説明

成膜装置、及び成膜基板製造方法

【課題】基板内の温度差を抑制し、基板に生じる応力を緩和することが可能な成膜装置、及び成膜基板製造方法を提供すること。
【解決手段】基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を加熱または冷却しながら基板を往復動させる。これにより、基板と搬送ローラーとの接点の位置を変化させ、特定部位のみが搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制する。また、基板を往復動させることで、加熱/冷却手段の設置範囲を拡大せずに、基板の加熱/冷却を行うことができる。また、搬送ローラーを回転させながら、基板を加熱/冷却するため、基板と搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、基板と搬送ローラーとの接点をずらし、基板の伸縮を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、及び成膜基板製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、真空チャンバー内で基板の処理などを行う成膜装置は、チャンバー内に設置された蒸着装置により成膜材料を基板上に蒸着させることで成膜を行っている。このような成膜装置において、搬送方向に回転自在の搬送ローラーを用いて、基板を直接搬送するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−147256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような成膜装置では、成膜を行う前に基板を加熱し、成膜後に基板を冷却することが行われている。従来技術では、搬送ローラーを用いて直に基板を搬送しているため、基板を加熱または冷却する工程において、基板の搬送ローラーと接触している部分から搬送ローラーへ伝熱してしまう。これにより、基板の搬送ローラーと接触している部分と接触していない部分とで温度差が生じることにより、基板にひずみ等が発生して応力が高くなり割れに至るおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、基板内の温度差を抑制し、基板に生じる応力を緩和することが可能な成膜装置、及び成膜基板製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による成膜装置は、基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、基板が導入されるチャンバーと、当該チャンバー内で基板を加熱する加熱手段と、チャンバー内に設置され基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーと、当該搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、加熱手段による加熱中に基板を往復動させる制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
このような成膜装置によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を加熱しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、加熱される基板と、基板より温度が低い搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、加熱手段の設置範囲を拡大せずに、基板の加熱を行うことができる。また、搬送ローラーを回転させながら、基板を加熱するため、基板と搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、加熱によって生じる基板の伸びを許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の伸びを許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が加熱されて伸びる場合に、基板がずれるので、基板に生じる熱応力を緩和することができる。
【0008】
また、加熱手段は、基板の搬送方向と交差する方向に延在し、搬送方向に所定の間隔を空けて配置された複数のヒーターを有することが好ましい。これにより、ヒーターの数を少なくしながらも、基板の往復動により温度分布の均一化を図ることができる。
【0009】
また、制御手段は、ヒーターの配置間隔の略60%〜略100%の距離分、基板を往復動させることが好適である。このような構成により、特に温度分布の均一化を図ることができる。
【0010】
また、本発明による成膜装置は、基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、基板を冷却する冷却手段と、基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーと、搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、冷却手段による冷却中に基板を往復動させる制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このような成膜装置によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を冷却しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、冷却される基板と、基板より温度が低い搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、冷却手段の設置範囲を拡大せずに、基板の冷却を行うことができる。また、搬送ローラーを回転させながら、基板を冷却するため、基板と搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、冷却によって生じる基板の収縮を許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の収縮を許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が冷却されて縮む場合に、基板がずれるので、基板に生じる引張り応力を緩和することができる。
