説明

情報表示システム

【課題】指示者や作業者に情報の提示、及びその受取りに対する負担を課することなく、迅速且つ確実に情報を伝達することが可能な情報表示システムを提供する。
【解決手段】画像データに基づき画像を表示し、外界をシースルー可能な表示ユニットを有する頭部装着式映像表示装置(HMD)と、HMDに画像データを提供する情報提供装置と、を備えた情報表示システムであって、情報提供装置は、画像データの緊急度を示すタグ情報を該画像データに付加するタグ情報付加部を有し、HMDは、タグ情報を解析するタグ情報解析部と、表示ユニットを透過する外界からの光量を調整するシャッタと、シャッタの駆動を制御するシャッタ駆動部と、を有し、シャッタ駆動部は、タグ情報解析部によって画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、表示ユニットを透過する外界からの光量が低下するように前記シャッタの駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システムに関し、特に頭部装着式映像表示装置を備えた情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察者の頭部や顔面に着脱自在に装着され、小型のCRTや液晶表示素子等の映像表示素子から得られる映像(以下、画像とも称する。)を、接眼光学系によって観察者の眼球に直接投影させることで、恰も該映像が空中に拡大投影されているかのような虚像の観察を可能にした頭部装着式映像表示装置、すなわちHMD(Head Mount Display)が知られている。
【0003】
HMDは、DVDやビデオ等のコンテンツ映像の観賞用や、産業機器若しくは医療機器等の遠隔操作用としての表示装置として利用され、その用途は多岐に渡っている。
【0004】
遠隔操作用としては、作業者が電子カメラを備えたHMDを装着し、該電子カメラで撮影された作業対象物の映像を観察しながら作業を行い、指示者がHMDから送信された同じ映像を、遠隔地に設けられた例えばホストコンピュータ等のモニタで観察しながら作業者に音声や映像による適切な情報を提供し作業指示を行う、といった遠隔作業支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、指示者から提供された作業に必要な各種情報をHMDの表示ユニットを通して入射する外界光による自然画像(以下、シースルー画像とも称する。)に重ね合わせて表示する所謂シースルー型のHMDを用いた遠隔作業支援システムが種々検討されている。
【特許文献1】特開2002−132487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のようなシースルー型のHMDを用いた遠隔作業支援システムにおいて、HMDを装着した作業者が、作業対象物のシースルー画像を観察しながら作業に没頭している時に、指示者が遠隔地に設けられたホストコンピュータ等からすぐに観て欲しい情報を送信したとしても、作業者が気付かなければ送信された情報に目をやらないという問題がある。これは情報の緊急度が高い程致命的な問題に繋がる。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、指示者や作業者に情報の提示、及びその受取りに対する負担を課することなく、迅速且つ確実に情報を伝達することが可能な情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の1乃至3の何れか1項に記載の発明によって達成される。
【0009】
1.画像データに基づき画像を表示し、外界をシースルー可能な表示ユニットを有する頭部装着式映像表示装置と、
前記頭部装着式映像表示装置に前記画像データを提供する情報提供装置と、
を備えた情報表示システムであって、
前記情報提供装置は、
前記画像データの緊急度を示すタグ情報を該画像データに付加するタグ情報付加部を有し、
前記頭部装着式映像表示装置は、
前記タグ情報を解析するタグ情報解析部と、
前記表示ユニットを透過する外界からの光量を調整するシャッタと、
前記シャッタの駆動を制御するシャッタ駆動部と、を有し、
前記シャッタ駆動部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記表示ユニットを透過する外界からの光量が低下するように前記シャッタの駆動を制御することを特徴とする情報表示システム。
【0010】
2.前記表示ユニットは、
前記画像データに基づき画像を表示する光透過型表示素子と、
前記光透過型表示素子を照明するバックライトと、
前記バックライトの駆動を制御するバックライト駆動部と、を有し、
前記バックライト駆動部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記バックライトの明るさが高まるように該バックライトの駆動を制御することを特徴とする前記1に記載の情報表示システム。
