説明

情報提供システムおよび路側装置

【課題】 送信要求に応じた位置情報,地図情報および交通情報を移動装置が実時間的に受信できる情報提供システムおよび路側装置を提供する。
【解決手段】 夫れに付された位置情報,地図情報および交通情報を記憶する複数の路側装置を設け、複数の路側装置が、複数の路側装置夫々の通信可能範囲にある移動装置からの送信要求に応じて、位置情報,地図情報および交通情報を、送信要求を送信した移動装置へ送信する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側装置に記憶された情報を移動装置へ提供する情報提供システムおよび路側装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両から地図情報を記憶する記憶装置を省略するため、または、地図に示される詳細情報が常に最新である地図情報を利用するため、最新の地図情報をサーバに記憶しておき、インターネットを介して、地図情報をサーバから通信装置を搭載する車両へ送信し、サーバから受信した地図情報を汎用のウェブブラウザがインストールされた車載の表示装置により表示する情報提供システムがある。さらに、車両から誘導経路探索(ナビゲーション)装置を省略するため、地図情報による誘導経路探索をサーバにおいて行い、インターネットを介して、誘導経路探索の結果をサーバから通信装置を搭載する車両へ送信し、サーバから受信した誘導経路探索の結果を車載の表示装置により表示する情報提供システムがある。
【0003】
図10は、従来のシステムに係る制御のフローチャートである。車両に搭載された位置検出装置を用いて自車の位置を検出し(ステップS501)、自車の位置に関する位置情報および送信要求をサーバへ送信する(ステップS502)。サーバは、位置情報および送信要求を受信し(ステップS503)、車両から受信した位置情報が示す周辺の地図情報を、送信要求をした車両へ送信する(ステップS504)。車両は、サーバから地図情報を受信し(ステップS505)、地図情報および位置情報を車載の表示装置において表示する(ステップS506)(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−325919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、地図情報、交通情報または誘導経路探索を利用して運転するユーザが増え続けており、多くの車両が移動する日中に、サーバの許容数以上の車両が、車両に搭載された位置検出装置を用いて自車の位置を検出した位置情報および送信要求をサーバへ同時に送信した場合、サーバが処理しきれなくなる結果、サーバの車両に対する応答性が低下し、車両は、送信要求に応じた地図情報および交通情報を実時間的に受信できなくなる。
【0005】
また、誘導経路探索をサーバにおいて行う場合も、同様に、車両は、誘導経路探索の結果を実時間的に受信できなくなる。
【0006】
また、従来のシステムにあっては、専用の表示装置を利用しないと表示できない形式の情報がある。また、車載装置に限らず、車両内においてウェブ閲覧可能な無線通信機能付きの携帯端末、ウェブ閲覧可能な無線通信環境を備えたPC、ウェブ閲覧可能な無線通信環境を備えたモニタ装置など汎用の装置を用いる場合、専用の表示用ソフトウェアを利用しないと表示できない形式の情報もある。この場合、送信側のサーバにおいて、表示装置により表示できる形式の情報へ変換して送信する必要がある。または、情報を表示できる専用の表示用ソフトウェアを表示装置にインストールする必要がある。
【0007】
また、車両とサーバとの間の通信手段として、PHS(Personal Handyphone System)または携帯電話機のような携帯型通信端末装置を利用してインターネットに接続しているが、大きな地図情報、交通情報およびその他の情報の通信をする場合、車両のユーザは通信利用料金の負担を強いられる。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、夫れに付された位置情報、地図情報および交通情報を記憶する複数の路側装置を設け、複数の路側装置が、複数の路側装置夫々の通信可能範囲にある移動装置からの送信要求に応じて、位置情報、地図情報および交通情報を、送信要求を送信した移動装置へ送信する構成とすることにより、送信要求に応じた位置情報、地図情報および交通情報を実時間的に受信できる情報提供システムおよび路側装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、誘導探索経路を実行する複数の路側装置を設け、複数の路側装置が、複数の路側装置夫々の通信可能範囲にある移動装置からの要求に応じて、誘導経路探索を実行し、その結果を送信要求した移動装置へ送信する構成とすることにより、要求に応じた誘導経路探索の結果を実時間的に受信できる情報提供システムおよび路側装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、路側装置において、外部装置から受信した