【0012】
また、制御手段は、搬送ローラーを360度分、回転させた後、逆方向に360度分、回転させることが好適である。これにより、搬送ローラーを1回転ずつ、正回転と逆回転とを繰り返しながら、基板を往復動させることができ、搬送ローラー内の温度差を抑制し、搬送ローラーと接触する基板内の温度差も抑制することができる。
【0013】
また、本発明による成膜装置は、基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、基板が導入されるチャンバーと、当該チャンバー内で基板を加熱する加熱手段と、チャンバー内に設置され基板と接触して基板を搬送する回転自在の第1の搬送ローラーと、当該第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、加熱手段による加熱中に基板を往復動させる加熱搬送制御手段と、基板を冷却する冷却手段と、基板と接触して基板を搬送する回転自在の第2の搬送ローラーと、当該第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、冷却手段による冷却中に基板を往復動させる冷却搬送制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
このような成膜装置によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を加熱しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と第1の搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、加熱される基板と、基板より温度が低い第1の搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが第1の搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、加熱手段の設置範囲を拡大せずに、基板の加熱を行うことができる。また、第1の搬送ローラーを回転させながら、基板を加熱するため、基板と第1の搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、加熱によって生じる基板の伸びを許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の伸びを許容することができない場合であっても、第1の搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が加熱されて伸びる場合に、基板がずれるので、基板に生じる熱応力を緩和することができる。
【0015】
また、このような成膜装置によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を冷却しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と第2の搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、冷却される基板と、基板より温度が低い第2の搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが第2の搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、冷却手段の設置範囲を拡大せずに、基板の冷却を行うことができる。また、第2の搬送ローラーを回転させながら、基板を冷却するため、基板と第2の搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、冷却によって生じる基板の収縮を許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の収縮を許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が冷却されて縮む場合に、基板がずれるので、基板に生じる引張り応力を緩和することができる。
【0016】
また、本発明による成膜基板製造方法は、基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、基板が導入されたチャンバー内で基板を加熱する加熱工程と、チャンバー内に設置され基板と接触する回転自在の搬送ローラーを用いて基板を搬送する搬送工程と、を備え、搬送工程では、加熱工程による加熱中に、搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を往復動させることを特徴としている。
【0017】
このような成膜基板製造方法によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を加熱しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、加熱される基板と、基板より温度が低い搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、加熱手段の設置範囲を拡大せずに、基板の加熱を行うことができる。また、搬送ローラーを回転させながら、基板を加熱するため、基板と搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、加熱によって生じる基板の伸びを許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の伸びを許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が加熱されて伸びる場合に、基板がずれるので、基板に生じる熱応力を緩和することができる。
