説明

所定の温度条件下で試験基板を検査する方法及び温度条件を設定可能な検査装置

本発明は、検査する試験基板(1)を温度調節可能なチャック(2)によって保持して所定の温度に設定し、少なくとも一つの位置決め機器(3,4,5,6,7,8)を用いて、検査プローブ(32)に対して相対的な位置に試験基板(1)を配置して、検査のために検査プローブ(32)と接触させる、所定の温度条件の下で試験基板(1)を検査する方法及び装置に関する。温度調節機器(20,27,28)を用いて、温度調節する試験基板(1)の周辺領域に有る、位置決め機器(3,4,5,6,7,8)の少なくとも一つの部品の温度を試験基板(1)の温度と独立して設定するとともに、その温度を一定に保持することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の温度で電子素子を検査、試験する機能を有する検査装置の温度条件を設定する方法に関する。同様に、本発明は、温度条件の設定を実施するための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において、検査装置とは、電子素子の電気的な機能を計測する検査機器であると解釈する。検査装置を用いて、様々な製造設備内で様々な電子素子を検査又は試験することができる。検査する電子素子は、例えば、ウェーハ構造内の半導体素子や、半導体チップ、ハイブリッド素子、マイクロ機械素子、光学素子又はそれらと同等の物などの個別の素子とすることができ、そのため、以下において、共通して試験基板と呼ぶこととする。
【0003】
そのような試験基板は、通常滑らかで平坦な下側を有し、少なくとも検査装置の構成部品であり、試験基板を収容するための滑らかで平坦な収容面を有するチャック上に直に配置、保持される。チャックでは、チャック駆動部を用いて、動作領域内で試験基板を動かすことが可能であり、その結果検査装置の検査プローブに対して相対的な位置に試験基板を位置決めすることができる。試験基板の位置決めは、一般的に水平な面、即ち、X−Y面内では、クロステーブルと数度の範囲内で角度方向を偏向できる機器とによって行われ、例えば、試験基板の上方に配置された検査プローブの方向に試験基板を動かして接触させることが可能な垂直方向の駆動部、即ち、Z方向駆動部によって行われる。
【0004】
場合によっては、検査プローブの保持機器も、例えば、複数の検査プローブの互いに相対的な方向への偏向、試験基板のX、Y及びZ方向への偏向、或いは試験基板に対する接触運動を行うことが可能な位置決め機器を有する。
【0005】
検査のために、接触針の形状を有する検査プローブを用いて、試験基板に接触させて、検査信号を印加するか、或いは検査信号を収集する。検査信号は、様々な形式をとることができる。例えば、出力信号は、例えば、様々な波長領域のビームなどの別の入力パラメータによって発生させることができる。検査プローブは、一般的に動作領域外の上方の筐体部分上に有り、筐体の開口部を通して試験基板と接触させられる。
【0006】
電子素子の動作信頼度の検査は、検査装置内において、有利には、各素子の使用条件と一致する環境条件の下で行われ、試験基板を所定の温度に設定することは重要な点である。試験基板の温度設定は、好適な機器を用いて加熱又は冷却することが可能なチャックによって行われる。
【0007】
検査条件を設定するために、検査装置の動作領域は、一般的に筐体によって取り囲まれている。そのような筐体によって取り囲まれた検査装置は、特許文献1により周知である。その検査装置では、筐体は、下方の部分に複数の入口開口部を有し、筐体の上方の部分に、出口開口部としての役割も検査プローブを挿入する役割も果たす別の開口部を有する。低い温度範囲での検査時に、周囲環境からの湿気が試験基板上で結露することを防止するために、それらの開口部を通してガスを動作領域に貫流させている。
【0008】
試験基板の検査を行う温度を設定するために、好適な冷媒をチャックに当てる。温度を設定する、或いはチャックでの検査条件を更に制御して設定するために、チャックは、媒体用パイプを介して動作領域外に有る相応の媒体源と接続されている。そのような検査装置では、チャックとの熱交換のためにチャック駆動部も冷却される一方、チャックの設置面とチャック駆動部が熱的にほぼ切り離されるとともに、直接冷却式熱放射遮蔽板を用いて、試験基板が周囲の未冷却の部品グループの熱放射から遮蔽されている検査装置が、特許文献2に記載されている。主に周辺の測定領域に熱平衡を実現することによって、測定時間が影響を受けるとともに、そのような周辺領域が最小限となっているので、熱的な隔離によって、初期の検査装置と比べて、試験基板に関して必要な精度と再現性でチャックを位置決めするための時間及び作業負担が大幅に削減されている。