移動装置に搭載された表示装置において表示不可能な形式の情報を、表示可能な形式の情報へ変換し、移動装置へ送信する構成とすることにより、様々な形式の情報を利用することができる情報提供システムおよび路側装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、外部装置から情報を受信した一の路側装置から、他の路側装置へ情報を送信する構成とすることにより、路側装置と外部装置との間での通信を減らして、外部装置の負担を軽減できる情報提供システムおよび路側装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、路側装置および移動装置間の通信を、Bluetooth、赤外線通信または無線LANのいずれかにすることにより、通信利用料金が不要な情報提供システムおよび路側装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る情報提供システムは、複数の路側装置の夫々から通信可能範囲にある移動装置へ情報を提供する情報提供システムにおいて、前記移動装置は、送信要求を前記路側装置へ送信する手段を備え、前記路側装置は、該路側装置に付された位置情報、地図情報および交通情報を記憶する手段と、前記移動装置から送信要求を受信した場合、前記位置情報、地図情報および交通情報を前記移動装置へ送信する手段とを備え、前記移動装置は、更に、前記路側装置から受信した前記位置情報、地図情報および交通情報を表示する手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る情報提供システムは、前記移動装置は、移動の目的地点についての目的地点情報を前記路側装置へ送信する手段を更に備え、前記路側装置は、前記移動装置から目的地点情報を受信した場合、前記目的地点情報、位置情報および地図情報に基いて、地図における前記目的地点までの誘導経路の探索を行う探索手段と、探索の結果による誘導経路情報を前記移動装置へ送信する手段とを更に備え、前記移動装置は、前記路側装置から受信した前記誘導経路情報を表示する手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る情報提供システムは、前記路側装置は、外部装置から前記移動装置により表示不可能な形式の情報を受信した場合、表示可能な形式の情報へ変換する手段と、前記移動装置から送信要求を受信した場合、変換した情報を前記移動装置へ送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る情報提供システムは、前記外部装置から情報を受信した一の路側装置は、前記情報を他の路側装置へ送信する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る情報提供システムは、前記路側装置と移動装置との間の通信または前記路側装置間の通信は、Bluetooth、赤外線通信または無線LANのいずれかであることを特徴とする。
【0018】
第6発明に係る路側装置は、外部との通信機能を有する通信手段と、夫れの設置位置を示す第1の位置情報、地図情報および交通情報を記憶する手段と、前記通信手段により他の位置を示す第2の位置情報を受信した場合、前記第1の位置情報、第2の位置情報および地図情報に基いて、該地図情報が示す地図における一の位置から他の位置までの経路の探索を行う探索手段と、該探索の結果による経路情報、前記第1の位置情報、地図情報および交通情報を外部へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
第7発明に係る路側装置は、外部装置から所定の形式以外の情報を受信した場合、該所定の形式の情報へ変換する手段と、外部から送信要求を受信した場合、変換した情報を外部へ送信する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
第1発明にあっては、移動装置へ情報を提供する複数の路側装置の夫々が、通信可能範囲にある移動装置からの送信要求を受信した場合、路側装置に付された位置情報、および、路側装置が記憶する地図情報および交通情報を移動装置へ送信し、路側装置から送信された位置情報、地図情報および交通情報を移動装置において受信する。
【0021】
第2発明および第6発明にあっては、移動装置へ情報を提供する複数の路側装置の夫々が、通信可能範囲にある移動装置からの目的地点情報を受信した場合、路側装置は、目的地点情報、位置情報および地図情報に基いて、地図における目的地点までの誘導経路の探索を行い、探索の結果による誘導経路情報を移動装置へ送信し、移動装置は、路側装置から受信した誘導経路情報を表示する。
【0022】
第3発明および第7発明にあっては、外部装置から移動装置により表示不可能な形式の情報を受信した路側装置は、表示可能な形式の情報へ変換し、変換した情報を移動装置へ送信する。
【0023】
第4発明にあっては、外部装置から情報を受信した一の路側装置は、情報を他の路側装置へ送信する。
【0024】
