説明

感光性樹脂組成物と、これを用いた薄膜トランジスタ基板の製造方法、及び共通電極基板の製造方法

【課題】 液晶表示装置において、山構造を有する有機膜パターンの裾部を含む表面における凹凸の発生を防止できるような、感光性樹脂組成物と、これを用いた薄膜トランジスタ基板の製造方法、及び共通電極基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 感光性樹脂組成物が、(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物と、これを用いた薄膜トランジスタ基板の製造方法、及び共通電極基板の製造方法に係り、より詳細には、有機膜表現の平坦性を向上させることができる感光性樹脂組成物及びこれを用いた、薄膜トランジスタ基板の製造方法と共通電極基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶表示装置の液晶を配向するための配向膜の形成方法は、電界が印加されない初期状態の液晶配向方向に沿って、TN(Twisted nematic)モード、IPS(In Plane Switch)モードなどの水平配向方法、及びVA(Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モードなどの垂直配向方法に分類される。
【0003】
現在、VAモードは、マルチドメインと補償フィルムを用いて高い光視野角を具現する反面、IPS及びTNモードに比べて遅い応答時間を示すという問題点がある。
そこで特許文献1には、前記VAモードでフリンジフィールド(fringe field)を用いて液晶を駆動する際に、応答速度を改善するために有機膜(配向膜)を山構造に形成する方法が提示されている。
【0004】
図1は、従来の山構造を有する有機膜パターンの断面図である。
図1を参照すると、山構造を有する有機膜によって液晶の応答速度を改善できるが、山構造の形成時、山形成面10に凹凸15が発生し、液晶の働きが不均一になるという問題がある。
【特許文献1】韓国特許出願第2004−46102号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、山構造を有する有機膜パターンの裾部を含む表面における凹凸の発生を防止できる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記感光性樹脂組成物を用いた薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、前記感光性樹脂組成物を用いた共通電極基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による感光性樹脂組成物は、(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明による薄膜トランジスタ基板の製造方法は、ベース基板上にゲート電極を含むゲート金属パターンを形成する段階と、前記ゲート金属パターン上にゲート絶縁膜を形成する段階と、前記ゲート電極と対応するゲート絶縁膜上にチャンネル層を形成する段階と、前記チャンネル層が形成されたゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極を含むソース金属パターンを形成する段階と、前記ゲート絶縁膜、チャンネル層、ソース金属パターンをカバーし、ドレイン電極の一部を露出するコンタクトホールを含むオーバーコーティング層を形成する段階と、前記コンタクトホールを通じて前記ドレイン電極と電気的に連結され、ドレイン分割手段である境界部を有する画素電極層を形成する段階と、前記画素電極層上に(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含む感光性樹脂組成物を塗布する段階と、前記感光性樹脂組成物を露光し現像して、テーパー構造で構成された傾斜膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による共通電極基板の製造方法は、ベース基板上に光遮断層を形成する段階と、前記ベース基板上に前記光遮断層の一部をカバーするカラーフィルタ層を形成する段階と、前記光遮断層及び前記カラーフィルタ層をカバーする絶縁層を形成する段階と、前記絶縁層上にドメイン分割手段である境界部を有する共通電極層を形成する段階と、前記共通電極層上に(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含む感光性樹脂組成物を塗布する段階と、前記感光性樹脂組成物を露光し現像してテーター構造で構成された傾斜膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による感光性樹脂組成物を用いて有機膜を形成すると、有機膜パターンの形成時、有機膜が流れて裾部を含めて凹凸のない平坦膜を形成することができるので、液晶表示装置に適用すると、液晶の働きが不均一になるのを防止できる。
また、本発明による感光性樹脂組成物を用いて形成された有機膜パターンは、裾部を含めて凹凸のない山構造を有するので、応答速度が優秀である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
基板上に有機膜パターンを形成するためには、基板を洗浄し、基板上に感光性樹脂組成物を塗布する。
前記感光性樹脂組成物は、スピンコーティング方式またはスリット・スピンコーティング方式によって基板上に塗布される。
前記塗布された感光性樹脂組成物は、乾燥された後、露光及び現像工程によって基板上に有機膜パターンを形成する。
形成された有機膜パターンは硬化する。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、本発明による、(A)アクリル系共重合体と(B)1,2−キノンジアジド化合物を含む感光性樹脂組成物の詳細について説明する。
[(A)アクリル系共重合体]
前記アクリル共重合体は、現像過程で有機膜表面にスカム(scum)が発生しないようにする役割を果たす。
前記アクリル系共重合体は、i)イソボニルカルボキシレート系化合物、ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物、iii)エポキシ含有不飽和化合物、及びiv)オレフィン系不飽和化合物を単量体にして溶媒及び重合開始剤の存在下で、重合反応によって取得することができる。
【0012】
前記イソボニルカルボキシレート系化合物の含量が単量体の総重量に対して、5重量%未満である場合、耐熱性が低下し、反面40重量%を超過すると、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下するようになる。
したがって、前記イソボニルカルボキシレート系化合物は、全体単量体の総重量に対して、5〜60重量%の含量を有する。望ましくは、10〜40重量%の含量を有する。
