説明

情報配信システム、情報配信サーバ、携帯端末装置、及び情報配信方法

【課題】POIを利用後目的地に所定の方法又は時刻までに到着する場合に、出発すべき時刻まで時間を有効活用できるPOIを検索できるシステムを提供すること。
【解決手段】POIデータベース34と、道路及び交通ネットワークデータベース35、36と、ユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段32と、POI検索手段によって検索されたPOIから目的地までの経路を探索する経路探索手段33と、表示手段25と、を備える情報配信システム10において、POI情報はPOIの利用可能時間を含み、経路探索手段33は、経路探索の結果に基づきユーザが検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、POI検索手段32は、検索されたPOIのうち、POIを出発すべき時刻がPOIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、表示手段25は、POI検索手段32によって抽出されたPOI情報とPOIに対応する探索経路を出力して案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興味対象場所(POI:Point of Interest))を検索し、そのPOIを出発地として所望の目的地までの経路を探索して案内する情報配信システム、情報配信サーバ、携帯端末装置、及び情報配信方法に関するものであり、特に、出発地とするPOIにおいて、該POIを出発しなければならない時刻まで当該POIに滞在することができるPOIを検索して、目的地までの案内経路を探索するようにした情報配信システム、情報配信サーバ、携帯端末装置、及び情報配信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られている。このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
交通機関を利用する経路を探索する経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースと、これに基づいて交通ネットワークをデータベース化したデータを備えている。そして、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段(個々の電車や路線バス)を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
また、このようなナビゲーションシステムには、所望の興味対象場所(POI:Point of Interest)を検索し、選択したPOIまでの経路を案内する機能を有しているシステムもある。例えば、飲食店を利用しようとする場合に、所在地、メニュー、金額等から利用客にとって所望の店舗を検索して紹介するとともに、現在地から選択した店舗までの経路を案内する検索・ナビゲーションシステムが存在している。このような検索・ナビゲーションシステムを利用すれば、不案内な土地においても飲食店を容易に選択できるようになる。
【0009】
飲食店を利用した後に、例えば、その飲食店から自宅に帰る場合に最終電車を利用した場合の最適経路を探索することのできるシステムが下記特許文献2(特開2006−301822号公報)に開示されている。この特許文献2に開示された「飲食店からの経路案内システム」は、飲食店情報記憶手段と、情報画面を携帯端末に送信する飲食店情報提供手段と、経路探索手段とを有しており、飲食店の周辺駅から目的地の駅までの経路探索を行い、その結果の画面を携帯端末に送信するものである。
【0010】
また、この経路探索手段は、さらに、目的地までの経路探索の入力画面に、終電を条件とした経路探索を行うことのできる機能を含んでいる。このシステムを活用すれば、飲食店に滞在した後、最終列車等に乗車して目的地に向かうことが可能となる。
【0011】
【特許文献1】特開2001−165681号公報
【特許文献2】特開2006−301822号公報([要約]、[請求項5])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献2に開示されているような、店舗から最終列車に乗車して帰宅するための帰宅ルートを提供するシステムを利用した場合、実際には、最終列車に乗車するために店舗を出発すべき時刻よりも店舗の閉店時間の方が早いことがあり、最終列車の時刻まで効率よく時間を活用できないという問題があった。したがって、ユーザにとっては、店舗に行く前から店舗の閉店時間と最終列車に乗車するための出発時刻とを考慮して店舗を選択できるシステムがあると望ましいが、それを実現するシステムは今まで存在していなかった。
【0013】
加えて、最終列車以外にも、店舗や施設に滞在して時間を過ごした後に別の場所に移動するというような場合に、店舗や施設を出発すべき時刻を算出して、それまで有効に時間を活用できる施設を検索し、現在地から当該施設まで、施設から目的地まで経路を案内することはできなかった。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、店舗等のPOIから目的地までの経路を探索する経路探索を提供する情報配信システムにおいて、経路探索手段が経路探索を行ってPOIを出発すべき時刻を取得し、POI検索手段がPOIを出発すべき時刻がPOIの利用可能時間内にあるものを抽出して案内する情報配信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
POI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索されたPOIから目的地までの経路を探索する経路探索手段と、出力手段と、を備える情報配信システムにおいて、
前記POI情報はPOIの利用可能時間を含み、
前記経路探索手段は、経路探索の結果に基づき、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記POI検索手段は、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、