第5発明にあっては、路側装置と移動装置との間の通信は、Bluetooth、赤外線通信または無線LANのいずれかを利用する。
【発明の効果】
【0025】
第1発明にあっては、通信可能範囲に入り得る移動装置の数を、路側装置が応答すべき通信回線数として設定することができ、設定数以上の移動装置から、送信要求を同時に受信して処理しきれなくなるという事態を回避でき、路側装置の車両からの送信要求に対する応答性の低下を回避でき、車両は、送信要求に応じた位置情報、地図情報および交通情報を実時間的に受信できる
【0026】
第2発明および第6発明にあっては、通信可能範囲に入り得る移動装置の数を、路側装置が応答すべき通信回線数として設定することができ、設定数以上の移動装置から、要求を同時に受信して処理しきれなくなるという事態を回避でき、路側装置の車両からの要求に対する応答性の低下を回避でき、車両は、該誘導経路探索の結果を実時間的に受信できる。
【0027】
第3発明および第7発明にあっては、様々な形式の情報がある場合であっても、車両において、新たに専用の表示装置を搭載する必要はなく、また専用の表示用ソフトウェアをインストールすることなく汎用の装置を利用できるので、経済的である。
【0028】
第4発明にあっては、外部装置の負担を軽減しつつ、全ての路側装置の記憶された情報を最新の情報へ更新することができる。
【0029】
第5発明にあっては、路側装置および車両の通信において、大きな情報の通信をする場合でも、通信利用料金が不要であり、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明に係るシステム全体を示す模式図、図2は、本発明に係る車両が搭載するハードウェアを示すブロック図、図3は、本発明に係る路車間通信を示す模式図である。
【0031】
図1中、1は車両であり、車両1は、通信装置11、通信装置11を操作する遠隔操作装置12、路側装置2aと無線LANにより通信するための通信アンテナ13、画像情報を出力するモニタ装置14および音声情報を出力するオーディオ装置15を備える。
【0032】
通信装置11は、入力部11a、通信部11b、画像情報制御部11c、音声情報制御部11dおよび制御部11eから構成される。
【0033】
遠隔操作装置12は、スイッチおよび多方向スイッチを備えている。車両1のユーザは、スイッチおよび多方向スイッチを操作することにより、モニタ装置14に出力された位置情報、地図情報および交通情報などに従って情報を入力する。スイッチおよび多方向スイッチを操作することにより入力された情報は、遠隔操作装置12が備える赤外線通信部(図示せず)より入力部11aへ送信される。
【0034】
入力部11aは、遠隔操作装置12を介して入力された情報を赤外線通信により受信し、受信した情報を制御部11eへ送る。
【0035】
通信部11bは、無線LANにより近距離無線通信を行うための通信インターフェースである。通信部11bは、制御部11eから与えられた情報を、アンテナ13を介して路側装置2aへ送信する。また、路側装置2aから送信された情報を、アンテナ13を介して受信し、制御部11eへ送る。
【0036】
画像情報制御部11cは、画像情報に関して出力制御を行うものであり、入力部11aから制御部11eを介して与えられた情報に基づき、モニタ装置14に情報を出力する制御を行う。また、通信部11bから制御部11eを介して与えられた情報に基づき、モニタ装置14に情報を出力する制御を行う。モニタ装置14には、制御部11eから与えられた地図情報を出力し、制御部11eから与えられた位置情報が示す位置を地図情報の上にポインタを用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する。
【0037】
また、音声情報制御部11dは、音声情報に関して出力制御を行うものであり、入力部11aから制御部11eを介して与えられた情報および通信部11bから制御部11eを介して与えられた情報を、オーディオ装置15へ出力する制御を行う。
【0038】
制御部11eは、通信装置11の全般的な制御を行う。具体的には、入力部11aまたは通信部11bから与えられた情報を画像情報制御部11cまたは音声情報制御部11dへ送る制御を行う。また、遠隔操作装置12よりモニタ装置14に出力された位置情報、地図情報および交通情報などに従って入力された情報を、地図情報または誘導経路探索の結果の送信要求、目的地点情報、もしくは、その他の各種情報へ変換し、通信部11bへ送る制御を行う。
【0039】
図1中、2a、2b、2c…は、路側装置であり、道路に沿って車両1と路側装置との間、および、路側装置間において無線LANにより通信可能な距離を隔てて設置されている。図3に示すとおり、車両1が路側装置2aとの間で無線LANによる通信可能な距離にある場合、路側装置2aは、車両1から送信要求を受信して、路車間通信を開始する。そして、車両1が移動した結果、路側装置2aとの間で無線LANにより通信可能な距離から脱した場合、車両1と路側装置2aとの路車間通信を終了する。さらに車両1が移動した結果、路側装置2bとの間で無線LANにより通信可能な距離にある場合、路側装置2bは、車両1から送信要求を受信して、車両1と路側装置2bとの路車間通信を開始する。このように車両1の移動に伴って、無線LANにより通信を行う路側装置も、路側装置2a、2b、2c…へと次々に切り替わる。