【0018】
また、加熱工程では、基板の搬送方向と交差する方向に延在し、搬送方向に所定の間隔を空けて配置された複数のヒーターを用いて、基板を加熱することが好ましい。これにより、ヒーターの数を少なくしながらも、基板の往復動により温度分布の均一化を図ることができる。
【0019】
また、搬送工程では、ヒーターの配置間隔の略60〜略100%の距離分、基板を往復動させることが好適である。このような構成により、特に温度分布の均一化を図ることができる。
【0020】
また、本発明による成膜基板製造方法は、基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、基板を冷却する冷却工程と、基板と接触する回転自在の搬送ローラーを用いて前記基板を搬送する搬送工程と、を備え、搬送工程では、冷却工程による冷却中に、搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を往復動させることを特徴としている。
【0021】
このような成膜基板製造方法によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を冷却しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、冷却される基板と、基板より温度が低い搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、冷却手段の設置範囲を拡大せずに、基板の冷却を行うことができる。また、搬送ローラーを回転させながら、基板を冷却するため、基板と搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、冷却によって生じる基板の収縮を許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の収縮を許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が冷却されて縮む場合に、基板がずれるので、基板に生じる引張り応力を緩和することができる。
【0022】
また、搬送工程では、搬送ローラーを360度分、回転させた後、逆方向に360度分、回転させることが好適である。これにより、搬送ローラーを1回転ずつ、正回転と逆回転とを繰り返しながら、基板を往復動させることができ、搬送ローラー内の温度差を抑制し、搬送ローラーと接触する基板内の温度差も抑制することができる。
【0023】
また、本発明による成膜基板製造方法は、基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、基板が導入されたチャンバー内で基板を加熱する加熱工程と、チャンバー内に設置され基板と接触する回転自在の第1の搬送ローラーを用いて基板を搬送する第1の搬送工程と、基板を冷却する冷却工程と、基板と接触する回転自在の第2の搬送ローラーを用いて基板を搬送する第2の搬送工程と、を備え、第1の搬送工程では、加熱工程による加熱中に、第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を往復動させ、第2の搬送工程では、冷却工程による冷却中に、第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を往復動させることを特徴としている。
【0024】
このような成膜基板製造方法によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を加熱しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と第1の搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、加熱される基板と、基板より温度が低い第1の搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが第1の搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、加熱手段の設置範囲を拡大せずに、基板の加熱を行うことができる。また、第1の搬送ローラーを回転させながら、基板を加熱するため、基板と第1の搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、加熱によって生じる基板の伸びを許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の伸びを許容することができない場合であっても、第1の搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が加熱されて伸びる場合に、基板がずれるので、基板に生じる熱応力を緩和することができる。
【0025】
また、このような成膜基板製造方法によれば、基板と接触して基板を搬送する回転自在の第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板を冷却しながら基板を往復動させることが可能であるため、基板と第2の搬送ローラーとの接点が固定されず、接点の位置を変化させることができる。すなわち、冷却される基板と、基板より温度が低い第2の搬送ローラーとの接点をずらすことで、基板の特定部位のみが第2の搬送ローラーと接触すること回避し、基板内の温度差を抑制することができる。また、基板を往復動させることで、冷却手段の設置範囲を拡大せずに、基板の冷却を行うことができる。また、第2の搬送ローラーを回転させながら、基板を冷却するため、基板と第2の搬送ローラーとの摩擦係数を低減することができ、冷却によって生じる基板の収縮を許容することができる。搬送ローラーが静止している状態で摩擦係数が高く基板の収縮を許容することができない場合であっても、搬送ローラーを回転させることで摩擦係数を低減し、基板がずれやすくことができる。そのため、基板が冷却されて縮む場合に、基板がずれるので、基板に生じる引張り応力を緩和することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の成膜装置、及び成膜基板製造方法によれば、基板内の温度差を抑制し、基板に生じる応力を緩和することが可能であるため、基板が割れる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る成膜装置を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る成膜装置のバッファチャンバー(加熱用)の断面図であり、基板搬送方向に切った状態を示すものである。