前記出力手段は、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POIに対応する探索経路を出力して案内することを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は請求項1に係り、前記経路探索手段は、ユーザにより指定された前記目的地への到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は請求項1に係り、前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで最終列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に係り、前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで始発列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに係り、前記経路探索手段は、ユーザの現在地から前記POIまでの経路をさらに探索して案内することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、POI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、携帯端末装置からユーザの指定条件とユーザの指定した目的地を含むPOI検索及び経路探索要求を受信すると前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索された前記POIから目的地までの経路を探索する経路探索手段と、通信手段と、を備える情報配信サーバにおいて、
前記POI情報はPOIの利用可能時間を含み、
前記経路探索手段は、経路探索の結果に基づき、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記POI検索手段は、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、
前記通信手段は、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POIに対応する探索経路を前記携帯端末装置に送信することを特徴とする。
【0021】
また請求項7に記載の発明は、請求項6に係り、前記経路探索手段は、前記携帯端末装置においてユーザにより指定された前記目的地への到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に係り、前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで最終列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6に係り、前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで始発列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0024】
また、請求項10に記載の発明は、請求項6〜請求項9の何れかに係り、前記経路探索手段は、前記携帯端末装置から受信した現在地情報に基づきユーザの現在地から前記POIまでの経路をさらに探索することを特徴とする。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、POIの利用可能時間を含むPOI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、携帯端末装置からユーザの指定条件とユーザの指定した目的地を含むPOI検索及び経路探索要求を受信すると前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索されたPOIから目的地までの経路を探索するとともにユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得する経路探索手段と、通信手段と、を備え、前記POI検索手段が、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、前記通信手段が、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POI情報に対応する経路を前記携帯端末装置に送信する情報配信サーバに接続される携帯端末装置において、
POIの指定条件と目的地を入力するための入力手段と、
前記指定条件と前記目的地に基づき前記情報配信サーバにPOI検索要求と経路探索要求を行うPOI検索・経路探索要求手段と、
前記情報配信サーバから受信したPOI情報と該POI情報に対応する探索経路を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に係り、前記入力手段は、ユーザに対して前記目的地への到着時刻の入力を求め、
前記POI検索・経路探索要求手段は、前記入力手段において入力された前記目的地への到着時刻を指定条件として前記情報配信サーバにPOI検索・経路探索要求を行うことを特徴とする。
【0027】
また、請求項13に記載の発明は、請求項11に係り、前記入力手段は、ユーザに対して前記POIから前記目的地まで最終列車と始発列車のどちらを利用するかの入力を求め、
前記POI検索・経路探索要求手段は、前記入力手段における入力に基づき最終列車又は始発列車のいずれかの利用を指定条件として前記情報配信サーバにPOI検索・経路探索要求を行うことを特徴とする。
【0028】
また、請求項14に記載の発明は、請求項11〜請求項13の何れかに係り、前記携帯端末装置は、携帯端末装置の現在地を取得する現在位置取得手段を備え、
該現在位置取得手段は、取得した現在地を前記情報配信サーバへ送信し、
前記出力手段は、前記サーバから受信した現在地から検索されたPOIまでの経路を出力することを特徴とする。
【0029】
また、請求項15に記載の発明は、 (1)ユーザの指定条件を取得するステップと、
(2)POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索ステップと、
(3)道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POIから目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
(4)POI抽出ステップと、
(5)前記POI抽出ステップにおいて抽出されたPOIと前記経路探索ステップにおいて探索された経路を出力して案内する出力ステップと、
を備える情報配信方法において、
前記(2)のPOI検索ステップは、前記POIの利用可能時間を取得し、
前記(3)の経路探索ステップは、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記(4)のPOI抽出ステップは、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを抽出することを特徴とする。
【0030】
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に係り、前記(1)のステップは、ユーザに対して前記目的地への到着時刻の入力を求め、
前記(3)の経路探索ステップは、前記到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする。
【0031】