前記i)イソボニルカルボキシレート系化合物は、下記の化学式(1)に示される化合物を含む。
下記の化合物は、単独または二つ以上の組み合わせで用いることができる。
【0013】
【化1】

前記化学式(1)において、XはC−C10のアルケニル基であり、R、R、R、及びRは、水素またはC−C10のアルキル基である。
また、前記イソボニルカルボキシレート系化合物の具体的な例としては、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレートなどがある。
【0014】
前記ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物の総単量体に対する含量が10重量%未満であればアルカリ水溶液に溶解し難くなり、反面、35重量%を超過すると、アルカリ水溶液に対する溶解性が大きすぎるようになる。
したがって、前記ii)不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、またはこれらの混合物の含量は全体総単量体に対して5〜40重量%である。
望ましくは、10〜30重量%に用いることができる。
【0015】
前記ii)不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸などがある。
これらは、単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
これらのうち、共重合反応性とアルカリ水溶液に対する溶解性が優秀なアクリル酸、メタクリル酸、または無水マレイン酸を用いることが望ましい。
【0016】
前記iii)エポキシ基含有不飽和化合物の総単量体に対する含量が10重量%未満であれば、得られるパターンの耐熱性が低下する傾向があり、70重量%を超過する場合は共重合体の保存安定性が低下するようになる。
したがって、前記iii)エポキシ基含有不飽和化合物の総単量体に対する含量は、10〜70重量%である。前記エポキシ基含有不飽和化合物の含量は、望ましくは20〜60重量%である。
【0017】
前記エポキシ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−β−エチルグリシジル、メタクリル酸−β−エチルグリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどがある。
これらは単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどを用いることが、共重合反応性及び得られたパターンの耐熱性を増加させる点から望ましい。
【0018】
前記iv)オレフィン系不飽和化合物の総単量体に対する含量が10重量%未満である場合は、アクリル系共重合体の保存安定性が低下する傾向があり、70重量%を超過する場合は、アクリル系共重合体がアルカリ水溶液に溶解されにくい。
したがって、前記オレフィン系不飽和化合物の総単量体に対する含量は10〜70重量%である。
前記オレフィン系不飽和化合物の含量は、望ましくは20〜50重量%である。
【0019】
前記オレフィン系不飽和化合物の具体的例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレイート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレイート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがある。
これらは、単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
特に、スチレン、ジシクロペンタニルメタクリレート、またはp−メトキシスチレンが共重合反応性およびアルカリ水溶液に対する溶解性の側面から有利である。
【0020】
前記アクリル系共重合体の重合に用いられる溶媒としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエチルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4メチル−2−ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2メチル−プロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエーテル類などがある。
これらは単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
【0021】
前記アクリル系共重合体の合成に用いられる重合開始剤としてはラジカル重合開始剤を用い、具体的な例を挙げると、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチルレートなどを用いることができる。
【0022】
本発明で用いる(A)アクリル系共重合体は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、5,000〜30,000であり、望ましくは、5,000〜20,000である。
前記分子量が5,000未満であれば、形成された有機膜の現像性、残膜率などが低下するかパターン形状、耐熱性などが低下する恐れがあり、前記分子量が30,000を超過する場合、感度が低下するかパターンの形状が粗雑になる恐れがある。
【0023】
(B)1,2−キノンジアジド化合物]
本発明の感光性樹脂組成物において、感光性化合物として(B)1,2−キノンジアジド化合物を用いる。
前記1,2−キノンジアジド化合物の具体的な例としては、1,2−キノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−キノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,2−キノンジアジド−6−スルホン酸エステルなどがある。
前記キノンジアジド化合物は、ナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物とフェノール化合物を弱塩基下で反応して得られる。
【0024】
前記フェノール化合物の具体的な例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’または4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン,2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン、2,3,4,2’または2,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6,3’、2,4,6,4’または2,4,6,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’、3,4,5,4’または3,4,5,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン,1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンなどがあり、これらは単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