【0009】
しかし、測定時間が改善された前述した検査装置でも、位置決め機器の熱的な状況が変化し続けるために、運動過程の変化が常に確認されており、そのため異なる温度と異なる時間過程によって、検査の精度及び再現性が異なる影響を受けている。基板と検査プローブの間を短時間接触させる測定では、それと関連して検査プローブと位置決め機器の部品の熱膨張が変化することによる温度変動が、例えば、反復構造の走査時に、相対的な位置のずれとそのため運動過程の変化を引き起こしている。検査プローブと試験基板の接点との接触を数時間、場合によっては、数日維持しなければならない長時間の測定では、場合によっては、検査プローブが接点から離れてしまう程大きく、相対的な位置がずれてしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第4109908号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第10246282号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のことから、本発明の課題は、試験基板及び試験基板と接続された検査装置の部品に対して規定された空間及び温度に関する再現可能な検査条件を最小限の時間負担で設定し、維持することができる、所定の温度で基板を試験するための検査装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここで提示する方法によって、試験基板の周辺領域に配置された、検査装置の位置決め機器の部品からの熱放射又は熱伝導による熱の作用、即ち、温度変化を所望の通り制御することが可能となる。この場合、周辺領域とは、考え得る熱伝導形態の中の一つにもとづく試験基板との熱交換が起こり得るか、或いは温度変化が試験基板と検査プローブの間の相対的な位置のずれを引き起こす可能性が有る検査装置の位置決め機器の全ての部品であると解釈する。従って、それは、検査プローブとそのマニピュレータを保持するとともに、更に通常試験基板と対向して配置されたプローブ保持板と関連する。そのような保持機器も検査プローブの移動機器も、熱膨張の変化のために検査プローブの位置を変化させる可能性が有る。
【0013】
同じことが、チャック駆動部の構造に応じて、チャック駆動部の個々の部品にも言える。位置決め機器の如何なる部品を温度調節可能な形に構成するのかは、その構造とそのため想定される温度変化時の起こり得る位置の変化及び許容される位置の変化に依存する。また、起こり得る位置の変化は、主に試験基板の接点の大きさによって決まる。
【0014】
基板の温度に依存しない温度設定の結果、試験基板の加熱又は冷却、或いは同じく所定の温度の維持を所望の通り制御することが可能となる。即ち、二つの温度を適合させることによって、検査プローブが試験基板を加熱又は冷却することを防止している。更に、検査装置の位置決め機器の一つ以上の部品における温度変動によって起こる可能性の有る、検査プローブと試験基板の互いに相対的なずれを防止することが可能となる。そのような温度変動は、一方では位置決め機器内での熱膨張、他方では位置決め機器と試験基板又は検査プローブの間の接続を実現する保持機器内での熱膨張に変化を引き起こす可能性が有る。
【0015】
本方法の別の実施形態では、チャック駆動部の設定温度を試験基板の設定温度から大きくずらすことができ、そうすることによって、チャック駆動部の材料の熱膨張動作を所定通り設定することが可能となる。部品の温度による膨張動作を所定通り設定するとは、周辺領域の温度に近い温度での熱膨張を最小化することと、その温度から大きくずれているが、検査装置の別の部品との熱平衡の設定と独立して、温度が一定に保持されているために、検査期間全体に渡って一定であり、そのため計算することが可能な状態に熱環境を維持することとを含むものである。更に、個々の試験の間の加熱及び冷却プロセスを明らかに加速することができる。
【0016】