また、請求項17に記載の発明は、請求項15に係り、前記(1)のステップは、ユーザに対して前記POIから前記目的地まで最終列車と始発列車のどちらを利用するかの入力を求め、
前記(3)の経路探索ステップは、前記(1)のステップにおける入力に基づき最終列車又は始発列車のいずれかを利用した場合の経路を探索するとともに、ユーザが前記POIを検出すべき時刻を取得し、
前記(4)のPOI抽出ステップは、前記(2)のPOI検索ステップにおいて検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを抽出することを特徴とする。
【0032】
また、請求項18に記載の発明は、請求項15〜請求項17の何れかに係り、前記(3)の経路探索ステップは、ユーザの現在地から前記(2)のPOI検索ステップにおいて検索されたPOIまでの経路をさらに探索して案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
上記の手段により、本発明は、下記に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1にかかる情報配信システムの発明によれば、ユーザの指定条件を満たすPOIを検索し、検索されたPOIから目的地までの経路探索を行うだけでなく、目的地への所望の到着時刻や利用する交通手段等の制約に合わせてそれぞれのPOIを出発すべき時刻を取得し、その時刻まで利用可能なPOIをユーザに案内することができるようになる。これにより、ユーザは出発すべき時刻まで該当するPOIにおいて有効に時間を活用することができるようになる。
【0034】
また、請求項2にかかる情報配信システムの発明によれば、POIから目的地への経路探索に基づき、目的地への所望の到着時刻からPOIを出発すべき時刻を逆算して取得し、その時刻まで利用可能なPOIをユーザに案内することができるようになる。これにより、ユーザは出発すべき時刻まで該当するPOIにおいて時間を有効に活用することができるようになる。なお、この種の例として、目的地として空港等を指定し、前泊した宿泊施設から午後の遅い時間帯に直接空港に移動したいというような場合に、チェックアウトの時間にゆとりのある宿泊施設を検索して案内することが可能となる。
【0035】
また、請求項3にかかる情報配信システムの発明によれば、検索されたPOIから目的地まで最終列車を利用した場合の経路を探索するとともに、それに基づいてPOIを出発すべき時刻を取得し、その時刻まで利用可能なPOIをユーザに案内することができるようになる。これにより、ユーザは出発すべき時刻まで該当するPOIにおいて時間を有効に活用することができるようになる。このシステムを利用すれば、例えば、飲食店に滞在した後最終列車に乗車して帰宅したい、という場合に、最終列車に乗車するため出発すべき時刻より前に飲食店が営業を終了してしまうというようなことを避けることができる。
【0036】
また、請求項4にかかる情報配信システムの発明によれば、検索されたPOIから目的地まで始発列車を利用した場合の経路を探索するとともに、それに基づいてPOIを出発すべき時刻を取得し、その時刻まで利用可能なPOIをユーザに案内することができるようになる。これにより、ユーザは出発すべき時刻まで該当するPOIにおいて時間を有効に活用することができるようになる。このシステムを利用すれば、例えば、飲食店に滞在した後始発列車に乗車して目的地に移動したい、という場合に、始発列車に乗車するため出発すべき時刻より前に飲食店が営業を終了してしまうというようなことを避けることができる。
【0037】
また、請求項5にかかる情報配信システムの発明によれば、POIを検索する際に、ユーザの現在地を取得し、現在地からPOIまでの経路を探索して案内することができる。これにより、ユーザは、現在地からPOIまで、POIから目的地までの経路案内を受けることができるようになる。
【0038】
また、請求項6〜請求項10にかかる発明によれば、それぞれ請求項1〜請求項5の情報配信システムを構成する情報配信サーバを提供することができる。また、請求項11〜請求項14にかかる発明によれば、それぞれ請求項1、請求項2、請求項3と4、及び請求項5の情報配信システムを構成する携帯端末装置を提供することができるようになる。また、請求項15〜請求項18にかかる発明によれば、それぞれ請求項1、請求項2、請求項3と4、及び請求項5の情報配信システムを実現するための情報配信方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の具体例を実施例及び添付の図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための情報配信システムを例示するものであって、本発明をこの情報配信システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の情報配信システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0040】
図1は本発明の実施例にかかる情報配信システムの全体外略図を示す。本発明の実施例にかかる情報配信システム10は、図1に示すように、携帯電話機20と情報配信サーバ30とがインターネット等のネットワーク12を介して接続される構成になっている。
【0041】
情報配信システム10は、店舗や施設等を検索するためのPOIデータを蓄積したPOIデータベースDB1、経路探索のための道路ネットワークのデータを蓄積した道路ネットワークデータベースDB2、時刻表データに基づく交通ネットワークのデータを交通ネットワークデータとして蓄積した交通ネットワークデータベースDB3、表示用の地図データ等を蓄積した地図データベースDB4を備えている。
【0042】
なお、本実施例では、携帯端末装置を携帯電話機20に適用したが、本発明では、携帯端末装置は携帯電話機に限られず、PDA、ミュージックプレーヤー等の携帯端末装置に適用可能である。また、図1では、情報配信サーバ30に各種のデータベースDB1〜DB4が接続された構成を示しているが、この構成に限らず、情報配信サーバ30がネットワーク12を介して各所からPOIデータや道路ネットワークデータ、交通ネットワークデータ、地図データを取得するように構成してもよい。
【0043】
図2は、図1に示す情報配信システム10の詳細な構成を示すブロック図である。なお、図1において情報配信システム10とは別体として示された各データベースは図2においては情報配信サーバ30に含まれる構成となっている。
【0044】
携帯端末装置としての携帯電話機20は、情報配信サーバ30に出発地又は現在地等、POIの指定条件、目的地、最終列車や始発列車等の使用交通機関の選択情報等の条件を設定してPOI検索・経路探索要求を送信し、情報配信サーバ30はその条件に従って各種データベースDB1〜DB4(34〜37)を参照して最適なPOIを検索するとともに最適経路を探索し、その情報を編集して携帯電話機20に配信する。