【0040】
図1に示すとおり、路側装置2aは、サーバ機能を備える情報通信装置21、ならびに、車両1および他の路側装置2bと無線LANにより通信するための近距離通信アンテナ22を備える。
【0041】
情報通信装置21は、近距離通信部21a、通信部21b、通信制御部21c、記憶部21d、CPU21eおよびメモリ21fから構成され、サーバとしての機能を備える。
【0042】
近距離通信部21aは、無線LANにより近距離無線通信を行うための通信インターフェースである。近距離通信部21aは、車両1から送信された情報または送信要求もしくは他の路側装置2bから送信された送信要求を、近距離通信アンテナ22を介して受信し、通信制御部21cへ送る。また、通信制御部21cから与えられた情報を、近距離通信アンテナ22を介して車両1または他の路側装置2bへ送信する。
【0043】
通信部21bは、有線により接続された変復調装置または回線接続装置(図示せず)を利用して電話回線網を介してインターネットと接続するための通信インターフェースである。インターネット上に接続された多数のウェブサーバまたはFTPサーバなどである情報配信装置3a、b…へ、定期的に電話回線網を介して接続し、情報配信装置3a、3b…から情報を受信し、通信制御部21cへ送る。
【0044】
通信制御部21cは、近距離通信部21aまたは通信部21bから、送信要求または情報を与えられ、CPU21eへ送る制御を行う。また、記憶部21dから読み出された情報を、近距離通信部21aまたは通信部21bへ送る制御を行う。また、CPU21eから与えられた経路探索の結果を近距離通信部21aへ送る制御を行う。
【0045】
記憶部21dは、地図情報、交通情報、路側装置2aに付された位置情報および車両において用いるモニタ装置または汎用の装置において表示可能な形式に関する情報を記憶する。地図情報および交通情報は、情報配信装置3a、3b…から定期的に最新の情報を受信し更新される。また、路側装置2aに付された位置情報は、路側装置2aが設置された位置を示す緯度経度に関する情報であり、かかる情報を用いて、路側装置2aから受信した車両が位置する緯度経度を示す。
【0046】
CPU21eは、情報通信装置21の全般的な制御を行う。具体的には、CPU21eは、通信制御部21cから与えられた送信要求に応じて、記憶部21dから、情報をメモリ21fに読み出して通信制御部21cへ送る制御を行う。また、CPU21eは、通信制御部21cから与えられた目的地点情報に基づき誘導経路探索を行い、経路探索の結果を通信制御部21cへ送る制御を行う。また、CPU21eは、情報配信装置3a、3b…から受信した所定の形式以外の情報を所定の形式の情報へ変換し、変換した情報を記憶部21dに記憶する制御を行う。
【0047】
図4および図5は、本発明に係る路側装置と車両との通信制御を示すフローチャートである。車両1に搭載された通信装置11の制御部11eは、遠隔操作装置12のスイッチおよび多方向スイッチを操作することにより、送信要求が入力されたか否かを判断する(ステップS101)。その結果、送信要求が入力されていないと判断した場合(ステップS101でNO)、入力待ちの状態に戻る。一方、制御部11eは、送信要求が入力されたと判断した場合(ステップS101でYES)、入力された送信要求を通信部11bより路側装置2aへ送信し(ステップS102)、タイマー(図示せず)を起動して計時を開始する(ステップS103)。路側装置2aに搭載された情報通信装置21のCPU21eは、送信要求を近距離通信部21aを介して受信していない場合(ステップS104でNO)、受信があるまで待機する。一方、CPU21eは、車両1から送信された送信要求を、近距離通信部21aを介して受信した場合、(ステップS104でYES)、送信要求に応じて、記憶部21dから位置情報、地図情報および交通情報を読み出し(ステップS105)、読み出した位置情報、地図情報および交通情報を近距離通信部21aより車両1へ送信する(ステップS106)。
【0048】
制御部11eは、タイマー(図示せず)により計時された一定時間内に、路側装置2aから送信された位置情報、地図情報および交通情報を、通信部11bを介して受信していない場合(ステップS107でNO)、再度、送信要求を通信部11bより路側装置2aへ送信する(ステップS102)。一方、制御部11eは、路側装置2aから送信された位置情報、地図情報および交通情報を、通信部11bを介して一定時間内に受信した場合(ステップS107でYES)、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報および交通情報が、既にキャッシュ(図示せず)に一時記憶されているか否かを判断する(ステップS108)。