チャック駆動部の設定され、一定に保持されている温度が、長い時間後に熱交換のために熱平衡に設定された温度から大きくずれる場合、絶え間ない温度調節が必要である。しかし、熱平衡温度が既知であるか、或いは例えば、試験測定で検出することができる場合、本方法の実施形態は、温度調節機器を用いて、そのような熱平衡温度を所望の通り設定して、熱平衡状態が形成されるまでの間積極的に維持するものと規定する。この場合、熱平衡温度の設定は、自然に任せた熱交換の場合よりも大幅に速く、即ち、ほぼ試験基板も温度調節できる時間内で行われる。この実施形態の利点は、積極的な温度調節を短縮することができるとともに、設定した温度の維持だけを保証すれば良いので、特に、検査時間が長い場合に、エネルギー消費量を低減することができることである。
【0017】
別の実施構成では、試験基板と検査プローブの間の接触領域による変動を防止する、即ち、そのような接触を持続的に観測することを保証するために、検査装置の観測ユニットの駆動部も温度調節する。そのような駆動部は、通常試験基板及びプローブから遠く離れており、また、多くの場合検査装置の筐体外に配置されているので、設定すべき熱平衡温度は、試験温度から大きくずれており、その結果観測ユニットの駆動部の温度は、試験温度と関係無く設定することが可能である。
【0018】
検査装置の位置決め機器の部品の温度を設定するための機器は、試験基板に応じて、検査装置の構造と使用材料、設定すべき温度及びその他のパラメータに依存して構成することができる。その機器が、個々の部品と統合されているか、或いは少なくとも部品と良好に接触している場合、大きな温度差は、例えば、熱交換機を用いて、非常に精確に、時間及びエネルギーに関して効率的に発生又は解消することができる。それに対して、温度調節されたガスと試験基板との接触に問題が無いか、或いは僅かな温度差しか生じていない場合、冷却又は加熱されたガス流によって、当該の部品を所望の温度に設定することができる。ここで、例えば、検査装置が改造可能であること及び変更可能であることは有利である。
【0019】
以下において、実施例にもとづき、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来技術による筐体を備えた検査装置
【図2】従来技術による筐体を備えた検査装置
【図3】筐体と位置決め機器の全ての部品のための熱交換機を有する温度調節機器とを備えた検査装置
【図4】筐体と位置決め機器の全ての部品用の幾つかの温度調節機器とを備えた検査装置
【図5】図4による検査装置であるが、筐体外にプローブ保持機器とそのマニピュレータが配置された検査装置
【発明を実施するための形態】
【0021】
従来技術による検査のために所定の温度に設定することが可能な試験基板を検査するための検査装置は、EMV遮蔽体として構成された筐体11の中に、冷却又は加熱することができる温度調節可能なチャック2を有し、その結果その上に配置された試験基板、例えば、ウェーハを、数百度又は低い温度範囲内とすることができる温度に設定することが可能である。
【0022】
チャック2は、試験基板1をX、Y及びZ方向に動かすことができるとともに、角度Θだけ回転させることができるチャック駆動部を有する。XとY方向の動きは、X又はY方向ステータ8又は6と連携したX又はY方向スライダ7又は5によって実現され、Z方向の動きは、Z方向駆動部4によって実現され、回転は、ツェータ駆動部3によって実現される。チャック駆動部は、チャックとその上に配置された試験基板を含めて、安定化のために、ベースプレート10上に配置されている。筐体自体は、台座16の上に置かれている。
【0023】
プローブ保持板9が筐体11の上方の部分を構成し、その上には、検査プローブ32を備えたプローブ保持機器が配置されている。図1によるプローブ保持機器は、それぞれX、Y及びZ方向への検査プローブ32の位置決め機能を果たすマニピュレータを有する。マニピュレータを備えたプローブ保持機器は、一般的にプローブヘッド13と呼ばれている。
【0024】
チャック駆動部もプローブ保持機器のマニピュレータも、検査プローブ32に対して相対的な試験基板1の位置決め機能を果たし、そのため検査装置の位置決め機器の部品であり、チャック駆動部自体は、同じく個々の運動方向を実現する前述した部品から構成されている。検査装置の別の実施構成による運動過程の各形態に応じて、その位置決め機器は、幾つかの又は追加の部品を備えることもできる。
【0025】
プローブヘッド13に対する試験基板1のEMV遮蔽を実現するために、プローブ保持板9の下で、かつ試験基板1の上にはプレート形状のEMV遮蔽体12が配置されている。しかし、後述する検査方法及びそれに使用される装置は、そのようなEMV遮蔽体又はEMV遮蔽体を備えた検査装置に限定されるものではない。むしろ、前述した課題は、EMV遮蔽体と関係無く、遮蔽体及び/又は筐体によって達成され、そのためEMV遮蔽を行う必要のない試験基板の検査にも適用することが可能である。
