬は、反応間の時間を増加させ、それによって反応速度を減少させる。それらは最初のレバー押し後の少なくとも30秒間、強化反応、すなわち反復的なレバー押しの回数を増加させもする。ノミフェンシンなどの非定型抗うつ薬およびベンゾジアゼピン様抗不安薬では、反対の効果が観察される。
【0266】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)のオスのラットへの投与は、反応の総平均数の増加および反応間の平均時間の減少を引き起こしたが、それは用量依存的であった(図4)。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、強化反応の回数の減少とも関連した。
【0267】
これらのデータは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが非定型抗うつ薬様に作用し、抗不安薬性も有することを示す。
【0268】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗不安薬性を、高架式十字迷路を用いて試験したが、これは不安パラダイムとして広く用いられ、オープンスペースおよび高さに対するげっ歯類の生得的嫌悪に基づいている。2つのクローズドアームおよび2つのオープンアームを含む高架式迷路の中央に動物を置く。迷路のオープンアーム内での滞在時間を、動物が迷路のオープンアームに進入した回数と共に、これらの動物の変化恐怖(neophobic)不安のレベルの指数と取る。
【0269】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)のオスのラットへの投与は、コントロール(ビヒクルを投与された)と比較して、高架式十字迷路のオープンアーム内での滞在時間の有意な用量依存的増加をもたらした(図5)。オープンアームに進入した割合およびオープンアーム内での移動距離も、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドでの治療後、有意に増加した。対照薬物として用いたクロルジアゼポキシドについて同様の結果が観察された。従って、この試験は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗不安薬様特性を裏付ける。
【0270】
図5に示すデータを得るために、オスのスプラーグドーリーラットに、用量3、10および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)、10mg/kgのクロルジアゼポキシド(経口)またはビヒクルのいずれかを投与した。迷路のオープンアーム内での滞在時間および移動距離によって不安のレベルを決定した。データは、1群当たり12匹の動物に基づく平均値±SEMである。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、迷路のオープンアーム内での滞在時間、オープンアームへの進入回数、およびオープンアーム内での移動距離の用量依存的増加を引き起こしたが、これはその抗不安薬様の潜在性を裏付ける。ANOVAと、続くボンフェローニ検定によって、*p<0.05を決定した。図5:SEM:平均値の標準誤差。結果は11匹の動物に基づいている。以前にDRL30試験において安定した成績を示した動物のみを用いた。各動物は自己コントロールができる状態で用い、試験した4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの全用量(3、10および30mg/kg)またはビヒクルを摂取させた。データは対応のあるt検定で分析した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、抗不安薬様または非定型抗うつ薬様に作用し、反応の総平均数の用量依存的増加および反応間の平均時間の減少を引き起こす。
【0271】
ラットの受動的回避試験は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの潜在的な認識促進効果を評価するために用いた。この試験は、正常行動を抑制することによって嫌悪出来事(電気ショック)を回避するようにげっ歯類を訓練し、訓練後、所定の間隔で該学習の記憶保持について動物を試験することに依存する。
【0272】
ステップダウン試験においては、プラスチック製の台に留まることによってフットショックを回避するように成体ラットを訓練した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを訓練後すぐに経口投与した。訓練後すぐに、スコポラミンを皮下(sc)投与することによって記憶喪失を誘発した。
【0273】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの投与はスコポラミン誘発性記憶保持欠損の回復をもたらしたが、それは用量依存的であり、試験した最も高用量(100mg/kg 経口)で統計的に有意であった(図6)。従って、これらのデータは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、ラットの受動的回避試験において認識促進様特性を有することを示す。
【0274】
図6のデータを得るためのプロトコールは下記の通りである:ステップダウン試験において、プラスチック製の台に留まることによってフットショックを回避するように成体ラット(n=16/用量群)を訓練した。訓練後すぐに、それらに用量3、10、30および100mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)、またはビヒクルを摂取させた。訓練後すぐに、1mg/kgのスコポラミンの皮下投与によって記憶喪失を誘発した。記憶保持は、正反応をするラットの%として測定されるが、これを訓練後2時間で評価した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、スコポラミン誘発性記憶保持欠損の用量依存的回復を引き起こしたが、これは該化合物の認識促進性を示唆している。片側カイ二乗検定に基づいて*p<0.05であった。
【0275】
実施例6
これらの研究は、A2A受容体についてのその親和性およびその選択性特性(さまざまな種に由来する他のアデノシン受容体およびセレップ(CEREP)特性)に関して、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドのインビトロの薬理学的特性を調査するために実施した。さらに、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、A2A(および選択性についてはA受容体)でアゴニスト活性化を阻止する能力を評価した。図7は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの構造を示す。
【0276】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを、最初にDMSO中に濃度20mMで溶解した。続く希釈はアッセイ緩衝液中で行い、放射性リガンド結合アッセイにおいては最大終濃度1.25%DMSO、およびFLIPRアッセイについては0.3%とした。放射性リガンド結合またはFLIPRアッセイについては、アッセイに用いられる濃度の範囲にわたってDMSOの影響はなかった。
【0277】
組換えアデノシンA(ヒト、hA1;ラット rA1)、A2A(ヒト hA2A;ラット rA2A)、A2B(ヒト hA2B)、およびA(ヒト hA3、イヌ dA3)は、セムリキ森林ウイルス発現系を用いてチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で発現させた。ラットA(rA3)膜は、レセプター・バイオロジー社(Receptor Biology Inc.)(米国)から購入した。イヌ(ビーグル、オス)A(dA1)およびA2A(dA2A)受容体脳組織を得、皮質(dA)および線条体(dA2A)組織を解剖し、膜調製まで−80℃で凍結させた。サル(リスザル属、オス)脳線条体(mAおよびmA2A)ならびに皮質(mA)組織を解剖し、膜調製まで−80℃で凍結させた。さまざまな受容体細胞ペレットまたは動物組織解剖領域は、均質化緩衝液(50mMトリス塩酸pH7.4、10mM EDTA)中でペレット/組織を均質化し(ポリトロン)、次いで得られた懸濁液を4℃で15分間、47800gで遠心分離することによって調製した。ペレットを均質化緩衝液中で再懸濁し、続いて再遠心分離した(同一条件)。ペレットを緩衝液(10mMトリス塩酸、EDTA 2mM pH7.4およびアデノシンデアミナーゼ0.5U/ml)中で再懸濁し、37℃で15分間インキュベートし、次いで再遠心分離した。得られたペレットを、トリス10mM、EDTA 2mMおよび10%スクロース中で再懸濁した。タンパク質の濃度を決定し、膜を等分し、さらに用いるまで−80℃で保存した。