【0011】
3.前記頭部装着式映像表示装置は、
前記画像データを変換する画像データ変換部を有し、
前記画像データ変換部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記画像データに基づいて表示される画像の彩度が高まるように該画像データを変換することを特徴とする前記1または2に記載の情報表示システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、HMDは、情報提供装置から提供された画像データが緊急度の高いデータである場合、表示ユニットを透過する外界からの光量を低下させる構成とした。これにより、例えば、HMDを装着した作業者が、作業対象物のシースルー画像を注視しながら作業に没頭している場合でも、指示者によりホストコンピュータ(情報提供装置)等から提供された情報(画像データ)が緊急度の高い情報であれば、表示ユニットを透過する外界からの光量を低下させてシースルー画像を見え難くすることができるので、作業者に、異変を容易に気付かせ、作業者の視線を表示画像に向けさせることができる。その結果、緊急度が高くすぐに観て欲しい情報を、迅速且つ確実に伝達することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本発明に係る情報表示システムの実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0014】
最初に、情報表示システム1の構成を図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報表示システム1の全体構成の概要を示す模式図である。
【0015】
情報表示システム1は、図1に示すように、HMD2、情報提供装置4等から構成される。情報提供装置4は、ホストコンピュータ5、映像・音声記録サーバ6、及びコンテンツサーバ7等から構成される。
【0016】
ホストコンピュータ(以下、ホストPCとも称する。)5と映像・音声記録サーバ6、コンテンツサーバ7は、イーサーネットENを介して結ばれ、ホストPC5とHMD2は、インターネットINや携帯、PHS、無線LAN等の公衆回線網PN等を介して結ばれている。
【0017】
このような構成の情報表示システム1は、作業者Bが後述のカメラユニット28を備えたシースルー型のHMD2を装着し、作業対象物のシースルー画像を観察しながら作業を行い、指示者Aが、カメラユニット28で撮影された作業対象物の映像を、遠隔地に設けられた情報提供装置4の後述のモニタ53で観察しながら、情報提供装置4によりHMD2を介して作業者Bに映像や音声による適切な情報を提供し、作業指示を行うものである。
【0018】
次に、本発明における頭部装着式映像表示装置に該当するHMD2の構成を図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係るHMD2の外観を示す斜視図である。
【0019】
HMD2は、図2に示すように、テンプル21R、21L、ブリッジ22、鼻当て23R、23L、透明基板24R、24L、表示ユニット25(LCD表示部26、接眼光学系27)、カメラユニット28、イヤホン29R、29L、マイク30、及び制御ユニット31等を有している。
【0020】
HMD2は、カメラユニット28で撮影された映像や情報提供装置4から提供された映像を表示ユニット25に設けられたLCD表示部26に表示させ、該LCD表示部26から得られた映像を、接眼光学系27によって装着者(以下、作業者Bとも称する。)の眼球に直接投影させることで、恰も該映像が空中に拡大投影されているかのような虚像の観察を可能にしている。
【0021】
テンプル21R、21Lは、可撓性を有する弾性材等により構成された長尺状の部材であり、装着者の耳や側頭部に掛止され、HMD2の装着者に対する頭部への保持及び装着位置の調整を行う為のものである。尚、テンプル21R、21Lは、回動部21Ra、21Laにおいて矢印P、Q方向に回動可能に構成されており、HMD2を使用しない場合には、テンプル21R、21Lを矢印P、Q方向に回動させて透明基板24R、24Lに沿わせることにより、コンパクト化することができる。
【0022】
ブリッジ22は、HMD2の装着者に対する顔面への保持を行う鼻当て23R、23Lを備え、透明基板24R、24Lの互いに対向する所定位置に架け渡された短尺の棒状部材であり、透明基板24Rと透明基板24Lとを一定の間隙を介した相対位置関係に保持するものである。
【0023】
透明基板24R、24Lは、一方の眼球に対応した位置にU字型のスペース24Rsを形成する略平板状の透明体である。また、透明基板24Rに囲まれて形成されるU字型のスペース24Rsには、接眼光学系27が嵌め込まれている。