【0026】
試験基板1上での検査プローブ32の尖端の位置決め及び検査自体は、カメラと組み合わせることが可能な顕微鏡15を用いて観測することができる。そのために、顕微鏡15は、プローブ保持板9の開口部とEMV遮蔽体12を通る形で配置されており、単一の顕微鏡駆動部14を用いて、X、Y及びZ方向に動かすことができる。
【0027】
図1による検査装置の実施形態が図2に図示されている。同じく従来技術を表す、図2による検査装置は、前述した構成部品に追加して、プローブヘッドを取り囲むとともに、周囲環境に対する検査空間の完璧な密閉を実現する上室17を有する。顕微鏡の密閉は、対物レンズシール18を用いて実現されている。そのような実施形態は、例えば、低い温度での検査に使用される。
【0028】
図2による検査装置に対して、位置決め機器の全ての部品に対する温度調節機器を追加した検査装置が図3に図示されている。本発明による図3の検査装置は、X、Y方向スライダの構成部品としてX方向ステータ8を有する。それは、X方向ステータとY方向ステータも、X、Y方向スライダも加熱又は冷却することが可能な熱交換機27を有する。そのために、必要な温度に設定されたガス状又は液体状の温度調節用流体が、供給及び排出パイプ23を介して、平面による良好な熱伝導接触によってY方向ステータ及び二つのスライダと接続された熱交換機27に通されている。
【0029】
同じ手法で、Z方向駆動部も温度調節されており、図示されている実施例では、更なる制御負荷をかけることなく、全ての駆動部を同じ温度に設定するために、Z方向及びツェータ駆動部24用温度調節流体の供給及び排出パイプが、X及びY方向駆動部23用供給及び排出パイプから分岐している。この場合、当然のことながら、別個の流体循環系を使用することもでき、その結果チャック駆動部の個々の部品の温度を互いに独立して設定することが可能である。それに代わって、設定すべき温度に応じて、チャック駆動部の温度調節のための別の実施形態も可能である。例えば、部品の加熱だけが必要な場合、電気加熱器を用いることが可能であり、或いは速い加熱と冷却を実現するためには、両方を組み合せて用いることもできる。
【0030】
しかし、如何なる場合でも、チャック2とそのため試験基板1の温度設定と独立して、位置決め機器の部品の温度設定を行うことが可能である。一つの実施構成において、個々の部品の温度を設定、制御するために、温度調節された全ての部品が、制御サイクルの測定要素とすることができる温度センサー29,30,31を備える。
【0031】
図3による検査装置は、プローブ保持板用の熱交換機20も備えており、それは、同様に温度調節流体が貫流し、そのようにして熱的な接触によって、マニピュレータを備えたプローブヘッド13を温度調節している。実現可能な温度の設定に関して、前述した位置決め機器の別の部品の温度調節に関する説明を参照されたい。それに代わって、チャック駆動部に関して後述する通り、好適な加熱器又は冷却器、或いは温度調節されたガス流によって、直接プローブヘッド13を所要の温度に設定することもできる。そのようにして、検査中の熱平衡プロセスの推移に伴って検査プローブ32の保持機器とその位置決めユニットの熱膨張の変化にもとづき生じる試験基板1に対する検査プローブ32の位置の変化を防止している。
【0032】
駆動部14も温度調節機器22を備えて、その温度調節が位置決めにではなく、観測位置にだけ影響を与えるようにすることによって、同じことが、観測ユニット15に関しても実現することができる。それに代わって、そのような理由から、検査プローブ32の尖端に対して相対的な観測ユニット15のずれが補正される場合には、そのような顕微鏡駆動部の温度調節も省略することができる(図4)。
【0033】
本発明の別の実施形態では、放出部品26を用いて、位置決め機器の当該の部品にガス流を向けることによって、所定の温度に設定するための前述した手法は、温度調節されたガス流を用いて行うこともできる。図4では、そのようにして、共通の温度調節機器を用いて、チャック駆動部全体を冷却又は加熱することが可能である。それに匹敵する手法で、検査プローブ32の保持及び/又は位置決めに関与する部品も温度調節することができる。当然のことながら、検査装置の位置決め機器の様々な部品に関して有効な手法にもとづき、様々な温度調節機器、即ち、熱交換機又はガス流機器を組み合わせることができる(図4)。
【0034】
検査装置の様々な構成に対して、前述した温度調節機器を用いることも可能である。図5は、プローブヘッド13が筐体外に配置されているが、ガス流を用いてチャック駆動部を温度調節し、熱交換機を用いてプローブ保持板9を温度調節する本発明による検査装置を図示している。