【0278】
全放射性リガンド結合アッセイは、96ウェルプレート内で、放射性リガンド(図8)および10通りの濃度の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(10μM〜0.03nMの範囲)の存在下で実施した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの希釈は、アッセイ緩衝液中、ベックマンバイオメク2000ラボラトリーオートメーションワークステーション(Beckman Biomek 2000 laboratory automation workstation)を用いて行った。非特異的結合は、キサンチンアミン同族体またはNECAを用いて定義した。各ウェルは、終容量200μlの緩衝液AまたはB(Aについては50mMトリス、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaClおよび10mM MgCl(pH7.4)を含み;Bについては50mMトリス、1mM EDTAおよび10mM MgCl(pH7.4)を含む)中で、膜タンパク質(さまざまな濃度)、0.5mgのYsi−ポリ−l−リジンSPAビーズ(全SPAアッセイ用、濾過用ではない、図8参照)および0.1Uアデノシンデアミナーゼを含んだ。全アッセイは2通り実施し、少なくとも2回繰り返した。遠心分離(SPA)または濾過前に、アッセイプレートを室温でさまざまな時間、インキュベートした(図8参照)。濾過アッセイについては、真空下でGF/Cフィルターを通す迅速濾過によってこれらを終了させたが、該フィルターはPEI(ポリエチレンイミン;0.3%)と共に少なくとも30分間予浸し、氷冷トリス緩衝液(50mM、pH7.4)で5x0.4mL洗浄したものであった。SPAおよび濾過プレートの両方について、パッカードトップカウントシンチレーションカウンター(Packard Topcount scintillation counter)を用いて結合リガンドを決定した。
【0279】
2通り行ったそれぞれについて競合化合物の濃度のCPM値を平均し(y1)、次いで特異的結合の割合(%)を次式で計算した−(((y1−非特異的)/(全結合非特異的))x100)。レーベンバーグ・マルカート(Levenburg Marquardt)アルゴリズムを用いて反復してデータをプロットする曲線適合プログラムであるXLfitを用いて、グラフを特異的結合(%)でプロットした。用いた単一部位競合分析式は、y=A+((BA)/(1+((x/C)D)))であり、yは特異的結合(%)、Aはyの最小値、Bはyの最大値、CはIC50、xは競合化合物の濃度のlog10、およびDは曲線の傾斜(ヒル係数)である。これらの曲線から、IC50(放射性リガンドの50%の特異的結合が置換される阻害濃度)およびヒル係数を決定した。親和定数(Ki)は、チェン−プルソフ(Cheng-Prussoff)式、Ki=(IC50/1+([L]/Kd)を用いて計算したが、[L]は放射性リガンドの濃度およびKdは放射性リガンドの親和定数である。Kiは、pKiのように対数的にも表した。図8について、説明文はR(組換え);T(組織);RT(室温);緩衝液A:50mMトリス、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2および10mM MgCl(pH7.4);緩衝液B:50mMトリス、1mM EDTAおよび10mM MgCl(pH7.4);RL(放射性リガンド);NS(非特異的結合);SPA(シンチレーション近接アッセイ)である。
【0280】
混在(promiscuous)Gタンパク質であるGα16を安定に発現しているCHO細胞に、ヒトAまたはA2A受容体のいずれかをコードするヒトプラスミドをトランスフェクトした。FLIPRにて検出された機能的反応に基づいて、安定な細胞株を選択した。限界希釈法によって安定な細胞をクローン化し、Gα16およびヒトA(クローン12)またはA2A(クローン34)受容体のいずれかを安定に発現しているモノクローナル細胞株を得た。
【0281】
37℃で湿度95%の10%COインキュベーター内にて、10%加熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、1%L−グルタミン酸塩、1%必須アミノ酸を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で安定な細胞株を培養した。
【0282】
アッセイ前の午後に、各ウェルの底面から細胞観察および蛍光測定できるように、透明な底面を有するブラック96ウェルプレートに、密度50,000細胞/ウェルで細胞を蒔いた。細胞の密度は、次の日に融合性単層を生じるのに十分であった。フェノールレッドを含まず、20mM HEPES(pH7.3)および2.5mMプロベネシド(アッセイ緩衝液)を含むハンクス平衡塩溶液を、各実験について新しく調製した。アッセイ緩衝液中、ベックマンバイオメク2000ラボラトリーオートメーションワークステーション(Beckman Biomek 2000 laboratory automation workstation)を用いて希釈を行った。色素添加緩衝液は、アッセイ緩衝液中で終濃度2μMのFluo−4−AM(DMSOおよびプルロン酸(pluronic acid)に溶解した)からなった。存在する維持培地をウェルから除去し、100μlの色素添加緩衝液を各ウェルに加え、湿度95%の5%COインキュベーター内にて、37℃でおよそ60分間インキュベートした。一度色素添加すると、アッセイ緩衝液を含むEmbla細胞ウォッシャーで細胞を徹底的に洗浄し、取り込まれなかった色素を除去した。正確に100μlのアッセイ緩衝液を各ウェル内に残した。
【0283】
アッセイ条件は、以前に「Porter et al., Brit. J. Pharmacol. 128, 13-20, 1999」および「Patel et al., Brit. J. Pharm. 138, 671-677, 2003」に記載された通りの条件とした。簡潔に説明すると、色素添加細胞を含む各96ウェルプレートをFLIPRの引き出し内に設置し、レーザー強度を(およそ10,000蛍光ユニットの基底値を得るための)適切なレベルに設定した。蛍光測定へ、アゴニストの付加を10秒間行った。アンタゴニスト研究については、細胞を実験前に10分間プレインキュベートした。得られた最大蛍光シグナルを記録し、全てのプレートについて2通り実施した10μM NECAのポジティブコントロールに正規化した。各96ウェルプレートは、ポジティブコントロール(10μM NECA)用の2つのウェル、およびネガティブコントロール(アッセイ緩衝液単独)としての2つのウェルを含んだ。薬理学的特徴づけのために、全データをポジティブコントロールウェルに正規化したが、それは100%シグナルとして表した。各アゴニスト濃度−反応曲線は、下記のようなマイクロソフトエクセルのXLFitからの4つのパラメータロジスティック式を用いて作成した:Y=最小値+((最大値−最小値)/(1+10(LogEC50−X)nH))。化合物の有効性は、最大値から決定した。最大半量の反応を生じたアゴニストの濃度は、EC50値によって表され、その対数はpEC50値を与える。用いた単一部位競合分析式は、y=A+((B−A)/(1+((x/C)D)))であり、yは特異的結合(%)、Aはyの最小値、Bはyの最大値、CはIC50(アゴニスト刺激の50%が阻害される濃度)、xは競合化合物の濃度のlog10、およびDは曲線の傾斜(ヒル係数)である。