【0045】
携帯電話機20は、制御手段21、通信手段22、GPS受信手段23、POI検索・経路探索要求手段24、出力手段としての表示手段25、案内記憶手段26、時間監視手段27、設定条件記憶手段28、入力手段29等を備えて構成されている。制御手段21は、不図示のRAM、ROM、及びプロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段22はネットワーク12を介して情報配信サーバ30等と通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0046】
GPS受信手段23は、複数のGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で測位する。また、POI検索・経路探索要求手段24は、ユーザによって指定された出発地又は現在地等、POIの指定条件、目的地、最終列車や始発列車等の使用交通機関の選択情報等の条件とともに情報配信サーバ30にPOI検索と経路探索の要求を行うためのものである。
【0047】
設定条件記憶手段28には、ユーザによって指定される各種の条件が記憶され、POI検索・経路探索要求手段24はこのデータを情報配信サーバ30に送信してPOI検索と経路探索の要求を行う。この各種の条件は、例えば、図4に示されるような設定画面に従って入力手段29によって入力される。図4において、図4(a)〜図4(f)はPOI検索・経路探索において表示手段に表示される表示画面の遷移をそれぞれ示している。
【0048】
図4(a)では、現在地周辺のPOIを検索することが既に指定されており、POIの種類として「グルメ」、「コンビニ」、「銀行ATM」の条件を指定でき、さらに「グルメ」の場合には最終又は始発列車まで滞在するかどうかの条件が指定できる(図4(b)参照)。また、目的地の条件としては、「自宅」、「その他の登録地」等を設定することができ(図4(c)参照)、さらに、上記条件に基づいて大まかに検索されたPOIをさらに細かく検索するための絞込み条件として「Cafe/デザート」、「ファミリーレストラン」等の飲食店の条件を設定することができる(図4(d)参照)。
【0049】
表示手段25は携帯電話機20に設けられた液晶ユニット等である。案内記憶手段26は、POI検索・経路探索要求に応じて情報配信サーバ30から返信されてきたPOI情報や経路探索結果及び案内経路等を記憶しておき、ユーザの指示に基づき随時表示手段25に表示するものである。時間監視手段27は、時刻を監視しており、例えばPOIを出発すべき時刻が近づいた際に所定の動作を開始させるイベントを発生させるためのものである。
【0050】
情報配信サーバ30は、制御手段31、POI検索手段32、経路探索手段33、POIデータベース34、道路ネットワークデータベース35、交通ネットワークデータベース36、地図データベース37、案内データ編集手段38、通信手段39等を備えて構成される。制御手段31は、不図示のRAM、ROM、及びプロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段39はネットワーク12を介して携帯電話機20等と通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0051】
POI検索手段32は、携帯電話機20のPOI検索・経路探索要求手段24から送信されてきたPOIの検索条件に従ってPOIデータベース34を参照し、条件に該当するものを検索する。例えば図4の検索条件設定画面のように「現在地の周辺」、「グルメ」、「終電まで」が条件として指定されたような場合には、POIデータベース34を参照して現在地から所定範囲内にある飲食店のうち、ユーザが最終列車に乗車するため当該POIを出発すべき時間に飲食店が開いているものを検索する。なお、このPOIを出発すべき時間は、後述する経路探索の結果から算出されるものである。
【0052】
経路探索手段33は、POI検索手段32によって検索されたPOIから、携帯電話機20のPOI検索・経路探索要求手段24から送信されてきたユーザ指定の目的地までの経路を、道路ネットワークデータベース35、交通ネットワークデータベース36を参照して探索するものである。さらに、ユーザが目的地への到着時刻を指定している場合には、その時刻に基づいてPOIの出発時刻を算出する。また、ユーザが経路探索の条件として最終列車や始発列車の利用を指定している場合には、交通ネットワークデータベース36を参照して最終列車、始発列車を利用して目的地まで到達する場合におけるPOIの出発時刻を算出する。
【0053】
POIデータベース34は店舗や施設等を検索するためのPOIデータを蓄積したもので、店舗や施設の名称、種別(カテゴリー)、位置、最寄り駅等の情報の他、利用可能時間の情報を含む。ここで、利用可能時間とは、飲食店等の場合には営業時間を示しており、ホテル等の場合にはチェックイン/アウト時刻を示している。道路ネットワークデータベース35は経路探索のための道路ネットワークのデータを蓄積している。交通ネットワークデータベース36は時刻表データに基づく交通ネットワークのデータを蓄積する他、最終列車、始発列車のデータを含む。地図データベース37は表示用の地図データ等を蓄積する。
【0054】
案内データ編集手段38は、POI検索手段32及び経路探索手段33によって検索・探索された結果を一時記憶するとともに携帯電話機20に送信できるように編集するためのものであり、POIの情報と、そこから目的地までの経路の情報、及び地図画像に案内経路を合成して編集する。
【0055】
次に、図3及び図4を参照して本実施例の情報配信システム1を利用したPOI検索・経路探索の動作について説明する。なお、図3は、本実施例の情報配信システム10を利用したPOI検索・経路探索の動作フローチャートであり、図4は、本実施例の情報配信システム10を利用してPOI検索・経路探索を行った場合に携帯電話機20の表示手段25の表示画面の遷移を示す図である。
【0056】
まず、携帯電話機20においてPOI検索・経路探索アプリケーションプログラムを起動させるか、又はウェブブラウザ使用してネットワーク12を介して情報配信サーバ30が提供するPOI検索・経路探索アプリケーションサイトに接続すると、携帯電話機20の表示手段25には図4(a)〜図4(d)のPOI検索条件設定画面が表示される。
【0057】
図3のステップS301においてユーザは携帯電話機20の表示手段25に表示されたPOI検索条件設定画面を見ながら入力手段29を操作して検索条件を設定する。図4(a)では、検索条件として既に現在地の周辺のPOIに限ることが設定されており、さらに、ユーザは「グルメ」、「コンビニ」、「銀行ATM」等のPOIを選択できる。なお、図4(a)では、「グルメ」が検索条件として選択されている。
【0058】