【0025】
前記化合物の合成時、エステル化度は、50〜85%が望ましく、エステル化度が50%未満である場合は、残膜率が低下する恐れがあり、85%を超過する場合は、保管安定性が低下する恐れがある。
【0026】
前記1,2−キノンジアジド化合物の含量が前記アクリル系共重合体100重量部に対して5重量部未満であれば、露光部と非露光部との溶解度の差が小さくなりパターンの形成が困難であり、100重量部を超過する場合には短時間に光が照射されるとき、未反応の1,2−キノンジアジド化合物が多量残存してアルカリ水溶液への溶解度が低すぎるようになって現像が難しくなる。
したがって、前記1,2−キノンジアジド化合物の含量は、前記アクリル系共重合体100重量部に対して5〜100重量部である。
前記1,2−キノンジアジド化合物の含量は、望ましくは前記アクリル系共重合体100重量部に対して10〜50重量部である。
【0027】
その他、本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、接着剤、アクリル化合物、界面活性剤などの添加剤を更に含むことができる。
前記エポキシ樹脂は、感光性樹脂組成物から得られるパターンの耐熱性、感度などを向上させることができる。
前記エポキシ樹脂の具体的な例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アクリル系共重合体とは異なるグリシジルメタクリレートを重合した樹脂などがある。
特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはグリシジルエステル型エポキシ樹脂を用いることが望ましい。
前記エポキシ樹脂の含量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部であることが望ましく、ここで使用量が30重量部を超過するようになると、前記アルカリ可溶性樹脂に対する常用性が低下して十分な塗布性能を得ることができない。
【0028】
前記接着剤は、基板との接着性を向上させるために用い、アクリル系共重合体100重量部に対して0.1〜20重量部に用いることができる。
このような接着剤としては、カルボキシル基、メタクリル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤などを用いることができる。
具体的な例として、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどがある。これらは単独または二つ以上の組み合わせに用いることができる。
【0029】
前記アクリル系化合物は、感光性樹脂組成物から得られるパターンの透過率、耐熱性、感度などを向上させることができる。
アクリル系化合物の含量は、前記アクリル系共重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、更に望ましくは、0.1〜15重量部であることが望ましい。
【0030】
また、前記界面活性剤は、感光性組成物の塗布性や現像性を向上させるために用いる。
このような界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオキチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、F171、F172、F173(商品名;大日本インク社、日本)、FC430、FC431(商品名;住友3M社、日本)、KP341(商品名:新月化学工業社、韓国)などがある。
前記界面活性剤の含量は、固形粉100重量部に対して0.0001〜2重量部を用いることが望ましい。
【0031】
一方、本発明は、前記アクリル系共重合体、1,2−キノンジアジド化合物を含み、必要によって前記添加剤成分を更に含む感光性樹脂組成物に溶媒を添加して感光性樹脂組成物コーティング溶液を提供する。
【0032】
このような本発明の感光性樹脂組成物コーティング溶液の固形粉の濃度は15〜50重量%であることが望ましく、これはポア径0.1〜0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、用いる。
【0033】
前記感光性樹脂組成物コーティング溶液の製造に用いる溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類と、テトラヒドロフランなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類と、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類と、ジエチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのジエチレングリコール類と、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類と、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類と、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類と、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類と、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4メチル−2ペンタノンなどのケトン類と、及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類などがある。
特に、溶解性、各成分との反応性及び塗布膜の形成が容易なグリコルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類及びジエチレングリコール類を用いるのが好ましい。
【0034】
本発明は、前記得られた感光性樹脂組成物をスプレイ法、ロールコーティング法、回転塗布法によって基板表面に塗布してプリベイクによって溶媒を除去して塗布膜を形成する。
前記プリベイクの条件は、70〜110℃にて1〜15分間実施することが望ましい。
その後、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを塗布膜に照射した後、現像液で現像して不必要な部分を除去することで有機膜パターンを形成する。
【0035】
前記現像液としてはアルカリ水溶液が用いられる。