【0284】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの選択性を評価するために、67種類を超える受容体、神経伝達物質トランスポーターおよびイオンチャネルについてさらなる放射性リガンド結合研究を実施した。さらに、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの選択性を評価するために、16種類の酵素標的について細胞生物学アッセイを実施した。
【0285】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、ヒトA2A受容体について高親和性を有し(Ki 5±0.5nM;pKi 8.31±0.04)、生dpm、IC50、Ki、pKiおよびヒル係数決定を含むデータについてhA(Ki:1332±106nM;pKi:5.88±0.04)、hA2B(Ki:700±55;pKi 6.16±0.03)、およびhA(Ki:1572±134nM;pKi:5.81±0.04)受容体と比較してそれぞれおよそ270、140および314倍の選択性がある。各アッセイについてのヒル係数は、結合部位の単一の均一集合が標識されていることを示した。異なる種の結合研究も、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがラットのA2A受容体(pKi 7.7)、イヌのA2A受容体(pKi 7.9)およびサルのA2A受容体(pKi 7.9)について高親和性を有し、同一種の受容体よりも優れた選択性を有することを実証した(図9参照)。
【0286】
データはpKi±SEM(n)を表し、pKiは親和定数(Ki)のLog10、SEMは平均値の標準誤差(n>2の場合)、およびnはアッセイの回数である。個々のデータの詳細は、セクション6.1の付録1に示す。
【0287】
機能アッセイでは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、hA2A−Gα16−CHO細胞内においてNECA刺激性(非特異的アデノシン受容体アゴニスト)のCa2+流をアンタゴナイズする能力を評価した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、A2A媒介反応を阻害し、pIC50は8.79±0.06(ヒル傾斜0.6)であった。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、hA−Gα16−CHO細胞内においてNECA刺激性のCa2+流をアンタゴナイズし、pIC50は5.22または<5であった。hAアンタゴニズムは検出限界ぎりぎりであったが、データは、この機能アッセイにおいて4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがhA2A受容体についてhAよりも>4000倍の選択性を有したことを示す(図10〜21参照)。
【0288】
さらなる放射性リガンド結合研究では、67種類を超える受容体、神経伝達物質トランスポーターおよびイオンチャネルについて、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの選択性を評価した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、アデノシントランスポーター(4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが10μMで55%置換を示した)を除く試験した標的よりもA2A受容体について1900倍の選択性を有した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、これらの標的よりもA2A受容体について1900倍の選択性を示したが、ホスホジエステラーゼ(IV)酵素については10μMで88%阻害が見られた。
【0289】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、優れた選択性特性を有する強力なA2A受容体アンタゴニストである。
【0290】
この研究の目的は、さまざまなインビトロの受容体結合および酵素アッセイにおいて、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果を調査することであった。結合アッセイの一般的手順については図22〜25を参照のこと。結合アッセイの実験条件については図26〜32を参照のこと。結果については図37〜43を参照のこと。
【0291】
受容体への特異的リガンド結合は、過剰な非標識リガンドの存在下で測定した総結合と非特異的結合の間の差異として定義される。
【0292】
結果は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの存在下で得られたコントロール特異的結合のパーセントおよびコントロール特異的結合のパーセント阻害として表す。個々の値および平均値は、結果セクションに示す。IC50値(コントロール特異的結合の最大半量の阻害をもたらす濃度)およびヒル係数(n)は、ヒル式曲線適合を用いた競合曲線の非線形回帰分析によって決定した。
【0293】
阻害定数(K)はチェン・プルソフ(Cheng Prusoff)式(K=IC50/(1+(L/K))から計算したが、式中、L=アッセイ中の放射性リガンドの濃度、およびK=受容体についての放射性リガンドの親和性)である。
【0294】
結合アッセイのIC50およびKi値については図44〜48を参照のこと。
【0295】
酵素アッセイについて、結果は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの存在下で得られたコントロール値のパーセントおよびコントロール値のパーセント変化として表す。
【0296】
個々の値および平均値は、結果セクションで示す。
【0297】
IC50値(コントロール値の最大半量の阻害をもたらす濃度)、EC50値(コントロール値の最大半量の刺激をもたらす濃度)およびヒル係数(n)は、ヒル式曲線適合を用いた濃度−反応曲線の非線形回帰分析によって決定した。一般的手順については図33を、酵素アッセイの実験条件については図34〜36を参照のこと。
【0298】
各実験において、アッセイ適合性を評価するために、それぞれの対照化合物を4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドと同時に試験した。(IC50またはEC50値の決定用に)いくつかの濃度で試験し、データをセレップ(Cerep)で決定された歴史的値(historical values)と比較した。
【0299】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果についての平均値は、図49、50、および53にまとめている。
【0300】
各対照化合物についてのIC50およびKi値は、図51、52、および54に示す。それぞれの値は、歴史的平均値(historic average)±0.5対数単位の許容範囲内である。
【0301】
実施例7
本研究は、APEC誘発性運動低下試験における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの効果を調査する。APEC(2−[(2−アミノエチルアミノ)カルボニルエチル−フェニル−エチルアミノ]−5'−エチルカルボキサミドアデノシン)はアデノシンA2A受容体アゴニストであり、用量依存的様式にて自発運動活性を減少させる。APEC誘発性運動低下は、選択的A2A受容体アンタゴニストによって軽減されるが、選択的A受容体アンタゴニストによっては軽減されない(Marston HM et al. Pharmacological characterization of a simple behavioral response mediated selectively by central adenosine A1 receptors, using in vivo and in vitro techniques. J Pharm Exp Ther. 1998; 285:1023-1030.)