ユーザが「グルメ」を検索条件として設定する場合には、さらに「終電まで」「朝まで」の設定を行うことが可能で、ユーザが検索されたPOIに滞在した後最終列車に乗車して目的地に移動する場合には「終電まで」を選択する(図4(b)参照)。また、ユーザが検索されたPOIに早朝まで滞在した後始発列車に乗車して目的地向かう場合には「朝まで」を選択する。なお、図4(b)では「終電まで」が検索条件として設定されている。
【0059】
図4(b)において検索条件をそれぞれ設定すると、次に図4(c)に示される表示画面が表示され、目的地の設定を行うことができる。図4(c)では、目的地として「自宅」、「その他の登録地」等あらかじめ登録してある地点の他、目的地をフリーワードで入力したり郵便番号や住所を入力したりして情報配信サーバ30に対して目的地の検索を一旦行い、検索結果の中からユーザによって指定された地点も設定することができる。なお、図4(c)では目的地として「自宅」が選択されている。
【0060】
目的地の設定が行われると、図4(d)に表示される詳細条件設定画面が表示される。図4(d)では、「グルメ」として設定された検索条件の下位の条件として「Cafe/デザート」、「ファミリーレストラン」等の飲食店の種別が表示され、ユーザはこの中から所望のものをPOI検索条件として設定することができる。なお、図4(d)では、「居酒屋」が検索条件として設定されている。上述した設定条件は携帯電話機20の設定条件記憶手段28に記憶されているか、携帯電話機20が情報配信サーバ30から受信して設定条件記憶手段28に記憶したものであり、ユーザによって設定された設定条件も設定条件記憶手段28に一旦記憶される。
【0061】
検索条件が全て設定されると、携帯電話機20のPOI検索・経路探索要求手段24は設定条件記憶手段28から設定条件を読出して情報配信サーバ30にPOI検索・経路探索要求とともに送信する。
【0062】
次に、ステップS302では、ステップS301において設定された検索条件のうち、現在地から所定範囲内(例えば現在地から半径500m以内)と、POIの種別(図4(d)の場合は、「居酒屋」)の二つの検索条件で、まずこの検索条件を満たすPOIを検索する。情報配信サーバ30のPOI検索手段32は、POIデータベース34及び道路ネットワークデータベース35を参照して検索されたPOIの中からユーザの指定条件を満たすものを案内候補として不図示の記憶手段に一旦記憶する。
【0063】
次に、ステップS303において、すべてのPOIの案内候補について経路探索が終了したかどうかの判定を行い、経路探索が終了していなければ続くステップS304に移行する。ステップS304では、ステップS302において検索されたPOIの案内候補と、ステップS301において設定された検索条件(図4(b)及び図4(c)において設定された条件)に基づいて経路探索手段33が、道路ネットワークデータベース35及び交通ネットワークデータベース36を参照してPOIの案内候補の場所から目的地までの経路探索を行う。
【0064】
ステップS301におけるPOIの検索条件(図4(b))において「終電まで」が選択されている場合、POIの案内候補から最終列車に乗車して目的地まで(図4の場合は自宅まで)到達する経路を探索し、その際のPOIを出発すべき時刻を求める。同様に、ステップS301におけるPOIの検索条件(図4(b))において「朝まで」が選択されている場合、POIの案内候補から始発列車に乗車して目的地まで到達する経路を探索し、その際のPOIを出発すべき時刻を求める。
【0065】
次に、ステップS305において、案内候補のPOIを出発すべき時刻が、当該POIの利用可能時間内かどうかが判定される。案内候補のPOIを出発すべき時刻が、当該POIの利用可能時間内であるなら、ステップS306に移行し、この案内候補のPOI及び経路は、POI検索・経路探索結果として有効なものであるので、案内データ編集手段38がPOI情報と経路探索結果を抽出し、携帯電話機20に配信できるように編集して不図示の記憶手段に記憶し、ステップS303の処理に戻る。ステップS305において、案内候補のPOIを出発すべき時刻が当該POIの利用可能時間内でない場合、この案内候補のPOI及び経路は、POI検索・経路探索結果として有効でないものであるので、このデータは記憶せず、ステップS303の処理に戻る。
【0066】
ステップS303において、すべてのPOIの案内候補についての経路探索が終了した場合には、ステップS307において、有効な案内候補のPOIの一覧情報を情報配信サーバ30から携帯電話機20に送信し、携帯電話機20は、受信したPOIの案内候補を表示手段25に表示する。
【0067】
この一例が図4(e)に示されているが、この一覧には、現在地から半径500m以内の場所にあって最終列車に乗車して帰宅する場合に出発すべき時刻まで滞在可能な居酒屋の一覧が表示されている。この携帯電話機20の表示手段25に表示された一覧からユーザが一つを選択すると、情報配信サーバ30は不図示の記憶手段に記憶されたPOI情報を携帯電話機20に送信し、案内記憶手段26に記憶されるとともに、POI情報を表示手段25に表示させる。
【0068】
なお、これらのPOI情報は情報配信サーバ30から有効な案内候補のPOIの一覧情報を携帯電話機20に送る際に同時に送信しておいてもよい。表示手段25に表示されるPOI情報の一例が図4(f)に表示されている。図4(f)に示される表示画面では、画面上部にPOIの名称、電話番号、住所、営業時間等の情報が表示されるのに加え、当該POIを出発すべき時刻が表示される。図4(f)では、出発すべき時刻として経路探索の結果から23時35分が表示されている。
【0069】
また、表示画面の下部には、地図表示リンク(図4(f)の「地図を表示する」の表示部分)や経路案内リンク(図4(f)の「今すぐ行く!」の表示部分)が表示されており、地図表示リンクをユーザが選択すると、情報配信サーバ30は、地図データベース37から当該POIを中心とした地図を取得して案内データ編集手段38において地図画像と他の情報を合成して携帯電話機20に送信し、携帯電話機20の表示手段25に地図が表示される。なお、情報配信サーバ30から携帯電話機20にPOI情報を送信する際に、当該POIから目的地までの経路探索結果を同時に送信して案内記憶手段26に記憶させておいてもよい。
【0070】
また、図4(f)においてユーザが経路案内リンクを選択すると、ステップS308において経路探索要求があったことになり、ステップS309に進み、携帯電話機20のPOI検索・経路探索要求手段24は、さらに現在地から選択されたPOIまでの経路探索要求を情報配信サーバ30に対して行う。
【0071】