【0024】
表示ユニット25は、LCD表示部26、及び接眼光学系27等を有し、カメラユニット28で撮影された映像や制御ユニット31に設けられた後述の通信部36を介して情報提供装置4から提供された作業指示に係わる映像等を表示する。
【0025】
カメラユニット28は、図示しない後述のズームレンズ281、CCD(Charge Coupled Device)282、及び画像処理部283等を有し、装着者の周囲の外界情景を撮影するものであり、ズームレンズ281によって結像された被写体光学像を、CCD282によって光電変換して画像信号(映像信号)を生成し、生成された画像信号に画像処理部283等により所定の画像処理を施す。
【0026】
イヤホン29R、29Lは、装着者の耳に挿入され、装着者に音声を提供する。
【0027】
マイク30は、装着者の音声を音声信号に変換する。
【0028】
制御ユニット31は、マイクロコンピュータからなり、電源スイッチ351、操作スイッチ352等を有し、これら各種操作スイッチからの信号、及び情報提供装置4からの制御信号等を受けて、HMD2で行われる表示動作や画像信号処理動作を統括的に制御するものである。
【0029】
ここで、表示ユニット25の構成を、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係るHMD2における表示ユニット25の左側面からの側断面図であり、主に表示ユニット25の内部構成を示している。
【0030】
図3に示すように、表示ユニット25は、筐体261、バックライト262、コリメータレンズ263、LCD(Liquid Crystal Display)264からなるLCD表示部26、及びプリズム271、HOE(Holographic Optical Element)272、シャッタ273からなる接眼光学系27等から構成される。
【0031】
LCD表示部26の筐体261の内部には、バックライト262、コリメータレンズ263、及びLCD264が内蔵された状態で、該筐体261が接眼光学系27のプリズム271の上端部において上斜め前方(図3では右斜め上方向)に突出する態様で取り付けられている。
【0032】
バックライト262は、所定波長色を含む白色発光ダイオード(LED)からなりLCD264を照明する点光源である。
【0033】
コリメータレンズ263は、バックライト262のLEDの光を略平行光にしてLCD264に投光するものである。
【0034】
LCD264は、カメラユニット28で撮影され生成された映像信号(以下、映像データ、画像データとも称する。)や制御ユニット31に設けられた後述の通信部36を介して情報提供装置4から提供された作業指示に係わる画像データに基づき映像を生成するものであり、例えば光透過型の液晶表示パネルである。
【0035】
プリズム271は、ガラスや透明樹脂等からなる略板状の透明部材であり、LCD264からの光を内部で複数回の反射を行わせるものである。プリズム271の上端部は、LCD264からの光の大部分を内部に採光できるように、上方に向かってより肉厚となるように前面側(接眼面と反対側)が突き出るように楔形状に形成された肉厚部271bが形成されている。
【0036】
また、プリズム271の下端部には、傾斜面271aが形成されており、プリズム271は、透明基板24Rに形成された傾斜面24Raに対しHOE272を介して接合(例えば接着)されている。また、プリズム271の表裏面は、透明基板24Rの表裏面に対して面一とされている。これにより、プリズム271は、透明基板24Rと一枚の板状に一体化されている。
【0037】
HOE272は、光学的に軸非対称な所謂自由曲面で構成されて正のパワーを有する体積位相型のホログラム光学素子であり、プリズム271の下端部において所定の傾斜角を有して支持されている。HOE272は、プリズム271により導光された光が照射されることにより、光の干渉現象を用いてホログラム映像を眼球Eに提供する。
【0038】
以上のような構成を有する表示ユニット25においては、バックライト262のLEDから射出された光は、コリメータレンズ263を通してLCD264を照明し、この照明によりLCD264で生成された像光は、プリズム271内で複数回の全反射を行った後、HOE272により回折し虚像として装着者の眼球Eに導かれる。
【0039】
さらに、プリズム271は、前方から入射する光を装着者の眼球Eに導くようになっている。これにより、装着者は、外界(前方の被写体)をシースルー可能となり、カメラユニット28で撮影され生成された映像や制御ユニット31に設けられた後述の通信部36を介して情報提供装置4から提供された作業指示に係わる映像等を外界(前方の被写体)と重畳して視認することとなる。
【0040】