その結果、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報および交通情報がキャッシュに一時記憶されていないと判断した場合(ステップS108でNO)、キャッシュに一時記憶し(ステップS109)、モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を地図情報の上にポインタを用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS113)。一方、制御部11eは、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報および交通情報がキャッシュに一時記憶されていると判断した場合(ステップS108でYES)、さらに、位置情報をキーとして、路側装置2aから受信した情報とキャッシュに一時記憶されている情報とが重複しているか否かを判断する(ステップS110)。その結果、重複していると判断した場合(ステップS110でYES)、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報および交通情報を破棄し(ステップS111)、モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を地図情報の上にポインタを用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS113)。一方、制御部11eは、重複していないと判断した場合(ステップS110でNO)、キャッシュに一時記憶されている位置情報、地図情報および交通情報を、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報および交通情報に更新し(ステップS112)。モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を地図情報の上にポインタを用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS113)。さらに、制御部11eは、送信要求の終了に関する情報が入力されたか否かを判断する(ステップS114)。その結果、送信要求の終了に関する情報が入力されたと判断した場合(ステップS114でYES)、通信を終了する(ステップS115)。一方、制御部11eは、送信要求の終了に関する情報が入力されていないと判断した場合(ステップS114でNO)、再度、送信要求を通信部11bより路側装置2aへ送信する(ステップS102)。この際、車両1が移動した結果、路側装置2aとの間で通信可能な距離から脱した場合、車両1と路側装置2aとの路車間通信は終了し、路側装置2bとの間で通信可能な距離にある場合、路側装置2bとの間で、同様の通信制御が行われる。
【0049】
つぎに路側装置が実行する誘導経路探索について説明する。図6および図7は、本発明に係る路側装置が実行する誘導経路探索制御を示すフローチャートである。車両1に搭載された通信装置11の制御部11eは、遠隔操作装置12のスイッチおよび多方向スイッチを操作することにより、送信要求および目的地点情報が入力されたか否かを判断する(ステップS201)。その結果、送信要求および目的地点情報が入力されていないと判断した場合(ステップS201でNO)、入力待ちの状態に戻る。一方、制御部11eは、送信要求および目的地点情報が入力されたと判断した場合(ステップS201でYES)、入力された目的地点情報をキャッシュ(図示せず)に一時記憶し(ステップS202)、同じく入力された送信要求およびキャッシュに一時記憶した目的地点情報を通信部11bより路側装置2aへ送信し(ステップS203)、タイマー(図示せず)を起動して計時を開始する(ステップS204)。路側装置2aに搭載された情報通信装置21のCPU21eは、送信要求および目的地点情報を受信していない場合(ステップS205でNO)、受信があるまで待機する。一方、CPU21eは、車両1から送信された送信要求および目的地点情報を、近距離通信部21aを介して受信した場合、(ステップS205でYES)、記憶部21dから位置情報、地図情報および交通情報を読み出し(ステップS206)、読み出した位置情報および地図情報により、位置情報を始点とし目的地点情報を終点とした地図上の誘導経路探索を実行し(ステップS207)、位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を近距離通信部21aより車両1へ送信する(ステップS208)。
【0050】