経路探索要求があると、情報配信サーバ30の経路探索手段33は、道路ネットワークデータベース35及び交通ネットワークデータベース36を参照して経路探索を行って、現在地から選択されたPOIまでの案内経路を作成し、地図データベース37から所要の地図データを取得して案内データ編集手段38において経路案内データを編集し、携帯電話機20に配信し、携帯電話機20の表示手段25に表示する(ステップS310)。これによりユーザは現在地から選択されたPOIまで経路案内を受けながら到達することが可能となる。なお、このときの経路案内画像(黒丸印を出発地とし、白丸印を目的地とする経路)の一例が図5に示されている。ステップS308で経路案内が選択されなければ処理を終了する。
【0072】
ところで、本実施例における情報配信システム10では、さらに携帯電話機20の時間監視手段27が時刻を監視しており、案内記憶手段26に記憶されているPOIを出発すべき時刻になると、図6に示す案内画面601を表示する。案内画面601は、メッセージ表示欄603と、経路案内リンク欄604から構成されており、この欄には、「終電の時刻が近づいている」旨のメッセージと現在位置を出発すべき時刻「23:35」、出発駅「〇〇線〇〇駅」と乗車すべき電車の出発時刻「23:55」が表示される。現在位置から出発駅までの徒歩区間の所要時間は「20分」である。
【0073】
案内表示と同時にバイブレーション等による振動や予め登録してある音楽等を出力して利用者に案内情報の確認を促すようにしておいてもよい。この案内情報は、POIを出発すべき時刻に行ってもよいが、ユーザが飲食店への支払いをすませ、身支度をして現在位置を出発する十分な時間を提供するための時間を見込んで、POIを出発すべき時刻より所定の時間だけ早く行われるようにしてもよい。こうすることにより、終電に乗り遅れ、帰宅できなくなるような不都合を防止できるようになる。
【0074】
図6においてユーザが経路案内リンク欄604を選択すると、携帯電話機20は、案内記憶手段26に記憶されていた経路探索結果を表示手段25に表示する。図7は、携帯電話機20の表示手段25に表示されるPOIから目的地に至る案内経路表示画面の構成の一例を示す図である。
【0075】
表示画面701には目的地表示欄702に目的地の名称である「自宅」が表示され、案内経路が表示される。案内経路は、現在位置出発時刻、最寄り駅(〇〇駅)到着時刻(現在位置から最寄り駅まで徒歩移動)、最寄り駅出発時刻(乗車電車)、到着駅、到着駅への到着時刻、出口、目的地到着時刻704(到着駅から目的地まで徒歩移動)のように各地点への到着、出発時刻が案内される。
【0076】
徒歩移動の経路区間についてはルート地図確認705とルート案内開始706の選択項目が表示され、ルート地図確認705をクリックして選択すると、携帯電話機20は、情報配信サーバ30に接続して当該案内経路に基づく地図データの要求を行い、地図データベース37から所要の地図画像を取得し、出発するPOI周辺の地図画像が携帯電話機20の表示手段25に表示され、POIから○○駅までの最適経路(徒歩案内経路:徒歩ルート)が地図画像上に表示される。また、ルート案内開始706を選択すると、端末装置の現在位置に従って交差点等の案内ポイントごとに直進、右折、左折等の進行方向の案内が音声等により出力される。
【0077】
なお、上記の例では、POIとして飲食店を検索し、目的地として自宅等を選択し、最終列車や始発列車を利用して目的地へ到達する場合に利用可能な飲食店を検索する場合について説明したが、本発明は他のPOI検索にも使用できる。例えば、POIとしてホテル等の宿泊施設を検索するものとし、目的地として国際空港を選択し、国際空港に指定の時間までに到着するような場合(例えば、午後の遅い時刻に航空機に搭乗できるように到着する場合)に、国際空港からそれぞれの宿泊施設までの経路を探索して宿泊施設を出発すべき時刻を算出し、出発すべき時刻がチェックアウト時刻よりも前であるものを抽出するようにしてもよい。この場合、宿泊施設で出発すべき時刻まで時間を有効に活用することができ、その後は直接国際空港へ移動して航空機に搭乗することができる。
【0078】
ここで、経路探索のための道路ネットワークデータベース35、交通ネットワークデータベース36と経路探索の手法について説明する。情報配信システムにおける経路探索のための道路ネットワークデータベース35は以下のように構成されている。例えば、道路が図8に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点等をノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0079】
すなわち、図8において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図8では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを示している。
【0080】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図8において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0081】
図8ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0082】
これに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータ36は以下のように構成されている。例えば、図9に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図9において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅等)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図9では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0083】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図9に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機等の各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0084】
図9に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車等の経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0085】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0086】
例えば、図9において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数等を累計して案内することになる。
【0087】