また、シャッタ273は、プリズム271及び透明基板24Rの前面(被写体に対向する面)に設けられ、プリズム271及び透明基板24Rを透過する外界からの光量を調整するものであり、例えば液晶シャッタ等を用いることができる。尚、シャッタ273の駆動の詳細は後述する。
【0041】
次に、図1に戻って、情報提供装置4の構成を説明する。情報提供装置4は、ホストPC5、音声・映像記録サーバ6、及びコンテンツサーバ7等から構成される。
【0042】
ホストPC5は、図1に示すように、コンピュータ本体51、モニタ53、マウス55、及びキーボード57等を備えた、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0043】
ホストPC5は、そのモニタ53に、作業者Bに装着されたHMD2のカメラユニット28で撮影された作業対象物の映像等を表示する。指示者Aは、モニタ53に表示された作業対象物の映像を観察しながら、マウス55やキーボード57等によりホストPC5を操作し、HMD2にコンテンツサーバ7に記録されている作業に必要な情報(画像データ)を提供し、作業者Bに作業指示を行うものである。
【0044】
音声・映像記録サーバ6は、HMD2のカメラユニット28で撮影された映像や作業者Bと指示者Aとの間で交信された音声等の作業記録を記憶する。
【0045】
コンテンツサーバ7には、作業者Bが作業を行う際に必要な映像や音声等の情報が格納されている。
【0046】
次に、情報表示システム1のブロック構成を図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態に係わる情報表示システム1の要部構成を示すブロック図である。尚、図4では、図1乃至図3に示した部材と同じ部材には同一の番号を付与した。
【0047】
最初に、情報提供装置4の要部は、ホストPC5、及びコンテンツサーバ7等から構成される。
【0048】
ホストPC5は、コンピュータ本体51、モニタ53、及びマウス55、キーボード57等から構成される。
【0049】
コンピュータ本体51は、タグ情報付加部511を有する。
【0050】
タグ情報付加部511は、HMD2に提供するコンテンツサーバ7からの作業指示に係わる画像データの緊急度、すなわち、該画像データに基づく画像が作業者Bにすぐに観て欲しい画像であるか否かを示すタグ情報を、画像データに付加するものである。
【0051】
次に、HMD2の要部は、表示ユニット25、カメラユニット28、及び制御ユニット31等から構成される。
【0052】
表示ユニット25は、LCD表示部26、接眼光学系27から構成され、各部位で行われる動作については前述したので説明は省略する。
【0053】
カメラユニット28は、ズームレンズ281、CCD(Charge Coupled Device)282、及び画像処理部283等を有する。
【0054】
CCD282は、R(赤)光、G(緑)光、B(青)光の各色透過フィルタをピクセル単位(画素単位)で市松模様状に配置させたカラーエリア撮像センサで、ズームレンズ281により結像された被写体光像を、R(赤)光、G(緑)光、B(青)光の各色成分の画像信号(各画素単位で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換するものである。
【0055】
画像処理部283は、図示しない例えば、黒レベル補正部、画素補間部、ホワイトバランス制御部、ガンマ補正部、マトリックス演算部、シェーディング補正部、及び画像圧縮部等を有し、CCD282より読み出された画像信号に周知の画像信号処理を施すものである。そして、これらの部位で所定の処理を施された画像信号は、後述の制御ユニット31の画像メモリ33に格納される。
【0056】
制御ユニット31は、制御部32、画像メモリ33、VRAM(Video Random Access Memory)34、操作部35、及び通信部36等から構成される。
【0057】
制御部32は、図示しない各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理等のデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)、及び制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(中央演算処理装置)等から構成される。制御部32は、電源スイッチ351及び各種操作スイッチ352等からの信号、及び情報提供装置4からの制御信号等を受けて、HMD2で行われる表示動作や画像信号処理動作を統括的に制御するものである。また、制御部32は、情報提供装置4から提供された画像データに付加されたタグ情報に基づき、シースルー画像や表示ユニット25に表示される画像データに基づく表示画像の態様を変化させる。尚、制御部32で行われるタグ情報に基づく表示制御動作の詳細は後述する。
【0058】
画像メモリ33は、制御部32により画像信号に対する各種処理を行う為の作業領域として用いられる一時メモリである。
