説明

成膜装置及び成膜方法

【課題】 本発明は、安定して高いウェーハ面内膜厚均一性を得ることが可能な成膜装置と成膜方法を提供する。
【解決手段】 本発明の成膜装置は、ウェーハ1上に成膜を行なう反応室2と、反応室2内で複数のウェーハ1を載置するサセプタ3と、サセプタ3を介してウェーハ1を加熱する加熱手段6と、ウェーハ1上に成膜ガスを供給するガス供給ノズル5と、ガス供給ノズル5を昇降させる昇降機構9を備え、面内膜厚均一性の高い成膜を可能としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエピタキシャル気相成長装置などの成膜装置及びその成膜装置を用いて成膜する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造工程において、例えば、縦型エピタキシャル気相成長装置などの成膜装置を用いて、ウェーハ上へのエピタキシャル膜(以下エピ膜という)の成膜が行われている。
【0003】
図4に縦型エピタキシャル気相成長装置の断面図を示す。図に示すように、ウェーハ101上に成膜を行う成膜チャンバ102内に、ウェーハ101を複数枚載置可能なサセプタ103と、サセプタ103の中心部を貫通するガス供給管104と、ガス供給管104の上部に設置され、ウェーハ101上に成膜ガスを供給するガス供給ノズル105が配置されている。そして、サセプタ103の下方には、ウェーハ101を加熱する加熱手段106と、サセプタ103を回転させる回転手段107が設置され、成膜チャンバ102下部には、ガスを排出する排出手段108が接続されている。
【0004】
このような縦型エピタキシャル気相成長装置を用いて、ウェーハ101上にエピ膜を形成する。先ず、サセプタ103上に例えば8枚のウェーハ101を載置する。そして、ガス供給手段(図示せず)からガス供給管104を経て、ガス供給ノズル105より成膜ガスをウェーハ101上に供給する。そして、加熱手段106によりサセプタ103を介してウェーハ101を加熱し、成膜ガスを水素還元又は加熱分解して、サセプタ103を回転させながら堆積させ、ウェーハ101上にエピ膜を形成する。
【0005】
このとき、ウェーハ101面内において、エピ膜の膜厚がばらつくという問題があり、種々の手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、半導体装置の微細化に伴い、高い面内膜厚均一性が要求されており、さらなる対策が必要であった。
【特許文献1】特開平7−45530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように従来の成膜装置又は成膜方法では、成膜した膜の面内膜厚均一性が不十分で、未だ改良の余地が残されていた。
【0007】
本発明は、安定して高いウェーハ面内膜厚均一性を得ることが可能な成膜装置と成膜方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の成膜装置は、ウェーハ上に成膜を行なう反応室と、反応室内で複数のウェーハを載置するサセプタと、ウェーハを加熱する加熱手段と、ウェーハ上に成膜ガスを供給するガス供給ノズルと、ガス供給ノズルを昇降させる昇降機構を備えることを特徴とする。
【0009】
この本発明の成膜装置において、成膜ガスの供給とガス供給ノズルの昇降が並行して行なわれるように、成膜ガスの供給及びガス供給ノズルの昇降を制御する手段を備えることが望ましい。
【0010】
また、本発明の成膜装置において、サセプタ及び/又は加熱手段を昇降させる昇降機構を備えることが望ましい。
【0011】
さらに、本発明の成膜装置において、昇降機構は、前記反応室と外気とのシール部に接続する伸縮管を備えることが望ましい。
【0012】
また、本発明の成膜方法は、ウェーハを反応室内のサセプタに載置する工程と、ウェーハを加熱する工程と、ウェーハ上に、ウェーハに対するガス供給位置を上下に変動させて成膜ガスを供給する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成膜装置を用いれば、面内膜厚均一性の高い成膜が可能で、また、本発明の成膜方法によれば、安定してウェーハ上に、面内膜厚均一性の高い膜を形成可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0015】
図1に縦型エピタキシャル気相成長装置の断面図を示す。図に示すように、ウェーハ1上に成膜を行なう反応室である成膜チャンバ2内に、ウェーハ1を複数枚載置可能なサセプタ3と、サセプタ3の中心部を貫通するガス供給管4と、ガス供給管4上部より所定の角度でウェーハ1上に成膜ガスを供給するガス供給ノズル5が配置されている。そして、サセプタ3の下方には、サセプタ3を介してウェーハ1を加熱するRFコイルなどの加熱手段6と、サセプタ3を回転させる回転手段7が設置され、成膜チャンバ2下部には、ガスを排出する排出手段8が接続されている。さらに、ガス供給管4には、ガス供給ノズル5を昇降するための昇降手段9が接続されている。
【0016】
なお、上述したウェーハ1の加熱手段は、本実施形態において、RFコイルからなる加熱手段により、サセプタ3を加熱し、そのサセプタの熱で行われる。
【0017】
図2にガス供給管4と昇降手段9との接続部を示す。図に示すように、ガス供給管4は、一端がガス供給手段(図示せず)とフレキシブル配管(図示せず)を介して接続されており、他端側がガス供給ノズルに至っている。ガス供給管4は、カム91を介して昇降用モータ92と接続され、ガス供給管4を昇降することで、ガス供給ノズル5を昇降させることができる。そして、ガス供給管4の外周には、カム91によるガス供給管4の昇降に伴い伸縮するベローズ(伸縮管)93が設けられており、成膜チャンバ2内と大気とのシール部94と接続されている。
【0018】
このような縦型エピタキシャル気相成長装置を用いて、ウェーハ1上にエピ膜を形成する。先ず、サセプタ3上に例えば6インチウェーハ1を10枚載置する。そして、ガス供給手段(図示せず)からガス供給管4を経てガス供給ノズル5より、例えばH2ガスを140SLM、トリクロロシランを9SLMという混合比で、モノシラン、トリクロロシランなどの原料ガスを含む成膜ガスをウェーハ1上に供給する。このとき、ガスの供給と並行して、昇降手段9により、ガス供給管4上部に設置されるガス供給ノズル5を、例えば周期:1、2、4サイクル/秒、振幅:20mmで昇降するよう制御し、ガス流を均一に乱す。そして、加熱手段6によりウェーハ1を例えば1130℃に加熱し、成膜ガスを水素還元又は加熱分解して、例えば6rpmでサセプタ3を回転させながら6.67分間堆積させ、ウェーハ1上に10μm厚のエピ膜を形成する。
【0019】
このようにして形成されたエピ膜厚のウェーハ面内分布を図3に示す。比較例として、ガス供給ノズルを昇降させないで形成された従来のエピ膜厚の、ウェーハ面内分布を併せて示す。また、膜厚の最大値をdmax、最小値をdminとしたとき、エピ膜厚の面内ばらつきΔを、
Δ=(dmax−dmin)/(dmax+dmin)×100(%)
としたときの面内ばらつきを、表1に示す。
【表1】