【図3】本発明の実施形態に係る成膜装置のバッファチャンバー(加熱用)の断面図であり、基板搬送方向と直交する方向に切った状態を示すものである。
【図4】図3中の基板、搬送ローラーを拡大して示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る成膜装置のバッファチャンバー(冷却用)の断面図であり、基板搬送方向に切った状態を示すものである。
【図6】本発明の実施形態に係る成膜装置の基板搬送制御ユニットを示すブロック構成図である。
【図7】基板の平面図であり、基板と搬送ローラーとの接点の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る成膜装置について図面を参照して説明する。なお、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示される状態に基づいており、便宜的なものである。
【0029】
(成膜装置)
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置を示す概略側面図である。図1に示す成膜装置100は、基板(例えばガラス基板)に対して成膜等の処理を施すためのものである。成膜装置100は、スパッタリング法による成膜を行う装置であり、真空中の希薄アルゴン雰囲気下でプラズマを発生させて、プラズマ中のプラスイオンを成膜材料に衝突させることで金属原子をはじき出し、基板上に付着させて成膜を行うものである。
【0030】
成膜装置100は、例えば、太陽電池を製造する太陽電池製造装置、液晶表示素子を製造する液晶表示素子製造装置、平面入力素子(タッチパネル)を製造する平面入力素子製造装置などに適用することができる。
【0031】
成膜装置100は、ロードロックチャンバー121、バッファチャンバー122、成膜チャンバー(成膜室)123、バッファチャンバー124、ロードロックチャンバー125を備えている。これらのチャンバー121〜125は、この順に並んで配置されている。全てのチャンバー121〜125が真空容器にて構成され、チャンバー121〜125の出入口には、開閉ゲート131〜136が設けられている。
【0032】
成膜装置100には、基板を搬送するための搬送装置91(図2,3参照)が設けられている。搬送装置91は例えば公知のローラー91aとこのローラー91aを回転させる駆動機構(図示せず)から構成されている。そして、基板は、搬送装置91によって搬送され、チャンバー121〜125内を順次通過する。ローラー91aは、図4に示すように、基板101の幅方向(図示X方向)の両側の端部を下方から支持するように配置されている。また、ローラー91aは、基板101の幅方向に延在する所定の軸線周りに回転自在の構成とされている。
【0033】
成膜装置100は、基板101を載置するトレイを使用せず、基板101とローラー91aとを直接接触させて搬送するトレイレスタイプの装置である。
【0034】
各真空チャンバー121〜125には、内部を適切な圧力とするための真空ポンプ(不図示)が接続されている。また、各真空チャンバー121〜125には、チャンバー内の圧力を監視するための真空計95(図2参照)が複数(例えば2個)設置されている。各チャンバー121〜125には、真空ポンプに接続された真空排気管96が連通され、この真空排気管96に真空計95が設置されている。
【0035】
ロードロックチャンバー121は、入口側に設けられた開閉ゲート131を開放することで、大気開放され、処理される基板が導入されるチャンバーである。ロードロックチャンバー121の出口側は、開閉ゲート132を介して、バッファチャンバー122の入口側に接続されている。
【0036】
図2及び図3は、本発明の実施形態に係る成膜装置のバッファチャンバー(加熱用)を示す断面図である。バッファチャンバー122は、入口側に設けられた開閉ゲート132を開放することで、ロードロックチャンバー121と連通され、ロードロックチャンバー121を通過した基板101が導入される圧力調整用チャンバーである。バッファチャンバー122の出口側は、開閉ゲート133を介して、成膜チャンバー123の入口側に接続されている。また、バッファチャンバー122には、基板101を加熱するためのヒーター92が設けられている。このヒーター92は、基板101の上面を加熱すべく、基板101の上方に設置されている。バッファチャンバー122では、基板温度が例えば200℃程度になるように加熱される。バッファチャンバー122は、成膜チャンバー123の前段に設置され、基板101を加熱する加熱用チャンバーとして機能する。
【0037】
ヒーター92は、ランプヒーターであり、基板101の搬送方向Yと交差する方向Xに延在している。ヒーター92は、バッファチャンバー122内に複数本(例えば12本)設置され、搬送方向Yに所定の間隔Pを空けて配置されている。ヒーター92の熱は基板101に伝熱され、基板101が加熱される。
【0038】