制御部11eは、タイマー(図示せず)により計時された一定時間内に、路側装置2aから送信された位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を、通信部11bを介して受信していない場合(ステップS209でNO)、再度、送信要求およびキャッシュに一時記憶してある目的時点情報を通信部11bより路側装置2aへ送信する(ステップS203)。一方、制御部11eは、路側装置2aから送信された位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を、通信部11bを介して一定時間内に受信した場合(ステップS209でYES)、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果が、既にキャッシュに一時記憶されているか否かを判断する(ステップS210)。その結果、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果がキャッシュに一時記憶されていないと判断した場合(ステップS210でNO)、キャッシュに一時記憶し(ステップS211)、モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を始点とし、目的地点情報が示す位置を終点として、地図情報の上にポインタを用いて出力し、誘導経路探索の結果を地図情報の道路上に線表示を用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS215)。一方、制御部11eは、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果がキャッシュに一時記憶されていると判断した場合(ステップS210でYES)、さらに、位置情報および誘導経路探索の結果をキーとして、路側装置2aから受信した情報および誘導経路探索の結果と、キャッシュに一時記憶されている情報および誘導経路探索の結果とが重複しているか否かを判断する(ステップS212)。その結果、重複していると判断した場合(ステップS212でYES)、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を破棄し(ステップS213)、モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を始点とし、目的地点情報が示す位置を終点として、地図情報の上にポインタを用いて出力し、誘導経路探索の結果を地図情報の道路上に線表示を用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS215)。一方、制御部11eは、重複していないと判断した場合(ステップS212でNO)、キャッシュに一時記憶されている位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を、路側装置2aから受信した位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果に更新し(ステップS214)、モニタ装置14に、地図情報を出力し、位置情報が示す位置を始点とし、目的地点情報が示す位置を終点として、地図情報の上にポインタを用いて出力し、誘導経路探索の結果を地図情報の道路上に線表示を用いて出力し、地図情報の上に交通情報を出力する(ステップS215)。さらに、送信要求の終了に関する情報が入力されたか否かを判断する(ステップS216)。その結果、送信要求の終了に関する情報が入力されたと判断した場合(ステップS216でYES)、ステップ202において、キャッシュ(図示せず)に一時記憶した目的地点情報を消去し(ステップS217)、通信を終了する(ステップS218)。一方、制御部11eは、送信要求の終了に関する情報が入力されていないと判断した場合(ステップS216でNO)、再度、送信要求およびキャッシュに一時記憶してある目的時点情報を通信部11bより路側装置2aへ送信する(ステップS203)。この際、車両1が移動した結果、路側装置2aとの間で通信可能な距離から脱した場合、車両1と路側装置2aとの路車間通信は終了し、路側装置2bとの間で通信可能な距離にある場合、路側装置2bとの間で、同様の通信制御が行われる。
【0051】
図8は、本発明に係る路側装置が実行する情報の形式の変換制御を示すフローチャートである。路側装置2aに搭載された情報通信装置21のCPU21eは、定期的に通信部21bにより電話回線網を介して情報配信装置3a、3b…に接続して送信要求を送信し(ステップS301)、情報配信装置3a、3b…から送信された情報を、通信部21bを介して受信する(ステップS302)。CPU21eは、記憶部21dから、予め記憶してある車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式に関する情報を読み出し(ステップS303)、読み出した形式に関する情報に基づいて、情報配信装置3a、3b…から受信した情報が車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式であるか否かの判定を行う(ステップS304)。その結果、車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式であると判定した場合(ステップS304でYES)、受信した情報を記憶部21dへ記憶する(ステップS306)。一方、車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式以外であると判定した場合(ステップS304でNO)、車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式以外の情報から車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式の情報への変換を実行する(ステップS305)。変換された車両1に搭載されたモニタ装置14において表示可能な形式の情報を記憶部21dへ記憶する(ステップS306)。なお、2b、2c…も同様の制御を行う。