【0020】
図3及び表1に示すように、ガス供給ノズルを昇降させることにより、特に、図3に示すように、従来のものと比較して、サセプタ中心部に近い領域での膜厚の増大を抑えることができ、エピ膜厚のウェーハ面内ばらつきが抑制されることが分かる。そして、このように、膜厚のばらつきが抑制されることにより、例えば、ウェーハに形成される半導体素子の特性のばらつきを抑え、引いては半導体装置の歩留りを向上させることが可能となる。
【0021】
本実施形態において、ガス供給ノズル5のみを昇降させているが、併せてサセプタ3を昇降させることにより、よりガス流を均一に乱すことができ、より均一な成膜が可能となる。また、併せて加熱手段6を上下させることにより、ウェーハ1面内の温度分布をより均一にすることができ、より均一な成膜が可能となる。また、ガス供給ノズル5から供給されるガスの流量を、経時的に変動させても良い。
【0022】
また、成膜チャンバ2内と大気とのシール部94にベローズ(伸縮管)93を用いているが、ベローズを用いることにより、シール部94で摺動させることなく昇降することができる。
【0023】
また、サセプタに6インチウェーハを10枚載置しているが、ウェーハのサイズ、枚数などは特に限定されるものではない。
【0024】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。その他要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様における縦型エピタキシャル気相成長装置の断面を示す図。
【図2】本発明の一態様におけるガス供給管と昇降手段の接続部を示す図。
【図3】本発明の一態様におけるエピ膜厚のウェーハ面内分布を示す図。
【図4】従来の縦型エピタキシャル気相成長装置の断面を示す図。
【符号の説明】
【0026】
1 ウェーハ
2 成膜チャンバ
3 サセプタ
4 ガス供給管
5 ガス供給ノズル
6 加熱手段
7 回転手段
8 排出手段
9 昇降手段
91 カム
92 昇降用モータ
93 ベローズ
94 シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ上に成膜を行なう反応室と、
前記反応室内で複数のウェーハを載置するサセプタと、
前記ウェーハを加熱する加熱手段と、
前記ウェーハ上に成膜ガスを供給するガス供給ノズルと、
前記ガス供給ノズルを昇降させる昇降機構を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記成膜ガスの供給と前記ガス供給ノズルの昇降が並行して行なわれるように、前記成膜ガスの供給及び前記ガス供給ノズルの昇降を制御する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記サセプタ及び/又は加熱手段を昇降させる昇降機構を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記昇降機構は、前記反応室と外気とのシール部に接続する伸縮管を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項5】
ウェーハを反応室内のサセプタに載置する工程と、
前記ウェーハを加熱する工程と、
前記ウェーハ上に、前記ウェーハに対するガス供給位置を上下に変動させて成膜ガスを供給する工程を備えることを特徴とする成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−73627(P2007−73627A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256805(P2005−256805)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】