成膜チャンバー123は、入口側に設けられた開閉ゲート133を開放することで、バッファチャンバー122と連通され、バッファチャンバー122を通過した基板101が導入され、基板101に薄膜層を成膜する処理チャンバーである。成膜チャンバー123の出口側は、開閉ゲート134を介して、バッファチャンバー124の入口側に接続されている。成膜チャンバー123内には、基板101に成膜材料(薄膜層)を成膜するための蒸着装置(図示せず)が設置されている。また、成膜チャンバー123には、基板101を加熱するためのヒーターが設けられている。このヒーターは、基板101の上面を加熱すべく、基板101よりも上方に設置されている。成膜チャンバー123では、基板温度が例えば200℃程度に維持されている。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る成膜装置のバッファチャンバー(冷却用)を示す断面図である。バッファチャンバー124は、入口側に設けられた開閉ゲート134を開放することで、成膜チャンバー123と連通され、成膜チャンバー123によって成膜された基板101が導入される圧力調整用チャンバーである。バッファチャンバー124の出口側は、開閉ゲート135を介して、ロードロックチャンバー125の入口側に接続されている。また、バッファチャンバー124には、基板101を冷却するための冷却板93が設けられている。この冷却板は、基板101の上面を冷却すべく、基板101の上方に設置されている。バッファチャンバー124では、基板温度が例えば120℃程度になるように冷却される。バッファチャンバー124は、成膜チャンバー123の後段に設置され、基板101を冷却する冷却用チャンバーとして機能する。なお、バッファチャンバー124に冷却手段が設置されていない構成でもよい。真空チャンバーから出た後の大気圧環境において、基板101を大気により冷却(空冷)する構成でもよい。
【0040】
冷却板93は、基板101を冷却する冷却手段として機能するものである。冷却板93は、例えば銅板から形成され、板状を成し、基板101と対面するように配置されている。冷却板93には、冷却水が通水される冷却管(不図示)が設けられている。基板101の熱は、冷却板93に伝熱され、冷却板93に伝達された熱が冷却管に伝熱され、冷却管は管内を流れる冷却水により冷却される。これにより、冷却板93が冷却されて基板101が冷却される。
【0041】
ロードロックチャンバー125は、入口側に設けられた開閉ゲート35を開放することで、バッファチャンバー124と連通され、バッファチャンバー124を通過した基板101が導入されるチャンバである。ロードロックチャンバー125の出口側には、開閉ゲート36が設けられ、開閉ゲート36を開放することで、ロードロックチャンバー125が大気開放される。ロードロックチャンバー125では、大気開放により空冷し、チャンバー外へ基板101が搬送される時点で、100℃以下に冷却されます。
【0042】
(基板搬送制御ユニット)
図6は、本発明の実施形態に係る成膜装置の基板搬送制御ユニットを示すブロック構成図である。成膜装置100は、搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、バッファチャンバー122,124内で基板101を往復動させる基板搬送制御ユニット20を備えている。
【0043】
基板搬送制御ユニット20は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。基板搬送制御ユニット20では、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、駆動制御部21A,21Bが構築される。
【0044】
駆動制御部21Aは、バッファチャンバー122に設置された搬送ローラー91aを回転駆動するための駆動モータ(電動モータ)22Aを制御するものである。駆動モータ22Aは、駆動制御部21Aから出力された指令信号に従い作動する。駆動制御部21Aは、駆動モータ22Aの回転方向、回転量を制御し、バッファチャンバー122に設置された搬送ローラー(第1の搬送ローラー)91aの正回転または逆回転、回転角度を制御する。駆動制御部21Aは、搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、ヒーター92による加熱中に基板101を往復動させる(加熱搬送)制御手段として機能する。なお、バッファチャンバー122に設置された搬送ローラー91aの正回転とは、成膜チャンバー123側へ、基板101を搬送する場合の回転である。バッファチャンバー122に設置された搬送ローラー91aの逆回転とは、成膜チャンバー123とは反対側へ、基板101を搬送する場合の回転である。
【0045】
駆動制御部21Aは、ヒーター92の配置間隔の60%〜100%の距離分、基板101を往復動させることが好ましい。例えば、基板搬送方向Yに隣り合うヒーター92の配置間隔が、80mmである場合に、搬送ローラー91aの設置位置に対して、前後方向に80mm移動させることが好適である。
【0046】
駆動制御部21Bは、バッファチャンバー124に設置された搬送ローラー91aを回転駆動するための駆動モータ(電動モータ)22Bを制御するものである。駆動モータ22Bは、駆動制御部21Bから出力された指令信号に従い作動する。駆動制御部21Bは、駆動モータ22Bの回転方向、回転角度を制御し、バッファチャンバー124に設置された搬送ローラー(第2の搬送ローラー)91aの正回転または逆回転、回転角度を制御する。駆動制御部21Bは、搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、ヒーター92による冷却中に基板101を往復動させる(冷却搬送)制御手段として機能する。なお、バッファチャンバー124に設置された搬送ローラー91aの正回転とは、成膜チャンバー123とは反対側へ、基板101を搬送する場合の回転である。バッファチャンバー124に設置された搬送ローラー91aの逆回転とは、成膜チャンバー123側へ、基板101を搬送する場合の回転である。
【0047】
駆動制御部21Bは、搬送ローラー91aを1回転(360度)分、回転させた後、逆方向に1回転させて、基板101を往復動させることが好ましい。例えば、搬送ローラー91aの外径が、60mmmmである場合に、搬送ローラーの設置位置に対して、前後方向に180mm移動させることが好適である。