【0052】
図9は、本発明に係る路側装置間の通信制御を示すフローチャートである。ここで、路側装置2aは、インターネットと接続し、情報配信装置3aから情報を受信し記憶してある路側装置であり、路側装置2bは、情報配信装置3aから情報を受信しない路側装置である。路側装置2bに搭載された情報通信装置のCPU(図示せず)は、一定期間毎に送信要求を路側装置2aへ送信し(ステップS401)、タイマー(図示せず)を起動して計時を開始する(ステップS402)。路側装置2aに搭載された情報通信装置21のCPU21eは、送信要求を受信していない場合、受信があるまで待機する(ステップS403でNO)。一方、路側装置2bから送信された送信要求を、近距離通信部21aを介して受信した場合(ステップS403でYES)、情報配信装置3aから受信し記憶してある情報に、送信要求をした路側装置2bへの送信済みを示す送信済情報が付されているか否かを判断する(ステップS404)。その結果、情報に送信済情報が付されていると判断した場合(ステップS404でYES)、路側装置2bへの送信を行わない(ステップS405)。一方、路側装置2bに搭載された情報通信装置のCPU(図示せず)は、情報に送信済情報が付されていないと判断した場合(ステップS404でNO)、情報を近距離通信部21aより路側装置2bへ送信する(ステップS406)。
【0053】
路側装置2bに搭載された情報通信装置のCPU(図示せず)は、タイマー(図示せず)により計時された一定時間内に、通信部11bを介して受信していない場合(ステップS407でNO)、一定期間毎に送信要求を路側装置2aへ送信する(ステップS401)。一方、路側装置2bに搭載された情報通信装置のCPU(図示せず)は、情報を一定時間内に受信した場合(ステップS407でYES)、路側装置2aから受信した情報を記憶部(図示せず)に記憶し(ステップS408)、一定期間毎に送信要求を路側装置2aへ送信する(ステップS401)。
【0054】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、車両1が、通信装置11、遠隔操作装置12、通信アンテナ13、モニタ装置14およびオーディオ装置15を備えているとしているが、これに限定するものではなく、送信要求または目的地点情報を入力するための入力部と、入力部を介して受け付けた送信要求または目的地点情報を路側装置2a、2b、2c…へ送信し路側装置2a、2b、2c…から送信された位置情報、地図情報、交通情報、誘導経路探索の結果を受信するための通信部と、位置情報、地図情報、交通情報および誘導経路探索の結果を出力するための画像出力部または音声出力部と、ウェブブラウザなどのウェブ閲覧用プログラムを記憶した記憶部を備えていれば、車載装置に限らず、ウェブ閲覧な無線通信機能付きの携帯端末、ウェブ閲覧可能な無線通信環境を備えたPC、ウェブ閲覧可能な無線通信環境を備えたモニタ装置など汎用の表示装置を車両内で使用すればよい。
【0055】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、目的地点情報、位置情報および地図情報に基いて、誘導経路の探索を行うが、これに限らず、目的地点情報、位置情報、地図情報および交通情報に基いて探索を行ってもよい。
【0056】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、通信部11bおよび近距離通信部21aは、無線LANによる近距離無線通信を行うが、これに限らず、赤外線通信、Bluetooth、またはDSRCを用いてもよい。
【0057】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、通信部21bは、変復調装置または回線接続装置と有線により接続しているが、設置の容易さを考慮して、無線により通信するようにしてもよい。
【0058】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、記憶部21eは、地図情報、交通情報およびその他の情報を、情報配信装置3a、3b…から定期的に受信して記憶するが、記憶部21eの記憶容量は有限であるため、例えば、路側装置2が設置された位置を中心とした周辺範囲に関する情報のみを受信して記憶するようにしてもよい。
【0059】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、情報配信装置3a、3b…から受信した情報が所定の形式であるか否かの判定を、路側装置2bから受信した送信要求をトリガーとして路側装置2aにおいて実行しているが、車両1から形式に関する情報を送信して、該情報をトリガーとして、前記判定を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るシステム全体を示す模式図である。