【0035】
周辺領域の温度を上回る温度で試験基板1を検査するためには、チャック2を用いて、そのような試験温度に試験基板1を加熱する。それと同時に、前述した通り、チャック駆動部及び/又はプローブヘッド13の構成部品も、そのマニピュレータを含めて、熱平衡状態が実現される温度にまで加熱される。当業者には、熱平衡温度を決定するために、様々な方法が利用可能であり、コンピュータ支援シミュレーション方法も利用できる。それに代わって、熱平衡温度を実験で決めることもできる。検査装置の構造又は使用材料に応じて、位置決め機器の個々の部品に対して互いに異なる熱平衡温度を規定することもできる。
【0036】
例えば、温度センサー29,30,31を用いて確認することができる熱平衡の設定後に、試験基板1と検査プローブ32の互いに相対的な位置決めを行うと同時に、位置決め機器を用いた試験基板1の接点と全ての検査プローブ32との接触を行う。試験終了後、位置を補正することなく接触が維持されている間に、接触が解除され、次の試験基板1の位置決めと接触が行われる。次の試験基板1が、格子内に配置されたウェーハの別の構成部品である場合、チャック駆動部のX−Y方向クロステーブルを用いて、格子間隔だけ動かすことのみで、即ち、位置決めの再調整を行わずに、次の構成部品を動作、接触させることができる。
【0037】
更に、本方法の実施形態では、試験基板1の速い加熱を実現するために、熱放射又は間接的な熱伝導によって、そのような構成部品を試験基板1と熱的に接触させて、所定の時点において、試験温度を上回るそのような温度に設定することもできる。熱平衡温度に関して前述した通り、そのような過熱は、温度に関しても時間に関しても好適な方法によって事前に見積っておく、或いはシミュレーションしておくことができる。同様に、周辺領域に配置された部品を最終的な温度を下回る温度に低下させることによって、基板の交換のための試験後の冷却を加速することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 試験基板、ウェーハ
2 温度調節可能なチャック
3 ツェータ駆動部
4 Z方向駆動部
5 Y方向スライダ
6 Y方向ステータ
7 X方向スライダ
8 X方向ステータ
9 プローブ保持板
10 ベースプレート
11 筐体
12 EMV遮蔽体
13 プローブヘッド
14 顕微鏡駆動部
15 観測ユニット、顕微鏡
16 台座
17 上室
18 対物レンズシール
19 温度調節流体の供給及び排出パイプ
20 プローブ保持板用熱交換機
21 温度調節流体の供給及び排出パイプ
22 顕微鏡用熱交換機
23 温度調節流体の供給及び排出パイプ
24 温度調節流体の供給及び排出パイプ
25 温度調節ガスの供給パイプ
26 放出部品
27 X−Y方向駆動部用熱交換機
28 ツェータ及びZ方向駆動部用熱交換機
29 温度センサーT
30 温度センサーT
31 温度センサーT
32 検査プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査する試験基板を温度調節可能なチャックによって保持して所定の温度に設定し、少なくとも一つの位置決め機器を用いて、検査プローブに対して相対的な位置に試験基板を配置して、検査のために検査プローブと接触させる、所定の温度条件の下で試験基板を検査する方法において、
温度調節機器を用いて、温度調節する試験基板の周辺領域に有る、位置決め機器の少なくとも一つの部品の温度を試験基板の温度と独立して設定するとともに、その温度を一定に保持することを特徴とする試験基板検査方法。
【請求項2】
位置決め機器の部品が検査装置を熱平衡状態に移行することができると見込まれる温度に、当該の部品の温度を設定して、その温度設定が、試験基板の温度を検査温度にまで調節するための時間内に行われることを特徴とする請求項1に記載の試験基板検査方法。
【請求項3】
当該の位置決め機器の部品の温度を試験基板の検査温度と大きく異なる温度に設定することを特徴とする請求項1に記載の試験基板検査方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法にもとづき、検査装置の温度条件を設定する方法において、
チャック駆動部を用いて、試験基板の位置決めを行い、チャック駆動部の少なくとも一つの部品の温度を所望の温度に設定することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法にもとづき、検査装置の温度条件を設定する方法において、