【0048】
(成膜基板の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る成膜基板の製造方法について説明する。本実施形態では、図1に示す成膜装置100を用いた成膜基板の製造方法について説明する。この製造方法は、加熱工程(第1の搬送工程)、成膜工程、及び冷却工程(第2の搬送工程)を備えている。
【0049】
(搬送工程)
まず、基板101は、ロードロックチャンバー121内に導入される。ロードロックチャンバー121内は、開閉ゲート131,132が閉じられて密閉状態とされ、所定の圧力まで減圧される。基板は、ロードロックチャンバー121内を搬送され、隣接するバッファチャンバー122内に導入される。
【0050】
(加熱工程、第1の搬送工程)
加熱工程では、基板101が導入されたバッファチャンバー122内で基板101を加熱する。第1の搬送工程(搬送工程)では、加熱工程による加熱中に、(第1の)搬送ローラー91aを正回転または逆回転させて、基板101を往復動させる。例えば、バッファチャンバー122内は、基板101が導入される前に所定の温度まで加熱されている。
【0051】
基板101は、バッファチャンバー122内に導入され、基準位置(例えば、バッファチャンバー122の中央)まで搬送される。バッファチャンバー122内は、開閉ゲート132,133が閉じられて密閉状態とされ、所定の圧力(成膜チャンバー123と同圧)まで減圧される。基板搬送制御ユニット20の駆動制御部21Aは、駆動モータ22Aに指令信号を送信して、バッファチャンバー122に設置された搬送ローラー91aを正回転または逆回転させる。これにより、基板101は、ヒーター92による加熱中に、基準位置を中心として搬送方向Yに往復動する(第1の搬送工程)。ここでは、例えば、20秒間、20mm/sの速度で10往復させる。第1の搬送工程では、ヒーター92の配置間隔Pの60%〜100%(略60%〜略100%)の距離分、基板101を往復動させることが好ましい。基板101が、成膜に適した温度まで加熱された後、基板101の往復動が停止される。その後、基板101は、バッファチャンバー122内を搬送され、隣接する成膜チャンバー123内に導入される。
【0052】
(成膜工程)
成膜チャンバー123内は、基板101が導入される前に、成膜に適正な減圧状態とされている。基板101が成膜チャンバー123内に導入されると、開閉ゲート133,134が閉じられて密閉状態とされる。また、成膜チャンバ123内は、ヒーター92によって加熱されて、基板温度が維持された状態となる。そして、基板101上に成膜処理が行われ、基板101上に金属膜(薄膜層)が成膜される(成膜工程)。
【0053】
(冷却工程、第2の搬送工程)
冷却工程では、基板101が導入されたバッファチャンバー124内で基板101を冷却する。第2の搬送工程(搬送工程)では、冷却工程による冷却中に、(第2の)搬送ローラー91aを正回転または逆回転させて、基板101を往復動させる。例えば、バッファチャンバー124内は、基板101が導入される前に所定の温度まで冷却されている。なお、冷却工程は、チャンバー内で実行されなくてもよい。
【0054】
基板101は、バッファチャンバー124内に導入され、基準位置(例えば、バッファチャンバー124の中央)まで搬送される。バッファチャンバー124内は、開閉ゲート134,135が閉じられて密閉状態とされ、所定の圧力に減圧されている。基板搬送制御ユニット20の駆動制御部21Bは、駆動モータ22Bに指令信号を送信して、バッファチャンバー124に設置された搬送ローラー91aを正回転または逆回転させる。これにより、基板101は、冷却板93による冷却中に、基準位置を中心として搬送方向Yに往復動する(第2の搬送工程)。第2の搬送工程では、搬送ローラー91aを1回転させた後、逆方向に1回転させ、これを繰り返し、基板101を往復動することが好ましい。基板101が、冷却された後、基板101の往復動が停止される。その後、基板は、バッファチャンバー124内を搬送され、隣接するロードロックチャンバー125内に導入される。
【0055】
ロードロックチャンバー125内は、開閉ゲート136が開放されて、大気開放により基板101が、冷却される。基板101が、冷却された後、基板101は、ロードロックチャンバー125内を搬送され、ロードロックチャンバー125外へ導出される。
【0056】
このような本実施形態の成膜装置100及び成膜基板製造方法によれば、基板101と接触して基板101を搬送する回転自在の搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板101を加熱しながら基板101を往復動させることが可能であるため、基板101と搬送ローラー91aとの接点が固定されず(図7参照)、接点の位置を変化させることができる。すなわち、加熱される基板101と、基板101より温度が低い搬送ローラー91aとの接点をずらすことで、基板101の特定部位のみが搬送ローラー91aと接触すること回避し、基板101内の温度差を抑制することができる。搬送ローラー91aと接している部分と、搬送ローラー91aと接していない部分との温度差を小さくすることができる。
【0057】
また、基板加熱中に基板101を往復動させることで、ヒーター92の設置範囲を拡大せずに基板101を加熱することができる。また、搬送ローラー91aを回転させながら、基板101を加熱するため、基板101と搬送ローラー91aとの摩擦係数を低減することができ、加熱によって生じる基板101の幅方向Xの伸びを許容することができる。搬送ローラー91aが静止している状態では、摩擦係数が高く基板101の伸びを許容することができず、基板101は幅方向Xの中央で大きくたわんでしまう。そこで、搬送ローラー91aを回転させることで摩擦係数を低減し、基板101が幅方向Xにずれやすくすることができる。そのため、基板101が加熱されて幅方向Xへ伸びる場合に、基板101の幅方向Xの端部が外側へずれるので、圧縮力による基板101の板厚方向へのたわみを緩和することができる。その結果、基板101の割れや、たわんだ基板101と他の部品(例えば基板101が搬送される経路の近傍に設けられる反射板)との干渉の可能性を低減することができる。