このようなデータベースを利用して情報配信サーバ30は目的地の最寄り駅に到着する各最終列車(又は始発列車)の時刻をもとに、その最終列車に乗車または乗り継ぐことのできる列車を推奨経路として探索する。その際、各POIの最寄り駅から目的地の最寄り駅に到着する各最終列車に乗車できる時刻で、POIの最寄り駅を最も遅い時刻に出発する列車を推奨経路として探索する。探索した列車の出発時刻にその出発駅に各POIから徒歩で移動する所要時間を加えた時間が各POIを出発すべき時刻になる。
【0088】
このようにしてPOI検索、経路探索が行われ、地図表示リンクをユーザが選択すると、前述したように、情報配信サーバ30は、地図データベース37から当該POIを中心とした地図を取得して案内データ編集手段38において地図画像と他の情報を合成して携帯電話機20に送信し、携帯電話機20の表示手段25に地図が表示される。
【0089】
地図データベース37に蓄積される地図データは図10に示すように所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。すなわち、地図データは図10に示すように所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33のように構成されている。携帯電話機20に配信される場合は、携帯電話機20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。
【0090】
携帯電話機20が移動して地図データが不足する場合は、携帯電話機20の移動方向を判別して情報配信サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。携帯電話機20が特定の地点やPOIの位置を指定して地図データの配信要求をした場合も同様である。案内経路のデータはこのベクトル地図データとともに携帯電話機20に配信される。携帯電話機20は、情報配信サーバ30からこのようにして地図データおよび案内経路のデータを受信して、図5に示すような案内画像を表示手段25に表示する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
上記実施例においては、最終列車等に乗車して目的地まで到達するのに都合のよい時刻まで利用できるPOIを、携帯電話機からサーバに接続して検索する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、インターネット上のグルメ関連のウェブサイトにおいて飲食店の予約を行う際に活用できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施例にかかる情報配信システムの構成を示す全体外略図である。
【図2】図1に示す情報配信システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例の情報配信システムを利用したPOI検索・経路探索の動作フローチャートである。
【図4】本実施例の情報配信システムを利用してPOI検索・経路探索を行った場合に携帯電話機の表示手段に表示される表示画面の例を示す図であり、図4(a)〜図4(f)は表示画面の遷移をそれぞれ示す図である。
【図5】本実施例の情報配信システムを利用する場合に表示される経路案内の一例を示す図である。
【図6】本実施例の情報配信システムにおいてPOIを出発すべき時刻に表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】本実施例の情報配信システムにおいてPOIから目的地に至る案内経路表示画面の構成の一例を示す図である。
【図8】経路探索のための道路ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図9】交通機関を利用した経路探索のための交通ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図10】地図データベースに蓄積される地図データを示す図である。
【符号の説明】
【0093】
10・・・・情報配信システム
20・・・・携帯電話機
23・・・・GPS受信手段
24・・・・POI検索・経路探索要求手段
26・・・・案内記憶手段
28・・・・設定条件記憶手段
30・・・・情報配信サーバ
32・・・・POI検索手段
33・・・・経路探索手段
34・・・・POIデータベース
35・・・・道路ネットワークデータベース
36・・・・交通ネットワークデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
POI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索されたPOIから目的地までの経路を探索する経路探索手段と、出力手段と、を備える情報配信システムにおいて、
前記POI情報はPOIの利用可能時間を含み、
前記経路探索手段は、経路探索の結果に基づき、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記POI検索手段は、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、
前記出力手段は、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POIに対応する探索経路を出力して案内することを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記経路探索手段は、ユーザにより指定された前記目的地への到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで最終列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項4】
前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで始発列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項5】
前記経路探索手段は、ユーザの現在地から前記POIまでの経路をさらに探索して案内することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の情報配信システム。
【請求項6】
POI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、携帯端末装置からユーザの指定条件とユーザの指定した目的地を含むPOI検索及び経路探索要求を受信すると前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索された前記POIから目的地までの経路を探索する経路探索手段と、通信手段と、を備える情報配信サーバにおいて、
前記POI情報はPOIの利用可能時間を含み、
前記経路探索手段は、経路探索の結果に基づき、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記POI検索手段は、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、