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ類エチルアミン、n−プロピルアミンなどの1級アミン類ジエチルアミン、n−プロピルアミンなどの2級アミン類トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類テトラメチルアンモニウムヒドロキシード、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液を用いることができる。
前記現像液は、アルカリ性化合物は、0.1〜10%の濃度に溶解して用い、メタノール、エタノールなどのような水溶性有機性有機溶媒及び界面活性剤を適正量添加することができる。
【0036】
前記現像の後、超純水で30〜90秒間洗浄して不必要な部分を除去し乾燥してパターンを形成する。
形成されたパターンに紫外線などの光を照射した後、パターンをオーブンなどの加熱装置によって150〜250℃にて30〜90分間加熱処理して最終パターンを得ることができる。
【実施例2】
【0037】
[薄膜トランジスタ基板の製造方法]
図2〜図8は、本発明の実施例2による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
図2を参照すると、第1ベース基板101上に金属層(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ工程で前記金属層をエッチングしてゲート配線(図示せず)、ゲート電極111及びストレージ共通配線(図示せず)を含むゲート金属パターンを形成する。
【0038】
前記金属層(図示せず)は、例えば、クロム、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステン、銅、銀などの金属またはこれらの合金などで形成することができ、スパッタリング工程によって蒸着される。
【0039】
図3を参照すると、前記ゲート金属パターンが形成された第1ベース基板101上にシリコン窒化膜(SiNx)からなるゲート絶縁膜102と、アモルファスシリコン層(112a)及びインシツ(in−situ)ドープされたn+アモルファスシリコン層112bを順次形成する。
その後、前記アモルファスシリコン層112a及びn+アモルファスシリコン層112bをフォトエッチングして前記ゲート電極111に対応する領域にチャンネル層112を形成する。
【0040】
図4を参照すると、前記チャンネル層112が形成されたゲート絶縁膜102上に金属層(図示せず)を形成する。
前記金属層(図示せず)は、例えば、クロム、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステン、銅、銀などの金属またはこれらの合金などで形成することができ、スパッタリング工程によって蒸着される。
【0041】
その後、前記金属層(図示せず)を写真エッチングしてスイッチング素子のソース電極113、ドレイン電極114、及びソース配線(図示せず)を含むソース金属パターンを形成する。前記ソース電極113及びドレイン電極114は、所定間隔に離隔されて形成される。
【0042】
その後、前記ソース電極113とドレイン電極114との間に露出された前記n+アモルファスシリコン層112bをエッチングして前記アモルファスシリコン層112aを露出させる。
【0043】
図5を参照すると、前記ソース金属パターン及び前記ゲート絶縁膜を覆うようにフォトレジスト膜(図示せず)をコーティングする。
前記フォトレジスト膜を露光及び現像してコンタクトホール125を含むオーバーコーティング層120を形成する。前記コンタクトホールは、ドレイン電極114の一部を露出させる。
【0044】
図6を参照すると、前記コンタクトホール125が形成されたオーバーコーティング層120上に透明導電層(図示せず)を形成する。前記透明導電層は、一例として、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成される。
その後、フォトリソグラフィ工程で前記透明導電層をエッチングして画素電極層130を形成する。前記画素電極層130は、前記コンタクトホール125を通じてドレイン電極114と電気的に連結され、ドレイン分割手段である境界部135を含む。
【0045】
図7を参照すると、前記画素電極層130上に感光性樹脂組成物を塗布して有機膜140を形成する。
前記感光性樹脂組成物は、前述した本発明による感光性樹脂組成物であり、イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%、エポキシ含有不飽和化合物20〜40重量%、及びオレフィン系不飽和化合物20〜40重量%を共重合させて得られたアクリル系共重合体(A)100重量部と、1,2−キノンジアジド化合物(B)5〜100重量部と、を含む。
【0046】
その後、マスク150を用いて前記有機膜140を露光する。
前記マスク150は、透明な基板151と複数の遮光パターン153を含む。
前記遮光パターン153は、所定の距離に離隔されており、前記遮光パターン153の間のギャップは、スリットに該当する。
前記遮光パターン153の間の距離によって遮光パターン153の下部に位置した有機膜140の露光量が調節される。
より詳細には、前記遮光パターン153の間の距離が遠いほど遮光パターン153の下部に位置した有機膜140の露光量が多くなる。
【0047】
図8を参照すると、前記有機膜140を露光した後、現像液を用いて有機膜140を現像してテーパー構造からなる傾斜膜145を形成する。
前記有機膜140に露光される光量が均一でないので、現像を通じて形成された傾斜膜145は不均一な厚さを有する。
前記傾斜膜145は、画素電極層130の境界部135をカバーする。
【実施例3】
【0048】
[共通電極基板の製造方法]
図9乃至図11は、本発明の実施例3による共通電極基板の製造方法を示す断面図である。
図9を参照すると、第2ベース基板201上に光遮断層202を形成する。
前記光遮断層は、黒色顔料を含む有機物、クロム、酸化クロムなどで形成することができる。
その後、前記第2ベース基板201上に顔料を含む感光性有機膜(図示せず)を形成し、前記感光性有機膜を露光現像して光遮断層202の一部をカバーするカラーフィルタ層203を形成する。
【0049】
図10を参照すると、前記光遮断層202及び前記カラーフィルタ層203をカバーする絶縁層204を形成する。
前記絶縁層204は、前記光遮断層202及び前記カラーフィルタ層203を保護し、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、有機フィルムなどで形成することができる。
【0050】
その後、前記絶縁層204上に透明導電層(図示せず)を積層する。
前記透明導電層は、一例として、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)からなる。
その後、フォトリソグラフィ工程で前記透明な導電層をエッチングして共通電極層205を形成する。