【0302】
選択的A2A受容体アンタゴニストとしてのそのインビボ効力およびその有効性を決定するために、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがラットのAPEC誘発性運動低下を阻止する能力を評価した(図55)。
【0303】
体重およそ140〜200gのオスの成体ウィスターラット(HanBrl: Wist (SPF) RCC)を用いた。おがくずの寝床を備えたマクロロン(Macrolon)3型ケージ(810cm)内で、4つの群にて動物を飼育した。水道水および標準的な飼料(Ratte Alleinfutter, extrudat No 3436; Provimikliba Kaiseraugst, Switzerland)は、試験の間を除いて持続的に入手可能とした。4つの群の動物を12:12時間の明暗周期に維持し、午前6時に光照射を開始した。室温(21〜23℃)および湿度(55〜65%)を一定に保った。試験の終わりに、ラットをCO吸入によって安楽死させた。動物保全および試験についての連邦および地方条例の遵守に基づいて、用いた実験手順はバーゼル市州動物保護委員会から事前承認を受けた。方法は、スイス医学アカデミーおよびスイス科学アカデミーによって推奨された動物科学実験についての倫理原則および指針に従った。
【0304】
自発運動活性は、デジスキャンアニマルアクティビティーモニタリングシステム(Digiscan Animal Activity Monitoring system(Model RXYZCM Omnitech Electronics, Columbus, Ohio))でモニターした。試験ボックスはプレキシグラスで作成し(41x41x28cm;WxLxH)、おがくずの寝床の薄い層を入れた。各治療群は、16〜24匹のラットからなった。自発運動活性記録の2時間前に、用量0.3、1、3、10mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを経口投与し、続いて110分後に0.01mg/kgのAPECを皮下注射することによりラットを治療した。コントロール動物にはビヒクルのみ、またはビヒクルおよびAPECを摂取させた。APEC投与の10分後、動物を試験ケージ内に置き、水平運動(horizontal activity)を15分間記録した。
【0305】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを蒸留水中の0.3%Tween80に懸濁し、APECを0.9%生理食塩水中の0.3%Tween80に懸濁した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド−000−003を経口(強制経口)投与し、APECを皮下(s.c.)投与した。注射容量は5ml/kg体重であった。用量は、薬物の遊離塩基を指す。
【0306】
データをクルスカル−ウォリス(Kruskal-Wallis)ANOVAによって分析し、次いでマンホイットニーU検定よって分析した。0.05未満のp値を有意であると見なした。
【0307】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、コントロールと比較して有意かつ用量依存的に自発運動活性のAPEC誘発性欠損を回復させ、ID50およびID90値はそれぞれ0.5mg/kgおよび3.4mg/kgであった。
【0308】
図55において、データは1群当たり16〜24匹の動物に基づいた平均値±SEMである。*p<0.05はマンホイットニー検定によって決定した。
【0309】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの経口投与は、自発運動活性のAPEC誘発性欠損を有意に回復させ、ID50およびID90値はそれぞれ0.5mg/kgおよび3.4mg/kgであった。これらのデータは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、経口投与後、効果的に脳アデノシンA2a受容体を阻害することを裏付けるインビボの証拠を提供する。
【0310】
実施例8
本研究は、ラットの水泳ストレス試験における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗うつ薬様効果を調査する。水泳ストレス試験は、げっ歯類を水の中に入れた時、初期の精力的な活動後、特徴的な不動姿勢を取り、浮いたままでいるのに必要な最小限の運動しかしないという原則に依存する。不動時間が減少すれば、特定の薬物が潜在的に抗うつ薬様特性を有すると見なす(Porsolt RD et al. Behavioural despair in rats: a new model sensitive to antidepressant treatments. Eur. J. Pharmacol. 1978; 47:379-391)。
【0311】
体重およそ100〜130gのメスの成体ウィスターラット(HanBrl: WIST (SPF); RCC Fullinsdorf)を用いた。おがくずの寝床を備えたマクロロン(Macrolon)3型ケージ(810cm)内で、4つの群にて動物を飼育した。水道水および標準的な飼料(Ratte Alleinfutter, extrudat No 3436; Provimikliba Kaiseraugst, Switzerland)は、試験の間を除いて持続的に入手可能とした。4つの群の動物を12:12時間の明暗周期に維持し、午前6時に光照射を開始した。室温(21〜23℃)および湿度(55〜65%)を一定に保った。試験の終わりに、ラットをCO吸入によって安楽死させた。動物保全および試験についての連邦および地方条例の遵守に基づいて、用いた実験手順はバーゼル市州動物保護委員会から事前承認を受けた。方法は、スイス医学アカデミーおよびスイス科学アカデミーによって推奨された動物科学実験についての倫理原則および指針に従った。
【0312】
15cmの水を含み、23〜24℃に維持した垂直のプレキシグラスシリンダー(高さ:40cm;直径:17.5cm)内で、未治療のラットを個々に泳がせた。水中で15分間泳がせた後、それらを外に出し、ホームケージに戻す前に加熱灯下で15分間乾燥させた。24時間後にそれらをシリンダー内に戻し、5分間の試験の間に不動の全持続時間を測定した。ラットがわずかに体を丸めているが、立位で、頭部が水面のすぐ上に出た状態で水中に受動的に浮遊し続けている場合は、ラットを不動であると判断した。
【0313】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを蒸留水中の0.3%Tween80に懸濁した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを、試験の24時間前、16時間前、および2時間前に経口(強制経口)投与した。注射容量は5ml/kg体重であった。用量は、薬物の遊離塩基を指す。
【0314】
データは、対応のないスチューデントt検定を用いて分析した。0.05未満のp値を有意であると見なした。
【0315】
図56は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドのメスのラットへの経口投与が、コントロールと比較して有意かつ用量依存的に不動の平均全持続時間を減少させたことを示す。同様の結果が、対照薬物として用いた三環系抗うつ薬であるデシプラミン(100mg/kg 経口)で得られた。データは1群当たり8匹の動物に基づく平均値±SEMである。スチューデントt検定に基づいて、*p<0.05であった。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの経口投与は、ラットの水泳ストレス試験における不動の平均全持続時間を有意かつ用量依存的に減少させた。これらのデータは、経口投与後の4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの潜在的な抗うつ薬様特性についてのインビボの証拠を提供する。
【0316】
実施例9
本研究は、ラットの慢性軽度のストレス誘発性無快感症試験における4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの潜在的な抗うつ薬様効果を調査する。方法は、「Moreau, J.-L., Bourson, A., Jenck, F., Martin, J.R. and Mortas, P. (1994) Curative effects of the atypical antidepressant mianserin in the chronic mild stress-induced anhedonia model of depression. J. Psychiatr. Neurosci. 19, 51-56」および「Moreau, J.-L., Scherschlicht, R., Jenck, F. and Martin, J.R. (1995) Chronic mild stress-induced anhedonia model of depression: sleep abnormalities and curative effects of electroshock treatment. Behav. Pharmacol. 5, 682-687」に記載された方法に従う。
【0317】
実験開始時に体重およそ350gのオスの成体アルビノウィスターラット(HanBrl WIST (SPF), RCC Ltd, Fullinsdorf, Switzerland)を用いた。外科手術の後、標準的な実験室条件下(12時間の明/暗周期、午前6:00に光照射を開始、温度21℃〜23℃)で、食物(Kliba Miihlen, Kaiseraugst, Switzerland)および水道水を自由に入手できる状態で、ラットを個々にマクロロン(Macrolon)III型容器内に維持(ストレス療法の一部として一時的に群で飼育した場合を除く)した。特に示さない限り、ストレスを加えたコントロール動物を同一群内で飼育した。動物保全および試験についての連邦および地方条例の遵守に基づいて、用いた実験手順はバーゼル市州動物保護委員会から事前承認を受けた。方法は、スイス医学アカデミーおよびスイス科学アカデミーによって推奨された動物科学実験についての倫理原則および指針に従った。