前記通信手段は、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POIに対応する探索経路を前記携帯端末装置に送信することを特徴とする情報配信サーバ。
【請求項7】
前記経路探索手段は、前記携帯端末装置においてユーザにより指定された前記目的地への到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項6に記載の情報配信サーバ。
【請求項8】
前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで最終列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項6に記載の情報配信サーバ。
【請求項9】
前記経路探索手段は、前記POIから前記目的地まで始発列車を利用した場合の経路を探索するとともに、その場合における前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項6に記載の情報配信サーバ。
【請求項10】
前記経路探索手段は、前記携帯端末装置から受信した現在地情報に基づきユーザの現在地から前記POIまでの経路をさらに探索することを特徴とする請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の情報配信サーバ。
【請求項11】
POIの利用可能時間を含むPOI情報を記憶したPOIデータベースと、道路及び交通ネットワークデータベースと、携帯端末装置からユーザの指定条件とユーザの指定した目的地を含むPOI検索及び経路探索要求を受信すると前記POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索手段と、前記道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POI検索手段によって検索されたPOIから目的地までの経路を探索するとともにユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得する経路探索手段と、通信手段と、を備え、前記POI検索手段が、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを更に抽出し、前記通信手段が、前記POI検索手段によって抽出されたPOI情報と該POI情報に対応する経路を前記携帯端末装置に送信する情報配信サーバに接続される携帯端末装置において、
POIの指定条件と目的地を入力するための入力手段と、
前記指定条件と前記目的地に基づき前記情報配信サーバにPOI検索要求と経路探索要求を行うPOI検索・経路探索要求手段と、
前記情報配信サーバから受信したPOI情報と該POI情報に対応する探索経路を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項12】
前記入力手段は、ユーザに対して前記目的地への到着時刻の入力を求め、
前記POI検索・経路探索要求手段は、前記入力手段において入力された前記目的地への到着時刻を指定条件として前記情報配信サーバにPOI検索・経路探索要求を行うことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。
【請求項13】
前記入力手段は、ユーザに対して前記POIから前記目的地まで最終列車と始発列車のどちらを利用するかの入力を求め、
前記POI検索・経路探索要求手段は、前記入力手段における入力に基づき最終列車又は始発列車のいずれかの利用を指定条件として前記情報配信サーバにPOI検索・経路探索要求を行うことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。
【請求項14】
前記携帯端末装置は、携帯端末装置の現在地を取得する現在位置取得手段を備え、
該現在位置取得手段は、取得した現在地を前記情報配信サーバへ送信し、
前記出力手段は、前記サーバから受信した現在地から検索されたPOIまでの経路を出力することを特徴とする請求項11〜請求項13の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項15】
(1)ユーザの指定条件を取得するステップと、
(2)POIデータベースを参照してユーザの指定条件を満たすPOIを検索するPOI検索ステップと、
(3)道路及び交通ネットワークデータベースを参照して前記POIから目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
(4)POI抽出ステップと、
(5)前記POI抽出ステップにおいて抽出されたPOIと前記経路探索ステップにおいて探索された経路を出力して案内する出力ステップと、
を備える情報配信方法において、
前記(2)のPOI検索ステップは、前記POIの利用可能時間を取得し、
前記(3)の経路探索ステップは、ユーザが前記検索されたPOIを出発すべき時刻を取得し、
前記(4)のPOI抽出ステップは、前記検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを抽出することを特徴とする情報配信方法。
【請求項16】
前記(1)のステップは、ユーザに対して前記目的地への到着時刻の入力を求め、
前記(3)の経路探索ステップは、前記到着時刻に基づいて前記POIを出発すべき時刻を取得することを特徴とする請求項15に記載の情報配信方法。
【請求項17】
前記(1)のステップは、ユーザに対して前記POIから前記目的地まで最終列車と始発列車のどちらを利用するかの入力を求め、
前記(3)の経路探索ステップは、前記(1)のステップにおける入力に基づき最終列車又は始発列車のいずれかを利用した場合の経路を探索するとともに、ユーザが前記POIを検出すべき時刻を取得し、
前記(4)のPOI抽出ステップは、前記(2)のPOI検索ステップにおいて検索されたPOIのうち、前記POIを出発すべき時刻が前記POIの利用可能時間内にあるものを抽出することを特徴とする請求項15に記載の情報配信方法。
【請求項18】
前記(3)の経路探索ステップは、ユーザの現在地から前記(2)のPOI検索ステップにおいて検索されたPOIまでの経路をさらに探索して案内することを特徴とする請求項15〜請求項17の何れか1項に記載の情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−36720(P2009−36720A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203307(P2007−203307)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】