前記共通電極層205は、ドメイン分割手段である境界部206を含む。
【0051】
図11を参照すると、前記共通電極層205上に感光性樹脂組成物を塗布した有機膜(図示せず)を形成する。
前記感光性樹脂組成物は、前述した本発明による感光性樹脂組成物であり、イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%、及びオレフィン系不飽和化合物20〜40%を共重合させて得られたアクリル系共重合体(A)100重量部及び1,2−キノンジアジド化合物(B)5〜100重量部を含む。
【0052】
その後、マスク(図示せず)を用いて前記有機膜を露光した後、現像液を用いて前記有機膜を現像してテーパー構造からなる傾斜膜207を形成する。
前記傾斜膜207は、共通電極層205の境界部206をカバーする。
前記有機膜を現像して傾斜膜207を形成する具体的な方法は、前述した薄膜トランジスタ基板の製造方法における傾斜膜145を形成する場合と同一である。
【実施例4】
【0053】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
しかし、これらは本発明を例示するためのものであるだけ、本発明がこれに限定されることはない。
【0054】
[アクリル系共重合体の製造]
冷却管と攪拌器とを具備したフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部、メタクリル酸20重量部、メタアクリル酸グリシジル20重量部、前記化学式1のイソボニルアクリレート30重量部、スチレン30重量部を入れて窒素置換した後、緩慢に攪拌した。
反応溶液を62℃まで上昇させてこの温度を5時間維持して重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度は、45重量%であり、重合体の重量平均分子量は12,000であった。
ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定したポリスチレン換算平均分子量である。
【0055】
[1,2−キノンジアジド化合物の製造]
4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸[クロライド]2モルとを縮合反応させて[4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル]を取得した。
【0056】
[感光性樹脂組成物の製造]
合成例1で得られた重合体溶液100重量部、前記[合成例5]で得られた縮合物[4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル]25重量部を混合して、固形粉の濃度が35重量%になるようジエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させた後、ポア径0.2μmのフィルタで濾過して感光性樹脂組成物溶液を製造した。
【0057】
[有機膜パターンの形成]
本発明による有機膜パターンを形成するために実施例1の感光性樹脂組成物溶液を用いてスリット/スピンコーターを通じて塗布後、100〜150秒間乾燥を進行した後、露光装置(商品名;MPA−2000、Cannon社、日本)にて露光を実施した。
その後、150秒間現像を実施した後、全面露光器にて露光を進行し、220℃にて60分間熱処理をした。
ここでの熱処理の条件は180℃から250℃まで可能であり、熱処理時間は20分から90分まで全て可能な範囲であるが、220℃にて30分〜60分の方が望ましい。
この後、感度を確認してみると、露光感度が150〜250mJ/cmと優秀であり、広がり性も優秀で、傾斜膜の表面(山構造の山形成面)の裾部を含めて凹凸発生のないパターンを形成することができた。
【0058】
図12は、本発明による感光性樹脂組成物を用いて形成した有機膜パターンの断面図である。
図12を参照すると、上記図1に示した従来技術による有機膜の表面とは違って、山形成面10に凹凸が発生せず裾部まで平坦な構造を有する有機傾斜膜が形成できていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明による感光性樹脂組成物を用いて形成された有機膜パターンは、裾部を含めて凹凸のない山構造を有するので、応答速度が優秀である。
また、有機膜パターンの山構造の表面が裾部を含めて非常に平坦であるので、液晶表示装置に適用すると、液晶の働きが不均一になるのを防止できる。
【0060】
以上、本発明の実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離脱することなく、本発明を修正または変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来の山構造を有する有機膜パターンの断面図である。
【図2】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施例による共通電極基板の製造方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施例による共通電極基板の製造方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第3実施例による共通電極基板の製造方法を示す断面図である。
【図12】本発明の第4実施例による感光性樹脂組成物を用いて形成された有機膜パターンの断面図である。
【符号の説明】
【0062】
101 第1ベース基板
102 ゲート絶縁膜
111 ゲート電極
113 ソース電極
114 ドレイン電極
120 オーバーコーティング層
125 コンタクトホール
130 画素電極層
135、206 境界部
140 有機膜
145、207 傾斜膜
150 マスク
153 遮光パターン
201 第2ベース基板
202 光遮断層
203 カラーフィルタ層
204 絶縁層
205 共通電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、
エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、
オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、
を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び
(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量%
を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記イソボニルカルボキシレート系化合物は、下記の化学式1に示される化合物を含み、
【化1】