マニピュレータを用いて、検査プローブの位置決めを行うことができ、マニピュレータの温度を所望の温度に設定することを特徴とする方法。
【請求項6】
位置決め可能な観測ユニットを用いて、検査を観測し、温度調節機器を用いて、観測ユニットの駆動部の温度を試験基板の温度と独立した温度に設定するとともに、その温度を一定に保持することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の試験基板検査方法。
【請求項7】
熱交換機を用いて、温度調節を行うことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の試験基板検査方法。
【請求項8】
温度調節したガスの流れを向けることによって、温度調節を行うことを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の試験基板検査方法。
【請求項9】
試験基板の収容及び温度調節用の温度調節可能なチャックと、試験基板と接触させる検査プローブと、検査プローブに対して相対的な試験基板の位置決めを行うための位置決め機器とを有する、温度条件を設定することが可能な検査装置において、
温度調節する試験基板の周辺領域に有る、位置決め機器の少なくとも一つの部品が、試験基板の温度と独立した一定に保持すべき所定の温度に設定するための温度調節機器を有することを特徴とする温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項10】
当該のチャックが、試験基板の位置決めを行うためのチャック駆動部を有し、温度調節機器を用いて、チャック駆動部の少なくとも一つの部品の温度を所望の温度に設定することが可能であることを特徴とする請求項9に記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項11】
この検査装置が、検査プローブの位置決めを行うための少なくとも一つのマニピュレータを有し、温度調節機器を用いて、このマニピュレータの温度を所望の温度に設定することが可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項12】
当該のマニピュレータが、プローブ保持板上に配置されており、温度調節機器を用いて、このプローブ保持板を介して間接的に所望の温度に設定することが可能であることを特徴とする請求項11に記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項13】
温度調節機器が、熱交換機を有することを特徴とする請求項9から12までのいずれか一つに記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項14】
温度調節機器が、温度調節されたガスの流れを発生させて、位置決め機器の部品に流出させる機器を有することを特徴とする請求項9から13までのいずれか一つに記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項15】
この検査装置が、検査を観察するための移動可能な観測ユニットを有し、その駆動部が、試験基板の温度と独立した一定に保持すべき所定の温度に設定するための温度調節機器を有することを特徴とする請求項9から14までのいずれか一つに記載の温度条件を設定可能な検査装置。
【請求項16】
この検査装置が、検査装置の位置決め機器の少なくとも一部を取り囲んで、電磁放射線を遮蔽する筐体を有することを特徴とする請求項9から15までのいずれか一つに記載の温度条件を設定可能な検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501403(P2011−501403A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528365(P2010−528365)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063154
【国際公開番号】WO2009/050038
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504121874)カスケード・マイクロテク・ドレスデン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (15)
【Fターム(参考)】