【0318】
ナトリウムケタミン塩酸塩5%(90mg/kg 腹腔内)およびキシラジン2%(10mg/kg 腹腔内)で動物に麻酔をかけ、ブプレノルフィン(テムゲシック(Temgesic)、0.03mg/kg 皮下注射)を投与した。生理食塩水溶液への浸漬中に電流を流すことによって、ステンレス鋼双極性電極(MS303/3, Plastics One Inc.., Roanoke, VA, USA)を点検した。電極に沿った小さな気泡の出現によって電流漏れを可視化できた場合、それを処分した。適切に絶縁した電極を、中脳の腹側被蓋野のレベルで中脳辺縁系に片側的かつ定位的に埋め込んだ(人字縫合から2mm前部、正中縫合から0.3mm側方、および頭蓋骨表面から8.5mm腹側)。電極チップは背腹側面でおよそ0.5mm離した。電極は水平面と垂直に埋め込み、人字縫合および十字縫合が同一水平面に位置するように切歯棒を調整した。4〜5本のステンレス鋼ネジおよび常温重合レジンによって電極集合を頭蓋骨に固定した。動物が完全に目覚めるまで暖かい環境で術後維持し、術後の痛みを最小化するように0.03mg/kgのブプレノルフィンの皮下注射を行った。訓練開始前に、それらの術後回復に少なくとも5日間の日数を与えた。
【0319】
腹側被蓋自己刺激(VTSS)の手順において、試験チャンバーは床上5cmの側壁に位置する穴(直径2.5cm)を有するプレキシグラスボックス(30x25〜25cm)で構成した。ラットは、ノーズポーク(nose-poke)で収束光線を遮断し、電気脳刺激を誘発し得た。双極性刺激(0.1ミリ秒の持続時間の単相方形波の0.5秒訓練)をPCコンピューターによってコントロールされた定電流刺激装置から送達したが、PCコンピューターは反応の記録も行った。訓練段階において、各ラットを試験チャンバーに入れ、脳内電気刺激に報酬を与えるためにノーズポーク(nose-poke)反応を行うように訓練した。周波数は70Hzに保ち、個々のラットが、観察可能な運動障害を伴わずに最高反応速度を維持できるように電流強度を設定した。安定な反応が達成されるまで訓練を継続した。次いで、VTSS行動についての閾値を前記のように決定した。簡潔に説明すると、基準反応速度が達成されるまで(1分間当たり15回のノーズポーク(nose-poke)反応として定義される)、刺激の周波数を10Hzずつ段階的に下降および上昇させた。個々のラットにおいて、以前に見出した最高反応速度を生ずる値に刺激強度を維持した。各周波数レベルで動物を2分間試験し、ノーズポーク(nose-poke)反応の回数を記録した。各周波数レベルについて、平均反応速度を計算した。脳刺激がない場合、反応速度は通常、1分間当たり10回未満のノーズポーク(nose-poke)(決して15回を超えない)であった。それゆえ、VTSS閾値は、1分間当たり15回のノーズポーク(nose-poke)を引き出す上昇および下降周波数の平均として定義した。
【0320】
ストレス療法は、例えば小さなケージ(24x10x9cm)に閉じ込め、10分毎にベルを鳴らすことの1時間の繰り返し、一晩連続した光照射、一晩食物および水を欠乏させ、直後に2時間、限られた食物を与える(ケージ内に45mgの食物ペレットを18個散乱させる)、一晩水を欠乏させ、直後に1時間、空のビンを与える、湿気のあるケージ内で一晩、群で飼育する(おがくずの寝床に100mLの水を入れる)など、各週でさまざまな予測不可能で、軽度のストレス要因からなる。金曜日の夜から月曜日の朝にかけて、明/暗周期の反転下においても動物を維持した。
【0321】
3日間連続した試験セッションにわたって個々のラットの自己刺激閾値の変化が15%未満である場合に実験を開始した。各7〜8匹のラットを有する3つの群を慢性軽度のストレス療法にさらし、各6匹のラットを有する2つの群には何もしなかった。25日目〜46日目に、ストレスを与えた動物の2つの群に、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(1または3mg/kg 腹腔内)を投与し、一方でストレスを与えたラットの第3の群に生理食塩水を注射した。同一期間内に、ストレスを受けていない動物の2つの群を、それぞれ4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(3mg/kg 腹腔内)または生理食塩水で治療した。ICSS閾値を週2回、午前中に決定し、各試験日の各群について得られた閾値を比較した。結果はICSS閾値のパーセンテージ変化として表すが、これは無快感症指数を表す(ICSS閾値が増加するほど、無快感症が重度になる)。
【0322】
データを2要因反復測定分散分析によって分析し、必要に応じて、実施した個々の日についての比較による独立t検定で補った。p値が0.05未満である場合に統計的に有意であるとした。
【0323】
ストレスを受けた全3群において、無快感症指数(腹側被蓋自己刺激閾値の%変化)の有意なストレス誘発性増加があった[それぞれF(12,91)=8.89,〜〜0.05;F(12,91)=12.54,〜〜0.05]。ストレス期間の25日目〜46日目に、ストレスを受けた動物を、1または3mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで治療した場合、治療の1〜2週間後、増加した無快感症指数がベースラインコントロールレベルへ戻った(動物が正常レベルの報酬感受性を回復した)が、一方、ビヒクルで治療されたストレスを受けた動物は、無快感症のままであった。薬物で治療された群とビヒクルで治療された群を比較すると、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの明白な治療上の抗無快感症効果が見られた[F(12,156)=2.28,pcO.O5]。図57を参照のこと。データは、1群当たり7〜8匹の動物に基づく平均値±SEMである。2要因反復測定ANOVAと、続く独立t検定に基づいて、*p<0.05であった。
【0324】
これらのデータは、ストレスを受けた無快感症の動物が治療上、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドで治療された場合(1、3mg/kg 腹腔内 1日1回)、ストレス誘発性無快感症が完全に回復したことを示す。これらの結果は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの潜在的な抗うつ薬特性を実証する。
【0325】
実施例10
本研究は、ラットの低反応率分化強化−30秒(DRL−30)試験における、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗うつ薬/抗不安薬様効果を調査する。方法は、「Richards JB, Seiden LS. A quantitative interresponse-time analysis of DRL performance differentiates similar effects of the antidepressant desipramine and the novel anxiolytic gepirone. J Exp Anal Behav. 1991 ;56:173-192.」および「Stephens DN, Voet B. Differential effects of anxiolytic and non-anxiolytic benzodiazepine receptor ligands on performance of a differential reinforcement of low rate (DRL) schedule. Behav Pharmacol. 1994;5:4-14.」に記載された方法に従っている。典型的な抗うつ薬は、反応間の時間を増加させ、それゆえ反応速度を減少させる。それらは強化の回数も増加させる。ベンゾジアゼピン様抗不安薬または非定型抗うつ薬では、反対の効果が観察される。
【0326】
体重およそ350gのオスの成体スプラーグドーリーラット(Charles River, France)を用いた。おがくずの寝床および木の削りくずを備えたマクロロン(Macrolon)3型ケージ(810cm)内で、1ケージ当たり1匹、動物を飼育した。動物は、水道水は自由に入手できたが、標準的な飼料(Ratte Alleinfutter, extrudat No 3436; Provimikliba Kaiseraugst, Switzerland)の入手は制限した(1日当たり15g)。4つの群の動物を12:12時間の明暗周期に維持し、午前6時に光照射を開始した。室温(22±2℃)および湿度(55〜65%)は一定に保った。動物保全および試験についての連邦および地方条例の遵守に基づいて、用いた実験手順はバーゼル市州動物保護委員会から事前承認を受けた。方法は、スイス医学アカデミーおよびスイス科学アカデミーによって推奨された動物科学実験についての倫理原則および指針に従った。
【0327】
低反応率分化強化−30秒(DRL−30)試験を用いた。装置は、ハウスライト、1本のレバーおよび食物ペレットディスペンサー(45mgの食物ペレット)を取り付けた防音の標準的なスキナーボックス(28x21x21cm)(MED Associates Inc.)で構成された。レバーは、ペレットディスペンサーに接続した食物容器の左側に設置した。スキナーボックスをプログラミングシステム(Kestrel Software, Conclusive Solutions, Harlow, UK)に接続し、実験をコントロールし、データを自動的に収集した。
【0328】
定率強化(FR1)スケジュールに従って、実験チャンバー内でラットに最初にレバー押し習得セッションを受けさせた。強化は、各レバー押し後に送達された食物ペレット(45 mg Noyes Pellet "formula P", NH, USA)で構成された。レバー押し習得段階の後、低反応率分化強化(DRL)スケジュールに従って、動物に反復訓練セッションを受けさせた。この手順において、遅延後に生じた反応のみに報酬が与えられた(強化反応)。遅延の終了前に生じた反応は強化されず、次の反応のために遅延をリセットした。遅延は5秒から30秒(DRL−30)に緩やかに増加し、薬物試験開始前の訓練段階の終わりに、安定なレベルのDRL−30成績を達成した。各訓練セッションは15分間続いた。各セッションの2時間前に、動物に蒸留水を経口投与した。スキナーボックス内で消費された食物ペレットに加えて、各動物はそれらのホームケージ内で(午後5時に)、毎日15gの食物供給を受けた。