【0059】
VRAM34は、LCD表示部26中のLCD264の画素数に対応した画像信号の記録容量を有し、LCD264に再生表示される画像を構成する画像信号のバッファメモリである。
【0060】
通信部36は、HMD2を公衆回線網PNに接続し、情報提供装置4との間で交信を行い、映像、音声、及び各種制御信号等の入出力を行う。
【0061】
このような構成の情報表示システム1において、本発明は、遠隔地にいる指示者Aが作業者Bにすぐに観て欲しい緊急度の高い情報(画像データ)を情報提供装置4により提供した場合、HMD2を装着し作業対象物のシースルー画像を注視しながら作業に没頭している作業者Bに容易に気付かせ、視線を表示ユニット25に表示される画像データに基づく表示画像に向けさせるようにする為に、シースルー画像や表示画像の態様を変化させるものである。以下にその詳細を説明する。
【0062】
図4に示すように、HMD2の制御部32は、シャッタ駆動部323、及びタグ情報解析324等を有する。
【0063】
タグ情報解析部324は、情報提供装置4から提供された画像データに付加されたタグ情報を検出し、検出したタグ情報に基づき画像データの緊急度を判別する。
【0064】
シャッタ駆動部323は、シャッタ273の駆動を制御し、タグ情報解析部324によって、情報提供装置4から提供された画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、表示ユニット25を透過する外界からの光量が低下するようにシャッタ273の駆動を制御する。
【0065】
このときの表示ユニット25の画面の様子を図5に示す。図5(a)は、情報提供装置4から提供された画像データの緊急度が低い場合の画面Dの様子を示す模式図、図5(b)は、緊急度が高い場合の画面Dの様子を示す模式図である。
【0066】
情報提供装置4から提供された画像データの緊急度の高い場合、図5(b)に示すように、表示ユニット25を透過する外界からの光量が抑えられることにより、作業対象物Xのシースルー画像S2は暗くなり、図5(a)の場合のシースルー画像S1よりも視認性が低下する。これにより、作業者Bに、異変を容易に気付かせ、作業者Bの視線を表示画像H1に向けさせることができる。その結果、緊急度が高くすぐに観て欲しい情報を、迅速且つ確実に伝達することが可能となる。
【0067】
また、さらに、図4に示すように、制御部32にバックライト262の駆動を制御するバックライト駆動部321を設け、情報提供装置4から提供された画像データの緊急度に基づいて、バックライト262の明るさをも制御する構成としてもよい。
【0068】
バックライト駆動部321は、タグ情報解析部324によって、情報提供装置4から提供された画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、バックライト262の明るさが高まるようにバックライト262の駆動を制御する。これにより、シャッタ駆動部323によりシースルー画像S1の明るさが抑えられることに加えて、表示画像H1のコントラストが高められるので、表示画像H1はより際立った画像となり、さらに容易に作業者Bの視線を表示画像H1向けさせることができる。
【0069】
また、図4に示すように、制御部32に情報提供装置4から提供された画像データを変換する画像データ変換部322を設け、情報提供装置4から提供された画像データの緊急度に基づいて、該画像データに基づいて表示される画像の彩度が高まるように該画像データを変換する構成としてもよい。
【0070】
画像データ変換部322は、タグ情報解析部324によって、情報提供装置4から提供された画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、該画像データに基づいて表示される画像の彩度が高まるように画像データを変換する。
【0071】
このときの表示ユニット25の画面の様子を図6に示す。図6(a)は、情報提供装置4から提供された画像データの緊急度が低い場合の画面Dの様子を示す模式図、図6(b)は、緊急度が高い場合の画面Dの様子を示す模式図である。
【0072】