【0058】
また、成膜装置100の加熱手段及び成膜基板製造方法の加熱工程では、基板101の搬送方向Yと交差する方向Xに延在し、搬送方向Yに所定の間隔Pを空けて配置された複数のヒーター92を用いて、基板101を加熱し、基板搬送制御ユニット20及び搬送工程では、ヒーター92の配置間隔Pの略60%〜略100%の距離分、基板101を往復動させるため、基板101の搬送方向Yにおける基板101内の温度差を抑制することができると共に、ヒーター92の設置数量を削減することができる。例えば、基板を静止させて加熱する従来の装置と比較して、50%の本数にヒーター92を削減することができる。
【0059】
また、本実施形態の成膜装置100及び成膜基板製造方法によれば、基板101と接触して基板101を搬送する回転自在の搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板101を冷却しながら基板101を往復動させることが可能であるため、基板101と搬送ローラー91aとの接点が固定されず(図7参照)、接点の位置を変化させることができる。すなわち、冷却される基板101と、基板101より温度が低い搬送ローラー91aとの接点をずらすことで、基板101の特定部位のみが搬送ローラー91aと接触すること回避し、基板101内の温度差を抑制することができる。搬送ローラー91aと接している部分と、搬送ローラー91aと接していない部分との温度差を小さくすることができる。
【0060】
また、基板冷却中に基板101を往復動させることで、冷却板93の設置範囲を拡大せずに基板101を冷却することができる。また、搬送ローラー91aを回転させながら、基板101を冷却するため、基板101と搬送ローラー91aとの摩擦係数を低減することができ、冷却によって生じる基板101の幅方向Xの収縮を許容することができる。搬送ローラー91aが静止している状態では、摩擦係数が高く基板の収縮を許容することができない場合であっても、搬送ローラー91aを回転させることで摩擦係数を低減し、基板101が幅方向Xにずれやすくことができる。そのため、基板101が冷却されて縮む場合に、基板101の幅方向Xの端部が内側へずれるので、基板101に生じる引張り応力を緩和することができる。その結果、基板101が割れる可能性を低減することができる。
【0061】
また、成膜装置100の基板搬送制御ユニット20は、搬送ローラー91aを360度分、回転させた後、逆方向に360度分、回転させるため、搬送ローラー91aを1回転ずつ、正回転と逆回転とを繰り返しながら、基板101を往復動させることができ、搬送ローラー91aの周面における温度差を抑制し、搬送ローラー91aと接触する基板101内の温度差も抑制することができる。
【0062】
また、成膜基板製造方法の(第2の)搬送工程では、搬送ローラー91aを360度分、回転させた後、逆方向に360度分、回転させるため、搬送ローラー91aを1回転ずつ、正回転と逆回転とを繰り返しながら、基板101を往復動させることができ、搬送ローラー91aの周面における温度差を抑制し、搬送ローラー91aと接触する基板101内の温度差も抑制することができる。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、バッファチャンバー122内に設置された搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板101を往復動させているが、その他のチャンバー内に設置された搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板101を往復させてもよい。例えばロードロックチャンバー121内において、基板加熱中に基板101を往復動させてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、バッファチャンバー124内に設置された搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、基板101を往復動させているが、その他のチャンバー内に設置された搬送ローラー91aの回転を正回転と逆回転とで切り替えることで、基板101を往復させてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ヒーター92には基板101の幅方向Xに延在するランプヒーターを用いて、加熱しているが、その他の加熱手段(例えばカーボンヒーター)を用いて、基板101を加熱してもよい。また、ヒーター92の延在する方向は、基板101の幅方向Xに限定されず、搬送方向Yに延在するヒーターを用いて、基板101を加熱してもよい。また、基板101の下面を加熱する構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、冷却板93を用いて、基板101を冷却しているが、その他の冷却手段を用いて、基板101を冷却してもよい。また、基板101の下面を冷却する構成でもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、基板加熱時において、ヒーター92の配置間隔Pの略60%〜略100%の距離分、基板101を往復動させているが、基板101が往復動する距離は、間隔Pの60%以下でもよく、間隔P以上でもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、基板冷却時において、搬送ローラー91aを360度分、回転させた後、逆方向に360度分、回転させているが、搬送ローラー91aの回転角度は360度に限定されず、1回転未満の回転角度で、基板101を往復動させてもよく、1回転よりも大きい回転角度で、基板101を往復動させてもよい。
【0069】
また、成膜チャンバー及び成膜工程における成膜法は、スパッタリング法に限定されず、その他の成膜法(例えばイオンプレーティング法など)を適用してもよい。