【0329】
各セッションについて3つの測定を行った:反応の総数、強化(前のレバー押し後、少なくとも30秒で生じたレバー押し)の回数、および反応間の平均時間(連続的なレバー押しの間に経過した平均待機時間)。
【0330】
2週間連続して安定なベースラインDRL−30成績を達成した動物について、薬物試験を実施した。薬物試験セッションでは週2回、少なくとも2回の訓練セッションを行い、2つの試験セッションの間には薬物を与えなかった。各動物は自己コントロールできる状態で用い、別々の試験セッションにおいて全ての選択した治療およびコントロールを与えた。異なる治療の時間内の均等分布を確実にするために、治療の順序はランダム化手順によって決定した。各動物は、常に同一のスキナーボックス内で、同一の順序で、1日の同じ時間に試験した。試験は盲検的に実施した。試験は11匹の動物で実施した。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを、蒸留水中の0.3%Tween80に懸濁した。試験の2時間前の3、10および30mg/kgの経口(強制経口)投与によって、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドを評価した。注射容量は5ml/kg体重であった。用量は、薬物の遊離塩基を指す。
【0331】
データは対応のある片側t検定を用いて分析した。
【0332】
図58は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドのオスのラットへの経口投与(3、10および30mg/kg)が、有意かつ用量依存的に反応の回数を増加させ、反応間の平均時間を減少させたことを示す。それは、強化の回数を減少させる傾向もあった。DRL30試験において安定した成績を修めることができるように以前に訓練されたラットでは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(3、10、30mg/kg 経口)が有意かつ用量依存的に反応の回数を増加させ、反応間の平均時間を減少させた。それは、強化の回数を減少させる傾向もあった。これらのデータは、ある程度の抗不安薬様活性またはある程度の非定型抗うつ薬様特性のいずれかを示唆する。
【0333】
実施例11
本実験では、経口投与された4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが、受動的回避課題においてスコポラミン誘発性記憶喪失を回復させる有効性を調査した。
【0334】
体重およそ94〜113gのオスの成体ウィスターラット(HanBrl: WlST (SPF); RCC Fullinsdorf)を用いた。おがくずの寝床を備えたマクロロン(Macrolon)3型ケージ(810cm)内で、4つの群にて動物を飼育した。水道水および標準的な飼料(Ratte Alleinfutter, extrudat No 3436; Provimikliba Kaiseraugst, Switzerland)は、試験の間を除いて持続的に入手可能とした。4つの群の動物を12:12時間の明暗周期に維持し、午前6時に光照射を開始した。室温(21〜23℃)および湿度(55〜65%)を一定に保った。試験の終わりに、ラットをCO吸入によって安楽死させた。動物保全および試験についての連邦および地方条例の遵守に基づいて、用いた実験手順はバーゼル市州動物保護委員会から事前承認を受けた。方法は、スイス医学アカデミーおよびスイス科学アカデミーによって推奨された動物科学実験についての倫理原則および指針に従った。
【0335】
受動的回避訓練は、格子床を含む試験チャンバー内(40cm x 31cm x 29cm)で実施したが、格子床はステンレス鋼ロッドでできており、それを通じて定電流のスクランブル電気ショック(1.1mA)を持続的に送達できるようにした。0.5cm厚のプラスチック製の台(15cm x 15cm)で格子の角の1つを覆った。各訓練セッションは、隣接する格子に電気を流した台にラットを置くことから開始した。ラットが台から格子に降りた場合、ラットは自動的にフットショックを受け、典型的には急いで台へ戻った。次いで、盛んに抵抗されるまで、数回にわたってラットを格子へ降りるように穏やかに押したが、これはラットが格子床に降りることと、フットショックを受けることの間の関連を学習したことを意味した。顕著な薬物誘発性運動障害/鎮静状態の明白な兆候を示していた動物は、全く試験しなかった。同一の装置内で記憶保持試験を行い、各ラットを隣接する台(電気を流していなかった)を有するプラスチック製の台に置いた。記憶保持試験の最初の60秒以内に台へ降りた場合、または格子床に穏やかに押し出されることに続いて抵抗しなかった場合には、回避を示さなかったと判断した(従って、記憶喪失の証拠であると見なした)。試験は、午前7時〜午後3時の間に実施した。記憶保持評価を行う場合、観察者は治療条件に関して盲検的であった。
【0336】
受動的回避習得の直後に、ラットに下記の治療条件の1つを選択的に割り当て、同時に投与した:
【0337】
1)ビヒクル(皮下注射)+ビヒクル(経口)
【0338】
2)1mg/kgの臭化水素酸スコポラミン(皮下注射)+ビヒクル(経口)
【0339】
3)1mg/kgの臭化水素酸スコポラミン(皮下注射)+用量3、10、30または100mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド(経口)
【0340】
訓練および訓練後治療の2時間後、記憶保持試験における受動的回避反応の記憶保持について各ラットを評価した。ビヒクル(皮下注射)+ビヒクル(経口)で訓練後治療をすぐに受けたラットについて収集したデータは、スコポラミン記憶喪失がない場合の記憶保持のベースラインレベルの尺度を提供する(統計分析には含んでいない)。治療群当たり、N=16である。
【0341】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、使用直前に、NaCl(0.9%)中の0.3%(v/v)Tween80のビヒクル中で調製し、超音波処理した(ultrasonified)(Model Digital S, Transsonic)。注射容量は5ml/kg体重であった。用量は、薬物の遊離塩基を指す。臭化水素酸スコポラミンは、使用前に0.3%(v/v)Tween80−NaCl(0.9%)中で新たに調製した(注射容量2mg/kg、皮下注射)。
【0342】
各薬物条件下で記憶保持障害を示すスコポラミン注射ラットの割合を、ビヒクル治療後に観察された割合と比較するために、これらの(全か無かの)データについて、両側カイ二乗検定(Statview for windows 92/98; version 5.0.1)で統計的評価を行った。0.05以下のp値を統計的に有意であるとした。
【0343】
図59は、受動的回避課題で訓練され、訓練後にビヒクル(皮下注射)+ビヒクル(経口)で治療され、2時間後に記憶保持を示したラットの割合が、スコポラミン(皮下注射)+ビヒクル(経口)を摂取し、2時間後に記憶保持を示したラットの割合よりも有意に大きく、それぞれ81.25%と12.5%であったことを示す。経口ビヒクルも摂取したスコポラミン治療群と比較すると、100mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの経口投与も受けたスコポラミン治療動物の有意に大きな割合(43.75%;P<0.05)が、受動的回避記憶保持を示した。
【0344】
データは正反応である(動物の%;1群当たりN=16)。カイ二乗検定(両側)に基づいて、*p<0.05である。
【0345】
実施例12
実験開始時に体重およそ200gのオスの成体スプラーグドーリーラットを用いた。おがくずの寝床を備えたマクロロン(Macrolon)3型ケージ(810cm)内で、4つの群にてそれらを飼育した。動物を12:12時間の明/暗周期に維持し、午前6時に光照射を開始し、水道水および食物(Promikliba Kaiseraugst, Switzerland)を自由に入手させた。室温(21〜23℃)および湿度(55〜65%)は一定に保った。
【0346】
高架式十字迷路は、中央の小さな空地から伸びる2つのオープンアームと、それに垂直の2つのクローズドアーム(各アームは幅10cm x 長さ50cmであった)で構成された。装置は灰色のポリ塩化ビニルプラスチックで作成し、床上50cmに設置した。クローズドアームは、もう一方のアームとは異なり、高さ48cmの囲壁を有した。装置は防音の観察部屋に置き、照明をコントロールした(十字迷路の中央の台に200ルクス)。ラットはランダムな順序で試験した。試験は、クローズドアームに面した中央の台に動物を置くことによって開始した。試験は5分間続けた。各動物の導入前に装置を消毒するために、70%エタノールを用いた。
【0347】
十字迷路は閉じられた真っ暗な環境の中央に設置し、迷路の上に備え付けた監視ビデオカメラによって動物を観察した。行動分析は、コンピューターシステム(Ethovision, Noldus Information Technology, The Netherlands)を用いて実施した。
【0348】
各治療群は、9〜12匹のラットで構成された。各動物は、単一の実験についてのみ用いた。ラットは、用量3、10および30mg/kgの4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド、ビヒクル(0.3%Tween80/0.9%NaCl)、またはポジティブコントロールとしての10mg/kgのクロルジアゼポキシドで治療した。薬物投与後、おがくずと水のない小さなケージ内にラットを隔離した。1時間後、それらを十字迷路に置いた。
【0349】
抗不安薬様行動を表すために選択した尺度は、オープンアーム内での滞在時間(秒)、オープンアーム内を移動した距離(cm)、および中央の台とオープンアームの間の移動の回数であった。運動活性を数量化するために用いた尺度は、クローズドアーム内を1秒当たりに移動した距離(速度)である。