情報提供装置4から提供された画像データの緊急度の高い場合、図6(b)に示すように、シャッタ駆動部323によりシースルー画像S2の明るさが抑えられることに加えて、表示画像H2の彩度が高められるので、表示画像H2がより際立った画像となり、さらに容易に作業者Bの視線を表示画像H1向けさせることができる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は前述の実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、適宜変更、改良が可能であることは勿論である。例えば、情報提供装置4からHMD2に提供する画像データが時間的に変化するストリーム画像データの場合、作業者に注目して欲しい時期を前述のタグ情報に付加するようにしてもよい。例えば、提供した時点から10分後に作業者に注目して欲しい画像が再生される場合、その時期(10分後)を示す情報をタグ情報に付加してHMD2に提供する。HMD2は、画像データを受け取った時点から10分間は、通常の表示動作を行い、10分経過した時点で、シャッタ駆動部323、バックライト駆動部、321画像データ変換部322等により、シースルー画像や表示画像の表示態様を前述のように変化させる。これにより、作業者に注目して欲しい時期に再度タグ情報を更新する必要がなく、効率よく情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るHMDの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示ユニットの側断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示ユニットにおける情報表示の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示ユニットにおける情報表示の別例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0075】
1 情報表示システム
2 頭部装着式映像表示装置(HMD)
21R、21L テンプル
22 ブリッジ
23R、23L 鼻当て
24R、24L 透明基板
25 表示ユニット
26 LCD表示部
261 筐体
262 バックライト
263 コリメータレンズ
264 LCD
27 接眼光学系
271 プリズム
272 HOE
273 液晶シャッタ
28 カメラユニット
281 ズームレンズ
282 CCD
283 画像処理部
29R、29L イヤホン
30 マイク
31 制御ユニット
32 制御部
321 バックライト駆動部
322 画像データ変換部
323 シャッタ駆動部
324 タグ情報解析部
33 画像メモリ
34 VRAM
35 操作部
351 電源スイッチ
352 操作スイッチ
36 通信部
4 情報提供装置
5 ホストコンピュータ(ホストPC)
51 コンピュータ本体
511 タグ情報付加部
53 モニタ
55 マウス
57 キーボード
6 映像・音声記録サーバ
7 コンテンツサーバ
A 指示者
B 作業者
EN イーサーネット
E 目
IN インターネット
PN 公衆回線網
X 作業対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づき画像を表示し、外界をシースルー可能な表示ユニットを有する頭部装着式映像表示装置と、
前記頭部装着式映像表示装置に前記画像データを提供する情報提供装置と、
を備えた情報表示システムであって、
前記情報提供装置は、
前記画像データの緊急度を示すタグ情報を該画像データに付加するタグ情報付加部を有し、
前記頭部装着式映像表示装置は、
前記タグ情報を解析するタグ情報解析部と、
前記表示ユニットを透過する外界からの光量を調整するシャッタと、
前記シャッタの駆動を制御するシャッタ駆動部と、を有し、
前記シャッタ駆動部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記表示ユニットを透過する外界からの光量が低下するように前記シャッタの駆動を制御することを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
前記表示ユニットは、
前記画像データに基づき画像を表示する光透過型表示素子と、
前記光透過型表示素子を照明するバックライトと、
前記バックライトの駆動を制御するバックライト駆動部と、を有し、
前記バックライト駆動部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記バックライトの明るさが高まるように該バックライトの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
前記頭部装着式映像表示装置は、
前記画像データを変換する画像データ変換部を有し、
前記画像データ変換部は、
前記タグ情報解析部によって前記画像データが緊急度の高いデータであると判別された場合、前記画像データに基づいて表示される画像の彩度が高まるように該画像データを変換することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−251428(P2009−251428A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101321(P2008−101321)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】