【0070】
また、加熱時または冷却時のみにおいて、基板101を往復動させる構成でもよい。
【符号の説明】
【0071】
20…基板搬送制御ユニット、91a…搬送ローラー、92…ヒーター(加熱手段)、93…冷却板(冷却手段)、100…成膜装置、101…基板、121,125…ロードロックチャンバー、122,124…バッファチャンバー、123…成膜チャンバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、
前記基板が導入されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を加熱する加熱手段と、
前記チャンバー内に設置され前記基板と接触して前記基板を搬送する回転自在の搬送ローラーと、
前記搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記加熱手段による加熱中に前記基板を往復動させる制御手段と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記基板の搬送方向と交差する方向に延在し、前記搬送方向に所定の間隔を空けて配置された複数のヒーターを有することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ヒーターの配置間隔の略60%〜略100%の距離分、前記基板を往復動させることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、
前記基板を冷却する冷却手段と、
前記基板と接触して前記基板を搬送する回転自在の搬送ローラーと、
前記搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記冷却手段による冷却中に前記基板を往復動させる制御手段と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記搬送ローラーを略360度分、回転させた後、逆方向に略360度分、回転させることを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
基板に成膜材料を成膜する成膜装置であって、
前記基板が導入されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を加熱する加熱手段と、
前記チャンバー内に設置され前記基板と接触して前記基板を搬送する回転自在の第1の搬送ローラーと、
前記第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記加熱手段による加熱中に前記基板を往復動させる加熱搬送制御手段と、
前記基板を冷却する冷却手段と、
前記基板と接触して前記基板を搬送する回転自在の第2の搬送ローラーと、
前記第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記冷却手段による冷却中に前記基板を往復動させる冷却搬送制御手段と、を備えること特徴とする成膜装置。
【請求項7】
基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、
前記基板が導入されたチャンバー内で前記基板を加熱する加熱工程と、
前記チャンバー内に設置され前記基板と接触する回転自在の搬送ローラーを用いて前記基板を搬送する搬送工程と、を備え、
前記搬送工程では、前記加熱工程による加熱中に、前記搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記基板を往復動させることを特徴とする成膜基板製造方法。
【請求項8】
前記加熱工程では、前記基板の搬送方向と交差する方向に延在し、前記搬送方向に所定の間隔を空けて配置された複数のヒーターを用いて、前記基板を加熱することを特徴とする請求項7に記載の成膜基板製造方法。
【請求項9】
前記搬送工程では、前記ヒーターの配置間隔の略60〜略100%の距離分、前記基板を往復動させることを特徴とする請求項8に記載の成膜基板製造方法。
【請求項10】
基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、
前記基板を冷却する冷却工程と、
前記基板と接触する回転自在の搬送ローラーを用いて前記基板を搬送する搬送工程と、を備え、
前記搬送工程では、前記冷却工程による冷却中に、前記搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記基板を往復動させることを特徴とする成膜基板製造方法。
【請求項11】
前記搬送工程では、前記搬送ローラーを略360度分、回転させた後、逆方向に略360度分、回転させることを特徴とする請求項10に記載の成膜基板製造方法。
【請求項12】
基板上に成膜材料が成膜された成膜基板を製造する方法であって、
前記基板が導入されたチャンバー内で前記基板を加熱する加熱工程と、
前記チャンバー内に設置され前記基板と接触する回転自在の第1の搬送ローラーを用いて前記基板を搬送する第1の搬送工程と、
前記基板を冷却する冷却工程と、
前記基板と接触する回転自在の第2の搬送ローラーを用いて前記基板を搬送する第2の搬送工程と、を備え、
前記第1の搬送工程では、前記加熱工程による加熱中に、前記第1の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記基板を往復動させ、
前記第2の搬送工程では、前記冷却工程による冷却中に、前記第2の搬送ローラーの回転を正回転と逆回転とで切り替えて、前記基板を往復動させることを特徴とする成膜基板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−177151(P2012−177151A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40268(P2011−40268)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】