【0350】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドおよびクロルジアゼポキシドを、0.3%Tween80/0.9%NaClを含む蒸留水に懸濁した。化合物を容量5ml/kg体重で経口(強制経口)投与した。コントロール動物には、等容量のビヒクルの注射を摂取させた。
【0351】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドについては、一元配置分散分析(ANOVA)と、続く事後(post-hoc)ダネット検定を用いて統計分析を実施した。0.05未満のp値を有意であると見なした。クロルジアゼポキシドの効果は、t検定を用いて分析した。
【0352】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、滞在時間、移動距離、およびこれらのオープンアームへの進入回数の用量依存的増加を生じた(図60〜64)。統計的有意性を達成した最小用量は、10mg/kg(オープンアーム進入)ならびに30mg/kg(オープンアーム内での滞在時間、および移動距離)であった。4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、クローズドアーム内での速度も増加させ、10および30mg/kgで統計的有意性に達したが、これはクロルジアゼポキシドと同様であった。測定した全てのパラメータについて、30mg/kgで最大効果が観察された。
【0353】
高架式十字迷路において、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドは、有意かつ用量依存的に滞在時間、移動距離、およびオープンアームへの進入回数を増加させた。これらの結果は、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの抗不安薬様特性についてのインビボの証拠を提供する。
【0354】
本明細書に記載された方法および適用について、他の適切な修正および適応を行うことは適切であり、本発明またはそのいずれかの実施態様の範囲から逸脱することなくなされてよいことは、当業者であれば容易に分かるであろう。本発明は特定の実施態様に関連して記載されているが、これは本発明を記載した特定の形態に限定することを意図せず、むしろ、下記の特許請求の範囲で定義される本発明の精神および範囲内に含まれてよい該代替物、修正および均等物を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与することを含む、心的外傷後ストレス障害と診断された患者を治療する方法。
【請求項2】
方法が、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの他の薬剤がパロキセチン、セルトラリン、シタロプラム、エスシタロプラム、およびフルオキセチンから選択されるSSRIである、請求項2の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの他の薬剤がデュロキセチン、ミルタザピン、およびベンラファキシンから選択されるSNRIである、請求項2の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの他の薬剤がブプロピオンおよびアトモキセチンから選択されるNRIである、請求項2の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの他の薬剤がネピカスタットおよびジスルフィラムから選択されるドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤である、請求項2の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの他の薬剤がアデノシンA2A受容体アンタゴニストのイストラデフィリンである、請求項2の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの他の薬剤がラモトリジン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、およびバルプロエートから選択されるナトリウムチャネルブロッカーである、請求項2の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの他の薬剤がラモトリジンおよびカルバマゼピンから選択されるカルシウムチャネルブロッカーである、請求項2の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの他の薬剤が中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニストのプラゾシンである、請求項2の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの他の薬剤が中枢性αアドレナリン作動性アゴニストのクロニジンである、請求項2の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの他の薬剤が中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニストのプロプラノロールである、請求項2の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの他の薬剤がオランザピン、リスペリドン、およびクエチアピンから選択される非定型抗うつ薬/抗精神病薬である、請求項2の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの他の薬剤がアミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、およびトリミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項2の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの他の薬剤がラモトリジン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、トピラメート、およびレベチラセタムから選択される抗けいれん薬である、請求項2の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの他の薬剤がグルタミン酸塩アンタゴニストのトピラメートである、請求項2の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの他の薬剤がバルプロエートおよびトピラメートから選択されるGABAアゴニストである、請求項2の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの他の薬剤が部分D2アゴニストのアリピプラゾールである、請求項2の方法。
【請求項19】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の少なくとも1つのA2A受容体活性を減少させる、請求項1の方法。
【請求項20】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者のドーパミン作動性シグナル伝達を調節する、請求項1の方法。
【請求項21】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項1の方法。
【請求項22】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項1の方法。
【請求項23】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群が再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される、請求項1の方法。
【請求項24】
再体験/侵入が反復的および侵入的心的外傷想起、心的外傷的出来事の反復的で苦痛をもたらす夢、心的外傷的出来事が再び起こっているかのような行動または感情、心的外傷想起にさらされた場合の苦痛、ならびに心的外傷想起にさらされた場合の生理学的反応性の少なくとも1つを含む、請求項23の方法。
【請求項25】
生理学的反応性が異常呼吸、異常拍動、異常血圧、少なくとも1つの特殊感覚の異常機能、および少なくとも1つの感覚器官の異常機能の少なくとも1つを含む、請求項24の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの特殊感覚が視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、および感覚から選択される、請求項25の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの感覚器官が眼、耳、皮膚、鼻、舌、および咽頭から選択される、請求項25の方法。
【請求項28】
回避/麻痺が心的外傷と関連する思考または感情を回避しようとする努力、活動または場所を回避しようとする努力、心的外傷または心的外傷の側面の想起不能、重要な活動への関心の著しい減退、他人からの孤立感または疎遠感、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚、社会不安、および不慣れな環境と関連する不安の少なくとも1つを含む、請求項23の方法。
【請求項29】
過覚醒が入眠または睡眠維持の困難、易怒性または怒りの爆発、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応、および潜在的な脅威刺激からの不安の少なくとも1つを含む、請求項23の方法。
【請求項30】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが潜在的な脅威刺激に適切におよび迅速に反応する患者の身体能力を減少させない、請求項29の方法。
【請求項31】
患者が小児または青年である、請求項1の方法。