【図2】本発明に係る車両が搭載するハードウェアを示すブロック図である。
【図3】本発明に係る路車間通信を示す模式図である。
【図4】本発明に係る路側装置と車両との通信制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る路側装置と車両との通信制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る路側装置が実行する誘導経路探索制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る路側装置が実行する誘導経路探索制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る路側装置が実行する情報の形式の変換制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る路側装置間の通信制御を示すフローチャートである。
【図10】従来のシステムに係る制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 車両
2a,2b,2c… 路側装置
3a,3b… 情報配信装置
21 情報通信装置
21a 近距離通信部
21b 通信部
21c 通信制御部
21d 記憶部
21e CPU
21f メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の路側装置の夫々から通信可能範囲にある移動装置へ情報を提供する情報提供システムにおいて、
前記移動装置は、
送信要求を前記路側装置へ送信する手段
を備え、
前記路側装置は、
該路側装置に付された位置情報、地図情報および交通情報を記憶する手段と、
前記移動装置から送信要求を受信した場合、前記位置情報、地図情報および交通情報を前記移動装置へ送信する手段と
を備え、
前記移動装置は、更に、
前記路側装置から受信した前記位置情報、地図情報および交通情報を表示する手段
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記移動装置は、
移動の目的地点についての目的地点情報を前記路側装置へ送信する手段
を更に備え、
前記路側装置は、
前記移動装置から目的地点情報を受信した場合、前記目的地点情報、位置情報および地図情報に基いて、地図における前記目的地点までの誘導経路の探索を行う探索手段と、
探索の結果による誘導経路情報を前記移動装置へ送信する手段と
を更に備え、
前記移動装置は、
前記路側装置から受信した前記誘導経路情報を表示する手段
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記路側装置は、
外部装置から前記移動装置により表示不可能な形式の情報を受信した場合、表示可能な形式の情報へ変換する手段と、
前記移動装置から送信要求を受信した場合、変換した情報を前記移動装置へ送信する手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記外部装置から情報を受信した一の路側装置は、
前記情報を他の路側装置へ送信する手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記路側装置と移動装置との間の通信または前記路側装置間の通信は、Bluetooth、赤外線通信または無線LANのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
外部との通信機能を有する通信手段と、
夫れの設置位置を示す第1の位置情報、地図情報および交通情報を記憶する手段と、
前記通信手段により他の位置を示す第2の位置情報を受信した場合、前記第1の位置情報、第2の位置情報および地図情報に基いて、該地図情報が示す地図における一の位置から他の位置までの経路の探索を行う探索手段と、
該探索の結果による経路情報、前記第1の位置情報、地図情報および交通情報を外部へ送信する手段と
を備えることを特徴とする路側装置。
【請求項7】
外部装置から所定の形式以外の情報を受信した場合、該所定の形式の情報へ変換する手段と、
外部から送信要求を受信した場合、変換した情報を外部へ送信する手段と
を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の路側装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−344062(P2006−344062A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169989(P2005−169989)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】