前記化学式1において、XはC−C10のアルケニル基であり、R、R、R、及びRは、水素またはC−C10のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記イソボニルカルボキシレート系化合物は、イソボニルアクリレート及びイソボニルメタクリレートからなる群より選択された少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アクリル系共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜30,000であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びイタコン酸からなる群より選択された少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ基含有不飽和化合物は、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−β−エチルグリシジル、メタクリル酸−β−エチルグリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びm−ビニルベンジルグリシジルエーテル及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルからなる群より選択された少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記オレフィン系不飽和化合物は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロプンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択された少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記1,2−キノンジアジド化合物は、1,2−キノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−キノンジアジド−5−スルホン酸エステル、及び1,2−キノンジアジド−6−スルホン酸エステルからなる群より選択された少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、接着剤、アクリル系化合物、及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一つの添加剤を更に含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
ベース基板上にゲート電極を含むゲート金属パターンを形成する段階と、
前記ゲート金属パターン上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート電極と対応するゲート絶縁膜上にチャンネル層を形成する段階と、
前記チャンネル層が形成されたゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極を含むソース金属パターンを形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜、チャンネル層、ソース金属パターンをカバーし、ドレイン電極の一部を露出するコンタクトホールを含むオーバーコーティング層を形成する段階と、
前記コンタクトホールを通じて前記ドレイン電極と電気的に連結され、ドレイン分割手段である境界部を有する画素電極層を形成する段階と、
前記画素電極層上に(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%と、オレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含む感光性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記感光性樹脂組成物を露光し現像して、テーパー構造で構成された傾斜膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項11】
前記イソボニルカルボキシレート系化合物は、下記の化学式1に示される化合物を含み、
【化1】

前記化学式1において、XはC−C10のアルケニル基であり、R、R、R、及びRは、水素またはC−C10のアルキル基であることを特徴とする請求項10記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物の露光は、所定の間隔に離隔された複数の光遮断パターンを含むマスクを用いて行われることを特徴とする請求項10記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項13】
ベース基板上に光遮断層を形成する段階と、
前記ベース基板上に前記光遮断層の一部をカバーするカラーフィルタ層を形成する段階と、
前記光遮断層及び前記カラーフィルタ層をカバーする絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁層上にドメイン分割手段である境界部を有する共通電極層を形成する段階と、
前記共通電極層上に(A)イソボニルカルボキシレート系化合物5〜60重量%と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物10〜40重量%と、エポキシ基含有不飽和化合物20〜40重量%、及びオレフィン系不飽和化合物20〜40重量%と、を共重合させて得られたアクリル系共重合体100重量部、及び(B)1,2−キノンジアジド化合物5〜100重量部を含む感光性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記感光性樹脂組成物を露光し現像してテーター構造で構成された傾斜膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする共通電極基板の製造方法。
【請求項14】
前記イソボニルカルボキシル系化合物は、下記の化学式1に示される化合物を含み、
【化1】

前記化学式1において、XはC−C10のアルケニル基であり、R、R、R、及びRは、水素またはC−C10のアルキル基であることを特徴とする請求項13記載の共通電極基板の製造方法。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、露光は所定の間隔に離隔された複数の光遮断パターンを含むマスクを用いて行われることを特徴とする請求項13記載の共通電極基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−336016(P2006−336016A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155906(P2006−155906)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】