【請求項32】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候または症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、兆候または症状がまとまりのないまたは興奮した行動、心的外傷の側面を表現する繰り返しの遊び、はっきりとした内容のない恐ろしい夢、および心的外傷特異的再演から選択される、請求項31の方法。
【請求項33】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが薬物乱用、アルコール乱用、および患者のうつ病から選択される心的外傷後ストレス障害と併存する少なくとも1つの障害の発生率を減少させる、請求項1の方法。
【請求項34】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者へ1日1回または2回投与される、請求項1の方法。
【請求項35】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが眠気、倦怠感、または精神的および身体的能力の変化の少なくとも1つを引き起こさない、請求項1の方法。
【請求項36】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷的出来事の前または直後に患者へ投与される、請求項1の方法。
【請求項37】
心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群がPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される、請求項1の方法。
【請求項38】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがCAPS、CAPS−2、CAPS−CA、IES、IES−R、CGI、CGI−S、CGI−I、DGRP、DGRP−I、HAM−A、SI−PTSD、PTSD−I、PSS−I、MADRS、BDI、HAM−D、RHRSD、MDI、GDS−30、およびCDIの少なくとも1つのスコアを有意に変化させる、請求項37の方法。
【請求項39】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドがCAPS、CAPS−2、IES、IES−R、およびHAMAの少なくとも1つについて、ベースラインスコアと比較して評価項目スコアを有意に減少させる、請求項37の方法。
【請求項40】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが1(著明改善)および2(かなり改善)の少なくとも1つのCGI−Iスコアを有するCGI−Iの反応者の割合を有意に増加させる、請求項37の方法。
【請求項41】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが1(著明改善)および2(かなり改善)の少なくとも1つのDGRP−Iスコアを有するDGRP−Iの反応者の割合を増加させる、請求項37の方法。
【請求項42】
CAPSおよびCAP−2の少なくとも1つについての全スコアが少なくとも65である場合、心的外傷後ストレス障害を示す、請求項37の方法。
【請求項43】
HAM−Aについての全スコアが少なくとも18である場合、不安障害を示す、請求項37の方法。
【請求項44】
CGI−IおよびDGRP−Iの少なくとも1つについてのスコアが少なくとも3である場合、心的外傷後ストレス障害を示す、請求項37の方法。
【請求項45】
患者を心的外傷後ストレス障害と診断すること;
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること;
心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させた場合、心的外傷後ストレス症候群が改善されたと決定すること、
を含む、患者の心的外傷後ストレス障害を治療する方法。
【請求項46】
方法が、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む、請求項45の方法。
【請求項47】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項45の方法。
【請求項48】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項45の方法。
【請求項49】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群が再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される、請求項45の方法。
【請求項50】
心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群がPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される、請求項45の方法。
【請求項51】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を投与することを含む、患者の回復力を改善する方法。
【請求項52】
方法が、ベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5HT1A)アンタゴニスト、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ナトリウム(Na)チャネルブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、中枢性および末梢性αアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、中枢性αアドレナリン作動性アゴニスト、中枢性または末梢性βアドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、NK−1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、非定型抗うつ薬/抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、グルタミン酸塩アンタゴニスト、γアミノ酪酸(GABA)アゴニスト、ならびに部分D2アゴニストから選択される少なくとも1つの他の薬剤の治療上の有効量を同時投与することをさらに含む、請求項51の方法。
【請求項53】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの兆候の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項51の方法。
【請求項54】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症状の頻度および強度の少なくとも1つを減少させる、請求項51の方法。
【請求項55】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが患者の心的外傷後ストレス障害の少なくとも1つの症候群の頻度および強度の少なくとも1つを減少させ、症候群が再体験/侵入、回避/麻痺、および過覚醒から選択される、請求項51の方法。
【請求項56】
心的外傷後ストレス症候群の少なくとも1つの兆候、症状、または症候群がPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)、PTSD臨床診断面接尺度パート2(CAPS−2)、小児および青年用PTSD臨床診断面接尺度(CAPS−CA)、出来事インパクト尺度(IES)、改訂出来事インパクト尺度(IES−R)、臨床全般印象尺度(CGI)、臨床全般印象重症度(CGI−S)、臨床全般印象改善度(CGI−I)、PTSD用デューク全般評価尺度(DGRP)、PTSD用デューク全般評価尺度改善度(DGRP−I)、ハミルトン不安尺度(HAM−A)、PTSD用構造化面接(SI−PTSD)、PTSD面接(PTSD−I)、PTSD症状尺度(PSS−I)、精神疾患簡易構造化面接(MINI)、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)、ハミルトンうつ病尺度(HAM−D)、改訂ハミルトンうつ病評価尺度(RHRSD)、主要うつ病調査表(MDI)、高齢者うつ病尺度(GDS−30)、ならびに小児うつ病指数(CDI)の少なくとも1つで診断または評価される、請求項51の方法。
【請求項57】
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドの治療上の有効量を患者へ投与すること;
心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、または症候群の少なくとも1つを評価すること;ならびに
4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミドが心的外傷後ストレス障害の兆候、症状、および症候群の少なくとも1つを減少させた場合、患者の心的外傷後ストレス障害を診断すること、
を含む、患者の心的外傷後ストレス障害を診断する方法。
【請求項58】
患者が小児、青年、または成人である、請求項57の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図52】
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【図53】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【公表番号】特表2010−534674(P2010−534674A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518365(P2010−518365)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070934
【国際公開番号】WO2009/015236
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(510023034)
【氏名又は名称原語表記】Synosia Therapeutics
【Fターム(参考)】